JP2003093963A - 光学フィルムの製造方法 - Google Patents

光学フィルムの製造方法

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JP2003093963A JP2001288937A JP2001288937A JP2003093963A JP 2003093963 A JP2003093963 A JP 2003093963A JP 2001288937 A JP2001288937 A JP 2001288937A JP 2001288937 A JP2001288937 A JP 2001288937A JP 2003093963 A JP2003093963 A JP 2003093963A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光学膜の膜厚分布の小さい光学フィルムの製
造方法を提供すること。 【解決手段】 透明支持体上に光学膜を有する光学フィ
ルムの製造方法において、該光学膜を塗布により形成す
る際、塗布から巻取工程間の支持体の平面性を0〜1m
mに保った状態で行うことを特徴とする光学フィルムの
製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学フィルムの製
造方法に関し、特に平面性に優れた光学フィルムの製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】透明支持体上に光学膜を有する光学フィ
ルムは、光学用途に利用され、液晶表示装置等に用いら
れる偏光板用保護フィルム、位相差フィルム、視野角拡
大フィルム、プラズマディスプレイに用いられる反射防
止フィルム等の各種機能フィルム、また、有機ELディ
スプレイ等で使用される各種機能フィルム等に利用され
る。
【0003】光学補償膜、反射防止層のような光学膜で
は、膜の機能上膜厚分布を数nm以下にする必要があ
り、例えば、液晶ディスプレーやプラズマディスプレー
に用いられる光学膜では膜厚分布が大きいと干渉ムラ、
色ムラが発生する。
【0004】透明支持体上に光学膜を塗布により形成す
る際、平面性の高い透明支持体を使用することは、光学
膜の膜厚分布を小さくする効果がある。例えば、特願平
9−313417号、同10−40441号、同11−
127187号に記載の方法で作製した平面性の高い透
明支持体は光学膜の膜厚分布を小さくする効果がある。
しかし、本発明の目的には不充分である。
【0005】また、特開2001−96212には塗布
ヘッドの前後にローラー中央部の径よりも両端部の径が
大きいガイドローラーを設けウエブの幅方向に張力を付
与し光学膜の膜厚分布を小さくする方法が開示されてい
るが、本発明者の検討の結果、塗布部のみの対策では本
発明の目的は達成されないことが判明した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、光学
膜の膜厚分布の小さい光学フィルムの製造方法を提供す
ることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、下
記手段により達成される。
【0008】1.透明支持体上に光学膜を有する光学フ
ィルムの製造方法において、該光学膜を塗布により形成
する際、塗布から巻取工程間の支持体の平面性を0〜1
mmに保った状態で行うことを特徴とする光学フィルム
の製造方法。
【0009】2.塗布から乾燥工程間の搬送ロールとし
てリバースクラウンロールを用いることを特徴とする上
記1に記載の光学フィルムの製造方法。
【0010】3.塗布から乾燥工程間の搬送ロールとし
てエキスパンダーロールを用いることを特徴とする上記
1に記載の光学フィルムの製造方法。
【0011】4.塗布から乾燥工程間を10〜500m
mのロールスパンでロール搬送することを特徴とする上
記1に記載の光学フィルムの製造方法。
【0012】5.搬送ロールの径が10〜50mmであ
ることを特徴とする上記4に記載の光学フィルムの製造
方法。
【0013】6.塗布から乾燥工程間を支持体の反対側
より吸引することを特徴とする上記5に記載の光学フィ
ルムの製造方法。
【0014】7.透明支持体上に光学膜を有する光学フ
ィルムの製造方法において、乾燥後、光学フィルムの支
持体の平面性を0〜1mmに保った状態で紫外線照射し
硬化させることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【0015】8.紫外線照射の少なくとも前または後に
エキスパンダーロールを設置することを特徴とする上記
7に記載の光学フィルムの製造方法。
【0016】9.光学フィルムを紫外線照射バックロー
ルに密着させることを特徴とする上記7に記載の光学フ
ィルムの製造方法。
【0017】10.紫外線照射バックロールの直前にエ
キスパンダーロールまたはリバースクラウンロールを設
置することを特徴とする上記9に記載の光学フィルムの
製造方法。
【0018】11.紫外線照射部の支持体搬送張力を1
50N/m以上とすることを特徴とする上記8〜10の
いずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
【0019】12.紫外線照射バックロールの径が50
0〜1500mmであることを特徴とする上記9に記載
の光学フィルムの製造方法。
【0020】13.透明支持体上に光学膜を有する光学
フィルムの製造方法において、乾燥ゾーンのロール間の
光学フィルム温度差が0〜50℃であることを特徴とす
る光学フィルムの製造方法。
【0021】14.乾燥ゾーンのロール間の光学フィル
ム温度差が0〜30℃であることを特徴とする上記13
に記載の光学フィルムの製造方法。
【0022】15.乾燥ゾーンのロール間の光学フィル
ム温度差が0〜15℃であることを特徴とする上記13
に記載の光学フィルムの製造方法。
【0023】16.乾燥ゾーンを複数に分割することを
特徴とする上記13に記載の光学フィルムの製造方法。
【0024】17.乾燥ゾーンの出口に少なくとも1つ
の降温ゾーンを設置することを特徴とする上記13に記
載の光学フィルムの製造方法。
【0025】18.乾燥ゾーンと降温ゾーンの温度差が
0〜50℃であることを特徴とする上記17に記載の光
学フィルムの製造方法。
【0026】19.光学膜がハードコート層、光学補償
膜、防眩層または反射防止層であることを特徴とする上
記7〜18のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造
方法。
【0027】20.透明支持体上に複数の光学膜を有す
る光学フィルムの製造方法において、該光学膜を複数回
の塗布により形成する際、1回の塗布乾燥ごとに幅方向
の平面性を矯正することを特徴とする光学フィルムの製
造方法。
【0028】以下本発明を詳細に説明する。本発明者は
鋭意研究の結果、塗布時のみの支持体の平面性保持では
