JP2003137912A - 重合性液体組成物、架橋樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents
重合性液体組成物、架橋樹脂組成物及びその製造方法Info
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Abstract
法精度に優れており、かつ超微粒子を2次凝集が従来に
なく低減された状態で含有する、透明性に優れた樹脂組
成物を、良好な生産性のもとに与える技術を提供する。 【解決手段】下記成分A及び成分Bからなる群から選ば
れた少なくとも1種の分子内に2個以上の重合性官能基
を有する重合性単量体を主体とし、数平均粒径0.5〜
50nmの超微粒子を含有する重合性液体組成物。成分
A:下記一般式(1)で表される含脂環骨格ビス(メ
タ)アクリレート。 成分B:下記一般式(2)で表される硫黄原子含有ビス
(メタ)アクリレート。
Description
物、架橋樹脂組成物及びその製造方法に関する。詳しく
は本発明は、優れた光学特性を有する架橋樹脂組成物、
並びに重合反応によりこれを与える重合性液体組成物に
関する。本発明の架橋樹脂組成物は、透明性や低複屈折
性等の光学物性、機械物性及び耐熱性等の優れた基本的
材料特性に加えて、表面硬度、帯電防止性、光吸収飽和
特性、高屈折率、あるいは紫外線吸収等の機能特性を有
する。かかる特性を利用して、本発明の架橋樹脂組成物
は種々の光学材料や電子材料に有利に利用できる。例え
ば、眼鏡用レンズ、光コネクタ用マイクロレンズ、発光
ダイオード用集光レンズ等の各種レンズ、光スイッチ、
光ファイバー、光回路における光分岐、接合回路、光多
重分岐回路、光度調器等の光通信用部品、液晶基板、タ
ッチパネル、導光板、位相差板等各種ディスプレイ用部
材、光ディスク基板や光ディスク用フィルム・コーティ
ングを初めとする記憶・記録用途、更には機能性フィル
ム、反射防止膜、光学多層膜(選択反射膜、選択透過膜
等)等各種光学フィルム・コーティング用途に利用でき
る。
を利用した光学材料の開発が進められている。半導体超
微粒子において量子効果を顕著とするためには、粒径を
ボーア半径と同程度に小さくする必要がある。しかもそ
の粒径を揃えることが、例えば量子効果による吸発光帯
の波長幅を小さくする目的、あるいは超微粒子が規則的
に配列した構造(超格子)を形成させる目的等において
望ましい場合が多い。このような要請により、超微粒
子、特に「シングルナノ粒子」と呼ばれる粒径が10n
m未満程度のナノ粒子を、できる限り狭い粒径分布をも
って合成すること自体が最先端の研究課題となっている
のが現状である。
する新材料を得る観点において重要なもう1つの技術的
課題は、該超微粒子を高分子材料中に望ましい状態に分
散させることである。しかしその際、粒径が小さいため
超微粒子の2次凝集が起こりやすいという問題点があっ
た。このような問題点を解決するため、超微粒子の表面
の化学構造や化学組成を制御することが提案されてい
る。
は、半導体超微粒子に表面修飾を施し、更にその表面修
飾の持つ官能基と樹脂とを反応させることにより、粗大
粒子の生成を抑制しかつ凝集を抑えつつ半導体超微粒子
を分散させた透明性に優れた樹脂組成物を得ることが報
告されている。しかしこの方法で得られる材料は、その
光学特性が十分ではない。例えば光学歪みについては、
この公報に記載されている材料を用いる限り、その使用
する材料自体に大きな光学歪みが存在し、また特段の光
学歪みを低減する措置も採られていないことから、結果
として得られる成形体の光学歪みは非常に大きくならざ
るを得ず、光学用途に利用しようとする場合などは大き
な問題となる。また、耐熱性も十分ではないため、材料
を使用する工程において加熱を要するような場合は、変
形や変色などのトラブルを引き起こす可能性が大きい。
分散した樹脂組成物を得る場合、煩雑な工程を要し、し
かも精密な寸法精度を要する成形性に限界があるという
問題があった。例えば、この方法において樹脂マトリク
スとしてポリメチルメタクリレートに代表されるラジカ
ル重合により合成される高分子を用いる場合は、溶媒に
重合性単量体を溶解させた後、重合を完結させるために
数時間程度の長時間の反応を行い、更に溶媒を除去する
必要があるため、生産性や経済性に問題を残しているだ
けでなく、溶媒の除去による成形時の寸法変化及び成形
残留歪みによる成形後の寸法精度が問題となる場合があ
った。
な実状に鑑みてなされたものであり、その課題は、光学
歪みが小さく、機械的強度、耐熱性及び寸法精度に優れ
ており、かつ超微粒子を2次凝集が従来になく低減され
た状態で含有する、透明性に優れた樹脂組成物を、良好
な生産性のもとに与える技術を提供することに存する。
を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の化学構造を
有する重合性単量体に特定の粒径の超微粒子を分散させ
た液体混合物(本発明では「重合性液体組成物」とい
う)を用いると、これを重合させて得る架橋樹脂組成物
中に分散した該超微粒子の2次凝集が非常に抑制され、
かつ該架橋樹脂組成物が非常に低い複屈折性、優れた機
械的強度、耐熱性及び寸法精度を有することを見いだ
し、かかる知見に基づいて本発明に到達した。
及び成分Bからなる群から選ばれた少なくとも1種の分
子内に2個以上の重合性官能基を有する重合性単量体を
主体とし、数平均粒径0.5〜50nmの超微粒子を含
有することを特徴とする重合性液体組成物、 成分A:下記一般式(1)で表される含脂環骨格ビス
(メタ)アクリレート。
独立して水素原子又はメチル基を、RcおよびRdはそれ
ぞれ独立して炭素数6以下のアルキレン基を、xは1又
は2を、yは0または1を、それぞれ表す。) 成分B:下記一般式(2)で表される硫黄原子含有ビス
(メタ)アクリレート。
式(1)の場合と同一であり、各Reはそれぞれ炭素数
1〜6のアルキレン基を表す。各Arはそれぞれ炭素数
が6〜30であるアリーレン基又はアラルキレン基を表
し、これらの水素原子はフッ素原子以外のハロゲン原子
で置換されていてもよい。各Xはそれぞれ酸素原子また
は硫黄原子を表し、各Xが全て酸素原子の場合、各Yの
うち少なくとも一つは硫黄原子又はスルホン基(−SO
2−)を、各Xのうち少なくとも1つが硫黄原子の場
合、各Yはそれぞれ硫黄原子、スルホン基、カルボニル
基(−CO−)、並びにそれぞれ炭素数1〜12のアル
キレン基、アラルキレン基、アルキレンエーテル基、ア
ラルキレンエーテル基、アルキレンチオエーテル基及び
アラルキレンチオエーテル基のいずれかを表し、j及び
pはそれぞれ独立して1〜5の整数を、kは0〜10の
整数を表す。またkが0の時はXは硫黄原子を表
す。)、に存する。
0.5〜50nmの超微粒子が溶媒不溶成分を含有する
高分子マトリクス中に分散しており、光路長1mmにお
ける複屈折が10nm以下であることを特徴とする架橋
樹脂組成物、に存する。さらに、本発明の第3の要旨
は、分子内に2個以上の重合性官能基を有する重合性単
量体と数平均粒径0.5〜50nmの超微粒子とを含有
する重合性液体組成物を熱又は活性エネルギー線によっ
て硬化させることを特徴とする架橋樹脂組成物の製造方
法、に存する。
脂組成物の成形体である光学部材、に存する。また、本
発明の第5の要旨は、上記架橋樹脂組成物の薄膜を表面
に有する成形体である光学部材、に存する。
詳細に説明する。 (重合性液体組成物)本発明が新規に提供する重合性液
体組成物は、前記成分A及び成分Bからなる群から選ば
れた少なくとも1種の、分子内に2個以上の重合性官能
基を有する重合性単量体を主体とし、数平均粒径0.5
〜50nmの超微粒子を含有する液体混合物であって、
熱又は活性エネルギー線(例えば紫外線)によって重合
反応が進行するものである。かかる重合性液体組成物
は、分子内に1個の重合性官能基を有する重合性単量体
を含有していてもよく、また上記重合性単量体の重合性
を著しく阻害しない限りにおいて重合性を有さない液体
(溶媒)を含有していてもよい。
線)によって進行する重合反応を開始させるために、通
常、重合開始剤を添加することが好ましい。かかる重合
開始剤としては、光によりラジカルを発生する性質を有
する化合物である光ラジカル発生剤及び熱によりラジカ
ルを発生する性質を有する化合物である熱ラジカル発生
剤が一般的であり、公知のかかる化合物が使用可能であ
る。重合反応の進行の均質性や加熱が必ずしも必要でな
い点から、好ましい重合開始剤は光ラジカル発生剤であ
り、かかる光ラジカル発生剤としては、ベンゾフェノ
ン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピ
ルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキ
シシクロヘキシルフェニルケトン、2,6−ジメチルベ
ンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−
トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等
が例示され、これらの複数種を併用してもよい。これら
のうち好ましいのは、2,4,6−トリメチルベンゾイ
ルジフェニルホスフィンオキシド及びベンゾフェノンで
ある。かかる重合開始剤の添加量は、重合性単量体の総
和100重量部に対し通常0.001〜3重量部、好ま
しくは0.01〜1重量部、更に好ましくは0.02〜
0.3重量部であり、この添加量が多すぎると重合反応
が急激に進行して複屈折の増大をもたらすだけでなく色
相も悪化する場合があり、また少なすぎると組成物を十
分に硬化させることができなくなる場合がある。
より、所望の形状の成形体を得るのに有利であるという
成形時の寸法精度上の特徴を発揮する。特に、紫外線等
の活性エネルギー線によって重合させることが可能な重
合性液体組成物は、重合開始から終了までの時間が短い
という特徴を有するので生産性の点で有利であり、しか
も重合による高分子生成に起因する超微粒子の凝集を防
ぐのにも好都合である。
分子内に2個以上の重合性官能基を有する上記重合性単
量体が生成する高分子の架橋点として働くため通常いわ
ゆる架橋反応となるので、かかる重合反応の結果、3次
元網目構造が形成される。十分な量の熱又は活性エネル
ギー線を照射することにより、後述する架橋樹脂組成物
が得られる。
上記重合性液体組成物における含有量は、重合性単量体
の全量と該超微粒子との総重量に対して通常0.01〜
80重量%、好ましくは0.1〜60重量%、より好ま
しくは1〜50重量%であり、後述する有機配位子をそ
の表面に結合していてもよい。かかる超微粒子の含有量
が小さすぎると高屈折率性や紫外線吸収能等の機能特性
を付与する効果が小さくなる場合があり、逆に大きすぎ
ると重合反応により生成する架橋樹脂組成物の機械強度
や透明性が低下する場合がある。上記有機配位子を超微
粒子の表面に結合させると、超微粒子の分散性が向上す
る場合が多い。
には、上記重合性液体組成物並びにこれを重合させて得
られる架橋樹脂組成物が、半導体が有する有用な性質、
例えば電磁波を吸収又は発生する特性(以下「吸発光
性」という)や高屈折率性といった性質を獲得するので
好ましい。特に、該半導体超微粒子が酸化チタン結晶、
酸化亜鉛結晶又は酸化セリウム結晶を含有するものであ
る場合には、優れた紫外線吸収能、無色性(即ち可視波
長領域での光吸収が殆どないこと)、低毒性、低コスト
といった特徴が更に付与されるので非常に有用である。
量体の総和に対する分子内に2個以上の重合性官能基を
有する重合性単量体の割合は、通常0.1〜100モル
%であり、重合反応により生成する架橋樹脂組成物の寸
法精度や機械的強度の点で該下限値は好ましくは1モル
%、更に好ましくは3モル%である。本発明の重合性液
体組成物には、製造される架橋樹脂組成物が本発明の目
的を著しく逸脱しない限りにおいて、各種添加剤を加え
てもよい。かかる添加剤としては、例えば酸化防止剤、
熱安定剤、あるいは光吸収剤等の安定剤類、ガラス繊
維、ガラスビーズ、マイカ、タルク、カオリン、粘土鉱
物、金属繊維、金属粉等のフィラー類、炭素繊維、カー
ボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブ、C 60等の
フラーレン類等の炭素材料、帯電防止剤、可塑剤、離型
剤、消泡剤、レベリング剤、沈降防止剤、界面活性剤、
チクソトロピー付与剤等の改質剤類、顔料、染料、色相
調整剤等の着色剤類等が例示される。
は、その構成成分、即ち前記成分A及び成分Bからなる
群から選ばれた少なくとも1種の、分子内に2個以上の
重合性官能基を有する重合性単量体、上記超微粒子及び
必要に応じて使用される追加成分(分子内に1個の重合
性官能基を有する重合性単量体、重合性を有さない液
体、上記重合開始剤、あるいは上記各種添加剤等)を混
合して実施する。かかる混合は、公知の機械的攪拌装置
を有していてもよい混合装置を使用して行うことが可能
であり、重合開始挙動を制御する目的等の必要に応じて
遮光、冷却、不活性雰囲気の使用などを併用してもよ
い。
物は、溶媒不溶成分を含有する高分子マトリクス中に数
平均粒径0.5〜50nmの超微粒子が分散してなるも
のであり、光路長1mmにおける複屈折が10nm以下
であるものである。該複屈折の値は好ましくは5nm以
下、更に好ましくは2nm以下である。
の重合性官能基を有する重合性単量体と数平均粒径0.
