JPH11254594A - 高表面平滑性セルロースエステルフィルム及びその製造法 - Google Patents

高表面平滑性セルロースエステルフィルム及びその製造法

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JPH11254594A
JPH11254594A JP8023198A JP8023198A JPH11254594A JP H11254594 A JPH11254594 A JP H11254594A JP 8023198 A JP8023198 A JP 8023198A JP 8023198 A JP8023198 A JP 8023198A JP H11254594 A JPH11254594 A JP H11254594A
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忠宏 辻本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面平滑度の高いセルロースエステルフィル
ムと、そのフィルムの工業的に有利な製造方法を提供す
る。 【解決手段】 フィルタを用いて濾過したセルロースエ
ステル溶液と、そのフィルタよりも濾過精度の高いフィ
ルタを用いて濾過したセルロースエステル溶液とを仮支
持体の表面に同時流延法により塗布し、乾燥後、その乾
燥膜を仮支持体から剥ぎ取って、フィルム内部に明確な
境界面を持たない高表面平滑性のセルロースエステルフ
ィルム積層体を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に光学用途に適
したセルロースエステルフィルム及びその製造法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】薄膜の透明プラスチックフィルムは近
年、偏光板の保護膜、位相差板等の光学補償フィルム、
プラスチック基板、写真用支持体あるいは動画用セルや
光学フィルタ、さらにはOHPフィルムなどの光学材料
として需要が増大している。最近では液晶ディスプレイ
が、TN、STN、TFTと品質が向上したこと、およ
び軽量で携帯性に優れていることから、パーソナルコン
ピュータやワードプロセッサ、携帯用端末、テレビ、さ
らにはデジタルスチルカメラやムービーカメラなどに広
く使用されているが、この液晶ディスプレイには画像表
示のために偏光板が必須となっている。液晶ディスプレ
イの品質の向上に合わせて、偏光板の品質向上が要求さ
れ、それと共に偏光板の保護膜である透明プラスチック
フィルムもより高品質であることが要望されている。
【0003】偏光板の保護膜などの光学用途フィルムに
ついては、解像力やコントラストの表示品位から高透明
性、低光学異方性、平面性、易表面処理性、高耐久性
(寸度安定性、耐湿熱性、耐水性)、フィルム内および
表面に異物がないこと、表面に傷がないか、または付き
にくいこと(耐傷性)、適度のフィルム剛性を有するこ
と(取扱い性)、適度の透水性など種々の特性を備えて
いることが必要である。
【0004】これらの特性を有するプラスチックフィル
ムとしては、セルロースエステル、ノルボルネン樹脂、
アクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート
樹脂などからなるフィルムがあるが、生産性や材料価格
等の点からセルロースエステルが主に使用されている。
特にセルローストリアセテートのフィルムは、極めて高
い透明性を有しかつ、光学異方性が小さく、レターデー
ションが低いことから光学用途に特に有利に用いられて
いる。
【0005】これらのプラスチックフィルムを製造する
方法としては、溶液製膜法、溶融製膜法および圧延法な
ど各種の製膜技術が利用可能であるが、良好な平面性お
よび低光学異方性を得るためには、溶液製膜法が特に適
している。溶液製膜法は、原料フレークを溶剤にて溶解
し、これに必要に応じて可塑剤、紫外線吸収剤、劣化防
止剤、滑り剤、剥離促進剤等の各種の添加剤を加えた溶
液(ドープと称する)を、水平式のエンドレスの金属ベ
ルトまたは回転するドラムからなる支持体の上に、ドー
プ供給手段(ダイと称する)により流延した後、支持体
上である程度乾燥して剛性が付与されたフィルムを支持
体から剥離し、次いで各種の搬送手段により乾燥部を通