光学膜の膜厚分布の小さい光学フィルムの達成は難し
く、塗布、乾燥、紫外線照射、巻取に至る各工程で加工
中の支持体の平面性保持が必要であり、各工程での支持
体の平面性を保持する方法を見出した。即ち、請求項1
に記載するように透明支持体上に光学膜を有する光学フ
ィルムの製造方法において、光学膜を塗布により形成す
る際、塗布から巻取工程間の支持体の平面性を0〜1m
mに保った状態で行うこと、請求項7に記載するように
乾燥後、光学フィルムの変形のない状態で紫外線照射し
硬化させること、請求項13に記載するように乾燥ゾー
ンのロール間のフィルム温度差を0〜50℃とするこ
と、請求項20に記載するように透明支持体上に複数の
光学膜を有する光学フィルムの製造方法において、光学
膜を複数回の塗布により形成する際、1回の塗布乾燥ご
とに幅方向の平面性を矯正することにより、光学膜の膜
厚分布の小さい光学フィルムを得ることを見出した。
【0029】また、本発明の効果をより発現するために
は、請求項2〜6、8〜12、14〜18に記載するよ
うな特定の装置、条件で製造することが好ましい。
【0030】ここで加工中の支持体の平面性とは、加工
中の支持体の変形状態を下記の方法にて測定したときの
偏差をいう。
【0031】測定法:支持体上に光学膜を塗設する前の
支持体の平面性は、キーエンス製レーザー変位計を搬送
方向に対し直角方向に移動し、2つの搬送ロールの中間
位置で、支持体表面とレーザー変位計間の距離を測定
し、最大距離と最小距離の差を平面性という。支持体上
に光学膜を塗設した後の支持体の平面性は、上記方法に
おいて支持体を光学フィルム(支持体+光学膜)に変え
て測定した平面性と、対応する測定点を大塚電子(株)
製反射分光膜厚計で測定した光学膜の膜厚から求める。
【0032】(光学フィルム)本発明で光学フィルムと
は、透明支持体上に光学膜を有し光学用途に利用される
フィルムで、液晶表示装置等に用いられる偏光板用保護
フィルム、位相差フィルム、視野角拡大フィルム、プラ
ズマディスプレイに用いられる反射防止フィルム、低反
射率フィルム等の各種機能フィルム、また、有機ELデ
ィスプレイ等で使用される各種機能フィルム等を挙げる
ことができる。
【0033】光学膜とは、反射防止、防眩、光拡散、光
学異方性、光学干渉等の光学的な機能を有する膜をい
い、膜の機能上膜厚分布を数nm以下にする必要があ
り、帯電防止層、ハードコート層、易滑性層、接着層、
バリアー層、導電層、易接着層、防汚層、配向層等の非
光学的な機能を有する層とともに、コロナ放電処理、プ
ラズマ処理、薬液処理等の各種表面処理された透明支持
体上に単独であるいは適宜組み合わせて設けることがで
きる。これらの光学膜及び非光学的な機能を有する層
は、様々な機能を持たせるために透明支持体上に樹脂を
主体とする層が塗設されたものである。
【0034】本発明の光学フィルムの層構成、構成材料
については光学フィルムの用途により異なる。以下、光
学フィルムの例として太陽電池、太陽熱温水器、液晶画
像表示装置、CRT、PDP、車両の窓等に使用される
反射防止フィルムの層構成、構成材料について説明す
る。
【0035】反射防止フィルムは、支持体の少なくとも
一方の面に、支持体上に支持体と屈折率の異なる層を1
または2以上形成した光学干渉層の積層体(他の層を追
加することもある)であり、波長λの光に対して高屈折
率層及び低屈折率層の光学膜厚をλ/4に設定して反射
防止積層体を作製する。光学膜厚とは、層の屈折率nと
膜厚dとの積により定義される量である。屈折率の高低
はそこに含まれる金属または化合物によってほぼ決ま
り、例えばTiは高く、Siは低く、Fを含有する化合
物は更に低く、このような組み合わせによって屈折率が
設定される。屈折率と膜厚は、分光反射率の測定により
計算して算出し得る。
【0036】反射防止フィルムは、透明な支持体上に、
必要に応じて後述のハードコート層を有し、その上に光
学干渉によって反射率が減少するように屈折率、膜厚、
層の数、層順等を考慮して積層されている。反射防止層
は、通常、支持体よりも屈折率の高い高屈折率層と、支
持体よりも屈折率の低い低屈折率層を組み合わせて構成
されている。構成例としては、支持体側から高屈折率層
/低屈折率層の2層のものや、屈折率の異なる3層を、
中屈折率層(支持体またはハードコート層よりも屈折率
が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層)/高屈折率
層/低屈折率層の順に積層されているもの等があり、さ
らに多くの反射防止層を積層するものも提案されてい
る。なかでも、耐久性、光学特性、コストや生産性等か
ら、ハードコート層を有する支持体上に、中屈折率層/
高屈折率層/低屈折率層の順に塗布することが好まし
い。
【0037】反射防止フィルムの好ましい層構成の例を
下記に示す。 支持体/ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層 支持体/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低
屈折率層 支持体/防眩層/高屈折率層/低屈折率層 支持体/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層 支持体/帯電防止層/ハードコート層/中屈折率層/高
屈折率層/低屈折率層 帯電防止層/支持体/ハードコート層/中屈折率層/高
屈折率層/低屈折率層 支持体/帯電防止層/防眩層/中屈折率層/高屈折率層
/低屈折率層 帯電防止層/支持体/防眩層/中屈折率層/高屈折率層
/低屈折率層 帯電防止層/支持体/防眩層/高屈折率層/低屈折率層
/高屈折率層/低屈折率層 光学干渉により反射率を低減できるものであれば、特に
これらの層構成に限定されるものではない。
【0038】次に、反射防止フィルムの各層に用いられ
る構成材料の具体例を示す。 〈ハードコート層〉ジペンタエリスリトールヘキサアク
リレート単量体、ジペンタエリスリトールヘキサアクリ
レート(2量体以上の成分)、ジエトキシベンゾフェノ
ン(紫外線光開始剤)、アエロジルR−972V(日本
アエロジル(株)製)、塗布溶媒 〈帯電防止層〉ポリメチルメタクリレート、ポリメタク
リル酸エステル誘導体、酸化錫ゾルまたは架橋カチオン
ポリマー粒子(耐電防止剤)、塗布溶媒 〈高屈折率層〉テトラ(n)ブトキシチタン、末端反応
性ジメチルシリコーンオイル(日本ユニカー社製L−9
000)、アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化
学社製KBE903)、紫外線硬化性エポキシ樹脂(旭
電化社製KR500)、塗布溶媒 〈中屈折率層〉テトラ(n)ブトキシチタン、末端反応
性ジメチルシリコーンオイル(日本ユニカー社製L−9
000)、アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化
学社製KBE903)、紫外線硬化性エポキシ樹脂(旭