5〜50nmの超微粒子とを含有する重合性液体組成物
を重合させることによって得ることができる。上記複屈
折の条件を満たす限りにおいて、原料である重合性単量
体及び超微粒子の化学種に制限はないが、これらの具体
例については後述する。また、本発明の架橋樹脂組成物
の製造方法についても後述する。
性質を示し、光学部材の用途に有利な性質を備えている
ことが好ましい。具体的には、低い光学歪み性(低複屈
折性)、高い光線透過率、及び一定以上の耐熱性を示す
ことが好ましい。上記架橋樹脂組成物の透明性について
は、ナトリウムD線波長における光路長1mm当たりの
光線透過率が80%以上であることが好ましく、より好
ましくは85%以上、更に好ましくは89%以上であ
る。また、耐熱性については、架橋樹脂組成物の示差熱
分析(DCS)、熱機械測定(TMA)又は動的粘弾性
により測定されるガラス転移温度が120℃以上である
ことが好ましく、この値はより好ましくは150℃以
上、更に好ましくは170℃以上である。
明が新規に提供する前記重合性液体組成物(前記成分A
及び成分Bからなる群から選ばれた少なくとも1種の、
分子内に2個以上の重合性官能基を有する重合性単量体
を主体とするもの)を使用すると、上記の低複屈折性、
高い光線透過率及び耐熱性等の点で特に好ましい。本発
明の架橋樹脂組成物が含有する超微粒子については後に
詳述するが、その含有量は通常0.01〜80重量%、
好ましくは0.1〜60重量%、より好ましくは1〜5
0重量%であり、後述する有機配位子をその表面に結合
していてもよい。。かかる超微粒子の含有量が小さすぎ
ると高屈折率性や紫外線吸収能等の機能特性を付与する
効果が小さくなる場合があり、逆に大きすぎると機械強
度や透明性が低下する場合がある。上記有機配位子を超
微粒子の表面に結合させると、超微粒子の分散性が向上
する場合が多い。
には、半導体が有する有用な性質、例えば電磁波を吸収
又は発生する特性(「吸発光性」)や高屈折率性といっ
た性質を架橋樹脂組成物が獲得するので好ましい。特
に、該半導体超微粒子が酸化チタン結晶、酸化亜鉛結晶
又は酸化セリウム結晶を含有するものである場合には、
優れた紫外線吸収能、無色性(即ち可視波長領域での光
吸収が殆どないこと)、低毒性、低コストといった特徴
が更に付与されるので非常に有用である。
粒子を含有する場合、有機物である架橋樹脂マトリクス
と異なる光学特性を有する物質であるため、該架橋樹脂
組成物が総体として有機物単独では実現し得ない特異な
屈折率とアッベ数とのバランスを有するという特徴を有
する場合がある。かかる特異な屈折率とアッベ数とのバ
ランスは、レンズやプリズム等光の屈折を利用し、複屈
折が小さいことが望ましい用途において有用である場合
があり、具体的にはナトリウムD線波長において23℃
で測定される屈折率nDとアッベ数νDとの関係を表す下
記数式(A)の定数項Cが1.70〜1.82の範囲を
逸脱するような場合をいう。
て複屈折も大きくなる。本発明において、上記超微粒子
(特に無機物質の超微粒子)を使用することにより、本
発明の架橋樹脂組成物は厚みの増大の割には従来になく
複屈折の増加率が小さくなるという特徴を獲得する場合
がある。従って、後述する本発明の光学部材のように、
厚み0.1mm以上という比較的厚い成形体として本発
明の架橋樹脂組成物を使用する場合、低複屈折率化の点
で有利である。
クスを有するため優れた耐溶剤溶解性を発揮するので、
かかる性能を要求される光学部材用途において好ましい
特徴となる。本発明の重合性液体組成物には、製造され
る架橋樹脂組成物が本発明の目的を著しく逸脱しない限
りにおいて、各種添加剤を加えてもよい。かかる添加剤
としては、例えば酸化防止剤、熱安定剤、あるいは光吸
収剤等の安定剤類、ガラス繊維、ガラスビーズ、マイ
カ、タルク、カオリン、粘土鉱物、金属繊維、金属粉等
のフィラー類、炭素繊維、カーボンブラック、黒鉛、カ
ーボンナノチューブ、C 60等のフラーレン類等の炭素材
料、帯電防止剤、可塑剤、離型剤、消泡剤、レベリング
剤、沈降防止剤、界面活性剤、チクソトロピー付与剤等
の改質剤類、顔料、染料、色相調整剤等の着色剤類等が
例示される。
の原料である重合性液体組成物に使用される分子内に2
個以上の重合性官能基を有する重合性単量体としては、
透明性と低複屈折性を有する架橋樹脂組成物を与える点
で2官能性以上の(メタ)アクリレート類が好ましく用
いられる。ただしここで「(メタ)アクリレート」なる
表記は、アクリレート又はメタクリレートのいずれか、
という意味である。具体的には、トリエチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メ
タ)アクリレート、2,2−ビス[4−(メタ)アクリ
ロイルオキシフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−
(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニ
ル]プロパン、ビス(オキシメチル)トリシクロ[5.
2.1.02,6]デカン=ジメタクリレート、p−ビス
[β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ]キシリ
レン、4,4’−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキ
シエチルチオ]ジフェニルスルホン等の2価の(メタ)
アクリレート類、トリメチロールプロパントリス(メ
タ)アクリレート、グリセリントリス(メタ)アクリレ
ート、ペンタエリスリトールトリス(メタ)アクリレー
ト等の3価の(メタ)アクリレート類、ペンタエリスリ
トールテトラキス(メタ)アクリレート等の4価の(メ
タ)アクリレート類、ウレタンアクリレート、エポキシ
アクリレート等の不定多価の(メタ)アクリレート類等
が例示される。これらのうち、架橋生成反応の制御性か
ら上記2価の(メタ)アクリレート類は好ましく用いら
れる。
ち、得られる重合体の透明性と低複屈折性をバランスよ
く実現する点で特に好ましいのは、下記成分A及び下記
成分Bの単独もしくは併用での使用である。成分Aは、
下記一般式(1)で示される脂環骨格を有するビス(メ
タ)アクリレートである。
ぞれ独立して水素原子又はメチル基を、RcおよびRdは
それぞれ独立して炭素数6以下のアルキレン基を、xは
1又は2を、yは0または1を、それぞれ表す。
例としては、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ
[5.2.1.02,6]デカン=ジアクリレート、ビス
(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.
02,6]デカン=ジメタクリレート、ビス(ヒドロキシ
メチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ア
クリレートメタクリレート及びこれらの混合物、ビス
(ヒドロキシメチル)ペンタシクロ[6.5.1.1
3,6.02,7.09,13]ペンタデカン=ジアクリレート、
ビス(ヒドロキシメチル)ペンタシクロ[6.5.1.
13,6.02,7.09,13]ペンタデカン=ジメタクリレー
ト、ビス(ヒドロキシメチル)ペンタシクロ[6.5.
