JP2003197254A - 電解質及びリチウム二次電池並びにリチウム二次電池の製造方法 - Google Patents

電解質及びリチウム二次電池並びにリチウム二次電池の製造方法

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JP2003197254A
JP2003197254A JP2001388817A JP2001388817A JP2003197254A JP 2003197254 A JP2003197254 A JP 2003197254A JP 2001388817 A JP2001388817 A JP 2001388817A JP 2001388817 A JP2001388817 A JP 2001388817A JP 2003197254 A JP2003197254 A JP 2003197254A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安全性に優れるとともに、放電容量が高く、
しかもサイクル特性に優れたリチウム二次電池およびそ
の電解質を提供する。 【解決手段】 リチウムを吸蔵、放出が可能な正極及び
負極と、電解質とを具備してなり、前記電解質は、燃焼
熱が19000kJ/kg以下の低燃焼性溶媒を10体
積%以上を含み、更にリチウム塩を含むものであること
を特徴とするリチウム二次電池を採用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電解質及びこの電
解質を用いたリチウム二次電池に関するものであり、特
に、安全性が高く、しかも放電特性に優れたリチウム二
次電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】有機電解液等の電解質を用いたリチウム
二次電池は、高電圧・高エネルギー密度を有し、且つ、
貯蔵性能や低温動作性に優れ、広く携帯用民生電気製品
に利用されている。また、この電池を大型化し、電気自
動車用や家庭用の夜間電力貯蔵装置として活用していく
ための研究・開発が盛んに行われている。
【0003】ところで、従来の有機電解液に用いられる
溶媒の多くは引火点が低く、燃焼性が高いため、過充電
や加熱等により発火等の危険性がある。そこで最近で
は、有機電解液として、燃焼抑制効果が期待できるハロ
ゲン化ギ酸エステルを環状炭酸エステルに混合したもの
や、ハロゲン化されたエステルを混合したものや、自己
消火作用が期待されるリン酸エステルを含有させたもの
などが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の有機電
解液を用いたリチウム二次電池は、放電容量が十分でな
く、サイクル特性も劣るという問題がある。これは充電
時に、ハロゲン化エステル、リン酸エステル等が負極表
面で分解され、ガスの発生とともに有機電解液中に分解
生成物が残存して有機電解液が変質し、これにより放電
容量やサイクル特性の劣化が起きたものと考えられる。
【0005】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であって、安全性に優れるとともに、放電容量が高く、
しかもサイクル特性に優れたリチウム二次電池およびそ
の電解質を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は以下の構成を採用した。本発明の電解質
は、燃焼熱が19000kJ/kg以下の低燃焼性溶媒
を、全溶媒中における割合で10体積%以上含み、更に
リチウム塩を含むことを特徴とする。上記電解質は、前
記低燃焼性溶媒と前記リチウム塩のみを含むものであっ
てもよく、前記低燃焼性溶媒と前記リチウム塩の他にジ
エチルカーボネート等の鎖状カーボネートを含んでいて
も良い。
【0007】係る電解質によれば、19000kJ/k
g以下の燃焼熱を示す低燃焼性溶媒を含むので、この電
解質を備えた電池が過充電や内部短絡等を起こした場合
でも、電解質による発火を防止することができる。
【0008】特に、前記低燃焼性溶媒が、JIS−K2
265に規定される引火点試験により引火点を示さない
ものであることが好ましい。引火点を示さない低燃焼性
溶媒を含む電解質であれば、電池の安全性をより高める
ことができる。
【0009】また本発明の電解質は、先に記載の電解質
であり、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ポリ
アクリレート化合物のうちの少なくとも1種が添加され
てなることを特徴とする。尚、ポリアクリレート化合物
は、3以上のアクリル基を有するものが好ましい。
【0010】係る電解質によれば、この電解質をリチウ
ム二次電池に用いた場合、初充電時の初期にアクリロニ
トリル、メタクリロニトリル、ポリアクリレート化合物
のうちの少なくとも1種が重合して負極表面に有機質被
膜を形成するため、この有機質被膜によって負極表面上
での当該電解質の分解反応が抑制されるので、電解質の
分解によるガス発生や電解質自体の変質が低減され、リ
チウム二次電池の充放電容量の低下を防止し、サイクル
特性を向上することができる。
【0011】前記ポリアクリレート化合物は、0.01
〜10質量%の範囲で添加されてなることが好ましい。
【0012】また本発明の電解質においては、前記低燃
焼性溶媒が、ハロゲン化ベンゼンまたはハロゲン化アセ
トニトリルであることが好ましい。ベンゼンまたはアセ
トニトリルのハロゲン化物は、燃焼熱が低く、自己消火
性を示すので、リチウム二次電池の安全性をより高める
ことができる。
【0013】特に、前記ハロゲン化ベンゼンは、下記
[化7]で示されるものが好ましく、下記[化8]で示
されるものがより好ましい。下記[化8]で示されるも
のであれば、燃焼熱をより小さくできる。
【0014】
【化7】
【0015】
【化8】
【0016】また、前記ハロゲン化アセトニトリルは、
下記[化9]で示されるものが好ましい。
【0017】
【化9】
【0018】また本発明の電解質は、先に記載の電解質
であり、CO2が溶解されてなることが好ましい。
【0019】次に本発明のリチウム二次電池は、リチウ
ムを吸蔵、放出が可能な正極及び負極と、電解質とを具
備してなり、前記電解質は、燃焼熱が19000kJ/
kg以下の低燃焼性溶媒を全溶媒中における割合で10
体積%以上含み、更にリチウム塩を含むものであること
を特徴とする。上記電解質は、前記低燃焼性溶媒と前記
リチウム塩のみを含むものであってもよく、前記低燃焼
性溶媒と前記リチウム塩の他にジエチルカーボネート等
の鎖状カーボネートを含んでいても良い。係るリチウム
二次電池によれば、電解質に燃焼熱が19000kJ/
kg以下の低燃焼性溶媒を含むので、過充電や内部短絡
等を起こした場合でも、電解質による発火を防止でき
る。
【0020】また本発明のリチウム二次電池は、先に記
載のリチウム二次電池であり、前記低燃焼性溶媒が、J
IS−K2265に規定される引火点試験により引火点
を示さないものであることが好ましい。係るリチウム二
次電池によれば、電解質が引火点を示さない低燃焼性溶
媒を含むので、電池の安全性をより高めることができ
る。
【0021】また本発明のリチウム二次電池は、先に記
載のリチウム二次電池であり、前記電解質に、アクリロ
