JP2003118518A - バンパスポイラ、及びその取付構造 - Google Patents

バンパスポイラ、及びその取付構造

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Hiroshi Furumoto
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】取付性能に優れ、人体の一部が当たった場合で
も、人体が損傷されない等の特性を有するバンパスポイ
ラ、及びその取付構造の提供である。 【解決手段】車両のフロントバンパBの下端に沿って取
付可能なバンパスポイラSであって、スポイラ本体部1
0と取付基部20とは、該スポイラ本体部10の裏面側
又はその近傍において一体に接合され、前記取付基部2
0には、部分的な除去により残余の部分によって第1及
び第2の各取付部22,23が、それぞれ長手方向に沿
って所定間隔をおいて形成され、前記第1取付部22
は、前記フロントバンパBの第1取付孔6に差し込まれ
て弾発係止することにより、前記バンパBに対して仮固
定され、前記第2取付部23は、前記フロントバンパB
の第2取付孔7に差し込まれて、該バンパBにおける第
2取付孔7の近傍のクリップ挿入長孔に挿入されたクッ
プによって恒久固着される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両のフロトバン
パに取付けられて、車両が走行する時の空気抵抗を減少
させ、これにより車両の燃費を向上させるバンパスポイ
ラ、及びその取付構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のバンパスポイラ(以下、「スポイ
ラ」と略称することもある)としては、例えば、硬質の
ABS樹脂等から帯板状のスポイラを射出成形して、該
スポイラをフロントバンパ(以下、「バンパ」と略称す
ることもある)の下端に螺子等により取付けるものが知
られている。また、従来の他のスポイラとしては、弾性
を有するゴムから成るスポイラ本体部の上端部の裏面側
に、芯金が埋設された断面略U字状の取付部が一体に設
けられていると共に、その上端部の前面側に弾接シール
ド片が一体に設けられたものを押出成形により長尺状に
成形して、これを所定長に切断したものを、前記弾接シ
ールド片がバンパの下面において前方を向いて弾接する
ようにして、前記取付部を介してバンパに取付けるもの
がある。
【0003】このため、前者のバンパスポイラ、及びそ
の取付構造においては、その目的上、比較的路面に近い
部分に取付けられ、そのスポイラが硬質材料で成形され
ているために、車両の走行中に、スポイラが路面又は路
面の障害物に接触したりすると、破損し易い。
【0004】一方、後者のバンパスポイラ、及びその取
付構造においては、バンパへの取付性能が安定せず、走
行中の振動や空気抵抗の変動により位置ズレしたりする
ことがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、フロントバ
ンパに対する取付性能に優れ、スポイラの一部が路面に
当たった場合でも、破損しない等の特性を有するバンパ
スポイラ、及びその取付構造の提供を課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに請求項1及び9に記載の発明は、車両のフロントバ
ンパの下端に形成された取付溝に沿って取付けられる長
尺のバンパスポイラ、及びその取付構造であって、前記
フロントバンパの取付溝に長手方向に沿い間隔を保って
形成された第1及び第2の各取付孔の位置で取付けられ
た状態で、ほぼ上下方向に配置される本体部と、ほぼ板
状をなしていて、前記本体部の裏面から突出する取付基
部とを備え、前記本体部は、軟質で弾性に富む材料か
ら、また前記取付基部は、前記本体部よりも硬質で剛性
を有し、弾性変形可能な材料からそれぞれ形成され、前
