JP2003105362A - 天然ガスハイドレートの生成方法および生成システム - Google Patents

天然ガスハイドレートの生成方法および生成システム

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JP2003105362A
JP2003105362A JP2002127240A JP2002127240A JP2003105362A JP 2003105362 A JP2003105362 A JP 2003105362A JP 2002127240 A JP2002127240 A JP 2002127240A JP 2002127240 A JP2002127240 A JP 2002127240A JP 2003105362 A JP2003105362 A JP 2003105362A
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gas hydrate
hydrate
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cooling
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JP2002127240A
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English (en)
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Takahiro Kimura
隆宏 木村
Shojiro Iwasaki
省二郎 岩崎
Katsuo Ito
勝夫 伊東
Yuichi Kondo
雄一 近藤
Hirotsugu Nagayasu
弘貢 長安
Masaharu Watabe
正治 渡部
Haruhiko Ema
晴彦 江間
Kozo Yoshikawa
孝三 吉川
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 含水率の低い天然ガスハイドレートを生成し
てその貯蔵や輸送にかかるコストを削減する。 【解決手段】 天然ガスと水とを氷点よりも高温、かつ
大気圧よりも高圧下で反応させ、水を凍らせることなく
天然ガスハイドレートを生成し、生成された天然ガスハ
イドレートを物理的に脱水し、さらにこの物理脱水の過
程もしくは脱水後において天然ガスハイドレートに含ま
れる残存水分を天然ガスと反応させて天然ガスハイドレ
ートを生成することによって天然ガスハイドレートの含
水率を低下させ、これを氷点よりも低温にまで冷却し、
残存する水(氷)の中に凍りづけにしたのち減圧する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、天然ガスをハイド
レート化する技術、およびハイドレート化された天然ガ
スの含水率を低下させる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、メタン等の炭化水素を主成分とす
る天然ガスを貯蔵・輸送する方法としては、ガス田から
天然ガスを採取したあと液化温度まで冷却し、液化天然
ガス(LNG)とした状態で貯蔵・輸送する方法が一般
的である。しかしながら、例えば液化天然ガスの主成分
であるメタンの場合、液化させるには−162℃といっ
た極低温条件が必要であり、こうした条件を維持しなが
ら貯蔵・輸送を行うためには、専用の貯蔵装置やLNG
輸送船といった専用の輸送手段が必要となる。こうした
装置等の製造および維持・管理には非常に高いコストを
要するため、上記方法に代わる低コストの貯蔵・輸送方
法が鋭意研究されてきた。
【0003】こうした研究の結果、天然ガスを水和させ
て固体状態の水和物(以下「天然ガスハイドレート」と
する)を生成し、この固体状態のまま貯蔵・輸送すると
いう方法が見出され、近年特に有望視されている。この
方法では、LNGを取扱う場合のような極低温条件は必
要とされず、また固体とするためその取扱いも比較的容
易である。このため、既存の冷凍装置あるいは既存のコ
ンテナ船を若干改良したものを各々貯蔵装置あるいは輸
送手段として利用可能となり、したがって、大幅な低コ
スト化が図れるものとして期待が寄せられている。
【0004】この天然ガスハイドレートとは、包接化合
物(クラスレート化合物)の一種であって、複数の水分
子(H2O)により形成された立体かご型の包接格子
(クラスレート)の中に、天然ガスの各成分を構成する
分子、すなわちメタン(CH4)、エタン(C26)、
プロパン(C38)等が入り込み包接された結晶構造を
なすものである。クラスレートに包接された天然ガス構
成分子どうしの分子間距離は、天然ガスが高圧充填され
た場合のガスボンベ中における分子間距離よりも短くな
る。これは、天然ガスが緊密充填された固体を生成し得
ることを意味し、例えばメタンの水和物が安定に存在し
得る条件下、すなわち−30℃・大気圧(1kg/cm
2)においては、気体状態と比較して約1/170の体
積とすることができる。このように、天然ガスハイドレ
ートは比較的容易に得られる温度・圧力条件下において
製造可能で、かつ安定した保存が可能なものである。
【0005】この方法において、ガス田から受け入れら
れた後の天然ガスは、酸性ガス除去工程において二酸化
炭素(CO2)や硫化水素(H2S)等の酸性ガスを除去
され、低温・高圧状態にしていったんガス貯蔵部に貯蔵
され、このあと生成工程において水和される。この天然
ガスハイドレートは水が混在するスラリー状であり、続
く脱水工程において、混在している未反応の水が除去さ
れ、さらに冷却工程および減圧工程を経てコンテナ等の
容器に封入され、貯蔵装置内において所定の温度・圧力
に調整された状態で貯蔵される。
【0006】輸送時には、この容器のままコンテナ船等
の輸送手段に積み込まれ、目的地まで輸送される。目的
地での陸揚げ後、天然ガスハイドレートは分解工程を経
て天然ガスの状態に戻され、各供給地へと送られる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来の天然ガスハイドレートの生成から輸送までのプロセ
スにおいては、下記のような解決すべき問題を有してい
る。すなわち、天然ガスハイドレートの生成プラントで
は、生成直後の天然ガスハイドレートが多量の水を含ん
だスラリー状であるため、この天然ガスハイドレートを
そのままあるいは冷凍して貯蔵および輸送をすれば、水
(氷)の分だけ貯蔵や輸送にかかるコストは膨大なもの
となってしまう。
【0008】本発明は上記の事情に鑑みてなされたもの
であり、含水率の低い天然ガスハイドレートを生成して
その貯蔵や輸送にかかるコストを削減することを目的と
している。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明においては、上記
課題を解決するために以下の手段を採用する。すなわち
本発明に係る請求項1記載の天然ガスハイドレートの生
成方法は、天然ガスと水とを氷点よりも高温、かつ大気
圧よりも高圧下で反応させて天然ガスハイドレートを生
成する生成工程と、生成された天然ガスハイドレートを
物理的に脱水する物理脱水工程と、該物理脱水工程もし
くは脱水後において天然ガスハイドレートに含まれる残
存水分を天然ガスと反応させて天然ガスハイドレートを
生成する水和脱水工程と、生成された天然ガスハイドレ
ートを冷却する冷却工程と、冷却された天然ガスハイド
レートを大気圧下に減圧する減圧工程とを備えることを
特徴とする。
【0010】請求項2記載の天然ガスハイドレートの生
成方法は、請求項1記載の天然ガスハイドレートの生成
方法において、前記天然ガスハイドレートを成形固化す
る工程を備えることを特徴とする。
【0011】請求項3記載の天然ガスハイドレートの生
成方法は、請求項1または2記載の天然ガスハイドレー
トの生成方法において、前記脱水によって分離された水
を前記生成工程に戻すことを特徴とする。
【0012】請求項4記載の天然ガスハイドレートの生
成方法は、請求項3記載の天然ガスハイドレートの生成
方法において、前記水を前記生成工程に戻す前に冷却す
ることを特徴とする。
【0013】請求項5記載の天然ガスハイドレートの生
成方法は、請求項1、2、3または4記載の天然ガスハ
イドレートの生成方法において、前記水和脱水工程にお
いて天然ガスハイドレートの生成に供されなかった天然
ガスを前記生成工程に導くことを特徴とする。
【0014】請求項6記載の天然ガスハイドレートの生
成方法は、請求項5記載の天然ガスハイドレートの生成
方法において、前記天然ガスを前記水和脱水工程への導
入前、または前記生成工程への導入前に冷却することを
特徴とする。
【0015】請求項7記載の天然ガスハイドレートの生
成方法は、請求項5または6記載の天然ガスハイドレー
トの生成方法において、前記生成工程において天然ガス
ハイドレートの生成に供されなかった天然ガスを前記水
和脱水工程に導くことを特徴とする。
【0016】請求項8記載の天然ガスハイドレートの生
成方法は、請求項1、2、3、4、5、6または7記載
の天然ガスハイドレートの生成方法において、前記生成
工程もしくは水和脱水工程において天然ガスハイドレー
トを生成した後に残る未反応ガスを除去することを特徴
とする。
【0017】請求項9記載の天然ガスハイドレートの生
成方法は、請求項8記載の天然ガスハイドレートの生成
方法において、前記未反応ガスを燃料として利用するこ
とを特徴とする。
