JP2003113304A - ポリアミド樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

ポリアミド樹脂組成物およびその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた耐湿性、落垂衝撃の様な面衝撃に関する
耐衝撃性を活かして構造材料等の成形材料として好適な
ポリアミド樹脂組成物を提供する。 【解決手段】ポリアミド樹脂組成物において、構造周期
0.01〜1μmの両相連続構造、または分散粒子の中
心間距離0.01〜1μmの分散構造に構造制御したポ
リアミド樹脂組成物、および少なくとも2成分以上の樹
脂からなり、かつポリアミド樹脂を1種以上含むポリア
ミド樹脂組成物をスピノーダル分解により相分離せしめ
るポリアミド樹脂組成物の製造方法であって、スピノー
ダル分解の初期過程において構造周期0.001〜0.
1μmの両相連続構造を形成後、さらに構造周期0.0
1〜1μmの両相連続構造、または粒子間距離0.01
〜1μmの分散構造まで発展せしめることを特徴とする
ポリアミド樹脂組成物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた機械特性を
活かして構造材料や、優れた規則性を活かして機能材料
として有用に用いることができる、ナノメーターオーダ
ーからミクロンオーダーに構造制御可能なポリアミド樹
脂組成物に関する。本発明の材料は、優れた機械特性を
活かして構造材料として有用に用いることができ、また
優れた低吸水性を活かしてラジエータータンク等の射出
成形材料として有用に用いることができる。
【0002】
【従来の技術】ポリアミド樹脂は優れた耐候性、高温安
定性、剛性および電気絶縁性などエンジニアリングプラ
スチックとして好適な性質を有していることから、射出
成形用を中心として各種電気・電子部品、機械部品およ
び自動車部品などの用途に使用されている。
【0003】しかしながら、耐湿性、落垂衝撃の様な面
衝撃に関する耐衝撃性などが不足するため、成形材料と
して使用分野が制限されているのが現状であり、これら
の特性を改良する方法として種々の樹脂とのブレンドや
ポリマーアロイ化が検討されている。
【0004】特開昭62−11760号公報には、ゴム
状基質にアクリロニトリルやスチレン系モノマーをグラ
フト重合させたグラフト化ゴム組成物と、スチレン・ア
クリロニトリル・無水マレイン酸系の3元共重合体を、
ポリアミド樹脂にブレンドして耐衝撃性を改良する方法
が、特開昭64−66255号公報には、ポリアミド樹
脂に、カルボキシル基の導入されたスチレン系樹脂とカ
ルボキシル基の導入されたポリオレフィン系エラストマ
ーをブレンドすることにより耐衝撃性を改良する方法
が、特開平4−45150号公報には、ゴム状基質にシ
アン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物を反応させて
得られるゴム強化樹脂と変性ポリε−カプロラクトン
を、ポリアミド樹脂にブレンドして耐衝撃性を改良する
方法が開示されている。
【0005】しかしながら、いずれの樹脂においても単
純に配合するのみではポリアミド樹脂との相溶性が十分
でなく、耐衝撃性改良に十分な効果が得られていないの
が現状である。
【0006】一方スピノーダル分解を利用したポリマー
アロイとして、特開平8−113829号公報には、特
定の温度域で互いに相溶する部分相溶系のポリマーブレ
ンドを相溶状態で溶融紡糸した繊維を、その後熱処理等
でスピノーダル分解あるいは核生成と成長により相分解
させ、繊維横断面中に0.001〜0.4μmの分散構
造を形成させたポリマーブレンド繊維が記載されてい
る。しかしながら同法は、溶融紡糸における伸張流動場
を経て該構造を形成させるという特殊な方法を採用して
微分散構造を得るに至ったものであり、形状が固定され
るため、使用可能な範囲が限られており、汎用可能な方
法が望まれていた。また同公報記載の発明は、当初繊維
横断面中に0.002μmの分散構造を形成させ、それ
を熱処理によって構造を成長させることで、微細で均一
なサイズが得られるとの例示があるものの、当初分散構
造が形成される条件では、一般に核生成と生長により相
分解すると考えられるため、均一な分散状態を得ること
は困難であり、優れた機械特性と低吸水性を有する構造
材料には適していない。これまでには優れた規則性を有
し、かつその構造が微細であり、さらにはその構造が均
一に分散したポリアミド樹脂組成物については知られて
いなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、優れた機械
特性を有し、また優れた低吸水性を有し、成形材料とし
て好適なポリアミド樹脂組成物を提供することをその課
題とするものであり、さらに好ましい態様においては、
優れた規則性を有し、かつその構造を微細に制御し、さ
らにはその構造が均一に分散したポリアミド樹脂組成物
を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、ポリアミド樹脂を1種
以上含むポリアミド樹脂組成物において、構造周期0.
01〜1μmの両相連続構造、または粒子間距離0.0
1〜1μmの分散構造に構造制御されたポリアミド樹脂
組成物が上記特性を有することを見いだし本発明を完成
させるにいたった。
【0009】すなわち本発明は、(1)少なくとも2成
分の樹脂からなり、かつポリアミド樹脂を1種以上含む
ポリアミド樹脂組成物であり、該ポリアミド樹脂組成物
が構造周期0.01〜1μmの両相連続構造、または粒
子間距離0.01〜1μmの分散構造を有することを特
徴とするポリアミド樹脂組成物、(2)少なくとも2成
分の樹脂からなり、かつポリアミド樹脂を1種以上含む
ポリアミド樹脂組成物であり、該ポリアミド樹脂組成物
が構造周期0.02〜1μmの両相連続構造を有するこ
とを特徴とするポリアミド樹脂組成物、(3)スピノー
ダル分解によって相分離せしめた、少なくとも2成分の
樹脂からなり、かつポリアミド樹脂を1種以上含むポリ
アミド樹脂組成物であり、上記スピノーダル分解の初期
過程において構造周期0.001〜0.1μmの両相連
続構造を形成後、さらに構造周期0.01〜1μmの両
相連続構造、または粒子間距離0.01〜1μmの分散
構造まで発展せしめたものであることを特徴とするポリ
アミド樹脂組成物、(4)前記ポリアミド樹脂組成物
が、溶融混練を経て製造されたものである上記(1)〜
(3)いずれか1項記載のポリアミド樹脂組成物、
(5)前記スピノーダル分解が、溶融混練時の剪断下で
は相溶し、吐出後の非剪断下で相分離するものである上
記(4)記載のポリアミド樹脂組成物、(6)前記ポリ
アミド樹脂組成物が、該ポリアミド樹脂組成物を構成す
る樹脂成分のうち少なくとも1成分の前駆体を、残りの
樹脂成分の共存下で化学反応せしめることによりスピノ
ーダル分解を誘発せしめて得られたものである上記
(1)〜(5)いずれか1項記載のポリアミド樹脂組成
物、(7)前記スピノーダル分解が、化学反応前は一旦
相溶し、化学反応後に相分離するものである上記(6)
記載のポリアミド樹脂組成物、(8)射出成形用である
上記(1)〜(7)いずれか1項記載のポリアミド樹脂
組成物、(9)フィルムおよび/またはシート押出成形
用である上記(1)〜(7)いずれか1項記載のポリア
ミド樹脂組成物、(10)少なくとも2成分の樹脂から
なり、かつポリアミド樹脂を1種以上含むポリアミド樹
脂組成物をスピノーダル分解により相分離せしめるポリ
アミド樹脂組成物の製造方法であって、スピノーダル分
解の初期過程において構造周期0.001〜0.1μm
の両相連続構造を形成後、さらに構造周期0.01〜1
μmの両相連続構造、または粒子間距離0.01〜1μ
mの分散構造まで発展せしめることを特徴とするポリア
ミド樹脂組成物の製造方法、(11)少なくとも2成分
の樹脂からなり、かつポリアミド樹脂を1種以上含むポ
リアミド樹脂組成物を溶融混練することによりスピノー
ダル分解を誘発することを特徴とする上記(10)記載
