JP2002361503A - 切削工具 - Google Patents

切削工具

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JP2002361503A
JP2002361503A JP2001171373A JP2001171373A JP2002361503A JP 2002361503 A JP2002361503 A JP 2002361503A JP 2001171373 A JP2001171373 A JP 2001171373A JP 2001171373 A JP2001171373 A JP 2001171373A JP 2002361503 A JP2002361503 A JP 2002361503A
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直純 吉田
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武志 加藤
Yutaka Tsukamoto
裕 塚本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 湿式、乾式に限らず刃先部の摩耗、チッピン
グの少ない材料の切削工具を提供。 【解決手段】 高速度工具鋼製の切刃を有する切削工具
において、高速度工具鋼は、重量%で、C:0.6〜
1.8%,Si:1.2%以下,Mn:0.5%以下,
Cr:3.5〜5.0%,Mo:10%以下,W:21
%以下,V:2〜4%を含み、さらに重量%で、Co:
0.01〜4%に制限され、残余がFe及び不可避不純
物よりなり、刃先部鋼中のMC型炭化物粒のうち最大の
炭化物粒の粒子断面の面積を円の面積として置き換えた
場合の円の直径である等価円直径のうちの最大の等価円
直径である最大等価円直径が4〜10μmであって、か
つ、等価円直径が4μm以上の前記MC型炭化物粒の粒
子断面の長径短径比が0.3以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】硬質のMC型炭化物を含む高
速度工具鋼を刃先部に用いたホブ、ドリル等の切削工具
に関する。
【0002】
【従来の技術】ホブ、ドリルに代表される切削工具用材
料としては、高速度工具鋼及び超硬合金が一般的であ
る。切削工具用の高速度工具鋼として、高硬度、耐摩耗
性、耐熱性を持たせるため、Vを2%以上含有させたも
のが開発されている。一方、超硬合金は非常に硬質では
あるが反面脆いため、高速度工具鋼に比較し、耐摩耗性
や耐熱性は非常に優れるが、被研削性や耐衝撃性は劣
り、さらに材料費、加工費とも高価なため、品質の信頼
性、経済性の面で実際の使用範囲は限定される。そのた
め、とりわけ、断続切削を行うホブにおいては、ほとん
どのものが高速度工具鋼製であり、一部のみが超硬合金
製となっている。
【0003】かかる切削工具用として、高速度工具鋼
は、Vを主成分とする硬質のMC型炭化物を富化するた
め、Vを通常2%以上含有している。しかし、従来の溶
製高速度工具鋼では、Vが3%以上ではV含有量が多い
ほど、このMC型炭化物は粗大化や細長い角形化をし易
く、被研削性が悪化するばかりでなく、靱性が低下し、
MC型炭化物を破壊起点とした刃先部のチッピング、破
損を生じ易いという問題があった。また、粉末高速度工
具鋼では、V量を増しMC型炭化物を富化しやすい製法
上の利点を持つものの、そのサイズが微細になり過ぎ、
その結果、耐摩耗性が不足し、刃先の大きな摩耗を生じ
易く、材料が高価な割に工具寿命が短かいという問題が
あった。
【0004】また、湿式加工用ホブの場合は、初期は刃
先部の全面がPVDによるチタン系もしくはチタン−合
金系セラミックコーティングを施されているが、再研削
後はすくい面のコーティングは完全に除去された状態と
なるため、高速度工具鋼自体の耐熱性、耐摩耗性が要求
される。さらに、切削油不要の乾式加工用ホブでは、摩
耗、チッピング、破損を防止するためには、硬質で、断
