JP2005193692A - 溶液製膜方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 流延方向の厚みムラを発生させることなく、膜厚が均一で表面平滑性に優れた薄手のフイルムを製膜する。
【解決手段】 セルローストリアセテート、添加剤などの固形分の濃度が13〜25重量%のドープを流延ダイ15から流延ベルト20上に流延する。流延速度は、40m/分以上の高速流延とする。ドープから形成されたビード23aの正面側の圧力P0と背面側の圧力Pbとの差圧を10Pa≦(P0−Pb)≦1000Paとする。その差圧によりビード23aのビード長L1を4〜20mmの長さに制御することができる。このビード23aを流延した流延膜23bをフイルムとして流延ベルト20から剥ぎ取る。膜厚が、35〜120μmの薄手のフイルムを製膜することができ、そのフイルムは膜厚が均一で表面平滑性に優れている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、溶液製膜方法に関する。
透明プラスチックフィルムは近年、液晶ディスプレイの偏光板の保護膜、位相差板等の光学補償フィルム、プラスチック基板、写真用支持体、あるいは動画用セルや光学フィルタ、さらにはOHPフィルムなどの光学材料として需要が増大している。
特に最近、液晶ディスプレイは、その品質が向上したこと、および軽量で携帯性に優れていることから、パーソナルコンピュータやワードプロセッサ、携帯用端末、テレビジョン、さらにはデジタルスチルカメラやムービーカメラなどに広く使用されている。この液晶ディスプレイには画像表示のために偏光板が必須となっている。そして、液晶ディスプレイの品質の向上に合わせて、偏光板の品質向上が要求されている。それと共に偏光板の保護膜である透明プラスチックフィルムも、より高品質であることが要望されている。
偏光板の保護膜などの光学用途フィルムについては、解像力やコントラストの表示品位から高透明性、低光学異方性、平面性、易表面処理性、高耐久性(寸度安定性、耐湿熱性、耐水性)、フィルム内および表面に異物がないこと、表面に傷がなく、かつ傷が付きにくいこと(耐傷性)、適度のフィルム剛性を有すること(取扱い性)、そして適度の透水性など種々の特性を備えていることが必要である。
これらの特性を有するフィルムの原料は、セルロースエステル類、ノルボルネン樹脂、アクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられるが、生産性や材料価格等の点からセルロースエステルが主に使用されている。特にセルローストリアセテートのフィルムは、極めて高い透明性を有し、かつ光学異方性が小さく、レターデーションが低いことから光学用途に特に有利に用いられている。
これらのフィルムを製膜する方法としては、溶液製膜法、溶融製膜法および圧延法など各種の製膜技術が利用可能である。しかし、良好な平面性および低光学異方性を得るためには、溶液製膜法が特に適している。溶液製膜法は、高分子材料を溶媒に溶解した溶液(以下、ドープと称する)を流延ダイより、溶液膜(以下、ビードと総称する)を形成して支持体(例えば、流延ベルトや回転ドラムなど)上に流延して、乾燥、剥離してフィルムを得る方法である。この方法で製造されるフィルムは、溶融押出法で得られるフィルムに比べ、光学等方性、厚み均一性に優れ、また異物も少ないため、偏光板保護フィルム、位相差フィルム、透明導電性フィルムなどのオプト・エレクトロニクス製品の用途として利用されている。
溶液製膜法において、製膜されるフィルムの膜厚の均一性や表面平滑性は、前述したドープから形成されたビードの形態に影響される。そのため、流延速度を40m/分以上にした高速流延によりフィルムを製膜する際には、流延ダイの後方に減圧室を設けてビードの背面側を減圧にする。ビード背面側を減圧にするとビードの形態を良好なものにでき、さらにビードに空気が同伴されるのを防ぎ、製膜されるフィルムの膜厚を均一にすることができる。
ビードを更に好ましい形態にする方法として、流延ダイのスリットから押し出されたビードの長さ(以下、ビード長と称する。このビード長の定義については後述する。)を、3mm〜40mmにして高速流延によりフィルムの製膜を行なうことが知られている(例えば、特許文献1参照。)これにより、膜厚が均一で表面平滑性に優れたフィルムが高速流延により得られている。
特開2001−018241号公報に