電化社製KR500)、塗布溶媒 〈低屈折率層〉テトラエトキシシラン加水分解物、末端
反応性ジメチルシリコーンオイル(日本ユニカー社製L
−9000)、塗布溶媒 〈防眩層〉サイリシア431(平均粒径2.5μm(富
士シリシア化学(株)製))、アエロジルR972V
(平均粒径16nm(日本アエロジル(株)製))、ジ
ペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体、ジペ
ンタエリスリトールヘキサアクリレート重合体、ジメト
キシベンゾフェノン光反応開始剤、塗布溶媒。
【0039】(透明支持体)本発明に用いられる透明支
持体としては各種のポリマーを使用でき、特に限定はさ
れないが、例えば、ポリエステルフィルム、ポリエチレ
ンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セ
ルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテート
ブチレートフィルム、セルロースアセテートフタレート
フィルム、セルローストリアセテート、セルロースナイ
トレート、セルロースアセテートプロピオネート等のセ
ルロースエステル類またはそれらの誘導体からなるフィ
ルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコ
ールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シ
ンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカー
ボネートフィルム、ノルボルネン樹脂系フィルム、ポリ
メチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィル
ム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリスルホン系フ
ィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミ
ドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、
ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルム
あるいはポリアリレート系フィルム等を挙げることがで
きる。本発明に用いられる透明支持体の種類は、光学フ
ィルムの用途により適宜選ばれる。例えば、液晶表示装
置等に用いられる偏光板用保護フィルムでは、セルロー
ストリアセテートフィルム(TACフィルム)、セルロ
ースアセテートプロピオネート等のセルロースエステル
フィルム、ポリカーボネート(以下PCと略すことがあ
る)フィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フ
ィルム、ポリアリレート系フィルム、ノルボルネン樹脂
系フィルム、例えばアートン(JSR(株)製)、ゼオ
ネックス、ゼオノア(以上日本ゼオン(株)製)及びポ
リスルホン系フィルムが透明性、機械的性質、光学的異
方性がない点等好ましく、それらの中でも、特にTAC
フィルム及びPCフィルムが、製膜性が容易で加工性に
優れているため好ましく用いられる。
【0040】次に、透明支持体の製造方法について、代
表的なTACフィルムを例として述べる。TACフィル
ムは一般的に、TACフレーク原料及び可塑剤をメチレ
ンクロライドに溶解して粘稠液とし、これに可塑剤を溶
解してドープとなし、エクストルーダーダイスから、エ
ンドレスに回転するステンレス等の金属ベルト(バンド
ともいう)上に流延して、乾燥させ、生乾きの状態でベ
ルトから剥離し、ロール等の搬送装置により、両面から
乾燥させて巻き取り製造される。PCフィルムについて
もTACフィルムと同様に製膜することができる。
【0041】本発明に用いられる透明支持体の厚さは、
光学フィルムの用途により適宜選ばれる。例えば、液晶
表示装置等に用いられる偏光板用保護フィルムでは、そ
の厚さが10〜200μmのものが好ましい。特に膜厚
60μm以下の薄膜フィルムで顕著な効果が期待でき
る。
【0042】本発明に用いられる透明支持体には可塑
剤、紫外線吸収剤、すべり剤等の添加剤を含有すること
ができる。
【0043】可塑剤としては、リン酸エステルまたはカ
ルボン酸エステルが好ましく用いられる。リン酸エステ
ルとしては、トリフェニルフォスフェート(TPP)及
びトリクレジルホスフェート(TCP)、ビフェニル−
ジフェニルホスフェート、ジメチルエチルホスフェート
が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エ
ステル及びクエン酸エステルが代表的なものである。フ
タル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DM
P)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレ
ート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)及び
ジエチルヘキシルフタレート(DEHP)、ジシクロヘ
キシルフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート
等が用いられる。クエン酸エステルとしては、クエン酸
アセチルトリエチル(OACTE)及びクエン酸アセチ
ルトリブチル(OACTB)が用いられる。その他のカ
ルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノ
ール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のト
リメリット酸エステルが含まれる。リン酸エステル系可
塑剤(TPP、TCP、ビフェニル−ジフェニルホスフ
ェート、ジメチルエチルホスフェート)、フタル酸エス
テル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DE
HP)が好ましく用いられる。また、この中でもトリフ
ェニルフォスフェート(TPP)が特に好ましく用いら
れる。
【0044】可塑剤はTACフィルムへの耐水性付与、
あるいはその透湿性改善のため、重要な素材であるが、
添加量が多過ぎると塗布層への悪影響あるいは、製造ラ
インが可塑剤で汚れやすくなるという問題がある。可塑
剤の添加量はフィルム中に通常1〜30質量%で添加さ
れ、好ましくは4〜20質量%で添加することが望まし
い。PCフィルムにも上記可塑剤を添加することができ
る。
【0045】また、本発明に有用なTACまたはPCフ
ィルム中に、紫外線吸収剤を含有させることによって、
耐光性に優れたフィルムを得ることができる。本発明に
有用な紫外線吸収剤としては、サリチル酸誘導体(紫外
線−1)、ベンゾフェノン誘導体(紫外線−2)、ベン
ゾトリアゾール誘導体(紫外線−3)、アクリロニトリ