続切削の衝撃に耐え得る靱性、さらに耐熱性に優れた材
料と、耐摩耗性、耐熱性、耐酸化性および潤滑性に優れ
たコーティング膜が必要であり、尚かつ、コーティング
膜との相性の良い材料が要求されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本出願人が先
に発明した特開2000−84704号公報において、
硬質MC炭化物を微細分散させた溶製ハイスを用いた切
削工具を提案した。しかしながら、切削加工条件がより
過酷化していく中で、このハイス工具においてはマイク
ロチッピングをともなう摩耗が比較的大きいという問題
があった。本発明の課題は係る問題点に鑑みて、さらに
優れた耐チッピング性を有する切削工具を提供すること
である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、種々の高
速度工具鋼を用いたソリッドホブ、ドリルを対象に実験
を行った結果、刃先部の被研削性、靱性、耐摩耗性を兼
ね備え、とりわけ耐チッピング性に優れた切削工具を得
るためには、硬質のMC型炭化物の面積率を適正範囲に
限定し、かつ、MC型炭化物の形状を球形に近づけるよ
う長径短径比をできる限り大きな値に限定することだけ
でなく、MC型炭化物を4〜10μmのサイズに限定す
ることが重要であることをあらたに知得した。即ち、
V:2〜4%を含む高速度工具鋼中の等価円直径が4μ
m以上のMC型炭化物の鍛造、圧延軸と平行する断面で
の面積率が3〜8%であり、かつ、MC型炭化物の長径
短径比を0.3以上にするだけでなく、MC型炭化物の
最大等価円直径を4〜10μmとすることが必要である
ことを知得した。
【0007】さらに、前述した特開2000−8470
4号公報ではCoの量を4〜10%の範囲であったが、
このようなMC型炭化物の最大等価円直径を効果的に4
〜10μmに制限するためには、Coを0.01〜4%
に制限する必要があることを合わせて知得した。
【0008】また、この切削工具用鋼は、PVDによる
チタン−合金系セラミックコーティングの複合膜との相
性が良く、湿式加工よりも乾式加工において、さらに優
れた耐チッピング性を有することを確認した。なお、M
C型炭化物の等価円直径とは、MC型炭化物の粒子断面
の面積を円の面積として置き換えた場合の円の直径をい
う。また、MC型炭化物の最大等価円直径とは、MC型
炭化物のうち最大の炭化物の等価円直径をいう。
【0009】かかる知得に基づいて本発明の第1発明に
おいては、高速度工具鋼製の切刃を有する切削工具にお
いて、前記高速度工具鋼は、重量%で、C:0.6〜
1.8%,Si:1.2%以下,Mn:0.5%以下,
Cr:3.5〜5.0 %,Mo:10%以下,W:2
1%以下,を含み、さらに重量%で、V:2〜4%,特
にCo:0.01〜4%を含み、残余がFe及び不可避
不純物よりなり、刃先部鋼中のMC型炭化物粒のうち最
大の炭化物粒の粒子断面の面積を円の面積として置き換
えた場合の円の直径である等価円直径のうちの最大の等
価円直径である最大等価円直径が4〜10μmであっ
て、かつ、等価円直径が4μm以上の前記MC型炭化物
粒の粒子断面の長径短径比が0.3以上であることを特
徴とする切削工具を提供することによって上記課題を解
決した。
【0010】好ましくは、等価円直径が4μm以上のM
C型炭化物粒の鍛造、圧延軸と平行する粒子断面での面
積率が3〜8%であることを特徴とする切削工具として
もよい。尚、MC型炭化物粒の鍛造、圧延軸と平行する
粒子断面とは、例えば高速度工具鋼の丸鋼又は角鋼につ
いていえば、丸鋼又は角鋼の軸方向即ち長手方向に沿っ
て切断した粒子断面である。実際の光学画像測定マイク
ロスコープでは、面積率は、マイクロスコープのスクリ
ーンに現れる、等価円直径が4μm以上の各MC型炭化
物粒の粒子断面の面積を全部加算した値を、スクリーン
自身の面積で割った値となる。さらに、切削工具の少な
くとも刃先表面に、PVDによるチタン系もしくはチタ
ン−合金系セラミックコーティングの一種または二種以