1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン=アクリレー
トメタクリレート及びこれらの混合物等が挙げられる。
これらのトリシクロデカン化合物及びペンタシクロデカ
ン化合物は、複数種を併用してもよい。成分Bは下記一
般式(2)で表される硫黄原子を有するビス(メタ)ア
クリレートである。
一般式(1)の場合と同一であり、各Reはそれぞれ炭
素数1〜6のアルキレン基を表す。各Arはそれぞれ炭
素数が6〜30であるアリーレン基又はアラルキレン基
を表し、これらの水素原子はフッ素原子以外のハロゲン
原子で置換されていてもよい。各Xはそれぞれ酸素原子
または硫黄原子を表し、各Xが全て酸素原子の場合、各
Yのうち少なくとも一つは硫黄原子又はスルホン基(−
SO2−)を、各Xのうち少なくとも1つが硫黄原子の
場合、各Yはそれぞれ硫黄原子、スルホン基、カルボニ
ル基(−CO−)、並びにそれぞれ炭素数1〜12のア
ルキレン基、アラルキレン基、アルキレンエーテル基、
アラルキレンエーテル基、アルキレンチオエーテル基及
びアラルキレンチオエーテル基のいずれかを表し、j及
びpはそれぞれ独立して1〜5の整数を、kは0〜10
の整数を表す。またkが0の時はXは硫黄原子を表す。
的に例示すれば、α、α’−ビス[β−(メタ)アクリ
ロイルオキシエチルチオ]−p−キシレン、α、α’−
ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ]−
m−キシレン、α、α’−ビス[β−(メタ)アクリロ
イルオキシエチルチオ]−2,3,5,6−テトラクロ
ロ−p−キシレン、4,4’−ビス[β−(メタ)アク
リロイルオキシエトキシ]ジフェニルスルフィド、4,
4’−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキシエトキ
シ]ジフェニルスルホン、4,4’−ビス[β−(メ
タ)アクリロイルオキシエチルチオ]ジフェニルスルフ
ィド、4,4’−ビス[β−(メタ)アクリロイルオキ
シエチルチオ]ジフェニルスルホン、4,4’−ビス
[β−(メタ)アクリロイルオキシエチルチオ]ジフェ
ニルケトン、2,4’−ビス[β−(メタ)アクリロイ
ルオキシエチルチオ]ジフェニルケトン、5,5’−テ
トラブロモジフェニルケトン、β,β’−ビス[p−
(メタ)アクリロイルオキシフェニルチオ]ジエチルエ
ーテル、β,β’−ビス[p−(メタ)アクリロイルオ
キシフェニルチオ]ジエチルチオエーテル等が挙げら
れ、これらは複数種を併用してもよい。
ル)トリシクロ[5.2.1.02, 6]デカン=ジメタ
クリレートは優れた透明性及び耐熱性を有し、特に好適
に用いられる。 (超微粒子)本発明の重合性液体組成物又は架橋樹脂組
成物において用いられる前記超微粒子を構成する物質種
に制限はなく、遷移金属(例えば、金、白金、銀、パラ
ジウム、ロジウム、亜鉛、銅、ニッケル、鉄等の遷移金
属単体、あるいはこれら遷移金属の合金等)、半導体、
金属の塩などの無機超微粒子や、有機化合物の超微粒
子、あるいは有機金属超微粒子などを用いることができ
る。これらのうち半導体超微粒子が、表面硬度、帯電防
止性、光吸収飽和特性、高屈折率、あるいは紫外線吸収
等の機能特性を組成物に付与する効果が大きいため好ま
しい。
0.5〜50nm、好ましくは1〜30nm、更に好ま
しくは2〜20nm、最も好ましくは3〜15nm程度
とする。かかる超微粒子の数平均粒径の決定には、透過
型電子顕微鏡(TEM)観察像より測定される数値を用
いる。即ち、観察される超微粒子像と同面積の円の直径
を該粒子像の粒径と定義する。こうして決定される粒径
を用い、例えば公知の画像データの統計処理手法により
該数平均粒径を算出するが、かかる統計処理に使用する
超微粒子像の数(統計処理データ数)は可及的多いこと
が当然望ましく、本発明においては、再現性の点で無作
為に選ばれた該粒子像の個数として最低でも50個以
上、好ましくは80個以上、更に好ましくは100個以
上とする。該数平均粒径が大きすぎると、凝集性が極端
に増大したり、量子効果によるエキシトン吸発光能が顕
著でなくなる場合があり、一方該数平均粒径が小さすぎ
ると例えば半導体結晶等の独立した結晶としての機能
(例えば発光能を与えるバンド構造の形成)が低下した
り、製造時の単離収率が極端に低下する場合がある。
布は、これが小さいほど分散性の均質性が向上し、エキ
シトン吸発光帯を有する場合にはその波長幅が小さくな
るので好ましい場合がある。従って、該粒径分布はその
標準偏差として通常20%以下、好ましくは15%以
下、更に好ましくは10%以下に制御する。但し、超微
粒子の高屈折率性や基礎吸収を利用する用途(紫外線吸
収膜、反射制御膜、あるいは光導波路等)においては、
かかる粒径分布は問題とならない場合もある。
述するコアシェル構造(内核であるコアとこれを包含す
る外殻であるシェルの2層構造)等の不均一構造を有し
ていてもよい。特にコアシェル構造は、例えばコアであ
る半導体結晶の光触媒能が樹脂マトリクスの分解を促進
する等コア物質が好ましくない作用を有する場合、かか
る好ましくない作用を有しない別物質のシェルを設けて
これを改善する優れた効果を奏する場合がある。従っ
て、化学的に比較的不活性な物質がシェルを構成するこ
とが望ましく、具体的にはシリカ(酸化珪素)やアルミ
ナ(酸化アルミニウム)等の非遷移金属の酸化物、窒化
ホウ素等の窒化物、黒鉛状炭素や非晶性炭素等の炭素単
体、あるいは貴金属類(銀、金、白金、銅等)が好まし
いシェル物質として例示される。
成物が含有する超微粒子は複数種から構成されていても
よく、あるいは同種物質からなる超微粒子でも、例えば
2山分布等その粒径分布を必要に応じて任意に変化させ
てもよい。ただし、該重合性液体組成物又は架橋樹脂組
成物の透明性、即ち光散乱の低減の点で、粒径が100
nmを越える超微粒子が含有されていないことが望まし
い。
超微粒子とは、後述する任意の半導体結晶を含有する超
微粒子であり、該半導体結晶の構造や組成は、例えば半
導体単結晶、複数半導体結晶組成が相分離した混晶、相
分離の観察されない混合半導体結晶のいずれでもよく、
後述するコア−シェル構造をとっていてもよい。また該
半導体結晶超微粒子はその表面に有機配位子等の配位子
を配位していてもよい。半導体結晶は、価電子帯と伝導
帯とのエネルギー差(バンドギャップ)に応じた電磁波
吸収(以下、特に断りのない限り単に「吸収」という)
や高屈折率といった特性を有する物質であり、半導体ナ
ノ結晶(Nanocrystal)等と呼ばれる数ナノ
メートル(nm)程度の結晶粒径とした場合には量子効
果が顕著に見られるようになる。かかる量子効果によ
り、エネルギー準位の量子化によりエネルギー準位が互
いに離れた状態となり、かつそれらが結晶粒径の関数と
して制御されるようになる。かかる半導体ナノ結晶にお
いて、半導体結晶の基礎吸収(Fundamental
absorption)の長波長側吸収端よりもわず
かに低エネルギーに現れるエキシトン(Excito
n、励起子)吸収帯はエネルギー幅が極めて小さいだけ
でなく、エキシトン準位が伝導帯準位から孤立しており
近接したエネルギー準位との相互作用確率が比較的小さ
いという特徴を有する。
する場合には、本発明の架橋樹脂組成物はかかる発光特
性を利用する用途にも有用となる。特に、エキシトン準
位からの発光は、発光帯の線幅が小さいので色純度の優
れた発光となり、しかも前記の量子効果により半導体結
晶超微粒子の粒径により発光波長が制御可能であるの
で、特に有用である。また、かかるエキシトン吸収帯の
特徴は、例えば、該吸収帯での光吸収飽和特性を利用し
て光ディスクにおける入射光ビーム径を実効的に絞って
高密度記録を達成させる超解像技術等に応用することが
できる。
の組成には特に制限はないが、具体的な組成例を元素記
号あるいは組成式として例示すると、C、Si、Ge、
Sn等の周期表第14族元素の単体、P(黒リン)等の
周期表第15族元素の単体、SeやTe等の周期表第1
6族元素の単体、SiC等の複数の周期表第14族元素
からなる化合物、SnO2、Sn(II)Sn(IV)
S3、SnS2、SnS、SnSe、SnTe、PbS、
PbSe、PbTe等の周期表第14族元素と周期表第
16族元素との化合物、BN、BP、BAs、AlN、
AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaA
s、GaSb、InN、InP、InAs、InSb等
の周期表第13族元素と周期表第15族元素との化合物
(あるいはIII−V族化合物半導体)、Al2S3、A
l2Se3、Ga2S3、Ga2Se3、Ga2Te3、In2
O3、In2S3、In2Se3、In2Te3等の周期表第
13族元素と周期表第16族元素との化合物、TlC
l、TlBr、TlI等の周期表第13族元素と周期表
第17族元素との化合物、ZnO、ZnS、ZnSe、
ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、Hg
S、HgSe、HgTe等の周期表第12族元素と周期
表第16族元素との化合物(あるいはII−VI族化合
物半導体)、As2S3、As2Se3、As2Te3、Sb
2S3、Sb2Se3、Sb2Te3、Bi2S3、Bi2S
e3、Bi2Te3等の周期表第15族元素と周期表第1
6族元素との化合物、Cu2O、Cu2Se等の周期表第
11族元素と周期表第16族元素との化合物、CuC
l、CuBr、CuI、AgCl、AgBr等の周期表
第11族元素と周期表第17族元素との化合物、NiO
等の周期表第10族元素と周期表第16族元素との化合
物、CoO、CoS等の周期表第9族元素と周期表第1
6族元素との化合物、α−Fe2O3、γ−Fe2O3、F
e3O4等の酸化鉄類、FeS等の周期表第8族元素と周
期表第16族元素との化合物、MnO等の周期表第7族
元素と周期表第16族元素との化合物、MoS2、WO2
等の周期表第6族元素と周期表第16族元素との化合
物、VO、VO2、Ta2O5等の周期表第5族元素と周
期表第16族元素との化合物、TiO2、Ti2O5、T
i2O3、Ti5O9等の酸化チタン類(結晶型はルチル
型、ルチル/アナタースの混晶型、アナタース型のいず
れでもよい)、ZrO2等の周期表第4族元素と周期表
第16族元素との化合物、Y2O3、La2O3、Ce2O3
等の周期表第3族元素(ランタノイド元素を含む)と周
期表第16族元素との化合物、MgS、MgSe等の周
期表第2族元素と周期表第16族元素との化合物、Cd
Cr 2O4、CdCr2Se4、CuCr2S4、HgCr2
Se4等のカルコゲンスピネル類、あるいはBaTiO3
等が挙げられる。なお、G.Schmidら;Adv.
