JP2002196486A - 感光性樹脂組成物及びプリント配線板 - Google Patents

感光性樹脂組成物及びプリント配線板

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JP2002196486A
JP2002196486A JP2000397806A JP2000397806A JP2002196486A JP 2002196486 A JP2002196486 A JP 2002196486A JP 2000397806 A JP2000397806 A JP 2000397806A JP 2000397806 A JP2000397806 A JP 2000397806A JP 2002196486 A JP2002196486 A JP 2002196486A
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acid
epoxy
photosensitive resin
resin composition
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Application number
JP2000397806A
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English (en)
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Hitoshi Nakagawa
斉 中川
Takao Ono
隆生 大野
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Tamura Kaken Corp
Original Assignee
Tamura Kaken Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】一液型でも粘度安定性がよく、二液で可使時間
の長いソルダーレジスト用感光性樹脂組成物を提供す
る。 【解決手段】(A)1分子中に少なくとも1個のエチレ
ン性不飽和結合とエポキシ基と反応する少なくとも1個
の官能基と少なくとも1個のアルカリ可溶性官能基を有
する活性エネルギー線硬化性樹脂、(B)1分子中にエ
ポキシ基を1個のみ有するエポキシ化合物、(C)光重
合開始剤及び(D)希釈剤を含有する感光性樹脂組成物
又は上記(B)成分を含有する液と上記(A)成分を含
有する液を別個の液とし当該各液に上記(C)及び
(D)成分のいずれか一方と他方を振り分けて含有させ
るか又はいずれか一方の液に両方を含有させる二液とし
使用時にこれら二液を混合する二液型の感光性樹脂組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、紫外線露光及び希アル
カリ水溶液による現像で画像形成可能であり、塗布膜乾
燥時の未露光対応部分の現像時除去可能な塗布膜硬化度
の熱的許容限度の管理範囲である、いわゆる熱管理幅が
広く、かつ耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性等に優れた塗
膜を与えることができるとともに、暗反応を抑制して一
液化が可能であり二液では可使時間を著しく向上させる
ことができる、例えばプリント配線板用ソルダーレジス
トとして好適な感光性樹脂組成物及びこれを用いたプリ
ント配線板に関する。
【0002】
【従来の技術】プリント配線板は、基板の上に導体回路
のパターンを形成し、そのパターンのはんだ付けランド
に電子部品をはんだ付けすることにより搭載するための
ものであり、そのはんだ付けランドを除く回路部分は永
久保護皮膜としてのソルダーレジスト膜で被覆される。
これにより、プリント配線板に電子部品をはんだ付けす
る際にはんだが不必要な部分に付着するのを防止すると
共に、回路導体が空気に直接曝されて酸化や湿度により
腐食されるのを防止する。従来、ソルダーレジスト膜
は、基板上にその溶液組成物をスクリーン印刷法でパタ
ーン形成し、溶剤を除く乾燥をした後、紫外線または熱
により硬化させることが主流とされてきた。
【0003】ところが、最近、プリント配線基板の配線
密度の向上(細密化)の要求にともないソルダーレジス
ト組成物(ソルダーレジストインキ組成物ともいう)も
高解像性、高精度化が要求され、民生用基板、産業用基
板を問わずスクリーン印刷法から、位置精度、導体エッ
ジ部の被覆性に優れる液状フォトソルダーレジスト法
(写真現像法)が提案されている。例えば特開昭50ー
144431号、特開昭51ー40451号公報には、
ビスフェノール型エポキシアクリレート、増感剤、エポ
キシ化合物、エポキシ硬化剤などからなるソルダーレジ
スト組成物が開示されている。これらのソルダーレジス
ト組成物は、プリント配線板上に感光性樹脂組成物であ
る液状組成物を全面塗布し、溶媒を揮発させた後、露光
して未露光部分を有機溶剤を用いて除去し、現像するも
のである。しかし、この有機溶剤による未露光部分の除
去(現像)は、有機溶剤を多量に使用するため、環境汚
染や火災などの危険性があるのみならず、環境汚染の問
題があり、特に人体に与える影響が最近大きくクローズ
アップされてきていることから、その対策に苦慮してい
るのが現状である。
【0004】これらの問題を解決するために、希アルカ
リ水溶液で現像可能なアルカリ現像型フォトソルダーレ
ジスト組成物が提案されている。例えば特開昭56ー4
0329号、特開昭57ー45785号公報には、エポ
キシ樹脂に不飽和モノカルボン酸を反応させ、更に多塩
基酸無水物を付加させた反応生成物をベースポリマーと
する材料が開示されている。また、特公平1ー5439
0号公報には、ノボラック型エポキシ樹脂と不飽和モノ
カルボン酸との反応物と、飽和または不飽和多塩基酸無
水物とを反応せしめて得られる活性エネルギー線硬化性
樹脂と、光重合開始剤を含有する希アルカリ水溶液によ
り現像可能な光硬化性の液状レジストインキ組成物が開
示されている。
【0005】これらの液状ソルダーレジスト組成物は、
エポキシアクリレートにカルボキシル基を導入すること
によって、光感光性や希アルカリ水溶液での現像性を付
与させたものであるが、この組成物にはさらに、その塗
膜を露光、現像処理して所望のレジストパターンを形成
した後、通常、熱硬化させるために、熱硬化性成分とし
て、一般的にはエポキシ化合物を含有させ、上記のエポ
キシアクリレートに導入した側鎖のカルボキシル基とエ
ポキシ基とを反応させ、密着性、硬度、耐熱性、電気絶
縁性などに優れるレジスト膜を形成させている。この場
合、一般的にはエポキシ樹脂とともに、エボキシ樹脂用
硬化剤が併用される。
【0006】熱硬化性成分としてのエポキシ化合物とし
ては、1分子中にエポキシ基を2個以上持つ化合物を使
用しており、液状ソルダーレジスト組成物の製造時にこ
のエポキシ化合物を予め配合しておく、いわゆる一液型
では、使用するまでの保存時に反応する、いわゆる暗反
応を起こすため、長時間の保存では殊に著しく増粘し、
使用時にスクリーン印刷をすることができる粘度をはる
かに越えてその印刷を困難にする。この問題を回避する
には、熱硬化性エポキシ化合物と、その他の成分を別個
の液、すなわち2つの液にして製造し、使用時に両者を
混ぜて本来の液状ソルダーレジスト組成物する、いわゆ
る二液型にすればよいが、その場合でも二液を混合した
後、使用し切れないで残存する場合等再使用できるよう
に保存したい場合があり、その期間が長ければ長いほど
使用可能な粘度に維持する、いわゆる可使用時間を長く
すにことができれば、製品の有効利用にもなり、コスト
低減になることから好ましく、そのための製品開発が望
まれている。これにも増して、二液のそれぞれを製造す
る面倒や、二液を所定の割合に混合して使用するのも手
間がかかることから、一液型の粘度安定性のよい、いわ
ゆるポットライフの長い液状ソルダーレジスト組成物の
開発が望まれている。
【0007】これらの問題を解決するために、本願出願
人は、特開平11−119249号公報に開示されてい
るように、(A)1分子中に少なくとも2個のエチレン
性不飽和結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂、
(B)N−置換ジシアミジアミド誘導体、(C)光重合
開始剤、(D)反応性希釈剤及び(E)エポキシ系熱硬
化性化合物を含有する感光性樹脂組成物を提供し、これ
により紫外線露光及び希アルカリ水溶液による現像で画
像形成可能であって、ポットライフが長く、保存安定性
に優れ、常温付近では安定であるが、高温では短時間で
硬化する、いわゆる潜在型硬化性を有するという長所を
有し、しかも耐熱性、耐湿性、電気絶縁性、耐薬品性、
可とう性などに優れるパターンを与えることができる、
プリント配線板用ソルダーレジストとして好適な感光性
樹脂組成物を提案した。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開平11−119429号公報に記載の感光性樹脂組成
物であっても、その製品の性能を落とさずに、無駄なく
使用し、コストを低くするためには、粘度安定性がよ
く、ポットライフを更に長くし、保存安定性を向上する
改善が求められているとともに、プリント基板における
塗布膜乾燥時の未露光対応部分の現像時除去可能な塗布
膜硬化度の熱的許容限度の管理範囲である、いわゆる熱
管理幅を狭くせずに、熱安定性を維持し、しかも塗布膜
を熱硬化した後ではソルダーレジストとしての塗膜性能
を維持することが求められている。熱管理幅が狭いと、
すなわち熱による温度及び/又は時間の上昇の許容範囲
が狭いと、液状ソルダーレジスト組成物をプリント配線
板へ塗布し、その溶剤を除去する乾燥過程で、その許容
範囲を超えた温度及び/又は時間により塗布膜の樹脂組
成物が硬化をし始め、その後に露光し、現像すると、未
露光部分が現像液により除去され難いという問題を生
じ、上述した高解像性や高精度化の点で問題を生じるこ
とがある。
【0009】本発明の第1の目的は、紫外線露光及び希
アルカリ水溶液による現像により画像形成可能であっ
て、熱管理幅が広く、しかも感度、耐熱性、電気絶縁性
及び耐薬品性等に優れたパターンを与えることができる
感光性樹脂組成物を提供することにある。本発明の第2
の目的は、一液型でも粘度安定性が良く、保存安定性に
優れる感光性樹脂組成物を提供することにある。本発明
の第3の目的は、二液型でその混合後でも可使時間を長
く維持できるように粘度安定性が良く、保存安定性に優
れる感光性樹脂組成物を提供することにある。本発明の
第4の目的は、上記の感光性樹脂組成物のソルダーレジ
スト膜の硬化膜を有する電子部品搭載前又は後のプリン
ト配線板を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意研究した結果、熱硬化性成分とし
て分子中にエボキシ基を1個のみ有するエポキシ化合物
を用いると、感光性樹脂組成物の粘度安定性がよく、ポ
ットライフが長くなって、保存安定性が向上し、かつ熱
管理幅が広く、感度、耐熱性、電気絶縁性及び耐薬品性
等に優れた、特にプリント配線板製造用ソルダーレジス
ト用として好適な感光性樹脂膜を提供することを見出
し、本発明をするに至った。すなわち、本発明は、
(1)、(A)1分子中に少なくとも1個のエチレン性
不飽和結合とエポキシ基と反応する少なくとも1個の官
能基と少なくとも1個のアルカリ可溶性官能基を有する
活性エネルギー線硬化性樹脂、(B)1分子中にエポキ
シ基を1個のみ有するエポキシ化合物、(C)光重合開
始剤及び(D)希釈剤を含有する感光性樹脂組成物又は
上記(B)成分を含有する液と上記(A)成分を含有す
る液を別個の液とし当該各液に上記(C)及び(D)成
分のいずれか一方と他方を振り分けて含有させるか又は
両方をいずれか一方の液に含有させる二液とし使用時に
これら二液を混合する二液型の感光性樹脂組成物、
(2)、(B)1分子中にエポキシ基を1個のみ有する
エポキシ化合物が下記一般式〔化1〕で表されるエポキ
シシラン化合物である上記(1)の感光性樹脂組成物、
【化1】 〔式中、Rは未置換若しくは置換アルキレン基、−0
−、−φ−(φは未置換若しくは置換ベンゼン環を表わ
す)又はこれらの少なくとも2つを組み合わせた置換基
