JP2003098666A - 感光性樹脂組成物及びプリント配線板 - Google Patents

感光性樹脂組成物及びプリント配線板

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Abstract

(57)【要約】 【課題】タック性がなく、耐熱性、可撓性、密着性がよ
くその他の塗膜性能も劣ることがなく、特に使用目的に
合わせた特性が得られるように設計できるソルダーレジ
スト用感光性樹脂組成物及びこれを用いたプリント配線
板を提供する。 【解決手段】(A)1分子中に少なくとも2個のエチレ
ン性不飽和結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂、
(B)光重合開始剤、(C)希釈剤及び(D)熱硬化性
化合物を含有する感光性樹脂組成物において、上記
(A)はトリグリシジルイソシアヌレートとビスフェノ
ール型エポキシ樹脂の混合物に対して不飽和モノカルボ
ン酸、多塩基酸を順次反応させて得られる樹脂を含有す
る感光性樹脂組成物及びこれを用いたプリント配線板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、紫外線露光及び希アル
カリ水溶液による現像で画像形成可能であり、タック性
(指触乾燥性)に優れるとともに、可撓性、密着性、耐
熱性等の塗膜性能にも優れ、しかもその他の塗膜性能も
良い水準を維持できる、例えばプリント配線板用ソルダ
ーレジストとして好適な感光性樹脂組成物及びこれを用
いたプリント配線板に関する。
【0002】
【従来の技術】プリント配線板は、基板の上に導体回路
のパターンを形成し、そのパターンのはんだ付けランド
に電子部品をはんだ付けすることにより搭載するための
ものであり、そのはんだ付けランドを除く回路部分は永
久保護皮膜としてのソルダーレジスト膜で被覆される。
これにより、プリント配線板に電子部品をはんだ付けす
る際にはんだが不必要な部分に付着するのを防止すると
共に、回路導体が空気に直接曝されて酸化や湿度により
腐食されるのを防止する。従来、ソルダーレジスト膜
は、基板上にその溶液組成物をスクリーン印刷法でパタ
ーン形成し、溶剤を除く乾燥をした後、紫外線または熱
により硬化させることが主流とされてきた。
【0003】ところが、最近、プリント配線基板の配線
密度の向上(細密化)の要求にともないソルダーレジス
ト組成物(ソルダーレジストインキ組成物ともいう)も
高解像性、高精度化が要求され、民生用基板、産業用基
板を問わずスクリーン印刷法から、位置精度、導体エッ
ジ部の被覆性に優れる液状フォトソルダーレジスト法
(写真現像法)が提案されている。例えば特開昭50ー
144431号、特開昭51ー40451号公報には、
ビスフェノール型エポキシアクリレート、増感剤、エポ
キシ化合物、エポキシ硬化剤などからなるソルダーレジ
スト組成物が開示されている。これらのソルダーレジス
ト組成物は、プリント配線板上に感光性樹脂組成物であ
る液状組成物を全面塗布し、溶媒を揮発させた後、露光
して未露光部分を有機溶剤を用いて除去し、現像するも
のである。しかし、この有機溶剤による未露光部分の除
去(現像)は、有機溶剤を多量に使用するため、環境汚
染や火災などの危険性があるのみならず、環境汚染の問
題があり、特に人体に与える影響が最近大きくクローズ
アップされてきていることから、その対策に苦慮してい
るのが現状である。
【0004】これらの問題を解決するために、希アルカ
リ水溶液で現像可能なアルカリ現像型フォトソルダーレ
ジスト組成物が提案されている。例えば特開昭56ー4
0329号、特開昭57ー45785号公報には、エポ
キシ樹脂に不飽和モノカルボン酸を反応させ、更に多塩
基酸無水物を付加させた反応生成物をベースポリマーと
する材料が開示されている。また、特公平1ー5439
0号公報には、ノボラック型エポキシ樹脂と不飽和モノ
カルボン酸との反応物と、飽和または不飽和多塩基酸無
水物とを反応せしめて得られる活性エネルギー線硬化性
樹脂と、光重合開始剤を含有する希アルカリ水溶液によ
り現像可能な光硬化性の液状レジストインキ組成物が開
示されている。
【0005】これらの液状ソルダーレジスト組成物は、
エポキシアクリレートにカルボキシル基を導入すること
によって、光感光性や希アルカリ水溶液での現像性を付
与させたものであるが、この組成物にはさらに、その塗
膜を露光、現像処理して所望のレジストパターンを形成
した後、通常、熱硬化させるために、熱硬化性成分とし
て、一般的にはエポキシ化合物を含有させ、上記のエポ
キシアクリレートに導入した側鎖のカルボキシル基とエ
ポキシ基とを反応させる加熱硬化を行ない、密着性、硬
度、耐熱性、電気絶縁性などに優れるレジスト膜を形成
させている。この場合、一般的にはエポキシ樹脂ととも
に、エボキシ樹脂用硬化剤が併用される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ノボラ
ック型エポキシ樹脂に対して、不飽和モノカルボン酸を
付加させ、さらに多塩基酸を付加して得られる樹脂を含
有するソルダーレジスト組成物は、その樹脂を得るには
不飽和モノカルボン酸として例えば(メタ)アクリル酸
を使用し、多塩基酸にはマレイン酸等の不飽和二塩基酸
を使用しているが、タック性に改善の余地があるのみな
らず、例えば耐熱性や、耐金メッキ性に必要な塗膜の可
撓性、密着性等の特性をその使用目的に合わせて格段に
優れるように設計しようとしても、ノボラック型エポキ
シ樹脂に結合するこれら反応物はそれぞれの単分子化合
物を結合した鎖状化合物であり、それぞれの単分子化合
物の範囲は限られていて、取り入れられる骨格そのもの
も比較的単純な鎖状結合であり選択幅が少ないので、ノ
ボラック型エポキシ樹脂に結合するこの鎖状化合物をそ
の限られた範囲内で変化させるだけではその設計を行な
い難いという問題がある。
【0007】本発明の第1の目的は、紫外線露光及び希
アルカリ水溶液による現像で画像形成可能であり、タッ
ク性(指触乾燥性)に優れるとともに、可撓性、密着
性、耐熱性等の塗膜性能にも優れ、しかもその他の塗膜
性能も良く維持することができる塗膜のパターンを与え
ることができる感光性樹脂組成物を提供することにあ
る。本発明の第2の目的は、特に格段にタック性と耐熱
性を向上させたり、特に格段に可撓性と密着性を向上さ
せて例えば金メッキを良く行なえるように使用目的に応
じた特性が得られる設計をし易くできる感光性樹脂組成
物を提供することにある。本発明の第3の目的は、上記
目的を達成する感光性樹脂組成物のソルダーレジスト膜
の硬化膜を有する電子部品搭載前又は後のプリント配線
板を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意研究した結果、トリグリシジルイ
ソシアヌレートとビスフェノール型エポキシ樹脂の混合
