JP2003154437A - 鋳造用金型およびその製造方法 - Google Patents

鋳造用金型およびその製造方法

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JP2003154437A JP2001349928A JP2001349928A JP2003154437A JP 2003154437 A JP2003154437 A JP 2003154437A JP 2001349928 A JP2001349928 A JP 2001349928A JP 2001349928 A JP2001349928 A JP 2001349928A JP 2003154437 A JP2003154437 A JP 2003154437A
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知暁 瀬羅
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正英 海野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐溶損性に優れた鋳造用金型およびその製造方
法の提供。 【解決手段】質量%で、C:0.1〜0.6%、Mn:0.1〜2
%、Cr:1〜7%およびMo:0.1〜4%を含有し、Si含有量
が下記の(1)式で示される範囲内にある鋳造用金型であ
って、少なくとも溶融金属と接触する表面に厚さ0.2〜3
0μmのスピネル構造の酸化被膜を備える鋳造用金型。
ただし、(1)式中の[Cr]は、(2)式によって求められる
マトリックス中の固溶Cr量(質量%)であり、(2)式中
の各元素記号は、それぞれの元素の含有量(質量%)を
示す。 Si≦(2.7/[Cr])−0.43 …(1) [Cr]=−0.68C+0.72Cr+0.35C+0.020Cr−0.38C×Cr+0.76 …(2) この金型は、500〜600℃で加熱処理することにより製造
することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低圧鋳造、重力鋳
造等の非鉄金属鋳造に用いられる金型およびその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】Al、Mg、Znの各単体金属またはこれらの
合金等の非鉄金属製品の成形方法の一つに金型鋳造法が
あるが、このような鋳造用金型には、鋳造時の溶損に対
する抵抗性が要求される。特に、溶融Alは、ほとんどの
金属材料との反応性が高いため、溶融Alを金型鋳造によ
って成型する場合には、金型の内面側が溶損を受けやす
い。
【0003】このような鋳造用金型の溶損を防止する種
々の技術が提案されている。例えば、特開平6-179045号
公報には、鋳造空間の狭隘部を形成する部分にセラミッ
ク溶射を施した鋳造金型が提案されている。しかし、セ
ラミックス系の材料は、金属材料と比較して価格が高
く、セラミック溶射によって金型が歪む場合もある。
【0004】特開平8-144039号公報には、所定の化学成
分を有し、表面に浸炭処理を施すか、更に窒化処理、硼
化処理を施した鋳造用金型または接溶湯部材が提案され
ている。これにより耐溶損性は向上するが、更なる向上
が求められている。
【0005】特開平9-111417号公報には、Cr:25〜35
%、Al:4〜8%を含む鋼材の表面にAl を主体とす
る被膜を形成させた金属溶湯接触部材が提案されてい
る。しかし、この鋼材ではAlを多量に含有させる必要が
あるため、金型製造時に地きずが発生しやすい。また、
鋼材表面にAlを主体とする被膜を形成させるため
に1000〜1300℃の酸化雰囲気中で加熱保持する必要があ
り、このような高温下では金型が歪むおそれがある。
【0006】特開2000-219954号公報では、Si:2〜10%
を含有する鉄基合金材または鉄基合金材肉盛層の表面を
酸化させて、珪素酸化物を多量に含む酸化被膜が2〜20
μmである溶融アルミニウム用耐食性部材が提案されて
いる。しかし、Si:2〜10%を含有するため、高温強度
および靱性が低いという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、複雑
な熱処理工程を伴うことなく、金型が歪まない600℃以
下という低温で酸化処理を施すだけで製造できる耐溶損
性に優れた鋳造用金型およびその製造方法を提供するこ
とにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は下記の鋳造用金
型およびその製造方法を要旨とする。