記本体部と前記取付基部とは、該本体部の裏面側又はそ
の近傍において一体に接合され、前記取付基部には、部
分的な除去により残余の部分によって第1及び第2の各
取付部が、それぞれ長手方向に沿って所定間隔をおいて
形成され、前記第1取付部は、前記フロントバンパの第
1取付孔に差し込まれて弾発係止することにより、前記
バンパに対して仮固定され、前記第2取付部は、前記フ
ロントバンパの第2取付孔に差し込まれて、該バンパに
おける第2取付孔の近傍の取付具挿入孔に挿入された取
付具によって本固着されることを特徴としている。
【0007】請求項1及び9の各発明によれば、スポイ
ラの仮固定用の第1取付部をバンパの第1取付孔に差し
込んで弾発係止させて仮固定した状態で、スポイラの第
2取付部が差し込まれているバンパの第2取付孔の近傍
の取付具挿入孔に取付具を挿入することにより、バンパ
に対してスポイラが本固着される。このため、バンパに
対してスポイラがしっかりと取付けられて、走行中に受
ける空気抵抗、振動等によって、位置ずれしない。ま
た、車両のバンパに取付けられて使用される際に、前方
からバンパに当たった風を効果的に下方に流し、走行中
の空気抵抗を小さくできるので、車両の燃費が向上す
る。更に、スポイラの本体部が軟質で弾力性に富む材料
からなるので、その一部が路面に接触した場合でも、傷
付けられなくなって、安全性が高まる。
【0008】また、請求項2の発明は、請求項1の発明
を前提として、前記取付基部は、その本体部側に長手方
向に沿って連続する共通取付部が形成されて、フロント
バンパの取付溝の全長に亘って嵌まり込み可能であっ
て、前記共通取付部よりも先端側の部分的な除去により
残余の部分で第1及び第2の各取付部が長手方向に沿っ
て所定間隔を保って形成されていることを特徴としてい
る。
【0009】請求項2の発明によれば、スポイラの取付
基部に、その全長に亘って存在する共通取付部の存在に
よって、第1及び第2の各取付部の間の取付基部が細く
なっている部分における不測の折れ曲がりがなくなるの
で、長尺なスポイラの直線状の形状保持性が高まって、
スポイラの製造・運搬時等における取扱性、或いはバン
パへの取付作業が容易となる。また、スポイラの共通取
付部は、バンパの取付溝の全長に亘って嵌まり込み可能
であるので、バンパに対するスポイラの取付安定性が向
上する。
【0010】また、請求項3の発明は、請求項1又は2
の発明を前提として、前記第1取付部は、長手方向で隙
間を隔てて位置する一対の弾性片から成り、該弾性片
は、先端部と中間部と根元部を有し、前記一対の弾性片
の中間部の間の寸法は、第1取付孔に差し込まれる前に
は、該第1取付孔の寸法を超え、かつ前記第1取付孔の
寸法を超えない寸法まで縮小方向に弾性変形可能であ
り、前記一対の弾性片の根元部の間の寸法は、対応する
第1取付孔の寸法を上回らないようになっていることを
特徴としている。
【0011】請求項3の発明によれば、スポイラの取付
基部の第1取付部を、バンパの第1取付孔に単に差し込
むのみで、前記一対の弾性片の弾性と弾性復元力を利用
して、スナップオン作用でバンパの第1取付孔に係止さ
せて、バンパに対してスポイラを簡単に仮固定できる。
【0012】また、請求項4の発明は、請求項2の発明
を前提として、前記共通取付部には、その長手方向に沿
って、取付基部及び本体部を形成する材料よりも剛性が
高く、しかも熱伸縮性の小さい材料から成る芯材が一体
に埋設されていることを特徴としている。この構成によ
り、長尺なスポイラの直線状の形状保持性が高まり、ま
た温度変化に伴うスポイラの伸縮(熱膨張、同収縮)が
抑制される。
【0013】また、請求項5の発明は、請求項1ないし
4のいずれかの発明を前提として、バンパスポイラの取
付基部の第1及び第2の各取付部よりも本体部側には、
その表裏両面の少なくとも一方から斜前方向に立ち上が
り、バンパに取付けられた状態で、該バンパの取付溝の