物に対し、不飽和モノカルボン酸及び多塩基酸を順次反
応させて得られる樹脂をその他の通常用いる成分ととも
に含有する感光性樹脂組成物は、その塗布膜はタック性
が良く(ベタつかず)、その硬化膜は可撓性、基板への
密着性、耐熱性が良く、しかもトリグリシジルイソシア
ヌレートとビスフェノール型エポキシ樹脂の混合比率に
より、これらの性能の内タック性と耐熱性や、可撓性と
基板への密着性を格段に向上させることができることを
見出し、本発明をするに至った。すなわち、本発明は、
(1)、(A)エチレン性不飽和結合を有する活性エネ
ルギー線硬化性樹脂、(B)光重合開始剤、(C)希釈
剤及び(D)熱硬化性化合物を含有する感光性樹脂組成
物において、上記(A)エチレン性不飽和結合を有する
活性エネルギー線硬化性樹脂がトリグリシジルイソシア
ヌレートとビスフェノール型エポキシ樹脂の混合物に対
してラジカル重合性不飽和モノカルボン酸を反応させ、
その生成した水酸基に飽和若しくは不飽和の多塩基酸又
は飽和若しくは不飽和の多塩基酸無水物を反応させて得
られる多塩基酸変性不飽和モノカルボン酸化混成エポキ
シ樹脂を含有する感光性樹脂組成物を提供するものであ
る。また、本発明は、(2)、(A)エチレン性不飽和
結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂の酸価が50
〜180mgKOH/gである上記(1)の感光性樹脂
組成物、(3)、トリグリシジルイソシアヌレートとビ
スフェノール型エポキシ樹脂の混合物中のトリグリシジ
ルイソシアヌレートの含有量が30〜90%である上記
(1)又は(2)の感光性樹脂組成物、(4)、トリグ
リシジルイソシアヌレートとビスフェノール型エポキシ
樹脂の混合物のエポキシ基1モルに対してラジカル重合
性不飽和モノカルボン酸を0.4〜0.9モルを反応さ
せる上記(1)ないし(3)のいずれかの感光性樹脂組
成物、(5)、トリグリシジルイソシアヌレートとビス
フェノール型エポキシ樹脂の混合物に対してラジカル重
合性不飽和モノカルボン酸を反応させ、その反応生成物
に生成した水酸基1モルに対して0.7〜2.0モルの
飽和若しくは不飽和の多塩基酸又は飽和若しくは不飽和
の多塩基酸無水物を反応させる上記(1)ないし(4)
のいずれかの感光性樹脂組成物、(6)、(A)エチレ
ン性不飽和結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂1
00gに対し、(B)光重合開始剤を0.2〜30gの
割合で用いる上記(1)ないし(5)のいずれかの感光
性樹脂組成物、(7)、(C)希釈剤が光重合性モノマ
ー及び有機溶剤の少なくとも1種であり、(A)エチレ
ン性不飽和結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂1
00gに対し、該光重合性モノマー及び有機溶剤の少な
くとも1種を2〜40gの割合で用いる上記(1)ない
し(6)のいずれかの感光性樹脂組成物、(8)、
(D)熱硬化性化合物としてエポキシ系化合物を単独又
はその他の熱硬化性化合物とともに用い、その単独又は
併用して用いる使用量の割合は(A)エチレン性不飽和
結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂100gに対
し、5〜100gの割合である上記(1)ないし(7)
のいずれかの感光性樹脂組成物、(9)、上記1ないし
8のいずれかの感光性樹脂組成物の硬化膜を有するソル
ダーレジスト膜を被覆した電子部品を搭載する前又はし
た後のプリント配線板を提供するものである。
【0009】本発明において、「(A)1分子中に少な
くとも2個のエチレン性不飽和結合を有する活性エネル
ギー線硬化性樹脂」は、「トリグリシジルイソシアヌレ
ートとビスフェノール型エポキシ樹脂の混合物に対して
ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸を反応させ、その
生成した水酸基に飽和若しくは不飽和の多塩基酸又は飽
和若しくは不飽和の多塩基酸無水物(以下、飽和若しく
は不飽和の多塩基酸又はその無水物ということがある)
を反応させて得られる多塩基酸変性不飽和モノカルボン
酸化混成エポキシ樹脂」、そのものが好ましいが、その
ものを主成分とするものでもよく、上記のトリグリシジ
ルイソシアヌレートとビスフェノール型エポキシ樹脂の
混合物の代わりにこれら以外の他のエポキシ系化合物
(例えばノボラック型エポキシ樹脂等)を用いること以
外は同様にして得られる多塩基酸変性不飽和モノカルボ
ン酸化エポキシ樹脂を併用しても良い。トリグリシジル
イソシアヌレートはイソシアヌル酸骨格を有し、ビスフ
ェノール型エポキシ樹脂はベンゼン環を有し、いずれも
環状基を単数又は複数有する骨格を有し、多官能のエポ
キシ化合物が好ましいが、その重合度によって分子量も
種々に変えたものを使用することができる。これらのエ
ポキシ系化合物のエポキシ当量としては80〜500が
最終的に得られる多塩基酸変性不飽和モノカルボン酸化
混成エポキシ樹脂の感光特性向上の点で好ましく、分子
量としては200〜1000がその樹脂を合成する上で
反応の制御を行ない易い点で好ましい。
【0010】上記トリグリシジルイソシアヌレートとし
ては、TEPIC−G(エポキシ当量105、日産化学
社製)が挙げられる。また、上記ビスフェノール型エポ
キシ樹脂としては、ビスフェノールA型として、エピコ
ート828(エポキシ当量190、常温で液状、油化シ
ェル社製)、エピコート1001(エポキシ当量46
0、油化シェル社製)等が挙げられる。トリグリシジル
イソシアヌレートとビスフェノール型エポキシ樹脂の混
合割合は、得られる上記の多塩基酸変性不飽和モノカル
ボン酸化混成エポキシ樹脂を使用した感光性樹脂組成物
では、前者が多いほどタック性が改善される度合いが高
く、少なくとも65%(65%以上)では格段に改善さ
れる。また、後者が多いほどその硬化塗膜の可撓性、プ
リント回路基板に対する密着性が改善される度合いが高
く、少なくとも50%(50%以上)では格段に改善さ
れ、さらに後者が少なくとも65%(65%以上)のも
のは、電気特性試験の内の「変色」(高温高湿度下の直
流電圧を印加した状態での硬化塗膜の変色がなきこと)
に格段に優れる。これらの格段に優れる性能は、いずれ
の混合割合の場合の硬化塗膜のはんだ耐熱性(溶融はん
だが接触したときの耐熱性)とともに、上記のそれぞれ
のエポキシ系化合物を使用して得られる多塩基酸変性不
飽和モノカルボン酸化エポキシ樹脂を使用した感光性樹
脂組成物(従来例)に比べれば勿論のこと格段に顕著に
優れる。また、いずれの混合割合の場合の感光性樹脂組
成物としても、上記各性能はこれらの従来例のものより
格段に優れるが、その他の性能(後述する感度、熱管理
幅、上記以外の塗膜性能)もこれら従来例のものより優
れることはあっても劣ることはないようにすることがで
きる。
