JPH101703A - 耐食性と切れ味性に優れた刃物用合金鋼 - Google Patents

耐食性と切れ味性に優れた刃物用合金鋼

Info

Publication number
JPH101703A
JPH101703A JP14755096A JP14755096A JPH101703A JP H101703 A JPH101703 A JP H101703A JP 14755096 A JP14755096 A JP 14755096A JP 14755096 A JP14755096 A JP 14755096A JP H101703 A JPH101703 A JP H101703A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel
alloy steel
corrosion resistance
cutting
hardness
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP14755096A
Other languages
English (en)
Inventor
Tokimune Shioura
時宗 塩浦
Mutsuharu Muto
睦治 武藤
Toru Furukawa
徹 古川
Genichi Sakai
源一 坂井
Masami Nashimoto
正實 梨本
Tadaichiro Sone
忠一郎 曽根
Kanji Notomi
完至 納富
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP14755096A priority Critical patent/JPH101703A/ja
Publication of JPH101703A publication Critical patent/JPH101703A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Powder Metallurgy (AREA)
  • Knives (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋼粉を熱間静水圧処理により焼結および緻密
化させてなる刃物用合金鋼の高硬度および高靱性を有し
つつ、耐食性を向上させる。 【解決手段】 鋼粉を熱間静水圧処理により焼結および
緻密化させて成る刃物用合金鋼において、重量%で、
C: 0.9〜1.5 %、Si:1%以下、Mn:1%以下、Cr:
15〜21%、Mo:3〜6%を含有し、残部がFeおよび不可
避的不純物からなる。これにより、孔食の発生が抑制さ
れ、靱性を損なうことなく高硬度な基地組織が得られる
ので、優れた耐食性と切れ味性とを備える。また、この
刃物用合金鋼において、V,W,Coのうち1種以上を総
計で5%以下を含有させると共に、Cを 0.9%≦C%−
0.2・V%≦ 1.5%の関係を満たすよう含有させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば包丁やはさ
み,工業用刃物などに利用可能な耐食性と切れ味性に優
れた刃物用合金鋼に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、刃物用素材には、通常の溶解法に
より製造される高耐摩耗性を備えた高C高Cr鋼が使用さ
れている。この種の溶製鋼としては、例えば、JIS SKD
11などの溶製ダイス鋼,JIS SUS 440Cなどの溶製ステン
レス鋼が一般に知られている。そして、これらの刃物用
素材が圧延法などで所定の形状寸法に加工されて刃物に
仕上げられる。
【0003】しかし、溶解法により高C高Cr合金鋼が製
造されると、組織中に巨大なCr炭化物の晶出が避けられ
ないため、溶製鋼からなる刃物では、巨大炭化物が刃物
の靱性低下の主原因となり、また、刃欠け,刃こぼれの
原因ともなっている。このような巨大炭化物に起因する
靱性の劣化を防止するため、高C高Cr系鋼粉を例えば熱
間静水圧処理法(HIP法)などの粉末冶金法で製造し
た粉末鋼が提案されている。このような粉末鋼では、均
一微細な炭化物組織を有しており、このため高靱性で刃
欠けや刃こぼれに強い刃物が得られる。
【0004】前記粉末鋼としては、例えば(株)神戸製
鋼所のKAD181が挙げられる。このKAD181は、表1に示す
ように、C:2.20wt%,Cr:18wt%を含有する粉末ダイ
ス鋼である。この粉末ダイス鋼では、溶製ダイス鋼であ
