JP3910306B2 - 溶液製膜方法および減圧チャンバ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に光学用途の樹脂フィルムの製造に適した溶液製膜方法およびその方法に用いる減圧チャンバに関する。
【0002】
【従来の技術】
薄膜の透明プラスチックフィルム(樹脂フィルム)は近年、液晶ディスプレイの偏光板の保護膜、位相差板等の光学補償フィルム、プラスチック基板、写真用支持体、あるいは動画用セルや光学フィルタ、さらにはOHPフィルムなどの光学材料として需要が増大している。
【0003】
特に最近、液晶ディスプレイは、その品質が向上したこと、および軽量で携帯性に優れていることから、パーソナルコンピュータやワードプロセッサ、携帯用端末、テレビジョン、さらにはデジタルスチルカメラやムービーカメラなどに広く使用されているが、この液晶ディスプレイには画像表示のために偏光板が必須となっている。そして、液晶ディスプレイの品質の向上に合わせて、偏光板の品質向上が要求され、それと共に偏光板の保護膜である透明樹脂フィルムも、より高品質であることが要望されている。
【0004】
偏光板の保護膜などの光学用途フィルムについては、解像力やコントラストの表示品位から高透明性、低光学異方性、平面性、易表面処理性、高耐久性(寸度安定性、耐湿熱性、耐水性)、フィルム内および表面に異物がないこと、表面に傷がなく、かつ傷が付きにくいこと(耐傷性)、適度のフィルム剛性を有すること(取扱い性)、そして適度の透水性など種々の特性を備えていることが必要であるとされている。
【0005】
これらの特性を有する樹脂フィルムとしては、セルロースエステル、ノルボルネン樹脂、アクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂などからなるフィルムがあるが、生産性や材料価格等の点からセルロースエステルが主に使用されている。特にセルローストリアセテートのフィルムは、極めて高い透明性を有しかつ、光学異方性が小さく、レターデーションが低いことから光学用途に特に有利に用いられている。
【0006】
これらの樹脂フィルムを製膜する方法としては、溶液製膜法、溶融製膜法および圧延法など各種の製膜技術が利用可能であるが、良好な平面性および低光学異方性を得るためには、溶液製膜法が特に適している。溶液製膜法は、原料フレークを溶剤に溶解し、これに必要に応じて可塑剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、滑り剤、剥離促進剤等の各種の添加剤を加えた溶液(ドープと称する)とし、このドープを水平式のエンドレスの金属ベルトまたは回転するドラムなどの支持体の上に、ドープ供給手段(ダイと称する)により流延した後、支持体上である程度まで乾燥し、これにより剛性が付与された自己支持性フィルムを支持体から剥離し、次いで各種の搬送手段により乾燥部を通過させて溶剤を除去することからなる方法である。
【0007】
樹脂フィルムを光学的用途に用いる場合には、前述の諸特性が優れていることは当然必要であるが、さらにフィルム全体の厚みの均一性が高いことが必要となる。すなわち、フィルム全体の厚みに「むら」がある場合には、そのむらの部分で光学的特性に「むら」が発生するため、光学的フィルムとしては問題となることが多い。
【0008】
すなわち、製膜したプラスチックフィルムの表面には、上記光学用途に適するようにハードコート処理、アンチグレア処理、反射防止処理、耐汚染処理などが施される。たとえば、反射防止機能を付与するためにアンチグレア層用の塗布液を塗布する際に、プラスチックフィルムに厚みムラがあると、それに起因して塗布ムラが発生して、フィルムの機能性を阻害したり、外観価値を低下させがちである。
【0009】
一方、プラスチックフィルムの生産性を高めるために、上記溶液製膜法では支持体上にドープをダイにより流延する際に、流延ダイの後方から流延部分を減圧チャンバを用いて減圧吸引する方法が利用されている。すなわち、樹脂溶液を流延ダイの先端から膜状に押出し、その流延ダイの先端の下方の僅かに離れた位置を通って移動する仮支持体上に流延させるに際して、膜状に押出された樹脂溶液の仮支持体に接触する側の表面を、減圧吸引用のブロワに吸引ダクトを介して接続している減圧チャンバにより減圧吸引する操作を含む溶液製膜方法である。
