JPH11235728A - セルローストリアセテートフィルムの製造方法 - Google Patents

セルローストリアセテートフィルムの製造方法

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JPH11235728A
JPH11235728A JP4044198A JP4044198A JPH11235728A JP H11235728 A JPH11235728 A JP H11235728A JP 4044198 A JP4044198 A JP 4044198A JP 4044198 A JP4044198 A JP 4044198A JP H11235728 A JPH11235728 A JP H11235728A
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web
drying
cellulose triacetate
roll
producing
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JP4044198A
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English (en)
Inventor
Tatsu Kondo
達 近藤
Tadahiro Kaneko
忠浩 金子
Katsuya Hashimoto
勝也 橋本
Kazuyuki Shimizu
和之 清水
Toshiyuki Hagiwara
俊幸 萩原
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 平面矯正装置のような設備を工程中に新たに
設置すると、コストアップになり、高温で処理すること
によりウエブの幅手方向の収縮が大きくなり、更には生
産のロット間のばらつきがあったりして、安定的な生産
がむずかしかった。また低温処理により平面性を矯正す
る方法では高速度で生産する場合平面性の改善が出来
ず、生産性を上げられないという問題があった。 【解決手段】 溶液流延製膜法によりセルローストリア
セテートフィルムを作製するにあたり、支持体からウエ
ブを剥離後、乾燥搬送工程での任意の位置でのウエブの
幅長をAとし、その位置から残留溶媒率を10%低減さ
せた位置での幅長をBとし、それらの位置の間での収縮
率SaをSa={(A−B)/A}×100とした時、
Sa≦5.0として乾燥搬送させることを特徴とするセ
ルローストリアセテートフィルムの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はハロゲン化銀写真感
光材料や液晶画像表示装置に有用なセルローストリアセ
テートフィルムの製造方法に関する。更には平面性の優
れたセルローストリアセテートフィルムの製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】ハロゲン化銀写真感光材料や液晶画像表
示装置などにセルローストリアセテートフィルムが頻繁
に使用されている。これらの用途には平面性の優れたフ
ィルムが必要とされており、種々の提案がなされてい
る。例えば、特開平4−152125号または同6−2
7819号公報にはセルローストリアセテートフィルム
の製膜工程の終わりに近い工程で、悪くなっていた平面
性を矯正するための工程を設け、改善することが記載さ
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな設備を工程中に設置すると新たな設備が必要であっ
たり、高温で処理することによってウエブの幅手方向の
収縮が大きく、生産のロット間のばらつきが有り、安定
的な生産がむずかしかった。また低温処理により平面性
を矯正する方法では高速度で生産する場合平面性の改善
が出来ず、生産性を上げられないという問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】このような課題に対処す
べく本発明は行われたものである。
【0005】本発明の目的は、大規模な設備を導入する
ことなく、高生産性下でも平面性や塗布ムラの優れたセ
ルローストリアセテートフィルムを製造する方法を提供
するものである。
【0006】本発明で使用する溶液流延製膜法は、図1
に示したような、流延部において、エンドレスに走行す
る支持体1にダイ2からセルローストリアセテート溶液
(ドープという)を流延し、ドープを支持体1上で乾燥
し、ドープ膜3を形成し、次に剥離部において、支持体