【0009】質量%で、C:0.1〜0.6%、Mn:0.1〜2
%、Cr:1〜7%およびMo:0.1〜4%を含有し、Si含有量
が下記の(1)式で示される範囲内にある鋳造用金型であ
って、少なくとも溶融金属と接触する表面に厚さ0.2〜3
0μmのスピネル構造の酸化被膜を備える鋳造用金型。
ただし、(1)式中の[Cr]は、下記の(2)式によって求め
られるマトリックス中の固溶Cr量(質量%)であり、
(2)式中の各元素記号は、それぞれの元素の含有量(質
量%)を示す。 Si≦(2.7/[Cr])−0.43 …(1) [Cr]=−0.68C+0.72Cr+0.35C+0.020Cr−0.38C×Cr+0.76 …(2)
【0010】質量%で、C:0.1〜0.6%、Mn:0.1〜2
%、Cr:1〜6%およびMo:0.1〜4%を含有し、Si含有量
が下記の(3)式で示される範囲内にある鋳造用金型であ
って、少なくとも溶融金属と接触する表面に厚さ0.2〜3
0μmのスピネル構造の酸化被膜を備える鋳造用金型。
ただし、(3)式中の[Cr]は、上記の(2)式によって求め
られるマトリックス中の固溶Cr量(質量%)である。 0.1≦Si≦(2.7/[Cr])−0.43 …(3)
【0011】なお、上記のまたはの鋳造用金型は、
Cu:2%以下およびNi:2%以下から選択される一種また
は二種、または/ならびに、W:2%以下、Nb:1%以
下、Co:4%以下、V:1.5%以下、Zr:1%以下およびT
i:1%以下から選択される一種以上を含み、残部がFeお
よび不純物からなるのが望ましい。
【0012】上記のまたはに記載の化学組成を有
する鋼に金型の形状とする加工を施した後、500〜600℃
の加熱処理を施すことにより、少なくとも溶融金属と接
触する表面に厚さ0.2〜30μmのスピネル構造の酸化被
膜を形成させることを特徴とする上記のまたはに記
載の鋳造用金型の製造方法。
【0013】
【発明の実施の形態】まず、本発明の鋳造用金型の化学
成分の範囲およびその限定理由を述べる。以下の説明に
おいて、各成分の含有量の%は質量%を意味する。
【0014】(A)C:0.1〜0.6% Cは、鋼の軟化抵抗を上げるのに有効な元素である。こ
の効果を得るためには、その含有量を0.1%以上とする
必要がある。しかし、その含有量が0.6%を超えると、
炭化物が過剰に形成し、靱性の低下を引き起こす。従っ
て、Cの含有量を0.1〜0.6%とした。
【0015】(B)Mn:0.1〜2% Mnは、鋼の焼入性を向上させて靱性を高めるのに有効な
元素である。この効果を得るためには、その含有量を0.
1%以上とする必要がある。しかし、その含有量が2%を
超えると、偏析して靱性の低下や高温強度の低下を招
く。従って、Mnの含有量を0.1〜2%とした。
【0016】(C)Cr:1〜7% Crは、金型表面にスピネル構造〔(Fe、Cr)、以
下同じ。〕の酸化被膜を形成させる元素である。スピネ
ル構造の酸化被膜は、Feの酸化被膜と比較して母
材との密着性に優れる。このようなスピネル構造の酸化
被膜を金型表面に形成させるためには、Cr含有量を1%
以上とする必要がある。一方、その含有量が7%を超え
ると、金型表面に形成される酸化被膜がCr主体の
ものとなり、スピネル構造の酸化被膜を得ることができ
ない。Cr主体の酸化被膜は、金型表面に形成され
てもその膜厚が薄いため、溶融金属による溶損を防止す
る効果が得られない。従って、Crの含有量を1〜7%とし
た。望ましくは、1〜6%である。
【0017】(D)Mo:0.1〜4% Moは、炭化物を形成して金型の高温強度を向上させるの
に有効な元素である。この効果を得るためには、その含
有量を0.1%以上とする必要がある。しかし、その含有
量が4%を超えると、炭化物が過剰に生成して靱性の低
下を招く。従って、Moの含有量を0.1〜4%とした。望ま
しいのは0.2〜3%である。
【0018】(E)Si含有量が下記の(1)式で示される
範囲内にあること 一般に、Siの含有量を増加させると、酸化被膜の密着性
が向上するといわれているが、本発明者らの研究によっ
て、表面にスピネル構造の酸化被膜を形成させる場合に
は、Siの含有量は、むしろ低減させた方が母材と酸化被
膜の密着性を向上できることが明らかとなった。下記の
(1)および(2)は、母材とその表面に形成されたスピネル
構造の酸化被膜の密着性について検討を重ねた結果得ら
れたものである。ただし、(1)式中の[Cr]は、(2)式に
よって求められるマトリックス中の固溶Cr量(質量%)
であり、(2)式中の各元素記号は、それぞれの元素の含