内壁面に接して弾性的に撓む弾性リップが形成されてい
ることを特徴としている。この構成により、弾性リップ
は、バンパの取付溝内において元の形状に戻ろうとする
弾発力により、バンパに対してスポイラは、がたつきを
生ずることなくしっかりと取付けられる。
【0014】また、請求項6の発明は、請求項1ないし
5のいずれかの発明を前提として、バンパスポイラの本
体部における取付基部よりも前面側には、上方に向けて
シールド片が突出して形成され、該シールド片は、バン
パの表面に弾接可能とされていることを特徴としてい
る。この構成によって、バンパにスポイラが取付けられ
て、車両が走行する際に、バンパ表面とスポイラとの間
から風が入り込まなくなるので、この部分で乱流が生じ
たりせずに、風を効果的に下方に流すことができる。
【0015】また、請求項7の発明は、請求項1ないし
6のいずれかの発明を前提として、バンパスポイラの本
体部の少なくとも下端側の表面には、該本体部の幅方向
に沿った多数のスジが形成されていることを特徴として
いる。車両の移動中において、その前面に位置するスポ
イラの下部は、路面、或いは路面上の突起等に接触する
可能性があるが、仮に前記突起等にスポイラが接触して
擦り傷が生じても、この擦り傷の発生方向と同一方向と
なるように予めスジが形成してあるので、前記擦り傷が
目立たず、装飾性の低下を防止できる。
【0016】また、請求項8の発明は、請求項1ないし
7のいずれかの発明を前提として、バンパスポイラの本
体部は、弾力性に富む軟質のオレフィン系熱可塑性エラ
ストマー(TPO)により、またその取付基部は、弾性
変形可能な硬質のポリプロピレン樹脂(PP樹脂)又は
同様のオレフィン系熱可塑性エラストマーにより、それ
ぞれ成形されて、前記本体部と前記取付基部とが接合部
で溶着一体化していることを特徴としている。
【0017】請求項8の発明によれば、他の大部分の樹
脂に比較してオレフィン系樹脂は比重が小さいので、ス
ポイラの軽量化に有効となる。また、スポイラを構成す
る本体部と取付基部の各樹脂は、相溶性を有するため
に、両部は溶け合って強固に接合して、使用中に分離す
る不具合が生じない。更に、スポイラが不要になって廃
棄処分される際においても、焼却処理が可能で、塩化ビ
ニール樹脂の場合のような有毒ガスも発生しない。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、複数の実施形態を挙げて、
本発明を更に詳細に説明する。図1は、本発明に係るバ
ンパスポイラSと、これが取付けられるフロントバンパ
Bとの部分斜視図であり、図2は、同様の平面図であ
り、図3は、中間品状態のバンパスポイラS’の取付基
部20の不要部を除去して形成されたバンパスポイラS
の斜視図であり、図4は、同じく平面図であり、図5
は、中間品状態のバンパスポイラS’の部分斜視図であ
る。最初に、フロントバンパBの取付部分との関係にお
いて、バンパスポイラSについて説明し、その後に、フ
ロントバンパBに対するスポイラSの取付構造について
説明する。
【0019】図1ないし図4に示されるように、スポイ
ラSは、正面の巾方向の中心線Lに対して左右対称な長
尺形状であって、フロントバンパBに取付けられた状態
で、ほぼ上下方向に沿って配置される帯板状をしたスポ
イラ本体部10と、ほぼ板状をなしていて、前記スポイ
ラ本体部10の上端部から裏面側に向けて突出する取付
基部20とから構成されている。前者のスポイラ本体部
10は、後述の前記取付基部20よりも軟質で弾性変形
可能な材料、例えば、軟質のTPE樹脂(好ましくはH
SA70°以下)等で成形され、後者の取付基部20
は、前記本体部10よりも硬質で剛性を有する弾性変形
可能な合成樹脂材料、例えば、PP樹脂、硬質のTPE
樹脂(好ましくはHSD50°以上)等で成形され、両
部の接合部31(図6参照)は、両部の共押出成形時に
おいて、一体複合化されてその接合強度が高まっている