1がほぼ一回りしたところの剥離点4でドープ膜3を剥
離し、剥離ロール4′を経て、乾燥部の乾燥装置5でウ
エブ3をロール群6を通って乾燥し、下引層や帯電防止
層等の塗布液を下引塗布部の下引塗布装置8の下引塗布
機9で塗布し、更に次の乾燥部のロール群6を通って乾
燥し、冷却部で冷却して、巻き取り部の巻き取り機10
にてフィルムロール11として巻き取るものである。ま
た図2で示すようなテンター装置(幅規制装置)12で
ウエブ3の両端をクリッピングして幅を保持しながら乾
燥する方法もある。溶液流延製膜法における乾燥搬送工
程は剥離部から冷却部の前の乾燥部までのウエブの搬送
工程をいう。
【0007】図1から図5は、図1が溶液流延製膜装置
の概略断面図、図2及び図3がテンター装置を有する溶
液流延製膜装置の概略断面図、図4がクラウンロールの
平面図、そして図5が−90°に傾斜したテンター装置
を有する溶液流延製膜装置の概略断面図である。
【0008】ここで、上記ドープ膜とウエブについて、
ドープ膜は流延された支持体上での膜をいい、支持体上
で剥離可能な状態から巻き取られるまでのフィルム状の
ものをウエブと呼ぶこととするが、ドープ膜とウエブ、
またウエブとフィルムの境は不明瞭であるので曖昧のま
ま適宜本発明ではこのような用語を使いわけて使用す
る。
【0009】一般に、ウエブのロールによる搬送過程
で、ウエブの幅手方向に収縮が起こりやすくその結果ス
ジが発生したりして平面性が劣化する。本発明者らは、
ウエブの幅手方向の収縮率を抑制する方法により、搬送
方向のスジを極力低減出来ることを見出した。また、こ
の収縮率が、ウエブが搬送中に接触するロール面長とウ
エブのパス長との関係と重要な関わりがあることを見出
し本発明に至った。特にハロゲン化銀写真感光材料のフ
ィルムベースとして用いられるセルローストリアセテー
トフィルムは、下引工程を有し、セルローストリアセテ
ートに対して膨潤性のある溶媒を塗布するため、大幅に
平面性が劣化するのを、上記の関係、及び搬送張力、乾
燥温度テンター装置の有効な使用などを併用することな
どによって下記の構成により達成した。
【0010】(1)溶液流延製膜法によりセルロースト
リアセテートフィルムを作製するにあたり、支持体から
ウエブを剥離後、乾燥搬送工程での任意の位置でのウエ
ブの幅長をAとし、その位置から残留溶媒率を10%低
減させた位置での幅長をBとし、それらの位置の間での
収縮率SaをSa={(A−B)/A}×100とした
時Sa≦5.0にして乾燥搬送させることを特徴とする
セルローストリアセテートフィルムの製造方法。
【0011】(2)溶液流延製膜法によりセルロースト
リアセテートフィルムを作製するにあたり、支持体から
ウエブを剥離後、乾燥搬送工程中でのウエブに対して、
膨潤性を有する溶媒を含有している塗布液を塗布する直
前での残留溶媒率をY0とし、その位置の幅長をCと
し、最終乾燥搬送工程後での幅長をDとし、またその間
での収縮率ScをSc={(C−D)/C}×100と
した時、Se≦0.15Y0+0.57として乾燥する
ことを特徴とするセルローストリアセテートフィルムの
製造方法。
【0012】(3)溶液流延製膜法によりセルロースト
リアセテートフィルムを作製するにあたり、乾燥搬送工
程の剥離部において、支持体からウエブを剥離後、ウエ
ブが最初に接触するロールがドライブロールであること
を特徴とするセルローストリアセテートフィルムの製造
方法。
【0013】(4)前記乾燥搬送工程の任意の位置と、
該位置でのウエブの残留溶媒率から10%低減された位
置との間において搬送ロールがウエブと接触している面
長をLaとし、またその間のウエブのパス長をRaとし
た時、その比Ha(Ha=La/Ra)が0.07≦H
a≦1.0の範囲で搬送することを特徴とする(1)に
記載のセルローストリアセテートフィルムの製造方法。
【0014】(5)前記乾燥搬送工程で、塗布液を塗布
する直前での位置から最終乾燥工程終了までの間におい
て、搬送ロールがウエブと接触している面長をLcと
し、またその間のウエブのパス長をRcとし、またその
間のウエブのパス長をRcとした時、その比Hc(Hc
=Lc/Rc)が0.09≦Hc≦0.9の範囲で搬送
することを特徴とする(2)に記載のセルローストリア
セテートフィルムの製造方法。
【0015】(6)前記乾燥搬送工程の最終乾燥工程導
入直前でのウエブの残留溶媒率をX0とし、最終乾燥工
程導入直後の位置から最終乾燥工程中の任意の位置のウ
エブの残留溶媒率X1がX1≦0.8×X0となったとこ
ろまでの間で塗布液の溶媒の沸点をbp(℃)とした