Mater.,4巻,494頁(1991)に報告され
ている(BN)75(BF2)15F15や、D.Fensk
eら;Angew.Chem.Int.Ed.Eng
l.,29巻,1452頁(1990)に報告されてい
るCu146Se73(トリエチルホスフィン)22のように
構造の確定されている半導体クラスターも同様に例示さ
れる。
ばSnO2、SnS2、SnS、SnSe、SnTe、P
bS、PbSe、PbTe等の周期表第14族元素と周
期表第16族元素との化合物、GaN、GaP、GaA
s、GaSb、InN、InP、InAs、InSb等
のIII−V族化合物半導体、Ga2O3、Ga2S3、G
a2Se3、Ga2Te3、In2O3、In2S3、In2S
e3、In2Te3等の周期表第13族元素と周期表第1
6族元素との化合物、ZnO、ZnS、ZnSe、Zn
Te、CdO、CdS、CdSe、CdTe、HgO、
HgS、HgSe、HgTe等のII−VI族化合物半
導体、As2O3、As2S3、As2Se3、As2Te3、
Sb2O3、Sb2S3、Sb2Se3、Sb2Te3、Bi2
O3、Bi2S3、Bi2Se3、Bi2Te3等の周期表第
15族元素と周期表第16族元素との化合物、α−Fe
2O3、γ−Fe2O3、Fe3O4等の酸化鉄類やFeS等
の周期表第8族元素と周期表第16族元素との化合物、
前記の酸化チタン類やZrO 2等の周期表第4族元素と
周期表第16族元素との化合物、Y2O3、Ce2O3等の
周期表第3族元素(ランタノイド元素を含む)と周期表
第16族元素との化合物である。
P、In2O3、InN、InP、Ga2O3、Ga2S3、
In2O3、In2S3、ZnO、ZnS、CdO、Cd
S、前記の酸化鉄類、ルチル型やアナタース型二酸化チ
タン、ZrO2、Y2O3、Ce2O3、MgS等は毒性の
高い陰性元素を含まないので耐環境汚染性や生物への安
全性の点で好ましく、この観点ではSnO2、In
2O3、ZnO、ZnS、α−Fe2O3、ルチル型やアナ
タース型二酸化チタン、ZrO2、Y2O3、Ce2O3等
の毒性の高い陽性元素を含まない組成は更に好ましい。
ース型二酸化チタン、Ce2O3等の金属酸化物半導体結
晶は、光吸収能、高い屈折率、安全性、安価であること
から、紫外線吸収材料や高屈折率コーティング等の用途
に最も好ましいものである。また、α−Fe2O3等の酸
化鉄類等、可視領域に吸収能のある着色した半導体結晶
は、顔料等の色材用途に重要である。本発明の架橋樹脂
組成物を無色透明としかつ優れた紫外線吸収能を発揮さ
せる目的において最も重要な半導体結晶は、上記酸化チ
タン類(代表的にはルチル型やアナタース型二酸化チタ
ン)、ZnO又はCe2O3である。
可視領域とその近傍に発光帯を有するGaN、GaP、
GaAs、InN、InP等のIII−V族化合物半導
体、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、C
dS、CdSe、CdTe、HgO、HgS等のII−
VI族化合物半導体、In2O3、In2S3等が重要であ
り、中でも半導体結晶の粒径の制御性と発光能から好適
なのはZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、
CdS、CdSe等のII−VI族化合物半導体であ
り、特にZnO、ZnS、ZnSe、CdS、CdSe
等がこの目的では更に好適に用いられる。
要に応じて微量のドープ物質(故意に添加する不純物)
として例えばAl、Mn、Cu、Zn、Ag、Cl、C
e、Eu、Tb、Er等の元素を加えてもよい。例え
ば、Y2O3へのEuの添加、ZnSへのAg、Cu、T
b、Mn等の添加により、該ドープ物質を発光源とする
蛍光体とすることができる。また、上記二酸化チタン、
ZnO及びCe2O3にZr等の適当なドープ元素を添加
するとその光触媒能を低減させる効果を奏する場合があ
る。かかるドープ元素の本発明における主要な効果は、
電磁波吸収のエネルギーを発光や発熱等、化学反応以外
の現象により散逸させて樹脂マトリクスの分解劣化を抑
制又は防止のように樹脂組成物の化学的安定性を向上さ
せることにあると考えられる。
A.R.Kortanら;J.Am.Chem.So
c.,112巻,1327頁(1990)あるいは米国
特許5985173号公報(1999)に報告されてい
るように、内核(コア)と外殻(シェル)からなるいわ
ゆるコアシェル構造の半導体結晶を主体としてもよい。
かかるコアシェル型半導体結晶では、エキシトン吸発光
帯を利用する用途に好適な場合がある。この場合、シェ
ルの半導体結晶の組成として、禁制帯幅(バンドギャッ
プ)がコアよりも大きなものを起用することによりエネ
ルギー的な障壁を形成せしめることが一般に有効であ
る。これは、外界の影響や結晶表面での結晶格子欠陥等
の理由による望ましくない表面準位等の影響を抑制する
機構によるものと推測される。かかる半導体シェルに好
適に用いられる半導体結晶の組成としては、コア半導体
結晶のバンドギャップにもよるが、バルク状態のバンド
ギャップが温度300Kにおいて2.0電子ボルト以上
であるもの、例えばBN、BAs、GaNやGaP等の
III−V族化合物半導体、ZnO、ZnS、ZnS
e、ZnTe、CdO、CdS等のII−VI族化合物
半導体、MgSやMgSe等の周期表第2族元素と周期
表第16族元素との化合物等が好適に用いられる。これ
らのうちより好ましいシェルとなる半導体結晶組成は、
BN、BAs、GaN等のIII−V族化合物半導体、
ZnO、ZnS、ZnSe、CdS等のII−VI族化
合物半導体、MgS、MgSe等の周期表第2族元素と
周期表第16族元素との化合物等のバルク状態のバンド
ギャップが温度300Kにおいて2.3電子ボルト以上
のものであり、最も好ましいのはBN、BAs、Ga
N、ZnO、ZnS、ZnSe、MgS、MgSe等の
バルク状態のバンドギャップが温度300Kにおいて
2.5電子ボルト以上のものであり、化学合成上、Zn
Sが最も好適に使用される。特に好適な上記コア−シェ
ル構造の組み合わせ例を組成式で表現すると、CdSe
−ZnS、CdSe−ZnO、CdSe−CdS、Cd
S−ZnS、CdS−ZnO等が挙げられる。
波長範囲の光を吸収する用途に使用する場合、そのコア
を構成する半導体結晶の吸収スペクトルの吸収端波長が
300〜600nmの範囲内にあることが好ましい。こ
の吸収端波長の範囲の下限値は合成樹脂等の有機物マト
リクスを変質させる紫外領域を吸収させる目的でより好
ましくは330nm、更に好ましくは370nmであ
り、一方、該上限値は可視領域における透明性の点でよ
り好ましくは550nm、更に好ましくは500nm、
最も好ましくは450nmである。
超微粒子の製造方法に制限はないが、例えば以下の3つ
の液相法が例示される。 (1)原料水溶液を非極性有機溶媒中の逆ミセルとして
存在させ、該逆ミセル相中にて結晶成長させる方法(以
下「逆ミセル法」という)であり、例えばB.S.Zo
uら;Int.J.Quant.Chem.,72巻,
439(1999)に報告されている方法である。汎用
的な反応釜において公知の逆ミセル安定化技術が利用で
き、比較的安価かつ化学的に安定な塩を原料とすること
ができ、しかも水の沸点を超えない比較的低温で行われ
るため工業生産に適した方法である。但し、下記のホッ
トソープ法の場合と比べて現状技術では発光特性に劣る
場合がある。 (2)熱分解性原料を高温の液相有機媒体に注入して結
晶成長させる方法(以下「ホットソープ法」という)で
あり、例えばJ.E.B.Katariら;J.Phy
s.Chem.,98巻,4109−4117(199
4)に報告されている方法である。前記逆ミセル法に比
べて粒径分布と純度に優れた半導体結晶粒子が得られ、
生成物は発光特性に優れ有機溶媒に通常可溶である特徴
がある。ホットソープ法における液相での結晶成長の過
程の反応速度を望ましく制御する目的で、半導体構成元
素に適切な配位力のある配位性有機化合物が液相成分
(溶媒と有機配位子とを兼ねる)として選択される。か
かる配位性有機化合物の例としては、トリアルキルホス
フィン類、トリアルキルホスフィンオキシド類、ドデシ
ルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、
オクタデシルアミン等のω−アミノアルカン類等が挙げ
られる。これらのうち、トリオクチルホスフィンオキシ
ド(略称TOPO)等のトリアルキルホスフィンオキシ
ド類やヘキサデシルアミン等のω−アミノアルカン類等
が好適である。 (3)酸塩基反応を駆動力として半導体結晶やその前駆
体を、水やエタノールなどのプロトン性溶媒中において
100℃以下程度の比較的低い温度で生成させる工業生
産に適した方法(以下「ゾル生成法」という)である。
例えば、酸化チタンナノ結晶の合成例が伊藤征司郎ら;
色材,57巻6号,305−308(1984)に、酸
化亜鉛ナノ結晶の合成例がL.Spanhelら;J.
Am.Chem.Soc.,113巻,2826頁(1
991)にそれぞれ報告されている。ゾル生成法におけ
る好適な原料として、例えば酸化チタンナノ結晶の合成
には硫酸チタニルが、酸化亜鉛ナノ結晶の合成には酢酸
亜鉛や硝酸亜鉛等の亜鉛塩が、それぞれ例示される。テ
トラエチルオルトシリケート(略称TEOS)やテトラ
イソプロポキシオルトチタネート等の金属アルコキシド
類も原料として好適に使用可能である。特にゾル生成法
により酸化物ナノ結晶を合成する場合においては、例え
ば硫酸チタニルを原料として用いる酸化チタンナノ結晶
の合成のように、水酸化物等の前駆体を経由し、次いで
酸やアルカリにより(好ましくは酸により)これを脱水
縮合又は解膠してヒドロゾルを生成させる手順も可能で
ある。かかる前駆体を経由する手順では、該前駆体を、
濾過や沈殿分離(必要であれば遠心分離)等の任意の方
法で単離精製することが最終製品の純度の点で好適であ
る。該ヒドロゾルにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム(略称DBS)等の適当な界面活性剤を加えて、ゾ
ル粒子(即ち半導体又はその前駆体のナノ粒子)を非水
溶化させて単離してもよい。
れらをあらかじめ混合しておいてもよく、あるいはこれ
らをそれぞれ単独で反応液相に注入してもよい。これら
原料は、適当な希釈溶媒を用いて溶液にして使用しても
よい。 (その他の超微粒子の製造方法)前記遷移金属超微粒子
の製造には、例えばG.Schmid編;”Clust
ers and Colloids”,VCH社(We
inheim,1994)等に総説されている公知の酸
化還元反応を利用する金属コロイドの製造方法が使用可
能である。例えば、塩化金酸、硝酸銀、過塩素酸銀等の
遷移金属イオン化合物又はその塩を、クエン酸又はその
塩、水素化ホウ素塩、エタノール等のアルコール類等の
還元剤と接触させる溶液反応、あるいは超音波や光の照
射等物理的作用を利用する還元反応により合成可能であ
る。M.Brustら;J.Chem.Soc.Che
m.Commun.,801頁(1994)に報告があ
るように、該酸化還元反応を水相で行う際に有機溶媒に
可溶の有機配位子で表面修飾するとともに超微粒子を該
有機相に抽出する目的で、かかる有機配位子の有機溶液
との2相系で反応を行ってもよい。あるいは前記W.