るJIS SKD 11と比較して高い靱性を有すると共に、1070
℃で焼入れした後、 150〜200 ℃で焼戻しを行うことに
より、HRC63〜64と高い硬度が得られている。但し、
表1における粉末ダイス鋼は、1030〜1130℃で焼入れし
た後、 150〜550 ℃で焼戻しを2回施したものを示して
いる。
【0005】
【表1】
【0006】したがって、前記溶製ダイス鋼からなる刃
物では、切れ味が良く,刃こぼれし難く,耐久性があっ
て長切れすることが報告されている(例えば、雑誌「金
属プレス」,第25〜30頁:1994年9月号)。ここで、長
切れとは、長期間刃物として使用しても、使い始めと同
様に切れることである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来の粉末ダイス鋼では、Crを例えば18wt%(以下、
単に%と記述する)と多量に含有しているものの、Cの
含有量が2.20%と多いため、十分な耐食性が得られてい
ない。よって、このような合金鋼からなる刃物では錆び
やすくなっている。
【0008】また、粉末合金鋼のC含有量を抑えること
により耐食性を向上させた粉末ステンレス鋼が提案され
ているものの、低C含有量に起因して、従来の粉末ダイ
ス鋼や炭素工具鋼よりも硬度が低くなっている。例え
ば、この種の粉末ステンレス鋼としては、表1に示すよ
うに、C:1.20%,Cr:18.0%を含有するものが知られ
ている。この合金鋼では、1080℃で焼入れが施され、JI
S SUS 440C材と同様に耐食性に優れるものの、C含有量
が1.20%と低いため、熱処理硬さがHRC60〜61と低く
なっている。但し、表1における粉末ステンレス鋼は、
1030〜1130℃で焼入れした後、 150〜550 ℃で焼戻しを
2回施したものを示している。したがって、このような
合金鋼からなる刃物では、十分な切れ味性が得られず、
長期間使用すると刃こぼれが生じ易くなるなどの不満を
生じている。
【0009】本発明は、上記のような問題点に鑑みなさ
れたもので、耐食性に優れると共に、高硬度かつ高靱性
を有する刃物用合金鋼を提供することを目的としてい
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく、
本発明者らは、高C高Cr系鋼粉よりなる粉末鋼材の耐食
性ないし機械的特性に及ぼす要因を鋭意研究した結果、
粉末鋼材中のMoの含有量が鋼材の耐食性および基地組織
の硬度に大きく影響していることを新たに知見し、本発
明をなすに至った。
【0011】すなわち、本発明の請求項1に記載した刃
物用合金鋼は、鋼粉を熱間静水圧処理により焼結および
緻密化させて成る刃物用合金鋼において、重量%で、 C: 0.9〜1.5 %、 Si: 1%以下、 Mn: 1%以下、 Cr: 15〜21%、 Mo: 3〜6%、 を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる点を
特徴としている。
【0012】上記のように、Moの含有量を3〜6%と多
くすると、孔食の発生が抑制されると共に基地組織へ固
溶するMo量が増加するため、耐食性が改善され、かつ、
例えばHRC62〜64の高い熱処理硬さが得られる。この
とき、組織中のCr炭化物は、熱間静水圧処理により概ね
均一微細に分散しているため、靱性の劣化が抑制されて
いる。
【0013】つまり、刃物用合金鋼の合金成分および含
有量を上記のように設定することにより、耐食性が向上
すると共に、高硬度かつ高靱性を有する。したがって、
このような合金鋼からなる刃物では、長期間使用しても
刃こぼれや刃欠けが生じ難く、耐食性と切れ味性に優れ
た刃物として提供することが可能である。また、本発明
の請求項2に記載した刃物用合金鋼は、上記刃物用合金
鋼において、さらにV,W,Coのうち1種以上を総計で
5%以下含有するものである。前記のV,W,Coは、そ
れぞれ焼戻し軟化抵抗を高めるため、焼戻し後の硬さが
増加する。一方、これらの元素が多量に含有されると加
工性が劣化するため、上限を5%に設定しておく。ただ
し、VはCrより炭化物を生成しやすくVCとして晶出す
るため、Vが含有される場合には、1%のVに対してC
を 0.2%多く含有させておく。よって、このような合金
鋼からなる刃物では、刃先の耐久性が増し、切れ味性が
向上することになる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態につい
て説明する。本実施形態の刃物用合金鋼は、鋼粉を熱間
静水圧処理により焼結および緻密化させて成る粉末合金