過させて溶剤を除去することからなる方法である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】セルロースエステルフ
ィルム中に異物が混入していると、フィルムの透明性や
表面の平面性の低下をもたらし、フィルムとしての品質
を損ないがちである。特に、表面付近に存在する異物は
フィルム表面に突起となって微小の凸部を形成するため
に、表面の平滑度を著しく低下させる大きな原因となっ
ている。例えば、液晶表示装置素子の偏光板の保護用に
用いる光学用途フィルムにおいてはとりわけ、これら表
面の突起は偏光板の偏光機能の低下などその光学特性に
悪影響を与える。また、偏光板の保護膜等として用いる
場合にはフィルムを偏光板上に積層した状態で使用する
が、表面の平滑度が低いと、この積層特性も低下するこ
とになる。さらに、光学用途のフィルムは通常、製造後
にロール状に巻き取った状態で貯蔵、出荷されるが、表
面が滑らかでないとその巻取りや巻出しの操作がスムー
ズに行かず手間取ったり、表面に傷がつく原因となった
りする。
【0007】セルロースエステルフィルムの表面や内部
への異物の混入を避けるための技術として、フィルム製
造に用いるセルロースエステル溶液をフィルタを用いて
濾過する方法は既に知られている。従って、セルロース
エステルフィルムの表面や内部への異物の混入、特に相
対的に大きなサイズの粒状物の混入を避けるための方法
として、濾過精度の高い(すなわち、目の細かい)フィ
ルタを用いてセルロースエステルフィルム溶液を濾過す
ることは当然考えられることになる。しかしながら、濾
過精度の高いフィルタを用いる濾過は、その濾過に非常
に高い圧力が必要となり、また濾過時間も長くなるた
め、生産効率の大幅な低下をもたらす。
【0008】従って本発明は、表面および表面近傍の異
物、特にサイズの大きい異物の混入が少なく、かつ表面
平滑度の高いセルロースエステルフィルムおよびそのセ
ルロースエステルフィルムを生産性を大幅な低下を引き
起こすこと無く製造するための工業的に有利な製造法を
提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、フィルムに
混入する異物の大半は製造の際にセルロースエステルの
溶液中に含まれる不溶物や不純物であると考え、従来の
セルロースエステルフィルムの製造方法の再検討を行っ
た。その結果、これまででは製膜に先立ってセルロース
エステル溶液を絶対濾過精度が0.01mm程度の濾材
を用いて濾過することが行われているが、その程度の濾
過精度の濾材の使用では、不溶物等の微小な異物の除去
には充分でないことが分った。一方、従来のセルロース
エステル溶液についてそのまま濾過精度の高い(すなわ
ち、孔径の小さい)濾材を用いて濾過を行ったのでは、
高い濾過圧力が必要になったり、長時間を要したりし
て、濾過工程に大きな負荷がかかり、生産性が落ちてし
まう。
【0010】そこで、本発明者は、異物が突起となって
表面の平滑度の低下をもたらす表面付近のみを高い濾過
精度のフィルタで濾過したセルロースエステル溶液を用
いて形成することにより、生産性をそれほど低下させる
ことなく、効率良く表面付近における異物を混入を抑制
することができ、従って平滑度の高いセルロースエステ
ルフィルムを製造できることを見い出した。ただし、こ
の高い濾過精度のフィルタで濾過したセルロースエステ
ル溶液を予め製膜したセルロースエステルフィルム(基
体)の上に単に製膜被覆したり、あるいは基体フィルム
と被覆フィルムとを別々に製造して、これらを単に積層
したのでは、基体フィルム層と被覆フィルム層との間で
の剥離が起こりやすく、また特に光学用途で問題となる
フィルム内部での光の異常反射や異常分散の原因とな
る。そこで、本発明者は更に研究を行った結果、このよ
うな積層フィルムで問題となる層間の剥離や光学特性の
低下は、基体フィルムと被覆フィルム(表面側フィル
ム)との積層を同時重層塗布法を利用することによって
回避することができることを見いだした。
【0011】従って、本発明は、フィルタを用いて濾過
したセルロースエステル溶液から形成したセルロースエ
ステル基体フィルムの少なくとも一方の表面に、上記の
フィルタよりも濾過精度の高いフィルタを用いて濾過し
たセルロースエステル層が、セルロースエステル基体フ
ィルムとの間に境界面を形成することなく積層されてい