【0018】請求項10記載の天然ガスハイドレートの
生成方法は、請求項8または9記載の天然ガスハイドレ
ートの生成方法において、前記未反応ガスをタービンの
駆動ガスとして利用することを特徴とする。
【0019】請求項11記載の天然ガスハイドレートの
生成方法は、請求項1ないし10のいずれか記載の天然
ガスハイドレートの生成方法において、前記減圧工程に
おいて前記天然ガスハイドレートから放出される天然ガ
スを回収することを特徴とする。
【0020】請求項12記載の天然ガスハイドレートの
生成方法は、請求項11記載の天然ガスハイドレートの
生成方法において、前記回収された天然ガスを天然ガス
ハイドレートの原料として再利用することを特徴とす
る。
【0021】請求項13記載の天然ガスハイドレートの
生成方法は、請求項11または12記載の天然ガスハイ
ドレートの生成方法において、前記回収された天然ガス
を燃料として利用することを特徴とする。
【0022】請求項14記載の天然ガスハイドレートの
生成方法は、請求項11ないし13のいずれか記載の天
然ガスハイドレートの生成方法において、前記回収され
た天然ガスをタービンの駆動ガスとして利用することを
特徴とする。
【0023】請求項15記載の天然ガスハイドレートの
生成システムは、天然ガスと水とを氷点よりも高温、か
つ大気圧よりも高圧下で反応させて天然ガスハイドレー
トを生成する生成手段と、生成された天然ガスハイドレ
ートを物理的に脱水する物理脱水手段と、前記脱水の過
程もしくは脱水後において天然ガスハイドレートに含ま
れる残存水分を天然ガスと反応させて天然ガスハイドレ
ートを生成する水和脱水手段と、生成された天然ガスハ
イドレートを冷却する冷却手段と、冷却された天然ガス
ハイドレートを大気圧下に減圧する減圧手段とを備える
ことを特徴とする。
【0024】請求項16記載の天然ガスハイドレートの
生成方法は、請求項15記載の天然ガスハイドレート生
成システムにおいて、前記天然ガスハイドレートを成形
固化する成形手段を備えることを特徴とする。
【0025】請求項17記載の天然ガスハイドレートの
生成システムは、請求項15または16記載の天然ガス
ハイドレート生成システムにおいて、前記脱水によって
分離された水を前記生成手段に戻すことを特徴とする。
【0026】請求項18記載の天然ガスハイドレートの
生成システムは、請求項17記載の天然ガスハイドレー
ト生成システムにおいて、前記分離された水を前記生成
手段に戻す前に冷却する水冷却手段を備えることを特徴
とする。
【0027】請求項19記載の天然ガスハイドレートの
生成システムは、請求項15、16、17または18記
載の天然ガスハイドレート生成システムにおいて、前記
水和脱水手段において天然ガスハイドレートの生成に供
されなかった天然ガスを前記生成手段に導くことを特徴
とする。
【0028】請求項20記載の天然ガスハイドレートの
生成システムは、請求項19記載の天然ガスハイドレー
ト生成システムにおいて、前記天然ガスを前記水和脱水
手段への導入前、または前記生成手段への導入前に冷却
する天然ガス冷却手段を備えることを特徴とする。
【0029】請求項21記載の天然ガスハイドレートの
生成システムは、請求項19または20記載の天然ガス
ハイドレート生成システムにおいて、前記生成手段にお
いて天然ガスハイドレートの生成に供されなかった天然
ガスを前記水和脱水手段に導くことを特徴とする。
【0030】請求項22記載の天然ガスハイドレートの
生成システムは、請求項15、16、17、18、1
9、20または21記載の天然ガスハイドレート生成シ
ステムにおいて、前記生成手段もしくは水和脱水工程に
おいて天然ガスハイドレートを生成した後に残る未反応
ガスを除去することを特徴とする。
【0031】請求項23記載の天然ガスハイドレートの
生成システムは、請求項22記載の天然ガスハイドレー
ト生成システムにおいて、前記未反応ガスを燃料として
利用することを特徴とする。
【0032】請求項24記載の天然ガスハイドレートの
生成システムは、請求項22または23記載の天然ガス
ハイドレート生成システムにおいて、前記未反応ガスを
タービンの駆動ガスとして利用することを特徴とする。
【0033】請求項25記載の天然ガスハイドレート生
成システムは、請求項15ないし24のいずれか記載の
天然ガスハイドレート生成システムにおいて、前記減圧
手段において減圧された天然ガスハイドレートから放出
される天然ガスを回収することを特徴とする。
【0034】請求項26記載の天然ガスハイドレート生
成システムは、請求項25記載の天然ガスハイドレート
生成システムにおいて、前記回収された天然ガスを加圧
する圧縮機を備えることを特徴とする。
【0035】請求項27記載の天然ガスハイドレート生
成システムは、請求項25または26記載の天然ガスハ
イドレート生成システムにおいて、前記回収された天然
ガスを一時的に保持するバッファタンクを備えることを
特徴とする。
【0036】請求項28記載の天然ガスハイドレート生
成システムは、請求項25ないし27のいずれか記載の
天然ガスハイドレート生成システムにおいて、前記回収
された天然ガスを天然ガスハイドレートの原料として再
利用することを特徴とする。
【0037】請求項29記載の天然ガスハイドレート生
成システムは、請求項25ないし28のいずれか記載の
天然ガスハイドレート生成システムにおいて、前記回収
された天然ガスを燃料として利用することを特徴とす
る。
【0038】請求項30記載の天然ガスハイドレート生
成システムは、請求項25ないし29のいずれか記載の
天然ガスハイドレート生成システムにおいて、前記回収
された天然ガスをタービンの駆動ガスとして利用するこ
とを特徴とする。
【0039】本発明においては、天然ガスと水とを氷点
よりも高温、かつ大気圧よりも高圧下で反応させること
で、水を凍らせることなく天然ガスハイドレートを生成
することが可能である。ただし、この天然ガスハイドレ
ートには多量の水が含まれることになるので、生成され
た天然ガスハイドレートを物理的に脱水し、さらにこの
物理脱水の過程もしくは脱水後において天然ガスハイド
レートに含まれる残存水分を天然ガスと反応させて天然
ガスハイドレートを生成することによって天然ガスハイ
ドレートの含水率を低下させる。ここまでの工程はいず
れも氷点よりも高温、かつ大気圧よりも高圧下で実施さ
れるので、生成された天然ガスハイドレートを大気圧下
に取り出すべく、これを氷点よりも低温にまで冷却し、
残存する水(氷)の中に凍りづけにしたのち減圧する。
以上の各工程を実施することで、より含水率の低い天然
ガスハイドレートが得られる。
【0040】あらかじめ水にガスを溶解させてからガス
ハイドレートを生成させることにより生成速度を向上さ
せることができる(必要であれば特開2000-256224を参
照されたい)。そこで本発明においては、生成工程にて
天然ガスが溶解した水を再び天然ガスハイドレートの生
成に利用することにより、生成効率の向上が図れる。
【0041】本発明においては、水を前記生成工程に戻
す前に冷却することにより、天然ガスハイドレートの生
成効率の向上が図れる。特に、天然ガスハイドレート生
成温度よりも低い温度まで冷却(過冷却)することによ
り、天然ガスハイドレートの生成効率の更なる向上が図
れる。ここで言う過冷却とは、図18に示すように、ガ
スハイドレートの生成平衡線C上の任意の点Dよりも少
なくとも温度が低いか(矢印X方向)あるいは圧力が高
い(矢印Y方向)状態にすることである。
【0042】本発明においては、物理脱水工程の作用に
より原料水が少なくなり、天然ガスハイドレートの生成
が起こりにくい水和脱水工程にガスハイドレート化する
成分が最も多い天然ガスを導き、続いて、水和脱水工程
から回収された天然ガスを生成工程に導くことにより、
システム全体として天然ガスハイドレートの生成効率の
向上が図れる。
【0043】本発明においては、天然ガスを生成工程に
導入する前に冷却することにより、天然ガスハイドレー
トの生成効率の向上が図れる。
【0044】本発明においては、生成工程において天然
ガスハイドレートの生成に供されなかった天然ガスを水
和脱水工程に導き、さらに当該ガスを循環させることに
よって、生成手段や水和脱水手段により多くの天然ガス
が供給されることになり、水との接触がより活発になる
ので、天然ガスハイドレートの生成効率のさらなる向上
が図れる。
【0045】本発明においては、生成工程において天然
ガスハイドレートを生成した後に残る未反応ガスを除去
することにより、ハイドレート化し易い成分の比率が高
くなるので、天然ガスハイドレートの生成効率の向上が
図れる。また、減圧の過程で天然ガスハイドレートから
放出される天然ガスを回収し、回収した天然ガスを原料
として再利用することによっても、天然ガスハイドレー
トの生成効率が向上する。
【0046】本発明においては、天然ガスハイドレート
を生成した後に残る未反応ガスや、減圧の過程で天然ガ
スハイドレートから放出される天然ガスを、内燃機関や
ボイラ等の燃料として利用することにより、エネルギー
の無駄のない利用が可能になる。
【0047】本発明においては、天然ガスハイドレート
を生成した後に残る未反応ガスや、減圧の過程で天然ガ
スハイドレートから放出される天然ガスを、タービンの
駆動ガスとして利用することにより、エネルギーの無駄
のない利用が可能になる。ガスタービンに対して仕事を
したガスは燃料として利用することも可能である。
【0048】本発明においては、回収した天然ガスの圧
力が十分でない場合、該天然ガスを加圧することによ