を表わし、R01、R02はそれぞれ炭素数が1〜5のアル
キル基であって同一でも異なってもよく、nは1〜3を
表わす。〕 (3)、上記(1)又は(2)の感光性樹脂組成物の硬
化膜を有するソルダーレジスト膜を被覆した電子部品を
搭載する前又はした後のプリント配線板を提供するもの
である。
【0011】本発明において、「(A)1分子中に少な
くとも1個のエチレン性不飽和結合とエポキシ基と反応
する少なくとも1個の官能基と少なくとも1個のアルカ
リ可溶性官能基を有する活性エネルギー線硬化性樹脂」
とは、例えば(i)1分子中にエポキシ基を2個以上有
する多官能エポキシ樹脂のエポキシ基の少なくとも一部
にアクリル酸又はメタクリル酸等のラジカル重合性不飽
和モノカルボン酸を反応させた後、生成した水酸基に多
塩基酸又はその無水物を反応させて得られるラジカル重
合性アルカル可溶化樹脂、(ii)1分子中にエポキシ
基を2個以上有する多官能エポキシ樹脂と1分子中に2
個以上の水酸基とエポキシ基と反応する水酸基以外の1
個の反応基を有する化合物とラジカル重合性不飽和モノ
カルボン酸の反応物と多塩基酸又はその無水物との反応
物であるラジカル重合性アルカル可溶化樹脂、(ii
i)上記(i)、(ii)のラジカル重合性アルカル可
溶化樹脂と不飽和基含有モノイソシアネートとの反応生
成物であるラジカル重合性アルカル可溶化ウレタン変性
樹脂などを挙げることができる。
【0012】上記多官能エポキシ樹脂としては、2官能
以上のエポキシ樹脂であればいずれでも使用可能であ
り、エポキシ当量の制限は特にないが、通常1,000
以下、好ましくは100〜500のものを用いる。例え
ば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフ
ェノールAD型、ハロゲン化フェノール及びアルキルフ
ェノール等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂、о
−クレゾールノボラック型等のクレゾールノボラック型
エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ
樹脂、環状脂肪族多官能エポキシ樹脂、グリシジルエス
テル型多官能エポキシ樹脂、グリシジルアミン型多官能
エポキシ樹脂、複素環式多官能エポキシ樹脂、ビスフェ
ノール変性ノボラック型エポキシ樹脂、多官能変性ノボ
ラック型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性水
酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物型エポキシ樹
脂等をあげることができる。また、これらの樹脂にB
r,Cl等のハロゲン原子を導入したものなども挙げら
れる。これらの内でも耐熱性を考慮すると、ノボラック
型エポキシ樹脂が好ましい。これらのエポキシ樹脂は単
独で用いてもよく、また2種以上を併用してもよい。こ
れらの樹脂及びその他のエポキシ樹脂の具体例として
は、ノボラック型エポキシ樹脂としては、EOCN−1
03、EOCN−104S、EOCN−1020、EO
CN−1027、EPPN−201、BREN−S(日
本化薬社製)、DEN−431、DEN−439(ダウ
・ケミカル社製)、N−730、N−770、N−86
5、N−665、N−673、VH−4150等(大日
本インキ化学工業社製)、ビスフェノール型エポキシ樹
脂としては、エピコート1004、エピコート1002
(油化シエル社製)、DER−330、DER−337
等(ダウ・ケミカル社製)、トリフェノールメタン型エ
ポキシ樹脂として、EPPN−501、EPPN−50
2(日本化薬社製)、トリス(2,3−エポキシプロピ
ル)イソシアヌレート、ビフェニルジグリシジルエーテ
ルその他としては、セロキサイド2021(ダイセル化
学工業社製)、エポミックVG−3101(三井石油化
学工業社製)、E−1031S(油化シエルエポキシ社
製)、TETRAD−X、TETRAD−C(三菱ガス
化学社製)、EPB−13、EPB−27(日本曹達社
製)等の脂環式、アミノ基含有エポキシ樹脂、共重合型
エポキシ樹脂としては、グリシジルメタクリレートとス
チレンの共重合体、グリシジルメタクリレートとスチレ
ンとメチルメタクリレートの共重合体であるCP−50
M、CP−50S(日本油脂社製)、グリシジルメタク
リレートとシクロヘキシルマレイミドなどとの共重合
体、その他のエポキシ樹脂等を挙げることができる。こ
れらは単独又は複数用いることができる。
【0013】上記の「1分子中に2個以上の水酸基とエ
ポキシ基と反応する水酸基以外の1個の反応基を有する
化合物」(以下、「エポキシ基との反応基含有化合物」
ということがある)としては、例えば水酸基以外にカル
ボン酸基、第2級アミノ基等の官能基を有する化合物が
挙げられ、具体的には例えばジメチロールプロピオン
酸、ジメチロール酢酸、ジメチロール酪酸、ジメチロー
ル吉草酸、ジメチロールカプロン酸等のポリヒドロキシ
含有モノカルボン酸類、ジエタノールアミン、ジイソプ
ロパノールアミン等のジアルカノールアミン類等を挙げ
ることができる。ジメチロールプロピオン酸等が好まし
い。
【0014】上記(i)においては上記エポキシ樹脂と
ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸を反応させ、上記
(ii)においては上記エポキシ樹脂と上記エポキシ基
との反応基含有化合物とラジカル重合性不飽和モノカル
ボン酸を反応させる。上記(i)においては、エポキシ
基とカルボキシル基の反応によりエポキシ基が開裂し水
酸基とエステル結合が生成する。上記(ii)において
は、これに加えてさらにエポキシ基と、エポキシ基との
反応基含有化合物の反応基との反応による結合が生じ
る。使用するラジカル重合性不飽和モノカルボン酸とし
ては、特に制限は無く、例えばアクリル酸、アクリル酸
の二量体、メタクリル酸、β−スチリルアクリル酸、β
−フルフリルアクリル酸、クロトン酸、α−シアノ桂皮
酸、桂皮酸などが挙げられる。また、飽和又は不飽和二
塩基酸若しくはその無水物と1分子中に1個の水酸基を
有する(メタ)アクリレート類との半エステル、飽和又
は不飽和二塩基酸と不飽和基含有モノグリシジル化合物
との反応物である半エステル類が挙げられる。前者の半
エステルとしては、例えば無水コハク酸、無水マレイン
酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサ
ヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル
酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水イタコン
酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸等
の飽和又は不飽和二塩基酸無水物とヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)ア
クリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グ
リセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロ
パンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールト
リ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペン
タ(メタ)アクリレート、フェニルグリシジルエーテル
の(メタ)アクリレートの1分子中に1個の水酸基を有
する(メタ)アクリレート類を等モルで反応させて得ら
れる半エステルが挙げられる。また、後者の半エステル
としては、飽和又は不飽和二塩基酸として例えばコハク
酸、マレイン酸、アジピン酸、フタル酸、テトラヒドロ
フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、イタコン酸、フマル
酸等と、不飽和基含有モノグリシジル化合物として、グ
リシジル(メタ)アクリレート、下記〔化2〕〜〔化
5〕の各化合物を等モル比で反応させて得られる半エス
テル等が挙げられる。上記のラジカル重合性不飽和モノ
カルボン酸は単独又は複数混合して用いる。(メタ)ア
クリル酸(アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも一
方の意)が好ましく、特にアクリル酸が好ましい。
【0015】
【化2】
【0016】
【化3】
【0017】
【化4】
【0018】
【化5】
【0019】上記(i)においては、エポキシ樹脂とラ
ジカル重合性不飽和モノカルボン酸との反応方法に特に
制限は無く、例えばエポキシ樹脂とアクリル酸を適当な
希釈剤中で加熱することにより反応できる。希釈剤とし
ては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン
等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベン
ゼン等の芳香族炭化水素類、メタノール、イソプロパノ
ール、シクロヘキサノール、などのアルコール類、シク
ロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素
類、石油エーテル、石油ナフサ等の石油系溶剤類、セロ
ソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、カルビト
ール、ブチルカルビトール等のカルビトール類、酢酸エ
チル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロ
ソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカ
ルビトールアセテート等の酢酸エステル類等を挙げるこ
とができる。また触媒としては、例えば、トリエチルア
ミン、トリブチルアミンなどのアミン類、トリフェニル
ホスフィン、トリフェニルホスフェートなどのリン化合
物類等を挙げることができる。
【0020】上記のエポキシ樹脂とラジカル重合性不飽
和モノカルボン酸の反応において、エポキシ樹脂が有す
るエポキシ基1当量あたりラジカル重合性不飽和モノカ
ルボン酸を0.7〜1.2当量反応させる事が好まし
い。アクリル酸又はメタクリル酸の少なくとも一方を用
いるときは、さらに好ましくは0.8〜1.0当量加え
て反応させる。ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸が
0.7当量未満であると、後続の工程の合成反応時にゲ
ル化を起こすことがあったり、あるいは樹脂の安定性が
低下する。また、ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸
が過剰であると未反応のカルボン酸が多く残存するた
め、硬化物の諸特性(例えば耐水性等)を低下させる恐
れがある。エポキシ樹脂とラジカル重合性不飽和モノカ
ルボン酸の反応は、加熱状態で行うのが好ましく、その
反応温度は、80〜140℃である事が好ましい。反応
温度が140℃を超えるとラジカル重合性不飽和モノカ
ルボン酸が熱重合を起こし易くなり合成が困難になるこ
とがあり、また80℃未満では反応速度が遅くなり、実
際の製造上好ましくないことがある。エポキシ樹脂とラ
ジカル重合性不飽和モノカルボン酸の希釈剤中での反応
においては、希釈剤の配合量が反応系の総重量に対し
て、20〜50%である事が好ましい。エポキシ樹脂と
ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸の反応生成物は単
離することなく、希釈剤の溶液のまま、次の多塩基酸類
との反応に供する事ができる。
【0021】上記(ii)においては、上記エポキシ樹
脂に対して、上記エポキシ基との反応基含有化合物と上
記ラジカル重合性不飽和モノカルボン酸とは、前者を先
に後者を後に反応させてもよく、その逆でもよいが、こ
れら3者を同時に反応させる方法が好ましい。これら成
分の反応比率は、エポキシ樹脂のエポキシ基の1当量に
対して、エポキシ基との反応基含有化合物とラジカル重
合性不飽和モノカルボン酸の総量として約0.8〜1.
