JP4369415B2 - 酸洗い性に優れたばね用鋼線材 - Google Patents

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Description

本発明は、酸洗い性に優れたばね用鋼線材に関し、詳細には、Siを多く含み、Cr、Cu、Niを更に含むばね用鋼線材の酸洗い性を高める技術に関している。本発明のばね用鋼線材は、自動車等のエンジンに使用される弁ばねや、クラッチばね、ブレーキばね、スタビライザー、トーションバーなどの懸架ばね等に好適に用いられる。
弁ばねや懸架ばね等に用いられるばね用鋼の化学成分は、例えば、JIS G 3565〜JIS G 4801などに規定されており、ばね設計の種類などに応じて適切な鋼種が用いられている。最近、排ガスや燃費の低減化に伴ってばねの小型軽量化が進むにつれ、ばねの設計応力も高くなり、例えば、ばね素線(焼入れ焼戻し処理材)の引張強さが約1600MPa以上の高強度を実現し得るばね用鋼線材の提供が切望されている。また、ばねの重要な特性の一つである大気下での耐久性を高めるため、耐力の向上も望まれており、固溶強化によって耐力を向上し得るSiおよびCrを合金元素として多く含む鋼線材が用いられる傾向にある。更に、上記以外のばねの重要な特性の一つである腐食疲労特性を高めるため、CuやNiを添加して耐食性の改善が図られている。
一般に、ばねは、鋼片を加熱し、熱間圧延した線材(圧延線材)を、必要に応じて表面に潤滑剤を施して皮膜処理(表面皮膜処理)を行った後、所定の線径まで引き抜き、加工(熱間成形または冷間成形)して製造される。加熱は、通常、酸化性雰囲気下で行われるため、圧延線材の表面には、「圧延スケール」または「スケール」と呼ばれるFe酸化物の酸化層が生成する。スケールが付着したままの圧延線材を用いてばねを製造すると、表面疵などが発生して品質の低下を招くことから、引き抜き処理を行う前に、スケールを除去するための酸洗い処理が行われる。
図1に、Siを多く含み、Cr、Cu、Niを更に含む鋼の表面にスケールが付着した圧延線材の断面を、Fe−SEM装置を用いて観察した写真を示す。これは、後記する実施例のNo.E−1に相当する。図1に示すように、スケールは、表層側から順に、ヘマタイト(Fe)、マグネタイト(Fe)、ウスタイト(FeO)、ファイヤライト(2FeO・SiO)から構成されている。鋼(地鉄)とスケールとの間には、SiやCrが濃化したサブスケールが更に生成している。
このうち、ファイヤライトは、Siを多量に含む鋼を用いた場合に見られる低融点酸化物であり、通常の酸洗処理では剥離し難い難剥離性物質である。例えば、SiおよびCrを含む鋼を、ファイヤライトとウスタイトとの共晶温度(約1170℃)以上に加熱すると、これらの酸化物が複雑に絡み合った緻密な溶融相が形成され、更に、1200℃以上に加熱すると、上記の溶融相やファイヤライトにCrが侵入し、地鉄との界面に濃化して濃化層(詳細は後記する。)が形成されるようになる。一旦、濃化したCrは、その後の工程によって除去することが極めて困難であり、酸洗い性が低下する。酸洗い性が低下すると、酸洗い処理後にスケールが残存するため、表面に施される潤滑剤(表面皮膜処理に用いられる)との付着性が低下し、引き抜き加工中に断線する恐れがある。断線に至らなくても、引き抜き加工中にクラック(亀裂)が生じ、ばね成形(冷間コイリング)中に折損することがある。これらの問題は、例えば、酸洗い処理時間を長くし、スケールを完全に除去することによって低減され得るが、酸溶液中の浸漬時間が長くなるため、地鉄への酸によるアタックが激しくなって表層粗さの低下を招き、最終的に、大気下での耐久性も阻害されるようになる。また、鉄地への酸によるアタック時に発生する水素の一部が鋼中に速やかに拡散して吸収されるため、水素吸蔵量が増加して鋼材の脆化(水素脆化)を招き、引き抜き中に断線に至る場合がある。
また、図1には示していないが、鋼(地鉄)とスケールとの間には、CuやNiの濃化層も生成している。この濃化層は、鋼中にCuやNiを含む場合に見られる。CuやNiなどの鉄より貴な金属は、加熱によって酸化されないため、これらの金属がスケールと地鉄との界面またはファイヤライト中に濃化し、赤熱脆性による表面割れが発生することが知られている。例えば、Cuの融点は約1080℃であるが、熱間圧延前の鋼材の加熱は、通常、Cuの融点よりも高い温度(例えば、約1100〜1250℃)で行われるため、溶融状態のCu(液相)がスケールと地鉄との界面に生成し、このCuが地鉄の粒界に侵入してCuが濃化し、熱間圧延時のせん断応力や引張応力に耐えられなくなり、赤熱脆性による表面割れが発生すると考えられている。このような現象は、液体金属溶融脆化と呼ばれており、結果的に、酸洗い性の低下をもたらすと考えられる。