有量(質量%)を示す。 Si≦(2.7/[Cr])−0.43 …(1) [Cr]=−0.68C+0.72Cr+0.35C+0.020Cr−0.38C×Cr+0.76 …(2)
【0019】本発明においては、後述するように、金型
が歪まない低温域(600℃以下)の加熱処理によって、
鋳造用金型の表面、特に、溶融金属と接触する表面に、
所定の厚さのスピネル構造の酸化被膜を形成させる。低
温域の加熱処理によってもスピネル構造の酸化被膜の厚
さを増加させるためには、マトリックス中の固溶Cr量、
即ち、上記の(2)式で示される[Cr]を減少させること
が重要である。しかし、Siの含有量が多いと金型の母材
表面にSiOが形成されるので、スピネル構造の酸化被
膜は、形成されにくくなり、その厚さを所望の厚さとす
ることができなくなる。また、スピネル構造の酸化被膜
中にSiOが多量に含まれると、金型母材とスピネル構
造の酸化被膜との熱膨張率の差が大きくなり、非鉄金属
材料の鋳造時に酸化被膜が剥離しやすくなる。
【0020】従って、上記の(2)式で示される[Cr]量
を減少させて、スピネル構造の酸化被膜を厚くしやすい
状態にすれば、ある程度の含有量のSiを許容できるが、
[Cr]量が増加した場合には、酸化被膜を厚くし難い状
態となるので、Si含有量を極限まで低減する必要があ
る。即ち、Si含有量は、上記の(1)式で示される範囲内
に制限することとした。
【0021】ただし、金型中のSi含有量を低減しすぎる
と、金型の被削性を劣化させる。従って、切削等の加工
により成形される鋳造用金型の場合には、Cr含有量を1
〜6%の範囲とし、さらに、Si含有量を0.1%以上含有さ
せるのが望ましい。即ち、Si含有量は、下記の(3)式で
示される範囲内であるのが望ましい。ただし、(3)式中
の[Cr]は、前記の(2)式によって求められるマトリッ
クス中の固溶Cr量(質量%)である。 0.1≦Si≦(2.7/[Cr])−0.43 …(3)
【0022】(F)本発明の鋳造用金型には、靱性を向
上させることを目的として、Cu:2%以下およびNi:2%
以下から選択される一種または二種を含有させてもよ
い。
【0023】CuおよびNiはいずれも、金型の靱性を向上
させるのに有効な元素である。従って、本発明の鋳造用
金型に含有させてもよい。その場合、Cuは0.6%以上、N
iは0.3%以上とするのが望ましい。しかし、いずれの元
素も、その含有量が2%を超えると、高温強度を低下さ
せる。特に、Niは酸化しにくい元素であるため、その含
有量が2%を超える場合には、金型の母材表面に濃化する
と酸化被膜の形成を阻害する。従って、Cu、Niを含有さ
せる場合の含有量をいずれも2%以下とした。なお、Cu
およびNiの両方を含有させる場合にはCuチェッキングを
抑制する観点からNi≧0.25Cuとなるようにそれぞれの含
有量を調整するのが望ましく、Ni≧0.5Cuとなるように
調整するのが最も望ましい。
【0024】(G)本発明の鋳造用金型には、高温強度
を向上させることを目的として、W:2%以下、Nb:1%
以下、Co:4%以下、V:1.5%以下、Zr:1%以下およ
びTi:1%以下から選択される一種以上を含有させても
よい。
【0025】W、Nb、Co、V、ZrおよびTiは、いずれも
炭化物を形成して、金型の高温強度を向上させるのに有
効な元素である。従って、これらの元素の内から選択さ
れる一種以上を本発明の鋳造用金型に含有させてもよ
い。その場合、Wは0.4%以上、Nbは0.2%以上、Coは0.
2%以上、Zrは0.2%以上、Tiは0.05%以上とするのが望
ましい。しかし、これらの元素の含有量が過剰な場合に
は、炭化物の量が多くなりすぎて、靱性を低下させる。
従って、これらの元素を含有させる場合の含有量の上限
をそれぞれ上記のように定めた。望ましくは、W:1%
以下、Nb:0.5%、Co:2%、V:1%以下である。
【0026】なお、Vは、Crよりも酸化しやすい元素で
あるため、上記の効果に加え、Crが酸化されて金型表面
にCrが生成するのを抑制する効果を有する。従っ
て、Vは0.4%以上含有させるのが望ましい。しかし、
Vが不純物中のNと窒化物を形成すると焼入れ加熱時の
固溶V量が減少する。固溶V量が少ないと焼戻し時に2
次析出するV炭窒化物の量が減少して、高温強度を低下
させる。これを防止するためにはBを含有させるのが有
効であるが、0.0100%を超えて含有させると靱性を低下
させる。従って、本発明の鋳造用金型にBを含有させて
もよいが、その含有量は0.0100%以下とするのが望まし
い。
【0027】本発明の鋳造用金型を構成する鋼の不純物
中のPは0.02%以下、Sは0.003%以下、Nは0.1%以下
およびAlは0.2%以下に制限するのが望ましい。