【0011】上記の2種エポキシ系化合物の混合物とラ
ジカル重合性不飽和モノカルボン酸を反応させると、エ
ポキシ基とカルボキシル基の反応によりエポキシ基が開
裂し水酸基とエステル結合が生成する。使用するラジカ
ル重合性不飽和モノカルボン酸としては、特に制限は無
く、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂
皮酸などがあるが、アクリル酸及びメタクリル酸の少な
くとも一方(以下、(メタ)アクリル酸ということがあ
る。)が好ましく、特にアクリル酸が好ましい。エポキ
シ樹脂とラジカル重合性不飽和モノカルボン酸との反応
方法に特に制限は無く、例えばエポキシ樹脂とアクリル
酸を適当な希釈剤中で加熱することにより反応できる。
希釈剤としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロ
ヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香
族炭化水素類、メタノール、イソプロパノール、シクロ
ヘキサノール、などのアルコール類、シクロヘキサン、
メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、石油エー
テル、石油ナフサ等の石油系溶剤類、セロソルブ、ブチ
ルセロソルブ等のセロソルブ類、カルビトール、ブチル
カルビトール等のカルビトール類、酢酸エチル、酢酸ブ
チル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテ
ート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールア
セテート等の酢酸エステル類等を挙げることができる。
また触媒としては、例えば、トリエチルアミン、トリブ
チルアミンなどのアミン類、トリフェニルホスフィン、
トリフェニルホスフェートなどのリン化合物類等を挙げ
ることができる。
【0012】上記の2種のエポキシ系化合物の混合物と
ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸の反応において、
その各エポキシ系化合物としては1分子中に2個以上の
エポキシ基を有する多官能エポキシ化合物を用いるが、
その2種のエポキシ系化合物の混合物のエポキシ基1モ
ル(1当量)に対し、ラジカル重合性不飽和モノカルボ
ン酸が1モルより少ない0.4〜0.9モル反応させる
ことが好ましい。この場合、ラジカル重合性不飽和モノ
カルボン酸が1モルより少なければ少ないほど、エポキ
シ系化合物の1種の分子にラジカル重合性不飽和モノカ
ルボン酸が付加することによって生じた水酸基に対し、
あるいは後に反応させる飽和若しくは不飽和の多塩基酸
又はその無水物の反応によって生じるカルボキシル基に
対して他種のエポキシ系化合物の分子が付加することが
でき易く、混合して使用したエポキシ系化合物は相互に
複数分子結合した樹脂となり易い。逆にラジカル重合性
不飽和モノカルボン酸が1モルより多くなればなるほ
ど、混合使用した各種のエポキシ系化合物とラジカル重
合性不飽和モノカルボン酸の付加物の混合物となり易
い。ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸が0.4モル
未満であると、感光性樹脂の感光性が低下し、画像形成
が困難になり、また、エポキシ系化合物の相互結合量が
多くなるため、分子量の増加、熱安定性の低下、ゲル化
が起こり易くなる。上記の2種のエポキシ系化合物の混
合物とラジカル重合性不飽和モノカルボン酸の希釈剤中
での反応においては、希釈剤の配合量が反応系の総重量
に対して、20〜50%である事が好ましい。その反応
生成物は単離することなく、希釈剤の溶液のまま、次の
工程で飽和若しくは不飽和の多塩基酸又はその無水物多
塩基酸類との反応に供する事ができる。
【0013】上記の2種のエポキシ系化合物の混合物と
ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸との反応生成物で
ある不飽和モノカルボン酸化エポキシ系化合物に、飽和
若しくは不飽和の多塩基酸又はその無水物を反応させて
上記の多塩基酸変性不飽和モノカルボン酸化混成エポキ
シ樹脂を得る。このような飽和若しくは不飽和の多塩基
酸としては、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、クエ
ン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、3−メチルテ
トラヒドロフタル酸、4−メチルテトラヒドロフタル
酸、3−エチルテトラヒドロフタル酸、4−エチルテト
ラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、3−メチル
ヘキサヒドロフタル酸、4−メチルヘキサヒドロフタル
酸、3−エチルヘキサヒドロフタル酸、4−エチルヘキ
サヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチ
ルヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ
フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル
酸、トリメリット酸、ピロメリット酸及びジグリコール
酸等が挙げられ、多塩基酸無水物としてはこれらの無水
物が挙げられる。これらの化合物は単独で使用すること
ができ、また2種以上を混合してもよい。飽和若しくは
不飽和の多塩基酸又はその無水物は、上記の2種のエポ
キシ系化合物の混合物とラジカル重合性不飽和モノカル
ボン酸との反応で生成した水酸基に反応し、遊離のカル
ボキシル基を持たせる。反応させようとする飽和若しく
は不飽和の多塩基酸又はその無水物の使用量は、上記の
2種のエポキシ系化合物の混合物とラジカル重合性不飽
和モノカルボン酸との反応生成物に有する水酸基1モル
に対して、0.7〜2.0モルである事が望ましい。露
光時に高感度の樹脂膜が得られる点からは、好ましくは
1.0〜1.8モルの割合で反応させる。0.7モル未
満であると得られた樹脂の希アルカリ現像性が低下する
ことがあり、また2.0モルを超えると最終的に得られ
る硬化塗膜の諸特性(例えば耐水性等)を低下させるこ
とがある。飽和若しくは不飽和の多塩基酸又はその無水
物は、上記の不飽和モノカルボン酸化エポキシ化合物に
添加され、脱水縮合反応され、反応時生成した水は反応
系から連続的に取り出すことが好ましいが、その反応は
加熱状態で行うのが好ましく、その反応温度は、70〜
130℃である事が好ましい。反応温度が130℃を超
えると、エポキシ樹脂に結合されたものや、未反応モノ
マーのラジカル重合性不飽和基が熱重合を起こし易くな
り合成が困難になることがあり、また70℃未満では反
