JP6537342B2 - 硬度、靭性および耐摩耗性に優れた窒化粉末高速度工具鋼 - Google Patents
硬度、靭性および耐摩耗性に優れた窒化粉末高速度工具鋼 Download PDFInfo
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ただし、MoおよびWは上記の範囲内で(2Mo+W):16〜23%であり、さらにΔC=C*−Ceqであり、C*=C+(6×N)/7・・・(1)、Ceq=0.06×%Cr+0.063×%Mo+0.033×%W+0.2×%V+0.1×%Nb・・・(2)である。
ただし、MoおよびWは上記の範囲内で(2Mo+W):16〜23%であり、さらにΔC=C*−Ceqであり、C*=C+(6×N)/7・・・(1)、Ceq=0.06×%Cr+0.063×%Mo+0.033×%W+0.2×%V+0.1×%Nb・・・(2)である。
Cは、高速工具鋼として十分な焼入性や焼入焼戻し硬さを確保し、炭化物を形成させることで耐摩耗性や高温強度を得るために必要な元素である。Cが0.70%より少ないと、十分な硬さ、高温強度、耐摩耗性が得られない。一方、Cが1.5%より多すぎると、炭化物の偏析を助長し、靭性を低下させる。そこで、Cは0.70〜1.5%、望ましくは0.80〜1.30%とする。
Siは、焼入性および硬さ向上に寄与する元素である。しかし、Siが2.0%より多すぎると靭性を低下させる。そこで、Siは2.0%以下とする。
Mnは、脱酸剤、焼入性向上に寄与する元素である。しかし、Mnが1.0%より多すぎると、マトリックスを脆化させ、靭性および熱間加工性を低下させる。そこで、Mnは1.0%以下とする。
Crは、焼入性を改善する元素である。しかし、Crが3.0%未満では焼入性の改善は不十分である。一方、Crが7.0%より多すぎると、Cr系炭化物の凝集、粗大化を助長し、靭性、高温強度、軟化抵抗性を低下させる。そこで、Crは3.0〜7.0%、望ましくは3.5〜5.5%とする。
MoとWは、焼入性や焼戻し時の二次硬化、耐摩耗性、高温強度、軟化抵抗性に寄与する元素である。また、MoとWは、焼入時に未固溶となったこれら元素の微細な炭化物が結晶粒の粗大化を抑制する。しかし、MoとWはそれぞれ5.0%より少ないと上記の効果が得られない。一方、MoとWがそれぞれ8.0%より多すぎると、Mo系やW系の炭化物の凝集・粗大化を助長し、靭性を低下させ、またコスト高になる。特に、Wは、Moと同等の効果を得るには、2倍の量の添加が必要となり、過剰添加はコストがかかる。そこで、Moは5.0〜8.0%かつWは5.0〜8.0%の範囲内で、(2Mo+W)は16〜23%、望ましくは17〜21%とする。
Vは、焼戻時に微細で硬質なMC型炭窒化物を析出し、高温強度や耐摩耗性に寄与する。また、焼入時には未固溶となった微細な炭窒化物が結晶粒の粗大化を抑制し、靭性の低下を抑制する。しかし、Vは6.0%より少ないと効果がこれらの効果は得られない。しかし、Vが9.0%より多すぎると、V系炭化物の凝集・粗大化を助長し、靭性を低下させ、またコストがかかる。そこで、Vは6.0〜9.0%、望ましくは6.0〜8.0%とする。
Coは、焼入時のマトリックスへの炭化物固溶量を増加させ、焼入焼戻硬さの向上に寄与する。しかし、Coが5.0%より少ないと、上記の効果が得られない。一方、Coが多すぎると、靭性を低下させるとともに、コスト上昇の原因となる。そこで、Coは5.0〜15%、望ましくは7.0〜13.0%とする。
Nは、主にVと結合しMC型炭窒化物を形成し、硬度・耐摩耗性に寄与する。これらのMC型炭窒化物は、焼入時に結晶粒粗大化を抑制し、靭性を改善する。また、耐摩耗性や耐焼付き性も改善する。Nが0.50%より少ないと、上記の効果が得られない。一方、Nが2.5%より多すぎると、MC型の窒化物および炭窒化物の凝集・粗大化を助長し、靭性を低下させる。そこで、Nは0.50〜2.5%とする。