時、ウエブの表面温度を(bp+40℃)以下として乾
燥することを特徴とする(2)または(5)に記載のセ
ルローストリアセテートフィルムの製造方法。
【0016】(7)前記塗布液を塗布した直後から乾燥
終了までの間で、テンター装置を用いて乾燥し、搬送す
ることを特徴とする(2)、(5)または(6)のいず
れか1項に記載のセルローストリアセテートフィルムの
製造方法。
【0017】(8)該テンター装置にウエブを導入する
に際し、ウエブ幅手方向の弾性率が1.5kg/mm2
〜400kg/mm2のときに導入し、乾燥、搬送する
ことを特徴とする(7)に記載のセルローストリアセテ
ートフィルムの製造方法。
【0018】(9)該テンター装置が水平に対して+3
0°〜150°、または−30°〜−150°の角度を
持っていることを特徴とする(7)または(8)に記載
のセルローストリアセテートフィルムの製造方法。
【0019】(10)前記乾燥搬送工程でのウエブの搬
送方向への張力を10〜50kgf/mとして搬送する
ことを特徴とする(1)、(2)、(3)、(4)、
(5)または(6)のいずれか1項に記載のセルロース
トリアセテートフィルムの製造方法。
【0020】(11)前記乾燥搬送工程のロールが、ロ
ールの幅手方向の外側に向かって張力がかかる構造のロ
ールを使用して搬送することを特徴とする(1)、
(2)、(3)、(4)、(5)、(6)または(1
0)のいずれか1項に記載のセルローストリアセテート
フィルムの製造方法。
【0021】(12)前記乾燥搬送工程のロールが、ロ
ールの幅手方向に対して表面の摩擦係数を最大値
μmax、最小値μminとした時、最大値と最小値との比μ
がμ=μmax/μmin≧1.2μminであるロールを使用
して搬送することを特徴とする(1)、(2)、
(3)、(4)、(5)、(6)、(10)または(1
1)のいずれか1項に記載のセルローストリアセテート
フィルムの製造方法。
【0022】以下に、本発明を詳述する。
【0023】図1は上述したように、通常の溶液流延製
膜装置を示したものであり、図2はテンター装置12を
有する溶液流延製膜装置である。
【0024】本発明で用いる残留溶媒率(%)は、測定
すべきドープ膜、ウエブあるいはフィルムの重量をP
(g)とし、それらを110°で1.5時間乾燥した重
量をQ(g)とした(P−Q)の溶媒量(g)を乾燥重
量Q(g)で除したもので、下記の式で示される。
【0025】 残留溶媒率(%)={(P−Q)/Q}×100 ドープ膜(ウエブ)を支持体から剥離する時の残留溶媒
率は、製膜方法やドープの組成によって異なるが、大き
いものではほとんどドープ組成としてそのままの溶媒を
含有している状態で剥離される場合から、十分に支持体
上で乾燥した数十%のものまである。前者の場合には、
10℃以下に冷却された小さい径のドラム支持体上に流
延し、ドープをゲル化させて直ぐ剥離する方法(例えば
特開昭62−371133号公報)もある。この方法で
は残留溶媒が非常に多い状態でドープ膜を剥離するた
め、剥離後の収縮が大き過ぎ平面性が非常に劣化し易
い。それを防ぐために剥離後テンター装置によって幅を
保持しなければならず、かなり乾燥が進むまでの非常に
長いパスのテンター装置が必要になり、設備コストが莫
大となる。
【0026】また、収縮の原因として、ウエブを長手方
向に張力をかける搬送におけるロール間のメカニックロ
スから張力上昇によるものがあり、これは一般的に搬送
張力を制御、またはロールをテンデンシー化(同調化)
する方法によって対応されているが、平面性劣化抑制手
段としては不十分であった。
【0027】セルローストリアセテートフィルムを溶液
流延製膜法において、従来からウエブの幅収縮が、また
それに伴う平面性の劣化が問題となっていたが、本発明
では製膜装置内での色々な検討の結果、微細な条件まで
もコントロールすることによって幅収縮や平面性の劣化
を極度に押さえたものである。
【0028】第1の発明は、ウエブを支持体から剥離後
の乾燥搬送工程中において任意の位置から残留溶媒を1
0%下げたところの位置までの間の収縮率Saを5.0
以下にすることによって、平面性が改善されるものであ
る。これを達成する手段としては、上記区間におい
て、ロールがウエブと接触している面長をLaとし、ま
たその間のウエブパス長をRaとした時、その比Ha
(Ha=La/Ra)を次の関係0.07≦Ha≦1.
0として乾燥搬送する方法である。ウエブのロールに接
触していないパス長が大きくなればなるほど平面性が劣
化する。Haは大きいほどよく最大値であるHa=1.