応速度が遅くなり、実際の製造上好ましくないことがあ
る。得られた多塩基酸変性不飽和モノカルボン酸化混成
エポキシ樹脂の酸価は50〜180mgKOH/gであ
ることが好ましい。これより少ないとこの樹脂を使用し
た感光性樹脂組成物の現像性を良くし難く、これより多
いとその塗膜の耐水性等を良くし難くなる。
【0014】上記の多塩基酸変性不飽和モノカルボン酸
化混成エポキシ樹脂も感光性樹脂として使用できるが、
この樹脂の有するカルボキシル基に、1つ以上のラジカ
ル重合性不飽和基とエポキシ基を持つグリシジル化合物
を反応させることにより、ラジカル重合性不飽和基を更
に導入し、さらに感光性を向上させた感光性樹脂として
もよい。この感光性を向上させた感光性樹脂は、最後の
グリシジル化合物の反応によってラジカル重合性不飽和
基が、その前駆体の感光性樹脂の高分子の骨格の側鎖に
結合するため、光重合反応性が高く、優れた感光特性を
持つことができる。1つ以上のラジカル重合性不飽和基
とエポキシ基を持つ化合物としては、例えば、グリシジ
ルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグ
リシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリアクリレ
ートモノグリシジルエーテル等が挙げられる。なお、グ
リシジル基は1分子中に複数有していてもよい。これら
の化合物は単独で用いてもよく、混合して用いてもよ
い。上記グリシジル化合物は、上記の多塩基酸変性不飽
和モノカルボン酸化混成エポキシ樹脂の溶液に添加して
反応させるが、その樹脂に導入したカルボキシル基1モ
ルに対し、通常0.05〜0.5モルの割合で反応させ
る。得られる感光性樹脂を含有する感光性樹脂組成物の
感光性(感度)や、熱管理幅(塗布膜乾燥時の未露光対
応部分の現像時除去可能な塗布膜硬化度の熱的許容限度
の管理範囲)及び電気絶縁性等の電気特性などのことを
考慮すると、好ましくは0.1〜0.5モルの割合で反
応させるのが有利である。反応温度は80〜120℃が
好ましい。このようにして得られるグリシジル化合物付
加多塩基酸変性不飽和モノカルボン酸化混成エポキシ樹
脂からなる感光性樹脂は酸価が60〜250mgKOH/gで
ある事が好ましい。
【0015】本発明においては、上記(A)成分のほか
に、「(B)光重合開始剤」及び「(C)希釈剤」、さ
らには「(D)熱硬化性化合物」と混合して使用するこ
とにより、本発明の感光性樹脂組成物とすることがで
き、例えばプリント配線板製造用ソルダーレジスト組成
物として好適に使用することができる。上記「(B)光
重合開始剤」としては、特に制限はなく、従来知られて
いるものはいずれも使用できる。具体的には、代表的な
ものとしては例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエ
ーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプ
ロピルエーテル、ベンゾインーnーブチルエーテル、ベ
ンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチ
ルアミノアセトフェノン、2, 2- ジメトキシ−2−フ
ェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェ
ニルアセトフェノン、2- ヒドロキシ−2−メチル−1
−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロ
ヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メ
チルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−プロパン−
1−オン、4- (2-ヒドロキシエトキシ) フェニル−2-
(ヒドロキシ-2- プロピル) ケトン、ベンゾフェノン、p
-フェニルベンゾフェノン、4, 4′ージエチルアミノ
ベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチル
アントラキノン、2−エチルアントラキノン、2- ター
シャリーブチルアントラキノン、2−アミノアントラキ
ノン、 2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキ
サントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチ
ルチオキサントン、2,4ジエチルチオキサントン、ベ
ンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタ
ール、P−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等が
挙げられる。これらを単独または2種以上組み合わせて
用いることができる。光重合開始剤の使用量は、上記
(A)成分の活性エネルギー線硬化性樹脂100g に対
して、通常0.5〜50g である。0.5g 未満では、
この(A)成分の活性エネルギー線硬化性樹脂の光硬化
反応が進行し難くなり、50g を超えるとその加える量
の割には効果は向上せず、むしろ経済的には不利となっ
たり、硬化塗膜の機械的特性が低下することがある。光
硬化性、経済性、硬化塗膜の機械的特性などの点から
は、その使用量は、好ましくは2.0〜30g である。
【0016】上記「(C)希釈剤」は、光重合性モノマ
ー及び有機溶剤の少なくとも1種からなる。光重合性モ
ノマーは反応性希釈剤といわれるもので、これは、上記
(A)成分の感光性樹脂の光硬化を更に十分にして、耐
酸性、耐熱性、耐アルカリ性などを有する塗膜を得るた
めに使用することが好ましく、1分子中に二重結合を少
なくとも2個有する化合物が好ましく用いられる。上記
(A)成分の活性エネルギー線硬化性樹脂(感光性樹
脂)を含有する感光性樹脂組成物の粘度や乾燥性を調節
するために有機溶剤を用いてもよいが、その必要がなけ
れば用いなくてもよく、また、上記(A)成分の感光性
樹脂のみの光硬化性で足りる場合には、光重合性モノマ
ーは用いなくてもよい。その光重合性モノマーの代表的
なものとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジ
(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ
(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メ
タ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ
(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペン
チルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペン
タニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジ
シクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオ
キサイド変性燐酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シ
クロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレー
トジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパント
リ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ
(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリ
スリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリ
トールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド
変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、
プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メ
タ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メ
タ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリス
リトールヘキサ(メタ)アクリレート等の反応性希釈剤
が挙げられる。
【0017】上記の2〜6官能その他の多官能反応性希
釈剤は単品又は複数の混合系のいずれにおいても使用可
能である。この反応性希釈剤の添加量は、上記(A)成
分の活性エネルギー線硬化性樹脂100g当たり、通常
2.0〜40gの範囲で選ばれる。その添加量が2.0
gより少ないと十分な光硬化が得られず、硬化塗膜の耐
酸性、耐熱性等において十分な特性が得られず、また、
添加量が40gを越えるとタックが激しく、露光の際ア
ートワークフィルムの基板への付着が生じ易くなり、目
的とする硬化塗膜が得られ難くなる。光硬化性、硬化塗
膜の耐酸性、耐熱性等、アートワークフィルムの基板へ
の付着の防止の点からは、反応性希釈剤の添加量は、好
ましくは4.0〜20gである。上記有機溶剤として
は、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等
のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素
類、メタノール、イソプロパノール、シクロヘキサノー
ル、などのアルコール類、シクロヘキサン、メチルシク
ロヘキサン等の脂環式炭化水素類、石油エーテル、石油
ナフサ等の石油系溶剤類、セロソルブ、ブチルセロソル
ブ等のセロソルブ類、カルビトール、ブチルカルビトー
ル等のカルビトール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロ
ソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カル
ビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート等
の酢酸エステル類等を挙げることができる。また触媒と
しては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン
などのアミン類、トリフェニルホスフィン、トリフェニ
ルホスフェートなどのリン化合物類等が挙げられる。
【0018】上記「(D)熱硬化性化合物」は、本発明
の感光性樹脂組成物において、その塗膜を露光し、現像
した後のポストキュアー後に塗膜の性能を向上できるも
のであり、上記の2種のエポキシ系化合物として挙げた
それぞれの化合物が挙げられるが、そのほかに、トリグ
リシジルアミン化合物として、TEPIC−S(エポキ
シ当量100、ガラス転移温度98〜120℃、日産化
学社製)、TEPIC−H(エポキシ当量100、ガラ
ス転移温度140〜160℃、日産化学社製)、アラル
ダイトMY−720(チバ社製)、TMH574(住友
化学社製)等が挙げられ、ビフェニル型エポキシ樹脂と
してYL−4000(2,6−キシレノールダイマージ
グリシジルエーテル、エポキシ当量188、ガラス転移
温度105〜110℃、油化シェル社製)、YL−61
21(エポキシ当量172、ガラス転移温度111℃、
油化シェル社製)等が挙げられ、脂肪族エポキシ樹脂と
して、アラルダイトCY−179(チバ社製)等が挙げ
られ、また、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂とし
て、ジシクロペンタジエンとフェノールをルイス酸触媒
存在下で重付加反応をさせて得られる変性多価フェノー
ル樹脂をベースとしたエポキシ樹脂等が挙げられ、キシ
レン型エポキシ樹脂として、EXA−4580L(大日
本インキ化学工業社製)、ナフタレン型エポキシ樹脂と
して、4官能ナフタレン骨格型エポキシ樹脂等が挙げら
れ、例えば特開平4−217675に記載されている方
法あるいはこれに準じる方法により得られる化合物が挙
げられる。上記のジシクロペンタジエン型エポキシ樹
脂、ナフタレン型エポキシ樹脂は、吸水率の小さい硬化
物とすることができる。
【0019】上記「(D)熱硬化性化合物」は、上記
(A)成分の活性エネルギー線硬化性樹脂100gに対
し、通常5〜150gの割合で添加される。この添加量
が5g未満では本発明に係わるポストキュアー後のソル
ダーレジスト塗膜としては十分な密着性、耐熱性、耐金
めっき性を得難くなり易く、150gを超えるとそのポ
ストキュアー前の塗膜の現像性が低下し、ポットライフ
の安定性が低下し易くなる。これらのことから、このエ
ポキシ系熱硬化性化合物の添加量は好ましくは50〜1
00gである。上記エポキシ系熱硬化性化合物は、更に
反応促進剤としてジシアンジアミド、ジシアンジアミド
の有機酸塩及びその誘導体の少なくとも1種、メラミン
化合物、イミダゾール化合物、フェノール化合物等の公
知のエポキシ硬化促進剤を併用して、塗膜をポストキュ
アーすることを促進することもできる。ジシアンジアミ
ドの有機酸塩やその誘導体を潜在性熱硬化剤として適量
含有する本発明の感光性樹脂組成物は、ジシアンジアミ
ド、N−置換ジシアンジアミドを使用する場合に比べて
も、ポットライフが長く、保存安定性に優れているとと
もに、その塗膜は熱管理幅を広くすることができる。反
応促進剤の使用量としては、上記(A)成分100g当