ル誘導体(紫外線−4)、安息香酸誘導体(紫外線−
5)または有機金属錯塩(紫外線−6)等があり、それ
ぞれ(紫外線−1)としては、サリチル酸フェニル、4
−t−ブチルフェニルサリチル酸等を、(紫外線−2)
としては、2−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒド
ロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等を、(紫外線−
3)としては、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチル
フェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロ
キシ−3′−5′−ジ−ブチルフェニル)−5−クロロ
ベンゾトリアゾール等を、(紫外線−4)としては、2
−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3′−ジフェニル
アクリレート、メチル−α−シアノ−β−(p−メトキ
シフェニル)アクリレート等を、(紫外線−5)として
は、レゾルシノール−モノベンゾエート、2′,4′−
ジ−t−ブチルフェニル−3,5−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシベンゾエート等を、(紫外線−6)としては、
ニッケルビス−オクチルフェニルサルファミド、エチル
−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルリ
ン酸のニッケル塩等を挙げることができる。
【0046】また、すべり性を改善するために、これら
のフィルムを製造する際のドープ中に、シリカ等の微粒
子(平均粒径0.005〜0.2μm)を0.01〜
0.5質量%添加することもできる。例えば、日本アエ
ロジル製アエロジル200、アエロジルR972D等を
添加することができる。すべり性は鋼球での測定で、動
摩擦係数0.4以下、好ましくは0.2以下であること
が望まれる。
【0047】(光学膜の材料)光学フィルムは前述のよ
うに透明支持体上に樹脂を主体とする層が塗設されたも
のである。樹脂の種類は、光学フィルムの用途により、
また複数の層を有する光学フィルムではその層の目的に
より異なり、熱可塑性樹脂、活性線硬化性樹脂、熱硬化
性樹脂、その他の樹脂が使用される。
【0048】熱可塑性樹脂としては、例えばセルロース
ジアセテート、セルローストリアセテート、セルロース
アセテートブチレート、セルロースアセテートフタレー
トまたはセルロースナイトレート等のセルロースエステ
ル類、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリカーボネー
ト、ポリブチレンテレフタレート、またはコポリブチレ
ン/テレ/イソフタレート等のポリエステル、ポリビニ
ルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセ
タール、ポリビニルブチラールまたはポリビニルベンザ
ール等のポリビニルアルコール誘導体、ノルボルネン化
合物を含有するノルボルネン系ポリマー、ポリメチルメ
タクリレート等のアクリル樹脂が挙げられるが特にこれ
らに限定されるものではない。この中でセルロース誘導
体あるいはアクリル樹脂が好ましく、更にアクリル樹脂
が最も好ましく用いられる。更にガラス転移点が110
℃以下、更に好ましくは90℃以下の熱可塑性アクリル
樹脂が好ましく用いられる。
【0049】活性線硬化性樹脂及び有機溶媒を含有する
組成物を透明支持体上に塗設し、活性線を照射すること
によって、耐久性のある、また硬度が高く傷の付きにく
い優れた光学膜を得ることができる。クリアハードコー
ト加工のために活性線硬化性樹脂が用いられる例につい
て説明する。
【0050】活性線硬化性樹脂とは紫外線や電子線のよ
うな活性線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂を
いう。活性線硬化性樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電
子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、
紫外線や電子線以外の活性線照射によって硬化する樹脂
でもよい。紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線
硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエス
テルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリ
レート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系
樹脂、または紫外線硬化型エポキシ樹脂等を挙げること
ができる。
【0051】紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂は、
一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマ
ー、もしくはプレポリマーを反応させて得られた生成物
に更に2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロ
キシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタ
クリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表
示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水
酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させるこ
とによって容易に得ることができる(例えば特開昭59
−151110号)。
【0052】紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系
樹脂は、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキ
シエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系
のモノマーを反応させることによって容易に得ることが
できる(例えば、特開昭59−151112号)。
【0053】紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂
の具体例としては、エポキシアクリレートをオリゴマー
とし、これに反応性希釈剤、光反応開始剤を添加し、反
応させたものを挙げることができる(例えば、特開平1
−105738号)。この光反応開始剤としては、ベン
ゾイン誘導体、オキシムケトン誘導体、ベンゾフェノン
