JP2006322042A - 超高硬度高耐摩窒化鋼 - Google Patents

超高硬度高耐摩窒化鋼 Download PDF

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祐司 島谷
Naozumi Yoshida
直純 吉田
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Abstract

【課題】表面が超硬合金なみの硬さと優れた耐摩耗性を有し、内部は高速度工具鋼又は合金工具鋼の焼入焼き戻し硬さと靭性を有する材料を提供。
【解決手段】それぞれ重量%で、C :0.1 〜2.7 %、Si:2.5 %以下、Mn:2 %以下、Cr:0.3 〜20%、Mo:12%以下、 W:20%以下、V:0.4 〜15%、Co:20%以下、及び、N :150ppm以下、を含み、さらにAl又はTiを0.15〜2.50%を含み、残余がFe及び不可避不純物よりなり、鋼中のN量とAl量の関係が、〔Al(%)〕×667 −〔N( ppm)〕≧0 であるか、又は、鋼中のN量とTi量の関係が、〔Ti(%)〕×667 −〔N( ppm)〕≧0 、であり、かつ、焼入焼戻し熱処理、研削加工後に、さらに窒化処理を施すことにより、表面近傍にAlN又はTiNという硬質の化合物を分散析出させ、表面のみ1150HVという超硬合金なみの表面硬さと耐摩耗性を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、金型、刃物、工具及び機械部品に用いる表面が超硬合金なみの硬さと優れた耐摩耗性を有し、内部は高速度工具鋼又は合金工具鋼の焼入焼き戻し硬さと靭性を有する超高硬度高耐摩窒化鋼に関する。
従来の大きな摩耗を受ける、又は高い寿命を要求される、パンチ、ダイなどの金型、断裁刃などの刃物、ホブ、エンドミル、スローアウェイチップなどの切削工具、ピン、シャフトなどの機械部品として、高速度工具鋼や合金工具鋼では硬さや耐摩耗性が不足するので、通常、硬さが1150HV以上あり、耐摩耗性に優れた超硬合金が広く使用されている。AlやTi等Nと硬質の窒化物を形成する成分を含まない鋼は、窒化処理を実施しても表面硬さが1150HVまで硬くなることはない。
窒化処理の種類としては、ガス窒化法、塩浴窒化法、タフトライド法、プラズマ窒化法等があるが、ガス窒化法やタフトライド法は処理による製品の変形が極めて少ない。
また、特許文献1には、窒化処理で表面硬度を上げる鋼として、極めて高い窒化層硬度及び窒化層軟化抵抗性を有する温熱間加工用窒化金型が開示されている。
特開2001-73087号公報
超硬合金は硬くて耐摩耗性が優れている一方、靭性が不足しており、シャープエッジ部分や刃先部などの非常に細い部分で、割れやチッピングが発生し易く、その結果、金型、刃物、工具及び機械部品の寿命低下をもたらすことが多い。また、超硬合金は非常に高価な材料であり、特に大きなホブやシャフトなどでは材料費がかさむという問題がある。さらに、超硬合金は、硬質で脆いため非常に加工し難い材料であり、ダイヤモンド砥石などによる高価な工具での研削加工が必要で、かつ、マッチングの良いダイヤモンド砥石、研削盤、研削冶具の選定、高精度な研削条件設定や研削作業ノーハウを必要とした。
また、従来の焼入焼き戻しのみを実施した高速度工具鋼や合金工具鋼の表面の硬さを1150HV以上に硬くするため、TiN やCrN コーティングする方法もあるが、高速度工具鋼や合金工具鋼の焼入焼き戻し硬さは通常950 HV以下であって硬さの差が200 HV以上と大きいため、衝撃などにより剥離することがあった。金型、刃物、工具及び機械部品の寿命のさらなる向上のためには、耐摩耗性、耐熱性、耐酸化性に優れたコーティング膜が必要であり、コーティング膜の剥離が発生しない、コーティング膜との相性の良い材料が要求されている。