たり、0.1〜10gの範囲で選ばれる。上記の熱硬化
性化合物あるいはこれと反応促進剤の併用により、得ら
れるレジスト皮膜の耐熱性、耐湿性、電気絶縁性、耐薬
品性、耐酸性、耐溶剤性、密着性、可撓性、硬度などの
諸特性を向上させることができ、プリント配線板用のソ
ルダーレジストとして有用である。
【0020】本発明の感光性樹脂組成物には、上記の成
分のほかに、必要に応じて種々の添加剤、例えばシリ
カ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウム
等の無機顔料からなる充填剤、フタロシアニングリー
ン、フタロシアニンブルー等のフタロシアニン系、アゾ
系等の有機顔料や二酸化チタン等の無機顔料の公知の着
色顔料、消泡剤、レベリング剤等の塗料用添加剤などを
含有させることができる。
【0021】上述のようにして得られた本発明の感光性
樹脂組成物は、例えば銅張り積層板の銅箔をエッチング
して形成した回路のパターンを有するプリント配線板に
所望の厚さで塗布し、60〜80℃程度の温度で15〜
60分間程度加熱して溶剤を揮散させた後、これに上記
回路のパターンのはんだ付けランド以外は透光性にした
パターンのネガフィルムを密着させ、その上から紫外線
を照射させ、このはんだ付けランドに対応する非露光領
域を希アルカリ水溶液で除去することにより塗膜が現像
される。この際使用される希アルカリ水溶液としては
0.5〜5質量%の炭酸ナトリウム水溶液が一般的であ
るが、他のアルカリも使用可能である。次いで、140
〜160℃の熱風循環式の乾燥機等で10〜60分間ポ
ストキュアーを行うことにより目的とするソルダーレジ
スト皮膜を形成せしめることができる。このようにして
ソルダーレジスト膜で被覆したプリント配線板が得ら
れ、これに電子部品が噴流はんだ付け方法や、リフロー
はんだ付け方法によりはんだ付けされることにより接
続、固定されて搭載され、一つの電子回路ユニットが形
成される。本発明においては、その電子部品搭載前のソ
ルダーレジスト皮膜を被覆したプリント配線板、このプ
リント配線板に電子部品搭載した電子部品搭載後のプリ
ント配線板のいずれをもその対象に含む。
【0022】
【発明の実施の形態】後述する実施例で使用する各成分
及びその成分比を中心に、各成分の上述した化合物の中
から選択された類似化合物、各成分比の上述した好まし
い範囲について、後述する実施例を包括する上位概念の
発明を構成することができる。
【0023】
【実施例】次ぎに、本発明を実施例によりさらに詳細に
説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら
限定されるものではない。 樹脂の製造例1(上記(A)成分としての感光性樹脂、
以下樹脂の製造例3まで同様) カルビトールアセテート690gに、トリグリシジルイ
ソシアヌレート(日産化学社製、TEPIC−G、エポ
キシ当量105)210g、ビスフェノール型エポキシ
樹脂(シェル社製、エピコート1001、エポキシ当量
480)480g及びアクリル酸130gを溶解し、還
流下に反応させてエポキシアクリレートを得た。次い
で、このエポキシアクリレートにヘキサヒドロ無水フタ
ル酸462gを加え、その反応生成物溶液の酸価が51
mgKOH/gになるまで還流下で反応させた。このよ
うにして得られた感光性樹脂溶液は、固形分の樹脂成分
が65%であり、その樹脂分の酸価は79mgKOH/
gであった。
【0024】樹脂の製造例2 カルビトールアセテート507gに、トリグリシジルイ
ソシアヌレート(日産化学社製、TEPIC−G、エポ
キシ当量105)210g、ビスフェノール型エポキシ
樹脂(油化シェル社製、エピコート1001、エポキシ
当量480)240g及びアクリル酸108gを溶解
し、還流下に反応させてエポキシアクリレートを得た。
次いで、このエポキシアクリレートにヘキサヒドロ無水
フタル酸385gを加え、その反応生成物溶液の酸価が
58mgKOH/gになるまで還流下で反応させた。こ
のようにして得られた感光性樹脂溶液は、固形分の樹脂
成分が65%であり、その樹脂分の酸価は89mgKO
H/gであった。
【0025】樹脂の製造例3 カルビトールアセテート803gに、トリグリシジルイ
ソシアヌレート(日産化学社製、TEPIC−G、エポ
キシ当量105)420g、ビスフェノール型エポキシ
樹脂(油化シェル社製、エピコート1001、エポキシ
当量480)240g及びアクリル酸216gを溶解
し、還流下に反応させてエポキシアクリレートを得た。
次いで、このエポキシアクリレートにヘキサヒドロ無水
フタル酸616gを加え、その反応生成物溶液の酸価が
61mgKOH/gになるまで還流下で反応させた。こ
のようにして得られた感光性樹脂溶液は、固形分の樹脂
成分が65%であり、その樹脂分の酸価は94mgKO
H/gであった。
【0026】樹脂の製造例4(比較例用) カルビトールアセテート380gに、ビスフェノール型
ポエポキシ樹脂(油化シェル社製、エピコート100
1、エポキシ当量480)480g及びアクリル酸72
gを溶解し、還流下に反応させてエポキシアクリレート
を得た。次いで、このエポキシアクリレートにヘキサヒ
ドロ無水フタル酸154gを加え、その反応生成物溶液
の酸価が52mgKOH/gになるまで還流下で反応さ
せた。このようにして得られた感光性樹脂溶液は、固形
分の樹脂成分が65%であり、その樹脂分の酸価は79
mgKOH/gであった。
【0027】樹脂の製造例5(比較例用) カルビトールアセテート365gに、ビスフェノール型
ポエポキシ樹脂(油化シェル社製、エピコート828、
エポキシ当量190)380g及びアクリル酸144を
溶解し、還流下に反応させてエポキシアクリレートを得
た。次いで、このエポキシアクリレートにヘキサヒドロ
無水フタル酸154gを加え、その反応生成物溶液の酸
価が54mgKOH/gになるまで還流下で反応させ
た。このようにして得られた感光性樹脂溶液は、固形分
の樹脂成分が65%であり、その樹脂分の酸価は83m
gKOH/gであった。
【0028】樹脂の製造例6(比較例用) カルビトールアセテート369gに、トリグリシジルイ
ソシアヌレート(日産化学社製、TEPIC−G、エポ
キシ当量105)315g及びアクリル酸216gを溶
解し、還流下に反応させてエポキシアクリレートを得
た。次いで、このエポキシアクリレートにヘキサヒドロ
無水フタル酸154gを加え、その反応生成物溶液の酸
価が53mgKOH/gになるまで還流下で反応させ
た。このようにして得られた感光性樹脂溶液は、固形分
の樹脂成分が65%であり、その樹脂分の酸価は81m
gKOH/gであった。
【0029】実施例1 樹脂の製造例1で得られた感光性樹脂溶液((A)感光
性樹脂)100gに対し、2 ‐メチル‐1 ‐[4‐(メチ
ルチオ)フェニル] ‐2 ‐モルフォリノ‐1 ‐プロパン
−1−オン((B)光重合開始剤)8g、トリメチロー