ことが好ましい。前述のTPE(熱可塑性エラストマ
ー)の材質は特に限定されるものではなく、例えば、ビ
ニール系TPE、オレフィン系TPE(以下、単に「T
PO」と称する)、スチレン系TPE等が適用可能であ
るが、軽量化、環境保護の観点からTPOを使用するこ
とが好ましい。また、スポイラSの本体部10及び取付
基部20をそれぞれTPOで成形すると、スポイラSが
不要になって廃棄処分される際においても、焼却処理が
可能で、有毒ガスも発生しない利点もある。更に、TP
E以外の材料としては、本体部10としては軟質の、取
付基部20としては硬質のEPDMも好ましい材料の一
つである。
【0020】また、取付基部20は、その全長に亘って
連続して設けられていて、フロントバンパBのスポイラ
取付溝1(図1、及び図6ないし図8参照)に嵌まり込
んで取付けられる共通取付部21と、該共通取付部21
に裏面側に向けて突出するように一体成形されて、その
長手方向に沿って交互に設けられた第1及び第2の各取
付部22,23とが一体に設けられている。また、図6
ないし図8に示されるように、バンパBの前記スポイラ
取付溝1は、前方が開口するように溝上側壁部2と溝下
側壁部3と溝底壁部4との3つの各壁部によって形成さ
れていて、前記溝下側壁部3には、車両の後方に向けて
底壁部5が連続して一体に設けられている。そして、前
記スポイラ取付溝1を形成する溝底壁部4には、スポイ
ラSの取付基部20を構成している前記第1及び第2の
各取付部22,23がそれぞれ差し込まれる第1及び第
2の各取付孔6,7が長手方向(車両を基準にすると、
その幅方向)に沿って前記第1及び第2の各取付部2
2,23と同一間隔をおいてそれぞれ設けられている。
なお、バンパBがコーナー部を介して車両の側部まで入
り込んでいるものでは、この側部においては、第1及び
第2の各取付孔6,7は、車両の前後方向に沿って間隙
をおいて設けられることになる。
【0021】また、図4に示されるように、スポイラS
の取付基部20に設けられた前記第1取付部22は、ス
ポイラSの長手方向での弾性変形により互いに接近・離
反可能な一対の弾性片22aで構成されて、該一対の弾
性片22aの間に弾性変形を可能にするための変形許容
空間部22bが形成されている。また、第1取付部22
の根元部22cの幅W1 は、バンパBの第1取付孔6の
幅W0(図2参照)よりも僅かに小さくなっており、前記
一対の弾性片22aの中間部の最大幅W2 は、前記第1
取付孔6の幅W0 よりも大きくなっており、更に、前記
一対の弾性片22aの先端部の幅W3 は、前記第1取付
孔6の幅W0(図2参照)と同等か、或いはこれよりも僅
かに小さくなっている。この第1取付部22は、図9に
示されるように、バンパBの第1取付孔6に差し込まれ
て、一対の弾性片22aの基端部が前記第1取付孔6の
裏面側の縁に弾発係止することにより、バンパBに対し
てスポイラSを取付ける際の仮取付け(仮止め)として
機能する。
【0022】また、前記第2取付部23は、基端から先
端に向けて(奥方に向けて)、その幅が徐々に狭くなっ
た略ベロ形状をしていて、その中央部には、後述のクリ
ップ40の拡開軸部40aを挿通させて、該拡開軸部4
0aの径を拡開させることにより、その外周面を押圧固
定させるための円形のクリップ挿通孔23aが設けられ
ている。ベロ形状をした第2取付部23は、前記クリッ
プ40を介してバンパBに対してスポイラSを本固着す
るのに使用される。
【0023】また、スポイラSの取付基部20を構成す
る共通取付部21の上下の両面には、該共通取付部21
を、バンパBのスポイラ取付溝1に差し込んだ状態にお
いて、その対向内壁面に弾接する弾性リップ24が、前
方に傾斜した姿勢でそれぞれ一体成形されている。更
に、前記共通取付部21には、温度変化による伸縮を防
止するためのテープ状の芯材25が、その全長に亘って
埋設されている。この芯材25は、前記スポイラ本体部