3モルとなるように反応させるのが好ましく、特に好ま
しくは約0.9〜1.1モルである。エポキシ基との反
応基含有化合物とラジカル重合性不飽和モノカルボン酸
との反応比は、これらの総量1モルに対して、エポキシ
基との反応基含有化合物は0.05〜0.5モルが好ま
しく、特に0.1〜0.3が好ましい。上記の反応に当
たって用いられる希釈剤としては、上記(i)の場合に
用いた希釈剤のほかに、ジプロピレングリコールジメチ
ルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル
などのグリコールエーテル類、オクタン、デカンなどの
脂肪族炭化水素、水添石油ナフサ、ソルベントナフサな
どの石油系溶剤等の有機溶剤又はカルビトール(メタ)
アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレー
ト、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレー
ト、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ
(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ
(メタ)アクリレート等の反応性単量体類を使用するこ
ともできる。反応を促進させるための触媒としては、上
記(i)の場合に用いた触媒のほかに、ベンジルメチル
アミン、メチルトリエチルアンモニウムクロライド、ベ
ンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルト
リメチルアンモニウムアイオダイド、トリフェニルスチ
ビン、オクタン酸クロム、オクタン酸ジルコニウム等が
挙げられる。この触媒の使用量は、上記3者の反応原料
混合物に対して、好ましくは0.01〜1%(質量%、
以下同様)である。反応温度は60〜150℃が好まし
く、反応時間は5〜60時間が挙げられる。なお、上記
(ii)において使用した希釈剤、触媒は上記(i)に
おいて使用してもい。
【0022】上記(i)のエポキシ樹脂とラジカル重合
性不飽和モノカルボン酸との反応生成物である不飽和モ
ノカルボン酸化エポキシ樹脂、上記(ii)のエポキシ
樹脂とエポキシ基との反応基含有化合物とラジカル重合
性不飽和モノカルボン酸との反応生成物である不飽和モ
ノカルボン酸化エポキシ樹脂に、多塩基酸又はその無水
物を反応させる。多塩基酸又はその無水物としては、特
に制限は無く、飽和、不飽和のいずれも使用できる。こ
のような多塩基酸としては、コハク酸、マレイン酸、ア
ジピン酸、クエン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル
酸、3−メチルテトラヒドロフタル酸、4−メチルテト
ラヒドロフタル酸、3−エチルテトラヒドロフタル酸、
4−エチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル
酸、3−メチルヘキサヒドロフタル酸、4−メチルヘキ
サヒドロフタル酸、3−エチルヘキサヒドロフタル酸、
4−エチルヘキサヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロ
フタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレ
ンテトラヒドロフタル酸、メチルエンドメチレンテトラ
ヒドロフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸及び
ジグリコール酸等が挙げられ、多塩基酸無水物としては
これらの無水物が挙げられる。これらの化合物は単独で
使用することができ、また2種以上を混合してもよい。
好ましくは、テトラヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸
等が挙げられる。
【0023】多塩基酸又は多塩基酸無水物は、上記のエ
ポキシ樹脂とラジカル重合性不飽和モノカルボン酸との
反応で生成した水酸基、上記(ii)の場合にはさらに
これに加えてエポキシ基と反応基含有化合物の反応によ
り増加した水酸基に反応し、樹脂に遊離のカルボキシル
基を持たせる。反応させようとする多塩基酸又はその無
水物の使用量は、上記(i)においては、エポキシ樹脂
とラジカル重合性不飽和モノカルボン酸との反応生成物
が有する水酸基1モルに対し0.2〜1.0モルである
事が望ましい。露光時に高感度の樹脂膜が得られる点か
らは、好ましくは0.3〜0.9モル、さらに好ましく
は0.4〜0.8モルの割合で反応させる。0.2モル
未満であると得られた樹脂の希アルカリ現像性が低下す
ることがあり、また1.0モルを超えると最終的に得ら
れる硬化塗膜の諸特性(例えば耐水性等)を低下させる
ことがある。多塩基酸は、上記の不飽和モノカルボン酸
化エポキシ樹脂に添加され、脱水縮合反応され、反応時
生成した水は反応系から連続的に取り出すことが好まし
いが、その反応は加熱状態で行うのが好ましく、その反
応温度は、70〜130℃である事が好ましい。反応温
度が130℃を超えると、エポキシ樹脂に結合されたも
のや、未反応モノマーのラジカル重合性不飽和基が熱重
合を起こし易くなり合成が困難になることがあり、また
70℃未満では反応速度が遅くなり、実際の製造上好ま
しくないことがある。多塩基酸無水物を使用する場合も
これに準ずる。また、上記(ii)においては、反応さ
せようとする多塩基酸又その無水物の使用量は、エポキ
シ樹脂とエポキシ基との反応基含有化合物とラジカル重
合性不飽和モノカルボン酸との反応生成物が有する水酸
基1当量当たり、0.1〜0.9当量反応させるのが好
ましく、反応温度は60〜150℃、反応時間は1〜1
0時間が好ましい。
【0024】上記(iii)のラジカル重合性アルカル
可溶化ウレタン変性樹脂を得るには、上記(i)のエポ
キシ樹脂とラジカル重合性不飽和モノカルボン酸との反
応生成物と多塩基酸又はその無水物との反応生成物であ
るラジカル重合性アルカル可溶化樹脂、上記(ii)の
エポキシ樹脂とエポキシ基との反応基含有化合物とラジ
カル重合性不飽和モノカルボン酸との反応生成物と多塩
基酸又はその無水物との反応生成物であるラジカル重合
性アルカル可溶化樹脂に、不飽和基含有モノイソシアネ
ートを反応させることにより得ることができ、この反応
順序が好ましいが、多塩基酸又はその無水物を反応させ
る前に不飽和基含有モノイソシアネートを反応させ、そ
の後に多塩基酸又はその無水物を反応させてもよい。不
飽和基含有モノイソシアネートとしては、具体的には、
下記〔化6〕、〔化7〕の化合物や、トリレンジイソシ
アネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジ
イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の
有機ジイソシアネートと上記した1分子中に1個の水酸
基を有する(メタ)アクリレート類を約等モル反応させ
ることにより得られる反応物等を挙げることができる。
不飽和基含有モノイソシアネートは、上記(i)、(i
i)のラジカル重合性アルカル可溶化樹脂の水酸基1当
量当たり、0.05〜0.5当量反応させるのが好まし
い。反応温度は60〜100℃が好ましい。反応時、ジ
ブチル錫ラウレート等の触媒を少量添加することが好ま
しい。反応時間5〜15時間が好ましい。
【0025】
【化6】
【0026】
【化7】
【0027】上記(i)のラジカル重合性アルカリ可溶
化樹脂の酸価は、60〜300mgKOH/gが好ましい。反
応させる多塩基酸又はその無水物の量により、反応生成
物の酸価は調整できる。 また、上記(ii)のラジカ
ル重合性アルカリ可溶化樹脂、上記(iii)のラジカ
ル重合性アルカリ可溶化ウレタン変性樹脂の酸価は、3
0〜100mgKOH/gが好ましく、特に40〜80mgKOH/
gが好ましい。
【0028】本発明においては、上記(i)、(ii)
のラジカル重合性アルカリ可溶化樹脂、上記(iii)
のラジカル重合性アルカリ可溶化ウレタン変性樹脂も感
光性樹脂として使用できるが、これらの樹脂の有するカ
ルボキシル基に、1つ以上のラジカル重合性不飽和基と
エポキシ基を持つグリシジル化合物を反応させることに
より、ラジカル重合性不飽和基を更に導入し、さらに感
光性を向上させた感光性樹脂としてもよく、特に前二者
については有効である。この感光性を向上させた感光性
樹脂は、最後のグリシジル化合物の反応によってラジカ
ル重合性不飽和基が、その前駆体の感光性樹脂の高分子
の骨格の側鎖に結合するため、光重合反応性が高く、優
れた感光特性を持つことができ、これは上記(iii)
のラジカル重合性アルカリ可溶化ウレタン変性樹脂の場
合も同様である。1つ以上のラジカル重合性不飽和基と
エポキシ基を持つ化合物としては、例えば、グリシジル
アクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリ
シジルエーテル、ペンタエリスリトールトリアクリレー
トモノグリシジルエーテル、上記〔化2〕〜〔化5〕等
が挙げられる。なお、グリシジル基は1分子中に複数有
していてもよい。これらの化合物は単独で用いてもよ
く、混合して用いてもよい。上記グリシジル化合物は、
上記(i)、(ii)又は(iii)のラジカル重合性
アルカリ可溶化樹脂又はラジカル重合性アルカリ可溶化
ウレタン変性樹脂の溶液に添加して反応させるが、その
樹脂に導入したカルボキシル基1モルに対し、通常0.