のポリアミド樹脂組成物の製造方法、(12)溶融混練
時の剪断下で少なくとも2成分の樹脂を相溶し、吐出後
の非剪断下で相分離することを特徴とする上記(11)
記載のポリアミド樹脂組成物の製造方法、(13)ポリ
アミド樹脂組成物を構成する樹脂成分のうち少なくとも
1成分の前駆体を、残りの樹脂成分の共存下で化学反応
せしめることによりスピノーダル分解を誘発することを
特徴とする上記(10)記載のポリアミド樹脂組成物の
製造方法、および(14)化学反応前は一旦相溶し、化
学反応後に相分離することを特徴とする上記(13)記
載のポリアミド樹脂組成物の製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。
【0011】本発明で用いるポリアミド樹脂とは、アミ
ノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸を主た
る原料とするポリアミドである。その原料の代表例とし
ては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン
酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香
酸などのアミノ酸、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラ
クタムなどのラクタム、テトラメチレンジアミン、ヘキ
サメレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミ
ン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミ
ン、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチ
レンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、メタ
キシレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3−
ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス
(アミノメチル)シクロヘキサン、1−アミノ−3−ア
ミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、
ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−
メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−
ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(ア
ミノプロピル)ピペラジン、アミノエチルピペラジンな
どの脂肪族、脂環族、芳香族のジアミン、およびアジピ
ン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカ
ン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−クロロテレ
フタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフ
タル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒ
ドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂
肪族、脂環族、芳香族のジカルボン酸が挙げられ、本発
明においては、これらの原料から誘導されるポリアミド
ホモポリマーまたはコポリマーを各々単独または混合物
の形で用いることができる。
【0012】本発明において、とくに有用なポリアミド
樹脂は、200℃以上の結晶融解温度を有する耐熱性や
強度に優れたポリアミド樹脂であり、具体的な例として
はポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレ
ンアジパミド(ナイロン66)、ポリテトラメチレンア
ジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンセバカ
ミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミ
ド(ナイロン612)、ポリヘキサメチレンアジパミド
/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ナ
イロン66/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/
ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイ
ロン66/6I)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポ
リヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレ
ンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66/6T/
6I)、ポリキシリレンアジパミド(ナイロンXD6)
およびこれらの混合物ないし共重合体などが挙げられ
る。
【0013】とりわけ好ましいものとしては、ナイロン
6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン6/66
コポリマー、ナイロン6/12コポリマーなどの例を挙
げることができ、更にこれらのナイロン樹脂を成形性、
耐熱性、靱性、表面性などの必要特性に応じて混合物と
して用いることも実用上好適である。
【0014】これらナイロン樹脂の重合度にはとくに制
限がなく、1%の濃硫酸溶液中、25℃で測定した相対
粘度が、1.5〜5.0の範囲、特に2.0〜4.0の
範囲のものが好ましい。
【0015】本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリア
ミド樹脂とその他の樹脂とのポリマーアロイであり、ポ
リアミド樹脂以外の樹脂としては、後述するスピノーダ
ル分解による相分離が可能な樹脂が好ましく、例えば、
ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニ
レンオキシド、ポリスルホン、四フッ化ポリエチレン、
ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、
ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテ
ルケトン、ポリチオエーテルケトン、ポリエーテルエー
テルケトン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエチ
レン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、ゴ
ム質重合体、ポリアルキレンオキサイド、あるいはカル
ボキシル基等を含有するオレフィン系共重合体等の樹脂
等を挙げることができるが、中でも耐衝撃性改良のため
にはゴム質重合体を含むことが効果的であり、また耐湿
性改良のためにはポリオレフィン系重合体を含むことが
効果的である。
【0016】上記ゴム質重合体としては、ポリブタジエ
ン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンのランダム
共重合体およびブロック共重合体、該ブロック共重合体
の水素添加物、アクリロニトリル−ブタジエン共重合
体、ブタジエン−イソプレン共重合体などのジエン系ゴ
ム、エチレン−プロピレンのランダム共重合体およびブ
ロック共重合体、エチレン−ブテンのランダム共重合体
およびブロック共重合体、エチレンとα−オレフィンと
の共重合体、エチレン−メタクリレート、エチレン−ブ
チルアクリレートなどのエチレン−不飽和カルボン酸エ
