JP2003183443A - ゴム組成物 - Google Patents

ゴム組成物

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁性粉配合ゴムの高い磁力を保持しながら、
かつゴム本来の物性を損なうことなく、さらに加工性、
耐熱性および成形物の柔軟性が改良された磁性粉配合ゴ
ム組成物を提供する。 【解決手段】 固形ゴム70〜95重量％および固形ゴムと
反応し得る液状ゴム30〜5重量％よりなるゴム混合物100
重量部に対し、450〜1000重量部の磁性粉を添加したゴ
ム組成物。このゴム組成物は、従来の磁性粉配合ゴム
に、固形ゴムと反応し得る液状ゴムを配合することによ
って、磁性粉本来の高い磁力を保持しながら、かつゴム
本来の物性を損なうことなく、ゴムコンパウンドの粘度
を低く抑え、加工性を改良し、耐熱性および成形性の柔
軟性を保つことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゴム組成物に関す
る。更に詳しくは、ゴム成分に磁性粉を添加したゴム組
成物に関する。
【０００２】
【従来の技術】車輪速センサ等のエンコーダの部位に用
いられる磁気エンコーダには、センサ用ゴム磁石が用い
られている。このセンサ用ゴム磁石として一番重要な特
性となる磁力は、磁性粉の配合量にほぼ比例するので、
磁力を上げるためには磁性粉の配合量を多くする必要が
あるが、磁性粉の配合量を多くした場合には、ゴムコン
パウンドの粘度上昇による加工性の悪化や、成形物の硬
度上昇およびゴム磁石の長所ともいえる柔軟性が失われ
るなどの問題が発生する。
【０００３】これらの問題を解決するために、従来は可
塑剤や加工助剤の使用が検討されてきたが、柔軟性を確
保するために必要とされる多量の可塑剤、加工助剤の使
用は、可塑剤、加工助剤が抽出されるために耐熱性が劣
り、接着性が悪化するといった問題を生じ、これらの方
法では加工性、成形性、物性のすべてを満足することは
できなかった。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、磁性
粉配合ゴムの高い磁力を保持しながら、かつゴム本来の
物性を損なうことなく、さらに加工性、耐熱性および成
形物の柔軟性が改良された磁性粉配合ゴム組成物を提供
することにある。
【０００５】
【課題を解決するための手段】かかる本発明の目的は、
固形ゴム70〜95重量％および固形ゴムと反応し得る液状
ゴム30〜5重量％よりなるゴム混合物100重量部に対し、
450〜1000重量部の磁性粉を添加したゴム組成物によっ
て達成される。
【０００６】
【発明の実施の形態】固形ゴムとしては、求められる用
途に応じてニトリルゴム(NBR)、アクリルゴム(ACM)、ア
クリル酸エチルーエチレン共重合ゴム(AEM)、エチレン
プロピレン系共重合ゴム(EPDM)、フッ素ゴム(FKM)など
が用いられるが、好ましくはコストの面からNBR、ACM、
AEM、EPDMが、より好ましくは磁性粉を高充填しやすい
ことからNBRが用いられる。
【０００７】固形NBRとしては、耐油性と低温性のバラ
ンスから、好ましくはニトリル含量が35〜45％、さらに
好ましくは38〜42％のものが用いられ、これは市販され
ているものをそのまま用いることができる。ニトリル含
量がこれ以下のものを用いると耐油性が悪化し、一方、
ニトリル含量がこれ以上のものを用いると低温性が悪化
するようになる。
【０００８】固形ゴムと反応し得る液状ゴムは、用いら
れる固形ゴムと同様または類似の構造を有し、同一の加
硫剤で共架橋できる液状ゴムであり、固形ゴムの選択に
応じて液状NBR、液状EPDM、液状FKMなどが用いられ、好
ましくはB型粘度(70℃)で4000〜20000cpsのものが、さ
らに好ましくは4500〜15000cpsのものが用いられる。
【０００９】固形ゴムがNBRの場合に用いられる液状NBR
としては、B型粘度(70℃)で4000〜8000cpsでニトリル含
量26〜32％のものが好ましく、さらに好ましくはB型粘
度(70℃)で4500〜7000cpsかつニトリル量28〜30％のも
のが用いられ、これも市販されているものをそのまま用
いることができきる。B型粘度がこれ以下のものを用い
ると加硫物の強度が低下し、一方B型粘度がこれ以上の
ものを用いると可塑性がなくなる。また、ニトリル含量
がこれ以下のものを用いると耐油性が悪化し、一方ニト
リル含量がこれ以上のものを用いると低温性が悪化する
ようになる。
【００１０】これらの固形ゴムと固形ゴムと反応しうる
液状ゴムとは、固形ゴムが70〜95重量％に対して固形ゴ
ムと反応し得る液状ゴムが30〜5重量％、好ましくは固
形ゴムが80〜93重量％に対して固形ゴムと反応し得る液
状ゴムが20〜7重量％の割合で用いられる。液状ゴムが5
重量％以下で用いられると固形ゴムと反応し得る液状ゴ
ムの添加効果が低くなり、一方30重量％より多い割合で
用いられると、生地の粘度が低くなりすぎて加工性が悪
くなる。