10及び取付基部20の各材質よりも剛性が高くて、し
かも伸縮性の小さな材質、例えば、スチールストリップ
(金属帯板)等を使用するのが好ましい。
【0024】また、スポイラ本体部10は、その前面側
が僅かに凸曲面となるようにわん曲されていて、その上
端部の取付基部20よりも前面側には、バンパBの前記
溝上側壁部2の下面に対して弾接するシールド片11が
斜上方に向けて一体成形されている。また、バンパBに
スポイラSが取付けられた状態において、スポイラ本体
部10の前面における下端から略中央に至る部分には、
幅方向(取付状態では、上下方向)に沿った多数のスジ
12が全長に亘って連続して形成されている。このスジ
12(図1及び図3参照)を設けたのは、車両の移動中
において、スポイラ本体部10の下部は、路面、或いは
路面上の突起等に接触することがあり、仮に前記突起等
にスポイラ本体部10が接触して擦り傷が発生しても、
このスポイラ本体部10の擦り傷の発生方向と同一とな
るように予め形成されたスジ12によって、発生した擦
り傷が目立たないようにして、スポイラSの装飾性の低
下を防止するためである。
【0025】次に、上記したスポイラSの製造方法につ
いて簡単に説明する。まず、図5に示される中間品状態
のスポイラS’を押出成形により連続成形する。この中
間品状態のスポイラS’は、製品となった場合と同一形
状の略帯板状のスポイラ本体部10と、該スポイラ本体
部10の上部に裏面側に向けて一体成形された同じく板
状をした取付基部成形予定部20’とが、それぞれ上記
した異なる樹脂によって複合押出成形(「共押出成形」
とも称される)されたものである。互いに相溶性を有す
る上記の異なる各樹脂で成形されるスポイラ本体部10
と取付基部成形予定部20’との接合部31は、その押
出成形時において一体複合化されるために、両樹脂の接
合部の強度が高められる。なお、取付基部成形予定部2
0’におけるスポイラ本体部10との接合部に近い部分
には、芯材25が全長に亘って埋設された状態で押し出
される。
【0026】また、中間品状態のスポイラS’の表面側
の下端部には、押出成形と同時にスジ12が全長に亘っ
て多数形成される。このスジ12の成形方法としては、
押出成形型の直後に、全周に細かい凹凸条が形成された
転写ローラを配置しておき、連続して押し出される中間
品状態のスポイラS’のスポイラ本体部10に対して前
記転写ローラを回転させながら圧接させることにより、
容易に成形できる。
【0027】次に、プレスのブランク型を使用して、所
定の長さに切断した中間品状態のスポイラS’の取付基
部成形予定部20’を所定形状にブランク(打抜き加
工)して、その残余の部分によって、第1及び第2の各
取付部22,23を形成する。即ち、ブランクの形状
は、図4に示されるように、取付基部20のスポイラ本
体部10の側が全長に亘って所定幅だけ残って、芯材2
5が埋設された共通取付部21となり、この共通取付部
21から奥側に向けて連続一体に伸びる残りの部分が、
長手方向に沿って所定間隔を保持した状態で前記奥側に
突出する第1及び第2の各取付部22,23となって残
される。
【0028】前記共通取付部21は、スポイラSの長手
方向に連続していて、その内部に、スポイラ本体部10
及び取付基部20の成形材料よりも伸縮性の少ないスチ
ールストリップ等から成る芯材25が埋設されている。
この実施形態では、ストリップ状の芯材25は、その面
がスポイラ本体部10とほぼ平行となるように埋設され
ていて、芯材25の面方向の曲がり(バンパBにスポイ
ラSを取付けた状態で、水平面内での曲がり)は許容す
るが、その厚さ方向の曲がり(同様の状態で垂直面内で
の曲がり)は阻止することになる。このため、スポイラ
Sの取付状態において、該スポイラSは、水平面内にお
いては、バンパBの形状に対応して曲げられるが、垂直
面内においては、曲げにくい構造となる。これにより、
バンパBが両サイド部で曲率半径の小さいコーナー部を