【0010】
上記の溶液製膜方法では、減圧チャンバ内部の気柱振動や、減圧吸引のためのブロワの風圧振動、減圧チャンバとブロワを連結する吸引ダクトの気柱振動がチャンバ内に発生または伝達して、ダイから吐出したドープを振動させるために、製膜したフィルムの長手方向には連続的かつ周期的な厚みムラが発生しがちである。なお、特公昭49−36946号公報には支持体と流延された液体組成物流とを密接に接触させるために、二個の吸引室を有する減圧チャンバを用いる溶融製膜方法および装置が記載されている。また、特公昭62−38133号公報には空気の乱流を防いでビード安定性を向上させるために、二個の減圧チャンバを備えた装置が記載されている。しかしながら、いずれの装置においても、減圧チャンバ内に振動の抑制が不充分で、最終的に得られる樹脂フィルムの厚みムラを充分に解消することはできない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明は、減圧チャンバを用いる溶液製膜法の実施に際して発生しやすい減圧チャンバ内の圧力振動を軽減して、この圧力振動に起因して、最終的に得られる樹脂フィルムんに発生しやすい厚みムラを顕著に低減することのできる溶液製膜方法を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、樹脂溶液を流延ダイの先端から膜状に押出し、その流延ダイの先端の下方の僅かに離れた位置を通って移動する仮支持体上に流延させるに際して、膜状に押出された樹脂溶液の仮支持体に接触する側の表面を、減圧吸引用のブロワに吸引ダクトを介して接続している減圧チャンバにより減圧吸引する操作を含む溶液製膜方法において、該吸引ダクトの途中に、減圧チャンバの容量の10倍以上の容量を持つバッファタンクを設けて、減圧チャンバでの減圧吸引操作における圧力振動を抑制することにより、厚み精度の向上した膜を製造することを特徴とする溶液製膜方法にある。この吸引ダクトの途中には更に、先端が閉塞した分岐管が備えられている。
【0013】
本発明はまた、樹脂溶液を流延ダイの先端から膜状に押出し、その流延ダイの先端の下方の僅かに離れた位置を通って移動する仮支持体上に流延させるに際して、膜状に押出された樹脂溶液の仮支持体に接触する側の表面を、減圧吸引用のブロワに吸引ダクトを介して接続している減圧チャンバにより減圧吸引する操作を含む溶液製膜方法において、該吸引ダクトの途中に先端が閉塞した分岐管を設けて、減圧チャンバでの減圧吸引操作における圧力振動を抑制することによって、厚み精度の向上した膜を製造することを特徴とする溶液製膜方法にもある。
【0014】
本発明はまた、上記のいずれかの溶液製膜方法を利用して製造した樹脂フィルムであって、そのフィルムの長手方向のピッチが5〜50mmの範囲の厚みムラが、ピッチをamm、そして厚みの凹凸の最大部と最小部の差をbμmとしたときの2b/aで表わされる数値が0.1以下であるフィルムにもある。
【0015】
本発明はまた、樹脂溶液を流延ダイの先端から膜状に押出し、その流延ダイの先端の下方の僅かに離れた位置を通って移動する仮支持体上に流延させるに際して、膜状に押出された樹脂溶液の仮支持体に接触する側の表面を減圧吸引するための減圧チャンバであって、該減圧チャンバが、減圧吸引用のブロワに吸引ダクトを介して接続していて、かつ該吸引ダクトの途中に、該減圧チャンバの容量の10倍以上の容量を持つバッファタンクが設けられていることを特徴とする減圧チャンバにもある。この吸引ダクトには更に、先端が閉塞した分岐管が備えられている。
【0016】
本発明はまた、樹脂溶液を流延ダイの先端から膜状に押出し、その流延ダイの先端の下方の僅かに離れた位置を通って移動する仮支持体上に流延させるに際して、膜状に押出された樹脂溶液の仮支持体に接触する側の表面を減圧吸引するための減圧チャンバであって、該減圧チャンバが、減圧吸引用のブロワに吸引ダクトを介して接続していて、かつ該吸引ダクトの途中に先端が閉塞した分岐管が設けられていることを特徴とする減圧チャンバにもある。
【0017】
以下に、本発明の好ましい態様を挙げる。
(1)バッファタンクの容量が減圧チャンバの容量の10〜100倍の範囲にある。
(2)閉塞分岐管の径が吸引ダクトの径の0.5〜1.0倍の範囲にある。