Cuの地鉄界面への濃化を防止し、赤熱脆性に起因する表面割れを防止するため、種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、Siを鋼中に添加し、熱間圧延前の加熱工程でSiをスケール中に存在させ、SiO−FeO系の低融点酸化物液体スケールを生成させ、Cu融液をそのなかに取り込むことによって表面割れを防止する方法が記載されている。
特許文献2は、特許文献1と同じ出願人によって提案されたCu含有鋼材の加熱方法に関する技術である。特許文献2では、特許文献1のように鋼成分の変更を行うことなく、Cuの濃化に起因する表面割れを防止し得る方法として、熱間圧延前の加熱条件において、加熱雰囲気温度および雰囲気中の酸素濃度を制御する方法が記載されている。
特開平6−297026号公報 特開2004−223523号公報
前述したように、主に、耐力および腐食疲労特性の向上のため、Siを多く含み、CrやCu、Niを含むばね用鋼線材が用いられているが、このようなばね用鋼線材は、スケール(特に、ファイヤライト)と地鉄との界面にCuが濃化するため、酸洗い性が低下するという問題が懸念されている。
しかしながら、このようなばね用鋼線材の酸洗い性を充分高める方法は、開示されていない。前述した特許文献2は、Siを多量に添加することなしにCuの濃化に起因する表面割れを防止する技術であり、Siの添加による耐力の向上が得られない。一方、前述した特許文献1は、その後に提案された上記特許文献2の従来技術の欄に指摘されているように、「Siを添加した鋼材はスケールの剥離性が悪く、圧延前の高圧水によるデスケーリングによってもスケールの剥離・除去が困難となり、スケールが残留し鋼材表面が赤くなるなど表面性状が損なわれ、その後、酸洗工程がある場合には、酸洗でスケールが溶解し難いため、酸洗工程のコスト増、生産性の低下の問題がある。」などの問題を抱えている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、Siを多く含み、Cr、Cu、Niを更に含むばね用鋼線材において、酸洗い性が高められたばね用鋼線材を提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明に係る酸洗い性に優れたばね用鋼線材は、C:0.35〜0.7%(質量%の意味。以下、特に断らない限り、同じ)、Si:1.5〜2.50%、Mn:0.05〜1.0%、Cr:0.05〜1.9%、Cu:0.05〜0.7%、Ni:0.15〜0.8%、P:0.02%以下(0%を含まない)、S:0.02%以下(0%を含まない)、残部:Feおよび不可避不純物を満足するばね用鋼線材であって、SiとCuとの比(Si/Cu)は、4.0以上の範囲内であり、表層のCu濃度と鋼中のCu濃度との差が0.50%以下、および表層のNi濃度と鋼中のNi濃度との差が1.00%以下であることに要旨が存在する。
好ましい実施形態において、V:0.07〜0.4%、Ti:0.01〜0.1%、およびNb:0.01〜0.1%よりなる群から選択される少なくとも一種を更に含有する。
上記課題を解決することのできた本発明のばねは、上記のいずれかのばね用鋼線材を用いて得られたものである。
本発明のばね用鋼線材は、表層部のCrおよびNiの濃化が著しく抑えられているほか、スケールの厚さが非常に薄いため、酸洗い性に優れている。本発明のばね用鋼線材を用いてばねを製造すると、酸洗工程によってスケールが容易に剥離するため、表面性状に優れたばねを提供することができる。
本発明者は、Siを多く含み、Cr、Cu、Niを更に含むばね用鋼線材の酸洗い性を高めるため、鋭意検討してきた。その結果、後に詳しく説明するように、特に、(i)熱間圧延前の脱スケール工程、および(ii)熱間圧延工程を適切に制御すれば、線材表面のCuおよびNiの濃化(特に、ファイヤライト中へのCu、Niの濃化)が抑えられ、表層のCu濃度と鋼中のCu濃度との差(以下、ΔCuと略記する場合がある。)、および表層のNi濃度と鋼中のNi濃度との差(以下、ΔNiと略記する場合がある。)が著しく低減されるため、酸洗い性が格段に向上することを見出し、本発明を完成した。
具体的には、(i)熱間圧延前の脱スケール工程において、所定の高水圧シャワーを施している。これにより、ファイヤライト中に取り込まれたCuが剥離され、表層部のCu濃化量を低減することができる。また、(ii)熱間圧延工程において、所定の高水圧シャワーを施している。これにより、熱間圧延中に生成したファイヤライトへのCuの濃化を著しく抑えられる。