ステルとの共重合体、アクリル酸エステル−ブタジエン
共重合体、例えばブチルアクリレート−ブタジエン共重
合体などのアクリル系弾性重合体、エチレン−酢酸ビニ
ルなどのエチレンと脂肪酸ビニルとの共重合体、エチレ
ン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体、エ
チレン−プロピレン−ヘキサジエン共重合体などのエチ
レン−プロピレン非共役ジエン3元共重合体、ブチレン
−イソプレン共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリアミ
ドエラストマ、ポリエステルエラストマなどの熱可塑性
エラストマなどが好ましい例としてあげられる。
【0017】さらに本発明でのポリアミド樹脂組成物を
構成する樹脂成分の組成については特に制限はないが、
ポリアミド樹脂組成物を構成する樹脂成分の合計100
重量%に対して、通常ポリアミド樹脂が50〜97重量
%の範囲が好ましく用いられ、さらには50〜95重量
%の範囲がより好ましく、特に50〜90重量%の範囲
であれば両相連続構造が比較的得られやすいので好まし
く用いられる。
【0018】本発明のポリアミド樹脂組成物は、構造周
期0.01〜1μmの両相連続構造、または粒子間距離
0.01〜1μmの分散構造を有することが必要であ
る。かかる構造物を得るために、ポリアミド樹脂と、ポ
リアミド樹脂以外の樹脂とが一旦相溶解し、後述のスピ
ノーダル分解によって構造形成せしめることが好まし
い。さらにこの構造形成の実現のためには、ポリアミド
樹脂と、ポリアミド樹脂以外の樹脂とが、後述の部分相
溶系や、剪断場依存型相溶解・相分解する系や、後述の
反応誘発型相分解する系であることが好ましい。かかる
系は、一般的に、両成分樹脂の溶解度パラメーターの差
が小さくなる様ポリアミド樹脂以外の樹脂を選択するこ
とや、いずれか一方の樹脂として分子量の低いものを用
いることによって実現される。
【0019】一般に、2成分の樹脂からなるポリマーア
ロイには、これらの組成に対して、ガラス転移温度以
上、熱分解温度以下の実用的な全領域において相溶する
相溶系や、逆に全領域で非相溶となる非相溶系や、ある
領域で相溶し、別の領域で相分離状態となる、部分相溶
系があり、さらにこの部分相溶系には、その相分離状態
の条件によってスピノーダル分解によって相分離するも
のと、核生成と成長によって相分離するものがある。
【0020】さらに3成分以上からなるポリマーアロイ
の場合は、3成分以上のいずれもが相溶する系、3成分
以上のいずれもが非相溶である系、2成分以上のある相
溶した相と、残りの1成分以上の相が非相溶な系、2成
分が部分相溶系で、残りの成分がこの2成分からなる部
分相溶系に分配される系などがある。本発明で好ましい
3成分以上からなるポリマーアロイは、2成分が部分相
溶系で、残りの成分がこの2成分からなる部分相溶系に
分配される系であり、この場合ポリマーアロイの構造
は、2成分からなる部分相溶系の構造で代替できること
から、以下2成分の樹脂からなるポリマーアロイで代表
して説明する。
【0021】スピノーダル分解による相分離とは、異な
る2成分の樹脂組成および温度に対する相図においてス
ピノーダル曲線の内側の不安定状態で生じる相分離のこ
とを指し、また核生成と成長による相分離とは、該相図
においてバイノーダル曲線の内側であり、かつスピノー
ダル曲線の外側の準安定状態で生じる相分離のことを指
す。
【0022】かかるスピノーダル曲線とは、組成および
温度に対して、異なる2成分の樹脂を混合した場合、相
溶した場合の自由エネルギーと相溶しない2相における
自由エネルギーの合計との差(ΔGmix)を濃度
(φ)で二回偏微分したもの(∂ 2ΔGmix/∂φ2)が
0となる曲線のことであり、またスピノーダル曲線の内
側では、∂2ΔGmix/∂φ2<0の不安定状態であり、
外側では∂2ΔGmix/∂φ2>0である。
【0023】またかかるバイノーダル曲線とは、組成お
よび温度に対して、系が相溶する領域と相分離する領域
の境界の曲線のことである。
【0024】ここで本発明における相溶する場合とは、
分子レベルで均一に混合している状態のことであり、具
体的には異なる2成分の樹脂を主成分とする相がいずれ
も0.001μm以上の相構造を形成していない場合を
指し、また、非相溶の場合とは、相溶状態でない場合の
ことであり、すなわち異なる2成分の樹脂を主成分とす
る相が互いに0.001μm以上の相構造を形成してい
る状態のことを指す。相溶するか否かは、例えばPolyme
r Alloys and Blends, Leszek A Utracki, hanser Publ
ishers,Munich Viema New York,P64,に記載の様に、電
子顕微鏡、示差走査熱量計(DSC)、その他種々の方
法によって判断することができる。
【0025】詳細な理論によると、スピノーダル分解で
は、一旦相溶領域の温度で均一に相溶した混合系の温度
を、不安定領域の温度まで急速にした場合、系は共存組
成に向けて急速に相分離を開始する。その際濃度は一定
の波長に単色化され、構造周期(Λm)で両分離相が共
に連続して規則正しく絡み合った両相連続構造を形成す
る。この両相連続構造形成後、その構造周期を一定に保
ったまま、両相の濃度差のみが増大する過程をスピノー
ダル分解の初期過程と呼ぶ。
【0026】さらに上述のスピノーダル分解の初期過程
における構造周期(Λm)は熱力学的に下式のような関
係がある。 Λm〜[│Ts−T│/Ts]-1/2 (ここでTsはスピノーダル曲線上の温度) ここで本発明でいうところの両相連続構造とは、混合す
る樹脂の両成分がそれぞれ連続相を形成し、互いに三次
元的に絡み合った構造を指す。この両相連続構造の模式
図は、例えば「ポリマーアロイ 基礎と応用(第2版)
(第10.1章)」(高分子学会編:東京化学同人)に
記載されている。
【0027】スピノーダル分解では、この様な初期過程
を経た後、波長の増大と濃度差の増大が同時に生じる中
期過程、濃度差が共存組成に達した後、波長の増大が自
己相似的に生じる後期過程を経て、最終的には巨視的な
2相に分離するまで進行するが、本発明で規定する構造
を得るには、この最終的に巨視的は2相に分離する前の
所望の構造周期に到達した段階で構造を固定すればよ
い。
【0028】また中期過程から後期過程にかける波長の
増大過程において、組成や界面張力の影響によっては、
片方の相の連続性が途切れ、上述の両相連続構造から分
散構造に変化する場合もある。この場合には所望の粒子
間距離に到達した段階で構造を固定すればよい。
【0029】ここで本発明にいうところの分散構造と
は、片方の樹脂成分が主成分であるマトリックスの中
に、もう片方の樹脂成分が主成分である粒子が点在して
いる、いわゆる海島構造のことをさす。
【0030】本発明のポリアミド樹脂組成物は、構造周
期0.01〜1μmの両相連続構造、または粒子間距離
0.01〜1μmの分散構造に構造制御されていること
が必要であるが、スピノーダル分解の初期過程の構造周
期を0.001〜0.1μmの範囲に制御することで、
上述の中期過程以降で波長および濃度差が増大しても、
構造周期0.01〜1μmの範囲の両相連続構造、また
は粒子間距離0.01〜1μmの範囲の分散構造に構造
制御することができる。より優れた機械特性を得るため
には、構造発展させた後、構造周期0.02〜1μmの
範囲の両相連続構造に制御することが好ましく、さらに
は構造周期0.02〜0.5μmの範囲の両相連続構
造、または粒子間距離0.01〜0.5μmの範囲の分
散構造に制御することが好ましく、さらには、構造周期
0.03〜0.3μmの範囲の両相連続構造、または粒
子間距離0.01〜0.3μmの範囲の分散構造に制御
することがより好ましい。
【0031】一方、上述の準安定領域での相分離である
核生成と成長では、その初期から海島構造である分散構
造が形成されてしまい、それが成長するため、本発明の
様な規則正しく並んだ分散状態である構造周期0.01
〜1μmの範囲の両相連続構造、または粒子間距離0.