ニトリル、メタクリロニトリル、ポリアクリレート化合
物のうちの少なくとも1種が添加されてなることを特徴
とする。尚、ポリアクリレート化合物は、3以上のアク
リル基を有するものが好ましい。
【0022】係るリチウム二次電池によれば、初充電時
の初期にアクリロニトリル、メタクリロニトリル、ポリ
アクリレート化合物のうちの少なくとも1種が重合して
負極表面に有機質被膜を形成するため、この有機質被膜
によって負極表面上での電解質の分解反応が抑制される
ので、電解質の分解によるガス発生や電解質自体の変質
が低減され、充放電容量の低下を防止し、サイクル特性
を向上できる。
【0023】また本発明のリチウム二次電池では、前記
電解質中に前記ポリアクリレート化合物が0.01〜1
0質量%の範囲で添加されていることが好ましい。
【0024】また本発明のリチウム二次電池は、リチウ
ムを吸蔵、放出が可能な正極及び負極と、電解質とを具
備してなり、前記電解質は、3以上のアクリル基を有す
るポリアクリレート化合物からなる重合体に、1900
0kJ/kg以下の燃焼熱を示す低燃焼性溶媒が全溶媒
中における割合で10体積%以上含浸されるとともにリ
チウム塩が含浸されてなり、前記負極の表面に、前記ポ
リアクリレート化合物からなる有機質被膜が形成されて
なることを特徴とする。また本発明のリチウム二次電池
は、リチウムを吸蔵、放出が可能な正極及び負極と、有
機電解液を主体とする電解質とを具備してなり、前記電
解質には、19000kJ/kg以下の燃焼熱を示す低
燃焼性溶媒が全溶媒中における割合で10体積%以上含
まれるとともにリチウム塩が含まれてなり、前記負極の
表面に、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ポリ
アクリレート化合物のうちの少なくとも1種からなる有
機質被膜が形成されてなることを特徴とする。
【0025】係るリチウム二次電池によれば、電解質に
燃焼熱が19000kJ/kg以下の低燃焼性溶媒を含
むので、過充電や内部短絡等を起こした場合でも、電解
質による発火を防止できる。また、負極表面に有機質被
膜が形成されているので、この有機質被膜により負極表
面上での電解質の分解反応が抑制され、これにより電解
質の分解によるガス発生や電解質自体の変質が低減さ
れ、充放電容量の低下を防止するとともにサイクル特性
を向上できる。
【0026】また本発明のリチウム二次電池は、先に記
載のリチウム二次電池であり、前記低燃焼性溶媒が、ハ
ロゲン化ベンゼンまたはハロゲン化アセトニトリルであ
ることが好ましい。ベンゼンまたはアセトニトリルのハ
ロゲン化物は、燃焼熱が低く、自己消火性を示すので、
リチウム二次電池の安全性をより高めることができる。
【0027】また本発明のリチウム二次電池では、前記
ハロゲン化ベンゼンが、下記[化10]または下記[化
11]で示されるものであることが好ましくい。
【0028】
【化10】
【0029】
【化11】
【0030】また本発明のリチウム二次電池では、前記
ハロゲン化アセトニトリルが、下記[化12]で示され
るものであることが好ましい。
【0031】
【化12】
【0032】また本発明のリチウム二次電池では、前記
電解質中にCO2を溶解させてなることが好ましい。
【0033】次に本発明のリチウム二次電池の製造方法
は、リチウムを吸蔵、放出が可能な正極及び負極と、電
解質とを具備してなるリチウム二次電池の製造方法であ
り、前記電解質は、10体積%以上の19000kJ/
kg以下の燃焼熱を示す低燃焼性溶媒と、アクリロニト
リル、メタクリロニトリル、ポリアクリレート化合物の
うちの少なくとも1種と含有してなり、該電解質を少な
くとも前記正極及び前記負極の間に配置する組立工程
と、金属リチウムを参照極とした場合の前記負極の電位
が、0.7V以上1.5V以下の範囲に到達するまで定
電流充電を行った後に、負極の電位を維持したままで
0.1〜8時間の定電圧充電を行う第1充電工程とから
なることを特徴とする。尚、ポリアクリレート化合物
は、3以上のアクリル基を有するものが好ましい。
【0034】また本発明のリチウム二次電池の製造方法
は、リチウムを吸蔵、放出が可能な正極及び負極と、電
解質とを具備してなるリチウム二次電池の製造方法であ
り、前記正極の活物質が、コバルト、マンガン、ニッケ
ルから選ばれる少なくとも一種とリチウムとの複合酸化
物のいずれか1種以上であり、前記電解質は、10体積
%以上の19000kJ/kg以下の燃焼熱を示す低燃
焼性溶媒と、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、
ポリアクリレート化合物のうちの少なくとも1種と含有
してなり、該電解質を少なくとも前記正極及び前記負極
の間に配置する組立工程と、電池電圧が2.3V以上
3.1V以下の範囲に到達するまで定電流充電を行った
後に、電池電圧を維持したままで0.1〜8時間の定電
圧充電を行う第1充電工程とからなることを特徴とす
る。尚、ポリアクリレート化合物は、3以上のアクリル
基を有するものが好ましい。
【0035】係るリチウム二次電池の製造方法によれ
ば、電解質に燃焼熱が19000kJ/kg以下の低燃
焼性溶媒を含むので、過充電や内部短絡等を起こした場
合でも電解質による発火を防止でき、安全性に優れたリ
チウム二次電池を提供できる。また、第1充電工程によ
り負極表面に吸着したアクリロニトリル、メタクリロニ
トリル、ポリアクリレート化合物のうちの少なくとも1
種を重合させて有機質被膜を形成するので、電解質が分
解する前に負極の表面上に有機質被膜を形成することが
できる。この有機質被膜の形成によって、後述の第2充
電工程における電解質の分解を抑制することが可能とな
り、ガス発生及び電解質の変質を防止できる。また、第
1充電工程における定電圧充電が比較的長時間に渡って
行われるので、アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル、ポリアクリレート化合物等の重合反応が十分に行わ
れ、有機質被膜の反応収率が高くなり、十分な有機質被
膜が形成される。また、第1充電工程を行うことによっ
て電解質の一部が有機質被膜に吸収されるので、有機質
被膜と電解質との親和性が向上し、充放電効率を向上さ
せることが可能になる。
【0036】また本発明のリチウム二次電池の製造方法
は、先に記載のリチウム二次電池の製造方法であり、前
記組立工程と前記第1充電工程の間に、少なくとも前記
電解質を40〜120℃の範囲で熱処理する熱処理工程
を備えることを特徴とする。係る熱処理により、ポリア
クリレート化合物等を熱重合させてポリマー電解質を形
成するとともに、負極表面にポリアクリレート化合物等
を吸着させて均一な有機質被膜を形成できる。
【0037】また本発明のリチウム二次電池の製造方法
では、前記電解質中に前記ポリアクリレート化合物を
0.01〜10質量%の範囲で添加することが好まし
い。
【0038】また本発明のリチウム二次電池の製造方法
では、前記低燃焼性溶媒が、JIS−K2265に規定
される引火点試験により引火点を示さないものであるこ
とが好ましい。係るリチウム二次電池の製造方法によれ
ば、電解質が引火点を示さない低燃焼性溶媒を含むの
で、安全性がより優れたリチウム二次電池を提供でき
る。