しかしながら、近年のオプト・エレクトロニクス製品の小型化、軽量化に伴い、その製品を構成している各種のフィルムの薄膜化も強く要求されている。高速流延により35μm〜120μmの膜厚のフィルム(以下、薄手のフィルムと称する)を製膜する際に、前述した公報に記載されているようにビード長のみを制御しても、薄手のフィルムの製膜には、通常のフィルム(例えば、200μm〜300μmの膜厚のフィルム)の製膜と比較して、減圧室へ入り込む風の外乱や空気圧振動の影響を受けやすいため、厚みムラが発生しやすい問題が生じていた。
また、減圧室を設けてビード背面側を減圧することにより、減圧室への流入風や空気圧振動によって、ビードが自励振動を起こし、フィルムの流延方向(以下、長手方向と称する場合もある)にも、周期的な厚みムラが生じる問題もあった。そこで、減圧を過剰に行ないビード長を短くすると、フィルムの流延方向における厚みムラのピッチが小さくなり、微小な厚みムラでも目立つ問題があった。
さらに薄手のフィルムを製膜する際には、
(1)ドープの質量が軽い分、空気圧変動等の影響を受けやすい。
(2)ビードから形成された流延膜が、通常の流延膜に比べて薄く流延膜中の溶媒が直ちに乾燥してしまうために、フィルムが形成される際のレベリング効果が小さく、フィルムの厚みムラが発生しやすい。
(3)製膜されたフィルムの深さ方向に厚みムラが生じると、そのフィルムが薄いためにフィルム全体として厚みムラの割合が大きくなる。
等の理由により、形成されたビードの形態により製膜されるフィルムの膜厚や表面平滑性などの欠陥が顕著となり、形成されるビードのより精密な制御が必要となってきていた。
本発明の目的は、流延方向の厚みムラを発生させることなく、膜厚が均一で表面平滑性に優れた薄手のフィルムの溶液製膜方法を提供することにある。
本発明の溶液製膜方法は、ポリマーを含む固形分を溶媒に溶解させてドープを調製し、前記ドープを流延ダイからビードとして流延し、フィルムを製膜する溶液製膜方法において、前記ドープの固形分濃度を13重量%以上25重量%以下とし、前記ビードのビード長L1を4mm以上20mm以下とし、前記ビードの背面側に前記ビードの形態を安定化するための減圧チャンバを用い、前記減圧チャンバと前記減圧チャンバを減圧とするポンプとの間に前記減圧チャンバのバッファを設け、前記バッファで前記減圧チャンバの減圧度を制御して、前記ビードの形態を安定化し、35μm以上120μm以下の厚みのフィルムを製造する。前記流延ダイで前記ドープを通過させるスロットの幅L3(mm)を1mm以上10mm以下とし、前記ビードの形態を安定化させることが好ましい。
本発明の溶液製膜方法は、ポリマーを含む固形分を溶媒に溶解させてドープを調製し、前記ドープを流延ダイからビードとして流延し、フィルムを製膜する溶液製膜方法において、前記ドープの固形分濃度を13重量%以上25重量%以下とし、前記ビードのビード長L1を4mm以上20mm以下とし、前記流延ダイで前記ドープを通過させるスロットの幅L3(mm)を1mm以上10mm以下とすることにより、前記ビードの形態を安定化し、35μm以上120μm以下の厚みのフィルムを製造する。
本発明の溶液製膜方法によれば、ポリマーを含む固形分を溶媒に溶解させてドープを調製し、前記ドープを流延ダイからビードとして流延し、フィルムを製膜する溶液製膜方法において、前記ドープの固形分濃度を13重量%以上25重量%以下とし、前記ビードのビード長L1を4mm以上20mm以下とし、
(1)前記ビードの背面側に前記ビードの形態を安定化するための減圧チャンバを用い、前記減圧チャンバと前記減圧チャンバを減圧とするポンプとの間に前記減圧チャンバのバッファを設け、前記バッファで前記減圧チャンバの減圧度を制御する。
(2)前記流延ダイで前記ドープを通過させるスロットの幅L3(mm)を1mm以上10mm以下とする。
前記いずれかを行うことで、前記ビードの形態を安定化され、流延工程における形成されたビードの不安定化、またそれに起因するフィルムの流延方向の厚みムラを発生させることなく、表面平滑性、厚み均一性に優れた35μm以上120μm以下の厚みの薄手のフィルムを製膜することが可能となった。
[溶媒]
本発明の溶液製膜方法に用いられるドープを調製するための溶媒は、公知のいずれの溶媒をも用いることができる。特には、メチレンクロライド(ジクロルメタン)などのハロゲン化炭化水素類、エステル類、エーテル類、アルコール類、ケトン類などが好ましく用いられるが、これらに限定されるものではない。また、これら溶媒を複数混合させた溶媒からドープを調製し、そのドープからフィルムを製膜することもできる。