鋼であって、重量%で、 C: 0.9〜1.5 %、 Si: 1%以下、 Mn: 1%以下、 Cr: 15〜21%、 Mo: 3〜6%、 を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる粉末
合金鋼である。
【0015】これらの合金成分および含有量は、粉末合
金鋼の硬度を劣化させることなく(切れ味が劣化するこ
となく)、耐食性が向上するように設定したものであ
り、次に、上記のように設定した理由について説明す
る。 C: 0.9〜1.5 % Cは、焼入れ焼戻し硬さを高める元素であり、Crと結合
して M23C6型,M7C3型の高硬度炭化物を形成して硬度を
確保する。このためには、 0.9%以上を含有させる必要
がある。一方、 1.5%を超えて含有されると、耐食性が
劣化する。
【0016】Si:1%以下 Mn:1%以下 Si,Mnは、溶鋼の脱酸用元素として添加すると共に、焼
入性の向上に寄与する。ただし、Si,Mnが多量に存在す
ると靱性を低下させるため1%以下とする。 Cr:15〜21% Crは、基地組織および炭窒化物中に存在して、耐食性,
焼入れ性を改善し、焼戻し硬さ,高温硬さおよび耐摩耗
性を付与する元素である。その含有量が15%未満では、
これらの硬さは少なくなる。一方、含有量が21%を超え
ると、これらの効果が飽和してしまうと共に、焼なまし
硬さが増大して、機械加工性が劣化する。
【0017】Mo:3〜6% Moは、孔食の発生を抑制して耐食性を改善すると共に、
基地組織に固溶して焼戻し後の硬さを増加させる元素で
ある。そして、粉末合金鋼が刃物に用いられるときに
は、刃先の耐久性を向上させる。そのためには、 3.0%
以上を含有させることが必要である。一方、6%を超え
て含有させると、靱性や加工性が低下するため、その上
限を6%とする。
【0018】そして、前記粉末合金鋼は、以上の合金成
分のほか、残部がFeおよび不可避的に混入した不純物か
らなる。この不純物としては、P,Sが含まれることが
ある。しかし、これらの元素は材質を脆くするので少な
い程望ましく、いずれも1%以下に止めておく。なお、
原料よりNi,Cuが不可避的に混入することがある。これ
らの元素は、耐食性の向上に寄与するものの、多量に含
有されると焼入れ硬さを低下させるため、各々上限を1
%とする。
【0019】以上のような刃物用合金鋼では、熱間静水
圧処理により巨大なCr炭化物が均一に微細化されてお
り、高靱性かつ高硬度を兼備すると共に、優れた耐食性
を有している。したがって、このような合金鋼からなる
刃物は、長期間使用しても刃こぼれや刃欠けが生じ難
く、優れた耐食性と切れ味性とを備えている。また、本
実施形態の刃物用合金鋼は、上記した合金成分に加え、
V,W,Coのうち1種以上を総計で5%以下含有させる
ことにより、耐久性を向上させることができる。すなわ
ち、このときの刃物用合金鋼は、 Si: 1%以下、 Mn: 1%以下、 Cr: 15〜21%、 Mo: 3〜6%、 を含有すると共に、V,W,Coのうち1種以上を総計で
5%以下含有し、かつ、Cを 0.9%≦C%− 0.2・V%
≦ 1.5%の関係を満たすよう含有し、残部がFeおよび不
可避的不純物からなる。
【0020】これらの合金成分のうちV,W,Coは、そ
れぞれ焼戻し軟化抵抗を高め、焼戻し後の硬さを増加さ
せる元素である。ただし、これらの元素は高価な元素で
もあり、多量に含有されると、機械加工性を害し、経済
面で不利となるので、V,W,Coのうち1種以上の総量
を5%以下とする。そして、VはCrより炭化物を生成し
やすいため、Vが含有されると、含有Vの大半が、V炭
化物となり、優先的に晶出する。よって、充分な量のC
含有量を確保しておくため、V含有量1%に対して、C
は 0.2%多く含有させておく。つまり、Vを含有する場
合、Cは 0.9%≦C%− 0.2・V%≦ 1.5%の関係を満
たすよう含有される。一方、W,Coのうちの1種が含有
されてVを含有しない場合、Cの含有量は 0.9%≦C%
≦ 1.5%の範囲となる。
【0021】したがって、このような合金鋼ではさらに
硬度が向上し、刃物として用いたときには、刃先の耐久
性が増して長切れし、優れた耐食性を維持して、切れ味
性を向上させることができる。ここで、以上のような刃
物用合金鋼の製造方法について触れておく。最初に、N2
ガスアトマイズ法により急冷凝固鋼粉を得ておき、これ
を熱間静水圧プレスを用いて固化成形し、次いで、鍛
造,圧延を行ない所定形状に加工後に熱処理を施すこと