【0039】また本発明のリチウム二次電池の製造方法
では、前記低燃焼性溶媒が、ハロゲン化ベンゼンまたは
ハロゲン化アセトニトリルであることが好ましい。ベン
ゼンまたはアセトニトリルのハロゲン化物は、燃焼熱が
低く、自己消火性を示すので、リチウム二次電池の安全
性をより高めることができる。
【0040】また本発明のリチウム二次電池の製造方法
では、前記ハロゲン化ベンゼンが、下記[化13]また
は下記[化14]で示されるものであることが好まし
い。
【0041】
【化13】
【0042】
【化14】
【0043】また本発明のリチウム二次電池の製造方法
では、前記ハロゲン化アセトニトリルが、下記[化1
5]で示されるものであることが好ましい。
【0044】
【化15】
【0045】また本発明のリチウム二次電池の製造方法
では、前記第1充電工程の後に、前記負極の電位が、0
V以上0.1V以下の範囲に到達するまで定電流充電を
行った後に、負極の電位を維持したままで1〜8時間の
定電圧充電を行う第2充電工程を行うことが好ましい。
また、前記第1充電工程の後に、電池電圧が4.0V以
上4.3V以下の範囲に到達するまで定電流充電を行っ
た後に、電池電圧を維持したままで1〜8時間の定電圧
充電を行う第2充電工程を行ってもよい。
【0046】また本発明のリチウム二次電池の製造方法
は、先に記載のリチウム二次電池の製造方法であり、前
記組立工程において、前記電解質中にCO2を溶解させ
ることが好ましい。係る製造方法によれば、電解質中に
CO2を予め溶解させておくことで、第2充電工程で負
極側に移動したリチウムイオンの一部がこのCO2と反
応して炭酸リチウム膜を形成し、この炭酸リチウム膜が
負極による電解質の分解を抑制するので、ガス発生及び
電解質の変質をより確実に防止できる。
【0047】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。本発明のリチウム二次電池は、リ
チウムを吸蔵、放出が可能な正極及び負極と、電解質と
を具備してなり、前記電解質は、燃焼熱が19000k
J/kg以下の低燃焼性溶媒を全溶媒体積中に10体積
%以上含み、更にリチウム塩を含むものである。また、
電解質には、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、
ポリアクリレート化合物のうちの少なくとも1種が添加
されることが好ましい。尚、ポリアクリレート化合物と
しては、3以上のアクリル基を有するものが好ましい。
【0048】正極は、正極活物質粉末にポリフッ化ビニ
リデン等の結着材とカーボンブラック等の導電助材を混
合してシート状、扁平円板状等に成形したものを例示で
きる。上記の正極活物質としては、コバルト、マンガ
ン、ニッケルから選ばれる少なくとも一種とリチウムと
の複合酸化物のいずれか1種以上のものが好ましく、具
体的には、LiMn24、LiCoO2、LiNiO2
LiFeO2、V25等が好ましい。また、TiS、M
oS、有機ジスルフィド化合物または有機ポリスルフィ
ド化合物等のリチウムを吸蔵・放出が可能なものを用い
ても良い。
【0049】負極は、リチウムを吸蔵・放出が可能な負
極活物質粉末に、ポリフッ化ビニリデン等の結着材と、
場合によってカーボンブラック等の導電助材を混合して
シート状、扁平円板状等に成形したものを例示できる。
負極活物質としては、人造黒鉛、天然黒鉛、黒鉛化炭素
繊維、黒鉛化メソカーボンマイクロビーズ、非晶質炭素
等の炭素質材料を例示できる。また、リチウムと合金化
が可能な金属質物単体やこの金属質物と炭素質材料を含
む複合物も負極活物質として例示できる。リチウムと合
金化が可能な金属としては、Al、Si、Sn、Pb、
Zn、Bi、In、Mg、Ga、Cd等を例示できる。
また負極として金属リチウム箔も使用できる。
【0050】本発明に係るポリアクリレート化合物は、
負極表面で有機質被膜を形成するほかに、重合体を形成
して有機電解液を含むポリマー電解質を形成する場合も
ある。この場合、前記電解質は、前記のポリアクリレー
ト化合物からなる重合体に、前記の低燃焼性溶媒が全溶
媒における割合で10体積%以上含浸されるとともにリ
チウム塩が含浸されてなり、更に負極の表面に、前記ポ
リアクリレート化合物からなる有機質被膜が形成され
る。また本発明に係るポリアクリレート化合物は、負極
表面で有機質被膜を形成するのみの場合もある。この場
合、前記電解質は、有機電解液を主体とし、前記の低燃
焼性溶媒が全溶媒中における割合で10体積%以上含ま
れるとともにリチウム塩が含まれてなり、更に負極の表
面に、前記ポリアクリレート化合物からなる有機質被膜
が形成される。尚、上記のいずれの有機被膜には、ポリ
アクリレート化合物の他に、アクリロニトリル、メタク
リロニトリルが含まれることが好ましく、これにより、
有機質被膜のリチウムのイオン伝導度が向上し、電池の
内部インピーダンスが低減されて充放電効率が向上す
る。
【0051】上記のポリマー電解質は、電解質中のポリ
アクリレート化合物の含有率が比較的高い場合に、過剰
なポリアクリレート化合物によって形成されやすく、ま
た上記の有機電解液を主体とする電解質は、電解質中の
ポリアクリレート化合物の含有率が比較的低い場合に形
成されやすい。またポリマー電解質は、後述するように
組立工程後に熱処理を行うことにより形成される。
【0052】本発明に係るポリアクリレート化合物は、
例えば、下記[化16]〜[化18]に示す構造を有す
るもので、基炭素-炭素間の二重結合が分子内に3つ以
上存在するいわゆる3官能以上のアクリル酸エステル誘
導体である。このポリアクリレート化合物は、アニオン
重合を行うアニオン付加重合性モノマーであり、加熱す
るとラジカル重合して重合体を形成し、上述のポリマー
電解質が形成される。また充電時に卑な電位を示す負極
表面上で有機質被膜を形成する。このポリアクリレート
化合物がアニオン重合すると、分子内の3つ以上の二重
結合が開裂してそれぞれ別のポリアクリレート化合物と
結合する反応が連鎖的に起こり、負極表面上にポリアク
リレート化合物が重合してなる有機質被膜が形成され
る。
【0053】また、本発明に係るポリアクリレート化合
物は、下記[化19]で表されるようなジペンタエリス
リトール構造を具備してなるものであってもよく、例え
ば、下記[化20]で表されるような6つのアクリル基
を有するものであってもよい。
【0054】
【化16】
【0055】
【化17】
【0056】
【化18】
【0057】
【化19】
【0058】
【化20】
【0059】なお、上記[化17]及び[化18]中の
a、b、cは、0≦a≦15、0≦b≦15、0≦c≦
15、3≦(a+b+c)≦15である。
【0060】また、上記のポリアクリレート化合物は、
上述したように、アクリロニトリルまたはメタクリロニ
トリルが共存する状態でこれらとともに本発明に係る有
機質被膜を形成する場合もある。この場合の皮膜形成機
構は、ポリアクリレート化合物がそれぞれ単独の場合と
同様で、充電時に卑な電位を示す負極表面上でアニオン
重合を行い、本発明に係る有機質被膜を形成する。この
有機質被膜の詳細な構造は不明であるが、おそらくポリ
アクリレート化合物とアクリロニトリル及び/またはメ
タクリロニトリルとの共重合体であると考えられる。こ
の有機質被膜は、リチウムのイオン伝導度が高く、4.