(3)流延ダイが単層用ダイであり、そして単層のフィルムを製膜する溶液製膜方法。
(4)流延ダイが多層用の共流延ダイであり、そして二層以上のフィルムを同時に製膜する溶液製膜方法。
(5)支持体が連続したバンドもしくはドラムである溶液製膜方法。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の溶液製膜方法に用いる装置の代表的な例について、公知の装置における流延部を示す図1、そして本発明に従う装置の流延部を示す図2〜5、そして流延ダイの構造を示す図6を参照しながら説明する。
【0019】
従来の方法に従う図1の装置の流延部は、流延ダイ1(図1では単層流延ダイが示されている)、流延ダイ1の後方(流延ダイから押出された樹脂溶液膜の仮支持体に接する表面の近傍)に設けられた減圧チャンバ2、減圧チャンバ2と減圧吸引するためのブロワ4とを連結している吸引ダクト3、および流延バンド(仮支持体)7から構成されている。
【0020】
一方、本発明に従う溶液製膜装置の流延部では、図2に示すように、流延ダイ(単層流延ダイが示されている)1、流延ダイ1の後方(流延ダイから押出された樹脂溶液膜の仮支持体に接する表面の近傍)に設けられた減圧チャンバ2、減圧チャンバ2と減圧吸引するためのブロワ4とを連結している吸引ダクト3、吸引ダクト3の途中に設けられた、減圧チャンバの容量の10倍以上の高容量のバッファタンク5、および流延バンド(仮支持体)7から構成されている。
【0021】
図3も、本発明に従う溶液製膜装置の流延部の構成を示しており、吸引ダクト3の途中にバッファタンク5の代わりに先端が閉塞している分岐管(サイドブランチ)6が設けられた構成からなる。
【0022】
図4は、吸引ダクト3の途中にバッファタンク5および閉塞分岐管(サイドブランチ)6が設けられた本発明に従う装置の流延部である。
【0023】
図5は、吸引ダクト3の途中にバッファタンク5および閉塞分岐管(サイドブランチ)6が設けられ、また支持体としてドラム8および流延ダイとして特に多層用の共流延ダイ9が設置された本発明に従う装置の流延部である。
【0024】
以下に、本発明の溶液製膜方法について詳細に説明する。
本発明の溶液製膜方法に用いる原料樹脂(ポリマー)の例としては、セルロースの低級脂肪酸エステル(例、セルローストリアセテート)、ポリオレフィン類(例、ノルボルネン系ポリマー)、ポリアミド類(例、芳香族ポリアミド)、ポリスルホン類、ポリエーテル類(ポリエーテルスルホン類やポリエーテルケトン類を含む)、ポリスチレン類、ポリカーボネート類、ポリアクリル酸類、ポリアクリルアミド類、ポリメタクリル酸類(例、ポリメチルメタクリレート)、ポリメタクリルアミド類、ポリビニルアルコール類、ポリウレア類、ポリエステル類、ポリウレタン類、ポリイミド類、ポリビニルアセテート類、ポリビニルアセタール類(例、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール)、およびタンパク質(例、ゼラチン)を挙げることができる。これらのうちで、光学用途フィルムの原料として好ましいのはセルロースの低級脂肪酸エステルであり、特に好ましくはセルローストリアセテートである。
【0025】
まず、これらの原料ポリマーを適当な有機溶媒に溶解して、ポリマー溶液(ドープ)を調製する。有機溶媒の例としては、ハロゲン化アルキル(メチレンクロライド等)、アルコール類(メタノール、エタノール、ブタノール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、エステル類(ギ酸メチル、酢酸メチル等)、エーテル類(ジオキサン、ジエチルエーテル等)、炭化水素(ベンゼン、ヘキサン等)を挙げることができる。ポリマー溶液にはさらに、必要に応じて可塑剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、滑り剤、剥離促進剤など公知の各種の添加剤を添加してもよい。
【0026】