本発明の課題は上記問題点に鑑みて、超硬合金に代わる割れやチッピングの少ない、安価で加工し易い、さらにはコーティング膜との相性の良い金型、刃物、工具及び機械部品に用いる超高硬度高耐摩窒化鋼を提供することにある。
本発明者等は、超硬合金に代わる割れやチッピングの少ない、安価で加工し易い、さらにはコーティング膜との相性の良い金型、刃物、工具及び機械部品に用いる材料を得るためには、高速度工具鋼又は合金工具鋼において、組成成分を適正適正範囲に限定し、材料中にアルミニウム又はチタンを限定量含有させると同時に、材料中のN量を限定量以下とし、焼入焼戻し熱処理、研削加工後に、さらに窒化処理を施すことにより、表面近傍にAlN又はTiNという硬質の化合物を分散析出することで得ることができることを知得した。即ち、超硬合金なみの表面硬さと耐摩耗性を有し、内部は高速度工具鋼又は合金工具鋼の焼入焼き戻し硬さと靭性を有する、割れやチッピングの少ない、安価で加工し易い、さらにはコーティング膜との相性の良い金型、刃物、工具及び機械部品に用いる材料を得るためには、もともと焼入焼戻し熱処理により 700HV以上の焼入焼戻し硬さを得ることができる高速度工具鋼又は合金工具鋼の中のN 量を150ppm以下に限定し、かつ、Al量を0.15〜2.50%含有させるか、又は、Ti量を0.15〜2.50%含有させた材料を焼入焼戻し熱処理、研削加工後に、窒化処理を施すことにより表面近傍にAlN又はTiNという硬質の化合物を分散析出させ、表面のみ1150HVという超硬合金なみの表面硬さと耐摩耗性を有し、内部は高速度工具鋼又は合金工具鋼の焼入焼き戻し硬さと靭性を有する材料が得られることを知得した。
また、この材料は、表面が1150HVと非常に硬いため、PVDによるチタン含有、クロム含有、アルミニウム含有もしくはバナジウム含有のセラミックコーティングの一種または二種以上の複合膜との相性が良く、さらに優れた性能を発揮することを知得した。
かかる知得に基づいて本発明においては、高速度工具鋼又は合金工具鋼における金型、刃物、工具及び機械部品に用いる材料において、それぞれ重量%で、C :0.1 〜2.7 %、Si:2.5 %以下、Mn:2 %以下、Cr:0.3 〜20%、Mo:12%以下、 W:20%以下、V:0.4 〜15%、Co:20%以下、及び、N :150ppm以下、を含み、さらにAl又はTiを0.15〜2.50%を含み、残余がFe及び不可避不純物よりなり、鋼中のN量とAl量の関係が、〔Al(%)〕×667 −〔N( ppm)〕≧0 であるか、又は、鋼中のN量とTi量の関係が、〔Ti(%)〕×667 −〔N( ppm)〕≧0 、であり、かつ、焼入焼戻し熱処理、研削加工後に、さらに窒化処理を施すことにより、表面近傍にAlN又はTiNという硬質の化合物を分散析出させ、表面のみ1150HVという超硬合金なみの表面硬さと耐摩耗性を有し、内部は高速度工具鋼の焼入焼き戻し硬さと靭性を有することを特徴とする金型、刃物、工具及び機械部品に用いる高速度工具鋼又は合金工具鋼を提供することによって上記課題を解決した。
以上述べた通り、本発明においては、金型、刃物、工具及び機械部品に用いる高速度工具鋼又は合金工具鋼において、組成成分を適正適正範囲に限定し、鋼中のN量とAl量の関係、又は、N量とTi量の関係を適性範囲に限定し、かつ、焼入焼戻し熱処理、研削加工後に、窒化処理を施すことにより、表面近傍にAlN又はTiNという硬質の化合物を分散析出させ、表面硬さ1150HVという、超硬合金なみの表面硬さと耐摩耗性を有し、内部は高速度工具鋼又は合金工具鋼の焼入焼戻し硬さと靭性を有する材料を得ることができた。さらに、PVDによるチタン系膜との相性も良く、金型のワークに接触する部分に、PVDによるチタン系もしくはチタン−合金系セラミックコーティングの一種又は二種以上の複合膜を施すことにより、より耐摩耗性、耐チッピング性、耐熱性が向上し、より優れたものとなった。したがって、本発明鋼は金型、刃物、工具及び機械部品全般の寿命改善、品質改善には非常に有効であり、今後、超硬合金等に代わる、超高硬度高耐摩用途に優れた性能を発揮するものとなった。