2V以上の電圧が印加された状態でも電気分解しない強
固な被膜である。尚、有機質被膜の形成に伴って電解質
中に含まれる未反応のポリアクリレート化合物の濃度は
著しく減少する。従って残留モノマーが電池特性を劣化
させることがない。
【0061】有機質被膜の厚さは、数〜数十nm程度で
あり、極めて薄い膜である。膜厚が数μmのオーダーに
なると、リチウムイオンを透過させることが困難にな
り、充放電反応が円滑に行えないので好ましくない。ま
た、厚さが例えば1nm以下程度になると、膜としての
形状を維持するのが困難になるので好ましくない。
【0062】尚、有機質被膜が負極表面に形成される具
体的な形態としては、例えば、前記の負極活物質からな
る粒状物の表面に有機質被膜が形成した状態や、金属リ
チウム箔の表面に有機質被膜が形成した状態が考えられ
る。
【0063】上記の有機質被膜は負極表面上に形成され
るので、負極と電解質との直接の接触を防ぐ機能を果た
す。これにより、負極表面での電解質の還元分解反応が
抑制され、電解質の分解によるガス発生が低減されると
とともに電解質自体の変質が防止される。このガス発生
の低減によって電池の内圧が上昇せず、電池が変形する
ことがない。更に電解質の変質防止により、電解質量が
減少することがなく、充放電反応が円滑に進行して充放
電効率が高くなり、サイクル特性が向上する。更にま
た、電解質と負極との反応が抑制されるので、電池を高
温で長期間貯蔵した場合でも電解質の変質が起きること
がなく、充放電効率やサイクル特性等の電池特性が低下
することがない。特に、後述する低燃焼性溶媒は安全性
に優れるものの、負極と反応して分解しやすく充放電容
量が低下する傾向になる。そのため、負極表面に有機質
被膜を形成することで、低燃焼性溶媒と負極との直接の
接触が防止されて充放電容量が向上する。
【0064】また、上記の有機質被膜はリチウムのイオ
ン伝導性に優れるので、電解質と負極との間でリチウム
イオンを輸送する機能も果たす。従って、負極表面が有
機質被膜で覆われたとしても、リチウムイオンの輸送に
何ら障害になることがなく、充放電反応が円滑に進行し
て充放電効率が高くなり、サイクル特性が向上する。ま
た電池の内部インピーダンスが増加することがなく、充
放電容量が大幅に低下することがない。
【0065】尚、ポリアクリレート化合物は、有機質被
膜の形成前の時点で、電解質中に0.01〜10質量%
の範囲で添加されていることが好ましい。ポリアクリレ
ート化合物の添加量が0.01質量%未満であると、有
機質被膜が充分に形成されないので好ましくなく、添加
量が10質量%を越えると、有機質被膜の厚さが増大し
て内部インピーダンスが増加してしまうので好ましくな
い。
【0066】次に本発明に係る電解質は、燃焼熱が19
000kJ/kg以下の低燃焼性溶媒が全溶媒中におけ
る割合で10体積%以上含み、更にリチウム塩を含むも
のである。低燃焼性溶媒は、燃焼熱が0kJ/kg以上
19000kJ/kg以下のものが好ましく、0kJ/
kg以上14000kJ/kg以下のものがより好まし
い。燃焼熱が19000kJ/kg以下であれば、電池
が過充電状態になったり内部短絡等を起こして電解質の
分解が起きた場合でも、分解時の発熱が少なくなって発
火に至るおそれがなく、電池の安全性を向上できる。
【0067】19000kJ/kg以下の燃焼熱を示す
低燃焼性溶媒としては、たとえば、上記[化9]に示す
ハロゲン化ベンゼンまたは上記[化10]に示すハロゲ
ン化アセトニトリルを例示できる。ベンゼンまたはアセ
トニトリルのハロゲン化物は、燃焼熱が低く、リチウム
二次電池の安全性をより高めることができる。
【0068】また低燃焼性溶媒は、JIS−K2265
に規定される引火点試験により引火点を示さないもので
あることが好ましい。電解質に引火点を示さない低燃焼
性溶媒が含有されていれば、電池の安全性をより高める
ことができる。引火性を示さない低燃焼性溶媒の具体例
としては、上記[化9]に示すハロゲン化ベンゼンのう
ち、塩素原子(Cl)が5個置換し、フッ素原子(F)
が1個置換してなるペンタフルオロクロロベンゼンを例
示できる。
【0069】上記[化9]に示すハロゲン化ベンゼン
は、低粘度で誘電率が低いという性質がある。一方、上
記[化10]に示すハロゲン化アセトニトリルは、高粘
度で誘電率が高いという性質がある。従って、本発明に
係る電解質の一例としては、例えば、前記ハロゲン化ベ
ンゼンと前記ハロゲン化アセトニトリルの混合溶媒にリ
チウム塩を溶解させたものを例示できる。また、前記ハ
ゲン化ベンゼンと前記ハロゲン化アセトニトリルの他
に、従来から知られている非プロトン性溶媒を添加して
も良い。
【0070】この場合、電解質中の低燃焼性溶媒の含有
量は全溶媒の体積分率を100体積%とした場合に10
体積%以上100体積%以下の範囲が好ましく、50体
積%以上100体積%以下の範囲がより好ましい。低燃
焼性溶媒の含有量が10体積%未満であると、リチウム
二次電池の安全性を確保できないので好ましくない。
【0071】また、前記ハロゲン化ベンゼンと前記ハロ
ゲン化アセトニトリルの体積比は、ハロゲン化ベンゼ
ン:ハロゲン化アセトニトリル=4:6〜8:2の範囲
が好ましい。ハロゲン化ベンゼンの体積比が上記の範囲
より小さくなると、粘度が高くなってイオン伝導度が低
下するのであるので好ましくなく、ハロゲン化ベンゼン
の体積比が上記の範囲を越えると、リチウム塩の溶解度
が低下するので好ましくない。
【0072】尚、ハロゲン化ベンゼンとハロゲン化アセ
トニトリルは相容性が低く分離しやすいので、分離を防
止するためにアセトニトリルを1質量%以上20質量%
以下の範囲で添加すると良い。
【0073】また、本発明に係る電解質の別の例として
は、例えば、前記ハロゲン化ベンゼンと従来から知られ
ている非プロトン性溶媒との混合溶媒に、リチウム塩を
溶解させたものを例示できる。この場合の非プロトン性
溶媒としては、ハロゲン化ベンゼンの低誘電率を補うべ
く、高誘電率を示すものが好ましく、例えば、エチレン
カーボネート、ブチレンカーボネート、ベンゾニトリ
ル、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、4−メチル
ジオキソラン、N、N−ジメチルホルムアミド、ジメチ
ルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等を例示でき
る。
【0074】この場合、電解質中のハロゲン化ベンゼン
の含有量は10体積%以上80体積%以下の範囲が好ま
しく、20体積%以上50体積%以下の範囲がより好ま
しい。ハロゲン化ベンゼンの含有量が10体積%未満で
あると、リチウム二次電池の安全性を確保できないので
好ましくなく、ハロゲン化ベンゼンの含有量が80体積
%を越えると、リチウム塩の溶解性が低下してリチウム
イオン伝導度が低下するので好ましくない。
【0075】更に、本発明に係る電解質の別の例として
は、例えば、前記ハロゲン化アセトニトリルと従来から
知られている非プロトン性溶媒との混合溶媒に、リチウ
ム塩を溶解させたものを例示できる。この場合の非プロ
トン性溶媒としては、ハロゲン化アセトニトリルの高粘
度を補うべく、低粘度を示すものが好ましく、例えば、
ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジ
エチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メ
チルイソプロピルカーボネート、エチルブチルカーボネ
ート、ジプロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボ
ネート、ジブチルカーボネート等の鎖状カーボネート
や、1,2−ジメトキシエタン、スルホラン、ジクロロ
エタン、ジオキソラン、ニトロベンゼン、ジエチレング
リコール、ジメチルエーテル等を例示できる。
【0076】この場合、電解質中のハロゲン化アセトニ
トリルの含有量は10体積%以上80体積%以下の範囲
が好ましく、20体積%以上50体積%以下の範囲がよ
り好ましい。ハロゲン化アセトニトリルの含有量が10
体積%未満であると、リチウム二次電池の安全性を確保
できないので好ましくなく、ハロゲン化アセトニトリル
の含有量が80体積%を越えると、電解質の粘度が高く
なってリチウムイオン伝導度が低下するので好ましくな
い。
【0077】またリチウム塩としては、LiPF6、L
iBF4、LiSbF6、LiAsF6、LiClO4、L
iCF3SO3、Li(CF3SO22N、LiC49
3、LiSbF6、LiAlO4、LiAlCl4、LiN
(Cx2x+1SO2)(Cy2y 十1SO2)(ただしx、
yは自然数)、LiCl、LiI等のうちの1種または
2種以上のリチウム塩を混合させてなるものを例示でき
る。また、LiB(OCOCF34で示されるものを用
いることもできる。
【0078】また上記の電解質を、PEO、PPO、P
AN、PVDF、PMA、PMMA等のポリマーあるい
はその重合体に含浸させたものでも良い。また、上記の
電解質中には予めCO2を溶解させておくことが好まし
い。電解質中にCO2を予め溶解させておくことで、後
述する第2充電工程で負極側に移動したリチウムイオン
の一部がこのCO2と反応して炭酸リチウム膜を形成
し、この炭酸リチウム膜が負極による電解質の分解を抑
制するので、ガス発生及び電解質の変質をより確実に防
止できる。
【0079】次に本発明のリチウム二次電池の製造方法
について説明する。本発明のリチウム二次電池の製造方
法は、ポリアクリレート化合物を含む電解質を前記正極
及び前記負極の間に配置する組立工程と、第1充電工程
とからなる。また組立工程と第1充電工程との間に加熱
工程を設けても良く、更に第1充電工程の後に第2充電
工程を行っても良い。
【0080】まず組立工程では、少なくとも、3以上の
アクリル基を有するポリアクリレート化合物と、190
00kJ/kg以下の燃焼熱を示す上記の低燃焼性溶媒
を全溶媒中の割合として10体積%以上含有してなる電
解質を調製する。電解質は、ポリアクリレート化合物と
低燃焼性溶媒とリチウム塩とが含有された有機電解液で
あってもよく、この有機電解液をポリマーに含浸させて
ポリマー電解質としたものでも良い。また、従来の非プ
ロトン性溶媒を添加してもよく、相溶性向上のためにア
クリロニトリルを添加しても良い。ポリアクリレート化
合物の添加量は、0.01〜10質量%の範囲が好まし
く、0.1〜5質量%の範囲がより好ましい。また低燃
焼性溶媒は10体積%以上100体積%以下の範囲で添
加することが好ましい。尚、このとき、電解質中に予め
CO2を溶解させることが好ましい。電解質にCO2を溶
解させるには、有機電解液にCO2ガスを吹き込む等の
手段をとることができる。電解質中にCO2を予め溶解
させておくことで、後述する第2充電工程で負極側に移
動したリチウムイオンの一部がこのCO2と反応して炭
酸リチウム膜を形成し、この炭酸リチウム膜が負極によ
る電解質の分解を抑制するので、ガス発生及び電解質の
変質をより確実に防止できる。
【0081】次に、この電解質を正極と負極の間に配置
する。電解質が液状である場合は、正極と負極の間にセ
パレータを介在させた状態で、これらに電解質を含浸さ
せればよい。また、電解質がポリマー電解質のような固
形状若しくは半固形状の場合は、正極と負極の間に電解
質を挟めばよい。
【0082】次に加熱工程では、少なくともポリアクリ
レート化合物を含む電解質を正、負極間に配置した状態
で、40〜120℃の温度範囲で熱処理を行う。この熱
処理により、電解質中のポリアクリレート化合物がラジ
カル重合して重合体を形成し、この重合体に有機電解液
が含浸されて電解質が形成される。また、ポリアクリレ
ート化合物の一部を負極表面に吸着させる。尚、加熱温
度が40℃未満であると、ポリアクリレート化合物のラ
ジカル重合が十分に進まないので好ましくない。また、
加熱温度が120℃を越えると、電解質が変質して電池
特性を悪化させるので好ましくない。また、組み立て工
程でポリマー電解質を予め正負極間に挟んだ場合は、加
熱工程を省略しても良い。更に有機電解液を主体とする
電解質を形成する場合も加熱工程を省略しても良い。更
に、ポリマー電解質の形成を望まない場合は、加熱工程
を省略して良い。この場合の電解質は有機電解液とな
る。
【0083】次に第1充電工程では、金属リチウムを参
照極とした場合の負極の電位が、0.7V以上1.5V
以下の範囲に到達するまで定電流充電を行った後に、負
極の電圧を維持したままで0.1〜8時間の定電圧充電
を行う。定電流充電時の電流は、0.01〜0.3C程
度が好ましい。この第1充電工程により、電解質の還元
分解が起きる前に、ポリアクリレート化合物がアニオン
重合し、負極表面上に有機質被膜を形成する。即ち、ポ
リアクリレート化合物は、金属リチウムを参照極とした
場合の負極の示す電位が0.7〜1.5Vの範囲のとき
にアニオン付加重合を行い、また電位が0.7V以上で
は電解質の還元分解が起きないため、充電電圧の下限を
0.7Vに限定する必要がある。また、この負極表面に
おけるアニオン重合は反応の進行が比較的遅いことか
ら、重合反応を十分に進行させるべく、上記の充電電圧
を維持した状態で1〜8時間の定電圧充電が必要にな
る。なお負極の電位が0.7V未満では、電解質の還元
分解反応が併発するので好ましくない。
【0084】また、定電流充電における負極の電位が
1.5Vを越えると、ポリアクリレート化合物の重合反
応が開始しないので好ましくない。次に定電圧充電にお
ける充電時間が0.1時間未満では、ポリアクリレート
化合物の重合反応が充分に進行せず、有機質被膜に欠陥
が発生するおそれがあるので好ましくなく、充電時間が
8時間を超えると重合反応がほぼ終了するため、上記の
電圧範囲でこれ以上の時間で充電を行う実益がない。
【0085】尚、上記の第1充電工程では、正極をLi
CoO2、LiNiO2、LiMn24のいずれか1種以
上とした場合、電池電圧が2.3V以上3.1V以下の
範囲に到達するまで定電流充電を行った後に、電池電圧
を維持したままで0.1〜8時間の定電圧充電を行うこ
とが好ましい。
【0086】また、有機電解液にポリアクリレート化合
物と共にアクリロニトリル及び/またはメタクリロニト
リルを添加した場合は、ポリアクリレート化合物及びア
クリロニトリル及び/またはメタクリロニトリルを含む
有機質被膜が形成される。アクリロニトリル及び/また
はメタクリロニトリルが含まれると、有機質被膜のリチ
ウムのイオン伝導度が向上し、電池の内部インピーダン
スが低減されて充放電効率が向上する。アクリロニトリ
ル及び/またはメタクリロニトリルは、ポリアクリレー
ト化合物と共に重合して有機質被膜中に存在するか、あ
るいはポリアクリレート化合物のみからなる重合体中に
溶解した状態で有機質被膜中に存在するか、のいずれか
一方または両方の状態にあると考えられる。尚、被膜の
形成に伴って有機電解液中に含まれるポリアクリレート
化合物、アクリロニトリル及び/またはメタクリロニト
リルの濃度は著しく減少する。
【0087】第2充電工程では、金属リチウムを参照極
とした場合の負極の電位が、0.0V以上0.1V以下
の範囲に到達するまで定電流充電を行った後に、負極電
位を0.0V以上0.1V以下に維持したままで1〜8
時間の定電圧充電を行う。定電流充電時の電流は、0.