上の複合膜を施すことにより、より耐摩耗性、耐チッピ
ング性が向上する。又、かかる切削工具は乾式加工によ
り適している。
【0011】さらに好ましくは、前記高速度工具鋼は、
エレクトロスラグ再溶解法により、不活性雰囲気による
2、N2を含むガス成分の溶鋼への侵入を防止し、かつ
溶解条件:溶解速度;400〜800kg/h、鋼塊外
径を電極外径で割った比率を1.2〜1.7、に保持
し、前記MC型炭化物粒のサイズを制御して製造され
る。
【0012】(作用)以下に、本発明切削工具の刃先部
における高速度工具鋼中のMC型炭化物の最大等価円直
径、鍛造、圧延軸と平行する断面でのMC型炭化物の面
積率および長径短径比を上記に限定した理由を述べる。
刃先部鋼中のMC型炭化物の最大等価円直径が4μm未
満の粉末高速度工具鋼を用いた切削工具では、凝着摩耗
や酸化摩耗によりMC型炭化物が素地と共に除去され易
いため、摩耗し易く工具寿命が短い。
【0013】一方、刃先部鋼中のMC型炭化物の最大等
価円直径が10μmを超え、また、刃先部鋼中の等価円
直径が4μm以上のMC型炭化物の面積率が8%を超え
ると、非常に脆くなり、MC型炭化物を破壊起点とした
チッピングを起こし易くなる。特に、MC型炭化物の形
状が長径短径比で0.3未満の粗大で細長い角形を呈す
る場合は、研削加工し難い上に、さらにチッピングを起
こし易くなり、工具破損の原因となる。一方、MC型炭
化物の面積率が3%未満の場合は非常に摩耗し易くな
り、工具寿命が短くなる。したがって、刃先部鋼中のM
C型炭化物の最大等価円直径を4〜10μmとし、等価
円直径が4μm以上のMC型炭化物の鍛造、圧延軸と平
行する断面での面積率を3〜8%に限定し、かつ、長径
短径比を0.3以上に限定した。この作用については、
溶製高速度工具鋼、粉末高速度工具鋼を問わず全ての高
速度工具鋼で同様に得られる。
【0014】特に、Co重量比を0.01〜4%に限定
した理由は、Coが多いほど鋼の耐熱性は向上し、切削
工具材料としての耐熱性を持たせるというメリットはあ
るものの、4%より大きいとMC炭化物サイズが比較的
大きくなり、かつCoの多く固溶したマトリックス自体
の靱性低下をもたらすことにより、チッピングや割れ等
の工具破損を起こし易くなるという知見が得られたため
である。さらには、乾式加工においては、切り屑が凝着
し刃先を覆うことにより、切削熱のほとんどが切り屑に
流れることで,工具自体への伝達を妨げ、工具の高温軟
化を抑制するといった作用が見込まれるため、Coを4
%を越えてまで含有させる必要性はないといえる。
【0015】CはMC型炭化物を形成し、耐摩耗性を改
善する。しかしCの量があまりに多いと靱性が低下す
る。そこで、Cの重量比を0.6〜1.8%に限定し
た。Si及びMnは脱酸剤として添加するが、Si及び
Mnの量があまりに多いと靱性が低下する。そこで、S
i及びMnの重量比をSi:1.2%以下、Mn:0.
5%以下に限定した。Crは焼入れ性を高めるため3.
5〜5.0%添加される。Crが3.5%より少ないと
上記効果がないし、5.0%を超えると全体の靭性を低
下させる。Mo:10%以下、W:21%以下とした
が、Mo及びWはM6C型炭化物を形成し耐摩耗性を改
善する。しかしMo及びWの量があまりに多いと靱性が
低下する。
【0016】
【実施例】次に本発明の実施例について説明する。表1
は本発明鋼5,6、比較鋼1乃至4にて製作したソリッ
ドホブ、ドリルの化学成分及びMC型炭化物の、最大等
価円直径(μm)、等価円直径4μm以上の面積率(鍛
造、圧延軸と平行する断面での面積率%)、等価円直径
が4μm以上のMC型炭化物の最小長径短径比を示した
ものである。実際の光学画像測定マイクロスコープで
は、MC型炭化物の、最大等価円直径(μm)、面積率
及び最小長径短径比を顕微鏡画像で測定した。また、本
発明高速度工具鋼は、エレクトロスラグ再溶解法によ
り、不活性雰囲気によるO2、N2を含むガス成分の溶鋼
への侵入を防止し、かつ溶解条件:溶解速度;400〜
800kg/h、鋼塊外径を電極外径で割った比率を