次に、このポリマー溶液(ドープ)を流延ダイを用いて支持体上に流延する。たとえば、図4に示した装置を用いる場合には、単層用の流延ダイ1からドープを、図の右方向に一定速度で移動している流延バンド(仮支持体)7上に吐出させて流延させる。同時に、流延ダイ1の後方に配置された減圧チャンバ2により流延部分を減圧吸引して、流延バンド7に流延した膜を密着させる。流延部分の減圧吸引は、減圧チャンバ2に連結している吸引ダクト3、並び吸引ダクト3の途中に設けられたバッファタンク5およびサイドブランチ6を介して、吸引ダクト3のもう一方の端部に連結しているブロワ4により行われる。
【0027】
本発明の特徴的な要件であるバッファタンクは、発生する振動を効果的に減衰させるためには減圧チャンバの容量の10〜100倍の容量を有することが好ましい。特に、好ましくは、30〜50倍の容量である。なお、減圧チャンバの容量は通常、30〜100Lである。また、バッファタンクは減圧チャンバとブロワとを連結する吸引ダクトの任意の位置に設けることができるが、サイドブランチを同時に設ける場合には図4に示したように、バッファタンクはブロワ側に、サイドブランチは減圧チャンバ側に設けるのが好ましい。バッファタンクは、装置のスペースの都合上、吸引ダクトに直列に複数個以上設けてもよく、その場合にはバッファタンクの総容量が減圧チャンバの容量の10〜100倍の範囲となるようにする。
【0028】
上記のバッファタンクは、先端が閉じられた分岐管(サイドブランチ)に置き替えることもできる。この分岐管は、図3〜5に示すように吸引ダクト3から分岐して設けてもよいが、振動源が減圧チャンバにある場合には減圧チャンバ2に取り付けてもよい。吸引ダクトに取り付ける場合には、吸引ダクトの任意の位置に設けることができるが、振動の腹の位置(振動が最大の位置)に設けるのが好ましい。サイドブランチの径は吸引ダクトの径の0.5倍以上であることが好ましく、0.5倍より小さいと効果が低くなる。また、スペースの許す範囲で径は大きい方が好ましいが、通常は1.0倍程度となる。
【0029】
分岐管の長さは、振動の周波数あるいは下記に示すようにフィルムの厚みムラの周波数に応じて決めることができるが、一般には50〜1000cmの範囲にある。また、分岐管は長さの異なるものを複数個設けてもよく、その場合には異なる周波数の振動を減衰させることができる。また、分岐管の長さを可変にしてもよく、そのような方法により、製膜の際に除去すべき周波数を選択することができる。たとえば、改善しようとするフィルムの厚みムラの周波数に対応するように、下記の式に従って分岐管の長さを随時変えることが可能となる。
L=C/4f(L:サイドブランチ長、C:音速、f:厚みムラの周波数)
【0030】
図1に示した従来の装置では、減圧チャンバ2や吸引ダクト3の形状によって決まる気柱振動や、ブロワ4の風圧振動が減圧チャンバ2に伝達されていたが、本発明に従うバッファタンクおよび/または分岐管を設けることにより、これらの振動を顕著に減衰させることができる。特に、バッファタンクは全周波数帯域に渡る振動を減衰させるのに有効であり、一方、分岐管は特定周波数の振動を減衰させるのに有効である。
【0031】
本発明の流延操作において用いる流延ダイは、単層用のダイでもよいし、あるいは多層用の共流延ダイでもよい。図6に、本発明に用いることができる流延ダイの例を示す。
【0032】
図6において、流延ダイ1はマニホールド11が設けられた単層用のダイである。また、流延ダイ9および10はいずれも多層用の共流延ダイであり、流延ダイ9はマニホールドが複数ある方式のもの(マルチマニホールド型)、流延ダイ10はダイの入口にフィードブロックを設けてダイの入口で各ドープを合流させる方式のもの(フィードブロック型)である。また、流延ダイ1の内部の形状はコートハンガーダイであるが、Tダイなど他の形状であってもよい。
【0033】
仮支持体は、表面が鏡面処理された連続の金属性バンドであってもよいし、あるいは冷却ドラム等の回転ドラム(図5参照)であってもよい。
【0034】
なお、本発明において樹脂溶液の流延に用いることができる装置は図2〜5および6に示した装置に限定されるものでなく、減圧チャンバを使用する装置であればどのような装置であってもバッファタンクおよび/または分岐管(サイドブランチ)を付設することにより、本発明を実施することができる。
【0035】
次いで、流延バンド上である程度乾燥して剛性が付与された流延膜を流延バンドから剥離した後、適当な搬送手段により乾燥部を通過させて溶媒を除去する。このようにして、製膜したフィルムを得ることができる。