以下、本発明について詳しく説明する。
前述したように、本発明のばね用鋼線材は、C:0.35〜0.7%、Si:1.5〜2.50%、Mn:0.05〜1.0%、Cr:0.05〜1.9%、Cu:0.05〜0.7%、Ni:0.15〜0.8%、P:0.02%以下(0%を含まない)、S:0.02%以下(0%を含まない)、残部:Feおよび不可避不純物を満足するばね用鋼線材であって、SiとCuとの比(Si/Cu)は、4.0以上の範囲内であり、表層のCu濃度と鋼中のCu濃度との差が0.50%以下、および表層のNi濃度と鋼中のNi濃度との差が1.00%以下であることを特徴としている。
本明細書において、「鋼線材」とは、鋼片を加熱後、線状に熱間圧延された鋼材(圧延材)であり、酸洗い処理が施される前のものを意味する。
まず、鋼中成分について説明する。
C:0.35〜0.7%
Cは、焼入れ焼戻し後の強度(硬さ)の向上に寄与し、大気耐久性を高める元素である。C量が0.35%未満では、上記作用を有効に発揮させることができず、一方、0.7%を超えると、靱延性が劣化し、亀裂が伝播し易くなって耐久性が低下し、耐食性にも悪影響をもたらす。C量は、0.39%以上0.54%以下であることが好ましい。
Si:1.5〜2.50%
Siは、固溶強化元素として強度向上に寄与し、耐力も向上し得る元素である。Siが1.5%未満では、マトリックス強度が不充分である。ただし、Siが2.50%を超えて過剰になると、スケール中に占めるファイヤライトの比率が増加し、酸洗い性が低下する。Siは、1.70%以上2.1%以下であることが好ましい。
Mn:0.05〜1.0%
Mnは、鋼中の焼入れ性を高める元素である。このような作用を有効に発揮させるため、Mnの添加量は、0.05%以上とする。しかし、Mn量が1.0%を超えて過剰に添加されると、焼入れ性が増大して過冷組織が生成し易くなり、引き抜き加工性が劣化する。また、後述する「ばね工程(c)」のように、熱間圧延後酸洗い処理前に、線材の軟化を目的として焼鈍工程を場合、コスト高が避けられなくなる。Mnは、0.12%以上0.8%以下であることが好ましい。本発明では、破壊の起点となるMnSの形成を防止するため、後記するように、Sの含有量を低減したり、Cuなどの他の硫化物形成元素を添加したりするなどして、MnSを極力生成させない様にしている。
Cr:0.05〜1.9%
Crは、腐食条件下で表層部に生成する錆を非晶質で緻密なものとし、耐食性の向上に寄与する他、Mnと同様、焼入れ性向上にも有効に作用する元素である。このような作用を有効に発揮させるため、Crを0.05%以上添加する。しかし、Crが1.9%を超えると、圧延後冷却時に過冷組織が生成し易くなり、引き抜き加工性が低下する。後述する「ばね工程(c)」のように、熱間圧延後酸洗い処理前に、線材の軟化を目的として焼鈍工程を場合、コスト高が避けられなくなる。Crは、0.15%以上1.75%以下であることが好ましい。
Cu:0.05〜0.7%
Cuは、電気化学的に鉄より貴な元素であり、耐食性を高める作用がある。このような作用を有効に発揮させるため、Cuを0.05%以上添加する。ただし、Cuが0.7%を超えると、地鉄表層、地鉄と圧延スケールとの界面、およびファイヤライト中へのCuの濃化量が増加し、酸洗い性を阻害するようになる。Cuは、0.20%以上0.5%以下であることが好ましい。
Ni:0.15〜0.8%
Niは、焼入れ焼戻し後の靱性を高めると共に、腐食条件下で表層部に生成する錆を非晶質で緻密なものとして耐食性を高める作用がある。また、圧延前および圧延中に生じるフェライト脱炭を抑制する作用も有する。このような作用を有効に発揮させるため、Niを0.15%以上添加する。しかし、Niが0.8%を超えると焼入れ性が増大し、圧延後に過冷組織が生成し易くなる。また、残留オーステナイト量も増大し、ばね硬さが低下する。Niは、0.25%以上0.55%以下であることが好ましい。
P:0.02%以下(0%を含まない)
Pは、旧オーステナイト粒界に偏析して粒界を脆化させ、耐遅れ破壊特性を低下させるため、できるだけ少ない方が良い。本発明では、工業生産上、上限を0.02%とする。
S:0.02%以下(0%を含まない)
Sは、旧オーステナイト粒界に偏析して粒界を脆化させ、耐遅れ破壊特性を低下させるため、できるだけ少ない方が良い。本発明では、工業生産上、上限を0.02%とする。
SiとCuとの比(Si/Cu):4.0以上