ることを特徴とする高平滑性表面を持つセルロースエス
テルフィルム積層体にある。
【0012】本発明はまた、フィルタを用いて濾過した
セルロースエステル溶液と上記フィルタよりも濾過精度
の高いフィルタを用いて濾過したセルロースエステル溶
液とを仮支持体の表面に同時流延法により塗布し、乾燥
後、その乾燥膜を仮支持体から剥ぎ取ることを特徴とす
る高平滑性表面を持つセルロースエステルフィルム積層
体の製造法にもある。
【0013】以下に、本発明のセルロースエステルフィ
ルムおよびその製造法の好ましい態様を挙げる。 (1)セルロースエステル基体フィルム形成用のセルロ
ースエステル溶液の濾過に用いたフィルタの絶対濾過精
度が0.005mm以上で、0.1mm以下であり、セ
ルロースエステル層形成用のセルロースエステル溶液の
濾過に用いたフィルタの絶対濾過精度が0.005mm
未満、0.0005mm以上である上記のセルロースエ
ステルフィルム積層体。 (2)セルロースエステル基体フィルム形成用のセルロ
ースエステル溶液の濾過に用いたフィルタの絶対濾過精
度に対する、セルロースエステル層形成用のセルロース
エステル溶液の濾過に用いたフィルタの絶対濾過精度の
比が前者100に対して5乃至50である上記のセルロ
ースエステルフィルム積層体。
【0014】(3)セルロースエステル基体フィルム形
成用のセルロースエステルと、セルロースエステル層形
成用のセルロースエステルが共にセルローストリアセテ
ートである上記のセルロースエステルフィルム積層体。 (4)上記セルロースエステル基体フィルムの両側の表
面に上記セルロースエステル層が積層されてなる上記の
セルロースエステルフィルム積層体。
【0015】(5)液晶表示装置の偏光板の保護フィル
ム用である上記のセルロースエステルフィルム積層体。 (6)表面セルロースエステル層の厚さが5〜20μm
の範囲にある上記のセルロースエステル積層体。
【0016】(7)セルロースエステル基体フィルム製
造用のセルロースエステル溶液の濾過に絶対濾過精度が
0.005mm以上で、0.1mm以下のフィルタを用
い、表面セルロースエステル層形成用のセルロースエス
テル溶液の濾過に絶対濾過精度が0.005mm未満、
0.0005mm以上であるフィルタを用いることを特
徴とする上記のセルロースエステルフィルム積層体の製
造法。 (8)セルロースエステル基体フィルム製造用のセルロ
ースエステル溶液の粘度が、表面セルロースエステル層
形成用のセルロースエステル溶液の粘度よりも低いこと
を特徴とする上記のセルロースエステルフィルム積層体
の製造法。 (9)粘度が異なる二種類以上のセルロースエステルの
溶液が、300〜1000Pの範囲の高粘度のセルロー
スエステル溶液と50〜300Pの範囲の低粘度のセル
ロースエステル溶液である上記のセルロースエステルフ
ィルム積層体の製造法。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に、本発明のセルロースエス
テルフィルム積層体およびその製造法について、三層構
造(表面フィルム層/基体フィルム層/表面フィルム
層)のセルロースエステルフィルム積層体を例にとって
詳細に説明する。
【0018】原料樹脂のセルロースエステルとしては、
たとえば、セルローストリアセテート、セルロースアセ
テートプロピオネート、セルロースアセテートブチレー
トなどのセルロースの低級脂肪酸エステルを用いること
ができる。特に好ましいのはセルローストリアセテート
である。
【0019】まず、原料樹脂を適当な有機溶媒に溶解し
て、セルロースエステルの溶液(ドープ)を調製する。
有機溶媒の例としては、ハロゲン化炭化水素類(ジクロ
ロメタン等)、アルコール類(メタノール、エタノー
ル、ブタノール等)、エステル類(蟻酸メチル、酢酸メ
チル等)、エーテル類(ジオキサン、ジオキソラン、ジ
エチルエーテル等)を挙げることができる。セルロース
エステルの溶液には、トリフェニルフォスフェート、ジ
エチルフタレート、ポリエステルポリウレタンエラスト
マー等の公知の各種の可塑剤、あるいは必要に応じて更
に紫外線吸収剤、劣化防止剤、滑り剤、剥離促進剤など
公知の各種の添加剤を添加してもよい。
【0020】本発明において、表面層形成用のセルロー
スエステル溶液と内層形成用のセルロースエステル溶液
とは同一であってもよいし、あるいは異なっていてもよ