有するものであっても、スポイラSは上記コーナー部の
曲りに良く追従して曲げられた状態で取付けることがで
きる。
【0029】引き続いて、フロントバンパBに対するス
ポイラSの取付けについて説明する。スポイラSの取付
基部20の全長に亘って設けられた共通取付部21を、
バンパBのスポイラ取付溝1に差し込むと共に、前記取
付基部20の長手方向に沿って所定間隔をおいて一体成
形された各第1取付部22を、前記スポイラ取付溝1を
形成する溝底壁部4に形成された第1取付孔6に挿入す
ると、前記第1取付部22を構成している一対の弾性片
22aは、弾性変形により互いに接近して、幅寸法が小
さくなって、第1取付孔6を通過した後に、元の形状に
復元することにより、図9に示されるように、バンパB
の第1取付孔6にスポイラSの第1取付部22が弾発係
止されて、バンパBに対してスポイラSが仮止めされ
る。
【0030】バンパBの両コーナー部の曲がった部分に
おいては、この曲がりに沿ってスポイラSを水平面内で
曲げながら、スポイラSの第1取付部22をバンパBの
第1取付孔6に挿入して弾発係止させることにより、ス
ポイラSは、バンパBの平面形状に倣ってわずかにわん
曲された状態で、その全長に亘ってバンパBに仮止めさ
れる。このスポイラSの仮止め状態では、スポイラSの
ベロ状をした第2取付部23は、バンパBの溝底壁部4
に形成された第2取付孔7に挿入されるが、この状態で
は、挿入状態のままで、バンパBに対して係止されては
いない(図9参照)。
【0031】最後に、クリップ40を使用して、バンパ
Bに対してスポイラSの本固着を行う。即ち、図8に示
されるように、バンパBの前記底壁部5におけるスポイ
ラSの第2取付部23には、車幅方向に沿って長孔状と
なったクリップ挿入長孔8(図2及び図8参照)が形成
されていて、バンパBのスポイラ取付溝1にスポイラS
の共通取付部21を差し込むと、該スポイラSの第2取
付部23に形成したクリップ挿通孔23aは、バンパB
に形成されたクリップ挿入長孔8のいずれかの部分に配
置される関係となり、この状態において、前記クリップ
挿入長孔8の下方からクリップ40の拡開軸部40a
を、該クリップ挿入長孔8及び前記クリップ挿通孔23
aの双方に挿通した後に、クリップ40の中心部に挿入
された拡開ピン40bを上方に強く押し込むと、前記拡
開軸部40aの径が拡開されることによりその外周面が
前記クリップ挿通孔23aの内周面に押圧固定されて、
スポイラSの第2取付部23の部分において、バンパB
に対してスポイラSが本固着される。これにより、バン
パBに対するスポイラSの取付けは、完了する。
【0032】前述のように本固着された状態において、
スポイラ本体部10の上端に斜前方に向けて一体成形さ
れたシールド片11は、弾力的に撓んで、溝上側壁部2
に弾接して密着する。これにより、車両の走行中におい
て、スポイラ取付溝1を構成する溝上側壁部2とスポイ
ラSの間に空気が入り込むのを効果的に阻止する。ま
た、共通取付部21の上下面に一体成形された各弾性リ
ップ24は、スポイラ取付溝1を成形する溝上及び溝下
の各側壁部2,3の対向面にそれぞれに弾接して、スポ
イラ取付溝1と、これに差し込まれた共通取付部21と
の間に形成される隙間が吸収され、スポイラ取付溝1内
において前記弾性リップ24が元の形状に戻ろうとする
弾発力により、バンパBに対してスポイラSは、がたつ
くことなく、しっかりと取付けられる。
【0033】なお、上記実施形態では、拡開ピン40b
を押し込むことにより、拡開軸部40aが拡開する構成
のクリップ40を使用しているが、クリップの構成は、
これに限定されない。また、上記実施形態では、スポイ
ラSの共通取付部21の上下両面にそれぞれ弾性リップ
24が設けられているが、この弾性リップ24は、上下
のいずれか一方の面のみに設けてもよい。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、上記した取付構造によ