[ポリマー]
本発明に用いられるポリマーは特に限定されるものではない。しかしながら、セルロースアシレートを用いることが好ましく、特に酢化度59.0%〜62.5%のセルローストリアセテート(以下、TACと称する)を用いることがより好ましい。TACから製膜されたTACフィルムを用いて構成された光学用フィルム、偏光板、液晶表示板は、光学特性の機能、寸法の安定性に特に優れている。
[添加剤]
ドープには、公知の添加剤のいずれをも添加させること可能である。添加剤としては、可塑剤、紫外線吸収剤、マット剤などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらの添加剤は、ドープを調製する際に同時に混合することも可能である。また、ドープを調製した後、移送する際に静止型混合器などを用いてインライン混合することも可能である。なお、本発明において前述したポリマーと添加剤とを併せて「固形分」と称する。
[ドープの調製]
前述した固形分(ポリマー及び添加剤)を前述した溶媒に仕込んだ後に、公知のいずれかの溶解方法により溶解させドープを調製する。このドープは濾過により異物を除去することが一般的である。濾過には濾紙、濾布、不織布、金属メッシュ、焼結金属、多孔板などの公知の各種濾材を用いることが可能である。濾過することにより、ドープ中の異物,未溶解物を除去することができ、製品フィルム中の異物による欠陥を軽減することができる。
また、一度溶解したドープを加熱して、さらに溶解度の向上を図ることもできる。加熱には静置したタンク内で撹拌しながら加熱する方法、多管式、静止型混合器付きジャケット配管等の各種熱交換器を用いてドープを移送しながら加熱する方法などがある。また、加熱工程の後に冷却工程を設け、装置の内部を加圧することにより、ドープの沸点以上の温度に加熱することも可能である。これらの加熱処理を施すことにより、微小な未溶解物を完全に溶解することができ、フィルムの異物の減少、濾過の負荷軽減をはかることができる。
本発明において、ドープの固形分の重量百分率(ドープ固形分濃度)は、13重量%〜25重量%が好ましく、より好ましくは13重量%〜17重量%である。13重量%未満であると、面状を保ちながら乾燥すると乾燥不足が起こり工程が不安定になる。特に強い風を吹き付けて乾燥させると、風ムラの発生が顕著になる。そのために、製膜されたフィルムの幅方向における膜厚の厚みムラが生じてしまう。また、25重量%を超えると、ドープの粘度が高くなりすぎてビードのレベリング効果(平滑化)が発現しにくくなり、均一なフィルムの形成が困難になる場合がある。なお、前述したドープの30℃における粘度は、5Pa・s〜100Pa・sが好ましく、10Pa・s〜75Pa・sがより好ましく、最も好ましくは20Pa・s〜50Pa・sである。
[溶液製膜方法]
図1は本発明に係る溶液製膜方法を実施するために用いられるフィルムの製膜ラインの概略図を示している。ミキンシングタンク10内には、前述した方法で調製されたドープ11が仕込まれて、撹拌翼12で撹拌されて均一になっている。ドープ11は、ポンプ13により濾過装置14に送られて不純物が除去された後に、一定の流量で流延ダイ15に送られる。流延ダイ15には、ドープ11から形成されたビードの背面側を減圧するために、減圧室16が取り付けられていることが好ましい。減圧室16には、急激な圧力の変動を抑制するためのバッファ17を介してポンプ18が取り付けられている。なお、減圧室16を流延ダイ15に取り付ける形態は、図1に示したものに限定されるものではない。そして、ドープ11を流延ダイ15から流延ベルト20上に流延する。流延ベルト20は、図示しない駆動装置により回転駆動する回転ローラ21、22により移動している。その流延ベルト20上に形成された流延膜23bの溶媒が徐々に揮発して、フィルム23が形成される。なお、ドープを流延する際の、流延ベルト20の移動速度(流延速度)は、40m/分以上の高速流延であることが好ましいが、本発明の流延速度は、40m/分以上に限定されるものではない。