Nbは、炭窒化物を形成して硬さや耐摩耗性を付与する元素である。しかし、Nbが0.50%より多すぎると炭窒化物の偏析を助長して靱性を低下させる。そこで、Nbは0.50%以下、望ましくは0.05〜0.50%とする。
ΔCが、−1.0未満であると、68HRC以上の高い硬度が得られにくくなるばかりでなく、炭窒化物が凝集および粗大化し、15J/cm2以上の高い靱性が得られない。一方、ΔCが2.0を超えるとCやNの偏析や炭化物の偏析を助長し、靭性を低下させる。そこで、ΔCは−1.0〜2.0、望ましくは0.10〜1.0とする。
ここで、C*およびCeqは、以下の式(1)および式(2)を示し、Cは質量%を示し、%元素は各合金元素の質量%を示す。
C*=C+(6×N)/7・・・(1)
Ceq=0.06×%Cr+0.063×%Mo+0.033×%W+0.2×%V+0.1×%Nb・・・(2)
なお、式(1)のNは、Cと類似した性質を有し、鋼中で窒化物を形成し、硬さや耐摩耗性に寄与する。それぞれの添加量に対する寄与の大きさを、C量について統一した指標である。
式(2)のCeqは、主に添加した各合金元素が全て炭化物となる場合に必要なC量の目安として用いられているC当量である。
以上より、ΔCは、鋼中のC量およびN量並びに各合金元素量との関係から、焼入焼戻硬さ、靱性および耐摩耗性に影響する固溶C量に関して考慮した値である。本発明のΔCに従った合金元素のバランスによって、高い硬度、靱性および耐摩耗性が得られる。
窒化粉末高速度工具鋼のマトリクス中に分散する炭窒化物は、平均粒径が2.5μmより粗大化すると、該鋼の靱性を低下させる。そこで、窒化粉末高速度工具鋼のマトリクス中に分散する炭窒化物の平均粒径は2.5μm以下とする。
窒化粉末高速度工具鋼中の炭窒化物の分布密度は、1×104/mm2を下回ると、すなわち炭窒化物の凝集粗大化によって分布密度が低下すると、該鋼の耐摩耗性を低下させる。そこで、窒化粉末高速度工具鋼中の炭窒化物の分布密度は、1×104/mm2以上とする。なお、この場合の炭窒化物は平均粒径が2.5μm以下である。
Claims (3)
- 質量%で、C:0.70〜1.5%、Si:2.0%以下、Mn:1.0%以下、Cr:3.0〜7.0%、Mo:5.0〜8.0%、W:5.0〜8.0%、V:6.0〜9.0%、Co:5.0〜15%、N:0.50〜2.5%からなり、残部がFeおよび不可避的不純物であり、ΔC:−1.0〜2.0を満足することを特徴とする硬度、靭性および耐摩耗性に優れた窒化粉末高速度工具鋼。
ただし、MoおよびWは上記の範囲内で(2Mo+W):16〜23%であり、さらにΔC=C*−Ceqであり、C*=C+(6×N)/7・・・(1)、Ceq=0.06×%Cr+0.063×%Mo+0.033×%W+0.2×%V+0.1×%Nb・・・(2)である。 - 質量%で、C:0.70〜1.5%、Si:2.0%以下、Mn:1.0%以下、Cr:3.0〜7.0%、Mo:5.0〜8.0%、W:5.0〜8.0%、V:6.0〜9.0%、Co:5.0〜15%、N:0.50〜2.5%、Nb:0.50%以下からなり、残部がFeおよび不可避的不純物であり、ΔC:−1.0〜2.0を満足することを特徴とする硬度、靭性および耐摩耗性に優れた窒化粉末高速度工具鋼。
ただし、MoおよびWは上記の範囲内で(2Mo+W):16〜23%であり、さらにΔC=C*−Ceqであり、C*=C+(6×N)/7・・・(1)、Ceq=0.06×%Cr+0.063×%Mo+0.033×%W+0.2×%V+0.1×%Nb・・・(2)である。 - 請求項1および請求項2に記載の高硬度および高靭性の窒化粉末高速度工具鋼は、マトリクス中に分散する炭窒化物の平均粒径が2.5μm以下で、かつ炭窒化物の分布密度が1×104/mm2以上であることを特徴とする硬度、靭性および耐摩耗性に優れた窒化粉末高速度工具鋼。
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