01〜1μmの範囲の分散構造を形成させることは困難
である。
【0032】またこれらのスピノーダル分解による両相
連続構造、もしくは分散構造を確認するためには、規則
的な周期構造が確認されることが重要である。これは例
えば、光学顕微鏡観察や透過型電子顕微鏡観察により、
両相連続構造が形成されることの確認に加えて、光散乱
装置や小角X線散乱装置を用いて行う散乱測定におい
て、散乱極大が現れることことの確認が必要である。な
お、光散乱装置、小角X線散乱装置は最適測定領域が異
なるため、構造周期の大きさに応じて適宜選択して用い
られる。この散乱測定における散乱極大の存在は、ある
周期を持った規則正しい相分離構造を持つ証明であり、
その周期Λm は、両相連続構造の場合構造周期に対応
し、分散構造の場合粒子間距離に対応する。またその値
は、散乱光の散乱体内での波長λ、散乱極大を与える散
乱角θm を用いて次式により計算することができる。 Λm =(λ/2)/sin(θm /2) 上記スピノーダル分解を実現させるためには、ポリアミ
ド樹脂とその他の樹脂を相溶状態とした後、スピノーダ
ル曲線の内側の不安定状態ととすることが必要である。
【0033】まずこの2成分以上からなる樹脂で相溶状
態を実現する方法としては、共通溶媒に溶解後、この溶
液から噴霧乾燥、凍結乾燥、非溶媒物質中の凝固、溶媒
蒸発によるフィルム生成等の方法により得られる溶媒キ
ャスト法や、部分相溶系を、相溶条件下で溶融混練によ
る溶融混練法が挙げられる。中でも溶媒を用いないドラ
イプロセスである溶融混練による相溶化が、実用上好ま
しく用いられる。
【0034】溶融混練により相溶化させるには、通常の
押出機が用いられるが、2軸押出機を用いることが好ま
しい。また、樹脂の組合わせによっては射出成形機の可
塑化工程で相溶化できる場合もある。相溶化のための温
度は、部分相溶系の樹脂が相溶する条件である必要があ
る。
【0035】次に上記溶融混練により相溶状態とした樹
脂組成物をスピノーダル曲線の内側の不安定状態とし
て、スピノーダル分解せしめるに際し、不安定状態とす
るための温度、その他の条件は、樹脂の組み合わせによ
っても異なり一概にはいえないが、相図に基づき、簡単
な予備実験をすることにより条件を設定することができ
る。本発明においては前記の如く、初期過程の構造周期
を特定の範囲に制御した後、中期過程以降でさらに構造
発展させて本発明で規定する特定の両相連続構造もしく
は、分散構造とすることが好ましい。
【0036】この初期過程で特定の構造周期に制御する
方法に関しては、特に制限はないが、ポリアミド樹脂組
成物を構成する個々の樹脂成分のガラス転移温度のうち
最も低い温度以上で、かつ前述の熱力学的に規定される
構造周期が小さくなるような温度で熱処理することが好
ましい。ここでガラス転移温度とは、示差走査熱量計
(DSC)にて、室温から20℃/分の昇温速度で昇温
時に生じる変曲点から求めることができる。
【0037】またこの初期過程から構造発展させる方法
に関しては、特に制限はないが、ポリアミド樹脂組成物
を構成する個々の樹脂成分のガラス転移温度のうち最も
低い温度以上で熱処理する方法が通常好ましく用いられ
る。また該熱処理温度を結晶融解温度以上とすること
は、熱処理による構造発展を効果的に得られるため好ま
しく、また該熱処理温度を結晶性樹脂の結晶融解温度±
20℃以内とすることは上記構造発展の制御を容易にす
るために好ましく、さらには結晶融解温度±10℃以内
とすることが好ましい。ここで樹脂成分として2種以上
の結晶性樹脂を用いる場合、該熱処理温度は、結晶性樹
脂の結晶融解温度のうち最も高い温度を基準として、か
かる結晶融解温度±20℃以内とすることが好ましく、
さらにはかかる結晶融解温度±10℃以内とすることが
より好ましい。ここで結晶性樹脂の結晶融解温度とは、
示差走査熱量計(DSC)にて、室温から20℃/分の
昇温速度で昇温時に生じる融解曲線のピーク温度から求
めることができる。
【0038】またスピノーダル分解による構造生成物を
固定化する方法としては、急冷等による短時間での相分
離相の一方または両方の成分の構造固定や、一方が熱硬
化する成分である場合、熱硬化性成分の相が反応によっ
て自由に運動できなくなることを利用した構造固定や、
さらに一方が結晶性樹脂である場合、結晶性樹脂相を結
晶化によって自由に運動できなくなることを利用した構
造固定が挙げられるが、中でも一方が結晶性樹脂を用い
た場合、結晶化による構造固定が好ましく用いられる。
【0039】ここで本発明でいう結晶性樹脂とは、示差
走査熱量計(DSC)にて、結晶融解温度の観測される
樹脂であれば特に限定するものでないが、例えば、ナイ
ロン6、ナイロン66等の脂肪族ポリアミドや、ナイロ
ン6T、ナイロン6I等の芳香族ポリアミドや、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、
ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート
やそれらの共重合体等の芳香族ポリエステルや、ポリ−
ε−カプロラクタム等の脂肪族ポリエステルや、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリ
塩化ビニル等のポリオレフィン・ビニルや、ポリオキシ
メチレン等のポリエーテルや、ポリフェニレンスルフィ
ド等を挙げることができる。
【0040】本発明においてポリアミド樹脂とその他の
樹脂とを上記スピノーダル分解により相分離させて本発
明のポリアミド樹脂組成物とするには、前述したように
ポリアミド樹脂と部分相溶系や剪断場依存型相溶解・相
分解する系や、反応誘発型相分解する系である樹脂を組
み合わせることが好ましい。
【0041】一般に部分相溶系には、同一組成において
低温側で相溶しやすくなる低温相溶型相図を有するもの
や、逆に高温側で相溶しやすくなる高温相溶型相図を有
するものが知られている。この低温相溶型相図における
相溶と非相溶の分岐温度で最も低い温度を、下限臨界共
溶温度(lower critical solution temperature略してL
CST)と呼び、高温相溶型相図における相溶と非相溶
の分岐温度で最も高い温度を、上限臨界共溶温度(upper
critical solution temperature略してUCST)と呼
ぶ。
【0042】部分相溶系を用いて相溶状態となった2成
分以上の樹脂は、低温相溶型相図の場合、LCST以上
の温度かつスピノーダル曲線の内側の温度にすること
で、また高温相溶型相図の場合、UCST以下の温度か
つスピノーダル曲線の内側の温度にすることでスピノー
ダル分解を行わせることができる。かかる例としては、
ナイロン6/12コポリマーとエチレン−ビニルアルコ
ール共重合体の混合系、ナイロン6とポリビニルブチラ
ールの混合系、ナイロン6とポリ酢酸ビニルの混合系、
ナイロン6とポリアクリロベンゾイック酸の混合系、ナ
イロン6とポリアクリル酸の混合系、ナイロン6とエチ
レン・アクリル酸共重合体の混合系、ナイロン46とエ
チレン・ビニルアルコールの共重合体の混合系、ナイロ
ン11とポリフッ化ビニリデンの混合系、ナイロン11