05〜0.5モルの割合で反応させる。得られる感光性
樹脂を含有する感光性樹脂組成物の感光性(感度)や、
上述した熱管理幅及び電気絶縁性等の電気特性などのこ
とを考慮すると、好ましくは0.1〜0.5モルの割合
で反応させるのが有利である。反応温度は80〜120
℃が好ましい。このようにして得られるグリシジル化合
物を付加した樹脂からなる感光性樹脂は酸価が45〜2
50mgKOH/gである事が好ましい。
【0029】上記(i)のラジカル重合性アルカリ可溶
化樹脂の実用化段階の製品ないしは市販品としては、ク
レゾール又はフェノールのノボラック樹脂のエポキシ樹
脂にアクリル酸を反応させ、さらに酸無水物を付加した
樹脂として、特公平1−54390号公報に記載のも
の、メタクリル酸とメタクリル酸エステルを共重合成分
に有する共重合体のカルボン酸の一部にグリシジルメタ
クリレートを付加した樹脂として、特公平7−9260
3号公報に記載のもの、この共重合体とはメタクリル酸
エステルの代わりにスチレンを用いたこと以外は同様の
共重合体の樹脂として、特開平7−261389号公報
に記載のもの、フェノール類と芳香族アルデヒドの縮合
物のエポキシ樹脂にアクリル酸を反応させ、さらに酸無
水物を付加した樹脂として、特開平2−97513号公
報に記載のもの、ビスフェノールFとビスフェノールF
エポキシ化合物の反応物にエピクロルヒドリンを反応さ
せて得たエポキシ化合物にアクリル酸を反応させ、さら
に酸無水物を付加した樹脂として、特開平5−3274
6号公報に記載のものが挙げられる。また、上記(i
i)のラジカル重合性アルカリ可溶化樹脂、上記(ii
i)のラジカル重合性アルカリ可溶化ウレタン変性樹脂
としては、特開平6−324490号公報に記載された
ものが挙げられる。
【0030】本発明において、「(B)1分子中にエポ
キシ基を1個のみ有するエポキシ化合物」としては、上
記一般式〔化1〕に属する下記一般式〔化8〕で表わさ
れるエポキシシランや、下記一般式〔化9〕の反応式で
表わされるエポキシ基を少なくとも2個(2個以上)有
する多官能エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反
応生成物のエポキシアクリレートであって、エポキシ基
を1個のみ残した1官能エポキシ化合物を挙げることが
できる。
【0031】
【化8】
【0032】(式中、R01、R02、nは上記一般式〔化
1〕のものと同じものを表わし、mは1〜10を表わ
す。)
【0033】
【化9】
【0034】(式中、R03は多官能エポキシ化合物の残
基、nはエポキシ基の数、R04は水素原子又はメチル基
を表わす。)
【0035】上記一般式〔化8〕で表わされるエポキシ
シランとしては、具体的には3−グリシドキシプロピル
トリアルコキシシラン、3−グリシドキシプロピルジア
ルコキシアルキルシラン、3−グリシドキシプロピルア
ルコキシジアルキルシランが挙げられ、これらの内好ま
しくは、3−グリシドキシプロピルトリアルコキシシラ
ンとしては3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、ま
た、3−グリシドキシプロピルジアルコキシアルキルシ
ランとしては3−グリシドキシプロピルジメトキシメチ
ルシラン、また、3−グリシドキシプロピルアルコキシ
ジアルキルシランとしては3−グリシドキシプロピルエ
トキシジメチルシラン等が挙げられる。上記一般式〔化
9〕において、R03としては、例えば未置換若しくは置
換低級アルキレン基その他の未置換若しくは置換アルキ
レン基、−0−、−φ−(φは未置換又は置換ベンゼン
環を表わす)及びトリアジン類の残基の少なくとも2つ
を組み合わせた置換基を挙げることができる。上記一般
式〔化9〕の反応生成物の1官能エポキシ化合物として
は、ビスフェノールAの両末端をエピハロルヒドリンに
よりエポキシ化したエポキシ化合物の一方のエポキシ基
に(メタ)アクリル酸を反応させた化合物、トリアジン
類にエポキシ基を導入した多官能エポキシ化合物の1つ
のエポキシ基を残して他のエポキシ基に(メタ)アクリ
ル酸を反応させた化合物を挙げることができる。上記
(B)のエポキシ化合物及び後述するその他のエポキシ
化合物を熱硬化成分として加えるときは、二液タイプに
するときは、二液を混合したときに、上記(A)成分1
00gに対して、通常0.2〜100gの割合で添加す
る。少な過ぎるとポストキュアー後において所望の物性
を有する塗膜が得られないことがあり、多過ぎると上記
(A)成分等の光硬化性が低下することがある。その添
加量は好ましくは0.5〜60gである。一液タイプに
するときは、上記(B)のエポキシ化合物の添加量は二
液タイプのものに準じるが、粘度安定性を損なわないか
ぎりにおいてその他のエポキシ化合物を加えた合計で上
記添加量としてもよい。この(B)成分の希釈剤等への
溶解性が低ければより好ましいが、これは希釈剤等への
相溶性が低下し、熱硬化性のエポキシ化合物と反応する
上記(A)成分等のの接触機会が低下し、その硬化促進
性を抑制させるものと考えられるが、その結果、上記の
粘度安定性、ポットライフ、保存安定性、熱管理幅の耐
熱性を一段と改善することができる。二液型の感光性樹
脂組成物にするには、この(B)成分と上記(A)成分
は別の液とし、その他の(C)、(D)成分はその一方
又は両方をこれらの(B)成分のいずれに含有させても
よいが、(C)は(A)とは別とし、(D)とはこれが
反応性希釈剤を使用する場合には別にすることが保存時
の重合(暗反応)を抑制する点で好ましい。
【0036】本発明においては、上記(A)成分、
(B)成分のほかに、「(C)光重合開始剤」及び
「(D)希釈剤」と混合して使用することにより、本発
明の感光性樹脂組成物とすることができ、例えばプリン
ト配線板製造用ソルダーレジスト組成物として好適に使
用することができる。上記「(C)光重合開始剤」とし
ては、特に制限はなく、従来知られているものはいずれ
も使用できる。具体的には、代表的なものとしては例え
ば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾイ
ンエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、
ベンゾインーnーブチルエーテル、ベンゾインイソブチ
ルエーテル等のベンゾイン類、アセトフェノン、ジメチ
ルアミノアセトフェノン、2,2- ジメトキシ−2−フ
ェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェ
ニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノ
ン、2- ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパ
ン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニル
ケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニ
ル〕−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、N,N
−ジメチルアミノアセトフェノン、4- (2-ヒドロキシエ
トキシ) フェニル−2-(ヒドロキシ-2- プロピル) ケト
ン等のアセトフェノン類、ベンゾフェノン、メチルベン
ゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,
4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、p-フェニル
ベンゾフェノン、4, 4′ージエチルアミノベンゾフェ
ノン、ジクロロベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4
−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等
のベンゾフェノン類、2−メチルアントラキノン、2−
エチルアントラキノン、2- ターシャリーブチルアント
ラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアン
トラキノン、2−アミノアントラキノン等のアントラキ
ノン類、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキ
サントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチ
ルチオキサントン、2,4ジエチルチオキサントン、
2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサン
トン類、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジ
メチルケタール等のケタール類、P−ジメチルアミノ安
息香酸エチルエステル、2,4,6−トリメチルベンゾ
イルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
これらを単独または2種以上組み合わせて用いることが
できる。これらの光重合開始剤には、光増感剤として、
N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,
N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ベン
チル4−ジメチルアミノベンゾエート、トリエチルアミ
ン、トリエタノールアミン等の3級アミン類を単独又は
少なくとも2種組み合わせて用いることができる。これ
らの内、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニ
ル〕−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン(チバ・
ガイギー社製のイルガキュアー907)と2,4ジエチ
ルチオキサントン(日本化薬社製のカヤキュアーDET
X)や2−イソプロピルチオキサントン、4−ベンゾイ
ル−4’−メチルジフェニルサルファイドとの組合わせ
も好ましく用いられる。光重合開始剤の使用量は、上記
(A)成分の活性エネルギー線硬化性樹脂100g に対
して、通常0.5〜50g である。0.5g 未満では、
この(A)成分の活性エネルギー線硬化性樹脂の光硬化
反応が進行し難くなり、50g を超えるとその加える量
の割には効果は向上せず、むしろ経済的には不利となっ
たり、硬化塗膜の機械的特性が低下することがある。光
硬化性、経済性、硬化塗膜の機械的特性などの点から
は、その使用量は、好ましくは2.0〜30g である。
【0037】上記「(D)希釈剤」は、反応性希釈剤及
び/又は有機溶剤からなり、反応性希釈剤は上記(A)
成分の活性エネルギー線硬化性樹脂(上記(i)、(i
i)、(iii)又はこれらのグリジジル化合物による
変成物)の硬化性を更に十分にして、耐酸性、耐熱性、
耐アルカリ性などを有する塗膜を得るために使用するも
ので、1分子中に二重結合を少なくとも2個有する化合
物が好ましく用いられる。その反応性希釈剤の代表的な
ものとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メ
タ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)
アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ
(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペン
チルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペン
タニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジ
シクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオ
キサイド変性燐酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シ
クロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレー
トジ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタ
エリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリ
スリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキ
シド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレ
ート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレー
ト、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ
(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエ
リスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、また、2−
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキ
シプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキ
ル(メタ)アクリレート類、エチレングリコール、メト
キシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコー
ル等のグリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート
類、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メ
チロール(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリル
アミド類、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アク
リレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート類、
ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエ
リスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス−ヒド
ロキシエチルイソシアヌレート等の多価アルコール又は
これらのエチレンオキサイド若しくはプロピレンオキサ
イド付加物の多価(メタ)アクリレート類(例えば1,
6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメ
チロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタ
エリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエ
リスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等)、フェノ
キシエチル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAの
ポリエトキシジ(メタ)アクリレート等のフェノール類
のエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物
の(メタ)アクリレート、グリセリンジグリシジルエー
テル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテ
ル、トリグリシジルイソシアヌレートなどのグリシジル
エーテルの(メタ)アクリレート類及びメラミン(メ
タ)アクリレート等を挙げることができる。
【0038】上記の2〜6官能その他の多官能反応性希
釈剤は単品又は複数の混合系のいずれにおいても使用可
能である。この反応性希釈剤の添加量は、上記(A)成
分の活性エネルギー線硬化性樹脂100g当たり、通常
2.0〜40gの範囲で選ばれる。その添加量が2.0
gより少ないと十分な光硬化が得られず、硬化塗膜の耐
酸性、耐熱性等において十分な特性が得られず、また、
添加量が40gを越えるとタックが激しく、露光の際ア
ートワークフィルムの基板への付着が生じ易くなり、目
的とする硬化塗膜が得られ難くなる。光硬化性、硬化塗
膜の耐酸性、耐熱性等、アートワークフィルムの基板へ
の付着の防止の点からは、反応性希釈剤の添加量は、好
ましくは4.0〜20gである。
【0039】上記反応性希釈剤は上記(A)成分を希釈
し、塗布し易い状態にする機能も有するが、この機能は
有機溶剤と併用しあるいは有機溶剤のみでも行なうこと
ができる。有機溶剤のみを用いる場合には塗布後、乾燥
させることにより造膜させる。用いる希釈剤の種類に応
じて、フォトマスクを塗膜に接触させる接触方式、あい
は非接触方式のいずれかの露光方式が採用される。有機
溶剤としては、エチルメチルケトン、シクロヘキサノン
等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベン
ゼン等の芳香族炭化水素類、メチルセロソルブ、ブチル
セロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトー
ル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロ
ピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレング
リコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモ
ノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチ
ル、酢酸ブチル、ブチルセロソルブアセテート、カルビ
トールアセテート等のエステル類、エタノール、プロパ
ノール、エチレングリコール、プロピレングリコールな
どのアルコール類、オクタン、デカンなどの脂肪族炭化
水素、石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソ
ルベントナフサ等の石油系溶剤等を挙げることができ
る。
【0040】上記「(B)1分子中にエポキシ基を1個
のみ有するエポキシ化合物」は硬化剤と併用してもよ
く、その硬化剤としては、下記一般式〔化10〕で表わ
されるジシアンジアミドの有機酸塩及びその誘導体の少
なくとも1種が挙げられる。この一般式〔化10〕にお
けるXが水素原子の場合は、ジシアミジアミドの有機酸
塩であり、Xがアルキル基の場合には、N−置換ジシア
ンジアミド誘導体の有機酸塩(ジシアミジアミドの有機
酸塩の誘導体ということもできる)ということができる
が、通常炭素数1〜12の直鎖、分岐のいずれのアルキ
ル基でもよい。アルキル基としては、具体的には、メチ
ル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n
−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ド
デシル基などが挙げられる。また、下記一般式〔化1
1〕で表される置換基(アリール、アラルキル)として
は、具体的には、フェニル基、ベンジル基、フェネチル
基、3−フェニルプロピル基、4−フェニルブチル基が
挙げられ、核置換基R1 としては、メチル基、エチル
基、n−プロピル基、イソプロピル基などの炭素数1〜
3の低級アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プ
ロポキシ基、イソプロポキシ基などの炭素数1〜3の低
級アルコキシル基、水酸基、アミノ基又はメチルアミノ
基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミ
ノ基などの炭素数1〜4の低級アルキル置換アミノ基が
挙げられる。一般にN−置換ジシアンジアミド誘導体中
の芳香族基における不活性置換基については、その数が
0又は1〜3の範囲で変わっても、N−置換ジシアンジ
アミドの作用自体には影響がないので、上記のR1 の数
は0〜3の範囲で適宜選ぶことができる。
【0041】
【化10】
【0042】〔式中、Xは水素原子又はアルキル基又は
下記一般式〔化2〕で表される置換基を示し、
【0043】
【化11】
【0044】(但し、R1 は水素原子、又は炭素数1〜
3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシル基、水酸
基、アミノ基若しくは炭素数1〜3のアルキル置換アミ
ノ基を表わし、nは0〜3の整数、mは0〜4の整数を
表わす。)、Yは下記一般式〔化12〕、〔化13〕又
は〔化14〕で表される置換基を示す。
【0045】
【化12】
【0046】(但し、R2 は水素原子、又は炭素数1〜
18のアルキル基、環状脂肪族炭化水素基、芳香族炭化
水素基のそれぞれにおいてカルボキシル基が未置換の1
塩基酸残基若しくは少なくとも1個のカルボキシル基を
置換した多塩基酸残基を表わし、カルボキシル基以外の
他の置換基を有していてもよい。)
【0047】
【化13】
【0048】(但し、R3 は水素原子、又は炭素数1〜
9のアルキル基、環状脂肪族炭化水素基を表わし、R4
は水素原子又は炭素数1〜9のアルキル基を表わし、R
3 、R 4 においてはそれぞれアクロイル基若しくはメタ
クリロイル基で置換されていてもよい。)
【0049】
【化14】
【0050】(但し、R5 は水素原子、又は炭素数1〜
18のアルキル基若しくは芳香族基を表わす。)〕
【0051】N−置換ジシアンジアミド誘導体を得る場
合のアルカリジシアナミドとアミン化合物の塩は、一般
に化学量論的割合で用いられる。また、反応溶媒として
は、水や、エタノール、プロパノール、ブタノールなど
の炭素数2〜6のアルコール、好ましくは炭素数3〜5
のアルコールであり、また、これらアルコールと水との