【００１１】磁性粉としては、一般にフェライト磁石や
希土類磁石が少なくとも一種用いられるが、好ましくは
コストが安いことおよびゴムとの密着性がよいことよ
り、磁力は希土類磁石にくらべると低いもののフェライ
ト磁石が用いられ、さらに好ましくは磁力の観点からス
トロンチウムフェライトSrO・6Fe2O3またはバリウムフ
ェライト BaO・6Fl2O3 が用いられる。これらの磁性粉
は、磁性粉20gに5重量％PVA水溶液1.5mlを加えて直径2
5.4mmの円筒金型に入れ、1トン／cm2の圧力で加圧成形
して試料を作成し、直流磁化測定機で残留磁束密度Brと
保持力iHcを測定したときの圧粉磁性で、Brが1600(G)以
上で、iHcが3000(Oe)以上のものを用いることが好まし
い。
【００１２】これらの磁性粉は、ゴム混合物100重量部
に対して、450〜1000重量部、好ましくは600〜900重量
部の割合で用いられる。これより少ない割合で用いられ
ると、エンコーダとしての磁力が十分でなくなり、一方
これより多い割合で用いられると、成形物の柔軟性が著
しく悪化するようになる。
【００１３】以上のゴム組成物には、必要に応じて、補
強材、老化防止剤、可塑剤、加工助剤、架橋剤、架橋助
剤などが配合されて用いられ、その加硫は、用いられる
ゴムについて行われている通常の方法に従って行われ
る。
【００１４】このゴム組成物からなる加硫成形物とエン
コーダ金属環との接着に用いられる接着剤としては、市
販のフェノール樹脂、エポキシ樹脂などが用いられ、金
属としては、ステンレス、冷間圧延鋼鈑などが用いられ
る。
【００１５】
【発明の効果】従来の磁性粉配合ゴムに、固形ゴムと反
応し得る液状ゴムを配合することによって、磁性粉本来
の高い磁力を保持しながら、かつゴム本来の物性を損な
うことなく、ゴムコンパウンドの粘度を低く抑え、加工
性を改良し、耐熱性および成形性の柔軟性を保つことが
できる。このゴム組成物は、センサ用ゴム磁石として、
車輪速センサ等のエンコーダの部位に用いられる磁気エ
ンコーダとして、好適に用いられる。
【００１６】
【実施例】次に、本発明を実施例により本発明を説明す
るが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるも
のではない。
【００１７】 実施例1〜3、比較例1〜3 実 施 例 比 較 例 １ ２ ３ １ ２ ３ 固形NBR(日本合成ゴム製品N220S 90 80 70 100 100 100 ニトリル含量：41％) 液状NBR(日本ゼオン製品Nipol 1312 10 20 30 0 0 0 ニトリル含量：28％、 B型粘度(70℃)：6000cps) Srフェライト(戸田工業製品FM-201) 800 800 800 450 800 800 活性亜鉛華 3 3 3 3 3 3 老化防止剤 2 2 2 2 2 2 (大内新興化学製品ノクラックCD) 加工助剤(ステアリン酸) 2 2 2 2 2 2 可塑剤(旭電化製品RS700) 5 5 5 5 5 20 イオウ 0.8 0.8 0.8 0.8 0.8 0.8 架橋助剤 2 2 2 2 2 2 (大内新興化学製品ノクセラーTT) 架橋助剤 1 1 1 1 1 1 (大内新興化学製品ノクセラーCZ) 以上の各成分を、密閉式混練機およびオープンロールに
て混練し、170℃、15分で圧縮成形し、厚さ2mmの試験サ
ンプルを作製した。
【００１８】試験サンプルについて、以下の各項目の試
験を行った。 常態物性：JIS K6251、JIS K6253準拠 ムーニー粘度Vm：JIS K6200の用語の定義による 成形時割れ：120mm×240mm×2mmのシートを成形し、離
型時の割れを測定 接着性試験：JIS K6256 5項 90゜剥離法に準拠 磁力：ハンディガウスメーターを用いて、2mm厚、29mm
径の試料中央部における最小値を測定(2kV-1200μF着
磁) 耐熱性：120℃、70時間後の硬さ変化を測定(JIS 4号ダ
ンベルで打ち抜いた試験片で試験) 縮み率：5mm×100mmの試験片について、175℃、70時間
後の長さ方向の縮み率を測定
【００１９】以上の各実施例および各比較例で得られた
測定結果は、混練物のムーニー粘度(125℃)と共に、次
の表に示される。 表 実 施 例 比 較 例 測 定 項 目 １ ２ ３ １ ２ ３ 常態値 硬さ (Duro A) 87 81 78 86 94 80 引張強さ (MPa) 2.4 1.7 1.1 4.5 2.7 0.8 伸び (％) 350 570 780 260 370 620 ムーニー粘度 Vm 58 34 18 60 100> 32 成形時割れ (割れ個数／全個数) 0/10 0/10 0/10 0/10 8/10 0/10 接着性試験 ゴム残率 (％) 100 100 100 100 100 60 磁力 (G) 108 107 107 88 105 101 耐熱性 硬さ変化 (ポイント) +4 +7 +7 +6 +2 +10 縮み率 (％) 2.9 3.5 4.0 9.0 3.1 8.3