り、各種の利用に足る所望の圧力が得られる。また、回
収した天然ガスの圧力が一定とはなり難いので、バッフ
ァタンクに一時的に回収して均圧化する。これにより、
回収した天然ガスの圧力を各種の利用に足るようにして
安定した供給が可能になる。
【0049】請求項31記載のガスハイドレートの冷却
方法は、ガスハイドレートを減圧する過程で該ガスハイ
ドレートの一部を分解させ、その分解熱によって残りの
ガスハイドレートを冷却することを特徴とする。
【0050】請求項32記載のガスハイドレート冷却装
置は、ガスハイドレートを一時的に保持する減圧容器
と、該減圧容器の内部で前記ガスハイドレートの一部が
分解することにより発生したガスを排出する排気路とを
備えることを特徴とする。
【0051】本発明においては、減圧の過程で分解する
一部のガスハイドレートの分解熱を利用することによ
り、冷却のための設備を設けなくても、残りのガスハイ
ドレートを冷却することができる。
【0052】請求項33記載のガスハイドレートの冷却
方法は、ガスハイドレートを冷媒と熱交換させて冷却す
るガスハイドレートの冷却方法であって、前記冷媒を、
前記ガスハイドレートとの熱の授受により気化させるこ
とを特徴とする。
【0053】請求項34記載のガスハイドレート冷却装
置は、ガスハイドレートを搬送する搬送路と、該搬送路
に隣接するも該搬送路とは区切られた空間とを有し、該
空間に、前記搬送路に在るガスハイドレートと熱交換し
て該ガスハイドレートを冷却し自らは気化する冷媒を導
入することを特徴とする。
【0054】請求項35記載のガスハイドレート冷却装
置は、請求項34記載のガスハイドレート冷却装置にお
いて、前記空間に、前記搬送路を画成する配管が複数設
けられていることを特徴とする。
【0055】請求項36記載のガスハイドレート冷却装
置は、請求項35記載のガスハイドレート冷却装置にお
いて、前記配管が上下方向に階層的に配設されているこ
とを特徴とする。
【0056】請求項37記載のガスハイドレート冷却装
置は、請求項35または36記載のガスハイドレート冷
却装置において、前記配管の内側に、側面に螺旋状の突
条部を有し自ら回転することで該突条部に沿って軸方向
に前記ガスハイドレートを押し出す軸体が配設されてい
ることを特徴とする。
【0057】請求項38記載のガスハイドレート冷却装
置は、ガスハイドレートを搬送する搬送路と、該搬送路
に隣接するも該搬送路とは区切られた空間とを有し、該
空間に、前記搬送路に在るガスハイドレートと熱交換し
て該ガスハイドレートを冷却する冷媒を導入することを
特徴とするガスハイドレート冷却装置であって、前記空
間に、前記搬送路を画成する配管が複数設けられている
ことを特徴とする。
【0058】本発明においては、冷媒の気化潜熱を利用
してガスハイドレートから多くの熱を奪うので、効率の
よい冷却が行えるようになる。さらに、搬送路を画成す
る配管を複数設けることにより、ガスハイドレートと冷
媒との熱交換面積が拡大するので、熱交換の効率がさら
に高まる。
【0059】本発明においては、空間に導入された冷媒
が気化して浮上することにより、気相の冷媒から液相の
冷媒への更新が絶えず起こって配管の周囲には常に液相
の冷媒が存在することになるので、ガスハイドレートと
の熱交換が促進される。また、下層の配管の周囲で気化
した冷媒が、上層の配管の間を漂いながら浮上すること
により、液相状態の冷媒が撹拌されるので、これによっ
てもガスハイドレートとの熱交換が促進される。
【0060】本発明においては、螺旋状の突条部を有す
る軸体を回転させ、該突条部に載せてガスハイドレート
を軸方向に搬送するので、ガスハイドレートが配管を通
じてを滞りなく搬送される。
【0061】請求項39記載のガスハイドレート成形装
置は、原料ガスと水とを反応させることによって生成さ
れるガスハイドレートを成形固化することを特徴とす
る。
【0062】本発明においては、原料ガスと水とを反応
させることによって生成されるガスハイドレートを成形
固化することにより、貯蔵や輸送の際の利便性の向上が
図れる。
【0063】
【発明の実施の形態】本発明に係る第1の実施形態を図
1および図2に示して説明する。図1は本発明に係る天
然ガスハイドレートの生成システムのプロセスを示すブ
ロック図である。図において、符号1は天然ガスと水と
を氷点よりも高温かつ大気圧よりも高圧下で反応させて
天然ガスハイドレートを生成する生成手段、2は生成さ
れた天然ガスハイドレートを物理的に脱水する物理脱水
手段、3は脱水の過程もしくは脱水後において天然ガス
ハイドレートに含まれる残存水分を天然ガスと反応させ
て天然ガスハイドレートを生成する水和脱水手段、4は
生成された天然ガスハイドレートを冷却する冷却手段、
5は冷却された天然ガスハイドレートを大気圧まで減圧
する減圧手段、6は天然ガスハイドレートを成形固化す
る成形手段である。
【0064】当該生成システムの具体的な装置構成を図
2に示す。図2において、11は生成手段1を構成する
生成反応装置、12は物理脱水手段2を構成するスクリ
ュープレス型脱水装置、13は水和脱水手段3を構成す
る2軸スクリュー型脱水装置、14は冷却手段4を構成
するスクリューコンベア型冷却装置、15は減圧手段5
を構成するバルブ切替型の減圧装置、16は成形手段6
を構成する加圧プレス型成形装置(ガスハイドレート成
形装置)である。また、符号17は原料である水を貯蔵
する貯水槽、18は同じく原料である天然ガスを産出す
るガス田、19はガス田18から産出された天然ガスを
貯蔵するガス貯蔵部である。
【0065】生成反応装置11は密閉された圧力容器2
0を有している。圧力容器20には水配管21を介して
貯水槽17が接続されており、圧力容器20の内部に
は、水配管21を通じて貯水槽17の水が供給されるこ
とによって水相Lが形成されている。また、水配管21
には給水ポンプ22およびバルブ23が設けられてお
り、水相Lが所定の水位を保つように制御される。
【0066】また、圧力容器20にはガス配管24を介
してガス貯蔵部19が接続されている。ガス貯蔵部19
には、ガス田18から産出された天然ガスが、酸性ガス
および重質成分の除去の工程を経た後、圧縮機等により
低温・高圧の状態にされて貯蔵されている。圧力容器2
0の内部には、ガス貯蔵部19に貯蔵された天然ガスが
ガス配管24を通じて供給されることによって気相Gが
形成されている。
【0067】さらに、圧力容器20には気相Gの圧力を
計測する圧力計25が設けられ、ガス配管にはバルブ2
6および流量調節弁27が設けられており、流量調節弁
27の開度は、圧力計25の計測値に基づき圧力容器2
0内部に天然ガスを補充して気相Gの圧力をガスハイド
レートの生成圧力(例えば50kg/cm2)に保つよ
うに制御される。
【0068】圧力容器20の内部には、水相Lの温度を
氷点よりも高温であってガスハイドレートの生成温度
(例えば5℃前後)よりも低温(これの状態を「過冷
却」と定義する)に保つ冷却装置28が設けられてい
る。冷却装置28によって過冷却の状態を保つのは、天
然ガスハイドレートが生成する過程で発生する水和熱を
回収し、生成反応装置11の内部を常に生成温度に保つ
ためである。なお、冷却装置28には、水相Lを直接冷
却する冷却コイルやラジエタ、圧力容器20を包んで容
器全体を冷却する冷却ジャケットを採用するのが好まし
い。
【0069】圧力容器20には、底部と頂部とを繋ぐ水
配管30が接続されている。水配管30には、フィルタ
31、バルブ32、水循環ポンプ33、熱交換器34お
よびバルブ35が設けられている。また、圧力容器20
の頂部から内側に突き出した水配管30の端部には、ス
プレーノズル36が設けられている。
【0070】水相Lの液面に近い圧力容器20の側面に
は、液面に生成されたスラリー状の天然ガスハイドレー
トを抜き出すスラリー抜出口20aが設けられている。
このスラリー抜出口20aはスラリー配管37を介して
スクリュープレス型脱水装置12に接続されている。ス
ラリー配管37には、バルブ38およびスラリー抜出ポ
ンプ39が設けられており、水相Lの液面に生成された
天然ガスハイドレートを抜き出してスクリュープレス型
脱水装置12に供給するようになっている。
【0071】スクリュープレス型脱水装置12は、円筒
形の内部空間40aを有する容器体40と、側面に螺旋
状の突条部41aを有し内部空間40aに配置された軸
体41とを備えている。
【0072】容器体40の先端には、生成反応装置11
においてスラリー状に生成された天然ガスハイドレート
を内部空間40aに取り入れる取入口40bが設けられ
ている。取入口40bには、上述したスラリー配管37
が接続されている。容器体40は、内部空間40aを形
成する内壁40cと外殻を構成する筐体40dとの二重
構造になっており、内壁40cはメッシュ加工され、筐
体40dには内部に溜まった水を排出する排水口40e
が設けられている。
【0073】軸体41は、突条部41aを内部空間40
aの内面に近接させて配置されるとともに、自らの軸線
を中心として所定方向に回転可能に支持されており、駆
動部42によって回転駆動される。
【0074】容器体40の終端には、軸体41の回転に
よって搬送されてきた天然ガスハイドレートを取り出す
取出口40fが設けられている。取出口40fはハイド
レート配管43を介して後段の2軸スクリュー型脱水装
置13に接続されている。
【0075】2軸スクリュー型脱水装置13は、断面が
長円形をなす筒形の内部空間50aを有する容器体50
と、側面に螺旋状の突条部51a,52aを有し内部空