本発明では、SiおよびCuの量を、それぞれ、定めるほか、(Si/Cu)の下限を更に定めている。これにより、Si添加によって生成するファイヤライトと、Cu添加によって地鉄とスケールとの界面に濃化するCu量とが、適切に制御されるため、ファイヤライト中へのCuの濃化が抑えられ、ΔCuが小さくなる。その結果、酸洗い性が高められる(後記する実施例を参照)。(Si/Cu)の上限は、前述したSiおよびCuの含有量により、50と定められる。(Si/Cu)は、4.5以上35以下であることが好ましい。
本発明のばね用鋼線材は、上記成分を含有し、残部:鉄および不可避不純物である。
本発明において、耐水素脆性を更に高める目的で、V:0.07〜0.4%、Ti:0.01〜0.1%、およびNb:0.01〜0.1%よりなる群から選択される少なくとも一種を更に含有することが好ましい。以下、各元素について、詳細に説明する。
V:0.07〜0.4%
Vは、微細な炭化物や窒化物を形成して耐水素脆性の向上に寄与する元素である。また、疲労特性も高められる。更に、結晶粒微細化効果によって靱性や耐力が向上し、耐食性や耐へたり性の向上にも寄与する。このような作用を有効に発揮させるためには、Vを0.07%以上添加することが好ましい。ただし、Vを0.4%を超えて過剰に添加すると、焼入れ加熱時に、オーステナイト中に固溶されない炭化物量が増大し、充分な強度と硬さが得られなくなるほか、残留オーステナイト量も増加してばね硬さが低下する。Vは、0.1%以上0.2%以下であることがより好ましい。
Ti:0.01〜0.1%
Tiは、焼入れ焼戻し後の旧オーステナイト結晶粒を微細化し、耐水素脆性の向上に有効な元素である。また、大気耐久作用も有している。このような作用を有効に発揮させるためには、Tiを0.01%以上添加することが好ましい。ただし、Tiを過剰に添加すると、粗大な窒化物が析出し易くなり、大気耐久性が低下するため、上限を0.1%とすることが好ましい。Tiは、0.04%以上0.09%以下であることがより好ましい。
Nb:0.01〜0.1%
Nbは、炭化物、窒化物、硫化物、およびこれらの複合化合物よりなる微細な析出物を形成して耐水素脆性の向上に寄与する元素である。また、結晶粒微細化効果によって靱性や耐力も向上する。このような作用を有効に発揮させるためには、Nbを0.01%以上添加することが好ましい。ただし、Nbを0.1%を超えて過剰に添加すると、焼入れ加熱時に、オーステナイト中に固溶されない炭化物量が増大し、所定の引張強さが得られない。Nbは、0.02%以上0.05%以下であることがより好ましい。
以上、本発明における鋼中成分について説明した。
表層のCu濃度と鋼中Cu濃度との差(ΔCu):0.50%以下
本発明では、ΔCuが0.50%以下と、低く抑えられている。前述したように、加熱によって生成したスケール(一次スケール)は、熱間圧延前に施される通常の脱スケール処理により、その殆どが除去され得るが、熱間圧延中および熱間圧延後の冷却中に生成するスケール(二次スケール)は、特に、本発明のように高SiおよびCuを含む鋼の場合、通常の脱スケール処理では容易に除去されず、スケール中にFeが拡散することによって、スケール(ファイヤライト)と地鉄との界面またはファイヤライト中にCuが析出する。その結果、酸洗い性が低下する。本発明では、後に詳しく説明するように、熱間圧延前の脱スケール工程だけでなく、仕上圧延工程を適切に制御しているため、ΔCuを低く抑えられる。ΔCuは、少なければ少ないほど良く、例えば、0.45%以下であることが好ましく、0.40%以下であることがより好ましい。
ここで、「表層のCu濃度」の測定方法を、図2を用いて説明する。図2は、以下のようにして作製した供試材を用い、表層部から内部の中心に向かって0.3mmの範囲で、下記条件のEPMAライン定量分析によって測定した図であり、Cu濃度(%)と表層部からの距離との関係を示している。ここで、「表層部」とは、Feに関し、上記と同様にしてEPMAライン定量分析を行ったとき、FeのX線強度(cps)が最大値に達したときの地点を地鉄界面(スケールと地鉄との境界)とし、この領域を「表層部」と定義し、当該表層部におけるCu量の最大値を「表層のCu濃度」と定義する。上記の「表層」部分は、鋼中成分や線材の製造条件などによっても相違するが、少なくとも、ファイヤライトを含んでいる。
EPMA測定装置:日本電子製X線マイクロアナライザー「JXA−8800 RL」を使用
供試材:スケールが付着したままの鋼材を樹脂に埋め込み、圧延方向に垂直な断面を研磨剤で鏡面仕上げした後、電導性を保持するため、オスミウムを用いて蒸着を行った。
加速電圧:15kV
照射電流:0.3μA
定量ライン分析:分布の間隔1μm、合計300点を測定
表層Ni濃度と鋼中Ni濃度との差(ΔNi):1.00%以下