1〜0.5C程度が好ましい。この第2充電工程におい
ては、既に有機質被膜が形成しているため、電解質と負
極とが直接に接触することなく、低燃焼性溶媒の還元分
解が抑制される。定電流充電における負極の電位が0.
1Vを越えると、電池容量が不十分になるので好ましく
なく、0.0V未満であると正極の結晶構造が破壊され
るおそれがあるので好ましくない。また、定電圧充電に
おける充電時間が1時間未満であると、充電が不十分に
なるので好ましくなく、充電時間が8時間を越えると、
過充電状態になって正極が劣化するので好ましくない。
【0088】尚、上記の第2充電工程では、正極をLi
CoO2、LiNiO2、LiMn24のいずれか1種以
上とした場合、電池電圧が4.0V以上4.3V以下の
範囲に到達するまで定電流充電を行った後に、電池電圧
を維持したままで1〜8時間の定電圧充電を行うことが
好ましい。また、第1充電工程と第2充電工程の間に、
1〜8時間程度の休止時間を設けることが、第1充電時
間が十分長くない場合に重合反応を充分に進行させる点
で好ましい。この第2充電工程では、組立工程で予め電
解質中に溶解させたCO2が、負極側に移動したリチウ
ムイオンの一部と反応して負極表面に炭酸リチウム膜を
形成し、この炭酸リチウム膜が負極と電解質との接触を
防止して電解質の分解を抑制し、ガス発生及び電解質の
変質をより確実に防止できる。
【0089】上記のリチウム二次電池の製造方法によれ
ば、電解質に燃焼熱が19000kJ/kg以下の低燃
焼性溶媒を含むので、過充電や内部短絡等を起こした場
合でも電解質による発火を防止でき、安全性に優れたリ
チウム二次電池を提供できる。また、第1充電工程によ
り負極表面に吸着したポリアクリレート化合物を重合さ
せて有機質被膜を形成するので、電解質が分解する前に
負極の表面上に有機質被膜を形成することができる。こ
の有機質被膜の形成によって、後述の第2充電工程にお
ける電解質の分解を抑制することが可能となり、ガス発
生及び電解質の変質を防止できる。また、第1充電工程
における定電圧充電が比較的長時間に渡って行われるの
で、ポリアクリレート化合物の重合反応が十分に行わ
れ、有機質被膜の反応収率が高くなり、十分な有機質被
膜が形成される。また、第1充電工程を行うことによっ
て電解質の一部が有機質被膜に吸収されるので、有機質
被膜と電解質との親和性が向上し、充放電効率を向上さ
せることが可能になる。
【0090】
【実施例】[実施例1、2及び比較例1〜3のリチウム
二次電池の評価] (実施例1のリチウム二次電池の製造)フッ化アセトニ
トリル(CH2FCN)とヘキサフルオロベンゼン(C6
6)がそれぞれ50体積%ずつ混合された混合溶媒に
対し、1.4モル/Lの濃度になるようにLiB(OC
OCF34を添加して電解質を調製した。この電解質
に、上記[化16]に示すトリメチロールプロパントリ
アクリレート(分子量269)を0.2質量%添加し
た。次に、LiCoO2を正極活物質とするシート状の
正極と、炭素繊維を負極活物質とするシート状の負極と
を重ね合わせて渦巻き状に巻回した状態で電池容器に挿
入し、先程の電解質を注入した後に電池容器を封口し
て、厚さ4mm、幅30mm、高さ60mmの角型電池
を製造した。尚、電解質の注液前に電解質にCO2を1
0分間吹き込んだ。これにより、電解質中にはCO2
溶解した状態になっている。
【0091】得られた角型電池に対し、0.2Cの電流
で電池電圧が3V(金属リチウムに対する負極の電位が
0.7V)に達するまで定電流充電を行った後に4時間
の定電圧充電を行う第1充電工程により、ポリアクリレ
ート化合物を重合させて有機質被膜を形成した。次に、
0.2Cの電流で電池電圧が4.2V(金属リチウムに
対する負極の電位が0.1V)に達するまで定電流充電を
行った後に9時間の定電圧充電を行う第2充電工程をす
ることにより、実施例1のリチウム二次電池を製造し
た。尚、第1、第2充電工程の際に負極におけるクーロ
ン効率を測定した。
【0092】(実施例2のリチウム二次電池の製造)ア
セトニトリル(CH3CN)が25体積%、クロロペン
タフルオロベンゼン(C6ClF5)が50体積%、フッ
化アセトニトリル(CH2FCN)が25体積%ずつ混
合された混合溶媒に対し、1.4モル/Lの濃度になる
ようにLiB(OCOCF34を添加して電解質を調製
した。この電解質に、上記[化16]に示すトリメチロ
ールプロパントリアクリレート(分子量269)を0.