間50aに配置されて個々に回転しながら天然ガスハイ
ドレートを搬送する2本の軸体51,52とを備えてい
る。
【0076】容器体50の先端には、スクリュープレス
型脱水装置12において物理的に脱水された天然ガスハ
イドレートを取り入れる取入口50bが設けられてい
る。取入口50bには、上述したハイドレート配管43
が接続されている。
【0077】軸体51,52は、両者が平行に配置され
るとともに軸方向から見てそれぞれの突条部51a,5
2aを重複させて配置されている。さらに、それぞれの
突条部51a,52aを内部空間50aの内面に近接さ
せて配置されるとともに、自らの軸線を中心として回転
可能に支持されており、駆動部53によって回転駆動さ
れる。なお、両軸体の回転方向は同方向であってもよい
し、異なる方向であってもよい。
【0078】容器体50の終端には、軸体51,52の
回転によって搬送されてきたガスハイドレートを取り出
す取出口50cが設けられている。取出口50cにはハ
イドレート配管54を介して後段のスクリューコンベア
型冷却装置14に接続されている。
【0079】取出口50cに近い容器体50の側面に
は、天然ガスを内部空間50aに供給するガス供給孔5
0dが設けられている。ガス供給孔50dは、ガス配管
24から分岐するガス配管55を介してガス貯蔵部19
に接続されている。ガス配管55にはバルブ56および
流量調節弁57が設けられている。
【0080】一方、取入口50bに近い容器体50に
は、内部空間50aの圧力を検出する圧力計58が設置
されており、流量調節弁57の開度は、圧力計58の計
測値に基づき内部空間50aに天然ガスを補充して内部
の圧力を常に生成圧(例えば40atm)に保持するよ
うに制御されている。
【0081】スクリュープレス型脱水装置12および2
軸スクリュー型脱水装置13には、内部空間40,50
の内部を上記過冷却の状態に保持する冷却装置(図示
略)が設けられている。
【0082】スクリューコンベア型冷却装置14は、円
筒形の内部空間60aを有する容器体60と、側面に螺
旋状の突条部61aを有し内部空間60aに配置された
軸体61とを備えている。
【0083】容器体60の先端には、2軸スクリュー型
脱水装置13において水和脱水された天然ガスハイドレ
ートを内部空間60aに取り入れる取入口60bが設け
られている。取入口60bには、上述したハイドレート
配管54が接続されている。
【0084】軸体61は、突条部61aを内部空間60
aの内面に近接させて配置されるとともに、自らの軸線
を中心として所定方向に回転可能に支持されており、駆
動部62によって回転駆動される。
【0085】容器体60の終端には、軸体61の回転に
よって搬送されてきた天然ガスハイドレートを取り出す
取出口60cが設けられている。取出口60cはハイド
レート配管63を介して後段のバルブ切替型減圧装置1
5に接続されている。
【0086】容器体60は、内部空間60aを形成する
内壁60dと外殻を構成する筐体60eとの二重構造に
なっており、取出口60cに近い筐体60eの側面には
内壁60dとの隙間に冷媒を導入する冷媒入口60fが
設けられ、取入口60bに近い筐体60eの側面には冷
媒を導出する冷媒出口60gが設けられている。
【0087】容器体60には、冷媒入口60fと冷媒出
口60gとを繋ぐ冷媒配管65が接続されており、冷媒
配管65には冷媒循環ポンプ66および熱交換器67が
設けられている。冷媒は熱交換器66によって冷却さ
れ、冷媒配管65を通じて内壁60dと筐体60eとの
隙間に流入し、脱水を終えた天然ガスハイドレートを低
気圧下でも分解しない氷点以下の低温(例えば−10℃
〜−15℃)まで冷却する。
【0088】バルブ切替型減圧装置15は、ハイドレー
ト配管63に直列に設けられた2つのバルブ71,72
によって構成されている。2つのバルブ71,72は離
間して配置され、後段のバルブ72を経たハイドレート
配管63は大気開放されており、その後段には加圧プレ
ス型成形装置16が設けられている。加圧プレス型成形
装置16は、固定の壁部75と壁部75に接近離間可能
に駆動されるプレート76とを備えている。
【0089】上記のように構成された生成システムによ
る天然ガスハイドレートの生成について説明する。ま
ず、貯水槽17から圧力容器20内に水を導入し水相L
を形成する。同時に、ガス貯蔵部19から圧力容器20
内に天然ガスを導入し、気相Gの圧力をガスハイドレー
トの生成圧力にまで高める。なお、水相Lを形成する水
には、必要であれば安定化剤を添加してもよい。次に、
水相Lの温度を過冷却の状態にまで冷却し、以後はこの
状態が維持されるように温度管理を行う。
【0090】圧力容器20内の温度および圧力の状態が
安定したら、水相Lを形成する水の一部を水配管30を
通じて圧力容器20の底部から抜き出し、熱交換器34
によって上記再度冷却した後、スプレーノズル36から
気相G中に噴霧する。スプレーノズル36から噴霧され
た水粒子は気相G中を漂いながら水相Lに向けて落下す
る。このように気相G中に水の粒子を多量に形成するこ
とにより、気相G中に存在する水の粒子の表面積、すな
わち気相Gを形成する天然ガスとの接触面積が極めて大
きくなる。水粒子の表面では、水と天然ガスとの水和反
応が起こり、天然ガスハイドレートが生成される。な
お、圧力容器20内の温度は氷点よりも高温になるよう
に制御されているので、水相Lを形成する水や噴霧され
た水粒子が凍りつくことはない。
【0091】水粒子の表面で生成された天然ガスハイド
レートはそのまま落下し、水相Lの液面に降り積もり、
天然ガスハイドレートの層を形成する。この天然ガスハ
イドレートはスラリー抜出口20aから抜き出され、ス
ラリー配管37を通じてスクリュープレス型脱水装置1
2に送り込まれる。このとき、天然ガスハイドレートは
水とともに回収されるため、含水率が非常に高いスラリ
ー状となる。
【0092】スラリー配管37を通じてスクリュープレ
ス型脱水装置12に送り込まれたスラリー状の天然ガス
ハイドレートは、取入口40bを通じて内部空間40a
に収容され、軸体41の回転によって軸方向に搬送さ
れ、その過程で加圧されることによって物理的に脱水さ
れる。天然ガスハイドレートから分離された水分は、内
壁40cのメッシュを通じて筐体40dの内部に集めら
れ、排水口40eから排出される。
【0093】一方、物理脱水を終えた天然ガスハイドレ
ートは、取出口40fを通じてスクリュープレス型脱水
装置12から取り出され、ハイドレート配管43を通じ
て2軸スクリュー型脱水装置13に送り込まれる。
【0094】2軸スクリュー型脱水装置13に送り込ま
れた天然ガスハイドレートは、取入口50bを通じて内
部空間50aに収容され、軸体51,52の回転によっ
て軸方向に搬送される。その過程で残存する水分と内部
空間50aに供給された天然ガスと接触し、これととも
に撹拌されつつ冷却されることによって残存する水分と
天然ガスとを反応させてハイドレート化する。
【0095】内部空間50aに収容された天然ガスハイ
ドレートは、取出口50cに至るころには残存する水分
のほとんどを未水和の天然ガスと水和反応させることで
脱水され、結果的に天然ガスハイドレートそのものの量
を増加させる。水和脱水を終えた天然ガスハイドレート
は、取出口50Cを通じて2軸スクリュー型脱水装置1
3から取り出され、ハイドレート配管54を通じてスク
リューコンベア型冷却装置14に送り込まれる。
【0096】スクリューコンベア型冷却装置14に送り
込まれた天然ガスハイドレートは、取入口60bを通じ
て内部空間60aに収容され、軸体41の回転によって
軸方向に搬送され、その過程で容器体60内部を循環す
る冷媒によって冷却される。氷点以下の低温になるまで
冷却された天然ガスハイドレートは、取出口60fを通
じてスクリューコンベア型冷却装置14から取り出さ
れ、ハイドレート配管63を通じてバルブ切替型減圧装
置15に送り込まれる。
【0097】バルブ切替型減圧装置15は上流側のバル
ブ71を開き、下流側のバルブ72を閉じた状態とさ
れ、天然ガスハイドレートを受け入れる。バルブ71,
72間には天然ガスハイドレートが蓄積していくので、
ある程度になったらバルブ71を閉じ、続いてバルブ7
2を開いてバルブ71,72間の天然ガスハイドレート
を大気圧まで減圧する。減圧を終えた天然ガスハイドレ
ートは、バルブ切替型減圧装置15から取り出され、加
圧プレス型成形装置16に送り込まれる。
【0098】加圧プレス型成形装置16に送り込まれた
天然ガスハイドレートは、プレート76によって壁部7
5に押し付けられるようにして成形固化される。成形固
化された天然ガスハイドレートは図示しない専用の輸送
容器に収容され、貯蔵・輸送される。
【0099】上記の生成システムにおいては、天然ガス
と水とを氷点よりも高温、かつ大気圧よりも高圧下で反
応させることで、水を凍らせることなく天然ガスハイド
レートを生成することが可能である。ただし、この天然
ガスハイドレートには多量の水が含まれることになるの
で、生成された天然ガスハイドレートを物理的に脱水
し、さらにこの物理脱水の過程もしくは脱水後において
天然ガスハイドレートに含まれる残存水分を天然ガスと
反応させて天然ガスハイドレートを生成することによっ
て天然ガスハイドレートの含水率を低下させる。ここま
での工程はいずれも氷点よりも高温、かつ大気圧よりも
高圧下で実施されるので、生成された天然ガスハイドレ
ートを大気圧下に取り出すべく、これを氷点よりも低温
にまで冷却し、残存する水(氷)の中に凍りづけにした