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成１４年１２月１７日（２００２．１２．
１７）
【手続補正１】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の名称
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の名称】 ゴム組成物
【手続補正２】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正３】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】００１１
【補正方法】変更
【補正内容】
【００１１】磁性粉としては、一般にフェライト磁石や
希土類磁石が少なくとも一種用いられるが、好ましくは
コストが安いことおよびゴムとの密着性がよいことよ
り、磁力は希土類磁石にくらべると低いもののフェライ
ト磁石が用いられ、さらに好ましくは磁力の観点からス
トロンチウムフェライトSrO・6Fe2O3またはバリウムフ
ェライト BaO・6Fe 2O3 が用いられる。これらの磁性粉
は、磁性粉20gに5重量％PVA水溶液1.5mlを加えて直径2
5.4mmの円筒金型に入れ、1トン／cm2の圧力で加圧成形
して試料を作成し、直流磁化測定機で残留磁束密度Brと
保持力iHcを測定したときの圧粉磁性で、Brが1600(G)以
上で、iHcが3000(Oe)以上のものを用いることが好まし
い。
【手続補正４】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】００１７
【補正方法】変更
【補正内容】
【００１７】 実施例1〜3、比較例1〜3 実 施 例 比 較 例 １ ２ ３ １ ２ ３ 固形NBR(日本合成ゴム製品N220S 90 80 70 100 100 100 ニトリル含量：41％) 液状NBR(日本ゼオン製品Nipol 1312 10 20 30 0 0 0 ニトリル含量：28％、 B型粘度(70℃)：6000cps) Srフェライト(戸田工業製品FM-201) 800 800 800 450 800 800 活性亜鉛華 3 3 3 3 3 34,4′-ビス(α,α-ジメチルベンジル) 2 2 2 2 2 2 ジフェニルアミン老化防止剤 (大内新興化学製品ノクラックCD) 加工助剤(ステアリン酸) 2 2 2 2 2 2ポリエーテル系 可塑剤 5 5 5 5 5 20 (旭電化製品RS700) イオウ 0.8 0.8 0.8 0.8 0.8 0.8テトラメチルチウラムジスルフィド 2 2 2 2 2 2 架橋助剤 (大内新興化学製品ノクセラーTT)N-シクロヘキシル-2- 1 1 1 1 1 1 ベンゾチアジルスルフェンアミド 架橋助剤 (大内新興化学製品ノクセラーCZ) 以上の各成分を、密閉式混練機およびオープンロールに
て混練し、170℃、15分で圧縮成形し、厚さ2mmの試験サ
ンプルを作製した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 2F077 CC02 NN08 NN18 VV11 VV33 4J002 AC071 AC072 BB151 BB152 BD121 BD122 BG041 DE116 FD206 GR02 5E040 AA04 AB05 BB03 CA01 HB17 NN06

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 固形ゴム70〜95重量％および固形ゴムと
    反応し得る液状ゴム30〜5重量％よりなるゴム混合物100
    重量部に対し、450〜1000重量部の磁性粉を添加してな
    るゴム組成物。
  2. 【請求項２】 固形ゴムが固形NBRであり、液状ゴムが
    液状NBRである請求項１記載のゴム組成物。
  3. 【請求項３】 ニトリル含量が35〜45％の固形NBRが用
    いられた請求項2記載のNBR組成物。
  4. 【請求項４】 B型粘度(70℃)が4000〜12000cpsの液状
    ゴムが用いられた請求項1記載のゴム組成物。
  5. 【請求項５】 B型粘度(70℃)が4000〜8000cpsでかつニ
    トリル含量が26〜32％の液状NBRが用いられた請求項2記
    載のNBR組成物。
  6. 【請求項６】 磁性粉がフェライト磁石および希土類磁
    石の内の一種以上からなる請求項1記載のゴム組成物。
  7. 【請求項７】 フェライト磁石がストロンチウムフェラ
    イトまたはバリウムフェライトである請求項6記載のゴ
    ム組成物。
  8. 【請求項８】 センサ用ゴム磁石の加硫成形用材料とし
    て用いられる請求項1記載のNBR組成物。
  9. 【請求項９】 センサ用ゴム磁石が磁気エンコーダに用
    いられる請求項8記載のゴム組成物。
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