好ましくは、さらに、 Nb :1.5 %以下、B :0.5 %以下、Zr:1 %以下、又は、希土類元素REM(La、Ce、Y):1 %以下、のいずれか1を含むことが好ましい。
かつ前記の窒化処理の種類がガス窒化やタフトライド処理などの処理による変形量の少ない窒化処理を施すことにより、窒化処理後の研削加工が不要であり、ショットやバレル研磨を施すだけで、そのまま製品となる窒化処理が施されていることがよく、さらに、前記の材料の表面に、PVDによるチタン含有、クロム含有、アルミニウム含有もしくはバナジウム含有のセラミックコーティングの一種または二種以上の複合膜が施されてもよい。さらに好ましくは、前記の材料は、エレクトロスラグ溶解法により、不活性雰囲気によるO2 、N2 を含むガス成分の溶鋼への浸入を防止し、かつ溶解速度を100 〜800kg/h 、鋼塊外径を電極外径で割った比率を1.2 〜1.7 に保持し、炭化物を均一分散させたて製造してもよい。
以下に、本発明の金型、刃物、工具及び機械部品に用いる高速度工具鋼又は合金工具鋼の組成化学成分を適正適正範囲に、それぞれ重量比で、限定した理由を述べる。
CはMC炭化物を形成し、耐摩耗性を改善するが、0.1 %未満では上記効果がないし、あまりに多いと靭性が低下する。そこで、C:0.1 〜2.7 %に限定した。Si及びMnは脱酸剤として添加するが、Si及びMnの量があまりに多いと靭性が低下する。そこで、Si及びMnの重量比をSi:2.5 %以下、Mn:2 %以下に限定した。Crは焼入性を高めるため添加するが、Crが0.3 %未満では上記効果がないし、20%を超えると全体の靭性を低下させるので、Cr: 0.3〜20%に限定した。Mo及びW はM6 C型炭化物を形成し耐摩耗性を改善する。しかし、Mo及びW の量があまりに多いと靭性が低下するので、Mo:12%以下、W :20%以下に限定した。Coは多いほど鋼の耐熱性は向上するため、摩擦等により高温になる用途には効果的ではあるが、20%を超えると靭性が低下する。そこで、Co:20%以下に限定した。好ましくは、コーティングの乗りにくい炭化物の微細化のため、Nb:1.5 %以下、B :0.2 %以下、Zr:1 %以下、又は、希土類元素REM(La、Ce、Y):1 %以下、のいずれか1を添加してもよく、これらの値をそれぞれ越えても効果は少ない。
本発明鋼中にAl又はTiを限定量含有させると同時に鋼中のN量を限定量以下とし、焼入焼戻し熱処理、研削加工後に、さらに窒化処理を施すことにより、表面近傍にAlN又はTiNという硬質の化合物を分散析出することで超硬なみの表面硬さを得ることができる理由を述べる。まず、電気炉等にて溶解製造中の高速度工具鋼又は合金工具鋼にAl又はTiを添加する際、溶湯中にNが多く溶け込んでいると、Al+N=AlN又はTi+N=TiNの反応により、添加したAl又はTiの一部が消費されてしまい、それらの歩留りが落ちるため、目標の性能を得ることができなくなる。出願人は実験的検討により、その臨界値であるN量が150ppmであることを知得し、N量を150ppm以下に限定した。かつ鋼中のN量とAl量の関係が、〔Al(%)〕×667 −〔N( ppm)〕≧0 であるか、又は、鋼中のN量とTi量の関係が、〔Ti(%)〕×667 −〔N( ppm)〕≧0 、である必要があることを確認した。