誘導体、チオキサントン誘導体等のうちから、1種もし
くは2種以上を選択して使用することができる。
【0054】また、紫外線硬化型ポリオールアクリレー
ト系樹脂の具体例としては、トリメチロールプロパント
リアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアク
リレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペ
ンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリ
スリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタ
エリスリトールペンタアクリレート等を挙げることがで
きる。これらの樹脂は通常公知の光増感剤と共に使用さ
れる。また上記光反応開始剤も光増感剤としても使用で
きる。具体的には、アセトフェノン、ベンゾフェノン、
ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、α−ア
ミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘
導体を挙げることができる。また、エポキシアクリレー
ト系の光反応剤の使用の際、n−ブチルアミン、トリエ
チルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感剤を
用いることができる。塗布乾燥後に揮発する溶媒成分を
除いた紫外線硬化性樹脂組成物に含まれる光反応開始剤
また光増感剤は組成物の2.5〜6質量%であることが
特に好ましい。2.5%未満では樹脂フィルムから溶出
する可塑剤及び/または紫外線吸収剤によって硬化阻害
を受け、耐擦傷性が低下し、逆に6質量%を超えると相
対的に紫外線硬化性樹脂成分が減るため逆に耐擦傷性が
低下したり、塗布性が悪化する等のため塗膜の面品質を
悪くすることがある。
【0055】紫外線硬化性樹脂のモノマーとしては、例
えば、不飽和二重結合が一つのモノマーとして、メチル
アクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレー
ト、酢酸ビニル、ベンジルアクリレート、シクロヘキシ
ルアクリレート、スチレン等の一般的なモノマーを挙げ
ることができる。また不飽和二重結合を二つ以上持つモ
ノマーとして、エチレングリコールジアクリレート、プ
ロピレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼ
ン、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、1,4−
シクロヘキシルジメチルアジアクリレート、前出のトリ
メチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリ
トールテトラアクリルエステル等を挙げることができ
る。
【0056】活性線硬化性樹脂層の塗布組成物は固形分
濃度は10〜95質量%であることが好ましく、塗布方
法により適当な濃度が選ばれる。
【0057】活性線硬化性樹脂を光硬化反応により硬化
するための光源としては、紫外線、電子線、γ線等で、
化合物を活性させるエネルギー源であれば制限なく使用
できるが、紫外線、電子線が好ましく、特に取り扱いが
簡便で高エネルギーが容易に得られるという点で紫外線
が好ましい。紫外線反応性化合物を光重合させる紫外線
の光源としては、紫外線を発生する光源であれば何れで
も使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧
水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハラ
イドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。
また、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、
エキシマランプまたはシンクロトロン放射光等も用いる
ことができる。照射条件はそれぞれのランプによって異
なるが、照射光量は50mJ/m2以上、好ましくは1
00mJ/cm2以上、さらに400mJ/cm2以上が
好ましい。紫外線は、多層を1層ずつ照射してもよい
し、積層後照射してもよい。生産性の点から、多層を積
層後、紫外線を照射することが好ましい。紫外線照射で
は雰囲気中の酸素による硬化阻害が起こる場合があり、
窒素、アルゴン等の不活性ガスを吹き込み酸素濃度を低
くした雰囲気中で行ってもよい。
【0058】各種樹脂層を塗設する際の溶媒としては、
例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタ
ノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケト
ン、シクロヘキサノン等のケトン類;ベンゼン、トルエ
ン、キシレン等の芳香族炭化水素類;エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール等の
グリコール類;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、
エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジエチルセ
ロソルブ、ジエチルカルビトール等のグリコールエーテ
ル類;N−メチルピロリドン、ジメチルフォルムアミ
ド、水等が挙げられ、それらを単独または2種以上混合
して使用することができる。中でも、ケトン類、例え
ば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン
等のカルボニル基を有する溶媒と、メタノール、エタノ
ール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタ
ノール等の炭素数4以下のアルコールを併用すると、紫
外線照射量等の活性エネルギーの量を低減でき、生産性
を向上することができるため特に好ましい。
【0059】各種樹脂層を塗設する際の塗布方法として
は、ワイヤバーコート、ローラーコート、グラビアコー
ト、スライドビードコート、スロットダイコート、カー
テンコート等が利用でき、その他ドクターコート、エク
ストルージョンコート、リバースコート、押し出しコー
ト等も利用できる。塗布量はウェット膜厚で1〜30μ
mが適当で、好ましくは1〜15μmである。塗布速度
は好ましくは10〜60m/minで行われる。
【0060】(平面性矯正)本発明において、支持体の
平面性を付与する方法としては、塗布乾燥後カレンダー
装置で処理することが可能である。カレンダー装置とし
ては、スーパーカレンダーやグロスカレンダーが好まし
く、圧力や温度をかけた複数のロール間に塗布乾燥され
たフィルムを通すカレンダー処理条件は、温度は60〜