図2には、前述した流延ダイ15から流延ベルト20へドープ11を流延する際の概略拡大図を示す。なお、図2のビード、流延膜などは説明のため誇張して示している。流延ダイ15の先端であるリップ15aからドープ11(図1参照)は、ビード23aを形成しながら流延される。形成されたビード23aは、流延ベルト20上のA点でその背面が接して、流延膜23bが形成される。リップ15aから流延ベルト20上のA点までのビード23aの背面の最短距離(以下、ビード長と称する)をL1とした場合に、ビード長L1は4mm〜20mmが好ましく、より好ましくは6mm〜15mmであり、最も好ましくは9mm〜12mmである。ビード長L1が、4mm未満であると、ビード23aの自励振動による厚みムラのピッチが小さくなり、フィルムの平滑性が非常に悪くなる。ま
た、ピッチが小さくなると非常に目立つムラとなる。また、ビード長L1が、20mmより長いと、ビードの自励振動によりビードが波打ってしまい、このビードが波打っている状態でのビードの振幅に応じて厚みムラのピッチは広くなるが、製膜されたフィルム全体としての膜厚の均一性が悪化する場合がある。
本発明において、前記ビード長L1の測定には、ビード23aのサイドからフォトロン社製高速ビデオカメラFAXSTCAM-Rabbit-mini3 を用いており、このビデオカメラで撮影された画像に基づいてビード長L1を測定しているが、本発明に係る溶液製膜方法において、その測定方法に限定されるものではない。
前述ビード長L1の長さを制御するために、ビード背面側を減圧にする実施形態について説明する。図2に示すように、ビード正面(流延ベルトに接触しない側の面)側の圧力をP0とし、ビード背面側の圧力をPbとする。P0は、通常大気圧であるが、本発明のビード正面側の圧力P0は、大気圧に限定されるものではない。流延ダイ15に取り付けられている減圧室16(図1参照)によりビード背面側の圧力Pbを減圧にすることで、ビード長L1の長さを制御することができる。なお、ビード背面側の圧力Pbを下げて、より減圧度を高くするとビード長は短くなり、逆に大気圧に近づけて減圧度を下げると、ビード長は長くなる。本発明において、ビード正面側と背面側との差圧(P0−Pb)が、10Pa≦(P0−Pb)≦1000Paの範囲であることが好ましく、より好ましくは、20Pa≦(P0−Pb)≦500Paであり、最も好ましくは、50Pa≦(P0−Pb)≦200Paである。
差圧が、10Pa未満であると、ビード背面側を十分に減圧することが困難になり、ビード長L1が長くなりすぎる。そのため、ビード23aの自励振動が生じて振幅が大きくなり、フィルムの流延方向における厚みムラのピッチは広くなるが、フィルム全体としての厚みムラは大きくなる場合が生じる。また、1000Paより大きいと、ビード背面側に過剰な減圧になっており、ビード長L1の長さが短くなる。ビード長L1が短くなりすぎると、ビード23aの自励振動による厚みムラのピッチが小さくなり、流延膜23bの平滑性が非常に悪くなり、フィルム23の平滑性が非常に悪くなる。
図2には、流延ダイ15のリップ15aと流延ベルト20との間が最短距離L2になる流延ベルト20上の位置をB点として示した。本発明において、L2が0.7mm〜5mmの範囲になるように、流延ダイ15を流延ベルト20上に配置することが好ましいが、この範囲に限定されるものではない。より好ましくは、0.9mm〜3mmであり、最も好ましくは1.2mm〜2mmである。L2が、0.7mmより短いと、流延ダイ15と流延ベルト20との接触のおそれも生じ、またドープ11から形成されるビード23aが、前述したような充分な長さのビード長を形成することができなくなる場合も生じる。また、L2が5mmより長くなると、外乱風の影響を大きく受けるようになり、形成されるビード25aが不安定になり、フィルム25の膜厚に悪影響を及ぼす場合が生じる。
また、流延ダイ15のスロット15bの幅L3を0.1mm〜10mmの範囲とすることが好ましい。L3が0.1mmより狭いと、ドープの流延がスムーズに行なうことが困難になる場合が生じる。その際にはドープが流延ダイに内に滞留して圧力が増大して、製膜ラインを構成している配管などを破損するおそれもある。また、L3が10mmより広いと、ビードの厚み方向が厚くなりすぎる。そのため、薄手フィルムを製膜する際に、ドープを低流量で送液する必要が生じ、流延ダイ15内の圧力が十分に上がらず、本発明の目的である薄手のフィルムの製膜が困難になる場合が生じる。