により製造される。このとき熱処理としては、従来と同
様、例えば、1030〜1130℃で15〜30分間加熱保持後、ガ
ス冷却を行い、続けて−70℃で30〜60分間サブゼロ処理
して、 150〜550 ℃で90分間の焼戻しが施される。
【0022】なお、このような方法で製造される刃物用
合金鋼では、熱間静水圧プレスにより焼結および緻密化
されているため、均一微細なミクロ組織を有し、鍛造性
や圧延性に優れた状態になっている。よって、これらの
方法により、前記合金鋼が所定の形状寸法に加工され
て、最終的な製品としての刃物が得られる。
【0023】
【実施例】ここで、上記で述べた刃物用合金鋼の材質特
性を評価するため、以下に示す条件で機械的特性の測定
および切れ味試験を行った。 (1)供試材について まず、鋼粉をHIP法により焼結させた粉末鋼を得た
後、この粉末鋼に対して熱処理を施した。このときの熱
処理条件は、1130℃で30分間加熱保持した後、ガス冷却
し、−70℃で30分間深冷処理を施して、最後に 150℃で
90分間の焼戻しを行うものとした。このようにして得ら
れた粉末鋼を実施例1〜6とし、これらの化学組成は表
2に示す通りである。
【0024】
【表2】
【0025】また、上記実施例と同様の製造方法および
熱処理条件により、成分範囲の異なる粉末鋼を作製し
て、これを比較例1〜4とした。そして、従来の粉末鋼
には、(株)神戸製鋼所のKAS440,KAD181に相当する粉
末ステンレス鋼,粉末ダイス鋼を、それぞれ従来例1,
2として用いた。さらに、従来の溶製鋼には、JIS SUS
系鋼を従来例3,4、JIS SKS 系鋼を従来例5として用
いた。これら比較例および従来例の化学組成は、表2に
示す通りである。
【0026】なお、従来例3〜5に係る溶製鋼では、各
鋼種の代表的熱処理条件を採用した。つまり、従来例
3,4,5は、それぞれ 1030,1080,800℃で5分間加熱
保持した後油冷して、続いてそれぞれ 170,150,160℃で
60分間の焼戻しを施した。 (2)機械的特性の測定 粉末鋼の硬度は、ロックウェル硬さ試験機を用いて測定
した。つまり、上記実施例,比較例,従来例の供試材か
ら20×20×10mmの試験片を採取し、JIS-Z-2245に準じて
試験を行い、熱処理後の硬さを求めた。この試験結果は
表3に示す通りである。
【0027】靱性の評価は、抗折試験でもって行った。
すなわち、上記の各供試材から5×10×30mmの試験片を
採取し、支点間距離20mmで3点曲げ試験を行い、抗折値
を求めた。この試験結果は表3に示す通りである。耐食
性の評価は、塩水噴霧試験により行った。上記の各供試
材から 2.3×21×24mmの試験片を採取し、これらを乾式
研磨にて#500 まで仕上げ、脱脂洗浄後、JIS-Z-2371に
準じて行った。7時間噴霧後、試験片の表面に付着した
食塩および腐食生成物をブラシ掛けで除去し、腐食減量
を測定した。このときの測定結果は表3に示す通りであ
る。 (3)切れ味試験 切れ味性の評価は、上記実施例1〜6,比較例1〜4,
従来例1〜5の各合金鋼より、さしみ包丁(全長: 320
mm)を試作し、本多式切れ味試験機にて切れ味の評価を
行った。つまり、ほぼ一定湿度(33%)で、所定寸法の
紙束を用い、所定の荷重(3Kgf)および切削速度下で刃
物の一通過(ストローク:70mm)によって裁断した紙の
枚数により切れ味を評価した。なお、本試験では、1回
の裁断毎に紙束を交換して,同一条件下で裁断を39回繰
り返した後、40回目に裁断した枚数をもって、材料の切
れ味とした。このときの試験結果は表3に示す通りであ
る。
【0028】
【表3】
【0029】(4)測定結果および試験結果について 表3に示すように、実施例1〜6は、Moの孔食抑制効果
により、腐食減量がいずれも16×10-2〜26×10-2mg/50
0mm2と極めて少なく、耐食性に優れていることがわか
る。また、実施例は、HIP法で作られているため、均
一微細なミクロ組織を有し、そのため抗折値がいずれも
360Kgf/mm2以上と高くなっていると共に、Moを3〜5%
含有するため、熱処理硬さがHRC62〜64と高く、高硬
度かつ高靱性を有していることがわかる。
【0030】そして、切れ味試験結果では、腐食減量が
26×10-2mg/500mm2以下でありながら、約40枚前後切れ
ている。すなわち、実施例1〜6は、比較例および従来
例と比較して、優れた耐食性と切れ味性とを兼備した刃
物材であることがわかる。さらに、実施例では、V,
W,Coのうち1種以上を含むことにより、優れた耐食性