1.2〜1.7、に保持し、前記MC型炭化物粒のサイ
ズを制御して製造した。
【0017】
【表1】
【0018】表2は本発明鋼5,6、比較鋼1乃至4の
各鋼種を用いた試験片の焼入焼もどし硬さと抗折力を示
したものである。抗折力は試験片サイズ5×10×75
mm,標点距離60mmの中央一点荷重方式で求めた。
発明鋼5,6の抗折力は、比較鋼1,3,4の各鋼種に
比べ高い値を示し,粉末鋼である比較鋼2にも迫る靱性
を示した。表3は表1の材料を用いた切削工具の切削試
験結果を最大摩耗量で示したものである。表3中、実施
例1は湿式ホブ切削試験結果、実施例2は乾式ホブ切削
試験結果、実施例3はドリル切削試験結果(湿式)であ
【0019】
【表2】
【0020】
【表3】
【0021】図1は,発明鋼5,比較鋼1,2,3のM
C炭化物の等価円直径のサイズ分布を示したものであ
る。発明鋼5に示すように、本発明では特に、MC型炭
化物の最大等価円直径を効果的に4〜10μmに制限す
るために、Coを0.01〜4%に制限した。その結
果、図1に示すように、発明鋼5は比較鋼1,2,3に
比べ異なるMC炭化物サイズ分布、即ちMC型炭化物の
最大等価円直径が4〜10μmとなるのに適した分布を
していることがわかる。
【0022】(実施例1)第一の実施例においては、表
1の5,6に示す本発明鋼及び、1乃至4に示す比較鋼
にてソリッドホブを製作し、湿式加工による切削試験を
下記条件にて行った後、刃先部の摩耗量を計測した。 ・工具形状:ソリッドホブ(外径:φ105、コーティ
ング:チタン系膜(すくい面は除去)) ・被削材 :SCM420H(硬さ:HV170) ・切削速度:130m/min ・切込深さ:7.995mm ・送り :2.2mm/rev ・切削長 :25m ・湿式 結果を表3の左欄の実施例1、図2および図3に示す。
図2はソリッドホブの湿式加工における刃先部の最大逃
げ面摩耗量、図3は最大クレータ摩耗量をMC型炭化物
の最大等価円直径(μm)をパラメータとして示したも
のである。なお、湿式加工用ホブのすくい面は再研削後
のコーティングなしの状況と同じとするため、最初から
すくい面のコーティングを除去した。
【0023】図2は、最大逃げ面摩耗量を各鋼中のMC
型炭化物の最大等価円直径(μm)との関係として示し
たものであるが、その関係線図はおよそ7μmを底とし
たU字型形状であり、4〜10μmの間ではほぼ安定し
て摩耗量が少ない。例えば、本発明鋼5は従来の溶製高
速度工具鋼である比較鋼1に比べて4.1倍、比較鋼3
に比べ1.3倍、粉末高速度工具鋼である比較鋼2に比
べ1.4倍優れている。尚、比較鋼1〜4の摩耗のほと
んどは、刃先のマイクロチッピングによるものであっ
た。図3は、最大クレータ摩耗量をMC型炭化物の最大
等価円直径(μm)との関係として示したものである
が、その関係線図もまた7μmを底としたU字型形状で
あり、4〜10μmの間ではほぼ安定して摩耗量が少な
い。例えば、本発明鋼5は溶製高速度工具鋼である比較
鋼1に比べ4.5倍、比較鋼3に比べ1.4倍、粉末高
速度工具鋼である比較鋼2に比べ1.5倍優れている。
尚、比較鋼1〜4の摩耗は、刃先のチッピングによるも
のであった。
【0024】(実施例2)第二の実施例においては、表
1に示す本発明鋼5,6、比較鋼1〜4を加工、熱処
理、研削後、PVDによるチタン−合金系複合多層膜を
施してソリッドホブを製作し、乾式加工による切削試験
を下記条件にて行った後、刃先部の摩耗量を計測した。 ・工具形状:ソリッドホブ(外径:φ105、コーティ
ング:チタン−合金系複合多層膜(すくい面は除去)) ・被削材 :SCM420H(硬さ:HV170) ・切削速度:200m/min ・切込深さ:7.995mm ・送り :2.2mm/rev ・切削長 :252m ・乾式 結果を表3の中欄の実施例2、図4および図5に示す。
図4はソリッドホブの乾式加工における刃先部の最大逃
げ面摩耗量をMC型炭化物の最大等価円直径をパラメー
タとして示したものである。図5は同刃先部の最大クレ