のち減圧し、大気圧下に取り出せるようにする。以上の
各工程を実施することで、より含水率の低い天然ガスハ
イドレートが得られる。
【0100】したがって、上記の生成システムによれ
ば、含水率の低い天然ガスハイドレートを生成してその
貯蔵や輸送にかかるコストを削減することができる。
【0101】また、減圧を終えた天然ガスハイドレート
を成形固化することにより、貯蔵や輸送の際の利便性を
向上させることができる。
【0102】なお、本実施形態においては減圧手段5
(バルブ切替型減圧装置15)の後段に成形手段6(加
圧プレス型成形装置16)を設けたが、成形手段6を設
けず、脱水を終えた天然ガスハイドレートをそのまま容
器に詰めて貯蔵・輸送することも可能である。
【0103】次に、本発明に係る第2の実施形態につい
て説明する。なお、上記実施形態において既に説明した
構成要素には同一符号を付して説明は省略する。図3は
本発明に係る天然ガスハイドレートの生成システムのプ
ロセスを示すブロック図である。本実施形態において
は、脱水によって分離された水を生成手段1に戻して再
利用する。具体的には、スクリュープレス型脱水装置1
2の排水口40eと貯水槽17とを接続する水配管を設
け、天然ガスハイドレートから分離された水分を、この
水配管を通じて貯水槽17や圧力容器20に戻すように
する。
【0104】これによると、脱水によって分離された水
分には天然ガスが溶解しているため、これを貯水層17
や圧力容器20に戻して再び天然ガスハイドレートの生
成に利用することにより、天然ガスハイドレートの生成
効率を向上させることができる。
【0105】本発明に係る第3の実施形態について説明
する。なお、上記実施形態において既に説明した構成要
素には同一符号を付して説明は省略する。図4は本発明
に係る天然ガスハイドレートの生成システムのプロセス
を示すブロック図である。本実施形態においては、上記
第2の実施形態のごとく水を生成手段1に戻す前にその
水を冷却する水冷却手段7を設ける。
【0106】これによると、脱水によって分離された水
分を冷却してやることにより、圧力容器20内での天然
ガスハイドレートの生成効率を向上させることができ
る。特に、水分をガスハイドレート生成温度以下(過冷
却)まで下げることにより、天然ガスハイドレート生成
速度を更に向上させることができる。
【0107】本発明に係る第4の実施形態について説明
する。なお、上記実施形態において既に説明した構成要
素には同一符号を付して説明は省略する。図5は本発明
に係る天然ガスハイドレートの生成システムのプロセス
を示すブロック図である。本実施形態においては、水和
脱水手段3において天然ガスハイドレートの生成に供さ
れなかった天然ガスを生成手段1に導くようにする。
【0108】これによると、物理脱水工程の作用により
原料水が少なくなり、天然ガスハイドレートの生成が起
こりにくい水和脱水工程にガスハイドレート化する成分
が最も多い天然ガスを導き、続いて、水和脱水工程から
回収された天然ガスを生成工程に導くことにより、シス
テム全体として天然ガスハイドレートの生成効率の向上
が図れる。
【0109】本発明に係る第5の実施形態について説明
する。なお、上記実施形態において既に説明した構成要
素には同一符号を付して説明は省略する。図6は本発明
に係る天然ガスハイドレートの生成システムのプロセス
を示すブロック図である。本実施形態においては、上記
第4の実施形態のごとく天然ガスを生成手段1に導入す
る前に冷却する天然ガス冷却手段8を設ける。
【0110】これによると、水和脱水手段3において天
然ガスハイドレートの生成に供されなかった天然ガスを
ガスハイドレートの生成温度にまで冷却してやることに
より、圧力容器20内での天然ガスハイドレートの生成
効率を向上させることができる。特に、天然ガスをガス
ハイドレート生成速度以下(過冷却)まで下げることに
より天然ガスハイドレート生成速度を更に向上させるこ
とができる。
【0111】なお、天然ガス冷却手段8には、天然ガス
を直接的に冷却する機構の他、天然ガスを断熱膨張させ
自らの温度を低下させたうえで昇圧する機構を採用して
も構わない。
【0112】また、生成手段1への導入前ではなく、天
然ガスを水和脱水手段3への導入前に天然ガス冷却手段
8を設けても構わないし、両方に設けても構わない。
【0113】本発明に係る第6の実施形態について説明
する。なお、上記実施形態において既に説明した構成要
素には同一符号を付して説明は省略する。図7は本発明
に係る天然ガスハイドレートの生成システムのプロセス
を示すブロック図である。本実施形態においては、生成
手段1において天然ガスハイドレートの生成に供されな
かった天然ガスを水和脱水手段3に導き、生成手段1と
水和脱水手段3との間を循環させるようにする。
【0114】これによると、生成手段1や水和脱水手段
3により多くの天然ガスが供給されることになり、水と
の接触がより活発になるので、天然ガスハイドレートの
生成効率をさらに向上させることができる。
【0115】本発明に係る第7の実施形態について説明
する。なお、上記実施形態において既に説明した構成要
素には同一符号を付して説明は省略する。図8は本発明
に係る天然ガスハイドレートの生成システムのプロセス
を示すブロック図である。本実施形態においては、生成
手段1において天然ガスハイドレートを生成した後に残
る未反応ガスを生成手段1から除去する(パージする)
ようにする。
【0116】圧力容器20内の未反応ガスには、上記の
条件の下ではハイドレート化しない成分も含まれてい
る。こういった未反応ガスを生成手段1から除去してや
ることにより、ハイドレート化し易い成分の比率が高く
なるので、圧力容器20内での天然ガスハイドレートの
生成効率を向上させることができる。
【0117】なお、上記第6の実施形態のごとく天然ガ
スを生成手段1と水和脱水手段3との間で循環させる場
合には、循環系を構成するガス配管のいずれかの場所か
ら未反応ガスを除去するようにしても構わない。
【0118】本発明に係る第8の実施形態について説明
する。なお、上記実施形態において既に説明した構成要
素には同一符号を付して説明は省略する。図9は本発明
に係る天然ガスハイドレートの生成システムのプロセス
を示すブロック図である。本実施形態においては、未反
応ガスを内燃機関9やボイラ等の燃料として利用する。
【0119】未反応ガスには、ハイドレート化されるべ
きメタン等の可燃成分も含まれることになる。そこで、
こういった可燃成分を燃料として内燃機関9を駆動し、
これによって得られた運動を生成システムの周辺設備の
駆動に用いることにより、エネルギーの無駄のない利用
が可能になる。また、未反応ガスを燃料としてボイラを
焚いて蒸気を発生させ、その熱を利用することもでき
る。
【0120】本発明に係る第9の実施形態について説明
する。なお、上記実施形態において既に説明した構成要
素には同一符号を付して説明は省略する。図10は本発
明に係る天然ガスハイドレートの生成システムのプロセ
スを示すブロック図である。本実施形態においては、未
反応ガスをガスタービン10の駆動ガスとして利用す
る。
【0121】圧力容器20から抜き出される未反応ガス
は非常に高圧で高い運動エネルギーを与えられているの
で、この運動エネルギーを利用してガスタービン10を
駆動し、これによって得られた運動を生成システムの周
辺設備の駆動に用いることにより、エネルギーの無駄の
ない利用が可能になる。ガスタービン10に対して仕事
をしたガスは上記第9の実施形態のごとく燃料として利
用することも可能である。
【0122】本発明に係る第10の実施形態について説
明する。なお、上記実施形態において既に説明した構成
要素には同一符号を付して説明は省略する。図11は本
発明に係る天然ガスハイドレートの生成システムのプロ
セスを示すブロック図である。本実施形態においては、
減圧手段5において天然ガスハイドレートから放出され
る天然ガスを回収し、その回収された天然ガスを生成手
段1に導くようにする。
【0123】当該生成システムの具体的な装置構成を図
12に示す。減圧装置15は上述のバルブ切替型ではな
く、天然ガスハイドレートを一時的に保持する減圧容器
80と、減圧容器80から天然ガスを排出する2つのガ
ス配管81a,81bとを備えている。一方のガス配管
81aは、ガス貯蔵部19に接続され、他方のガス配管
81bは、例えば当該システムに電力を供給する発電設
備82に接続されている。
【0124】一方のガス配管81aには、減圧容器80
からの天然ガスの排出を断続するバルブ83aと、排出
された天然ガスを一時的に保持するバッファタンク84
aと、バッファタンク84aに保持された天然ガスを加
圧する圧縮機85aとが設けられている。他方のガス配
管81bにも、減圧容器80からの天然ガスの排出を断
続するバルブ83bと、排出された天然ガスを一時的に
保持するバッファタンク84bと、バッファタンク84
bに保持された天然ガスを加圧する圧縮機85bとが設
けられている。
【0125】減圧容器80は、ハイドレート配管86を
介して後段の加圧プレス型成形装置16に接続されてい
る。ハイドレート配管86には、天然ガスハイドレート
の導通を断続するバルブ87が設けられている。
【0126】上記のように構成された減圧装置15にお
いては、スクリューコンベア型冷却装置14によって生
成圧力(例えば50kg/cm2)を保ちながら氷点以
下の低温(例えば−15℃)にまで冷却された天然ガス
ハイドレートが送り込まれると、ハイドレート配管63
のバルブ64を開き、ハイドレート配管86のバルブ8