そのように溶湯中のN量を少なくした状態で、Al又はTiを添加すると効率よく溶湯中に取り込まれ、これらを含有した鋼を得ることができる。 このようにして得た鋼を、焼入焼戻し熱処理後、研磨加工した後、窒化処理することにより鋼の表面及び表面近傍の内部でAl+N=AlN又はTi+N=TiNの反応により硬質のAlN又はTiNが分散析出し、表面硬さが1150HV以上に硬くなることを知得した。この時、窒化処理として、ガス窒化法やタフトライド法等の処理による変形が極めて小さい窒化処理を施すと、その後の研削加工は不要となり、ショットやバレル研磨のみにて完成品とすることができ、さらなる加工費節約が可能となる。
表面が1150HV以上であるが、内部は一種の傾斜材料であり、表面からの距離が大きいほど硬さが下がり、10〜100 μm の距離にて焼入焼戻し硬さとなっており、傾斜材料と母材は一体であるからコーティングのように剥離の心配は全くない。表面は1150HV以上と硬いため、1150HV以上のTiN、CrN 等の硬質のコーティングを施しても、硬さの差が非常に小さいため、衝撃による剥離等の不具合は一切発生しない。
さらに、エレクトロスラグ溶解法により鋼中の炭化物を均一分散化することにより、コーティングの乗りにくい炭化物の縞状偏析が解消されるため、よりコーティングの密着性が向上することができる。Al量又はTi量を0.15〜2.50%に限定した理由は、0.15%未満ではこの効果が得られず、2.50%を超えるとAl又はTiのFeへの固溶限界を超えてしまうため材料自体が脆くなり、鍛造で割れてしまい鍛造不可能となるからである。
本発明を実施するための最良の形態は、高速度工具鋼又は合金工具鋼における金型、刃物、工具及び機械部品に用いる材料において、それぞれ重量%で、C :0.1 〜2.7 %、Si:2.5 %以下、Mn:2 %以下、Cr:0.3 〜20%、Mo:12%以下、 W:20%以下、V:0.4 〜15%、Co:20%以下、及び、N :150ppm以下、を含み、さらにAl又はTiを0.15〜2.50%を含み、残余がFe及び不可避不純物よりなり、鋼中のN量とAl量の関係が、〔Al(%)〕×667 −〔N( ppm)〕≧0 であるか、又は、鋼中のN量とTi量の関係が、〔Ti(%)〕×667 −〔N( ppm)〕≧0 、であり、かつ、焼入焼戻し熱処理、研削加工後に、さらに窒化処理を施すことにより、表面近傍にAlN又はTiNという硬質の化合物を分散析出させ、表面のみ1150HVという超硬合金なみの表面硬さと耐摩耗性を有し、内部は高速度工具鋼の焼入焼き戻し硬さと靭性を有することを特徴とする金型、刃物、工具及び機械部品に用いる高速度工具鋼又は合金工具鋼である。
表1は本発明の実施例1を示したもので、本発明鋼1乃至14、比較鋼15乃至23のAl、N、その他の化学成分(それぞれ重量%、Nのみppm )、〔Al(%)〕×667 −〔N( ppm)〕を示したものである。なおAlに代えてTiを同量置換してもよい。本発明鋼1乃至14は、エレクトロスラグ再溶解法により、不活性雰囲気によるO2 、N2 を含むガス成分の溶鋼への浸入を防止し、かつ、溶解条件:溶解速度100 〜800kg/h 、鋼塊外径を電極外径で割った比率を1.2 〜1.7 に保持し、鋼中の炭化物を均一分散化することにより、コーティングの乗りにくい炭化物の縞状偏析を解消し、コーティングの密着性を向上するよう制御して製造した。
表1の1乃至14に示す本発明鋼及び15乃至23に示す比較鋼にて鍛造、圧延、旋削、焼入焼戻し熱処理、研磨を行った後、下記条件で窒化した図1に示す形状の金型を調査した。
〔窒化処理条件〕窒化処理の種類:ガス窒化 窒化温度:550 ℃ 窒化時間:60分