本発明では、ΔNiも1.00%と、低く抑えられている。前述したように、Niは、Cuと同様、耐食性向上に寄与する元素であり、加熱工程および熱間圧延工程において、スケール(ファイヤライト)と地鉄との界面またはファイヤライト中にNiが析出する点でも、Cuと同じである。その結果、酸洗い性が低下する。従って、本発明では、Cuと同様に、Niの濃化を抑えることも必要である。ΔNiは、少なければ少ないほど良く、例えば、0.90%以下であることが好ましく、0.85%以下であることがより好ましい。
ここで、「表層のNi濃度」とは、前述した「表層のCu濃度」の測定に用いたのと同じ方法で作製した供試材を用い、表層部から内部の中心に向かって0.3mmの範囲で、上記と同じ条件のEPMAライン定量分析によってNi量を測定したときの最大のNi量を意味する。図3に、Ni濃度(%)と表層部からの距離との関係を示す。
以上、本発明を特徴付けるΔCu、更にΔNiについて説明した。
本発明のばね用鋼線材は、以下に示すように、スケールの厚さや組成が適切に制御されていることが好ましく、これにより、酸洗い性が更に高められる。
(スケールの厚さ)
スケールの厚さは、40μm以下であることが好ましい。以下に詳しく説明するように、スケール内に発生した亀裂(クラック)によるスケール剥離を考慮すると、スケールの厚さは、おおむね、5μm以上35μm以下であることがより好ましい。
スケール内には、例えば、圧延後の冷却過程や圧延線材の取扱い中にミクロレベルの亀裂が生成することがある。亀裂が多いほど、地鉄表面からのスケールの剥離が容易になるため、酸洗い性が向上すると考えられている。一般に、亀裂は、スケールの厚さが薄くなるほど、スケール強さが低下して発生し易くなる傾向にあるが、スケールの厚さが薄くなり過ぎると、スケール自体の延性が増加して内部応力が減少するため、亀裂は少なくなる。従って、スケールの厚さは、上記範囲内にあることが好ましい。
(スケールの組成)
スケールの組成は、体積比率で、おおむね、ファイヤライト:2〜10%(より好ましくは3〜7%)、ウスタイト:2〜20%(より好ましくは10〜18%)、マグネタイト:35〜70%(より好ましくは37〜50%)、およびヘマタイト:20〜60%(より好ましくは30〜55%)を満足することが好ましい。このように、本発明によれば、難剥離性のファイヤライトの比率が少なく、スケール剥離性に優れたウスタイトやマグネタイトの比率が多くなるようにスケール組成が制御されているため、酸洗い性が一層高められる。
以上、本発明のばね用鋼線材について説明した。
次に、上記のばね用鋼線材を製造する方法を説明する。
ばね用鋼線材の製造方法は、(ア)加熱工程と、(イ)均熱工程と、(ウ)熱間圧延工程前の脱スケール工程と、(エ)熱間圧延工程とを包含している。本発明では、特に、(ア)加熱工程において、ファイヤライトを含むスケールを速やかに除去するため、例えば、所定の高水圧シャワーを施しており、(ウ)熱間圧延工程において、熱間圧延中に生成したファイヤライトへのCuの濃化を防止するため、所定の水冷シャワーを施しており、これにより、ΔCuおよびΔNiを著しく低く抑えることが可能になった。後記する実施例に示すように、本発明によれば、Siを多く含み、Cr、Cu、Niを含む鋼を用いているにもかかわらず、表層部へのCuおよびNiの濃化が著しく抑えられ、スケールの厚さも薄いため、引張強度が約1600MPa以上で、表面性状に優れたばねを提供することができる。
以下、各工程を詳しく説明する。
(ア)加熱工程
加熱条件は、特に限定されないが、おおむね、10℃/分以上の昇温速度で、700℃〜1000℃(750℃〜900℃)の温度に加熱する。昇温速度が10℃/分未満の場合、表層部へのCrの濃化を有効に防止することができない。昇温速度は、できるだけ、速い方が良く、15℃/分以上であることが好ましい。また、加熱温度が上記範囲を超えると、CuやNiの濃化が進み、表層のCu量、Ni量が多くなる。一方、加熱温度が上記範囲を下回ると、充分に加熱が行われないため、粗圧延が出来ない。
(イ)均熱工程
ここでは、おおむね、1050℃〜1250℃(好ましくは1100℃〜1200℃)の温度で、20分間〜60分間(より好ましくは、30分間〜50分間)均熱することが好ましい。この均熱条件は、表層へのCuやNiの濃化を防止し、粒界酸化の進行を抑えるために決定されたものであり、例えば、均熱温度や均熱時間が上記範囲を超えると、CuやNiの濃化が進み易く、一方、均熱温度や均熱時間が上記範囲を下回ると、Cuのオーステナイト結晶粒界への濃化が進むようになる。