ルプロパントリアクリレート((C)反応性希釈剤)8
g、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イ
ソシアヌレート((D)熱硬化性化合物)8g、フタロ
シアニングリーン0.5g及びタルク8gを加え、3本
ロールで混合分散させて、感光性樹脂組成物の溶液を調
製した。この感光性樹脂組成物について、感度、熱管理
幅、タック性、硬度、はんだ耐熱性、耐酸性、密着性、
耐溶剤性、耐金メッキ性、電気特性(絶縁抵抗値、変
色)を後述の試験法によって調べた結果を表1に示す。
【0030】実施例2、3 実施例1において、樹脂の製造例1で得られた感光性樹
脂溶液の代わりに、樹脂の製造例2、3のそれぞれで得
られた感光性樹脂溶液を使用したこと以外は同様にして
感光性樹脂組成物の溶液を調製し、実施例1と同様に試
験した結果を表1に示す。
【0031】比較例1〜3 実施例1において、樹脂の製造例1で得られた感光性樹
脂溶液の代わりに、樹脂の製造例4〜6のそれぞれで得
られた感光性樹脂溶液を使用したこと以外は同様にして
感光性樹脂組成物の溶液を調製し、実施例1と同様に試
験した結果を表1に示す。
【0032】試験方法は以下のとおりである。 (1)感度 21段ステップタブレットをテスト板にして、これにス
クリーン印刷法により、上記実施例1〜3、比較例1〜
3のそれぞれの感光性樹脂組成物を35μmの厚さ(乾
燥前)に塗工し、乾燥させて塗工基板を作成し、200
mJ/cm2 の照射量で紫外線露光を行ない、1%の炭
酸ナトリウム水溶液を用い、0.2MPa・sのスプレ
ー圧で60秒現像を行ない、塗工膜が完全に残った最大
のステップ数を求めた。ステップ数が大きいほど感光特
性が良好であることを示す。 (2)タック性(指触乾燥性) 予め面処理済みの基板(銅張り積層板)に、スクリーン
印刷法により、上記実施例1〜3、比較例1〜3のそれ
ぞれの感光性樹脂組成物を35μmの厚さ(乾燥前)に
塗工し、80℃、20分間乾燥して塗工基板を作成し、
その塗膜表面にネガフィルムを密着させ、露光した後
に、ネガフィルムへの塗膜の付着の程度を調べ、以下の
ように評価した。 ◎ 全く付着、貼り付き跡が認められないもの ○ 塗膜表面に貼り付き跡が認められるもの △ 剥離に際し、抵抗が生じるもの × ネガフィルムへの塗膜の付着物が認められるもの (3)熱管理幅 予め面処理済みの基板(銅張り積層板)に、スクリーン
印刷法により、上記実施例1〜3、比較例1〜3のそれ
ぞれの感光性樹脂組成物を35μmの厚さ(乾燥前)に
塗工し、80℃で予備乾燥時間を10分間隔で乾燥を延
長した各塗工基板を作成し、200mJ/cm2 の照射
量で紫外線露光を行ない、1%の炭酸ナトリウム水溶液
を用い、0.2MPa・sのスプレー圧で60秒現像を
行ない、塗工膜を完全に除去できる上記の予備乾燥時間
の最長のものを求めた。
【0033】(3)塗膜性能 予め面処理済みの基板(銅張り積層板)に、スクリーン
印刷法により、上記実施例1〜5、比較例1〜2のそれ
ぞれの感光性樹脂組成物を35μmの厚さ(乾燥前)に
塗工してそれぞれの塗工基板を作製し、それぞれの塗工
基板を80℃、20分間乾燥した。この基板にネガフィ
ルムを密着させ、露光後、1質量%炭酸ナトリウム水溶
液で現像処理してパターンを形成した。次に、この基板
を150℃で60分間熱硬化して、硬化塗膜を有する試
験片を作製し、塗膜性能の評価を行なった。 (a)鉛筆硬度 硬化塗膜をJIS K−5400 6.14に準拠して
測定した。 (b)はんだ耐熱性 硬化塗膜を有する試験片を、JIS C 6481の試
験方法に従って、260℃のはんだ槽に30秒浸漬後、
セロハン粘着テープ(セロハンは商品名)によるピーリ
ング試験を1サイクルとし、計1〜3サイクルを行った
後の塗膜状態を目視により評価した。 ◎:3サイクル後も塗膜に変化がないもの ○:3サイクル後に僅かに変化しているもの △:2サイクル後に変化しているもの ×:1サイクル後に剥離が生じているもの (c)耐酸性 硬化塗膜を有する試験片を常温の10質量%の硫酸水溶
液に30分間浸漬したのち、水洗後、セロハン粘着テー
プによるピーリング試験を行い、塗膜の剥がれ、変色に
ついて観察し、耐酸性を目視により評価した。 ◎:全く変化が認められないもの ○:ほんの僅か変化しているもの △:顕著に変化しているもの ×:塗膜が膨潤して剥離したもの
【0034】(d)耐溶剤性 硬化塗膜を有する試験片を常温の塩化メチレンに30分
間浸漬したのち、水洗後、セロハン粘着テープによるピ
ーリング試験を行い、塗膜の剥がれ,変色について観察
し、耐溶剤性を目視により評価した。 ◎:全く変化が認められないもの ○:ほんの僅か変化しているもの △:顕著に変化しているもの ×:塗膜が膨潤して剥離したもの (e)耐金めっき性 硬化塗膜を有する試験片に金めっき加工後、セロハン粘
着テープによるピーリング試験を行ない、硬化塗膜の剥
がれ、変色について観察し、以下のように金めっき性を
目視により評価した。 ◎:全く変化が認められないもの ○:ほんの僅か変化しているもの △:顕著に変化しているもの ×:塗膜が膨潤して剥離したもの
【0035】(f) 電気特性 試験片の硬化塗膜にIPC SM−840B、B−25
のくし形電極Bクーポンを置き、60℃、90%RH
(相対湿度)の恒温恒湿槽中で100Vの直流電圧を印
加し、500時間後の絶縁抵抗値(Ω)を測定するとと
もに、変色について察し、以下のように変色の度合を目
視により評価した。 ◎:全く変化が認められないもの ○:ほんの僅か変化しているもの △:顕著に変化しているもの ×:塗膜が膨潤して剥離したもの
【0036】
【表1】
【0037】表1の結果から、エポキシ系化合物として
トリグリシジルイソシアヌレートを用いずビスフェノー
ル型エポキシ樹脂のみを用いたこと以外は同様にして得
られた上記(A)成分に対応する樹脂を用いた比較例1
の場合には、タック性、はんだ耐熱性が良くなく、ま
た、比較例1においてビスフェノール型エポキシ樹脂と
してエポキシ当量が半分以下のものを用いたこと以外は
同様の比較例2の場合には、タック性が悪く、また、エ
ポキシ系化合物としてビスフェノール型エポキシ樹脂を
用いずトリグリシジルイソシアヌレートのみを用いたこ
と以外は同様にして得られた上記(A)成分に対応する
樹脂を用いた比較例3の場合には、耐酸性、耐金メッキ
性が良くないのに対し、エポキシ系化合物としてトリグ
リシジルイソシアヌレートとビスフェノール型エポキシ
樹脂の混合物を用いて得られた上記(A)の樹脂を使用
した実施例1〜3のものはいずれの性能も良く、その内
でもビスフェノール型エポキシ樹脂とトリグリシジルイ
ソシアヌレートの使用割合が約2:1(実施例1)、約
1:1(実施例2)、約1:2(実施例3)のものは、
それぞれ電気特性の「変色」、耐酸性、タック性におい
て他の2者のものより格段に優れ、前二者は最後のもの