い。ただし、用いるセルロースエステル自体は同一のも
のを用いることが好ましい。またに、基体セルロースエ
ステルフィルムの両側に本発明に従う表面層(表面側セ
ルロースフィルム層)を設ける場合には、表面層形成用
の溶液は両側とも同一でも、あるいは異なっていてもよ
い。
【0021】濾過工程における負荷(濾過に必要な濾過
圧力)をより軽減するためには、表面層形成用の溶液は
低粘度であるのが好ましく、一般には50〜300P
(ポアズ、35℃)の範囲である。一方、内層(基体
層)形成用の溶液の粘度は従来より使用している範囲か
ら任意に選択することができるが、好ましくは、300
〜1000P(35℃)の範囲である。
【0022】セルロースエステルフィルム溶液(ドー
プ)の調製は、周知の方法により、原料樹脂等を溶媒に
混合溶解してもよいし、あるいは冷却溶解法により、原
料樹脂等を溶媒で膨潤させた後この膨潤混合物を−10
℃以下に冷却し、次いで0℃以上に加温して溶解しても
よい。
【0023】次に、表面層形成用のセルロースエステル
溶液を、絶対濾過精度が0.005mm以下の濾過材を
用いて濾過する。濾過圧力や濾過時間等の操作性を考慮
すると、絶対濾過精度は好ましくは0.0005〜0.
005mmの範囲にあり、さらに好ましくは0.001
〜0.005っmの範囲にある。濾過材としては、上記
の絶対濾過精度を有する限り、濾紙など公知の任意の濾
過材を用いることができる。このように濾過精度の高い
濾材で濾過することにより、エステル化されていないセ
ルロースなど微小の不溶物、および混入した異物を効果
的に除去することができる。
【0024】一方、内層(基体層)形成用のセルロース
エステル溶液は、不溶物や異物などを大まかに除去する
目的で、従来行っているように絶対濾過精度が0.01
mm程度(0.005mm以上で、0.1mm以下)の
濾材を用いて濾過することが望ましい。
【0025】次いで、これらのセルロースエステル溶液
(ドープ)を流延ダイを用いて支持体(仮支持体)上に
同時重層流延する。この際に、上記の高精度濾過した表
面層形成用の溶液が両外側に、内層形成用の溶液が内側
になるように配置する。流延方法としては、マルチマニ
ホールドダイなどの共流延ダイを用いて溶液を支持体上
に同時に流延する方法、および単層用のダイを用いて溶
液をそれぞれ支持体上に逐次吐出させて、それぞれが湿
潤状態にあるうちに重層流延する方法などの従来公知の
方法を利用することができるが、好ましくは同時重層流
延法である。支持体としては、表面が鏡面処理された連
続の金属性バンドであってもよいし、あるいは冷却ドラ
ム等の回転ドラムであってもよい。
【0026】その後、支持体上である程度乾燥して剛性
が付与された流延膜を支持体から剥ぎ取り、そして適当
な搬送手段により乾燥部を通過させて溶媒を除去する。
溶液を流延、乾燥する手段としては公知の各種の手段を
利用することができる。
【0027】このようにして、内層とその両側に形成さ
れた異物の顕著に減少した表面層とからなる三層構造
で、かつ表面層/内層(基体層)/表面層のいずれの界
面においても、隣接する層間が連続層を形成し、それぞ
れの間に明確な境界面が形成されていないセルロースエ
ステルフィルムを製造することができる。そしえ、たと
えば、本発明においては直径が0.01mm以上の突起
が全くない表面層を形成することができる。
【0028】本発明のセルロースエステルフィルム積層
体の表面層の厚さは、フィルム全体の厚さや、その層の
組成などによっても異なるが、一般には1〜50μmの
範囲にあり、好ましくは5〜20μmの範囲である。ま
た、フィルム全体の厚さは、フィルムの用途などによっ
ても異なるが、一般には20〜500μmの範囲にあ
り、好ましくは50〜100μmの範囲である。
【0029】なお、上記においては三層構造の場合を例
にとって説明したが、本発明においては、基体フィルム
の一方の側にのみ上記高精度濾過した溶液からなる表面
層を形成して二層構造としてもよいし、あるいは多種類
の溶液を用いて四層以上の構成としてもよい。
【0030】
【実施例】[実施例1]表1に示す組成の原料を撹拌し
ながら混合して溶解し、内層および表面層用のドープを
それぞれ調製した。次に、表面層用ドープを絶対濾過精
度0.0025mmの濾紙(ポール社製、FH025)
にて濾過した。また、内層用ドープも絶対濾過精度0.