W.Weareら著の文献に最近報告された改良法、即
ち、塩化金酸等の原料金属化合物とテトラオクチルアン
モニウムブロミド等の4級アンモニウム塩とを窒素で溶
存空気を置換した水/トルエン2相系に溶解し、ここに
トリフェニルホスフィン(PPh3と略記)を作用させ
て生成するAuCl(PPh3)なる化学種を更に水素
化ホウ素ナトリウムで還元して、平均粒径1.5nm程
度で非常に狭い粒径分布を持つPPh3を有機配位子と
する金ナノ結晶(理論組成はAu101(PPh3)21Cl
5)を得る方法も好適に本発明に利用可能である。な
お、Nanoprobes,Inc.社から供給される
金のナノ結晶等の市販品を本発明に使用してもよい。
子は、チオール類やアミン類による有機配位子交換反応
により所望の表面修飾が可能である。即ち、L.O.B
rownら;J.Am.Chem.Soc.,119
巻,12384−12385(1997)に報告のある
1−オクタデカンチオール等のアルカンチオール類によ
る有機配位子交換、あるいはL.O.Brownら;
J.Am.Chem.Soc.,121巻,882−8
83(1999)に報告のある1−ペンタデシルアミン
等のアミノアルカン類による有機配位子交換が可能であ
り、特に後者の方法を例えば塩化メチレン等の有機溶媒
中で室温にて3日程度かけてゆっくりと行うことで、
1.5nm程度の初期粒径から5nm程度まで精密に制
御可能である点で好ましい反応である。従って、所望の
官能基を有する有機配位子を使用してかかる制御された
有機配位子交換反応を行うことにより、原理的に所望の
官能基を導入する表面修飾を精密な粒径制御とともに行
うことが可能である。
粒子については、粉砕法の他、溶液からの沈殿法や超臨
界液体中での反応を利用する方法等の溶液法による製造
が可能である。 (超微粒子の分散方法)本発明の重合性液体組成物又は
架橋樹脂組成物が含有する前記各種超微粒子を分散させ
る方法に制限はないが、該超微粒子の表面に適当な有機
分子(有機配位子)を結合させる表面修飾を施すと、分
散性改善、あるいは吸発光能等の電磁気学的特性の改良
に有効である場合が多い。これは、該表面修飾により超
微粒子同士の凝集が抑制される効果、適切な有機分子に
よる表面修飾により前記重合性単量体又は架橋樹脂(以
下総合して「有機マトリクス」という)への相溶性が向
上する効果、あるいは表面修飾により超微粒子表面に結
合した有機分子と上記媒質の構成成分との化学反応によ
る結合生成の効果等の複合効果によるものと考えられ
る。
のは、該超微粒子の材質が遷移金属(単体あるいは合
金)、化合物半導体、非遷移金属の酸化物類、あるいは
ゼオライト類等の無機材質の場合である。これは、上記
有機マトリクスと該無機材質の超微粒子との界面自由エ
ネルギーを可及的に小さくするために有機分子による表
面処理が非常に大きな効果を発揮するためである。かか
る無機材質の超微粒子の表面処理方法とそれに使用する
有機分子(本発明では「有機配位子」という)に制限は
ないが、かかる有機配位子の概念は下記一般式(3)で
表されるものである。
の化学結合(例えば共有結合、イオン結合、配位結合、
水素結合等)を形成する官能基を表し、Yは上記有機マ
トリクスとの親和性あるいは化学結合形成性を有する官
能基を表し、RはXとYとを連結する炭素原子数1〜3
0の2価有機残基を表す。
ましくは使用する超微粒子の表面と共有結合又は配位結
合を、最も好ましくは共有結合を形成するものである。
前記官能基Yについては、例えば上記有機マトリクスに
超微粒子を優先的に結合させることを目的とする場合に
は、該官能基Yは該有機マトリクスとの化学結合形成性
を有する官能基(例えば水酸基、アミノ基、カルボキシ
ル基、エステル基、アミド基等の求核又は求電子置換反
応性官能基、アクリロイル基、メタクリロイル基、マレ
オイル基、ビニルフェニル基、ビニルエステル基、ビニ
ルアミノ基、エチニル基等のラジカル重合性基等)であ
る必要がある。前記2価有機残基Rの炭素原子数につい
ては、官能基Yを十分に機能させるに必要な可動性の確
保と超微粒子表面を保護する点から、その下限値は好ま
しくは3以上、より好ましくは6以上、更に好ましくは
9以上であり、一方架橋樹脂マトリクスの耐熱性や機械
的強度を極端に低下させない目的では好ましくは25以
下、更に好ましくは20以下とする。
アルミナ、チタニア等の酸化物の表面処理に従来使用さ
れているシランカップリング剤やチタネート系カップリ
ング剤等の活性官能基である金属アルコキシド基、ある
いは周期表第15族又は第16族元素を含有する以下の
ような官能基、即ち、1級アミノ基(−NH2)、2級
アミノ基(−NHR;但しRはメチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、フェニル基等の炭素数6以下の炭
化水素基である;以下同様)、3級アミノ基(−NR1
R2;但しR1及びR2は独立にメチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、フェニル基等の炭素数6以下の炭
化水素基である;以下同様)、ピリジル基、アミド結合
等の窒素含有官能基、ホスフィン基、ホスフィンオキシ
ド基、リン酸基、亜リン酸基、ホスフィンセレニド基等
のリン含有官能基等の周期表第15族元素を含有する官
能基、水酸基、カルボキシル基、β−ジケトン基、β−
ジケトネート基等の酸素含有官能基、メルカプト基(又
はチオール基)、スルフィド結合、スルホキシド基、チ
オ酸基(−COSH)、ジチオ酸基(−CSSH)、ス
ルホン酸基、キサントゲン酸基、キサンテート基、イソ
チオシアネート基、チオカルバメート基、チオフェン環
等の硫黄含有官能基等の周期表第16族元素を含有する
官能基等が例示される。これらのうち好ましく利用され
るのは、ピリジル基や1級アミノ基等の窒素含有官能
基、ホスフィン基やホスフィンオキシド基等のホスフィ
ン誘導体基、リン酸基、カルボキシル基、スルホン酸基
等の酸性基、メルカプト基等の硫黄含有官能基である。
これらのうち、ホスフィンオキシド基とメルカプト基は
超微粒子表面の遷移金属元素への結合力に優れ、リン酸
基、カルボキシル基、スルホン酸基等の酸性基は酸化物
半導体表面への結合力に優れるので最も好ましく用いら
れる。
が、これら例示中(b)〜(e)における官能基は上記
一般式(3)における官能基Xに該当するものである。 (a)金属アルコキシド基含有有機配位子:3−アミノ
プロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプ
ロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルト
リメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキ
シシラン、3−カルボキシエチルトリメトキシシラン、
3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン等
のアルコキシシラン類、3−グリシジルオキシプロピル
トリイソプロピルオキシチタン等のアルコキシチタン類
等。
タン、1−メルカプト−n−ブタン、1−メルカプト−
n−ヘキサン、メルカプトシクロヘキサン、1−メルカ
プト−n−オクタン、1−メルカプト−n−デカン等の
メルカプトアルカン類、下記一般式(4)で表される片
末端がメルカプト基となったポリエチレングリコール
類、下記一般式(5)で表されるポリエチレングリコー
ル類のω−メルカプト脂肪酸エステル類、下記一般式
(6)で表される1H,1H,2H,2H−パーフルオ
ロアルキル−1−チオール類、チオフェノール、4−メ
チルチオフェノール、4−t−ブチルチオフェノール、
4−ヒドロキシチオフェノール等のチオフェノール誘導
体、6−メルカプト−n−ヘキサノール等のω−メルカ
プトアルコール類、ジブチルスルフィド、ジヘキシルス
ルフィド、ジオクチルスルフィド等のジアルキルスルフ
ィド類、ジメチルスルホキシド、ジブチルスルホキシ
ド、ジオクチルスルホキシド等のジアルキルスルホキシ
ド類、ジブチルジスルフィド、ジヘキシルジスルフィ
ド、ジオクチルジスルフィド等のジアルキルジスルフィ
ド類、チオ尿素、チオアセタミド等のチオカルボニル基
を有する化合物、チオフェン等の硫黄含有芳香族化合
物、オクチルスルホン酸、デシルスルホン酸、ドデシル
スルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、パーフルオ
ロアルキルスルホン酸等のスルホン酸類、あるいは下記
一般式(5)のエステル類の原料となるω−メルカプト
脂肪酸類等。
素原子、炭素数6以下の炭化水素基、又はベンゼン環を
表し、nは重合度を表す自然数であり、通常2≦n≦1
5、過度の立体的障害を避ける観点で好ましくは2≦n
≦10、更に好ましくは2≦n≦5である。また、一般
式(5)においてmは自然数であり、通常1≦n≦2
0、過度の立体的障害を避ける観点で、その上限値は好
ましくは15、更に好ましくは12であり、一方、該m
の下限値は超微粒子表面を外界から遮蔽する観点で、好
ましくは5、更に好ましくは8である。
基(CF3−)又はジフルオロメチレン基(−CF2−)
を含有する炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基を
表す。
スフィン、トリブチルホスフィン、トリヘキシルホスフ
ィン、トリオクチルホスフィン、トリデシルホスフィン
等のトリアルキルホスフィン類、トリエチルホスフィン
オキシド、トリブチルホスフィンオキシド、トリヘキシ
ルホスフィンオキシド、トリオクチルホスフィンオキシ
ド(略称TOPO)、トリデシルホスフィンオキシド等
のトリアルキルホスフィンオキシド類、トリフェニルホ
スフィン等の芳香族ホスフィン類、トリフェニルホスフ
ィンオキシド等の芳香族ホスフィンオキシド類、n−ブ
チルホスホン酸、n−ヘキシルホスホン酸、オクチルホ
スホン酸、ドデシルホスホン酸、ベンジルホスホン酸等
のホスホン酸類、ジオクチルホスフィン酸等のホスフィ
ン酸類等。
ノリン等の窒素含有芳香族化合物、トリエチルアミン、
トリブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチル
アミン、トリデシルアミン、トリフェニルアミン、メチ
ルジフェニルアミン、ジエチルフェニルアミン、トリベ
ンジルアミン等の3級アミン類、ジエチルアミン、ジブ
チルアミン、ジヘキシルアミン、ジオクチルアミン、ジ
デシルアミン、ジフェニルアミン、ジベンジルアミン等
の2級アミン類、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デ
シルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オ
クタデシルアミン、フェニルアミン、ベンジルアミン等
の1級アミン類、ニトリロ三酢酸トリエチルエステル等
のアミノ基を有するカルボン酸エステル類等。
ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ド
デカン酸、オクタデカン酸等の炭素数4〜20の脂肪酸
類、安息香酸、4−オクチル安息香酸、4−ドデシル安
息香酸等の安息香酸誘導体等。また、上記有機配位子
は、半導体結晶等の超微粒子を大気(特に酸素ガスや
水)や光等の外界からの影響から遮蔽して保持する効果
(以下「遮蔽効果」という)をも有する。かかる遮蔽効
果の点では、該有機配位子は炭素数4以上のメチレン基
連鎖を含有するものであることが好ましく、特に水やエ
タノール等のプロトン性溶媒を併用する場合にその効果
を顕著に発揮する。これは、該メチレン基連鎖がその疎
水性により一種の疎水障壁を半導体結晶表面に形成し、
プロトン性溶媒分子等の極性化学種が半導体結晶等の表
面に接近して金属元素を溶出する等の悪影響を妨げる、
といった機構によるものと推測される。かかる炭素数4
以上のメチレン基連鎖を有する有機配位子の使用によ
り、具体的には、半導体超微粒子の量子効果の安定化が
見られる場合が多い。このメチレン基連鎖の炭素数は通
常4〜20、好ましくは5〜16、最も好ましくは6〜
12程度とする。
記有機配位子の具体的な配位化学構造は十分に解明され
ていないが、本発明においては前記一般式(3)におけ
る官能基Xは必ずしもそのままの構造を保持していなく
てもよい。例えば、メルカプト基(SH)の場合、半導
体結晶や遷移金属結晶終端に存在する遷移金属元素M
(例えばII−VI族化合物半導体における亜鉛やカド
ミウム、III−V族化合物半導体におけるガリウムや
インジウム等)との共有結合を形成した構造(例えばS
−Mなる構造)への変化、ホスフィンオキシド基(P=
O)の場合、該遷移金属元素Mとの共有結合を形成した
構造(例えばP−O−Mなる構造)への変化等も考えら
れる。
半導体結晶や遷移金属等の超微粒子主体と該有機配位子
との総和に対する重量百分率(wt%)として、通常5
〜80wt%、好ましくは10〜60wt%、更に好ま
しくは15〜40wt%である。かかる重量百分率は、
核磁気共鳴スペクトル(NMR)、赤外吸収スペクトル
(IR)、元素分析、あるいは熱重量分析(TG)等の
各種分析手法の組み合わせによって分析することにより
見積もることが可能である。
橋樹脂組成物の製造方法に制限はないが、例えば、前記
重合性液体組成物の熱又は活性エネルギー線の照射によ
る重合反応の開始により好適に製造可能である。かかる
方法につき以下説明する。上記重合反応の形式に制限は
なく、例えばラジカル重合、アニオン重合、カチオン重
合、配位重合、縮重合、開環重合などの公知の重合形式
を用いることができる。これらの重合形式の例示のう
ち、厳密な脱水や脱気が必ずしも必要でない等重合条件
を幅広く取ることができる観点で好適なのはラジカル重
合、縮重合及び開環重合であり、中でもラジカル重合が
更に好ましい。一方、光学部材としての諸特性、例えば
光線透過率や低複屈折性などを高めるためには、活性エ
ネルギー線照射による任意の重合形式が好ましく、その
理由は定かではないが、重合反応の開始が重合系内で均
質かつ短時間に進行することによる生成物の均質性によ
るものと推定される。従って、最も好ましい重合形式は
活性エネルギー線照射によるラジカル重合である。
合反応を開始する重合開始剤に作用して該重合反応を開
始する化学種を発生させる働きを有する電磁波(ガンマ
線、エックス線、紫外線、可視光線、赤外線等)又は粒
子線(電子線、α線、中性子線、各種原子線等)であ
る。本発明において好ましく用いられる活性エネルギー
線は上記電磁波であり、エネルギーと汎用光源を使用可
能であることから紫外線と可視光線が更に好ましく、最
も好ましくは紫外線である。
外線によりラジカルを発生する光ラジカル発生剤(前記
例示参照)を重合開始剤とし紫外線を活性エネルギー線
として使用する方法である。この時、必要に応じて増感
剤を併用してもよい。上記光ラジカル重合開始剤の添加
量は、重合性単量体の総和100重量部に対し通常0.