とスルホン化ポリスルホンの混合系などが挙げられる。
【0043】またこの部分相溶系によるスピノーダル分
解の他に、非相溶系においても溶融混練によってスピノ
ーダル分解を誘発すること、例えば溶融混練時等の剪断
下で一旦相溶し、非剪断下で再度不安定状態となり相分
解するいわゆる剪断場依存型相溶解・相分解によっても
スピノーダル分解による相分離が可能であり、この場合
においても、部分相溶系の場合と同じくスピノーダル分
解様式で分解が進行し規則的な両相連続構造を有する。
さらにこの剪断場依存型相溶解・相分解は、スピノーダ
ル曲線が剪断場により変化し、不安定状態領域が拡大す
るため、スピノーダル曲線が変化しない部分相溶系の温
度変化による方法に比べて、その同じ温度変化幅におい
ても実質的な過冷却度(│Ts−T│)が大きくなり、
その結果、上述の関係式におけるスピノーダル分解の初
期過程における構造周期を小さくすることが容易となる
ためより好ましく用いられる。
【0044】かかる溶融混練時の剪断下により相溶化さ
せるには、通常の押出機が用いられるが、2軸押出機を
用いることが好ましい。また、樹脂の組合わせによって
は射出成形機の可塑化工程で相溶化できる場合もある。
相溶化のための温度、初期過程を形成させるための熱処
理温度、および初期過程から構造発展させる熱処理温度
や、その他の条件は、樹脂の組み合わせによっても異な
り一概にはいえないが、種々の剪断条件下での相図に基
づき、簡単な予備実験をすることにより条件を設定する
ことができる。また上記射出成形機の可塑化工程での相
溶化を確実に実現させる方法として、予め2軸押出機で
溶融混練し相溶化させ、吐出後氷水中などで急冷し相溶
化状態で構造を固定させた材料を用いて射出成形するこ
となどが好ましい例として挙げられる。
【0045】また上記剪断場依存型相溶解・相分解する
樹脂の組み合わせとしては、ナイロン6/12コポリマ
ーとポリカーボネートの混合系が挙げられる。
【0046】さらに相溶系においても化学反応に伴う分
子量変化等によって不安定状態となり相分解するいわゆ
る反応誘発型相分解によってもスピノーダル分解による
相分離が可能である。例えばポリマーアロイを構成する
樹脂成分の原料、オリゴマー或いは低分子量物など(樹
脂成分の前駆体)が残りの樹脂成分と相溶系であって、
上記モノマー、オリゴマー或いは低分子量物を高重合度
化し、アロイ化すべき樹脂とした場合に他の樹脂成分と
相分離を生じるような場合、ポリマーアロイを構成する
樹脂成分のうち少なくとも1成分の前駆体を、残りの樹
脂成分の共存下で、化学反応せしめることによりスピノ
ーダル分解を誘発せしめることが可能である。この場合
においても、部分相溶系の場合と同じくスピノーダル分
解様式で分解が進行し規則的な両相連続構造を有する。
さらにこの反応誘発型相分解は、スピノーダル曲線が分
子量変化により変化し、不安定状態領域が拡大するた
め、スピノーダル曲線が変化しない部分相溶系の温度変
化による方法に比べて、その同じ温度変化幅においても
実質的な過冷却度(│Ts−T│)が大きくなり、その
結果上述の関係式におけるスピノーダル分解の初期過程
における構造周期を小さくすることが容易となるためよ
り好ましく用いられる。またこの場合、重合や架橋によ
る分子量変化に伴い、ガラス転移温度や結晶性樹脂の場
合結晶融解温度が変化し、さらには分子量変化による相
溶解から相分解への変化は系によって各々異なるため、
相溶化のための温度、初期過程を形成させるための熱処
理温度、および初期過程から構造発展させる熱処理温度
や、その他の条件は、一概にはいえないが、種々の分子
量との組み合わせでの相図に基づき、簡単な予備実験を
することにより条件を設定することができる。
【0047】また上記反応誘発型相分解する樹脂の組み
合わせは、化学反応前には前記前駆体と残りの樹脂成分
が一旦相溶状態となり、かかる前駆体を化学反応により
樹脂とすることによりスピノーダル分解が誘発されるよ
うな樹脂の組み合わせであり、またこの化学反応として
は、分子量増加をもたらすものであれば特に限定はな
く、重縮合や、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン
重合、イオン共重合等の付加重合や、重付加、付加縮
合、開環重合等の重合反応の他に、架橋反応やカップリ
ング反応が好ましい例として挙げることができる。通
常、係る化学反応をアロイ化する残りの樹脂の存在下で
行うことにより、反応誘発型相分解が生じる。かかる例
としては、ナイロン6オリゴマーとアクリルゴム(A
R)の混合系、ナイロン6オリゴマーとエチレン・酢酸
ビニル共重合体(EVA)の混合系、とニトリルゴム
(NBR)混合系、ナイロン6オリゴマーと水添ニトリ
ルゴム(h−NBR)混合系、ナイロン6,6オリゴマ
ーとアクリルゴム(AR)の混合系、ナイロン6,6オ
リゴマーとエチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)の
混合系、ナイロン6,6オリゴマーとニトリルゴム(N
BR)混合系、ナイロン6,6オリゴマーと水添ニトリ
ルゴム(h−NBR)混合系等が挙げられる。前記、ナ
イロン6オリゴマーおよびナイロン6,6オリゴマー
は、それぞれナイロン6、ナイロン6,6の低分子量物
であり、1%の濃硫酸溶液中、25℃で測定した相対粘
度が、1.01以上1.5未満の範囲、特に1.1〜
1.4の範囲のものが好ましい。かかる製造方法として
は、例えば、一旦相溶解させたアロイを、再度、単軸ま
たは2軸押出機などの押出機中の溶融混練時に重合させ
る方法や、滞留時間の長い単軸または2軸押出機などの
押出機を用いて、一回の押出中で一旦相溶解後、重合し
相分解させる方法などが挙げられる。
【0048】また、本発明を構成するポリアミド樹脂組
成物に、さらにポリマーアロイを構成する成分を含むブ
ロックコポリマーやグラフトコポリマーやランダムコポ
リマーなどのコポリマーである第3成分を添加すること
は、相分解した相間における界面の自由エネルギーを低
下させるため、両相連続構造における構造周期や、分散
構造における分散粒子間距離の制御を容易にするため好
ましく用いられる。この場合通常、かかるコポリマーな
どの第3成分は、それを除く2成分の樹脂からなるポリ
マーアロイの各相に分配されるため、2成分の樹脂から
なるポリマーアロイ同様に取り扱うことができる。
【0049】本発明においては、強度及び寸法安定性等
を向上させるため、必要に応じて充填材を用いてもよ
い。充填材の形状としては繊維状であっても非繊維状で
あってもよく、繊維状の充填材と非繊維状充填材を組み
合わせて用いてもよい。かかる充填材としては、ガラス
繊維、ガラスミルドファイバー、炭素繊維、チタン酸カ
リウムウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、硼酸アルミニウム
ウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊
維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金