を損なうことなく、熱処理硬さ,切れ味が向上すること
がわかる。
【0031】一方、比較例1〜4は、実施例と同じく粉
末冶金法で作られているため、高い抗折値(靱性)を有
している。しかし、Mo含有量が比較的低いため、熱処理
硬さが若干低く、耐食性も実施例に比べると劣ってい
る。また、切れ味も実施例に比べると若干劣っているこ
とがわかる。特に、比較例2では、Moを3%と多く含有
するものの、Crを14%しか含有しないため、耐食性が著
しく低下している。
【0032】次いで、粉末鋼である従来例1,2は、実
施例と同様に抗折値が高く、高靱性材である。しかし、
従来例1は、熱処理硬さがHRC61と低く、切れ味も良
くない。また、従来例2は、熱処理硬さがHRC64と高
く切れ味も良好であるものの、非ステンレス鋼であるた
め耐食性が悪くなっている。最後に、溶製鋼である従来
例3〜5のうち、ステンレス系の従来例3,4は、刃欠
けの原因となる5〜30μmの巨大炭化物が内在するた
め、抗折値が低く、熱処理硬さも低いため、切れ味も良
くない。また、SKS 鋼系の従来例5は、巨大炭化物を含
まない成分系のため、抗折値は高く、熱処理硬さも高い
ものの、耐食性および切れ味性は、実施例と比べると大
幅に劣っていることがわかる。
【0033】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の刃物用合金
鋼は、Moを3〜6%含有しているので、十分な硬度を有
しつつ孔食が発生し難くなり、よって、耐食性と切れ味
性に優れた刃物を提供し得る。また、V,W,Coのうち
1種以上を総計で5%以下を含有させると共に、これら
の含有量に応じてCの含有量を増やすことにより、焼戻
し後の硬さが増加するため、刃物に用いた場合、刃先の
耐久性が増し、切れ味性が向上し得る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂井 源一 新潟県三条市大字金子新田丙646番地7 株式会社坂源内 (72)発明者 梨本 正實 新潟県三条市金子新田乙945番地15 ナシ モト工業株式会社内 (72)発明者 曽根 忠一郎 新潟県三条市東本成寺27番地28 株式会社 タダフサ内 (72)発明者 納富 完至 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目3番1号 株式会社神戸製鋼所高砂製作所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼粉を熱間静水圧処理により焼結および
    緻密化させて成る刃物用合金鋼において、 重量%で、 C: 0.9〜1.5 %、 Si: 1%以下、 Mn: 1%以下、 Cr: 15〜21%、 Mo: 3〜6%、 を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなること
    を特徴とする耐食性と切れ味性に優れた刃物用合金鋼。
  2. 【請求項2】 鋼粉を熱間静水圧処理により焼結および
    緻密化させて成る刃物用合金鋼において、 重量%で、 Si: 1%以下、 Mn: 1%以下、 Cr: 15〜21%、 Mo: 3〜6%、 を含有すると共に、 V,W,Coのうち1種以上:総計で5%以下、 を含有し、かつ、Cを、 0.9%≦C%− 0.2・V%≦ 1.5% の関係を満たすよう含有し、残部がFeおよび不可避的不
    純物からなることを特徴とする耐食性と切れ味性に優れ
    た刃物用合金鋼。
JP14755096A 1996-06-10 1996-06-10 耐食性と切れ味性に優れた刃物用合金鋼 Pending JPH101703A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14755096A JPH101703A (ja) 1996-06-10 1996-06-10 耐食性と切れ味性に優れた刃物用合金鋼

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14755096A JPH101703A (ja) 1996-06-10 1996-06-10 耐食性と切れ味性に優れた刃物用合金鋼

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH101703A true JPH101703A (ja) 1998-01-06

Family

ID=15432868