01mmの濾紙(東洋濾紙(株)製、#63)にて濾過
した。
【0031】
【表1】 表1 ─────────────────────────────────── ドープの組成(重量部) 内層 表面層 ─────────────────────────────────── セルローストリアセテート 18 15 (酢化度:60.9%) トリフェニルホスフェート 2 2.4 メチレンクロライド 72 74.3 メタノール 8 8.3 粘度(35℃) 600P 150P ───────────────────────────────────
【0032】これらのドープを三層共流延ダイを用い、
内層用ドープが内側に表面層用ドープが両外側になるよ
うに配置して金属支持体上に同時に吐出させて重層流延
した後、流延膜を支持体から剥ぎ取り、乾燥して、本発
明の三層構造のセルロースアセテートフィルム積層体
(内層の厚さ:80μm、各表面層の厚さ:10μm)
を製造した。
【0033】[比較例1]実施例1において、内層用ド
ープのみを用いて単層流延したこと以外は実施例1と同
様にして、比較のためのセルロースアセテートフィルム
(全体の厚さ:100μm)を製造した。
【0034】[実施例2]表2に示す組成の原料を混合
して30℃で4時間膨潤させた後、この膨潤物を−70
℃まで冷却して5分間保持し、次に50℃まで加温して
溶解し、内層および表面層用のドープをそれぞれ調製し
た。
【0035】
【表2】 表2 ─────────────────────────────────── ドープの組成(重量部) 内層 表面層 ─────────────────────────────────── セルローストリアセテート 17 13 (酢化度:59.5%) トリフェニルホスフェート 2.7 2.1 酢酸メチル 64.2 67.9 エタノール 16.1 17 粘度(35℃) 400P 80P ───────────────────────────────────
【0036】次いで、実施例1と同様にして各ドープを
濾過した後同時重層流延して、本発明の三層構造のセル
ロースアセテートフィルム(内層の厚さ:80μm、各
表面層の厚さ:10μm)を製造した。
【0037】[比較例2]実施例2において、内層用ド
ープのみを用いて単層流延したこと以外は実施例2と同
様にして、比較のためのセルロースアセテートフィルム
(全体の厚さ:100μm)を製造した。
【0038】[フィルムの評価]各セルロースアセテー
トフィルムについて、以下のようにして表面の平滑度を
評価した。フィルム表面を光学顕微鏡(50倍)で観察
して、直径が0.01mm以上の突起の数を測定した。
得られた結果をまとめて表3に示す。
【0039】
【表3】 表3 ───────────────────────────────── 突起の数(1cm2 当たり) ───────────────────────────────── 実施例1 0個 比較例1 500個 ───────────────────────────────── 実施例2 0個 比較例2 800個 ─────────────────────────────────
【0040】表3に示した結果から明らかなように、表
面層用ドープを絶対濾過精度0.005mm以下の濾材
で濾過して製造した本発明の三層構造のセルロースアセ
テートフィルム(実施例1、2)はいずれも、フィルム
表面に直径0.01mm以上の突起は全く発生せず、従
来の単層構造のフィルム(比較例1、2)と比較しても
突起が顕著に減少しており、従って平滑度の非常に高い
表面を有していた。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、セルロースエステルフ
ィルムの表面付近のみを高精度濾過した溶液を用いて形
成することにより、生産性をそれほど低下させずに、不
溶物などの微小な異物の混入を防いでフィルム表面の平
滑度を顕著に高めることができる。特に、低粘度の溶液