ータ摩耗量をMC型炭化物の最大等価円直径をパラメー
タとして示したものである。なお、乾式加工用ホブのす
くい面は再研削後のコーティングなしの状況と同じとす
るため、最初からすくい面のコーティングを除去した。
【0025】図4は、最大逃げ面摩耗量を各鋼中のMC
型炭化物の最大等価円直径との関係として示したもので
あるが、その関係線図もまた7%を底としたU字型形状
であり、4〜10%の間ではほぼ安定して摩耗量が少な
い。例えば、本発明鋼5は、従来の溶製高速度工具鋼で
ある比較鋼1に比べ7倍、比較鋼3に比べ2倍、粉末高
速度工具鋼である比較鋼2に比べ2.4倍優れている。
さらに、実施例1の図2と比較すると、乾式加工の方が
より効果が大きい。図5は、最大クレータ摩耗量を各鋼
中のMC型炭化物の最大等価円直径との関係として示し
たものであるが、その関係線図もまた7%を底としたU
字型形状であり、4〜10%の間ではほぼ安定して摩耗
量が少ない。例えば、本発明鋼5は従来の溶製高速度工
具鋼である比較鋼1に比べ6.7倍、比較鋼3に比べ3
倍、粉末高速度工具鋼である比較鋼2に比べ3.5倍優
れている。さらに、実施例1の図3と比較すると、乾式
加工の方がより効果が大きい。
【0026】(実施例3)第三の実施例においては、表
1に示す本発明鋼5,6、比較鋼1〜4にてドリルを製
作し、湿式加工による切削試験を下記条件にて行い、穴
あけ個数を調査した。 ・工具形状:ドリル(外径:φ6) ・被削材 :SNC836(硬さ:HB286) ・切削速度:37.7m/min ・送り :0.10mm/rev ・穴深さ :20mm ・湿式 結果を表3の右欄,図6に示す。図6はドリルの湿式加
工における穴あけ個数をMC型炭化物の最大等価円直径
(μm)をパラメータとして示したものである。なお、
実施例では刃先部コーティングの状態で切削試験を行っ
た。
【0027】図6は、穴あけ個数を各鋼中のMC型炭化
物の最大等価円直径との関係として示したものである
が、その関係線図は7μmを頂点とした逆U字型形状で
あり、4〜10%の間ではほぼ安定して穴あけ個数が大
きい。例えば、本発明鋼5は従来の溶製高速度工具鋼で
ある比較鋼1に比べ1.9倍、粉末高速度工具鋼である
比較鋼2に比べ1.3倍優れている。
【0028】
【発明の効果】以上述べた通り、本発明においては、材
料である高速度工具鋼が重量比でVが2〜4%、特に、
Coが0.01〜4%を含み、刃先部鋼中のMC型炭化
物の最大等価円直径が4〜10μmであって、かつMC
型炭化物の長径短径比が0.3以上の切削工具としたの
で、工具刃先部の摩耗、特にチッピングに対し、非常に
優れたものとなった。好ましくは、等価円直径が4μm
以上ののMC型炭化物粒の鍛造、圧延軸と平行する粒子
断面での面積率が3〜8%とすれば、さらに高速度工具
切削工具は刃先部の摩耗、特にチッピングを改善でき
る。さらに、乾式加工にも適した性質を有し、PVDに
よるチタン−合金系セラミックコーティング複合膜との
相性も良く、刃先表面に、PVDによるチタン系もしく
はチタン−合金系セラミックコーティングの一種または
二種以上の複合膜を施すことにより、より耐摩耗性、耐
チッピング性が向上し、乾式加工にあってより適したも
のである。
【0029】したがって、ホブに代表される歯切工具全
般の寿命改善、品質改善には非常に有効であり、特に、
今後利用量増大が予想される乾式加工に優れた性能を発
揮するものと期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明鋼のMC炭化物のサイズが2μm以上の
ものについて,等価円直径の分布を示したものである。
本発明鋼5、比較鋼1〜3を用いて製作した試験片(サ
イズ22×27×500mm)を焼入焼もどし後,10
%クロム酸で電解腐食し,光学画像測定マイクロスコー
プにて測定した。
【図2】本発明の第一の実施例の切削試験結果を示す。
本発明鋼5,6、比較鋼1〜4にて製作したソリッドホ
ブの湿式加工における刃先部の最大逃げ面摩耗量と各鋼