120℃程度が、また圧力は1〜100MPa程度が好
ましい。
【0061】また、フィルムの両側縁部をクリップ等で
固定して延伸するテンターを用いることもできる。
【0062】さらに、乾燥後降温ゾーンを設けて、加熱
及び加圧ができるカレンダーロール、あるいはそのロー
ル間の間隔が小さい密間ロールを用い、その後徐冷する
方法が好ましい。この場合の加熱温度は100〜180
℃が好ましく、加熱ロールの後に続いて、1本以上の冷
却ロールを有する手段を設ける。冷却温度は20〜80
℃が好ましい。平面性矯正手段の密間ロールとしては、
特開平6−278149号、同4−286611号及び
同4−152125号及び特願平9−313417号を
参照することができる。
【0063】
【発明の実施の形態】以下、図面により本発明の好まし
い実施の形態について詳説する。
【0064】図1は光学フィルムの塗布から巻取工程の
概略図である。送出機1で送出された透明支持体2は、
塗布ヘッド3により光学膜の塗布液を塗設され、複数の
搬送ロール4によって支持されながら、乾燥ゾーン5を
通過して巻取機6で巻き取られる。
【0065】光学補償膜、反射防止層のような光学膜で
は、膜の機能上膜厚分布を数nm以下にする必要があ
り、精密な塗布、乾燥時の液の流動防止が必要となり、
各工程で支持体の平面性を小さくする必要がある。
【0066】例えば、平面性の悪い支持体では、ロール
に巻き付けた状態で塗布する際、ロール上に密着せず塗
布ムラとなり、搬送ロール間の支持されていない所での
塗布では塗布ムラが更に顕著となる。
【0067】また、図2のように塗布後の乾燥中にツレ
を生じ平面性が悪くなると、乾燥風のあたり方が変わ
り、ロールとの接触状態が異なることにより乾燥ムラと
なる。
【0068】加工中のフィルムの平面性は、前記レーザ
ー変位計、反射分光膜厚計を用いて測定され、加工中の
支持体の平面性を0〜1mmにすることで、光学膜の膜
厚分布を小さくすることができる。支持体の平面性は好
ましくは、0〜0.5mm、より好ましくは0〜0.2
mmである。
【0069】加工中の平面性を向上するためには、リバ
ースクラウンロール、テンターや図3のエキスパンダー
ロール7による幅方向への張力付与が効果的である。ま
た、端部をニップロールでニップしフィルム幅方向に力
を加える方法がある。
【0070】また、加工中の平面性を向上するために
は、図4に示す搬送ロールのロールスパンを10〜50
0mmとして搬送することで達成できる。ロールスパン
は短い程よく、好ましくは10〜150mm、より好ま
しくは10〜50mmである。また、ロール径を小さく
し10〜50mmとすることも効果がある。
【0071】乾燥工程では、図5に示すように搬送ロー
ル4と搬送ロール4間の隙間を小さくし塗布面の反対側
より吸引することにより、吸引によりフィルムが湾曲し
ロールに接していない部分の平面性を保つことが可能と
なる。
【0072】塗膜が紫外線硬化型もしくは光エネルギー
により造膜するような系では、紫外線または光エネルギ
ー硬化時の平面性が悪いとその状態を固定化することに
なり、次工程での作業性に影響を及ぼしたり、また、そ
の上に光学膜を重ねる際には膜厚分布を劣化させてしま
うため、紫外線光や光照射時のフィルムの平面性をよく
することにより、照射後のフィルムの変形を防止させ
る。紫外線光照射部の入り口、出口もしくはその両方に
エキスパンダーロールを配置し、支持体のツレをなくす
ことが有効である。また、図6に示すように、紫外線ラ
ンプ9から紫外線照射を紫外線バックロール8上で行う
場合、紫外線バックロール8の入り口側で支持体がツレ
のような変形を持った状態であると紫外線バックロール
8上での密着が得られず、照射後変形を保持した状態と
なるため、紫外線バックロール8の入り口側の支持体の
変形をなくし紫外線バックロール8に導入することで照
射後の変形を防止できる。紫外線バックロール8の前に
エキスパンダーロール、コンケイブロール、テンターを
設置することで照射後の変形を防止できる。
【0073】塗布後乾燥する際、温風で乾燥することが
一般的である。塗布直後から指触乾燥(指で触って指に
塗膜液が付着しない、または支持体上の塗膜に乱れが生
じない程度の乾燥)までは平均風速0〜0.5m/se
cのカウンターフローにより乾燥を行い、以降高温にし
て残留溶媒を乾燥させる。カウンターフロー部での乾燥
温度は、溶剤の種類により適宜決定される。最近では遠
赤外ヒーターによる乾燥も行われている。ロール搬送で
は、急激に温度が変化すると、搬送ロールと搬送ロール
間で熱膨張や熱収縮を生じるため、変形が生じる。特
に、冷却される際は顕著である。これは、支持体が搬送
ロール上で支持体に与えられる張力と摩擦力で固定され
ているため、伸縮により上流側と下流側の支持体幅が変
わるために変形する。ドライヤーの入り口部や出口部で
特に顕著となる。また、ドライヤーの入り口部の乾燥ゾ
ーン前のロールと乾燥ゾーン内のロール、ドライヤーの
出口部の乾燥ゾーン内のロールと乾燥ゾーン外のロー
ル、乾燥ゾーン内のロール間のフィルム温度差が0〜5
0℃であることにより変形の発生をなくすことが可能と
なる。乾燥ゾーンのロール間のフィルム温度差は小さい
ほどよく、好ましくは0〜30℃、より好ましくは0〜
15℃である。
【0074】支持体の急激な温度変化をさせないことに
より、変形の発生を防止できる。図7のように、乾燥ゾ
ーン5を複数に分割し、各ゾーン間の温度差を0〜50
℃とすることにより変形の発生をなくすことが可能とな
る。ゾーン間の温度差は好ましくは0〜30℃、より好
ましくは0〜15℃である。
【0075】特にドライヤー出口部では冷却による収縮
が発生しツレとなりやすい。図7に示すように、乾燥ゾ
ーン5の出口部に1もしくは2以上の降温ゾーン10を
設置し、乾燥ゾーン5の出口部と降温ゾーン10の出口
部及び降温ゾーン内のロール間、降温ゾーン内ロールと
降温ゾーン外ロール間の支持体温度差を50℃以下とす
ることで変形の発生をなくすことが可能となる。支持体
温度差は好ましくは30℃以下、より好ましくは15℃
以下である。
【0076】塗膜中の溶剤を乾燥する際、塗膜及び支持
体中の溶剤を極力乾燥する必要がある。特にPCやセル
ロースエステルフィルムでは溶剤がしみ込むため、比較
的高温での乾燥が必要となる。溶剤がしみ込んだ状態や
高温下での搬送は、搬送張力による変形が発生し、フィ
ルムの平面性が劣化する。1回程度の塗布乾燥では、使
用時にあまり問題とならないが、複数層を重ねる際に
は、塗布、乾燥時にフィルムの平面性が悪いと後工程の
塗布乾燥工程で膜厚ムラとなる。逐次で塗膜を形成する
際に、乾燥後巻き取る前にフィルムの変形を矯正するこ
とにより、膜厚ムラのない光学膜を得ることが可能とな
る。矯正する位置は工程と工程の間であればどこでもよ
く、巻き取らずにそのまま塗布を行う際は、乾燥後、次
の塗布装置までの間で行えばよい。塗布後巻き取る際
は、乾燥後巻き取る前もしくは後工程の巻き出し後塗布
装置までの間で行えばよい。方法としては、熱ロールに