属繊維などの繊維状充填剤、ワラステナイト、ゼオライ
ト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、パイロフ
ィライト、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミ
ナシリケートなどの珪酸塩、アルミナ、酸化珪素、酸化
マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄
などの金属化合物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウ
ム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バ
リウムなどの硫酸塩、水酸化マグネシウム、水酸化カル
シウム、水酸化アルミニウムなどの水酸化物、ガラスビ
ーズ、セラミックビーズ、窒化ホウ素および炭化珪素な
どの非繊維状充填剤が挙げられ、これらは中空であって
もよく、さらにはこれら充填剤を2種類以上併用するこ
とも可能である。また、これら繊維状および/または非
繊維状充填材をイソシアネート系化合物、有機シラン系
化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合
物、エポキシ化合物などのカップリング剤で予備処理し
て使用することは、より優れた機械的強度を得る意味に
おいて好ましい。
【0050】強度および寸法安定性等を向上させるた
め、かかる充填剤を用いる場合、その配合量は特に制限
はないが、通常ポリアミド樹脂100重量部に対して3
0〜400重量部配合される。
【0051】さらに本発明のポリアミド樹脂組成物中に
おいては、結晶核剤、着色防止剤、ヒンダードフェノー
ル、ヒンダードアミンなどの酸化防止剤、エチレンビス
ステアリルアミドや高級脂肪酸エステルなどの離型剤、
可塑剤、熱安定剤、滑剤、紫外線防止剤、着色剤、難燃
剤などの添加剤を添加することができる。
【0052】これらの添加剤は、本発明のポリアミド樹
脂組成物を製造する任意の段階で配合することが可能で
あり、例えば、少なくとも2成分の樹脂を配合する際に
同時の添加する方法や、予め2成分の樹脂を溶融混練し
た後に添加する方法や、始めに片方の樹脂に添加し溶融
混練後、残りの樹脂を配合する方法が挙げられる。
【0053】本発明から得られるポリアミド樹脂組成物
の成形方法は、任意の方法が可能であり、成形形状は、
任意の形状が可能である。成形方法としては、例えば、
射出成形、押出成形、インフレーション成形、ブロー成
形などを挙げることができるが、中でも射出成形は射出
後、金型内で熱処理と構造固定化が同時にできることか
ら好ましく、またフィルムおよび/またはシート押出成
形であれば、フィルムおよび/またはシート延伸時に熱
処理し、その後の巻き取り前の自然冷却時に構造固定が
できることから好ましい。もちろん上記成形品を別途熱
処理し構造形成させることも可能である。
【0054】本発明におけるポリアミド樹脂組成物は、
中でも片方の樹脂として、耐衝撃性に優れる樹脂を用い
た場合は、耐衝撃性を高めた構造材料として有効に用い
ることができ、例えば自動車部品や電機部品などに好適
に使用することができる。
【0055】その具体的用途の例としては各種ギア、各
種ケース、センサー、コネクター、ソケット、抵抗器、
リレーケース、スイッチコイルボビン、ハウジング、コ
ンピューター関連部品などに代表される電気・電子部
品、VTR、テレビ、アイロン、ヘアードライヤー、炊
飯器、電子レンジ、音響機器、照明器具、冷蔵庫、エア
コン、タイプライター、ワードプロセッサーなどに代表
される家庭、事務電気製品部品、オイルレス軸受、船尾
軸受、水中軸受などの各種軸受、モーター部品、ライタ
ー、タイプライター、各種ボルト・ナット、電動工具ハ
ウジング、自転車・三輪車・雪上車などのホイールなど
の機械関連部品オルタネーターターミナル、オルタネー
ターコネクター、ICレギュレーター、ライトディヤー
用ポテンショメーターベース、排気ガスバルブなどの各
種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エア
ーインテークノズルスノーケル、インテークマニホール
ド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレ
ターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガ
スセンサー、冷却水センサー、油温センサー、スロット
ルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセ
ンサー、エアーフローメーター、ブレーキバット摩耗セ
ンサー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フ
ローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラ
ッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービ
ンべイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュ
ター、スタータースィッチ、スターターリレー、ワイヤ
ーハーネスコネクター、ウィンドウオッシャーノズル、
エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイ
ル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部
品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケッ
ト、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキ
ピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルタ
ー、点火装置ケース、リレーボックス、ジャンクション
ボックス、ホイールキャップ、クリップ、ファスナー、
エンジンカバー、シリンダヘッドカバー、タイミングベ
ルトカバー、ラジエタータンクなどの自動車・車両関連
部品、床下支持具、床面調整用のアジャスター、サッシ
の戸車などの建築資材、椅子脚などの家具関連部品など
が挙げられる。
【0056】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明の効果をさらに
説明する。
【0057】実施例1〜3 表1記載の組成からなる原料を、押出温度240℃に設
定した2軸スクリュー押出機(池貝工業社製PCM−3
0)に供給し、ダイから吐出後のガットをすぐに氷水中
に急冷し、構造を固定した。本ガットはいずれも透明で
あり、また該ガットをリンタングステン酸染色法により
ポリアミド樹脂を染色後、超薄切片を切り出したサンプ
ルについて、透過型電子顕微鏡にて10万倍に拡大して
観察を行ったが、いずれのサンプルについても0.00
1μm以上の構造物がみられず、相溶化していることを
確認した。このことから、本系は、押出温度240℃の