結果を表2、図2、及び図3に示す。表3は各鋼の表面硬さ(HV)と結果概要を示したものである。図2は表1の1乃至14に示す本発明鋼及び15乃至23に示す比較鋼にて鍛造、圧延、旋削、焼入焼戻し熱処理、研磨を行った後、窒化した図1に示す形状の金型のAl含有量(%)とN 含有量(ppm )との関係を示したものであり、図中の斜線で示した範囲が本発明範囲であり、図中には表3に示した比較鋼の結果概要の範囲についても同時に示した。また、図3は表1の1乃至14に示す本発明鋼及び15乃至23に示す比較鋼にて鍛造、圧延、旋削、焼入焼戻し熱処理、研磨を行った後、窒化した図1に示す形状の金型のAl含有量(%)と表面硬さ(HV)の関係を示したものであり、本発明鋼がすべて表面硬さ1150HV以上になっているのに対し、比較鋼はそれ未満であり、本発明の効果をはっきりと確認することができる。
次に本発明鋼2及び比較鋼15を使用して製作した図1に示す形状の金型においてチタン系膜コーティングなしの場合と、実施した場合と、の両方で、打ち抜き加工による寿命テストを下記条件にて行い、打ち抜いたものが製品の寸法規格を保証できなくなるまで加工できた個数、すなわちパンチ寿命を調査した。
〔パンチ寿命試験条件〕
加工:打ち抜き加工、ワーク:鋼板、ワーク材質:SCM 420、ワーク厚さ:4.0mm
結果を表3に示す。表3より、本発明鋼を使用して製作した金型は比較鋼を使用して製作した金型に比べ、約3倍の金型寿命を実現できることが分かる。また、本発明鋼を使用して製作した金型は、PVDによるセラミックコーティングによる金型寿命の延命効果が大きいことが分かる。即ち、本発明鋼は、表面硬さが硬いため、コーティングの密着性が優れていると判断できる。
図4は表1の本発明鋼9を使用して、下記条件にて製作した刃物・工具であるバイトの切断面における表面からの硬さ分布を測定した結果を示すグラフである。
〔バイト製作条件〕バイト形状:幅15mm、長さ80mm、窒化処理の種類:ガス窒化
窒化温度:550 ℃、 窒化時間:60分
図4から分かるように表面硬さは1190HVとなり、すべて1150HV以上を達成した。
図5は表1の本発明鋼3を使用して、下記製作条件にて製作した機械部品の切断面における表面からの硬さ分布を測定した結果を示すグラフであり、図6はそのミクロ組織写真である。図5から分かるように表面硬さは1157HVとなり、すべて1150HV以上を達成し、窒化深さは約30μm であることが分かる。
〔機械部品の製作条件〕機械部品形状:外径φ30mm、長さ520mm
窒化処理の種類:ガス窒化、窒化温度:550 ℃、窒化時間:60分
金型用パンチ形状を示したものである。 表1の1乃至14に示す本発明鋼及び15乃至23に示す比較鋼にて鍛造、圧延、旋削、焼入焼戻し熱処理、研磨を行った後、窒化した図1に示す形状の金型のAl含有量(%)とN 含有量(ppm )との関係を示したグラフ。 表1の1乃至14に示す本発明鋼及び15乃至23に示す比較鋼にて鍛造、圧延、旋削、焼入焼戻し熱処理、研磨を行った後、窒化した図1に示す形状の金型のAl含有量(%)と表面硬さ(HV)の関係を示したグラフ。 表1の本発明鋼9を使用して、下記条件にて製作した刃物・工具であるバイトの切断面における表面からの硬さ分布を測定した結果を示すグラフである。 表1の本発明鋼3を使用して製作した機械部品の切断面における表面からの硬さ分布を測定した結果を示すグラフである。 表1の本発明鋼3を使用して製作した機械部品の切断面におけるミクロ組織写真である

Claims (6)