って、バンパに対してスポイラがしっかりと取付けられ
て、走行中に受ける空気抵抗、振動等を受けても、バン
パに対してスポイラが位置ずれしない。また、車両の走
行中には、前記スポイラの存在によって、前方からバン
パに当たった風を効果的に下方に流し、走行中の空気抵
抗を小さくできるので、車両の燃費が向上する。更に、
スポイラの本体部が軟質で弾力性に富む材料からなるの
で、その一部が路面に接触した場合でも、傷付けられな
くなって、安全性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るバンパスポイラSと、これが取付
けられるフロントバンパBとの部分斜視図である。
【図2】同様の平面図である。
【図3】中間品状態のスポイラS’の取付基部20の不
要部を除去して形成されたバンパスポイラSの斜視図で
ある。
【図4】同じく平面図である。
【図5】中間品状態のバンパスポイラS’の部分斜視図
である。
【図6】フロントバンパBにバンパスポイラSが取付け
られた状態における図4のX1−X1 線拡大断面図であ
る。
【図7】同様の状態における図4のX2 −X2 線拡大断
面図である。
【図8】同様の状態における図4のX3 −X3 線拡大断
面図である。
【図9】同様の状態における部分縦断面図である。
【符号の説明】
B:フロントバンパ S:バンパスポイラ 1:スポイラ取付溝 6:第1取付孔 7:第2取付孔 8:クリップ挿入長孔(取付具挿入孔) 10:スポイラ本体部 11:シールド片 12:スジ 20:取付基部 21:共通取付部 22:第1取付部 23:第2取付部 24:弾性リップ 25:芯材 40:クリップ(取付具)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原 謙吾 愛知県大府市長根町四丁目1番地 東海興 業株式会社内 (72)発明者 南 英樹 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 古本 博史 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両のフロントバンパの下端に形成され
    た取付溝に沿って取付けられる長尺のバンパスポイラの
    取付構造であって、 前記フロントバンパの取付溝に長手方向に沿い間隔を保
    って形成された第1及び第2の各取付孔の位置で取付け
    られた状態で、ほぼ上下方向に配置される本体部と、ほ
    ぼ板状をなしていて、前記本体部の裏面から突出する取
    付基部とを備え、 前記本体部は、軟質で弾性に富む材料から、また前記取
    付基部は、前記本体部よりも硬質で剛性を有し、弾性変
    形可能な材料からそれぞれ形成され、前記本体部と前記
    取付基部とは、該本体部の裏面側又はその近傍において
    一体に接合され、 前記取付基部には、部分的な除去により残余の部分によ
    って第1及び第2の各取付部が、それぞれ長手方向に沿
    って所定間隔をおいて形成され、 前記第1取付部は、前記フロントバンパの第1取付孔に
    差し込まれて弾発係止することにより、前記バンパに対
    して仮固定され、 前記第2取付部は、前記フロントバンパの第2取付孔に
    差し込まれて、該バンパにおける第2取付孔の近傍の取
    付具挿入孔に挿入された取付具によって本固着されるこ
    とを特徴とするバンパスポイラの取付構造。
  2. 【請求項2】 前記取付基部は、その本体部側に長手方
    向に沿って連続する共通取付部が形成されて、フロント
    バンパの取付溝の全長に亘って嵌まり込み可能であっ
    て、前記共通取付部よりも先端側の部分的な除去により
    残余の部分で第1及び第2の各取付部が長手方向に沿っ
    て所定間隔を保って形成されていることを特徴とする請