を高精度濾過することにより濾過工程に大きな負荷をか
けることなく、表面平滑度が極めて向上したセルロース
エステルフィルムを得ることができる。これにより、光
学特性、積層特性、ロールから巻き出す際の操作性など
のセルロースエステルフィルムの諸特性を改善すること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29L 9:00 11:00

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィルタを用いて濾過したセルロースエ
    ステル溶液から形成したセルロースエステル基体フィル
    ムの少なくとも一方の表面に、上記のフィルタよりも濾
    過精度の高いフィルタを用いて濾過したセルロースエス
    テル層が、セルロースエステル基体フィルムとの間に境
    界面を形成することなく積層されていることを特徴とす
    る高表面平滑性のセルロースエステルフィルム積層体。
  2. 【請求項2】 セルロースエステル基体フィルム形成用
    のセルロースエステル溶液の濾過に用いたフィルタの絶
    対濾過精度が0.005mm以上で、0.1mm以下で
    あり、セルロースエステル層形成用のセルロースエステ
    ル溶液の濾過に用いたフィルタの絶対濾過精度が0.0
    05mm未満、0.0005mm以上である請求項1に
    記載のセルロースエステルフィルム積層体。
  3. 【請求項3】 セルロースエステル基体フィルム形成用
    のセルロースエステル溶液の濾過に用いたフィルタの絶
    対濾過精度に対する、セルロースエステル層形成用のセ
    ルロースエステル溶液の濾過に用いたフィルタの絶対濾
    過精度の比が前者100に対して5乃至50である請求
    項1及び2のうちのいずれかの項に記載のセルロースエ
    ステルフィルム積層体。
  4. 【請求項4】 セルロースエステル基体フィルム形成用
    のセルロースエステルと、セルロースエステル層形成用
    のセルロースエステルが共にセルローストリアセテート
    である請求項1乃至3のうちのいずれかの項に記載のセ
    ルロースエステルフィルム積層体。
  5. 【請求項5】 上記セルロースエステル基体フィルムの
    両側の表面に上記セルロースエステル層が積層されてな
    る請求項1乃至4のうちのいずれかの項に記載のセルロ
    ースエステルフィルム積層体。
  6. 【請求項6】 液晶表示装置の偏光板の保護フィルム用
    である請求項1乃至5のうちのいずれかの項に記載のセ
    ルロースエステルフィルム積層体。
  7. 【請求項7】 フィルタを用いて濾過したセルロースエ
    ステル溶液と上記フィルタよりも濾過精度の高いフィル
    タを用いて濾過したセルロースエステル溶液とを仮支持
    体の表面に同時流延法により塗布し、乾燥後、その乾燥
    膜を仮支持体から剥ぎ取ることを特徴とする高表面平滑
    性のセルロースエステルフィルム積層体の製造法。
  8. 【請求項8】 前者のセルロースエステル溶液の濾過に
    絶対濾過精度が0.005mm以上で、0.1mm以下
    のフィルタを用い、後者のセルロースエステル層形成用
    のセルロースエステル溶液の濾過に絶対濾過精度が0.
    005mm未満、0.0005mm以上であるフィルタ
    を用いることを特徴とする請求項7に記載のセルロース
    エステルフィルム積層体の製造法。
  9. 【請求項9】 後者のセルロースエステル溶液の粘度が
    後者のセルロースエステル溶液の粘度よりも低いことを
    特徴とする請求項7及び8のうちのいずれかの項に記載
    のセルロースエステルフィルム積層体の製造法。
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