01〜1重量部、好ましくは0.02〜0.3重量部で
あり、この添加量が多すぎると、重合が急激に進行して
複屈折の増大をもたらすだけでなく色相も悪化する場合
があり、また少なすぎると組成物を十分に硬化させるこ
とができなくなる場合がある。上記紫外線は、波長が通
常200〜400nmの範囲であり、この波長範囲は好
ましくは250〜400nmである。一方、該紫外線の
強度は通常0.1〜200J/cm2のエネルギー範囲
で照射し、該照射時間は通常1秒〜3時間、反応促進と
生産性の点で好ましくは10秒〜1時間程度とする。か
かる活性エネルギー線の照射エネルギーや照射時間が極
端に少ない場合は重合が不完全なため架橋樹脂組成物の
耐熱性,機械特性が十分に発現されない場合があり,逆
に極端に過剰な場合は黄変等光による色相悪化に代表さ
れる劣化を生ずる場合がある。該活性エネルギー線の照
射は,一段階でも、あるいは複数段階で照射してもよ
く、その線源として通常は活性エネルギー線が全方向に
広がる拡散線源を用い、通常、型内に賦形された前記重
合性液体組成物を固定静置した状態又はコンベアで搬送
された状態とし、光源を固定静置した状態で照射する。
また、前記重合性液体組成物を適当な基板(例えば樹
脂、金属、半導体、ガラス、紙等)上の塗布液膜とし、
次いで活性エネルギー線を照射して該塗布液膜を硬化さ
せることも可能である。
合を行う場合には、光酸塩基発生剤を通常併用する。 (光学部材)本発明の架橋樹脂組成物は、複屈折で代表
される光学歪みが小さく、良好な透明性を有し、優れた
耐熱性を有するほか、屈折率制御性や表面硬度、帯電防
止性、吸発光特性(特に紫外線吸収能)等などの種々の
機能特性を有する。従って、本発明は、前記架橋樹脂組
成物を利用した光学部材を提供する。ここでいう光学部
材とは、それを構成する材料の光学特性、例えば透明
性、吸発光特性、外界との屈折率差、複屈折の小ささ、
前記の特異な屈折率とアッベ数とのバランス等を利用す
る用途に用いられる成形体一般を指す。具体例として
は、ディスプレイパネル、タッチパネル、レンズ、プリ
ズム、導波路、光増幅器等のオプティクス、オプトエレ
クトロニクス用部材が挙げられる。
第1の光学部材は前記架橋樹脂組成物の成形体である光
学部材であり、第2の光学部材は前記架橋樹脂組成物の
薄膜を表面に有する成形体である光学部材である。つま
り、前者は光学部材の主体が前記架橋樹脂組成物であり
その表面に該架橋樹脂組成物でない材質の任意の薄膜
(コート層)を有していてもよいものであり、一方、後
者は光学部材の主体は前記架橋樹脂組成物でなくてもよ
い材質で構成され、その表面に架橋樹脂組成物の薄膜を
有するものである。いずれの光学部材も、樹脂、ガラ
ス、セラミクス、無機物結晶、金属、半導体、ダイヤモ
ンド、有機物結晶、紙パルプ、木材等の任意の固体素材
基板上に密着して成形されたものであってもよい。
が、前記架橋樹脂組成物の部分の光路長は通常0.01
〜10000mmであり、光学部材の機械的強度の点で
該下限値は好ましくは0.1mm、更に好ましくは0.
2mmであり、一方、光線強度の減衰の点で該上限値は
好ましくは5000mm、更に好ましくは1000mm
である。上記第1の光学部材の形状に制限はないが、例
えば平板状、曲板状、レンズ状(凹レンズ、凸レンズ、
凹凸レンズ、片凹レンズ、片凸レンズ等)、プリズム
状、ファイバー状等の形状が例示される。
が、前記架橋樹脂組成物薄膜の膜厚は通常0.05〜3
000μmであり、該膜厚の下限値は、機械的強度や光
学特性の点で好ましくは0.1μm、更に好ましくは
0.5μmである。一方、該膜厚の上限値は、薄膜の成
形加工性や費用対効果バランスの点で好ましくは200
0μm、更に好ましくは1000μmである。かかる薄
膜の形状に制限はないが、必ずしも平面状でなくてもよ
く、例えば球面状、非球面曲面状、円柱状、円錐状、あ
るいはボトル状等の任意の形状の基板上に成形されてい
てもよい。
の被覆層、例えば摩擦や摩耗による塗布面の機械的損傷
を防止する保護層、半導体結晶粒子や基材等の劣化原因
となる望ましくない波長の光線を吸収する光線吸収層、
水分や酸素ガス等の反応性低分子の透過を抑制あるいは
防止する透過遮蔽層、防眩層、反射防止層、低屈折率層
等や、基材と塗布面との接着性を改善する下引き層、電
極層等、任意の付加機能層を設けて多層構造としてもよ
い。かかる任意の被覆層の具体例としては、無機酸化物
コーティング層からなる透明導電膜やガスバリア膜、有
機物コーティング層からなるガスバリア膜やハードコー
ト等が挙げられ、そのコーティング法としては真空蒸着
法、CVD法、スパッタリング法、ディップコート法、
スピンコート法等公知のコーティング法を用いることが
できる。
示すると、眼鏡用レンズ、光コネクタ用マイクロレン
ズ、発光ダイオード用集光レンズ等の各種レンズ、光ス
イッチ、光ファイバー、光回路における光分岐、接合回
路、光多重分岐回路、光度調器等の光通信用部品、液晶
基板、タッチパネル、導光板、位相差板等各種ディスプ
レイ用部材、光ディスク基板や光ディスク用フィルム・
コーティングを初めとする記憶・記録用途、更には機能
性フィルム、反射防止膜、光学多層膜(選択反射膜、選
択透過膜等)、超解像膜、紫外線吸収膜、反射制御膜、
光導波路、及び識別機能印刷面等各種光学フィルム・コ
ーティング用途等が挙げられる。
更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限
り、以下の例によって限定されるものではない。また合
成例における各種同定や分析、実施例及び比較例におけ
る評価は以下の方法で実施した。なお、原料試薬は、特
に記載がない限り、Aldrich社より供給されるも
のを精製を加えずに使用した。ただし、市販の溶剤を以
下のような精製操作により精製溶媒とした。
更に水の順序で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾
燥し、次いで濾紙で濾過し、五酸化二リン(P2O5)を
加えて大気圧にて蒸留した。 精製メタノール:硫酸カルシウムと水素化カルシウムで
乾燥した後、更に水素化ナトリウムを加え、ここから大
気圧にて直接蒸留したもの、又はAldrich社より
供給された無水(「Anhydrous」)グレードを
使用した。
JNM−EX270型FT−NMR(1H:270MH
z、13C:67.8MHz)。溶媒は特に断らない限り
重水素化クロロホルムを溶媒として使用し、テトラメチ
ルシランを0ppm対照として23℃にて測定した。 (2)赤外吸収(IR)スペクトル:日本分光工業社製
FT/IR−8000型FT−IR。23℃にて測定し
た。 (3)X線回折(XRD)スペクトル:リガク(株)製
RINT1500(X線源:銅Kα線、波長1.541
8Å)。23℃にて測定した。 (4)透過型電子顕微鏡(TEM)観察:日立製作所
(株)社製H−9000UHR型透過型電子顕微鏡(加
速電圧300kV、観察時の真空度約7.6×10 -9T
orr)にて行った。 (5)光励起発光(PL)スペクトル:日立製作所
(株)社製F−2500型分光蛍光光度計にて、スキャ
ンスピード60nm/分、励起側スリット5nm、蛍光
側スリット5nm、フォトマル電圧400Vの条件で室
温にて測定した。 (6)吸収スペクトルと光線透過率:ヒューレットパッ
カード社製HP8453型紫外・可視吸光光度計にて室
温で測定した。 (7)熱重量分析(TG):セイコーインスツルメンツ
(株)製TG−DTA320により、200mL/分の
窒素気流下、アルミニウム皿の上で、昇温速度は10℃
/分、140℃で保温30分、次いで最高設定温度59
0℃(サンプル直下の実測温度は602〜603℃程
度)で保温120分の条件で行った。 (8)複屈折:0.5mm厚の試験片で複屈折測定装置
(オーク社製)を用いて25℃で測定した。 (9)耐熱性:3mm×30mm×0.5mmの短冊状
試験片を用いて、ガラス転移温度Tgを引っ張り法熱機
械測定(TMA)にて加重2gで測定した。
例) [合成例1:有機配位子の合成例]11−メルカプトウ
ンデカン酸(1.70g)とトリエチレングリコールモ
ノメチルエーテル(以下「MTEG」という;50m
L)、及び濃硫酸(国産化学(株)社製;5滴)を乾燥
窒素雰囲気のフラスコ内で混合し、60℃で攪拌しなが
ら30mmHg以下の圧力での減圧脱水を延べ約36時
間行った。反応液を大量の氷水に攪拌しながら徐々に加
えて得た析出物をn−ヘキサン/酢酸エチル(共に純正
化学(株)社製)混合溶媒で抽出し、この有機相を飽和
重曹水、次いで水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し
た後、濾過して濃縮し、室温で真空乾燥した。この生成
物は、IRスペクトルにおいて1735cm-1にエステ
ル基、2920cm-1及び2845cm-1のピークを含
むMTEG由来の炭化水素構造にそれぞれ帰属される吸
収帯を与えた。更に1H−NMRスペクトルにおいて、
後述するように予想構造に合致する合理的なシグナルと
積分値を与えたので、下記式(7)に示される11−メ
ルカプトウンデカン酸MTEGエステル(以下「MTE
G−C11SH」という)を単離したものと結論した。
1H−NMRスペクトル:1.25〜1.67(マルチ
プレット,18プロトン,脂肪族鎖)2.33(トリプ
レット,2プロトン,J=7.6Hz,原料カルボン酸
残基由来のメチレン基)、3.38(シングレット,3
プロトン,メチル基)、3.54〜3.58(マルチプ
レット,2プロトン)、3.63〜3.72(マルチプ
レット,8プロトン)、4.23(トリプレット,2プ
ロトン,J=5.0Hz,エステル結合に隣接するMT
EG残基のメチレン基)。
流管と反応温度調節のための熱電対を装着したパイレッ
クス(登録商標)ガラス製3口フラスコにトリオクチル
ホスフィンオキシド(以下「TOPO」と略記;4g)
を入れ、マグネチックスターラーで攪拌しながら乾燥ア
ルゴンガス雰囲気で360℃に加熱した。別途、乾燥窒
素雰囲気のグローブボックス内で、セレン(単体の黒色
粉末;0.1g)をトリブチルホスフィン(以下「TB
P」と略記;6.014g)に溶解した液体に更にジメ
チルカドミウム(Strem Chemical社製;
