JP2009066943A - 流延ダイ、溶液製膜設備及び溶液製膜方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】流延ダイ52は、積層ドープ61が通過するスロット106を有する。スロット106は、第1スロット部111、第2スロット部112及び第1接続スロット部116を有する。第2スロット部112は、方向SDの流路幅が、第1スロット部111の方向SDの流路幅よりも狭くなるように形成される。第1接続スロット部116は、方向SDの流路幅が、第1スロット部111側から第2スロット部112側に向かうに従い次第に狭くなるように形成される。第1接続スロット部116の内壁面116aには、動摩擦係数が内壁面116aよりも低い低摩擦層が形成される。
【選択図】図4
Description
図1に、本実施形態で用いるフイルム製造ライン10の概略図を示す。フイルム製造ライン10は、流延室12とピンテンタ13とクリップテンタ14と乾燥室15と冷却室16と巻取室17とを有する。
本実施形態では、基層を形成するドープ(以下、基層形成用ドープと称する)として中間層用ドープ39aを用い、表層を形成するドープ(以下、表層形成用ドープと称する)として、裏面層用ドープ39b,表面層用ドープ39cを用いる。基層形成用ドープとしては、製造する光学機能性フイルムの強度や光学的機能に適するドープを用い、表層形成用ドープとしては、光学機能性フイルムの平面性や滑り性を良くするためのドープを用いる。また、上記に加え、表層形成用ドープとして、基層形成用ドープよりも粘性が低いものを用いることが好ましい。これにより、後述する流延膜や湿潤フイルムの表面におけるスジやムラの生成や、厚さムラなどを防ぐことができる。なお、積層共流延法等により製造され、層構造をなす積層フイルムにおいて、フイルムの主要部を形成する層を基層と称し、基層の片面あるいは両面に露出する層を表層と称する。
なお、基層形成用ドープに含まれるポリマー濃度は、15重量%以上30重量%以下であることが好ましく、20重量%以上25重量%以下であることがより好ましい。表層形成用ドープに含まれるポリマー濃度は、10重量%以上25重量%以下であることが好ましく、15重量%以上25重量%以下であることがより好ましく、19重量%以上22重量%以下であることが特に好ましい。
流延ドラム54は、制御部60の制御の下、図示を省略した駆動装置により軸54aを中心に、方向Z1へ回転する。流延ドラム54の回転により、周面54bは方向Z1へ所定の速度ZVで走行する。温調装置56は、制御部60の制御の下、所望の温度に調節された伝熱媒体を、流延ドラム54内に設けられる流路中を循環させる。この伝熱媒体の循環により、流延ドラム54の周面54bの温度を所望の温度TSに保つことができる。
図2のように、フィードブロック51は、流路30a〜30cと接続する第1〜第3流入口91a〜91cと、流延ダイ52と接続する流出口92と、第1流入口91a及び流出口92を接続する主流路93とを備える。副流路94bは、第2流入口91bと主流路93とを連通し、副流路94cは、第3流入口91cと主流路93とを連通する。副流路94b、94cとの連通部よりも下流側の主流路93に合流部95が設けられる。合流部95では、各ドープ39a〜39cが方向SDに層をなす積層ドープ61がつくられる。主流路93との連通部の直前の副流路94b、94cには、ディストリビューションピン96b、96cが設けられる。
図4及び図5のように、流延ダイ52は、リップ板100、101と側板102、103とから構成され、フィードブロック51の流出口92と連通する流入口104と、積層ドープ61を流出する流出口105と、流入口104と流出口105とを連通するスロット106と、を備える。流出口105は、流延ダイ52の先端に設けられる。積層ドープ61がスロット106中を流れる方向B1に垂直な面で切断したときのスロット106の断面形状を構成する辺のうち、長手側の辺の向きを方向LDとし、短手側の辺の向きを方向SDとする。なお、スロット106の断面形状は、略矩形であることが好ましいが、本発明はこれに限られない。
以下、本発明においてドープ24を調製する際に使用する原料について説明する。
(I) 2.5≦A+B≦3.0
(II) 0≦A≦3.0
(III) 0≦B≦2.9
ドープを調製する溶媒としては、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン,トルエンなど)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン,クロロベンゼンなど)、アルコール(例えば、メタノール,エタノール,n−プロパノール,n−ブタノール,ジエチレングリコールなど)、ケトン(例えば、アセトン,メチルエチルケトンなど)、エステル(例えば、酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸プロピルなど)およびエーテル(例えば、テトラヒドロフラン,メチルセロソルブなど)などが挙げられる。なお、本発明においてドープとは、ポリマーを溶媒に溶解または分散させることで得られるポリマー溶液または分散液を意味している。
ドープ24の調製に用いた化合物の処方を下記に示す。
セルローストリアセテート(置換度2.8) 89.3重量%
可塑剤A(トリフェニルフォスフェート) 7.1重量%
可塑剤B(ビフェニルジフェニルフォスフェート) 3.6重量%
の組成比からなる固形分(溶質)を
ジクロロメタン 80重量%
メタノール 13.5重量%
n−ブタノール 6.5重量%
からなる混合溶媒に適宜添加し、攪拌溶解してドープ24を調製した。なお、ドープ24のTAC濃度は略23重量%になるように調整した。ドープ24を濾紙(東洋濾紙(株)製,#63LB)にて濾過後さらに焼結金属フィルタ(日本精線(株)製06N,公称孔径10μm)で濾過し、さらにメッシュフイルタで濾過した後にストックタンク20に入れた。
