JP2010173985A - 炭化水素系燃料の製造方法および炭化水素系燃料製造設備 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】原料ガスである副生ガスを圧縮機3により所定の圧力まで昇圧し、昇圧された副生ガスを触媒反応器4に供給して副生ガスに含まれる水素と一酸化炭素から炭化水素系燃料を合成した後、触媒反応器4から排出されたオフガスを炭化水素系燃料の液化温度まで冷却し、冷却されたオフガスを気液分離器6により液体成分と気体成分とに分離して炭化水素系燃料を製造するに際して、気液分離器6により液体成分から分離された気体成分に含まれる未反応の燃料成分を膜分離法または物理的吸着法により非燃料成分と分離して未反応の燃料成分を回収し、回収された未反応の燃料成分を原料ガスとして再利用する。
【選択図】図1
Description
しかし、製鉄所で発生する副生ガスはその発生量や消費量が時々刻々と変動する。このため、数万〜数十万m3の容積を有するガスホルダーを用いて副生ガスの需給量を調整しているが、このようなガスホルダーを用いても副生ガスの需給量を調整できる時間は数分から数十分程度と非常に短い。そこで、副生ガスの成分の一部をメタノール(CH3OH)、エタノール(CH3COOH)、ジメチルエーテル(CH3OCH3)などの炭化水素系燃料に転換して液化貯蔵可能な燃料として用いることが従来から提案されており、特に、ジメチルエーテルはメタノールやエタノールに比べて、より低い温度と圧力で合成が可能であると共に常温常圧で気体であり、LPGやLNGと同様な使用が可能であることから、副生ガスを触媒に接触させ、副生ガスに含まれる水素と一酸化炭素とを触媒により化学反応させてジメチルエーテルを製造する方法が知られている(特許文献1〜3参照)。
そこで、反応後のガスからジメチルエーテルを分離する方法として、反応後のガスにメタノールを添加し、添加されたメタノールにジメチルエーテルを吸収させて分離する方法が提案されている(特許文献4,5参照)。
本発明は上述した問題点に鑑みてなされたもので、製鉄所の副生ガスから液化貯蔵可能な炭化水素系燃料を効率的に製造することのできる炭化水素系燃料の製造方法と炭化水素系燃料製造設備を提供することを目的とするものである。
請求項3の発明は、請求項1または2記載の炭化水素系燃料の製造方法において、前記副生ガスが転炉ガス、高炉ガス、コークス炉ガスのうちいずれか1種または2種以上の混合ガスであることを特徴とするものである。
請求項5の発明は、請求項4記載の炭化水素系燃料製造設備において、前記気液分離器により液体成分から分離された気体成分の圧力を利用して前記圧縮機を駆動するガスタービンと、をさらに備えたことを特徴とするものである。
請求項2及び5記載の発明によれば、気液分離器により液体成分から分離された気体成分の圧力を圧縮機の動力源として利用できる。
図1は本発明の一実施形態に係る炭化水素系燃料製造設備の概略構成例を示す図であり、本発明の一実施形態に係る炭化水素系燃料製造設備は、不純物除去器1、脱硫処理器2、圧縮機3、触媒反応器4、ガス冷却器5、気液分離器6、燃料貯蔵容器7、ガスタービン8、未反応燃料成分回収器の一例としての吸着分離装置9、バッファタンク16および回収成分供給ライン10を備えている。
圧縮機3は脱硫処理器2からの原料ガスを所定の圧力(例えば、得ようとする燃料がジメチルエーテルの場合は3〜5MPa、メタノールの場合は5〜10MPa、エタノールの場合は8MPa)まで昇圧するものであって、この圧縮機3により昇圧された原料ガスは触媒反応器4に供給されるようになっている。
ガス冷却器5は触媒反応器4から排出されたオフガスを炭化水素系燃料の液化温度(例えば、ジメチルエーテルの場合は−40℃、エタノールの場合は40℃)まで冷却するものであって、このガス冷却器5により冷却されたガスは気液分離器6に供給されるようになっている。
ガスタービン8は気液分離器6により液体成分から分離された気体成分の圧力を回転エネルギに変換して圧縮機3を駆動するものであって、このガスタービン8から排出されたガスは吸着分離装置9に供給されるようになっている。
上述のように、気液分離器6により液体成分から分離された気体成分から、吸着分離装置9で未反応の燃料成分を回収し、回収された未反応の燃料成分を原料ガスとして再利用することで、回収された未反応の燃料成分を原料ガスとして再利用する際に原料ガスの二酸化炭素濃度が高くなって水素と一酸化炭素との反応率の低下を抑制できる。したがって、製鉄所の副生ガスからジメチルエーテルなどの液化貯蔵可能な炭化水素系燃料を効率的に製造することができる。