97%;0.216g)を混合溶解した原料溶液Aを、
ゴム栓(Aldrich社から供給されるセプタム)で
封をし、アルミニウム箔ですき間なく包んで遮光したガ
ラス瓶中に調製した。この原料溶液Aの一部(2.0m
L)を、前記のTOPOの入ったフラスコに注射器で一
気に注入し、この時点を反応の開始時刻とした。反応開
始20分後に熱源を除去し約50℃に冷却された時点で
精製トルエン(2mL)を注射器で加えて希釈し、更に
前記の精製メタノール(10mL)を注入して不溶物を
生じさせた。この不溶物を遠心分離(3000rpm)
し、デカンテーションにより上澄み液を除去して分離
し、室温にて約14時間真空乾燥して固形粉体を得た。
この固形粉体のXRDスペクトルにおいて、Wurtz
ite型CdSe結晶の002面及び110面に帰属さ
れる回折ピークを観測したことからCdSeナノ結晶の
生成を確認した。また、このCdSeナノ結晶の平均粒
径は、TEM観察によれば約4nmであった。こうして
得たCdSe超微粒子は、精製トルエン溶液において、
水銀灯の366nm波長の励起光を照射すると赤色の発
光帯(ピーク波長595nm、半値幅43nm)を与え
た。
ェル構造CdSe超微粒子]B.O.Dabbousi
ら;J.Phys.Chem.B,101巻,9463
頁(1997)に記載の方法に準じて行った。これを以
下説明する。乾燥アルゴンガス雰囲気の褐色ガラス製の
3口フラスコ中にTOPO(15g)を入れ、減圧下1
30〜150℃での溶融状態で約2時間攪拌した。この
間、残留する空気及び水等の揮発性分を置換する目的
で、乾燥アルゴンガスにより大気圧に復圧する操作を数
回行った。温度設定を100℃として約1時間後、合成
例2で得たCdSe超微粒子の固形粉体(0.094
g)のトリオクチルホスフィン(1.5g、以下「TO
P」と略記)溶液を加えて、CdSeナノ結晶を含む透
明溶液を得た。これを100℃の減圧下で更に約80分
間攪拌後、温度を180℃に設定して乾燥アルゴンガス
で大気圧に復圧した。別途、乾燥窒素雰囲気のグローブ
ボックス内で、ジエチル亜鉛の1N濃度n−ヘキサン溶
液(1.34mL;1.34ミリモル)とビス(トリメ
チルシリル)スルフィド(0.239g;1.34ミリ
モル)とをTOP(9mL)に溶解した原料溶液Bを、
セプタムで封をしアルミニウム箔ですき間なく包んで遮
光したガラス瓶中に調製した。この原料溶液Bを、注射
器により、前記の180℃のCdSe超微粒子を含む透
明溶液に20分間かけて滴下し、90℃に降温後、約1
時間攪拌を継続した。室温で約14時間静置した後、再
び90℃で3時間加熱攪拌した。熱源を除去し、Ald
rich社から供給される無水グレード(99.8%)
のn−ブタノール(8mL)を反応液に加えて室温まで
冷却して、透明な赤色溶液を得た。この赤色溶液には、
原料のビス(トリメチルシリル)スルフィド等の硫黄化
合物の臭気はなく、代わりにセレン特有のニラ様臭気が
あった。合成例2で得たCdSe超微粒子の溶液にはこ
のようなセレン臭はなかったので、該CdSeナノ結晶
表面での意図した硫化物生成反応の進行とともに、該ナ
ノ結晶表面における硫黄原子によるセレン原子の置換反
応等何らかの機構によるセレンの遊離があったものと推
測され、前記文献記載同様にZnSシェルを有するコア
シェル構造CdSe超微粒子が生成したものと考えられ
た。この赤色溶液の一部(8mL)を、乾燥窒素気流
下、室温で精製メタノール(16mL)中に滴下し、2
0分間攪拌を継続する沈殿操作により赤色不溶物を得
た。この赤色不溶物を合成例2同様に遠心分離及びデカ
ンテーションにより分離し、精製トルエン(14mL)
に再溶解した。この再溶解トルエン溶液を用いて、再び
同様の沈殿操作、遠心分離、及びデカンテーションの一
連の精製操作を行って固体生成物を得た。この固体生成
物は、1mLの精製メタノールと振り混ぜて洗浄後、デ
カンテーションで分離した。この固体生成物の平均粒径
は、TEM観察によれば約5nmであった。この固体生
成物は透明赤色のトルエン溶液を与え、ここに468n
m波長の励起光を照射すると赤色の発光帯(ピーク波長
597nm、半値幅41nm)を与えた。この発光は同
程度の溶液濃度において、合成例2で得たCdSe超微
粒子の場合よりも明らかに発光強度が大きかったことか
ら、ZnSシェルを有するコアシェル構造CdSeナノ
結晶に変換され、表面準位等を経由する非発光過程の寄
与が抑制されたものと考えられた。また、この生成物の
IRスペクトルは、TOPOのアルキル基に由来すると
考えられる3つの吸収帯を2940,2920,及び2
850cm-1に与えたので、TOPOがナノ結晶表面に
結合しているものと考えられた。
配位子として有するコアシェル構造CdSe超微粒子]
合成例3で得たZnSシェルを有するコアシェル構造C
dSe超微粒子(0.5g)を、窒素雰囲気下、エタノ
ール(純正化学(株)、8mL)中で攪拌して分散しな
がら、ここに合成例1で合成したMTEG−C11SH
(0.4g)を加え、約20分間加熱還流させた。この
加熱還流により上記コアシェル構造CdSe超微粒子が
溶解して濁りのない赤色エタノール溶液を与えた。反応
液を減圧濃縮して得た残渣にn−ヘキサンを加えて約2
0秒間超音波照射して分散させ、次いで遠心分離(40
00rpm、6分間)とデカンテーションにより不溶物
を分離した。こうして分離した不溶物を精製トルエンに
再溶解し、約10倍容量のn−ヘキサン中に注入して析
出物を生成させ、これを前記同様に遠心分離とデカンテ
ーションにより分離した。この再溶解、析出及び分離の
操作をもう1度繰り返して精製した。この生成物を室温
で真空乾燥して得た固体は、エタノール又は50重量%
のエタノール水溶液に可溶で濁りのない赤色溶液を与え
た。かかるエタノール溶液は合成例3の場合と同一の発
光帯を与え、該固体生成物のIRスペクトルはMTEG
−C11SH由来のエステル基及び炭化水素構造部分に
それぞれ帰属される吸収帯を与え、しかも合成例3で述
べたTOPOのアルキル基に由来すると考えられる3つ
の鋭い吸収ピークは観測されなかったので、MTEG−
C11SHが半導体結晶部分には実質的に化学変化を及
ぼさずにTOPOを置換した半導体超微粒子が得られた
ものと考えられた。この固体生成物の有機物含量をTG
測定で定量したところ29重量%であった。
トを有機配位子として有するTiO 2超微粒子の合成]
前記伊藤ら著の文献記載の方法を参考として行った。以
下、手順を説明する。0.1モル/Lの濃度の塩化チタ
ニル水溶液を攪拌しながら、同容量の1.5モル/Lの
濃度の炭酸ナトリウム水溶液を室温で25分かけて滴下
した。こうして得た白色の超微粒子の懸濁液を、遠心分
離(4000rpm)、上澄み液のデカンテーションに
よる除去及び水洗の3工程をこの順に繰り返す操作によ
り精製した。但し、該精製は、上澄み液に水酸化バリウ
ム水溶液を加えても硫酸バリウムの白色の濁りが目視観
察されなくなるまで行った。こうして得た白色沈殿を
0.3モル/Lの濃度の希塩酸中に攪拌分散しながら6
0℃で約1時間加熱して透明感のある酸性ヒドロゾルを
得た。この酸性ヒドロゾルに氷冷し、アルキル基の一方
がアリル基でありラジカル重合性を有するジアルキルス
ルホスクシネートモノナトリウム塩(三洋化成工業
(株)製、商標名はエレミノールJS−2、ロット番号
0804831)の水溶液を加えたところ白色沈殿を生
じたので、これを遠心分離とデカンテーションにより分
離した。この白色沈殿は酢酸エチル等の有機溶媒に可溶
であったのでこれを大量の水中に分散してよく攪拌して
水洗し、次いで酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒で
抽出し、乾燥した後、濃縮した。この濃縮残渣のXRD
とTEMより、アナタース型TiO2超微粒子のナノ結
晶(数平均粒径は約5nm)の生成を確認した。この濃
縮残渣も有機溶媒に可溶であったことから、上記ジアル
キルスルホスクシネート残基がアナタース型二酸化チタ
ンのナノ結晶表面にスルホン酸基を介して結合したTi
O2超微粒子であるものと考えられた。
nhelら;J.Am.Chem.Soc.,113
巻、2826頁(1991)に記載されている方法によ
り合成した。即ち、関東化学社製の酢酸亜鉛二水和物
(0.8789g)を遮光したガラスフラスコ内でエタ
ノール(40mL)に溶解し、窒素ガスバブリングを3
0分間行って溶在空気を置換し、窒素雰囲気下にて溶液
を加熱し、エタノールの一部(24mL)を蒸留して共
存する水を共沸除去した。液温を室温に戻してエタノー
ル(24mL)を加え、ここにキシダ化学社製の水酸化
リチウム一水和物(0.2352g)の粉末を加えて1
0分間超音波照射して非沈殿性固体粒子を含まない溶液
を得た。この溶液の吸収スペクトルは314nmに極大
を有するエキシトン発光帯を示したことから、上記文献
記載の通りZnO超微粒子が生成していることが確認さ
れた。またこの溶液は、300nmの励起光により49
6nmに極大を有するブロードな発光帯を与えた。この
発光は目視で白緑色であった。このZnO超微粒子の平
均粒径は、TEM観察によれば約4nmであった。
る架橋樹脂組成物の熱ラジカル重合による調製]合成例
4で得たMTEG−C11SHを有機配位子として有す
るコアシェル構造CdSe超微粒子1重量部、ビス(ヒ
ドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デ
カン=ジメタクリレート99部、熱ラジカル発生剤とし
てアゾビスイソブチロニトリル(通称AIBN)1重量
部を精製トルエンに溶解して濁りのない溶液を得た。こ
れを乾燥窒素気流下約80℃で加熱してトルエンを留去
しながらラジカル重合を進行させ、更に120℃で1時
間加熱することにより、濁りのない架橋樹脂組成物を得
た。この架橋樹脂組成物の光路長1mmにおける複屈折
は約9nmであり、ナトリウムD線波長における光路長
1mm当たりの光線透過率は約88%であった。この架
橋樹脂組成物はトルエン、クロロホルム、アセトン、テ
トラヒドロフランのいずれの溶媒に溶解しようとしても
実質的に不溶であった。また、合成例3及び4に記載し
たコアシェル構造CdSe超微粒子と同様の発光能を保