本発明において、加熱工程の加熱温度と均熱工程の均熱温度とは、必ずしも、一致している必要はない。例えば、後記する実施例では、加熱温度よりも均熱温度が約200〜300℃程度高くなっているが、これは、加熱後均熱前の滞留時間などによって、均熱時の温度が上昇したためである。
(ウ)熱間圧延前の脱スケール工程
ここでは、ファイヤライト含有スケールを速やかに除去するため、約80kgf/mm(≒785MPa)〜160kgf/mm(≒1569MPa)、より好ましくは、約100kgf/mm(≒981MPa)〜120kgf/mm(≒1176MPa)の水圧下で、約1秒間〜10秒間(より好ましくは、3秒間〜7秒間)、高水圧シャワーを行うことが好ましい。これにより、後続の熱間圧延工程を速やかに実施することができる。シャワーの水圧が80kgf/mm未満の場合、スケールが厚くなり、熱間圧延中の噛み込みによる表面疵の発生や、表層Cu濃度の増加を招く恐れがある。一方、シャワーの水圧が160kgf/mmを超えると、熱間圧延前のビレットの温度が低下し、圧延が困難になる。
なお、熱間圧延前の脱スケール工程は、上記の高水圧シャワーに限定されず、例えば、ショットブラストなどのメカニカルデスケーリングを行ってもよい。
(エ)熱間圧延工程
ここでは、熱間圧延中に生成したファイヤライトへのCuの濃化を防止し、更に、スケールの組成を適切に制御するため、所定の水冷シャワーを施している。
具体的には、粗圧延を行った後の仕上圧延工程において、シャワーによる冷却を行う。シャワーの水量は、おおむね、100t/hr以上200t/hr以下であることが好ましく、120t/hr以上180t/hr以下であることがより好ましい。シャワーの水量が100t/hr未満では、所望のスケール(ファイヤライト)除去作用、およびΔCuやΔNiの低減作用が有効に発揮されない。一方、シャワーの水量が200t/hrを超えると、鋼材が過剰に冷却され、過冷組織が析出してしまう。
仕上圧延温度は、主に、スケールの厚さや組成を適切に制御するため、おおむね、800℃〜1000℃(より好ましくは、900℃〜950℃)の範囲で行うことが好ましい。
更に、上記と同様の観点から、例えば、仕上圧延の終了後、約700℃の温度域までの冷却速度を4℃/sec〜20℃/sec(より好ましくは、6℃/sec〜15℃/sec)の範囲内に制御することが好ましい。上記温度域における冷却速度が4℃/sec未満の場合、スケール厚さなどが増加し、酸洗い性が低下する。一方、上記の冷却速度が20℃/secを超えると、当該温度域の保持時間が短くなって当該温度域で生成するウスタイトの比率が低下するため、酸洗い性が低下する。
本発明には、上記のばね用鋼線材のほか、上記鋼線材を用いて得られるばねも包含される。本発明によれば、赤スケールと呼ばれるスケール疵も全く発生せず、表面性状に極めて優れており、疲労特性も高められたばねを製造することができる。
ばねを製造する方法は、特に限定されず、通常、用いられる方法を適宜採用することができる。代表的には、例えば、下記のばね工程(a)から(c)によって製造することができる。
(a)酸洗い→表面皮膜処理→引き抜き→焼入れ焼戻し(オイルテンパー)
(b)鉛パテンティング(LP)→酸洗い→表面皮膜処理→引き抜き→オイルテンパー
(c)焼鈍→酸洗い→表面皮膜処理→皮削り(SV)→LP→酸洗い→表面皮膜処理→
引き抜き→オイルテンパー
後記する実施例に示すように、本発明によれば、ΔCuおよびΔNiが低く抑えられた圧延線材が得られるため、上記のばね工程(a)から(c)のいずれの方法を用いても、表面性状に極めて優れたばねが得られる。
上記のばね工程(a)から(c)に記載の各処理方法は特に限定されず、通常、実施される方法を適宜選択することができる。例えば、酸洗い処理は、代表的には、60℃〜90℃の温度で5〜25%のHSO中に浸漬するか、または、20℃〜50℃の温度で5〜15%のHCl中に浸漬することによって行われる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳述する。ただし、下記の実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することは、本発明の技術範囲内に包含される。
表1に示す種々の鋼(鋼種A〜K、残部は鉄および不可避不純物である。)を小型真空溶解炉で150kg溶製し、155cm角のビレットに熱間鍛造した後、下記に示す線材工程1から6の加熱・均熱・熱間圧延条件により、直径13.5mm径の鋼線材を作製した。上記の線材工程のうち、線材工程1〜2は、本発明で規定する製造条件をすべて満足する本発明例であり、線材工程3〜6は、本発明で規定する製造条件のいずれかを満足しない比較例である。