中のMC型炭化物の最大等価円直径との関係を示したも
のである。
【図3】図2と同じく本発明の第一の実施例の切削試験
結果であり、刃先部の最大クレータ摩耗量と各鋼中のM
C型炭化物の最大等価円直径との関係を示したものであ
る。
【図4】本発明の第二の実施例の切削試験結果を示す。
本発明鋼5,6、比較鋼1〜4にて製作したソリッドホ
ブの乾式加工における刃先部の最大逃げ面摩耗量と各鋼
中のMC型炭化物の最大等価円直径との関係を示したも
のである。
【図5】図4と同じく本発明の第二の実施例の切削試験
結果であり、刃先部の最大クレータ摩耗量と各鋼中のM
C型炭化物の最大等価円直径との関係を示したものであ
る。
【図6】本発明の第三の実施例の切削試験結果を示す。
本発明鋼5,6、比較鋼1〜4にて製作したドリルの湿
式加工における穴あけ個数と各鋼中のMC型炭化物の最
大等価円直径との関係を示したものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23C 14/16 C23C 14/16 Z 4K029 // B23F 21/16 B23F 21/16 C22B 9/18 C22B 9/18 H 9/187 (72)発明者 塚本 裕 富山県富山市不二越本町一丁目1番1号 株式会社不二越内 Fターム(参考) 3C025 FF03 3C037 CC08 3C046 FF02 FF10 FF16 FF19 FF38 FF39 FF47 FF50 FF55 FF57 4K001 AA10 FA09 4K013 AA02 BA14 CA01 4K029 AA02 BA41 BB02 BC02 BD05 CA01 CA03 CA05

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高速度工具鋼製の切刃を有する切削工具
    において、前記高速度工具鋼は、重量%で、C:0.6
    〜1.8%,Si:1.2%以下,Mn:0.5%以
    下,Cr:3.5〜5.0%,Mo:10%以下,W:
    21%以下,V:2〜4%を含み、さらに重量%で、C
    o:0.01〜4%に制限され、残余がFe及び不可避
    不純物よりなり、刃先部鋼中のMC型炭化物粒のうち最
    大の炭化物粒の粒子断面の面積を円の面積として置き換
    えた場合の円の直径である等価円直径のうちの最大の等
    価円直径である最大等価円直径が4〜10μmであっ
    て、かつ、等価円直径が4μm以上の前記MC型炭化物
    粒の粒子断面の長径短径比が0.3以上であることを特
    徴とする切削工具。
  2. 【請求項2】 等価円直径が4μm以上の前記MC型炭
    化物粒の鍛造、圧延軸と平行する粒子断面での面積率が
    3〜8%であることを特徴とする請求項1に記載の切削
    工具。
  3. 【請求項3】 前記切削工具の少なくとも刃先表面に、
    PVDによるチタン系もしくはチタン−合金系セラミッ
    クコーティングの一種または二種以上の複合膜が施され
    ていることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記
    載の切削工具。
  4. 【請求項4】 前記高速度工具鋼は、エレクトロスラグ
    再溶解法により、不活性雰囲気によるO2、N2を含むガ
    ス成分の溶鋼への侵入を防止し、かつ溶解条件:溶解速
    度;400〜800kg/h、鋼塊外径を電極外径で割
    った比率を1.2〜1.7、に保持し、前記MC型炭化
    物粒のサイズを制御して製造したことを特徴とする請求
    項1乃至3のいずれか一に記載の切削工具。
  5. 【請求項5】 前記切削工具は乾式加工に使用されるこ
    とを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載の切
    削工具。
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