3質量%添加した。次に、LiCoO2を正極活物質と
するシート状の正極と、炭素繊維を負極活物質とするシ
ート状の負極とを重ね合わせて渦巻き状に巻回した状態
で電池容器に挿入し、先程の電解質を注入した後に電池
容器を封口して、厚さ4mm、幅30mm、高さ60m
mの角型電池を製造した。尚、電解質の注液前に電解質
にCO2を10分間吹き込んだ。これにより、電解質中
にはCO2が溶解した状態になっている。
【0093】得られた角型電池に対し、実施例1と同様
にして第1,第2充電工程を行うことにより、実施例2
のリチウム二次電池を製造した。尚、第1、第2充電工
程の際に負極におけるクーロン効率を測定した。
【0094】(比較例1のリチウム二次電池の製造)電
解質に、上記[化16]に示すトリメチロールプロパン
トリアクリレートを添加しないこと以外は実施例1と同
様にして、比較例1のリチウム二次電池を製造した。
尚、CO2雰囲気中における負極の乾燥は行っていな
い。尚、実施例1と同様に、第1、第2充電工程の際に
負極におけるクーロン効率を測定した。
【0095】(比較例2のリチウム二次電池の製造)エ
チレンカーボネートが30体積%、ジエチルカーボネー
トが70体積%となるように混合された混合溶媒に対
し、1.3モル/Lの濃度になるようにLiPF6を添
加して電解質を調製したこと以外は上記の実施例1と同
様にして比較例2のリチウム二次電池を製造した。尚、
CO2の吹き込みは行っていない。尚、実施例1と同様
に、第1、第2充電工程の際に負極におけるクーロン効
率を測定した。
【0096】(比較例3のリチウム二次電池の製造)ア
セトニトリル(CH3CN)が25体積%、クロロペン
タフルオロベンゼン(C6ClF5)が50体積%、フッ
化アセトニトリル(CH2FCN)が25体積%ずつ混
合された混合溶媒に対し、1.4モル/Lの濃度になる
ようにLiB(OCOCF34を添加して電解質を調製
した。次に、LiCoO2を正極活物質とするシート状
の正極と、炭素繊維を負極活物質とするシート状の負極
とを重ね合わせて渦巻き状に巻回した状態で電池容器に
挿入し、先程の電解質を注入した後に電池容器を封口し
て、厚さ4mm、幅30mm、高さ60mmの角型電池
を製造した。
【0097】得られた角型電池に対し、実施例1と同様
にして第1,第2充電工程を行うことにより、比較例3
のリチウム二次電池を製造した。尚、CO2の吹き込み
は行っていない。尚、第1、第2充電工程の際に負極に
おけるクーロン効率を測定した。
【0098】[実施例1、2及び比較例1〜3のリチウ
ム二次電池のクーロン曲線]図1及び図2に、実施例1
及び比較例1,2の熱処理後の第1、第2充電工程にお
けるクーロン効率を示す。図1は図2の部分拡大図であ
って第1充電工程のクーロン効率を示し、図2が第1,
第2充電工程のクーロン効率を示す。また図3及び図4
に、実施例2及び比較例3の熱処理後の第1、第2充電
工程におけるクーロン効率を示す。図3は図4の部分拡
大図であって第1充電工程のクーロン効率を示し、図4
が第1,第2充電工程のクーロン効率を示す。
【0099】図1に示すように、実施例1の第1充電工
程では、充電電圧2.3V付近にポリアクリレート化合
物の重合反応に対応する小さなピークが観察されてい
る。この小さなピークは、負極表面での有機質被膜の形
成によるものと考えられる。次に図2に示す第2充電工
程では、充電電圧の向上に伴ってクーロン効率がなだら
かに上昇している。これは、第1充電工程で負極表面に
有機質被膜が形成されたため、負極と電解質とが直接的
に接触せず、負極表面での電解質の分解が抑制されたこ
とによるものと考えられる。
【0100】また図2に示すように、実施例2の第1充
電工程では、特に目立ったピークは観察されず、ポリア
クリレート化合物の重合反応により有機質被膜が形成さ
れ、溶媒の分解等は起きていないと考えられる。
【0101】次に、図1に示す比較例1の第1充電工程
では、2.7V付近にヘキサフルオロベンゼンの分解反
応によると考えられる大きなピークが観察されている。
またこのとき、比較例1の電池の内圧が急激に上昇して
おり、ヘキサフルオロベンゼンの分解により分解ガスが
発生したものと推定される。次に、図1に示す比較例2
の第1充電工程では、特に目立ったピークは観察され
ず、有機質被膜の形成や溶媒の分解等は起きていないと
考えられる。次に、図2に示す比較例3の第1充電工程
では、2.7V付近にクロロペンタフルオロベンゼン及
びアセトニトリルの分解反応によると考えられる大きな
ピークが観察されている。またこのとき、比較例3の電
池の内圧が急激に上昇しており、クロロペンタフルオロ
ベンゼン及びアセトニトリルの分解により分解ガスが発
生したものと推定される。
【0102】[実施例1、2及び比較例1〜3のリチウ
ム二次電池の初期放電容量]第2充電工程後のリチウム
二次電池を、0.1C、0.2C、0.5C、1Cの電
流で放電した際の放電容量を測定した。結果を表1に示
す。
【0103】
【表1】
【0104】表1に示すように、実施例1及び2は、
0.1C〜1Cの範囲で、比較例2の放電容量とほぼ同
等の放電容量を示すことが分かる。また、比較例1で
は、0.1Cのような比較的低い電流で放電した場合で
も、実施例1または比較例2に対して10%程度放電容
量が減少している。尚、実施例1では、有機質被膜の形
成に加えて、電解質中にCO2が溶解した状態になって
いるため、第2充電工程の末期に負極表面に炭酸リチウ
ム膜が形成されていると考えられ、この炭酸リチウム膜
が有機質被膜とともにヘキサフルオロベンゼンの分解を
抑制していると考えられる。比較例1及び3では、ポリ
アクリレート化合物が無添加であるために負極表面に有
機質被膜が形成されず、このためハロゲン化ベンゼンの
分解反応が生じ、電解質が分解されたために放電容量が
低下したものと考えられる。
【0105】[実施例1、2及び比較例3のリチウム二
次電池の加熱試験]上記実施例1、2及び比較例3のリ
チウム二次電池について、加熱試験を行った。加熱試験
は、リチウム二次電池を加熱オーブン中で昇温速度5℃
/分で160℃まで昇温して60分間保持する条件で行
った。その結果、実施例1及び2のリチウム二次電池
は、特に異常は見られなかったが、比較例3に電池につ
いては、自己発熱が生じて電池温度が上昇し、安全弁が
作動して破裂するに至った。
【0106】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
リチウム二次電池によれば、電解質に燃焼熱が1900
0kJ/kg以下の低燃焼性溶媒を含むので、過充電や
内部短絡等を起こした場合でも、電解質による発火を防
止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1及び比較例1,2の第1充電工程
における充電電圧に対するクーロン効率を示す図であ
る。
【図2】 実施例1及び比較例1,2の第1,第2充
電工程における充電電圧に対するクーロン効率を示す図
である。
【図3】 実施例2及び比較例3の第1充電工程にお
ける充電電圧に対するクーロン効率を示す図である。
【図4】 実施例2及び比較例3の第1,第2充電工
程における充電電圧に対するクーロン効率を示す図であ
る。
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Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃焼熱が19000kJ/kg以下の
    低燃焼性溶媒を、全溶媒における割合で10体積%以上
    含み、更にリチウム塩を含むことを特徴とする電解質。
  2. 【請求項2】 前記低燃焼性溶媒が、JIS−K22
    65に規定される引火点試験により引火点を示さないも
    のであることを特徴とする請求項1に記載の電解質。
  3. 【請求項3】 アクリロニトリル、メタクリロニトリ
    ル、ポリアクリレート化合物のうちの少なくとも1種が
    添加されてなることを特徴とする請求項1または請求項
    2に記載の記載の電解質。
  4. 【請求項4】 前記ポリアクリレート化合物が0.0
    1〜10質量%の範囲で添加されてなることを特徴とす