(線材工程1)
15℃/分の加熱速度で約900℃まで加熱した後、約1150℃で50分間均熱し、100kgf/mm(≒981MPa)の水圧下で約5秒間、高水圧シャワーを行って脱スケールを実施した。次に、粗圧延を行った後、150t/hrのシャワー冷却を行いながら、仕上圧延を行った(仕上圧延温度920℃)後、仕上圧延終了後、約700℃までの範囲を7℃/secの冷却速度で冷却した。巻取温度は、875℃とした。
(線材工程2)
20℃/分の加熱速度で約800℃まで加熱した後、約1100℃で30分間均熱し、150kgf/mm(≒1471MPa)の水圧下で約7秒間、高水圧シャワーを行って脱スケールを実施した。次に、粗圧延を行った後、130t/hrのシャワー冷却を行いながら、仕上圧延を行った(仕上圧延温度950℃)後、仕上圧延終了後、約700℃までの範囲を6℃/secの冷却速度で冷却した。巻取温度は、925℃とした。
(線材工程3)
15℃/分の加熱速度で約1050℃まで加熱した後、約1280℃で60分間均熱し、50kgf/mm(≒4901MPa)の水圧下で約10秒間、高水圧シャワーを行って脱スケールを実施した。次に、粗圧延を行った後、50t/hrのシャワー冷却を行いながら、仕上圧延を行った(仕上圧延温度1000℃)後、仕上圧延終了後、約700℃までの範囲を2℃/secの冷却速度で冷却した。巻取温度は、980℃とした。
線材工程3は、本発明の製造条件を満足しない比較例であり、加熱工程(加熱温度が高い)、均熱工程(均熱温度が高い)、熱間圧延前の脱スケール工程(水圧が低い)、および熱間圧延工程(仕上圧延温度が高く、シャワーの水量が少ない、仕上圧延温度から700℃までの冷却速度が遅い)のすべてにおいて、本発明の条件を外れている。
(線材工程4)
前述した線材工程3と同様に加熱、均熱、および圧延前の脱スケールを実施した。次に、前述した線材工程2と同様に仕上圧延、冷却、および巻取を行った。
線材工程4、および後記する線材工程6は、本発明の製造条件を満足しない比較例であり、加熱工程(加熱温度が高い)、均熱工程(均熱温度が高い)、および熱間圧延前の脱スケール工程(水圧が低い)が本発明の条件を外れている。
(線材工程5)
前述した線材工程1と同様に加熱、均熱、および圧延前の脱スケールを実施した。次に、前述した線材工程3と同様に仕上圧延、冷却、および巻取を行った。
線材工程5は、本発明の製造条件を満足しない比較例であり、熱間圧延工程(仕上圧延温度が高く、シャワーの水量が少ない、仕上圧延温度から700℃までの冷却速度が遅い)が本発明の条件を外れている。
(線材工程6)
前述した線材工程3と同様に加熱、均熱、および圧延前の脱スケールを実施した。次に、前述した線材工程2と同様に仕上圧延、冷却、および巻取を行った。
このようにして得られた各鋼線材について、前述した方法によってΔCuおよびΔNiを測定すると共に、酸洗い性およびスケールの厚さを以下のようにして測定し、評価した。
(酸洗い性の評価)
上記の鋼線材を100mm長さに切断し、サンプル数(n)を3として、以下の酸洗いテスト(ビーカテスト)を実施した。ここでは、実操業における酸洗い処理と同様の条件下で実験を行った。
酸溶液:15%の硫酸
地鉄の溶解防止用としてインヒビター(カチオン性アミン誘導体)を
0.5%
鉄分として2価鉄を20g/L
浸漬条件:60℃で10分間
次いで、酸洗後のスケール剥離率を以下のようにして測定した。本実施例では、もともとのスケール付着率(後記するA)に対する、酸洗いを行ったときのスケール剥離率(B)の百分率(B/A×100(%))で「酸洗後のスケール剥離率」を定義した。
(1)A(%)=[(W−W)/W]×100
式中、
Aは、もともとのスケール付着率(鋼線材のスケール付着率)であり、
は、浸漬前の鋼線材(圧延まま、スケール付着あり)の重量(g)、
は、上記の浸漬条件で浸漬した後の鋼線材の重量(g)を意味する。
(2)B(%)=[(W01−W)/(W01)]
Bは、上記条件での酸洗後のスケール剥離率であり、
01は、浸漬前の鋼線材(圧延まま)の重量(g)、
は、酸洗い実験後の重量(g)を意味する。
上式(1)および(2)において、WおよびW01は、いずれも、圧延ままの鋼線材の重量を意味するが、「同じ条件で製造した別々のサンプル(圧延まま鋼線材)の重量」であることを明確にするため、異なる記号を用いた。同じサンプルを用いて、上記のAおよびBを測定することはできないからである。
本発明では、上記のようにして測定されたスケール剥離率が100%のものを酸洗い性に優れる(合格、○)と判定した。
(スケールの厚さ)