混合液を用いることができる。また、ジメチルホルムア
ミド、スルホランなども用いることができる。なお、N
−置換ジシアンジアミド誘導体は、「ジャーナル・オブ
・ケミカル・ソサエテイ(J.Chem.Soc.)」
4422(1956年)、特開昭64−71846号公
報等に記載された方法によって容易に製造することがで
きる。
【0052】ジシアンジアミドの有機酸塩やN−置換ジ
シアンジアミド誘導体の有機酸塩は、有機酸塩であれば
特に限定されないが、その有機酸塩としてはカルボン
酸、リン酸、スルホン酸又はこれらの無水物の有機酸塩
が好ましい。有機酸又はその無水物の反応後の有機酸基
は、上記一般式〔化12〕、〔化13〕又は〔化14〕
で示される。上記一般式〔化12〕の式は、有機カルボ
ン酸残基といえるもので、式中、R 2 としては、水素原
子、又は炭素数1〜18のアルキル基、環状脂肪族炭化
水素基、芳香族炭化水素基のそれぞれにおいてカルボキ
シル基が未置換の1塩基酸残基若しくは少なくとも1個
のカルボキシル基を置換した多塩基酸残基であって、カ
ルボキシル基以外の他の置換基を有していてもよいが、
2 中のカルボキシル基の数としては1〜3個が挙げら
れ、反応前の有機酸としては1塩基酸から4塩基酸まで
のカルボン酸又はその無水物が挙げられる。カルボキシ
ル基以外の他の置換基としては、水酸基等の親水性基が
挙げられる。カルボキシル基は金属やアミン類等の塩基
と塩を形成してもよく、これは後述の酸においても同様
であり、本発明はその場合も含む。有機酸としては、具
体的には、乳酸、フタル酸類、トリメリット酸その他の
これらに類する化合物等を挙げることができ、有機酸の
無水物としてはこれらの無水物を挙げることができる。
有機酸又はその無水物は1種又は少なくとも2種併用し
てもよい。
【0053】上記一般式〔化13〕の式は、有機リン酸
残基といえるもので、式中、R3 は水素原子、又は炭素
数1〜9の直鎖又は分岐のアルキル基、環状脂肪族炭化
水素基を表わし、R4 は水素原子又は炭素数1〜9の直
鎖又は分岐のアルキル基を表わし、R3 、R4 において
はそれぞれアクリロイル基若しくはメタクリロイル基で
置換されてもよいが、R3 、R4 が共に水素原子のとき
は、反応前の有機酸はリン酸となる。アクリロイル基若
しくはメタクリロイル基で置換された場合とは、具体的
例として、日本化薬(株)製「カヤマーPM2」(商品
名)を使用して製造することにより得られる。また、一
般式〔化14〕の式は、有機硫酸残基といえるもので、
式中、R5 は水素原子、又は炭素数1〜18のアルキル
基若しくは芳香族基を表わし、R5 が水素原子の場合
は、反応前の有機酸は硫酸となる。なお、硫酸は無機酸
と呼ばれることもあるが、有機硫酸化合物の極端な場合
と見られるので、本発明では有機酸として扱う。その他
の無機酸と呼ばれることもある場合についても同様であ
る。
【0054】上記のジシアンジアミドの有機酸塩やその
誘導体は、エポキシ系熱硬化性化合物に対する硬化剤と
して用いられるものであり、常温ではこのエポキシ系熱
硬化性化合物と反応し難いが、加熱によって速やかに反
応する、いわゆる潜在性熱硬化剤としての機能を有し、
この潜在性熱硬化剤を適量含有する本発明の感光性樹脂
組成物は、N−置換ジシアンジアミドを使用する場合に
比べても、ポットライフが長く、保存安定性に優れてい
るとともに、その塗膜は上述した熱管理幅を広くするこ
とができる。これは、ジシアンジアミドやその誘導体と
有機酸の塩を造ることにより、上記(A)成分の樹脂等
への相溶性が低下し、エポキシ系熱硬化性化合物との接
触機会が低下し、その硬化促進性を抑制させることと、
さらにジシアンジアミドの塩基の強さが塩を造ることに
より低下し、それだけエポキシ系熱硬化性化合物の硬化
促進機能を抑制させることによるものと考えられるが、
いずれにせよN−置換ジシアンジアミドを硬化促進剤に
使用する場合に比べて、さらに熱潜在性化(常温では硬
化促進機能が低く、加熱すると本来の硬化促進機能を発
揮する性質)を行なうことができ、その結果、上記のポ
ットライフ、保存安定性、熱管理幅の耐熱性を一段と改
善することができる。なお、これらの性能の顕著な向上
を期待しない場合には、上記の有機酸塩を用いないN−
置換ジシアンジアミドを併用したり、単独でN−置換ジ
シアンジアミドを使用してもよい。
【0055】上記ジシアンジアミドの有機酸塩やその誘
導体は単独で用いてもよいし、少なくとも2種(2種以
上)を組み合わせて用いてもよい。また、その含有量
は、それ自体の活性水素当量及び(B)成分の熱硬化性
のエポキシ化合物の含有量やエポキシ当量などに左右さ
れるが、一般的には、上記(A)成分100g当たり、
0.1〜10gの範囲で選ばれる。この含有量が0.1
g未満では熱硬化特性が十分に発揮されないおそれがあ
るし、10gを超えると本発明の感光性樹脂組成物のポ
ットライフが短くなり易く、その塗膜のソルダーレジス
ト膜の特性低下の原因となることがある。熱硬化特性、
組成物のポットライフ及びソルダーレジスト膜の特性な
どを考慮すると、上記ジシアンジアミドの有機酸塩やそ
の誘導体の含有量は、特に1〜8gの範囲が好ましい。
エポキシ系熱硬化性化合物に併用できるその他の硬化剤
及び/又は上記硬化剤その他の硬化剤とともに使用され
る硬化促進剤としては、メラミン化合物、イミダゾール
化合物、フェノール化合物等の公知のエポキシ硬化剤あ
るいは硬化促進剤があり、その使用により、塗膜をポス
トキュアーすることを促進することができる。この熱硬
化性化合物の併用により、得られるレジスト皮膜の耐熱
性、耐湿性、電気絶縁性、耐薬品性、耐酸性、耐溶剤
性、密着性、可撓性、硬度などの諸特性を向上させるこ
とができ、プリント配線板用のソルダーレジストとして
有用である。
【0056】その他の硬化剤あるいは硬化促進剤として
は、四国化成工業社製の2MZ、2E4MZ、C11Z、
17Z、2PZ、1B2MZ、2MZ−CN、2E4M
Z−CN、C11Z−CN、2PZ−CN、2PHZ−C
N、2MZ−CNS、2E4MZ−CNS、2PZ−C
NS、2MZ−AZINE、2E4MZ−AZINE、
11Z−AZINE、2MA−OK、2P4MHZ、2
PHZ、2P4BHZ等のイミダゾール誘導体、アセト
グアナミン、ベンゾグアナミン等のグアナミン類、ジア
ミノジフエニルメタン、m−フェニレンジアミン、m−
キシレンジアミン、ジアミノジフェニルスルフォン、ジ
シアンジアミド、N−置換ジシアンジアミド、尿素、尿
素誘導体、メラミン、多塩基ヒドラジン等のポリアミン
類、これらの有機酸塩及び/又はエポキシアダクト、三
フッ化ホウ素のアミン錯体、エチルジアミノ−S−トリ
アジン、2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2,4−
ジアミノ−6−キシリル−S−トリアジン等のトリアジ
ン誘導体類、トリメチルアミン、トリエタノールアミ
ン、N,N−ジメチルオクチルアミン、N−ベンジルジ
メチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、ヘキ
サ(N−メチル)メラミン、2,4,6−トリス(ジメ
チルアミノフェノール)、テトラメチルグアニジン、m
−アミノフェノール等の三級アミン類、ポリビニルフェ
ノール、ポリビニルフェノール臭素化物、フェノールノ
ボラック、アルキルフェノールノボラック等のポリフェ
ノール類、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフ
ィン、トリス−2−シアノエチルホスフィン等の有機ホ
スフィン類、トリ−n−ブチル(2,5−ジヒドロキシ
フェニル)ホスホニウムブロマイド、ヘキサデシルトリ
ブチルホスホニウムクロライド等のホスホニウム塩類、
ベンジルトリメチルアンモウムクロライド、フェニルト
リブチルアンモウムクロライド等の4級アンモニウム塩
類、上記多塩基酸無水物、ジフェニルヨードニウムテト
ラフルオロボロエート、トリフェニルスルホニウムヘキ
サフルオロアンチモネート、2,4,6−トリフェニル
チオピリリウムヘキサフルオロホスフェート、チバ・ガ
イギー社製のイルガキュアー261、旭電化社製のオプ
トマーSP−170等の光カチオン重合触媒、スチレン
−無水マレイン酸樹脂、フェニルイソシアネートとジメ
チルアミンの等モル反応物や、トリレンジイソシアネー
ト、イソホロンジシアネート等の有機ポリイソシアネー
トとジメチルアミン等の等モル反応物等の硬化剤類ある
いは硬化促進剤類を単独又は少なくとも2種混合して用
いることができる。上記硬化剤及び/又は硬化促進剤は
配合したエポキシ化合物100gに対して、0.01〜
25g、好ましくは0.1〜15g用いる。二液の感光
性樹脂組成物の場合には、上記硬化剤及び/又は硬化促
進剤は、上記(B)成分のエポキシ化合物その他の以下
に述べるエポキシ化合物とは別個の液とすることが好ま
しい。
【0057】上記(B)成分のエポキシ化合物のほか
に、本発明の感光性樹脂組成物においては、その粘度安
定性を損なわない限り、ポストキュアー後において十分
に強靭な塗膜を得るために他のエポキシ化合物や、その
他の熱や紫外線等によって硬化するもの、上記(A)成
分その他の配合成分の水酸基やカルボキシル基等と熱や
紫外線等で反応する成分を加えてもよい。この熱硬化性
のエポキシ化合物の代表的なものとしては、1分子中に
少なくとも1個のエポキシ基、好ましくは2個以上のエ
ポキシ基を有するエポキシ樹脂(エポキシオリゴマーを
含む)が好適である。例えばビスフェノールAとエピク
ロルヒドリンとをアルカリの存在下に反応させて得られ
たビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA
とホルマリンとを縮合反応させて得られた樹脂のエポキ
シ化物、これらの樹脂において、ビスフェノールAの代
わりにプロム化ビスフェノールAを用いたもの、ノボラ
ック樹脂にエピクロルヒドリンを反応させてグリシジル
エーテル化したノボラック型エポキシ樹脂(フェノール
ノボラック型エポキシ樹脂、o−クレゾールノボラック
型エポキシ樹脂、p−tert−ブチルフェノールノボ
ラック型など)、ビスフェノールFやビスフェノールS
にエポクロルヒドリンを反応させて得られたビスフェノ
ールF型やビスフェノールS型エポキシ樹脂、さらにシ
クロヘキセンオキシド基、トリシクロデカンオキシド
基、シクロペンテンオキシド基などを有する脂環式エポ
キシ樹脂、フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒド
ロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル
酸ジグリシジルエステル、ジグリシジル−p−ヒギロキ
シ安息香酸、ダイマー酸グリシジルエステルなどのグリ
シジルエステル樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェ
ニルメタン、トリグリシジル−p−アミノフェノールな
どのグリシジルアミン系樹脂、(プロピレン、ポリプロ
ピレン)グリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラ
メチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロー
ルポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポ
リグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテ
ル、1.6ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、
(エチレン、プロピレン)グリコールジグリシジルエー
テル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ソルビタ
ンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリ
グリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル樹脂、ト
リス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、
トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシ
アヌレート等のトリアジン環を有するトリグリシジルイ
ソシアヌレートなどが挙げられる。これらの熱硬化性化
合物は単独で用いてもよいし、複数併用してもよい。
【0058】具体的には、油化シエル社製のエピコート
1009、1031、大日本インキ工業化学社製のエピ
クロンN−3050、N−7050、ダウケミカル社製
のDER−642U、DER−673MF等のビスフェ
ノールA型エポキシ樹脂、東都化成社製のST−200
4、ST−2007等の水添ビスフェノールA型エポキ
シ樹脂、東都化成社製のYDF−2004、YDF−2
007等のビスフェノールF型エポキシ樹脂、坂本薬品
社製のSR−BBS、SR−TBA−400、東都化成
社製のYDB−600、YDB−715等の臭素化ビス
フェノールA型エポキシ樹脂、日本化薬社製のEPPN
−201、EOCN−103、BREN等のノボラック
型エポキシ樹脂、大日本インキ工業化学社製のエピクロ
ンN−880等のビスフェノールAのノボラック型エポ
キシ樹脂、油化シエル社製のYL−931、YL−93
3等のアミノ基含有エポキシ樹脂、大日本インキ工業化
学社製のエピクロンTSR−601等のゴム変性エポキ
シ樹脂、日本化薬社製のEBPS−200、大日本イン
キ工業化学社製のエピクロンEXA−1514等のビス
フェノールS型エポキシ樹脂、日本油脂社製のプレンマ
ーDGTJAのジグリシジルテレフタレート、日産化学
社製のTEPIC等のトリグリシジルイソシアヌレー
ト、油化シエル社製のYX−4000等のビキシレノー
ル型エポキシ樹脂、油化シエル社製のYL−6056等
のビフェノール型エポキシ樹脂、ダイセル化学工業社製
のセロキサイド2021等の脂環式エポキシ樹脂等を挙
げることができる。その他の成分としては、例えばヘキ
サメトキシメラミン、ヘキサブトキシ化メラミン、縮合
ヘキサメトキシメラミントウのメラミン誘導体類、ジメ
チロール尿素等の尿素化合物類、テトラメチロール・ビ
スフェノールA等のビスフェノールA化合物類、オキサ
ゾリン化合物等を挙げることができる。上記(B)のエ
ポキシ化合物及びその他のエポキシ化合物を熱硬化成分
として加えるときは、その配合量は上記(B)成分の説
明の際に述べたが、上記のエポキシ化合物以外のその他
の化合物についてもこれに準じる。
【0059】本発明の感光性樹脂組成物には、上記の成
分のほかに、アリル基を少なくとも2つ有する化合物、
例えばトリアリルイソシアヌレート、トリアリルイソシ
アヌレートの単独重合ポリマー及びトリアリルイソシア
ヌレートの共重合ポリマーの少なくとも1種を添加して
もよい。より具体的には、ジアリルオルソフタレート、
ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレート等の
ジカルボン酸ジアリルエステル、トリアリルシアヌレー
ト、テトラメチロールメタンテトラアグレート、トリメ
リット酸トリアリル等のモノマー、また、これらの単独
重合ポリマー(例えばモノマーの一つの二重結合のみを
重合させた多数モノマーの重合体)、例えばトリメリッ
ト酸トリアリルの重合体(重量平均分子量(Mw)が2
×104であり、重量平均分子量と数平均分子量との比
(Mw/Mn=1.8(分散度))、トリアリルシアヌ
レートの重合体(Mw=2.8×104 、Mw/Mn=
1.5)が挙げられ、さらにはこれらのモノマーの少な
くとも2種の共重合ポリマー、例えばトリアリルシアヌ
レート又はトリアリルイソシアヌレートとジアリルフタ
レート(オルソ、イソ、テレフタル酸のジアリルエステ
ルの少なくとも1種)の共重合体(Mw=15000〜
18000、Mw/Mn=1.5〜1.6、ヨウ素価6
5〜70、共重合モル比0:1〜1:1)等のトリアリ
ルシアヌレート又はトリアリルイソシアヌレートとジカ
ルボン酸ジアリルエステルとの共重合ポリマー等が挙げ
られる。単独重合ネリマーと共重合ポリマーの重量平均
分子量は2,000〜100,000が好ましい。2,
000未満では指触乾燥性の向上する程度が低くなり、
100,000を越えると希アルカリ現像性が低下する
ことがある。これらの内、トリアリルイソシアヌレート
又はその単独若しくは共重合ポリマーが好ましい。この
アリル基を少なくとも2つ有する化合物は単独で用いて
もよいし、少なくとも2種(2種以上)を組み合わせて
用いてもよく、この成分を用いることにより特に塗膜の
指触乾燥性が向上し、塗膜の密着性も向上する。その含
有量は、一般的には、上記(A)成分100g当たり、
1〜40gの範囲で選ばれる。この含有量が1g未満で
は指触乾燥性が十分に発揮されないおそれがあるし、4
0gを越えると現像性が悪化することがある。指触乾燥
性、密着性、熱硬化特性、及びソルダーレジスト膜の特
性などを考慮すると、この成分の含有量は、特に10〜
20gの範囲が好ましい。
【0060】本発明の感光性樹脂組成物には、上記の成
分のほかに、必要に応じて種々の添加剤、例えばシリ
カ、アルミナ、水酸化アルミニウム、タルク、クレー、
炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、チ
タン酸バリウム、酸化ケイ素粉、微粉状酸化ケイ素、雲
母等の無機材料からなる充填剤、フタロシアニングリー
ン、フタロシアニンブルー等のフタロシアニン系、ジス
アズイエロー等のアゾ系、アイジングリーン、クリスタ
ルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフ
タレンブラック等の有機顔料や無機顔料の着色剤、ハイ
ドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、te
rt−ブチルカテコール、ピロガロール、フェノチアジ
ン等の重合禁止剤、アスベスト、オルベン、ベントン、
モンモリロナイト等の増粘剤、シリコーン系、フッ素
系、高分子系等の消泡剤、レベリング剤、イミダゾール
系、チアゾール系、トリアゾール系、シランカップリン
グ剤等の密着性付与剤等の塗料用添加剤などを含有させ
ることができる。
【0061】また、アクリル酸エステル等のアクリル系
モノマーなどのエチレン性不飽和化合物の共重合体類、
多価アルコール類と多塩基酸類の反応で得られるポリエ
ステル樹脂類や、ポリエステル(メタ)アクリレート、
ポリウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)
アクリレート等の活性エネルギー線硬化性オリゴマーも
バインダーその他の成分として、例えばソルダーレジス
トその他の用途の塗膜としての性能を向上させる目的で
使用できる。また、本発明の感光性樹脂組成物の引火性
を低下ないしは無くすために、水を添加することもで
き、その際酸基を有する配合成分については、水に対す
る溶解性を高めるために、塩を形成する塩基性物質を添
加してもよく、その塩基性物質としては、トメチルアミ
ン、トリエチルアミン等のアミン類、N,N−ジメチル
アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル
アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメ
チル(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリ
ン、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メ
チロールアクリルアミド等の第3級アミノ基を有する化
合物が挙げられる。
【0062】上述のようにして得られた本発明の感光性
樹脂組成物は、例えば銅張り積層板の銅箔をエッチング
して形成した回路のパターンを有するプリント配線板
に、スクリーン印刷法、スプレー法、ロールコート法、
静電塗装法、カーテンコート法等により所望の厚さ(例
えば10〜160μm)で塗布し、60〜110℃程度
の温度で15〜60分間程度加熱して溶剤を揮散させた
後、これに上記回路のパターンのはんだ付けランド以外
は透光性にしたパターンのネガフィルムを密着させ(接
触しないで状態で塗膜の上に置く場合もある)、その上
から紫外線を照射させ、このはんだ付けランドに対応す
る非露光領域を希アルカリ水溶液で除去することにより
塗膜が現像される。この際使用される希アルカリ水溶液
としては0.5〜5質量%の炭酸ナトリウム水溶液が一
般的であるが、他のアルカリも使用可能である。次い
で、紫外線を照射したり又は100〜200℃の熱風循
環式の乾燥機等で10〜60分間加熱又はこれらを併用
してポストキュアーを行うことにより目的とするソルダ
ーレジスト皮膜を形成せしめることができる。なお、紫
外線の他にその他の光、電子線又はX線等の放射線を使
用してもよい。このようにしてソルダーレジスト膜で被
覆したプリント配線板が得られ、これに電子部品が噴流
はんだ付け方法や、リフローはんだ付け方法によりはん
だ付けされることにより接続、固定されて搭載され、一
つの電子回路ユニットが形成される。本発明において
は、その電子部品搭載前のソルダーレジスト皮膜を被覆
したプリント配線板、このプリント配線板に電子部品搭
載した電子部品搭載後のプリント配線板のいずれをもそ
の対象に含む。
【0063】
【発明の実施の形態】後述する実施例で使用する各成分
及びその成分比を中心に、各成分の上述した化合物の中
から選択された類似化合物、各成分比の上述した好まし
い範囲について、後述する実施例を包括する上位概念の
発明を構成することができる。
【0064】
【実施例】次ぎに、本発明を実施例によりさらに詳細に
説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら
限定されるものではない。
【0065】樹脂の製造例1(上記(A)成分としての
感光性樹脂) エチルカルビトールアセテート中において、エポキシ当
量が220で、かつ1分子中に平均して7個のフェノー
ル残基と、エポキシ基を有するクレゾールノボラック型