巻き付ける方法、フィルムを高温に保ちフィルム幅外側
に力を加える方法がある。
【0077】
【実施例】以下本発明を実施例により具体的に説明する
が、本発明はこれらに限定されない。
【0078】実施例1 《ハードコートフィルム1の作製》膜厚80μmのセル
ローストリアセテートフィルム(コニカ(株)製コニカ
タックKC8UX2MW、屈折率1.49、アセチル基
の置換度2.88)の片面に下記ハードコート層組成物
(1)を乾燥膜厚3.5μmとなるように塗布し、80
℃にて1分間乾燥した。次に160W/cm高圧水銀灯
を12cmの距離から200mJ/cm2照射して硬化
させ、ハードコート層を有するハードコートフィルム1
を作製した。ハードコート層の屈折率は1.50であっ
た。
【0079】 〈ハードコート層組成物(1)〉 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60質量部 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20質量部 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 20質量部 ジエトキシベンゾフェノン(紫外線光開始剤) 2質量部 アエロジルR−972V(日本アエロジル(株)製) 1質量部 メチルエチルケトン 50質量部 酢酸エチル 50質量部 イソプロピルアルコール 50質量部 上記組成物を撹拌しながら、超音波分散した。
【0080】《中屈折率層フィルム1〜6の作製》前記
ハードコートフィルム1上に、表1に示す製造条件で下
記中屈折率層組成物M−1を押し出しコーターで塗布
し、80℃で2分間乾燥させた後、高圧水銀ランプ(1
60W)を用いて紫外線を200mJ/cm2照射して
硬化させ、中屈折率層を有する中屈折率層フィルム1〜
6を作製した。
【0081】 〈中屈折率層組成物M−1〉 テトラ(n)ブトキシチタン 250質量部 末端反応性ジメチルシリコーンオイル(日本ユニカー社製L−9000) 0.48質量部 アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製KBE903) 22質量部 紫外線硬化性エポキシ樹脂(旭電化社製KR500) 21質量部 プロピレングリコールモノメチルエーテル 4900質量部 イソプロピルアルコール 4840質量部 なお、この中屈折率層フィルム1〜6の中屈折率層の平
均膜厚は90nmで、屈折率は1.70であった。
【0082】《高屈折率層フィルム1〜6の作製》前記
中屈折率層フィルム1〜6の上に、表1に示す製造条件
で、下記高屈折率層組成物H−1を押し出しコーターで
塗布し、80℃で5分間乾燥させた後、高圧水銀ランプ
(160W)を用いて紫外線を200mJ/cm2照射
して硬化させ、中屈折率層及び高屈折率層を有する高屈
折率層フィルム1〜6を作製した。
【0083】 〈高屈折率層組成物H−1〉 テトラ(n)ブトキシチタン 310質量部 末端反応性ジメチルシリコーンオイル(日本ユニカー社製L−9000) 0.4質量部 アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製KBE903) 4.8質量部 UV硬化性エポキシ樹脂(旭電化社製KR500) 4.6質量部 プロピレングリコールモノメチルエーテル 4900質量部 イソプロピルアルコール 4800質量部 なお、この高屈折率層フィルム1〜6の高屈折率層の厚
さは66nmで、屈折率は1.85であった。
【0084】《光学フィルム1〜6の作製》前記高屈折
率層フィルム1〜6の上に、表1に示す製造条件で、下
記低屈折率層組成物L−1を押し出しコーターで塗布
し、80℃で2分間乾燥させた後、更に120℃で5分
間熱硬化させ、さらに紫外線を200mJ/cm2照射
して硬化させ、中屈折率層、高屈折率層及び低屈折率層
を有する光学フィルム1〜6を作製した。
【0085】〈テトラエトキシシラン加水分解物Aの調
製〉テトラエトキシシラン300gとエタノール455
gを混合し、これに1.0質量%クエン酸水溶液295
gを添加した後に、室温にて1時間攪拌することでテト
ラエトキシシラン加水分解物Aを調製した。
【0086】 〈低屈折率層組成物L−1〉 テトラエトキシシラン加水分解物A 1020質量部 末端反応性ジメチルシリコーンオイル(日本ユニカー社製L−9000) 0.42質量部 プロピレングリコールモノメチルエーテル 2700質量部 イソプロピルアルコール 6300質量部 なお、この光学フィルム1〜6の低屈折率層の厚さは9
5nmで、屈折率は1.45であった。
【0087】《評価》作製した光学フィルム1〜6につ
いて下記方法で膜厚ムラ及び色ムラを評価した。その結
果を表1に示す。
【0088】〈膜厚ムラ〉大塚電子(株)製反射分光膜
厚計MCPD−300を用いて試料製造時の搬送方向に
対し直角方向に3mmピッチで移動して膜厚を100点
測定し、その変動係数の1/2を膜厚ムラ(%)とし
た。膜厚ムラの合格レベルは3%未満である。
【0089】〈色ムラ〉ミノルタ(株)製色彩色度計C
2022を用いて試料製造時の搬送方向に対し10mm
ピッチで、直角方向に10mmピッチで移動してL**
*表色系の色度を100点測定した。その平均値と各
点の色差ΔE*abを計算し、下記基準で評価した。色
ムラの合格レベルは1.5未満である。なお色差ΔE*
abは以下の式で定義される。
【0090】色差ΔE*ab=[(ΔL*2+(Δa*
2+(Δb*21/2 色ムラの評価基準 ○ :色差ΔE*abが0.5未満 ○△:色差ΔE*abが0.5以上1.5未満 △ :色差ΔE*abが1.5以上3.0未満 × :色差ΔE*abが3.0以上
【0091】
【表1】
【0092】表1から、比較の試料と比べて、本発明の
試料は膜厚ムラ、色ムラが少なく、均一な光学膜が得ら
れていることが明らかである。
【0093】実施例2 実施例1で作製したハードコートフィルム1上に、上記
中屈折率層組成物M−1を塗布、80℃で1分間乾燥さ
せた後、紫外線照射部の前後における平面性をそれぞれ
2mm、3mm、紫外線照射部以降のロールスパン80
0mm、張力150N/mの製造条件で、高圧水銀ラン
プ(160W)を用いて紫外線を200mJ/cm2
射して硬化させ、中屈折率層を有する中屈折率層フィル
ム7を作製した。
【0094】作製した中屈折率層フィルム7の上に同じ
製造条件で、上記高屈折率層組成物H−1及び低屈折率
層組成物L−1を塗設して光学フィルム7を作製した。
【0095】光学フィルム7の作製において、表2のよ
うに紫外線照射部の前後で製造条件を変えた以外は同様
にして、光学フィルム8〜12を作製した。
【0096】作製した光学フィルム7〜12について、
実施例1と同様にして膜厚ムラ及び色ムラを評価した。
その結果を表2に示す。
【0097】
【表2】
【0098】実施例3 実施例1で作製したハードコートフィルム1上に、上記
中屈折率層組成物M−1を塗布、乾燥初期ロールと乾燥