なお、上述した本発明の一実施形態では、気液分離器6により液体成分から分離された気体成分に含まれる未反応の燃料成分を回収する方法として、PSA(Pressure Swing Adsorption)法、TSA(Temperature Swing Adsorption)法などの物理的吸着法を用いて回収できるが、これに限られるものではなく、例えば膜分離法を用いて未反応の燃料成分を回収するようにしてもよい。なお、PSA法を用いた場合には、一酸化炭素に対する吸着性の高い吸着剤を使用することによって未反応の一酸化炭素を回収して再利用することができる。
このとき、気液分離器6により液体成分から分離されたガス成分(一酸化炭素:25体積%、水素:25体積%、二酸化炭素:17体積%、窒素:19体積%、メタン:14体積%)をガスタービン8に供給し、圧縮機3の動力源として利用した後、PSA法を利用した未反応燃料成分回収器9に供給した。未反応燃料成分回収器9は同じ吸着剤を充填した二本の吸着器9aおよび9bからなり、交互にガスの吸着と放出を繰り返すことで連続的に使用した。すなわち、以下に述べる(1)の工程と(2)の工程を繰り返すことでガスタービン8に供給された後のガスの未反応燃料成分回収器9への供給と、同回収器9からのガスの放出を連続的に行なえるようにした。
(2)吸着器9a内の圧力が800kPaに達した時点で開閉弁12aと13bを閉、12bと13aを開として、吸着器9a内のガスを開閉弁13aを通して吸着器9a内の圧力が100kPa程度になるまでガスを放出すると同時に、吸着器9bにガスタービン8に供給された後のガスを同様に吸着器9b内の圧力が800kPaに達するまで供給した。
このとき、回収成分供給ライン10を通じて供給されるガスを除く原料ガスに含まれる水素と一酸化炭素がジメチルエーテルやメタノールに転化する転化率(反応率)を求めたところ、26.8%であった。これは、気液分離器6により液体成分から分離されたガス成分を未反応燃料成分回収器9に供給しないでジメチルエーテルなどの炭化水素系燃料を製鉄所の副生ガスから製造した場合の24.4%に比べ、転化率が約1割程度向上していた。また、転化率向上による原料ガスである転炉ガスおよびコークス炉ガスの使用量はそれぞれ3%および44%減少した。
2 脱硫処理器
3 圧縮機
4 触媒反応器
5 ガス冷却器
6 気液分離器
7 燃料貯蔵容器
8 ガスタービン
9 吸着分離装置(未反応燃料成分回収器)
10 回収成分供給ライン
11 製鉄所施設
12〜15 開閉弁
16 バッファタンク
17 流量制御弁
Claims (5)
- 製鉄所で発生する副生ガスを原料ガスとして炭化水素系燃料を製造する方法であって、前記原料ガスを昇圧し、触媒反応を用いて、昇圧した原料ガスに含まれる水素と一酸化炭素とから炭化水素系燃料を合成した後、液化温度まで冷却し、液体成分と気体成分とに分離して炭化水素系燃料を製造するに際して、前記液体成分から分離された気体成分に含まれる未反応の燃料成分を膜分離法または物理的吸着法を用いて回収し、未反応の燃料成分を原料ガスとして再利用することを特徴とする炭化水素系燃料の製造方法。
- 請求項1記載の炭化水素系燃料の製造方法において、前記液体成分から分離された気体成分の圧力を前記原料ガスの昇圧用エネルギとして利用することを特徴とする炭化水素系燃料の製造方法。
- 請求項1または2記載の炭化水素系燃料の製造方法において、前記副生ガスが転炉ガス、高炉ガス、コークス炉ガスのうちいずれか1種または2種以上の混合ガスであることを特徴とする炭化水素系燃料の製造方法。
- 製鉄所で発生する副生ガスを原料ガスとして炭化水素系燃料を製造する設備であって、
前記原料ガスから不純物を除去する不純物除去器と、
この不純物除去器を通過した原料ガスを脱硫処理する脱硫処理器と、
この脱硫処理器により脱硫処理された原料ガスを所定の圧力まで昇圧する圧縮機と、
この圧縮機により昇圧された原料ガスに含まれる水素と一酸化炭素とから炭化水素系燃料を触媒により合成する触媒反応器と、
この触媒反応器から排出されたオフガスを炭化水素系燃料の液化温度まで冷却するガス冷却器と、
このガス冷却器により冷却されたオフガスを液体成分と気体成分とに分離する気液分離器と、
この気液分離器により気体成分から分離された液体成分を炭化水素系燃料として貯蔵する燃料貯蔵容器と、
前記気液分離器により液体成分から分離された気体成分に含まれる未反応の燃料成分を膜分離法または物理的吸着法により非燃料成分と分離して回収する未反応燃料成分回収器と、
この未反応燃料成分回収器により回収された未反応の燃料成分を貯蔵するバッファタンクと、
このバッファタンクに貯蔵された燃料成分を原料ガスの一部として前記圧縮機に供給する回収成分供給ラインと、
を備えたことを特徴とする炭化水素系燃料製造設備。 - 前記気液分離器により液体成分から分離された気体成分の圧力を利用して前記圧縮機を駆動するガスタービンと、をさらに備えたことを特徴とする請求項4記載の炭化水素系燃料製造設備。
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