【0028】(H)本発明の鋳造用金型は、少なくとも
溶融金属と接触する表面に存在する酸化被膜がスピネル
構造の酸化被膜であることが必要である。「酸化被膜が
スピネル構造の酸化被膜であること」とは、酸化被膜が
(Fe、Cr)を主体とする酸化被膜であることをい
う。これは、上述したとおり、溶融金属と接触する表面
に形成される酸化被膜がFe主体のものである場合
には、金型と酸化被膜との密着性が悪く、Cr主体
のものである場合には、溶損を防止するのに有効な厚さ
の酸化被膜とはならないからである。また、スピネル構
造の酸化被膜は、低温の加熱処理によって生成するの
で、酸化被膜を形成させる過程において金型が歪むこと
はない。従って、本発明の鋳造用金型においては、溶融
金属と接触する表面にスピネル構造の酸化被膜を形成さ
せることとした。
【0029】なお、溶融金属と接触しない表面には、ス
ピネル構造の酸化被膜を形成させても良いし、形成させ
なくても良い。これは、溶融金属と接触しない表面に
は、溶損が発生しにくいからである。また、金型表面に
形成させたスピネル構造の酸化被膜の上に、更に、Fe
等の酸化被膜が生成していても良い。
【0030】(I)スピネル構造の酸化被膜の厚さは、
0.2〜30μmでなければならない。 溶融金属と接触する表面に存在するスピネル構造の酸化
被膜の厚さが0.2μm未満の場合には、溶損を防止する
被膜としては薄すぎるので、金型表面に溶融金属による
溶損が進行する。一方、その厚さが30μmを超えると、
酸化被膜自体が剥離しやすくなり、金型表面に溶融金属
による溶損が進行するおそれがある。従って、溶融金属
と接触する表面に存在するスピネル構造の酸化被膜の厚
さは、0.2〜30μmの範囲内とした。望ましいのは、0.5
〜20μmである。
【0031】(J)本発明の鋳造用金型の製造方法につ
いて 本発明の鋳造用金型は、所定の化学成分に調整した鋼を
通常の条件で溶解、鍛造(例えば、鍛造温度:900〜130
0℃)した後、これを切削加工、放電加工等により金型
の形状に加工し、これに所定の硬さ、強度を持たせるべ
く焼入れ焼戻し処理を施し、仕上げ加工を行った後に、
低温加熱処理を実施することによって作製する。焼入れ
焼戻し処理は、例えば、金型を880〜1060℃の温度で0.5
〜3時間保持した後、放冷、油冷またはガス冷し、その
後、500〜650℃の温度で焼戻し処理を行えばよい。
【0032】ここで、「低温加熱処理」とは、所定の厚
さの酸化被膜を形成でき、かつ金型が歪むことがない程
度の低温で行う大気加熱処理または水蒸気雰囲気加熱処
理をいう。具体的には、500〜600℃の温度範囲で行うの
がよい。これは、加熱処理の温度が500℃未満の場合に
は、スピネル構造の酸化被膜を形成するのに長時間を要
し、加熱処理の温度が600℃を超える場合には、加熱処
理の最中に金型が歪むおそれがあるからである。加熱時
間は、金型表面に十分な厚さのスピネル構造の酸化被膜
を形成させるためには、3時間以上であるのが望まし
い。また、硬質層を形成させるために、前処理として窒
化処理を行ってもよい。
【0033】
【実施例】表1に示す化学組成を有する合金150kgを真
空溶解炉で溶製し、得られた鋳塊を機械加工によって所
定の形状に加工して供試材とした。この供試材に1050℃
×1時間の焼入れ処理および500℃×4時間の焼戻処理を
施した後、比較例6および本発明例2については、530℃
×6時間のガス窒化処理および560℃×16時間の大気中加
熱処理を施し、その他の実施例については、550℃×3時
間の大気中加熱処理を施した。
【0034】
【表1】
【0035】加熱処理後の各供試材から外径20mm、長さ
100mmの試験片を採取し、この質量を測定した(この質
量をM1とする)。更に、この試験片をAl-7%Si-0.3%
Mgの溶湯(温度:720℃)中で、移動速度を4.4m/minと
して5時間移動させた後、付着した溶湯をNaOHで除去し
た後の試験片の質量を測定した(この質量をM2とす
る)。これらの測定値を下記の式に代入して溶損率を計
算した。これを表2に示す。 (溶損率)={(M1−M2)/M1}×100(%)
【0036】続いて、比較例6および本発明例1〜6につ
いては、下記の要領で酸化被膜の耐剥離性試験を実施し
た。即ち、上記の試験片を550℃に保持した電気炉で3秒
間加熱した後に水冷により室温まで冷却(室温になるま
での所要時間4秒)するのを1サイクルとし、これを5
サイクル繰り返した後に、酸化被膜が剥離した部分の長
さを測定し、比較例6の剥離量を1としたときの本発明
例1〜6のそれぞれの剥離量を表2に併記した。
【0037】
【表2】
【0038】表2に示すように、本発明例1〜6は、比較