上記の鋼線材について、Fe−SEM装置(日立製作所製のS−4500電界放射型走査電子顕微鏡)を用いて観察された写真(倍率:3000倍)に基づき、スケールの厚さ(最大厚さ)を測定した。
本発明では、上記のようにして測定されたスケールの厚さが40μm以下のものを合格と判定した。
(ばね用鋼線の製造)
次に、上記の各鋼線材を用い、下記の条件(前述したばね工程(a)に相当する)の条件で直径4.0mmのばね用鋼線(オイルテンパー線)を製造した。
表面皮膜処理→引き抜き(乾式伸線)→オイルテンパー(加熱温度:930℃、
焼入油温度:70℃、焼戻温度:450℃、焼戻し後の冷却:水冷)
(表面粗さ)
次に、このようにして得られたばねの表面性状を評価するため、表面粗さ(Ry、最大粗さ)をJIS B 0601 1994に基づいて測定した。
本発明では、上記のようにして測定された表面粗さ(Ry)が18.0μm以下のものは「表面性状に優れる(合格、○)」と判定した。
これらの結果を表2および表3に示す。
表1に示す鋼種AからKのうち、鋼種AからHは、本発明の鋼中成分を満足する例であり、鋼種IおよびJは、(Si/Cu)の比が本発明の範囲を下回る比較例、鋼種Kは、Si量が本発明の範囲を超える比較例である。
表2および表3において、例えば、「A−1」は、表1に示す鋼種Aを用い、線材工程1の方法によって製造した例を意味し、「A−2」は、表1に示す鋼種Aを用い、線材工程2の方法によって製造した例を意味する。他の例も、同様である。
表2および表3より、以下のように考察することができる。
まず、No.1、4、7〜8、11〜12、15、18〜19、22〜23、26は、本発明で規定するΔCuおよびΔNiが本発明の範囲を満足する本発明例であり、いずれも、スケール剥離率は100%と、酸洗い性に極めて優れている。更に、上記線材のスケール組成をX線回折法によって調べたところ、いずれも、前述した好ましい範囲に制御されていることを確認している(表には示さず)。また、上記の線材を用いて得られたオイルテンパー線の表面性状は、良好であった。更に、オイルテンパー線の引張強度を、JIS Z 2241に基づいて測定したところ、いずれも、約1900〜2100MPa以上の高強度を有していることが確認された(表には示さず)。
これに対し、No.2〜3、5〜6、9〜10、13〜14、16〜17、20〜21、24〜25、27〜28は、いずれも、本発明の製造条件を外れる線材工程3〜6のいずれかを採用してばねを製造した比較例であり、ΔCuまたはΔNiが本発明の範囲を外れるため、スケール剥離率が低下し、所望の酸洗い性が得られなかった。また、上記の線材を用いて得られたオイルテンパー線の表面性状も低下した。
また、No.29〜32は、いずれも、鋼中成分が本発明の要件を外れる比較例であり、ΔCuまたはΔNiが本発明の範囲を外れるため、スケール剥離率が低下し、所望の酸洗い性が得られなかった。また、上記の線材を用いて得られたオイルテンパー線の表面性状も低下した。
なお、本実施例では、前述したばね工程(a)によってばね用鋼線を製造したが、これに限定されず、例えば、前述したばね工程(b)または(c)を用いたとしても、表面性状に極めて優れたばね用鋼線が得られることを実験によって確認している。
スケールが付着した圧延線材の断面を観察したFe−SEM写真である。 Cu濃度(%)と表層部からの距離との関係を示す図である。 Ni濃度(%)と表層部からの距離との関係を示す図である。

Claims (3)

  1. C :0.35〜0.7%(質量%の意味。以下、特に断らない限り、同じ)、
    Si:1.5〜2.50%、
    Mn:0.05〜1.0%、
    Cr:0.05〜1.9%、
    Cu:0.05〜0.7%、
    Ni:0.15〜0.8%、
    P :0.02%以下(0%を含まない)、
    S :0.02%以下(0%を含まない)、
    残部:Feおよび不可避不純物
    を満足するばね用鋼線材であって、
    SiとCuとの比(Si/Cu)は、4.0以上の範囲内であり、
    表層のCu濃度と鋼中のCu濃度との差が0.50%以下、および表層のNi濃度と鋼中のNi濃度との差が1.00%以下であることを特徴とする酸洗い性に優れたばね用鋼線材。
  2. V :0.07〜0.4%、
    Ti:0.01〜0.1%、および
    Nb:0.01〜0.1%
    よりなる群から選択される少なくとも一種を更に含有する請求項1に記載のばね用鋼線材。
  3. 請求項1または2に記載のばね用鋼線材を用いて得られるばね。
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