【0036】
本発明の方法により製膜したフィルムは、フィルムの長手方向のピッチが5〜50mmの範囲の段状の厚みムラについて、ピッチをamm、厚みの凹凸の最大部と最小部の差をbμmとしたとき、2b/aの値として0.1以下を示すものであることが好ましい。なお、厚みムラの程度を表す2b/aの値が0.1以下である場合には、フィルム上に塗布しても塗布ムラは目視では殆ど見えないが、0.15以上では塗布ムラは弱いが見えるようになり、さらに0.2以上でははっきりと見えるようになる。従って、本発明においては2b/aが0.1以下であることにより、フィルム上に別の層を塗布した場合に塗布ムラの発生を防いでフィルムの外観価値や機能性を維持することができる。
【0037】
フィルムの厚みは、フィルムの原料や用途などによっても異なるが、一般には20〜500μmの範囲にあり、好ましくは30〜300μmの範囲である。
【0038】
【実施例】
[実施例1]
下記の組成のドープを調製した。
セルローストリアセテート 100重量部
トリフェニルフォスフェート 10重量部
ビフェニルジフェニルフォスフェート 5重量部
メチレンクロライド 400重量部
メタノール 70重量部
ブタノール 2重量部
調製したドープを、減圧チャンバの30倍の容量のバッファタンクが設けられた装置(図2参照)を用いて支持体上に流延した後、支持体から剥離し乾燥して、本発明の単層のフィルム(厚み:80μm)を製膜した。
【0039】
[実施例2〜5]
実施例1において、図4の装置を用い、バッファタンクの容量及び/又はサイドブランチ(長さ:300cm)の径を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、本発明の単層のフィルムを製膜した。
【0040】
[比較例1]
実施例1において、図2の装置の代りに、バッファタンクが設けられていない従来の装置(図5参照)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較のための単層のフィルムを製膜した。
【0041】
[比較例2]
実施例1において、バッファタンクの容量を減圧チャンバの5倍に変更したこと以外は実施例1と同様にして、比較のための単層のフィルムを製膜した。
【0042】
[実施例6]
実施例1と同様の組成の主流ドープを調製した。
また、下記の組成の副流ドープを調製した。
セルローストリアセテート 100重量部
トリフェニルフォスフェート 10重量部
ビフェニルジフェニルフォスフェート 5重量部
メチレンクロライド 500重量部
メタノール 90重量部
ブタノール 3重量部
調製した各ドープを、減圧チャンバの50倍の容量のバッファタンクおよび10cm径のサイドブランチが設けられた装置(図5参照)を用いて支持体上に共流延した後、支持体から剥離し乾燥して、本発明の三層のフィルム(上下の副流層の厚み:各2μm、中間の主流層の厚み:76μm)を製膜した。
【0043】
[比較例3]
実施例6において、バッファタンクおよびサイドブランチが設けられていない従来の装置(図1)を用いたこと以外は実施例6と同様にして、比較のための三層のフィルムを製膜した。
なお、上記の各例において、減圧チャンバの減圧度は流延速度に応じて−3〜−30mmAqの範囲で行い、装置の吸引ダクトの径は10cmであった。
【0044】
[フィルムの評価]
得られた各フィルムについて、2b/a(a:長手方向の厚みムラのピッチ(mm)、b:厚みの凹凸の最大部と最小部の差(μm))を測定した。
また、各フィルムの表面にアンチグレア層用の塗布液を塗布した後乾燥して、アンチグレア層表面の塗布ムラを目視により観察した。
得られた結果を表1にまとめて示す。
【0045】
【表1】
Figure 0003910306
【0046】
表1に示した結果から明らかなように、本発明の方法に従ってバッファタンクおよび/または分岐管(サイドブランチ)が設けられた装置を用いて製膜した単層フィルム(実施例1〜5)はいずれも2b/aが0.1以下を示して、従来公知の方法により製膜したフィルム(比較例1)に比べて、また低容量のバッファタンクを用いて製膜したフィルム(比較例2)に較べても、厚みムラが著しく減少し、そして塗布ムラも目視では観察できないほど顕著に低減したことが明らかである。