押出機中の剪断下で相溶化することがわかる。
【0058】さらに上記氷水中に急冷し、構造を固定し
たガットから厚み100μmの切片を切り出し、240
℃で熱処理を行い、この熱処理中の構造形成過程を小角
X線散乱を用いて追跡した。いずれのサンプルも、熱処
理開始から1分後以降にピークが出現し、またこのピー
クは、そのピーク位置を変化させずに強度を増加させる
様子が観測された。この小角X線散乱においてピーク位
置を変化させずに強度を増加させる過程はスピノーダル
分解の初期過程に対応する。表1には該ピーク位置(θ
m)から下式で計算した、構造周期(Λm)を記した。 Λm =(λ/2)/sin(θm /2) またこの小角X線散乱測定中初期過程の切片について
は、一部をすぐに氷水中に急冷し構造を固定し、リンタ
ングステン酸染色法によりポリアミド樹脂を染色後、超
薄切片を切り出しサンプルについて透過型電子顕微鏡に
て10万倍に拡大して観察を行ったところ、いずれのサ
ンプルも両相連続構造が観察された。
【0059】さらに上記小角X線散乱を測定した切片
は、初期過程において構造を形成させた後、さらに24
0℃の温度で計10分間熱処理を続け、構造形成を行
い、本発明のポリアミド樹脂組成物を得た。該サンプル
についても、上記初期過程同様に小角X線散乱から構造
周期、及び透過型電子顕微鏡写真から構造の状態を観察
した結果を表1に記載した。なお分散構造を有する場合
の粒子間距離も両相連続構造における構造周期と同じ方
法で算出される。
【0060】また、上記ダイから吐出後、氷水中に急冷
し構造を固定したガットを用い、加熱プレスにより上記
熱処理と同様の温度および時間で熱処理を行いシート
(厚み0.2mm)を作製した。さらに該シートから厚
み100μmの切片を切り出し、上記ガットからの切り
出しサンプルと同様に、小角X線散乱から構造周期また
は粒子間距離を求めた結果、及び透過型電子顕微鏡写真
から構造の状態を観察した結果を表1に記載した。本結
果から、加熱プレスでの熱処理によっても、上記ガット
からの切り出しサンプルと同様に構造が形成されている
ことがわかる。次に該シートから、長さ×幅×厚み=5
0mm×10mm×0.2mmのサンプルを切り出し、
チャック間距離20mm、引張速度10mm/分で測定
した引張強度、引張伸び、及び、打ち抜きプレスで試験
片を取り、ASTM D1822に従って引張衝撃試験
を行い、その測定結果を表1に記載した。さらに上記試
験片を80℃95%RHで1000時間の湿熱処理を行
った後、未処理試験片と同様に引張試験および引張衝撃
試験を行い、その測定結果を表1に記載した。
【0061】また、上記熱処理を同様に、加熱プレスで
行ったサンプル(厚み1/8インチ)を用いて、Dup
ont式落垂衝撃試験に基づき測定し、サンプルが破壊
を起こさない領域での最大吸収エネルギー値を表1に記
載した。
【0062】また、使用樹脂は、以下に示すものを使用
した。 PA−1 :ナイロン6(濃硫酸中、濃度1%、25℃
で測定した相対粘度が2.20、ガラス転移温度47
℃、結晶融解温度225℃、溶解度パラメータ12.
7) h−NBR:ゴム質重合体(水素添加ニトリルゴム:日
本ゼオン社製、 “Zetpol”0020;結合ニトリル含量約49%、ガラ
ス転移温度−25℃、溶解度パラメータ11.0)。
【0063】比較例1 ゴム質重合体としてエチレン−プロピレン共重合体を用
いた以外は、実施例1〜3と同様に溶融混練し、ダイか
ら吐出後すぐに氷水中に急冷し、構造を固定したサンプ
ルを得たが、本サンプルは濁っており、また該サンプル
をリンタングステン酸染色法によりポリアミド樹脂を染
色したサンプルについて、透過型電子顕微鏡にて100
0倍に拡大して観察を行うと、1μm以上の不均一な分
散構造物が観測された。このことから、本サンプルは、
押出温度240℃の押出機中の剪断下で相溶化していな
いことがわかる。本系についても、実施例1〜5と同様
に機械特性を測定した結果、および構造の状態を観察し
た結果を表1に記載した。
【0064】また、使用樹脂は、以下に示すものを使用
した。 EPR:ゴム質重合体(エチレン−プロピレン共重合
体:JSR社製、EP−01P、ガラス転移温度−20
℃、溶解度パラメータ7.5)
【0065】
【表1】
【0066】実施例4〜6 表2記載の組成からなる原料を、押出温度240℃に設
定した2軸スクリュー押出機(池貝工業社製PCM−3
0)に供給し、ダイから吐出後のガットをすぐに氷水中
に急冷し、構造を固定した。本ガットはいずれも透明で
あり、また該ガットをリンタングステン酸染色法により
ポリアミドを染色後、超薄切片を切り出したサンプルに
ついて、透過型電子顕微鏡にて10万倍に拡大して観察
を行ったが、いずれのサンプルについても0.001μ
m以上の構造物がみられず相溶化していることを確認し
た。このことから、本系は、押出温度240℃の押出機
中の剪断下で相溶化することがわかる。
【0067】さらに上記氷水中に急冷し、構造を固定し
たガットから厚み100μmの切片を切り出し、240
℃で熱処理を行い、この熱処理中の構造形成過程を小角
X線散乱を用いて追跡した。いずれのサンプルも、熱処
理開始から5分後以降にピークが出現し、またこのピー
クは、そのピーク位置を変化させずに強度を増加させる
様子が観測された。この小角X線散乱においてピーク位
置を変化させずに強度を増加させる過程はスピノーダル
分解の初期過程に対応する。表1には該ピーク位置(θ
m)から下式で計算した、構造周期(Λm)を記した。 Λm =(λ/2)/sin(θm /2) またこの小角X線散乱測定中初期過程の切片について
は、一部をすぐに氷水中に急冷し構造を固定し、リンタ
ングステン酸染色法によりポリアミドを染色後、超薄切
片を切り出したサンプルについて透過型電子顕微鏡にて
10万倍に拡大して観察を行ったところ、いずれのサン
プルも両相連続構造が観察された。
【0068】次に、上記構造を固定したガットをペレタ
イズし、再度押出温度240℃に設定し、滞留時間が5
分間となる様スクリュー回転数を調整した2軸スクリュ
ー押出機(日本製鋼所製TEX30α)に供給し、ダイ
から吐出後のガットをすぐに氷水中に急冷し、構造を固
定した。本ガットは若干透明性の低下がみられ、また該
ガットをリンタングステン酸染色法でポリアミドを染色
後、超薄切片を切り出したサンプルについて、透過型電
子顕微鏡にて観察を行った。いずれのサンプルも両相連
続構造が観察された。これらのことから、本系は再度溶
融混練時にポリアミドオリゴマーが重合し、その分子量
増加によって相分解が引き起こされたものと考えられ
る。
【0069】上記再度溶融混練し、構造を固定したガッ
トは、加熱プレス(240℃×3分間)でシート化し、
得られたシート(厚み0.2mm)から、長さ×幅×厚
み=50mm×10mm×0.2mmのサンプルを切り
出し、チャック間距離20mm、引張速度10mm/分
で測定した引張強度、引張伸び、及び、打ち抜きプレス
で試験片を取り、ASTM D1822に従って引張衝
撃試験を行い、その測定結果、および構造周期、構造の
状態を観察した結果を表2に記載した。さらに上記試験