持していた。
粒子を含有する架橋樹脂組成物の光ラジカル重合による
調製(その1)]合成例4で得たMTEG−C11SH
を有機配位子として有するコアシェル構造CdSe超微
粒子5重量部、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ
[5.2.1.02,6]デカン=ジメタクリレート95
部、光ラジカル発生剤として2,4,6−トリメチルベ
ンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(BASF社製
「ルシリンTPO」)0.1部、ベンゾフェノン0.1
部を加え均一に攪拌混合した後、脱泡して重合性液体組
成物を得た。これを、スペーサーとして厚さ0.5mm
のシリコーン板を用いた光学研磨ガラスの型及びスペー
サーとして厚さ1mmのシリコーン板を用いた光学研磨
ガラスの型にそれぞれ注液し、ガラス面より距離40c
mで上下に設置された出力80W/cmのメタルハライ
ドランプの間にて、5分間紫外線を照射した。紫外線照
射後脱型し、120℃で1時間加熱して硬化物を得た。
硬化物の諸物性は表−1の通りであった。この架橋樹脂
組成物のナトリウムD線波長における光路長1mm当た
りの光線透過率は、約85%であった。この架橋樹脂組
成物はトルエン、クロロホルム、アセトン、テトラヒド
ロフランのいずれの溶媒に溶解しようとしても実質的に
不溶であった。また、合成例3及び4に記載したコアシ
ェル構造CdSe超微粒子と同様の発光能を保持してい
た。
粒子を含有する架橋樹脂組成物の光ラジカル重合による
調製(その2)]実施例1のビス(ヒドロキシメチル)
トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメタクリ
レートの代わりにα、α’−ビス(β−メタクリロイル
オキシエチルチオ)−p−キシレンを用いたこと以外は
実施例2と同様の操作を行い、重合性液体組成物を経て
架橋樹脂組成物を得た。組成物の諸物性は表−1の通り
であった。この架橋樹脂組成物のナトリウムD線波長に
おける光路長1mm当たりの光線透過率は約83%であ
った。この架橋樹脂組成物はトルエン、クロロホルム、
アセトン、テトラヒドロフランのいずれの溶媒に溶解し
ようとしても実質的に不溶であった。また、合成例3及
び4に記載したコアシェル構造CdSe超微粒子と同様
の発光能を保持していた。
架橋樹脂組成物の熱ラジカル重合による調製]合成例5
で得たジアルキルスルホスクシネートを有機配位子とし
て有するTiO2超微粒子10重量部、ビス(ヒドロキ
シメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=
ジメタクリレート90部、熱ラジカル発生剤としてアゾ
ビスイソブチロニトリル(通称AIBN)1重量部を酢
酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒に溶解して濁りのな
い溶液を得た。これを乾燥窒素気流下約110℃で加熱
して該混合溶媒を留去しながらラジカル重合を進行さ
せ、更に120℃で1時間加熱することにより、濁りの
ない架橋樹脂組成物を得た。この架橋樹脂組成物の光路
長1mmにおける複屈折は約8nmであり、ナトリウム
D線波長における光路長1mm当たりの光線透過率は約
81%であった。この架橋樹脂組成物はトルエン、クロ
ロホルム、アセトン、テトラヒドロフランのいずれの溶
媒に溶解しようとしても実質的に不溶であった。また、
TiO2超微粒子に由来する紫外線吸収能を有するもの
であった。
架橋樹脂組成物の光ラジカル重合による調製]実施例2
において、超微粒子として合成例5で得たジアルキルス
ルホスクシネートを有機配位子として有するTiO2超
微粒子45重量部を、重合性単量体としてビス(ヒドロ
キシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン
=ジメタクリレート45部及びn−ブチルメタクリレー
ト10重量部の混合物をそれぞれ用い、重合性液体組成
物の温度を約80℃として紫外線を照射した他は同様の
操作を行い、重合性液体組成物を経て架橋樹脂組成物を
得た。こうして得た架橋樹脂組成物の光路長1mmにお
ける複屈折は約5nmであり、ナトリウムD線波長にお
ける光路長1mm当たりの光線透過率は約75%であっ
た。この架橋樹脂組成物はトルエン、クロロホルム、ア
セトン、テトラヒドロフランのいずれの溶媒に溶解しよ
うとしても実質的に不溶であった。また、TiO2超微
粒子に由来する紫外線吸収能を有するものであった。
(東京化成社製;平均分子量7〜7.5万;以下PMM
Aという)90部をプロピレングリコールモノエチルエ
ーテルアセテート(以下「PEGMEA」という)40
0部に40℃で攪拌溶解した後、合成例5で得たジアル
キルスルホスクシネートを有機配位子として有するTi
O2超微粒子10重量部を加え、更に2時間攪拌し、均
一に分散させ、溶液を得た。エバポレータによってPE
GMEAを半分程度蒸発除去した後、この溶液(以下
溶液Aという)をガラス基板上にバーコート法によって
塗布し、120℃で乾燥させて薄膜を得た。その薄膜の
上に更にバーコート塗布を行い、以下同様に操作を繰り
返し、厚さ0.5mm及び1mmの超微粒子分散PMM
Aシートを得た。このPMMAシートの諸物性は表−1
の通りであり、実施例に比べて複屈折が非常に大きく、
しかもガラス転移温度が低く、耐熱性に劣ることが明ら
かである。また、この樹脂組成物は架橋樹脂組成物でな
いので、トルエンやテトラヒドロフランにより容易に溶
解するものであった。
基板とシリコーンスペーサーで構成された注型型に厚さ
0.5mm及び1mmで注型し、120℃で乾燥させた
ところ、無数の気泡を生じ、透明性が著しく損なわれ、
光学歪みが増大した。乾燥条件を80〜150℃の範囲
で変化させ、あるいは加熱速度を10℃/分に抑えた
が、気泡の発生は抑制できなかった。
性と小さな光学歪み(例えば複屈折)を有し、機械的強
度、耐熱性及び寸法精度に優れており、しかも架橋樹脂
マトリクスを有するため優れた耐溶剤溶解性をも有する
ので、幅広い光学部材用途に使用される。
Claims (16)
- 【請求項1】下記成分A及び成分Bからなる群から選ば
れた少なくとも1種の分子内に2個以上の重合性官能基
を有する重合性単量体を主体とし、数平均粒径0.5〜
50nmの超微粒子を含有することを特徴とする重合性
液体組成物。 成分A:下記一般式(1)で表される含脂環骨格ビス
(メタ)アクリレート。 【化1】 (上記一般式(1)において、RaおよびRbはそれぞれ
独立して水素原子又はメチル基を、RcおよびRdはそれ
ぞれ独立して炭素数6以下のアルキレン基を、xは1又
は2を、yは0または1を、それぞれ表す。) 成分B:下記一般式(2)で表される硫黄原子含有ビス
(メタ)アクリレート。 【化2】 (上記一般式(2)において、RaおよびRbは上記一般
式(1)の場合と同一であり、各Reはそれぞれ炭素数
1〜6のアルキレン基を表す。各Arはそれぞれ炭素数
が6〜30であるアリーレン基又はアラルキレン基を表
し、これらの水素原子はフッ素原子以外のハロゲン原子
で置換されていてもよい。各Xはそれぞれ酸素原子また
は硫黄原子を表し、各Xが全て酸素原子の場合、各Yの
うち少なくとも一つは硫黄原子又はスルホン基(−SO
2−)を、各Xのうち少なくとも1つが硫黄原子の場
合、各Yはそれぞれ硫黄原子、スルホン基、カルボニル
基(−CO−)、並びにそれぞれ炭素数1〜12のアル
キレン基、アラルキレン基、アルキレンエーテル基、ア
ラルキレンエーテル基、アルキレンチオエーテル基及び
アラルキレンチオエーテル基のいずれかを表し、j及び
pはそれぞれ独立して1〜5の整数を、kは0〜10の
整数を表す。またkが0の時はXは硫黄原子を表す。) - 【請求項2】超微粒子が半導体超微粒子である、請求項
1に記載の重合性液体組成物。 - 【請求項3】半導体超微粒子が酸化チタン結晶、酸化亜
鉛結晶又は酸化セリウム結晶を含有するものである、請
求項2に記載の重合性液体組成物。 - 【請求項4】超微粒子が有機配位子を結合したものであ
る、請求項1〜3のいずれかに記載の重合性液体組成
物。 - 【請求項5】数平均粒径0.5〜50nmの超微粒子が
溶媒不溶成分を含有する高分子マトリクス中に分散して
おり、光路長1mmにおける複屈折が10nm以下であ
ることを特徴とする架橋樹脂組成物。 - 【請求項6】分子内に2個以上の重合性官能基を有する
重合性単量体と数平均粒径0.5〜50nmの超微粒子
とを含有する重合性液体組成物を重合させて得られたも
のである、請求項5に記載の架橋樹脂組成物。 - 【請求項7】超微粒子が有機配位子を結合したものであ
る、請求項5又は6に記載の架橋樹脂組成物。 - 【請求項8】ナトリウムD線波長における光路長1mm
当たりの光線透過率が80%以上である、請求項5〜7
のいずれかに記載の架橋樹脂組成物。 - 【請求項9】ガラス転移温度が120℃以上である、請
求項5〜8のいずれかに記載の架橋樹脂組成物。 - 【請求項10】超微粒子が半導体超微粒子である、請求
項5〜9のいずれかに記載の架橋樹脂組成物。 - 【請求項11】半導体超微粒子が酸化チタン結晶、酸化
亜鉛結晶又は酸化セリウム結晶を含有するものである、
請求項10に記載の架橋樹脂組成物。 - 【請求項12】重合性液体組成物が請求項1〜4のいず
れかに記載のものである、請求項6〜11のいずれかに
記載の架橋樹脂組成物。 - 【請求項13】分子内に2個以上の重合性官能基を有す
る重合性単量体と数平均粒径0.5〜50nmの超微粒
子とを含有する重合性液体組成物を熱又は活性エネルギ
ー線によって硬化させることを特徴とする架橋樹脂組成
物の製造方法。 - 【請求項14】重合性液体組成物が請求項1〜4のいず
れかに記載のものである、請求項13に記載の架橋樹脂
組成物の製造方法。 - 【請求項15】請求項5〜12のいずれかに記載の架橋
樹脂組成物の成形体である光学部材。 - 【請求項16】請求項5〜12のいずれかに記載の架橋
樹脂組成物の薄膜を表面に有する成形体である光学部
材。
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