なお、ここで使用したセルローストリアセテートは、残存酢酸量が0.1重量%以下であり、Ca含有率が58ppm、Mg含有率が42ppm、Fe含有率が0.5ppmであり、遊離酢酸40ppm、さらに硫酸イオンを15ppm含むものであった。また6位水酸基の水素に対するアセチル基の置換度は0.91であった。また、全アセチル基中の32.5%が6位の水酸基の水素が置換されたアセチル基であった。また、このTACをアセトンで抽出したアセトン抽出分は8重量%であり、その重量平均分子量/数平均分子量比は2.5であった。また、得られたTACのイエローインデックスは1.7であり、ヘイズは0.08、透明度は93.5%であった。このTACは、綿から採取したセルロースを原料として合成されたものである。以下の説明において、これを綿原料TACと称する。
内壁面116a、117aにWCコーティングを施されていない流延ダイを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、フイルムを製造した。内壁面116a、117aの動摩擦係数は0.4であり、硬さHvは380、表面粗さRaは0.1μmであった。
各実施例及び比較例における製造条件、測定結果及び評価結果を、表1に纏めて示す。なお、表1中において、動摩擦係数は、流延ダイの内壁面116a、117aの動摩擦係数であり、硬さHvは、流延ダイの内壁面116a、117aの硬さHvであり、表面粗さRaは、流延ダイの内壁面116a、117aの表面粗さである。また、表1中の評価結果は、厚みムラ評価の評価結果であり、評価基準は次のとおりである。
なお、フイルムの厚みは、マイクロメータを用いて、フイルムの6箇所の厚みを計測し、この平均値をフイルムの厚みとした。
12 流延室
13 ピンテンタ
14 クリップテンタ
15 乾燥室
16 冷却室
17 巻取室
20 ストックタンク
22 フイルム
24 ドープ
51 フィードブロック
52 流延ダイ
53 流延膜
54 流延ドラム
54a 軸
54b 周面
55 剥取ローラ
61 積層ドープ
93 主流路
94b、94c 副流路
106 スリット
111〜113 第1〜第3スロット部
116〜117 第1〜第2接続スロット部
116a、117a 内壁面
Claims (13)
- ポリマーと溶媒とを含むドープを供給口から供給し、スロットを介して流出口から、走行する支持体上に吐出し、前記支持体上に流延膜を形成し、
前記スロットは、前記ドープの流出方向に直交する方向における断面形状が、第1方向に伸びるように形成される1対の第1内壁面と、前記第1方向に直交する第2方向に、前記第1内壁面よりも短く伸びるように形成される1対の第2内壁面とにより、スリット状に形成される流延ダイにおいて、
前記スロットが、
前記供給口の下流側に設けられる第1スロット部と、
前記第1スロット部の下流側に設けられ、前記第1内壁面間の流路幅が前記第1スロット部の前記第1内壁面間の流路幅よりも狭い第2スロット部と、
前記第1スロット部と前記第2スロット部との間に設けられ、前記第1内壁面間の流路幅が前記第1スロット部側から前記第2スロット部側に向かうに従い次第に狭くなる接続スロット部と、
前記接続スロット部の前記第1内壁面に形成され、前記第1スロット部及び前記第2スロット部の前記第1内壁面よりも動摩擦係数が小さい低摩擦層と、
を備えることを特徴とする流延ダイ。 - 前記低摩擦層の動摩擦係数が0.4以下であることを特徴とする請求項1記載の流延ダイ。
- 前記低摩擦層の表面粗さRaが0.01μm以上3μm以下であることを特徴とする請求項1または2記載の流延ダイ。
- 前記低摩擦層の硬度Hvが、350以上であることを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項記載の流延ダイ。
- 前記低摩擦層がタングステンカーバイドを含むことを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか1項記載の流延ダイ。
- 前記第1スロット部または前記第2スロット部の前記第1内壁面と、
前記接続スロット部、前記第1スロット部または前記第2スロット部の前記第2内壁面と、
のうち少なくとも1つに、前記低摩擦層を設けたことを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか1項記載の流延ダイ。 - 主ドープと前記主ドープよりも粘度の低い副ドープとが前記第2方向に層をなす積層ドープを、前記供給口に供給することを特徴とする請求項1ないし6のうちいずれか1項記載の流延ダイ。
- 前記主ドープが供給される主ドープ供給口と前記供給口とを連通する主流路と、
前記副ドープを供給する副ドープ供給口と前記主流路とを連通する副流路と、
前記副流路との連通部よりも下流側の前記主流路に設けられ、前記主流路を通過した前記主ドープと前記副流路を通過した前記副ドープとから前記積層ドープを形成する合流部と、を備えることを特徴とする請求項7記載の流延ダイ。 - 前記支持体の走行速度が40m/分以上であることを特徴とする請求項1ないし8のうちいずれか1項記載の流延ダイ。
- 前記支持体が、軸を中心に回転するドラムであることを特徴とする請求項1ないし9のうちいずれか1項記載の流延ダイ。
- 前記ポリマーがセルロースアシレートを含むことを特徴とする請求項1ないし10のうちいずれか1項記載の流延ダイ。
- 請求項1ないし11のうちいずれか1項記載の流延ダイと、
前記支持体と、
前記支持体から剥ぎ取った前記流延膜を乾燥して、フイルムとする乾燥装置と、
を備えることを特徴とする溶液製膜設備。 - 請求項1ないし11のうちいずれか1項記載の流延ダイを用いて、前記ドープを記支持体上に流出し、
前記支持体上の前記ドープから前記流延膜を形成し、
前記支持体から剥ぎ取った前記流延膜を乾燥することを特徴とする溶液製膜方法。
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