  1. 高速度工具鋼又は合金工具鋼における金型、刃物、工具及び機械部品に用いる材料において、それぞれ重量%で、C :0.1 〜2.7 %、Si:2.5 %以下、Mn:2 %以下、Cr:0.3 〜20%、Mo:12%以下、 W:20%以下、V:0.4 〜15%、Co:20%以下、及び、N :150ppm以下、を含み、さらにAl又はTiを0.15〜2.50%を含み、残余がFe及び不可避不純物よりなり、鋼中のN量とAl量の関係が、〔Al(%)〕×667 −〔N( ppm)〕≧0 であるか、又は、鋼中のN量とTi量の関係が、〔Ti(%)〕×667 −〔N( ppm)〕≧0 、であり、かつ、焼入焼戻し熱処理、研削加工後に、さらに窒化処理を施すことにより、表面近傍にAlN又はTiNという硬質の化合物を分散析出させ、表面のみ1150HVという超硬合金なみの表面硬さと耐摩耗性を有し、内部は高速度工具鋼の焼入焼き戻し硬さと靭性を有することを特徴とする金型、刃物、工具及び機械部品に用いる高速度工具鋼又は合金工具鋼。
  2. 高速度工具鋼又は合金工具鋼における金型、刃物、工具及び機械部品に用いる材料において、それぞれ重量%で、C :0.81〜2.48%、Si:0.31〜0.82%、Mn:0.24〜0.45%、Cr:3.79〜11.71 %、Mo:0.02〜10.41 %、W :0.03〜12.09 %、V:0.63〜10.7%、Co:0.03〜11.5 %、及び、N :29〜139ppm、を含み、さらにAl又はTiを0.18〜2.21%を含み、残余がFe及び不可避不純物よりなり、鋼中のN量とAl量の関係が、〔Al(%)〕×667 −〔N( ppm)〕≧0 であるか、又は、鋼中のN量とTi量の関係が、〔Ti(%)〕×667 −〔N( ppm)〕≧0 、であり、かつ、焼入焼戻し熱処理、研削加工後に、さらに窒化処理を施すことにより、表面近傍にAlN又はTiNという硬質の化合物を分散析出させ、表面のみ1150HVという超硬合金なみの表面硬さと耐摩耗性を有し、内部は高速度工具鋼の焼入焼き戻し硬さと靭性を有することを特徴とする金型、刃物、工具及び機械部品に用いる高速度工具鋼又は合金工具鋼。
  3. さらに、 Nb :1.5 %以下、B :0.5 %以下、Zr:1 %以下、又は、希土類元素REM(La、Ce、Y):1 %以下、のいずれか1を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の金型、刃物、工具及び機械部品に用いる高速度工具鋼又は合金工具鋼。
  4. 前記窒化処理の種類がガス窒化法やタフトライド法などの処理による変形量の少ない窒化処理を施すことにより、窒化処理後の研削加工が不要であり、ショットやバレル研磨を施すだけで、そのまま製品となる窒化処理を施したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1に記載の金型、刃物、工具及び機械部品に用いる高速度工具鋼又は合金工具鋼。
  5. 前記の材料の表面に、PVDによるチタン含有、クロム含有、アルミニウム含有もしくはバナジウム含有のセラミックコーティングの一種または二種以上の複合膜が施されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1に記載の金型、刃物、工具及び機械部品に用いる高速度工具鋼又は合金工具鋼。
  6. エレクトロスラグ溶解法により、不活性雰囲気によるO2 、N2 を含むガス成分の溶鋼への浸入を防止し、かつ溶解速度を100 〜800kg/h 、鋼塊外径を電極外径で割った比率を1.2 〜1.7 に保持し、炭化物を均一分散させたて製造したことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1に記載の金型、刃物、工具及び機械部品に用いる高速度工具鋼又は合金工具鋼。
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