7を閉じて天然ガスハイドレートを受け入れる。減圧容
器80には天然ガスハイドレートが蓄積していくので、
ある程度の量に達したらバルブ64,87を閉じるとと
もにバルブ83a,83bを開き、減圧容器80の内圧
を低下させていく。減圧の前期では比較的高圧の天然ガ
スが放出されるので、先に一方のガス配管81aのバル
ブ83aを開いておき、バッファタンク84aに比較的
高圧の天然ガスを一時的に保持する。減圧が進み、放出
される天然ガスの圧力が低下してきたら、バルブ83a
を閉じるとともに他方のガス配管81bのバルブ83b
を開き、バッファタンク84bに比較的低圧の天然ガス
を一時的に保持する。減圧容器80の内圧が大気圧まで
低下したらバルブ83a,83bを閉じる。
【0127】比較的高圧の天然ガスは、バッファタンク
84aに一時的に保持されることにより均圧化され、圧
縮機85aによって天然ガスハイドレートの生成圧力に
まで加圧され、ガス配管81aを通じてガス貯蔵部19
に供給されて原料として再利用される。比較的低圧の天
然ガスは、バッファタンク84bに一時的に保持される
ことにより均圧化され、圧縮機85bによって所定の圧
力にまで加圧され、発電設備82に具備される各種内燃
機関やボイラに燃料として供給される。
【0128】大気圧まで減圧された天然ガスハイドレー
トは、減圧装置15から取り出され、ハイドレート配管
86を通じて加圧プレス型成形装置16に送り込まれて
成形固化される。
【0129】上記生成プラントでは、生成された天然ガ
スハイドレート中に、冷却、減圧の工程を経た後であっ
ても粒子間に高圧のガスが充満している。例えば、生成
圧力に等しい50kg/cm2に加圧された1m3の天然
ガスハイドレートには、全容積の約30%に当たる空隙
が存在しており、これを大気圧にまで減圧したとする
と、空隙に存在していたガス量は15m3(大気圧)、
ハイドレート中に貯蔵されているガス量は119m
3(大気圧)となる。そして、空隙に存在していた天然
ガスが全て散逸すると、全ガス量の約11%が失われる
ことになる。
【0130】上記の生成システムによれば、減圧の過程
で天然ガスハイドレートから放出される天然ガスを回収
し、回収した天然ガスを原料として再利用することによ
り、システム全体として天然ガスハイドレートの生成効
率を向上させることができる。また、回収した天然ガス
を内燃機関やボイラ等の燃料として利用することによ
り、エネルギーの無駄のない利用が可能になる。これ以
外に、燃料としてではなく、タービンの駆動ガスとして
利用することも可能である。
【0131】ところで、本実施形態においては天然ガス
の回収系統を2つ設け、一方を比較的高圧のガス回収に
当て、他方を低圧のガス回収に当てているが、用途によ
ればこれらを1系統に統合しても構わない。また、各系
統にはバッファタンクを設けて天然ガスの均圧化を図っ
ているが、回収されるガス圧が安定していればこれらを
設ける必要はない。さらに、減圧容器80から回収され
るガス圧で十分に利用できる用途については圧縮機を稼
働させる必要はない。
【0132】本発明に係る第11の実施形態について説
明する。なお、上記実施形態において既に説明した構成
要素には同一符号を付して説明は省略する。天然ガスハ
イドレートの生成システムの具体的な装置構成を図13
に示す。本実施形態の減圧装置15は、天然ガスハイド
レートを一時的に保持する減圧容器100と、減圧容器
100から天然ガスを排出する排気管101とを備え、
冷却装置としての機能も与えられている。排気管101
には、減圧容器100からの天然ガスの排出を断続する
バルブ102が設けられている。減圧容器100は、ハ
イドレート配管103を介して後段の加圧プレス型成形
装置16に接続されている。ハイドレート配管103に
は、天然ガスハイドレートの導通を断続するバルブ10
4が設けられている。
【0133】上記のように構成された減圧装置15にお
いては、スクリューコンベア型冷却装置14によって生
成圧力(例えば50kg/cm2)を保ちながら氷点以
下の低温(例えば−15℃)にまで冷却された天然ガス
ハイドレートが送り込まれると、ハイドレート配管63
のバルブ64を開き、ハイドレート配管100のバルブ
101を閉じて天然ガスハイドレートを受け入れる。減
圧容器100には天然ガスハイドレートが蓄積していく
ので、ある程度の量に達したらバルブ64を閉じ、排気
管101のバルブ102を開いて減圧容器100内部の
天然ガスハイドレートを大気圧まで減圧する。減圧容器
100内部の天然ガスハイドレートは、減圧の過程で一
部が分解して天然ガスを発生させるが、このとき、分解
に伴う分解熱により、残りの天然ガスハイドレートが所
定の温度(例えば−20℃)にまでさらに冷却される。
【0134】ここで、天然ガスの主成分であるメタンの
水和物すなわちメタンハイドレートについて考えると、
1molのメタンハイドレートが大気圧下0℃の状態か
ら1%分解したときに下がる温度は2.04℃、2.5
%分解したときに下がる温度は5.10℃ほどである。
つまり、減圧容器100において上記のように5℃程度
の冷却を実現するには、減圧容器100に投入された天
然ガスハイドレートの約52.5%を分解させればよ
い。なお、引き続き分解を行わせればさらなる冷却が可
能であるが、分解量が多くなると回収できる天然ガスハ
イドレートの量が少なくなるので、適切な時期に分解を
停止させる必要があることはいうまでもない。分解によ
って発生した天然ガスは排気管101を通じて減圧容器
100から排出されるので、必要であれば上記第10の
実施形態にて説明した手段で回収し再利用する。
【0135】所定の温度になるまで冷却されるとともに
大気圧まで減圧された天然ガスハイドレートは、減圧装
置15から取り出され、ハイドレート配管103を通じ
て加圧プレス型成形装置16に送り込まれて成形固化さ
れる。
【0136】上記の生成システムによれば、天然ガスハ
イドレートを減圧する過程で一部を分解させ、その分解
熱を利用することにより、冷却のための設備を設けなく
ても、残りの天然ガスハイドレートを冷却することがで
きる。また、減圧工程においても冷却を行うことによ
り、スクリューコンベア型冷却装置14の負担が少なく
なるので、冷却設備を小型化して設備コストを削減する
ことも可能である。
【0137】本発明に係る第12の実施形態について説
明する。なお、上記実施形態において既に説明した構成
要素には同一符号を付して説明は省略する。天然ガスハ
イドレートの生成システムの具体的な装置構成を図14
に示す。本実施形態のスクリューコンベア型冷却装置1
4は、円筒形の容器体110の内部に、複数のスクリュ
ーコンベア111が離間して配置された構造となってい
る。図15、図16にも示すように、容器体110の先
端には、2軸スクリュー型脱水装置13において水和脱
水された天然ガスハイドレートを各スクリューコンベア
111に取り入れる取入口110bが設けられている。
取入口110bには、上述したハイドレート配管54が
接続されている。
【0138】スクリューコンベア111は、取入口11
0bから導入された天然ガスハイドレートの搬送路を形
成する断面円形の搬送管(配管)112と、側面に螺旋
状の突条部113aを有し搬送管112の内部に配置さ
れた軸体113とを備え、搬送管112に導入された天
然ガスハイドレートを軸体113の回転によって軸方向
に搬送するものである。軸体113は、突条部113a
を搬送管112の内面に近接させて配置されるととも
に、自らの軸線を中心として所定方向に回転可能に支持
されており、駆動部114によって回転駆動される。容
器体110の内部には、上記構造のスクリューコンベア
111が、左右2列、上下2段の計4基配設されてい
る。
【0139】容器体110の終端には、軸体113の回
転によって搬送されてきた天然ガスハイドレートを取り
出す取出口110cが設けられている。取出口110c
はハイドレート配管115を介して後段のバルブ切替型
減圧装置15に接続されている。
【0140】容器体110の内部は、容器体110と搬
送管112とによって区画された二重構造となってお
り、容器体110の内面と搬送管112の外側面との間
には冷媒を導通する空間110aが画成されている。そ
して、取入口110bに近い容器体110の下部には、
空間110aに冷媒を導入する冷媒入口110fが設け
られ、取入口110bに近い容器体110の上部には、
空間110aから冷媒を導出する冷媒出口110gが設
けられている。
【0141】冷媒入口110fと冷媒出口110gとの
間には冷媒配管116が接続されており、この冷媒配管
116には冷媒昇圧機117および熱交換器118が設
けられている。冷媒配管116を循環して天然ガスハイ
ドレートと熱交換する冷媒にはアンモニアが使用されて
いる。
【0142】上記のように構成されたスクリューコンベ
ア型冷却装置14においては、2軸スクリュー型脱水装
置13から送り込まれた天然ガスハイドレートが、取入
口110bを通じて容器体110に収容されて各スクリ
ューコンベア111に振り分けられ、軸体113の回転
によって軸方向に搬送される過程で、空間110aに導
入された液相の冷媒によって冷却される。このとき、冷
媒は天然ガスハイドレートと熱交換して天然ガスハイド
レートから多量の熱を奪い、自らは気相に変化して空間
110aから導出される。冷媒の気化潜熱により氷点以
下の低温になるまで冷却された天然ガスハイドレート
は、取出口110cを通じてスクリューコンベア型冷却
装置14から取り出され、ハイドレート配管115を通