例1〜5と比較して、スピネル構造の酸化被膜が厚く、溶
損率が低い。比較例6は、本発明例1〜6と同様の耐溶損
性を示したが、本発明例1〜6と比較して酸化被膜が剥離
し易いため、繰り返しの使用に耐えるものではない。こ
れは、比較例6は、窒化処理および長時間の酸化加熱処
理によって、その表面に厚い酸化被膜を形成したため、
溶損率は低かったが、Si含有量が本発明で規定される範
囲を超えるため、母材と酸化被膜との熱膨張率の差が大
きく、これによって、酸化被膜が剥離しやすくなったか
らである。
【0039】
【発明の効果】本発明の鋳造用金型は、耐溶損性に優れ
るので、耐久寿命を向上させることができる。また、ス
ピネル構造の酸化被膜は、低温の加熱処理によって形成
させることができるので、製造時に金型が歪むという問
題は発生しない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22C 38/38 C22C 38/38 38/58 38/58 C23C 8/10 C23C 8/10 (72)発明者 海野 正英 大阪府大阪市此花区島屋5丁目1番109号 住友金属工業株式会社関西製造所製鋼品 事業所内 (72)発明者 五十嵐 正晃 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 Fターム(参考) 4E092 FA10 GA10 4E093 NB09

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】質量%で、C:0.1〜0.6%、Mn:0.1〜2
    %、Cr:1〜7%およびMo:0.1〜4%を含有し、Si含有量
    が下記の(1)式で示される範囲内にある鋳造用金型であ
    って、少なくとも溶融金属と接触する表面に厚さ0.2〜3
    0μmのスピネル構造の酸化被膜を備える鋳造用金型。
    ただし、(1)式中の[Cr]は、(2)式によって求められる
    マトリックス中の固溶Cr量(質量%)であり、(2)式中
    の各元素記号は、それぞれの元素の含有量(質量%)を
    示す。 Si≦(2.7/[Cr])−0.43 …(1) [Cr]=−0.68C+0.72Cr+0.35C+0.020Cr−0.38C×Cr+0.76 …(2)
  2. 【請求項2】質量%で、C:0.1〜0.6%、Mn:0.1〜2
    %、Cr:1〜6%およびMo:0.1〜4%を含有し、Si含有量
    が下記の(3)式で示される範囲内にある鋳造用金型であ
    って、少なくとも溶融金属と接触する表面に厚さ0.2〜3
    0μmのスピネル構造の酸化被膜を備える鋳造用金型。
    ただし、(3)式中の[Cr]は、(2)式によって求められる
    マトリックス中の固溶Cr量(質量%)であり、(2)式中
    の各元素記号は、それぞれの元素の含有量(質量%)を
    示す。 0.1≦Si≦(2.7/[Cr])−0.43 …(3) [Cr]=−0.68C+0.72Cr+0.35C+0.020Cr−0.38C×Cr+0.76 …(2)
  3. 【請求項3】さらに、質量%で、Cu:2%以下およびN
    i:2%以下から選択される一種または二種を含み、残部
    がFeおよび不純物からなる請求項1または2のいずれか
    に記載の鋳造用金型。
  4. 【請求項4】さらに、質量%で、W:2%以下、Nb:1%
    以下、Co:4%以下、V:1.5%以下、Zr:1%以下およ
    びTi:1%以下から選択される一種以上を含み、残部がF
    eおよび不純物からなる請求項1または2のいずれかに
    記載の鋳造用金型。
  5. 【請求項5】さらに、質量%で、Cu:2%以下およびN
    i:2%以下から選択される一種または二種、ならびに
    W:2%以下、Nb:1%以下、Co:4%以下、V:1.5%以
    下、Zr:1%以下およびTi:1%以下から選択される一種
    以上を含み、残部がFeおよび不純物からなる請求項1ま
    たは2のいずれかに記載の鋳造用金型。
  6. 【請求項6】請求項1から5までのいずれかに記載の化
    学組成を有する鋼に金型の形状とする加工を施した後、
    500〜600℃の加熱処理を施すことにより、少なくとも溶
    融金属と接触する表面に厚さ0.2〜30μmのスピネル構
    造の酸化被膜を形成させることを特徴とする請求項1か
    ら5までのいずれかに記載の鋳造用金型の製造方法。
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