【0047】
また、三層を共流延した場合であっても本発明の方法により製膜したフィルム(実施例6)は、従来公知の方法により製膜したフィルム(比較例3)と比較して、厚みムラが著しく減少し、そして塗布ムラも目視では観察できないほど顕著に低減した。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、支持体上の流延部分を減圧チャンバにより減圧吸引する際にバッファタンクおよび/または分岐管(サイドブランチ)を備えた減圧チャンバを用いることにより、減圧チャンバ内の圧力(気圧)の振動を減衰させて、製膜したフィルムの厚みムラを顕著に軽減することができる。そして、この厚みムラに起因する塗布ムラを低減することができ、フィルムの外観価値や機能性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の溶液製膜装置の流延部を示す概略側面図である。
【図2】本発明の溶液製膜方法に用いる装置の流延部の一例を示す概略側面図である。
【図3】本発明の溶液製膜方法に用いる装置の流延部の別例を示す概略側面図である。
【図4】本発明の溶液製膜方法に用いる装置の流延部の別例を示す概略側面図である。
【図5】本発明の溶液製膜方法に用いる装置の流延部の別例を示す概略側面図である。
【図6】本発明の溶液製膜方法に用いる流延ダイの例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 流延ダイ
2 減圧チャンバ
3 吸引ダクト
4 ブロワ
5 バッファタンク
6 サイドブランチ(閉塞分岐管)
7 流延バンド
8 流延ドラム
9 共流延ダイ(マルチマニホールド型)
10 共流延ダイ(フィードブロック型)
11 マニホールド

Claims (6)

  1. 樹脂溶液を流延ダイの先端から膜状に押出し、その流延ダイの先端の下方の僅かに離れた位置を通って移動する仮支持体上に流延させるに際して、膜状に押出された樹脂溶液の仮支持体に接触する側の表面を、減圧吸引用のブロワに吸引ダクトを介して接続している減圧チャンバにより減圧吸引する操作を含む溶液製膜方法において、該吸引ダクトの途中に、減圧チャンバの容量の10倍以上の容量を持つバッファタンクを設け、該吸引ダクトの途中に更に、先端が閉塞した分岐管を備えて、減圧チャンバでの減圧吸引操作における圧力振動を抑制することを特徴とする溶液製膜方法。
  2. バッファタンクの容量が減圧チャンバの容量の10〜100倍である請求項1に記載の溶液製膜方法。
  3. 樹脂溶液を流延ダイの先端から膜状に押出し、その流延ダイの先端の下方の僅かに離れた位置を通って移動する仮支持体上に流延させるに際して、膜状に押出された樹脂溶液の仮支持体に接触する側の表面を、減圧吸引用のブロワに吸引ダクトを介して接続している減圧チャンバにより減圧吸引する操作を含む溶液製膜方法において、該吸引ダクトの途中に先端が閉塞した分岐管を設けて、減圧チャンバでの減圧吸引操作における圧力振動を抑制することを特徴とする溶液製膜方法。
  4. 該分岐管の径が吸引ダクトの径の0.5〜1.0倍の範囲にある請求項3に記載の溶液製膜方法。
  5. 樹脂溶液を流延ダイの先端から膜状に押出し、その流延ダイの先端の下方の僅かに離れた位置を通って移動する仮支持体上に流延させるに際して、膜状に押出された樹脂溶液の仮支持体に接触する側の表面を減圧吸引するための減圧チャンバであって、該減圧チャンバが、減圧吸引用のブロワに吸引ダクトを介して接続していて、かつ該吸引ダクトの途中に、減圧チャンバの容量の10倍以上の容量を持つバッファタンクが設けられ、該吸引ダクトに更に、先端が閉塞した分岐管が備えられていることを特徴とする減圧チャンバ。
  6. 樹脂溶液を流延ダイの先端から膜状に押出し、その流延ダイの先端の下方の僅かに離れた位置を通って移動する仮支持体上に流延させるに際して、膜状に押出された樹脂溶液の仮支持体に接触する側の表面を減圧吸引するための減圧チャンバであって、該減圧チャンバが、減圧吸引用のブロワに吸引ダクトを介して接続していて、かつ該吸引ダクトの途中に先端が閉塞した分岐管が設けられていることを特徴とする減圧チャンバ。
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