片を80℃95%RHで1000時間の湿熱処理を行っ
た後、未処理試験片と同様に引張試験および引張衝撃試
験を行い、その測定結果を表2に記載した。
【0070】また、上記再度溶融混練し、構造を固定し
たガットは、加熱プレス(240℃×3分間)でシート
化し、得られたシート(厚み1/8インチ)を用いて、
Dupont式落垂衝撃試験に基づき測定し、サンプル
が破壊を起こさない領域での最大吸収エネルギー値を表
2に記載した。
【0071】なお、使用樹脂は、以下に示すものを使用
した。 PA−2:ナイロン6オリゴマー(濃硫酸中、濃度1
%、25℃で測定した相対粘度が1.20、DSCで測
定した結晶融解温度が225℃のもの、溶解度パラメー
タ12.7) h−NBR:ゴム質重合体(水素添加ニトリルゴム:日
本ゼオン社製、 “Zetpol”0020;結合ニトリル含量約49
%、溶解度パラメータ11.0) AR:ゴム質重合体(アクリルゴム:デュポン社製、V
AMAC−12 3;エチレン約73モル%、アクリル
酸メチル約26モル%およびカルボン酸約1モル%の共
重合品) EVA:ゴム質重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合
体:東ソー社製“ウルトラセン”760;酢酸ビニル含
量42%、溶解度パラメータ9.5)
【0072】
【表2】
【0073】本発明の微細な両相連続構造を有するサン
プルで、優れた機械特性を有し、さらに湿熱処理後もそ
の機械特性が保持されていることがわかる。
【0074】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明のポリアミド
樹脂組成物は、機械特性に優れる特性を有しており、こ
れを活かして構造材料として有用に用いることができ、
また規則性に優れる特性も有しており、これを活かして
機能材料としても有用に用いることができる。さらには
本発明のポリアミド樹脂組成物は、湿熱処理後も機械特
性が保持される特性も有しており、これを活かして、ラ
ジエータータンク等の射出成形材料として有用に用いる
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B29K 77:00 B29K 77:00 Fターム(参考) 4F070 AA12 AA13 AA15 AA16 AA18 AA23 AA44 AA46 AA47 AA50 AA52 AA54 AA55 AA56 AA58 AB11 FA03 4F201 AA29 BA03 BC37 BD04 BD05 BM12 BM14 4J002 BB03X BB07X BB12X BB24X BC03X BC05X BD15X BL00X BN15X BP00X CC00X CD00X CF03X CG00X CH07X CH09X CL01W CL03W CL05W CM04X CN01X CN03X

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも2成分の樹脂からなり、かつポ
    リアミド樹脂を1種以上含むポリアミド樹脂組成物であ
    り、該ポリアミド樹脂組成物が構造周期0.01〜1μ
    mの両相連続構造、または粒子間距離0.01〜1μm
    の分散構造を有することを特徴とするポリアミド樹脂組
    成物。
  2. 【請求項2】少なくとも2成分の樹脂からなり、かつポ
    リアミド樹脂を1種以上含むポリアミド樹脂組成物であ
    り、該ポリアミド樹脂組成物が構造周期0.02〜1μ
    mの両相連続構造を有することを特徴とするポリアミド
    樹脂組成物。
  3. 【請求項3】スピノーダル分解によって相分離せしめ
    た、少なくとも2成分の樹脂からなり、かつポリアミド
    樹脂を1種以上含むポリアミド樹脂組成物であり、上記
    スピノーダル分解の初期過程において構造周期0.00
    1〜0.1μmの両相連続構造を形成後、さらに構造周
    期0.01〜1μmの両相連続構造、または粒子間距離
    0.01〜1μmの分散構造まで発展せしめたものであ
    ることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
  4. 【請求項4】前記ポリアミド樹脂組成物が、溶融混練を
    経て製造されたものである請求項1〜3いずれか1項記
    載のポリアミド樹脂組成物。
  5. 【請求項5】前記スピノーダル分解が、溶融混練時の剪
    断下では相溶し、吐出後の非剪断下で相分離するもので
    ある請求項4記載のポリアミド樹脂組成物。
  6. 【請求項6】前記ポリアミド樹脂組成物が、該ポリアミ
    ド樹脂組成物を構成する樹脂成分のうち少なくとも1成
    分の前駆体を、残りの樹脂成分の共存下で化学反応せし
    めることによりスピノーダル分解を誘発せしめて得られ
    たものである請求項1〜5いずれか1項記載のポリアミ
    ド樹脂組成物。
  7. 【請求項7】前記スピノーダル分解が、化学反応前は一
    旦相溶し、化学反応後に相分離するものである請求項6
    記載のポリアミド樹脂組成物。
  8. 【請求項8】射出成形用である請求項1〜7いずれか1
    項記載のポリアミド樹脂組成物。
  9. 【請求項9】フィルムおよび/またはシート押出成形用
    である請求項1〜7いずれか1項記載のポリアミド樹脂
    組成物。
  10. 【請求項10】少なくとも2成分の樹脂からなり、かつ
    ポリアミド樹脂を1種以上含むポリアミド樹脂組成物を
    スピノーダル分解により相分離せしめるポリアミド樹脂
    組成物の製造方法であって、スピノーダル分解の初期過
    程において構造周期0.001〜0.1μmの両相連続
    構造を形成後、さらに構造周期0.01〜1μmの両相
    連続構造、または粒子間距離0.01〜1μmの分散構
    造まで発展せしめることを特徴とするポリアミド樹脂組
    成物の製造方法。
  11. 【請求項11】少なくとも2成分の樹脂からなり、かつ
    ポリアミド樹脂を1種以上含むポリアミド樹脂組成物を
    溶融混練することによりスピノーダル分解を誘発するこ
    とを特徴とする請求項10記載のポリアミド樹脂組成物
    の製造方法。
  12. 【請求項12】溶融混練時の剪断下で少なくとも2成分
    の樹脂を相溶し、吐出後の非剪断下で相分離することを
    特徴とする請求項11記載のポリアミド樹脂組成物の製
    造方法。
  13. 【請求項13】ポリアミド樹脂組成物を構成する樹脂成
    分のうち少なくとも1成分の前駆体を、残りの樹脂成分
    の共存下で化学反応せしめることによりスピノーダル分
    解を誘発することを特徴とする請求項10記載のポリア
    ミド樹脂組成物の製造方法。
  14. 【請求項14】化学反応前は一旦相溶し、化学反応後に
    相分離することを特徴とする請求項13記載のポリアミ
    ド樹脂組成物の製造方法。
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