本発明に係る溶液製膜方法は、前述した固形分濃度のドープから、前述したビード長L1のビードを形成して流延して、フィルムを製膜する方法である。ビード長L1の長さは、ビードの差圧(P0−Pb)、流延ダイ15のリップ15aと流延ベルト20との距離L2、流延ダイ15のスロット15bの幅L3の少なくとも一つの条件を、ビード長L1が4mm〜20mmになるように変えることにより本発明を実施することが可能となる。ビード長L1が4mm未満であると、ビード23aの振幅が小さくなるために、フィルムの厚みムラのピッチが小さくなり過ぎるために好ましくない。また、ビード長L1が20mmを超えると、ビード23aの振幅が大きくなるために、フィルムの厚みムラのピッチが大きくなり過ぎるために好ましくない。フィルムの流延方向における30mm以下のピッチにおいて、厚みムラが全体の膜厚の±1.5%以下であれば、フィルムを製品として用いることが可能となる。なお、より好ましくは±1.0%以下であり、最も好ましくは、±0.6%以下である。
図1に示すように流延膜23bは、流延ベルト20上で乾燥して自己支持性を有するフィルム23になった後に剥ぎ取りローラ24により流延ベルト20から剥ぎ取られ、ローラ25で搬送されて乾燥装置26に送り込まれ、乾燥される。乾燥したフィルム23は、乾燥装置26から送り出され、ローラ27で搬送されて巻き取り機28に巻き取られる。なお、乾燥装置26には、公知のいずれのものをも用いることができる。例えば、テンタ式乾燥機などが挙げられるが、本発明に用いられる乾燥装置は、それに限定されるものではない。
前述したように本発明の溶液製膜方法は、ビード長を4mm〜20mmとし、ドープ固形分濃度を13重量%〜25重量%とするから、35μm〜120μmの範囲の厚さに製膜されたフィルム(薄手のフィルム)の製膜方法に最も適している。なお、フィルムの厚さは35μm〜65μmがより好ましく、最も好ましくは35μm〜60μmのフィルムの製膜に、本発明の溶液製膜方法を適用することである。
前述したフィルム23は、偏光板保護膜などの光学用フィルムとして用いることができる。この偏光板保護膜をポリビニルアルコールなどから形成された偏光膜の両面に貼付することで偏光板を形成することができる。さらに、上記フィルム上に光学補償シートを貼付した光学補償フィルム、防眩層をフィルム上に形成した反射防止膜などの光機能性膜として用いることもできる。これら製品からは、液晶表示装置の一部である液晶表示板を構成することも可能である。
図1では、1種類のドープを単層で流延した形態を示したが、本発明は図示した形態に限定されるものではない。例えば、流延ダイの上流側にフィードブロックを取り付け、多数のドープをそのフィードブロックに送り込み、フィードブロック内で、それらのドープを合流させて流延する共流延法などにも適用することが可能である。また、図1では流延用の支持体に流延ベルトを用いた形態を図示した。しかしながら、本発明は図示した形態に限定されずに、例えば回転ドラム上にドープを流延する溶液製膜方法にも適用することが可能である。
以下に本発明に係る溶液製膜方法を用いた実験と比較実験とを、実施例として挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実験1]
(ドープ調製)
固形分として、ポリマーであるセルローストリアセテート(TAC;酢化度60.2%)100重量部、添加剤であるトリフェニルフォスフェート7重量部、ビフェニルジフェニルフォスフェート5重量部を用いた。また、溶媒としては、メチレンクロライドとメタノールとの混合溶媒(混合比;メチレンクロライド:メタノール=87重量部:13重量部)を用いた。この混合溶媒に、前記固形分を固形分濃度が12、13、16、18、26重量%になるように溶解させてドープを調製した。
(溶液製膜方法)
前述した各ドープを静置脱泡した。その後に、図1に示した製膜ラインを用いて、それぞれのドープ11をミキシングタンク10に仕込み、ポンプ13によって濾過装置14を経由した後に、流延ダイ15に送った。後に示す表1の条件に従い、流延ダイ15より流延速度が55m/分に設定されているエンドレスの流延ベルト20上に流延して製膜を行ない、膜厚40μmのフィルム23を得た。なお、その他の製膜条件は後に表1にまとめて示し、実験番号1〜実験番号19の製膜を行ない、それぞれフィルムを製膜した。
(評価方法)
得られたそれぞれのフィルムを下記に示す方法により評価し、その結果について後に表1にまとめて示す。