エポキシ樹脂のエポキシ基1モルに対し、アクリル酸を
1モルの割合で反応させて得られた反応物に、無水テト
ラヒドロフタル酸を0.6モルの割合で反応させ、感光
性樹脂溶液を製造した。この感光性樹脂溶液は、固形分
の樹脂成分100質量部に対し、エチルカルビトールア
セテート50質量部を含む粘ちょうな液体であり、樹脂
分の酸価は88mgKOH/gであった。
【0066】実施例1 上記樹脂の製造例1で得られた感光性樹脂溶液45gに
対し、TSL−8350(エポキシ基との反応基含有エ
ポキシ化合物としての3−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン(東芝シリコン社製))1g、ベンジルジ
メチルケタール(光重合開始剤)4g、ジペンタエリス
リトールヘキサアクリレート(反応性希釈剤)6g、硫
酸バリウム(充填剤)40g、ジシアンジアミド(潜在
性硬化剤)0.2g、AC−303(消泡剤)2g、B
YK−405(チクソ剤(増粘剤))0.5g、フタロ
シアニングリーン(顔料)0.5g、ジエチレングリコ
ールモノエチルエーテルアセテート(有機溶剤)2gを
3 本ロールで混合分散させて、感光性樹脂組成物を調製
した。この感光性樹脂組成物の粘度変化、その塗膜の熱
管理幅及び塗膜性能を後述の試験法によって調べた結果
を表1に示す。
【0067】比較例1 上記樹脂の製造例1で得られた感光性樹脂溶液45gに
対し、トリグリシジルイソシアヌレート1g、ベンジル
ジメチルケタール(光重合開始剤)4g、ジペンタエリ
スリトールヘキサアクリレート(反応性希釈剤)6g、
硫酸バリウム(充填剤)40g、ジシアンジアミド(潜
在性硬化剤)0.2g、AC−303(消泡剤)2g、
BYK−405(チクソ剤(増粘剤))0.5g、フタ
ロシアニングリーン(顔料)0.5g、ジエチレングリ
コールモノエチルエーテルアセテート(有機溶剤)2g
を3 本ロールで混合分散させて、感光性樹脂組成物を調
製した。この感光性樹脂組成物の粘度変化、その塗膜の
熱管理幅及び塗膜性能を後述の試験法によって調べた結
果を表1に示す。
【0068】実施例2 実施例1において、感光性樹脂溶液45g、硫酸バリウ
ム(充填剤)40g、ジシアンジアミド(潜在性硬化
剤)0.2g、AC−303(消泡剤)2g、BYK−
405(チクソ剤(増粘剤))0.5g、ベンジルジメ
チルケタール(光重合開始剤)4g、フタロシアニング
リーン(顔料)0.5g、ジエチレングリコールモノエ
チルエーテルアセテート(有機溶剤)2gを3 本ロール
で混合分散させて得られた第1液と、TSL−8350
(エポキシ基との反応基含有エポキシ化合物としての3
−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東芝シリ
コン社製))1g、ジペンタエリスリトールヘキサアク
リレート(反応性希釈剤)6gを混合して得られた第2
液を別個に製造した後、第1液と第2液を混合し、実施
例1と同様の試験を行なったところ、同様の結果が得ら
れた。これは二液型の感光性樹脂組成物に当たる。
【0069】比較例2 実施例1において、感光性樹脂溶液45g、硫酸バリウ
ム(充填剤)40g、ジシアンジアミド(潜在性硬化
剤)0.2g、AC−303(消泡剤)2g、BYK−
405(チクソ剤(増粘剤))0.5g、ベンジルジメ
チルケタール(光重合開始剤)4g、フタロシアニング
リーン(顔料)0.5g、ジエチレングリコールモノエ
チルエーテルアセテート(有機溶剤)2gを3 本ロール
で混合分散させて得られた第1液と、トリグリシジルイ
ソシアヌレート1g、ジペンタエリスリトールヘキサア
クリレート(反応性希釈剤)6gを混合して得られた第
2液を別個に製造した後、第1液と第2液を混合し、実
施例1と同様の試験を行なったところ、比較例1と同様
の結果が得られた。これは二液型の感光性樹脂組成物に
当たる。
【0070】感光性樹脂組成物の粘度安定性、その塗膜
の熱管理幅及び塗膜性能(密着性、鉛筆硬度、はんだ耐
熱性)の評価方法は、以下のとおりである。 (1)粘度安定性 上記実施例1、比較例1のそれぞれの感光性樹脂組成物
を密閉容器に入れ、50℃の恒温槽での加熱を7日間行
ない、その7日後と試験開始直前の感光性樹脂組成物の
粘度を回転粘度計を用いて測定した。 (2)熱管理幅 予め面処理済みの基板(銅張り積層板)に、スクリーン
印刷法により、上記実施例1、比較例1のそれぞれの感
光性樹脂組成物を40μmの厚さ(乾燥前)に塗工して
それぞれの塗工基板を作製し、それぞれの塗工基板を8
0℃、予備乾燥時間を120分とした塗工基板を試験片
とし、50℃、7日放置した後に1質量%の炭酸ナトリ
ウム水溶液を用い、2.0kg/cm2 のスプレー圧で
60秒現像を行い、塗工膜を完全に除去することができ
るのものを○、部分的にしか除去できないものを×とし
て示した。
【0071】(3)塗膜性能 予め面処理済みの基板(銅張り積層板)に、スクリーン
印刷法により、上記実施例1〜7、比較例1〜3のそれ
ぞれの感光性樹脂組成物を40μmの厚さ(乾燥前)に
塗工してそれぞれの塗工基板を作製し、それぞれの塗工
基板を80℃、20分間乾燥した。この基板にネガフィ
ルムを密着させ、露光(200mV/cm2 の強度)
後、1質量%炭酸ナトリウム水溶液で60秒間現像処理
してパターンを形成した。次に、この基板を150℃で
30分間熱硬化して、硬化塗膜を有する試験片を作製
し、塗膜性能の評価を行なった。
【0072】(イ)密着性 JIS D−0202に準拠して、碁盤目試験により測
定した。碁盤目100個の内剥離のない個数を数え、そ
の数を分子、全数100を分母にして示す。 (ハ)鉛筆硬度 JIS K−5400 6.14に準拠して測定した。 (ロ)はんだ耐熱性 硬化塗膜を有する試験片を、JIS C 6481の試
験方法に従って、260℃のはんだ槽に1回当たり10
秒、合計4回浸漬後、セロハンテープによるピーリング
試験を行ない、塗膜に変化がないものを○、塗膜に変化
があるものあ×として示した。
【0073】
【表1】
【0074】表1の結果から、粘度安定性は実施例1の
ものは、比較例1のものに比べ1.5倍優れ、その他の
性能は同等であることがわかる。なお、上述した発明に
おいて、「感光性樹脂組成物」を「ソルダーレジスト用
感光性樹脂組成物」としてもよく、さらに「塗布膜乾燥
時の未露光対応部分の現像時除去可能な(又は(解像
度、精度において)現像性に優れる)塗布膜硬化度の熱
的許容限度の管理範囲である熱管理幅が広い」の用途限
定を加えてもよく、「ソルダーレジスト膜を被覆したプ
リント配線板及びその製造方法」としてもよく、また、
その他の上述した数値その他の限定、さらにはこれらの
任意の複数を組み合わせた限定を加えた発明としてもよ
い。
【0075】
【発明の効果】本発明によれば、紫外線露光及び希アル
カリ水溶液による現像により画像形成可能であって、熱
管理幅が広く、かつ感度、耐熱性、電気絶縁性及び耐薬
品性等に優れたパターンを与えることができ、しかも一
液型でも粘度安定性が良く、保存安定性に優れ、また、
二液型でその混合後でも可使時間を長く維持できるよう
に粘度安定性が良く、保存安定性に優れる感光性樹脂組
成物を提供することができる。そして、その感光性樹脂
組成物のソルダーレジスト膜の硬化膜を有する電子部品
搭載前又は後のプリント配線板を提供することができ、
高解像性、高精度化した、硬化塗膜性能の優れたプリン
ト配線板を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03F 7/004 501 G03F 7/004 501 7/028 7/028 H05K 3/28 H05K 3/28 D Fターム(参考) 2H025 AA00 AB15 AC01 AD01 BC66 BC74 CA01 CA27 CC03 CC06 CC20 FA03 FA17 FA29 4J011 QA22 QB19 SA02 SA03 SA04 SA05 SA06 SA07 SA12 SA21 SA22 SA25 SA27 SA28 SA29 SA34 SA51 SA63 SA64 SA83 SA84 UA01 VA01 WA02 4J027 AE01 AE02 AE03 AE06 CA29 CC03 CD08 5E314 AA27 AA32 BB02 CC07 DD06 DD07 FF05 FF19 GG08

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)1分子中に少なくとも1個のエチ
    レン性不飽和結合とエポキシ基と反応する少なくとも1
    個の官能基と少なくとも1個のアルカリ可溶性官能基を
    有する活性エネルギー線硬化性樹脂、(B)1分子中に
    エポキシ基を1個のみ有するエポキシ化合物、(C)光
    重合開始剤及び(D)希釈剤を含有する感光性樹脂組成
    物又は上記(B)成分を含有する液と上記(A)成分を
    含有する液を別個の液とし当該各液に上記(C)及び
    (D)成分のいずれか一方と他方を振り分けて含有させ
    るか又は両方をいずれか一方の液に含有させる二液とし
    使用時にこれら二液を混合する二液型の感光性樹脂組成
    物。
  2. 【請求項2】 (B)1分子中にエポキシ基を1個のみ
    有するエポキシ化合物が下記一般式〔化1〕で表される
    エポキシシラン化合物である請求項1に記載の感光性樹
    脂組成物。 【化1】 〔式中、Rは未置換若しくは置換アルキレン基、−0
    −、−φ−(φは未置換若しくは置換ベンゼン環を表わ
    す)又はこれらの少なくとも2つを組み合わせた置換基
    を表わし、R01、R02はそれぞれ炭素数が1〜5のアル
    キル基であって同一でも異なってもよく、nは1〜3を
    表わす。〕
  3. 【請求項3】請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物
    の硬化膜を有するソルダーレジスト膜を被覆した電子部
    品を搭載する前又はした後のプリント配線板。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007264433A (ja) * 2006-03-29 2007-10-11 Nippon Steel Chem Co Ltd 感光性樹脂組成物及びカラーフィルター
JP2008304719A (ja) * 2007-06-08 2008-12-18 Kansai Paint Co Ltd リフトオフ用ネガ型レジスト組成物及びパターン形成方法
KR101128571B1 (ko) 2004-02-26 2012-03-27 다이요 홀딩스 가부시키가이샤 광경화성?열경화성 수지 조성물 및 이를 이용한 프린트 배선판
JP2014024919A (ja) * 2012-07-25 2014-02-06 Dnp Fine Chemicals Co Ltd エネルギー線硬化性樹脂組成物、この組成物を用いた保護膜、タッチパネル部材及びタッチパネル部材の製造方法

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