に比べ耐金メッキ性が格段に良く、その耐金メッキ性の
優れることはその硬化塗膜が可撓性と密着性に格段に優
れることを示す。
【0038】比較例1〜3のものは、単独のエポキシ樹
脂にアクリル酸、ついでヘキサヒドロ無水フタル酸を反
応させて得られる反応物生成物を使用し、この反応物生
成物は、高分子の骨格にエポキシ樹脂に由来するベンゼ
ン環を有するのみである。一方、実施例に使用した所定
の2種のエポキシ系化合物(エポキシ樹脂)にアクリル
酸をエポキシ基に対しカルボン酸基が少なくなるように
反応させ、ついでヘキサヒドロ無水フタル酸を反応させ
たその反応物生成物は、高分子の骨格に1種のエポキシ
樹脂に由来するベンゼンと他種のエポキシ樹脂に由来す
るイソシアヌル酸環を有するので、これら両方の環構造
を骨格に有することにより、この樹脂を用いたソルダー
レジスト組成物の塗布膜はタック性(ベタつき)が改善
され、その硬化塗膜が溶融はんだに接触したときのはん
だ耐熱性の点でも改善され、その硬化塗膜の可撓性、密
着性も改善されると考えられる。なお、上述した発明に
おいて、「感光性樹脂組成物」を「ソルダーレジスト用
感光性樹脂組成物」としてもよく、「ソルダーレジスト
膜を被覆したプリント配線板及びその製造方法」として
もよく、また、その他の上述した数値その他の限定、さ
らにはこれらの任意の複数を組み合わせた限定を加えた
発明としてもよい。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、紫外線露光及び希アル
カリ水溶液による現像で画像形成可能であり、タック性
(指触乾燥性)に優れるとともに、可撓性、密着性、耐
熱性等の塗膜性能にも優れ、しかもその他の塗膜性能も
良く維持することができる塗膜のパターンを与えること
ができ、特に電気特性の「変色」の改善や、タック性、
さらには可撓性と密着性を向上させて例えば金メッキを
良く行なえるような改善を格段にレベルアップすること
ができ、これにより使用目的に合わせた特性が得られる
ような設計を容易に行える感光性樹脂組成物を提供する
ことができる。そして、その感光性樹脂組成物のソルダ
ーレジスト膜の硬化膜を有する電子部品搭載前又は後の
プリント配線板を提供することができる。
フロントページの続き (72)発明者 長谷川 靖幸 埼玉県入間市大字狭山ケ原16番地2 タム ラ化研株式会社内 Fターム(参考) 2H025 AA10 AA14 AB15 AB17 AC01 AD01 BC13 BC74 BC82 BC85 BC86 CA00 CB30 CC17 FA17 4J027 AE02 AG25 AJ08 CA10 CB10 CC03 CD10 5E314 AA24 AA27 BB05 FF01 GG08 GG11 GG24

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)エチレン性不飽和結合を有する活
    性エネルギー線硬化性樹脂、(B)光重合開始剤、
    (C)希釈剤及び(D)熱硬化性化合物を含有する感光
    性樹脂組成物において、上記(A)エチレン性不飽和結
    合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂がトリグリシジ
    ルイソシアヌレートとビスフェノール型エポキシ樹脂の
    混合物に対してラジカル重合性不飽和モノカルボン酸を
    反応させ、その生成した水酸基に飽和若しくは不飽和の
    多塩基酸又は飽和若しくは不飽和の多塩基酸無水物を反
    応させて得られる多塩基酸変性不飽和モノカルボン酸化
    混成エポキシ樹脂を含有する感光性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 (A)エチレン性不飽和結合を有する活
    性エネルギー線硬化性樹脂の酸価が50〜180mgK
    OH/gである請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 トリグリシジルイソシアヌレートとビス
    フェノール型エポキシ樹脂の混合物中のトリグリシジル
    イソシアヌレートの含有量が30〜90%である請求項
    1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 トリグリシジルイソシアヌレートとビス
    フェノール型エポキシ樹脂の混合物のエポキシ基1モル
    に対してラジカル重合性不飽和モノカルボン酸を0.4
    〜0.9モルを反応させる請求項1ないし3のいずれか
    に記載の感光性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 トリグリシジルイソシアヌレートとビス
    フェノール型エポキシ樹脂の混合物に対してラジカル重
    合性不飽和モノカルボン酸を反応させ、その反応生成物
    に生成した水酸基1モルに対して0.7〜2.0モルの
    飽和若しくは不飽和の多塩基酸又は飽和若しくは不飽和
    の多塩基酸無水物を反応させる請求項1ないし4のいず
    れかに記載の感光性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 (A)エチレン性不飽和結合を有する活
    性エネルギー線硬化性樹脂100gに対し、(B)光重
    合開始剤を0.2〜30gの割合で用いる請求項1ない
    し5のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 (C)希釈剤が光重合性モノマー及び有
    機溶剤の少なくとも1種であり、(A)エチレン性不飽
    和結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂100gに
    対し、該光重合性モノマー及び有機溶剤の少なくとも1
    種を2〜40gの割合で用いる請求項1ないし6のいず
    れかに記載の感光性樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 (D)熱硬化性化合物としてエポキシ系
    化合物を単独又はその他の熱硬化性化合物とともに用
    い、その単独又は併用して用いる使用量の割合は(A)
    エチレン性不飽和結合を有する活性エネルギー線硬化性
    樹脂100gに対し、5〜100gの割合である請求項
    1ないし7のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし8のいずれかに記載の感
    光性樹脂組成物の硬化膜を有するソルダーレジスト膜を
    被覆した電子部品を搭載する前又はした後のプリント配
    線板。
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