じてバルブ切替型減圧装置15に送り込まれる。
【0143】上記の生成システムによれば、スクリュー
コンベア型冷却装置14における冷却工程で、冷媒の気
化潜熱を利用して天然ガスハイドレートから多量の熱を
奪うので、冷却効率が格段に向上する。また、冷媒が導
入される容器体110の内部にスクリューコンベア11
1を複数配設することにより、天然ガスハイドレートと
冷媒との熱交換面積に相当する搬送管112の側面積
が、第1の実施形態と比較して格段に大きくなるので、
熱交換の効率がさらに高まる。
【0144】しかも、空間110aでは、導入された冷
媒が気化して浮上することにより、気相の冷媒から液相
の冷媒への更新が絶えず起こって搬送管112の周囲に
は常に液相の冷媒が存在することになるので、天然ガス
ハイドレートと冷媒との熱交換が絶えることなく起こっ
て冷却が促進される。また、下層の搬送管112の周囲
で気化した冷媒が、上層の搬送管112の間を漂いなが
ら浮上することにより、液相状態の冷媒が撹拌されるの
で、これによっても天然ガスハイドレートと冷媒との熱
交換が促進される。
【0145】したがって、上記の生成システムによれ
ば、脱水を終えた天然ガスハイドレートを効率よく冷却
することができ、冷却のために多くのエネルギーを浪費
することがない。また、冷却装置自体を小型化すること
ができ、設備コストの削減が図れる。
【0146】ところで、上記実施形態においては冷媒に
アンモニアを採用しているが、その他にプロパン、プロ
ピレン、また、これらの混合物等、アンモニアと同様に
天然ガスハイドレートと熱交換して気化する性質をもつ
ものであればどういった媒体を使用しても構わない。
【0147】また、スクリューコンベア111を複数設
けることで天然ガスハイドレートと冷媒との熱交換面積
が拡大されているので、条件によっては上記のように天
然ガスハイドレートと熱交換して気化する性質をもつ冷
媒を使用しなくても十分な冷却を行うことが可能であ
る。
【0148】上記実施形態においては、4基のスクリュ
ーコンベア111を左右2列、上下2段に配置したが、
スクリューコンベア111の数は4基に限らない。ま
た、それらの配置についても縦横の正方配列、千鳥配
列、まったくランダムな配列等、多様な配置が可能であ
る。
【0149】以上説明した第1から第12までの実施形
態の構成はいずれも単独でしか成立し得ないものではな
く、それぞれを組み合わせて多様な生成システムを構築
することが可能である。一例として、第13の実施形態
について説明する。なお、上記実施形態において既に説
明した構成要素には同一符号を付して説明は省略する。
図17は本発明に係る天然ガスハイドレートの生成シス
テムのプロセスを示すブロック図である。本実施形態に
おいては、天然ガスを水和脱水工程と生成工程の間で循
環しつつ、未反応ガス成分をパージすることにより、水
和脱水工程と生成工程に供される天然ガスの流量組成を
天然ガスハイドレート生成に適した値にすることが可能
となる。また、パージされた天然ガスはガスタービン1
0、続いて内燃機関9の順に続けて供されることによ
り、それのもつエネルギーを有効に利用することができ
る。
【0150】
【発明の効果】本発明よれば、天然ガスと水とを氷点よ
りも高温、かつ大気圧よりも高圧下で反応させ、水を凍
らせることなく天然ガスハイドレートを生成し、生成さ
れた天然ガスハイドレートを物理的に脱水し、さらにこ
の物理脱水の過程もしくは脱水後において天然ガスハイ
ドレートに含まれる残存水分を天然ガスと反応させて天
然ガスハイドレートを生成することによって天然ガスハ
イドレートの含水率を低下させ、これを氷点よりも低温
にまで冷却し、残存する水(氷)の中に凍りづけにした
のち減圧することで、より含水率の低い天然ガスハイド
レートが得られる。したがって、天然ガスハイドレート
の貯蔵や輸送にかかるコストを削減することができる。
【0151】本発明によれば、天然ガスハイドレートを
生成した後に残る未反応ガスや、減圧の過程で天然ガス
ハイドレートから放出される天然ガスを、原料として再
利用したり、内燃機関やボイラ等の燃料として利用した
り、タービンの駆動ガスとして利用したりすることによ
り、システム全体として天然ガスハイドレートの生成効
率が向上する。
【0152】本発明によれば、減圧の過程で分解する一
部のガスハイドレートの分解熱を利用することにより、
冷却のための設備を設けなくても、残りのガスハイドレ
ートを冷却することが可能なので、エネルギーの消費量
を抑えてガスハイドレートを効率よく生成することがで
きる。
【0153】本発明によれば、冷媒の気化潜熱を利用し
てガスハイドレートから多量の熱を奪うことにより、少
ない冷媒量でも効率よく冷却が行えるので、冷却装置を
小型化して設備コストの削減が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る第1の実施形態を示す図であっ
て、天然ガスハイドレートの生成システムのプロセスを
示すブロック図である。
【図2】 図1の生成システムの具体的な装置構成を示
す図である。
【図3】 本発明に係る第2の実施形態を示す図であっ
て、天然ガスハイドレートの生成システムのプロセスを
示すブロック図である。
【図4】 本発明に係る第3の実施形態を示す図であっ
て、天然ガスハイドレートの生成システムのプロセスを
示すブロック図である。
【図5】 本発明に係る第4の実施形態を示す図であっ
て、天然ガスハイドレートの生成システムのプロセスを
示すブロック図である。
【図6】 本発明に係る第5の実施形態を示す図であっ
て、天然ガスハイドレートの生成システムのプロセスを
示すブロック図である。
【図7】 本発明に係る第6の実施形態を示す図であっ
て、天然ガスハイドレートの生成システムのプロセスを
示すブロック図である。
【図8】 本発明に係る第7の実施形態を示す図であっ
て、天然ガスハイドレートの生成システムのプロセスを
示すブロック図である。
【図9】 本発明に係る第8の実施形態を示す図であっ
て、天然ガスハイドレートの生成システムのプロセスを
示すブロック図である。
【図10】 本発明に係る第9の実施形態を示す図であ
って、天然ガスハイドレートの生成システムのプロセス
を示すブロック図である。
【図11】 本発明に係る第10の実施形態を示す図で
あって、天然ガスハイドレートの生成システムのプロセ
スを示すブロック図である。
【図12】 図11の生成システムの具体的な装置構成
を示す図である。
【図13】 本発明に係る第11の実施形態を示す図で
あって、天然ガスハイドレートの生成システムの具体的
な装置構成を示す図である。
【図14】 本発明に係る第12の実施形態を示す図で
あって、天然ガスハイドレートの生成システムの具体的
な装置構成を示す図である。
【図15】 図14のスクリューコンベア型冷却装置1
4の具体的な装置構成を示す図である。
【図16】 図15のXVI-XVI線矢視断面図である。
【図17】 本発明に係る第13の実施形態を示す図で
あって、天然ガスハイドレートの生成システムのプロセ
スを示すブロック図である。
【図18】 ハイドレートの生成平衡線図である。
【符号の説明】
1 生成手段 2 物理脱水手段 3 水和脱水手段 4 冷却手段 5 減圧手段 6 成形手段 7 水冷却手段 8 天然ガス冷却手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07C 9/04 C07C 9/06 9/06 9/08 9/08 C10L 3/00 A C10L 3/10 B (72)発明者 伊東 勝夫 兵庫県神戸市兵庫区和田崎町一丁目1番1 号 三菱重工業株式会社神戸造船所内 (72)発明者 近藤 雄一 兵庫県神戸市兵庫区和田崎町一丁目1番1 号 三菱重工業株式会社神戸造船所内 (72)発明者 長安 弘貢 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目1番1号 三菱重工業株式会社高砂研究所内 (72)発明者 渡部 正治 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目1番1号 三菱重工業株式会社高砂研究所内 (72)発明者 江間 晴彦 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目1番1号 三菱重工業株式会社高砂研究所内 (72)発明者 吉川 孝三 兵庫県高砂市荒井町新浜二丁目8番19号 高菱エンジニアリング株式会社内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AA04 AB44 AC93 AD17 AD33 BB31 BC10 BC11 BC51 BC52 BD10 BD33 BD42 BD52 BD70 BD82 BD84 BE60

Claims (39)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 天然ガスと水とを氷点よりも高温、かつ
    大気圧よりも高圧下で反応させて天然ガスハイドレート
    を生成する生成工程と、 生成された天然ガスハイドレートを物理的に脱水する物
    理脱水工程と、 該物理脱水工程もしくは脱水後において天然ガスハイド
    レートに含まれる残存水分を天然ガスと反応させて天然
    ガスハイドレートを生成する水和脱水工程と、 生成された天然ガスハイドレートを冷却する冷却工程
    と、 冷却された天然ガスハイドレートを大気圧下に減圧する
    減圧工程とを備えることを特徴とする天然ガスハイドレ