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP14755096A Pending JPH101703A (ja) 1996-06-10 1996-06-10 耐食性と切れ味性に優れた刃物用合金鋼

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH101703A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100412643B1 (ko) * 2001-05-30 2003-12-31 현대자동차주식회사 프레스 금형용 주조 합금강
JP2013221606A (ja) * 2012-04-19 2013-10-28 Nsk Ltd 直動案内装置
JP2019533766A (ja) * 2016-10-27 2019-11-21 ダマスチール アクチボラグDamasteel Aktiebolag 模様付き複合金属板の製造方法
CN115558843A (zh) * 2021-09-08 2023-01-03 僖昴晰(上海)新材料有限公司 一种合金钢组合物

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100412643B1 (ko) * 2001-05-30 2003-12-31 현대자동차주식회사 프레스 금형용 주조 합금강
JP2013221606A (ja) * 2012-04-19 2013-10-28 Nsk Ltd 直動案内装置
JP2019533766A (ja) * 2016-10-27 2019-11-21 ダマスチール アクチボラグDamasteel Aktiebolag 模様付き複合金属板の製造方法
US11446736B2 (en) 2016-10-27 2022-09-20 Damasteel Ab Method of making a patterned composite metal plate
CN115558843A (zh) * 2021-09-08 2023-01-03 僖昴晰(上海)新材料有限公司 一种合金钢组合物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2009504922A (ja) 粉末冶金製造された鋼、その鋼を含む工具、およびその工具の製造方法
JP2017155306A (ja) 優れた高温強度および靱性を有する熱間工具鋼
WO2020203570A1 (ja) 遠心鋳造製圧延用複合ロール及びその製造方法
JP2021031695A (ja) 靱性に優れた熱間工具鋼
JPS61213349A (ja) 合金工具鋼
JP6710484B2 (ja) 粉末高速度工具鋼
JPH08100239A (ja) 合金工具鋼
US6641681B1 (en) Steel material and its manufacture
TWI577807B (zh) 熱加工工具及其製造方法
JPH101703A (ja) 耐食性と切れ味性に優れた刃物用合金鋼
CZ20013818A3 (cs) Ocelový obráběcí stroj k obrábění kovů za studena, jeho vyuľití a výroba
CZ20032755A3 (cs) Nástrojová ocel, způsob výroby dílů z této oceli a díl z oceli získaný uvedeným způsobem
JP3587719B2 (ja) 耐食性と切れ味持続性および加工性に優れた刃物用ステンレス鋼
JP6537342B2 (ja) 硬度、靭性および耐摩耗性に優れた窒化粉末高速度工具鋼
JP2005187900A (ja) 表面処理性に優れた冷間工具鋼、金型用部品、および金型
US20040094239A1 (en) Steel article
JP7214313B2 (ja) 高い耐摩耗性を有する高靭性の冷間工具鋼
JP3780690B2 (ja) 被削性および工具寿命に優れた熱間工具鋼
US10472704B2 (en) Cold work tool steel
JPS58144456A (ja) 粉末高速度工具鋼
JPH09227990A (ja) 高温強度及び破壊靱性に優れた熱間工具鋼
JPS62250154A (ja) 合金工具鋼
JP2019512595A (ja) 合金鋼および工具
JP2000144333A (ja) 溶解法による高硬度高速度工具鋼
JP3894373B2 (ja) 高硬度高耐食性刃物用鋼