厚みムラの測定方法は、製膜されたフィルムに蛍光灯を平行に設置し、反射によってフィルムの厚みムラの測定(表1中で、蛍光灯反射と称する)を行なった。フィルムの幅方向に通る横筋が見えないとき(○)とし、横筋が見えたときは(×)とした。また、透過型の投影機での厚みムラの測定(表1中で、透過型投影機と称する)も行なった。フィルムの幅方向に通る横筋が見えないとき(○)とし、横筋が見えたときは(×)とした。
さらに、Anritsu 社製Film Thickness Tester KG601Aを用いて、フィルムの厚みムラを流延方向と幅方向との両方向について測定した。流延方向における30mmピッチでフィルムの厚みムラが、全体膜厚の±0.6%以下のときを(◎)、±1.0%以下のときを(○)、±1.5%以下のときを(△)、±1.5%より大きいときを(×)、の4段階評価を行なった。さらには、前述した装置を用いて、フィルムの幅方向における厚みムラについても測定した。幅方向における30mmピッチでフィルムの厚みムラが。全体の膜厚の±2%未満のときは良品(○)とし、±2%以上のときは不良品(×)とした。
前述した蛍光灯反射、透過型投影機、厚みムラ測定(流延方向)、厚みムラ測定(幅方向)の4種類の評価結果から、フィルムの評価を行ない、極めて良好(◎)、良好(○)、若干難はあるが製品によっては使用可能(△)、製品として使用不能(×)の4段階評価で行なった。結果は、後に表1にまとめて示す。
Figure 2005193692
表1から、流延膜厚40μm、流延速度を55m/分において、ドープ固形分濃度を13重量%〜25重量%とし、ビード長を4mm〜20mmとする(実験番号7ないし9及び実験番号12ないし14)ことにより、フィルムの流延方向及び幅方向の厚みムラを発生させることなく、表面平滑性、厚み均一性に優れたフィルムを製膜することができることが分かる。特に、ビード長を10mmとし、ドープ固形分濃度を16重量%として製膜すると、最も良好なフィルムが得られた(実験番号13)。
[実験2]
実験2として、製膜されたフィルムの膜厚を60μmとした実験を行なった。フィルムの膜厚を実験1の40μmを60μmに変えた他は、実験1と同じ条件で、実験番号20〜実験番号38として行ないフィルムを製膜した後に、評価も実験1と同じ方法で行なった。
Figure 2005193692
表2から、60μmのフィルムの製膜においても、ドープ固形分濃度を13重量%〜25重量%とし、ビード長を4mm〜20mmとすることで、良好なフィルムが得られることが分かる(実験番号26ないし28及び実験番号31ないし33)。
本発明に係る溶液製膜方法に用いる製膜ラインの概略図である。 図1に示した製膜ラインの要部拡大図である。
符号の説明
10 ドープ
15 流延ダイ
16 減圧室
23 フィルム
23a ビード
23b 流延膜
L1 ビード長
P0 ビード正面側圧力
Pb ビード背面側圧力

Claims (3)

  1. ポリマーを含む固形分を溶媒に溶解させてドープを調製し、前記ドープを流延ダイからビードとして流延し、フィルムを製膜する溶液製膜方法において、
    前記ドープの固形分濃度を13重量%以上25重量%以下とし、
    前記ビードのビード長L1を4mm以上20mm以下とし、
    前記ビードの背面側に前記ビードの形態を安定化するための減圧チャンバを用い、
    前記減圧チャンバと前記減圧チャンバを減圧とするポンプとの間に前記減圧チャンバのバッファを設け、前記バッファで前記減圧チャンバの減圧度を制御して、前記ビードの形態を安定化し、
    35μm以上120μm以下の厚みのフィルムを製造することを特徴とする溶液製膜方法。
  2. 前記流延ダイで前記ドープを通過させるスロットの幅L3(mm)を1mm以上10mm以下とし、
    前記ビードの形態を安定化させることを特徴とする請求項1記載の溶液製膜方法。
  3. ポリマーを含む固形分を溶媒に溶解させてドープを調製し、前記ドープを流延ダイからビードとして流延し、フィルムを製膜する溶液製膜方法において、
    前記ドープの固形分濃度を13重量%以上25重量%以下とし、
    前記ビードのビード長L1を4mm以上20mm以下とし、
    前記流延ダイで前記ドープを通過させるスロットの幅L3(mm)を1mm以上10mm以下とすることにより、前記ビードの形態を安定化し、
    35μm以上120μm以下の厚みのフィルムを製造することを特徴とする溶液製膜方法。
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