    求項1に記載のバンパスポイラの取付構造。
  3. 【請求項3】 前記第1取付部は、長手方向で隙間を隔
    てて位置する一対の弾性片から成り、該弾性片は、先端
    部と中間部と根元部を有し、前記一対の弾性片の中間部
    の間の寸法は、第1取付孔に差し込まれる前には、該第
    1取付孔の寸法を超え、かつ前記第1取付孔の寸法を超
    えない寸法まで縮小方向に弾性変形可能であり、 前記一対の弾性片の根元部の間の寸法は、対応する第1
    取付孔の寸法を上回らないようになっていることを特徴
    とする請求項1又は2に記載のバンパスポイラの取付構
    造。
  4. 【請求項4】 前記共通取付部には、その長手方向に沿
    って、取付基部及び本体部を形成する材料よりも剛性が
    高く、しかも熱伸縮性の小さい材料から成る芯材が一体
    に埋設されていることを特徴とする請求項2に記載のバ
    ンパスポイラの取付構造。
  5. 【請求項5】 バンパスポイラの取付基部の第1及び第
    2の各取付部よりも本体部側には、その表裏両面の少な
    くとも一方から斜前方向に立ち上がり、バンパに取付け
    られた状態で、該バンパの取付溝の内壁面に接して弾性
    的に撓む弾性リップが形成されていることを特徴とする
    請求項1ないし4のいずれかに記載のバンパスポイラの
    取付構造。
  6. 【請求項6】 バンパスポイラの本体部における取付基
    部よりも前面側には、上方に向けてシールド片が突出し
    て形成され、該シールド片は、バンパの表面に弾接可能
    とされていることを特徴とする請求項1ないし5のいず
    れかに記載のバンパスポイラの取付構造。
  7. 【請求項7】 バンパスポイラの本体部の少なくとも下
    端側の表面には、該本体部の幅方向に沿った多数のスジ
    が形成されていることを特徴とする請求項1ないし6の
    いずれかに記載のバンパスポイラの取付構造。
  8. 【請求項8】 バンパスポイラの本体部は、弾力性に富
    む軟質のオレフィン系熱可塑性エラストマーにより、ま
    たその取付基部は、弾性変形可能な硬質のポリプロピレ
    ン樹脂又は同様のオレフィン系熱可塑性エラストマーに
    より、それぞれ成形されて、前記本体部と前記取付基部
    とが接合部で溶着一体化していることを特徴とする請求
    項1ないし7のいずれかに記載のバンパスポイラの取付
    構造。
  9. 【請求項9】 車両のフロントバンパの下端に形成され
    た取付溝に沿って取付可能なバンパスポイラであって、 前記フロントバンパの取付溝に長手方向に沿い間隔を保
    って形成された第1及び第2の各取付孔の位置で取付け
    られた状態で、ほぼ上下方向に配置される本体部と、ほ
    ぼ板状をなしていて、前記本体部の裏面から突出する取
    付基部とを備え、 前記本体部は、軟質で弾性に富む材料から、また前記取
    付基部は、前記本体部よりも硬質で剛性を有し、弾性変
    形可能な材料からそれぞれ形成され、前記本体部と前記
    取付基部とは、該本体部の裏面側又はその近傍において
    一体に接合され、 前記取付基部には、部分的な除去により残余の部分によ
    って第1及び第2の各取付部が、それぞれ長手方向に沿
    って所定間隔をおいて形成され、 前記第1取付部は、前記フロントバンパの第1取付孔に
    差し込まれて弾発係止することにより、前記バンパに対
    して仮固定され、 前記第2取付部は、前記フロントバンパの第2取付孔に
    差し込まれて、該バンパにおける第2取付孔の近傍の取
    付具挿入孔に挿入された取付具によって本固着されるこ
    とを特徴とするバンパスポイラ。
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