    る請求項3に記載の電解質。
  5. 【請求項5】 前記低燃焼性溶媒が、ハロゲン化ベン
    ゼンまたはハロゲン化アセトニトリルであることを特徴
    とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の電解
    質。
  6. 【請求項6】 前記ハロゲン化ベンゼンが、下記[化
    1]で示されるものであることを特徴とする請求項5に
    記載の電解質。 【化1】
  7. 【請求項7】 前記ハロゲン化アセトニトリルが、下
    記[化2]で示されるものであることを特徴とする請求
    項5に記載の電解質。 【化2】
  8. 【請求項8】 CO2が溶解されてなることを特徴とす
    る請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の電解質。
  9. 【請求項9】 リチウムを吸蔵、放出が可能な正極及
    び負極と、電解質とを具備してなり、前記電解質は、燃
    焼熱が19000kJ/kg以下の低燃焼性溶媒を全溶
    媒における割合で10体積%以上含み、更にリチウム塩
    を含むものであることを特徴とするリチウム二次電池。
  10. 【請求項10】 前記低燃焼性溶媒が、JIS−K2
    265に規定される引火点試験により引火点を示さない
    ものであることを特徴とする請求項9に記載のリチウム
    二次電池。
  11. 【請求項11】 前記電解質に、アクリロニトリル、
    メタクリロニトリル、ポリアクリレート化合物のうちの
    少なくとも1種が添加されてなることを特徴とする請求
    項9または請求項10に記載の記載のリチウム二次電
    池。
  12. 【請求項12】 前記電解質中に前記ポリアクリレー
    ト化合物が0.01〜10質量%の範囲で添加されてい
    ることを特徴とする請求項11に記載のリチウム二次電
    池。
  13. 【請求項13】 リチウムを吸蔵、放出が可能な正極
    及び負極と、電解質とを具備してなり、前記電解質は、
    ポリアクリレート化合物からなる重合体に、19000
    kJ/kg以下の燃焼熱を示す低燃焼性溶媒が全溶媒中
    における割合で10体積%以上含浸されるとともにリチ
    ウム塩が含浸されてなり、 前記負極の表面に、ポリアクリレート化合物からなる有
    機質被膜が形成されてなることを特徴とするリチウム二
    次電池。
  14. 【請求項14】 リチウムを吸蔵、放出が可能な正極
    及び負極と、有機電解液を主体とする電解質とを具備し
    てなり、 前記電解質には、19000kJ/kg以下の燃焼熱を
    示す低燃焼性溶媒が全溶媒中における割合で10体積%
    以上含まれるとともにリチウム塩が含まれてなり、 前記負極の表面に、アクリロニトリル、メタクリロニト
    リル、ポリアクリレート化合物のうちの少なくとも1種
    からなる有機質被膜が形成されてなることを特徴とする
    リチウム二次電池。
  15. 【請求項15】 前記低燃焼性溶媒が、ハロゲン化ベ
    ンゼンまたはハロゲン化アセトニトリルであることを特
    徴とする請求項9ないし請求項14のいずれかに記載の
    リチウム二次電池。
  16. 【請求項16】 前記ハロゲン化ベンゼンが、下記
    [化3]で示されるものであることを特徴とする請求項
    15に記載のリチウム二次電池。 【化3】
  17. 【請求項17】 前記ハロゲン化アセトニトリルが、
    下記[化4]で示されるものであることを特徴とする請
    求項15に記載のリチウム二次電池。 【化4】
  18. 【請求項18】 前記電解質中にCO2を溶解させてな
    ることを特徴とする請求項9ないし請求項17のいずれ
    かに記載のリチウム二次電池。
  19. 【請求項19】 リチウムを吸蔵、放出が可能な正極
    及び負極と、電解質とを具備してなるリチウム二次電池
    の製造方法であり、 前記電解質は、10体積%以上の19000kJ/kg
    以下の燃焼熱を示す低燃焼性溶媒と、アクリロニトリ
    ル、メタクリロニトリル、ポリアクリレート化合物のう
    ちの少なくとも1種と含有してなり、 該電解質を少なくとも前記正極及び前記負極の間に配置
    する組立工程と、 金属リチウムを参照極とした場合の前記負極の電位が、
    0.7V以上1.5V以下の範囲に到達するまで定電流
    充電を行った後に、負極の電位を維持したままで0.1
    〜8時間の定電圧充電を行う第1充電工程とからなるこ
    とを特徴とするリチウム二次電池の製造方法。
  20. 【請求項20】 リチウムを吸蔵、放出が可能な正極
    及び負極と、電解質とを具備してなるリチウム二次電池
    の製造方法であり、 前記正極の活物質が、コバルト、マンガン、ニッケルか
    ら選ばれる少なくとも一種とリチウムとの複合酸化物の
    いずれか1種以上であり、 前記電解質は、10体積%以上の19000kJ/kg
    以下の燃焼熱を示す低燃焼性溶媒と、アクリロニトリ
    ル、メタクリロニトリル、ポリアクリレート化合物のう
    ちの少なくとも1種と含有してなり、 該電解質を少なくとも前記正極及び前記負極の間に配置
    する組立工程と、 電池電圧が2.3V以上3.1V以下の範囲に到達する
    まで定電流充電を行った後に、電池電圧を維持したまま
    で0.1〜8時間の定電圧充電を行う第1充電工程とか
    らなることを特徴とするリチウム二次電池の製造方法。
  21. 【請求項21】 前記組立工程と前記第1充電工程の
    間に、少なくとも前記電解質を40〜120℃の範囲で
    熱処理する熱処理工程を備えることを特徴とする請求項
    19または請求項20に記載のリチウム二次電池の製造
    方法。
  22. 【請求項22】 前記電解質中に前記ポリアクリレー
    ト化合物を0.01〜10質量%の範囲で添加すること
    を特徴とする請求項19ないし請求項21のいずれかに
    記載のリチウム二次電池の製造方法。
  23. 【請求項23】 前記低燃焼性溶媒が、JIS−K2
    265に規定される引火点試験により引火点を示さない
    ものであることを特徴とする請求項19ないし請求項2
    2のいずれかに記載のリチウム二次電池の製造方法。
  24. 【請求項24】 前記低燃焼性溶媒が、ハロゲン化ベ
    ンゼンまたはハロゲン化アセトニトリルであることを特
    徴とする請求項19ないし請求項23のいずれかに記載
    のリチウム二次電池の製造方法。
  25. 【請求項25】 前記ハロゲン化ベンゼンが、下記
    [化5]で示されるものであることを特徴とする請求項
    24に記載のリチウム二次電池の製造方法。 【化5】
  26. 【請求項26】 前記ハロゲン化アセトニトリルが、
    下記[化6]で示されるものであることを特徴とする請
    求項24に記載のリチウム二次電池の製造方法。 【化6】
  27. 【請求項27】 前記第1充電工程の後に、前記負極
    の電位が、0V以上0.1V以下の範囲に到達するまで
    定電流充電を行った後に、負極の電位を維持したままで
    1〜8時間の定電圧充電を行う第2充電工程を行うこと
    を特徴とする請求項19または請求項21ないし請求項
    26のいずれかに記載のリチウム二次電池の製造方法。
  28. 【請求項28】 前記第1充電工程の後に、電池電圧
    が4.0V以上4.3V以下の範囲に到達するまで定電
    流充電を行った後に、電池電圧を維持したままで1〜8
    時間の定電圧充電を行う第2充電工程を行うことを特徴
    とする請求項20ないし請求項26のいずれかに記載の
    リチウム二次電池の製造方法。
  29. 【請求項29】 前記組立工程において、前記電解質
    中にCO2を溶解させることを特徴とする請求項19な
    いし請求項28のいずれかに記載のリチウム二次電池の
    製造方法。
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