終了ロールのフィルムの温度差70℃で乾燥させ、乾燥
ゾーン出口の平面性を1.5mm、紫外線照射部以降の
ロールスパン800mm、張力150N/mの製造条件
で、高圧水銀ランプ(160W)を用いて紫外線を20
0mJ/cm2照射して硬化させ、中屈折率層を有する
中屈折率層フィルム13を作製した。
【0099】作製した中屈折率層フィルム13の上に同
じ製造条件で、上記高屈折率層組成物H−1及び低屈折
率層組成物L−1を塗設して光学フィルム13を作製し
た。
【0100】光学フィルム13の作製において、表3の
ように製造条件を変えた以外は同様にして、光学フィル
ム14〜19を作製した。
【0101】作製した光学フィルム13〜19につい
て、実施例1と同様にして膜厚ムラ及び色ムラを評価し
た。その結果を表3に示す。
【0102】
【表3】
【0103】
【発明の効果】本発明により、光学膜の膜厚分布の小さ
い光学フィルムの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光学フィルムの塗布から巻取工程の概略図。
【図2】光学フィルムの塗布後の平面性の説明図。
【図3】エキスパンダーロールの説明図。
【図4】ロールスパンの説明図。
【図5】乾燥工程での吸引の説明図。
【図6】紫外線バックロールの説明図。
【図7】複数の乾燥ゾーンと降温ゾーンを有する工程の
概略図。
【符号の説明】
1 送出機 2 透明支持体 3 塗布ヘッド 4 搬送ロール 5 乾燥ゾーン 6 巻取機 7 エキスパンダーロール 8 紫外線バックロール 9 紫外線ランプ 10 降温ゾーン
フロントページの続き Fターム(参考) 2H049 BA02 BA06 BB19 BB33 BB65 BC05 BC09 BC22 2K009 AA05 AA15 BB28 CC24 CC42 CC45 DD05 4D075 AC72 AC77 AC82 AE03 BB24Z BB46Z BB93Z CA09 CA12 CA13 CA22 CA34 CA42 CA48 CB02 CB03 CB06 DA04 DB31 DC08 DC11 DC18 DC24 EA07 EA10 EA21 EA43 EB07 EB13 EB14 EB15 EB16 EB19 EB22 EB33 EB35 EB37 EB39 EB42 EB56 EB57

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明支持体上に光学膜を有する光学フィ
    ルムの製造方法において、該光学膜を塗布により形成す
    る際、塗布から巻取工程間の支持体の平面性を0〜1m
    mに保った状態で行うことを特徴とする光学フィルムの
    製造方法。
  2. 【請求項2】 塗布から乾燥工程間の搬送ロールとして
    リバースクラウンロールを用いることを特徴とする請求
    項1に記載の光学フィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 塗布から乾燥工程間の搬送ロールとして
    エキスパンダーロールを用いることを特徴とする請求項
    1に記載の光学フィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】 塗布から乾燥工程間を10〜500mm
    のロールスパンでロール搬送することを特徴とする請求
    項1に記載の光学フィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】 搬送ロールの径が10〜50mmである
    ことを特徴とする請求項4に記載の光学フィルムの製造
    方法。
  6. 【請求項6】 塗布から乾燥工程間を支持体の反対側よ
    り吸引することを特徴とする請求項5に記載の光学フィ
    ルムの製造方法。
  7. 【請求項7】 透明支持体上に光学膜を有する光学フィ
    ルムの製造方法において、乾燥後、光学フィルムの支持
    体の平面性を0〜1mmに保った状態で紫外線照射し硬
    化させることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  8. 【請求項8】 紫外線照射の少なくとも前または後にエ
    キスパンダーロールを設置することを特徴とする請求項
    7に記載の光学フィルムの製造方法。
  9. 【請求項9】 光学フィルムを紫外線照射バックロール
    に密着させることを特徴とする請求項7に記載の光学フ
    ィルムの製造方法。
  10. 【請求項10】 紫外線照射バックロールの直前にエキ
    スパンダーロールまたはリバースクラウンロールを設置
    することを特徴とする請求項9に記載の光学フィルムの
    製造方法。
  11. 【請求項11】 紫外線照射部の支持体搬送張力を15
    0N/m以上とすることを特徴とする請求項8〜10の
    いずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  12. 【請求項12】 紫外線照射バックロールの径が500
    〜1500mmであることを特徴とする請求項9に記載
    の光学フィルムの製造方法。
  13. 【請求項13】 透明支持体上に光学膜を有する光学フ
    ィルムの製造方法において、乾燥ゾーンのロール間の光
    学フィルム温度差が0〜50℃であることを特徴とする
    光学フィルムの製造方法。
  14. 【請求項14】 乾燥ゾーンのロール間の光学フィルム
    温度差が0〜30℃であることを特徴とする請求項13
    に記載の光学フィルムの製造方法。
  15. 【請求項15】 乾燥ゾーンのロール間の光学フィルム
    温度差が0〜15℃であることを特徴とする請求項13
    に記載の光学フィルムの製造方法。
  16. 【請求項16】 乾燥ゾーンを複数に分割することを特
    徴とする請求項13に記載の光学フィルムの製造方法。
  17. 【請求項17】 乾燥ゾーンの出口に少なくとも1つの
    降温ゾーンを設置することを特徴とする請求項13に記
    載の光学フィルムの製造方法。
  18. 【請求項18】 乾燥ゾーンと降温ゾーンの温度差が0
    〜50℃であることを特徴とする請求項17に記載の光
    学フィルムの製造方法。
  19. 【請求項19】 光学膜がハードコート層、光学補償
    膜、防眩層または反射防止層であることを特徴とする請
    求項7〜18のいずれか1項に記載の光学フィルムの製
    造方法。
  20. 【請求項20】 透明支持体上に複数の光学膜を有する
    光学フィルムの製造方法において、該光学膜を複数回の
    塗布により形成する際、1回の塗布乾燥ごとに幅方向の
    平面性を矯正することを特徴とする光学フィルムの製造
    方法。
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