    ートの生成方法。
  2. 【請求項2】 前記天然ガスハイドレートを成形固化す
    る工程を備えることを特徴とする請求項1記載の天然ガ
    スハイドレートの生成方法。
  3. 【請求項3】 前記脱水によって分離された水を前記生
    成工程に戻すことを特徴とする請求項1または2記載の
    天然ガスハイドレートの生成方法。
  4. 【請求項4】 前記水を前記生成工程に戻す前に冷却す
    ることを特徴とする請求項3記載の天然ガスハイドレー
    トの生成方法。
  5. 【請求項5】 前記水和脱水工程において天然ガスハイ
    ドレートの生成に供されなかった天然ガスを前記生成工
    程に導くことを特徴とする請求項1、2、3または4記
    載の天然ガスハイドレートの生成方法。
  6. 【請求項6】 前記天然ガスを前記水和脱水工程への導
    入前、または前記生成工程への導入前に冷却することを
    特徴とする請求項5記載の天然ガスハイドレートの生成
    方法。
  7. 【請求項7】 前記生成工程において天然ガスハイドレ
    ートの生成に供されなかった天然ガスを前記水和脱水工
    程に導くことを特徴とする請求項5または6記載の天然
    ガスハイドレートの生成方法。
  8. 【請求項8】 前記生成工程もしくは水和脱水工程にお
    いて天然ガスハイドレートを生成した後に残る未反応ガ
    スを除去することを特徴とする請求項1、2、3、4、
    5、6または7記載の天然ガスハイドレートの生成方
    法。
  9. 【請求項9】 前記未反応ガスを燃料として利用するこ
    とを特徴とする請求項8記載の天然ガスハイドレートの
    生成方法。
  10. 【請求項10】 前記未反応ガスをタービンの駆動ガス
    として利用することを特徴とする請求項8または9記載
    の天然ガスハイドレートの生成方法。
  11. 【請求項11】 前記減圧工程において前記天然ガスハ
    イドレートから放出される天然ガスを回収することを特
    徴とする請求項1ないし10のいずれか記載の天然ガス
    ハイドレートの生成方法。
  12. 【請求項12】 前記回収された天然ガスを天然ガスハ
    イドレートの原料として再利用することを特徴とする請
    求項11記載の天然ガスハイドレートの生成方法。
  13. 【請求項13】 前記回収された天然ガスを燃料として
    利用することを特徴とする請求項11または12記載の
    天然ガスハイドレートの生成方法。
  14. 【請求項14】 前記回収された天然ガスをタービンの
    駆動ガスとして利用することを特徴とする請求項11な
    いし13のいずれか記載の天然ガスハイドレートの生成
    方法。
  15. 【請求項15】 天然ガスと水とを氷点よりも高温、か
    つ大気圧よりも高圧下で反応させて天然ガスハイドレー
    トを生成する生成手段と、 生成された天然ガスハイドレートを物理的に脱水する物
    理脱水手段と、 前記脱水の過程もしくは脱水後において天然ガスハイド
    レートに含まれる残存水分を天然ガスと反応させて天然
    ガスハイドレートを生成する水和脱水手段と、 生成された天然ガスハイドレートを冷却する冷却手段
    と、 冷却された天然ガスハイドレートを大気圧下に減圧する
    減圧手段とを備えることを特徴とする天然ガスハイドレ
    ート生成システム。
  16. 【請求項16】 前記天然ガスハイドレートを成形固化
    する成形手段を備えることを特徴とする請求項15記載
    の天然ガスハイドレート生成システム。
  17. 【請求項17】 前記脱水によって分離された水を前記
    生成手段に戻すことを特徴とする請求項15または16
    記載の天然ガスハイドレート生成システム。
  18. 【請求項18】 前記分離された水を前記生成手段に戻
    す前に冷却する水冷却手段を備えることを特徴とする請
    求項17記載の天然ガスハイドレート生成システム。
  19. 【請求項19】 前記水和脱水手段において天然ガスハ
    イドレートの生成に供されなかった天然ガスを前記生成
    手段に導くことを特徴とする請求項15、16、17ま
    たは18記載の天然ガスハイドレート生成システム。
  20. 【請求項20】 前記天然ガスを前記水和脱水手段への
    導入前、または前記生成手段への導入前に冷却する天然
    ガス冷却手段を備えることを特徴とする請求項19記載
    の天然ガスハイドレート生成システム。
  21. 【請求項21】 前記生成手段において天然ガスハイド
    レートの生成に供されなかった天然ガスを前記水和脱水
    手段に導くことを特徴とする請求項19または20記載
    の天然ガスハイドレート生成システム。
  22. 【請求項22】 前記生成手段もしくは水和脱水工程に
    おいて天然ガスハイドレートを生成した後に残る未反応
    ガスを除去することを特徴とする請求項15、16、1
    7、18、19、20または21記載の天然ガスハイド
    レート生成システム。
  23. 【請求項23】 前記未反応ガスを燃料として利用する
    ことを特徴とする請求項22記載の天然ガスハイドレー
    ト生成システム。
  24. 【請求項24】 前記未反応ガスをタービンの駆動ガス
    として利用することを特徴とする請求項22または23
    記載の天然ガスハイドレート生成システム。
  25. 【請求項25】 前記減圧手段において減圧された天然
    ガスハイドレートから放出される天然ガスを回収するこ
    とを特徴とする請求項15ないし24のいずれか記載の
    天然ガスハイドレート生成システム。
  26. 【請求項26】 前記回収された天然ガスを加圧する圧
    縮機を備えることを特徴とする請求項25記載の天然ガ
    スハイドレート生成システム。
  27. 【請求項27】 前記回収された天然ガスを一時的に保
    持するバッファタンクを備えることを特徴とする請求項
    25または26記載の天然ガスハイドレート生成システ
    ム。
  28. 【請求項28】 前記回収された天然ガスを天然ガスハ
    イドレートの原料として再利用することを特徴とする請
    求項25ないし27のいずれか記載の天然ガスハイドレ
    ート生成システム。
  29. 【請求項29】 前記回収された天然ガスを燃料として
    利用することを特徴とする請求項25ないし28のいず
    れか記載の天然ガスハイドレート生成システム。
  30. 【請求項30】 前記回収された天然ガス天然ガスをタ
    ービンの駆動ガスとして利用することを特徴とする請求
    項25ないし29のいずれか記載の天然ガスハイドレー
    ト生成システム。
  31. 【請求項31】 ガスハイドレートを減圧する過程で該
    ガスハイドレートの一部を分解させ、その分解熱によっ
    て残りのガスハイドレートを冷却することを特徴とする
    ガスハイドレートの冷却方法。
  32. 【請求項32】 ガスハイドレートを一時的に保持する
    減圧容器と、該減圧容器の内部で前記ガスハイドレート
    の一部が分解することにより発生したガスを排出する排
    気路とを備えることを特徴とするガスハイドレート冷却
    装置。
  33. 【請求項33】 ガスハイドレートを冷媒と熱交換させ
    て冷却するガスハイドレートの冷却方法であって、前記
    冷媒を、前記ガスハイドレートとの熱の授受により気化
    させることを特徴とするガスハイドレートの冷却方法。
  34. 【請求項34】 ガスハイドレートを搬送する搬送路
    と、該搬送路に隣接するも該搬送路とは区切られた空間
    とを有し、該空間に、前記搬送路に在るガスハイドレー
    トと熱交換して該ガスハイドレートを冷却し自らは気化
    する冷媒を導入することを特徴とするガスハイドレート
    冷却装置。
  35. 【請求項35】 前記空間に、前記搬送路を画成する配
    管が複数設けられていることを特徴とする請求項34記
    載のガスハイドレート冷却装置。
  36. 【請求項36】 前記配管が上下方向に階層的に配設さ
    れていることを特徴とする請求項35記載のガスハイド
    レート冷却装置。
  37. 【請求項37】 前記配管の内側に、側面に螺旋状の突
    条部を有し自ら回転することで該突条部に沿って軸方向
    に前記ガスハイドレートを押し出す軸体が配設されてい
    ることを特徴とする請求項35または36記載のガスハ
    イドレート冷却装置。
  38. 【請求項38】 ガスハイドレートを搬送する搬送路
    と、該搬送路に隣接するも該搬送路とは区切られた空間
    とを有し、該空間に、前記搬送路に在るガスハイドレー
    トと熱交換して該ガスハイドレートを冷却する冷媒を導
    入することを特徴とするガスハイドレート冷却装置であ
    って、 前記空間に、前記搬送路を画成する配管が複数設けられ
    ていることを特徴とするガスハイドレート冷却装置。
  39. 【請求項39】 原料ガスと水とを反応させることによ
    って生成されるガスハイドレートを成形固化することを
    特徴とするガスハイドレート成形装置。
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