0の場合はロールが密着して並ぶいわゆる密間ロールを
ウエブを通すことも一つの方法であるが、適度にロール
間隔を配置することによって、またロールの径を選ぶこ
とによってHcを決めることが出来る。ロール直径とし
ては、5〜30cmがよく、好ましくは8〜25cm、
特に10から20cmが好ましい。その他、剥離後、
最初の接触するロールをドライブロールとする方法も、
また搬送をスムースにするためにウエブの搬送方向へ
の搬送張力を10〜50kgf/m(幅手方向)、好ま
しくは15から40kgf/m、特に好ましくは20〜
35kgf/mかけることによって、更に乾燥搬送工
程のロールをロールの幅手方向に張力がかかる、例えば
クラウンロール、エッジニップロール、スパイラルロー
ルなどのような構造のロールを、または(と同様
に)ロールの幅手方向に摩擦係数の最大値をμmax、最
小値をμminとした時、最大値と最小値との比HμがH
μ=μmax/μmin≧1.2のロール、例えば中央部をμ
max、端の方をμminとしたロールを用いることによっ
て、第1の発明の効果つまり平面性劣化を抑制すること
が出来るのである。
【0029】ロールの形状について、普通のロールは円
筒形で表面が平滑なもの(平ロールと言われている)が
用いられており、ウエブがロール面に接触している間に
起こる収縮力を制御する力が不十分であり、平面性を劣
化させてしまう。これに対して本発明におけるクラウン
ロールのようなウエブの幅手方向外側に向かって張力が
かかる構造のロールを用いることによって、中心部へ収
縮する力と幅手外側に向けて伸ばそうとする力と動きが
打ち消しあって平面性劣化を抑制する。その後の搬送工
程でのロール群をロールの長さ方向の表面の摩擦係数分
布の最大値をμmax、最小値をμminとした時に、μmax
/μmin≧1.2としたロールを用いても同様の効果が
得られる。このロールは中央付近が最大値の摩擦係数を
持っていて、端の方を最小値のそれになっているもの
で、収縮力と伸ばそうとする力を打ち消しあうことがで
きるようになっている。最大値の摩擦係数としては、
0.12〜0.8、最小値のそれは0.1〜0.5が好
ましい。
【0030】第2の発明は、ウエブを支持体から剥離後
の乾燥搬送工程中で、該ウエブに対して、膨潤性を有す
る溶媒を含有する下引や帯電防止等の塗布液を塗布する
直前から最終乾燥搬送工程後までの間の収縮率ScをS
c≦0.15Y0+0.57(ここで、Y0は塗布直前の
ウエブ残留溶媒率)という関係内にすることによって平
面性が改善されるものである。これを達成する手段とし
て、上記区間において、ロールがウエブと接触してい
る面長をLcとし、またその間のウエブパス長をRcと
した時、その比Hc(Hc=Lc/Rc)を次に表され
る関係0.09≦Hc≦0.9として搬送する方法であ
る。
【0031】一般的に、ハロゲン化銀写真感光材料のフ
ィルムベースには下引や帯電防止等の機能を与える層を
設ける必要がある。セルローストリアセテートフィルム
の場合には、これらの層を接着せしめるために、セルロ
ーストリアセテートフィルムに対して膨潤性のある溶媒
を含有する塗布液を塗布するため、ウエブが膨潤し平面
性が悪くなる。またウエブの残留溶媒率が大きいうちに
該塗布液を塗布することによって乾燥負荷を小さくする
ことが行われているが、この方法だと平面性が更に悪く
なる可能性がある。塗布時残留溶媒率は、20%以下が
よく、好ましくは10%以下、特に好ましくは5%以下
である。また、塗布は複数回おこなわれることもあり、
1回に塗布される塗布液量はウエブの10〜20重量%
であることが一般的である。そして乾燥終了時点での残
留溶媒率を3%以下にする。塗布後の平面性劣化を防止
するための上記発明に加える他の手段としては前記、
、、及びもこの第2の発明を更なる平面性劣化
防止に役立つが、更に塗布後の膨潤したウエブの急加
熱による熱収縮を緩和させるために、最終乾燥搬送工程
直前のウエブの残留溶媒率X0とし、最終乾燥搬送工程
導入直後の位置から最終乾燥搬送工程中の任意の位置の
ウエブの残留溶媒率X1がX1≦0.8×X0となったと
ころまでの間で塗布溶媒の沸点をbp(℃)とした時、
ウエブの表面温度を(bp+40℃)以下として乾燥す
ることによっても第2の発明効果を向上させることが出
来る。また、塗布液を塗布直後から最終乾燥搬送工程
終了までの間にテンター装置でウエブを幅保持するのも
好ましい。ウエブ幅手方向の弾性率が1.5kg/mm
2〜400kg/mm2のとき、テンターに導入するのが
よく、好ましくは58kg/mm2〜300kg/mm2
である。弾性率が低すぎると安定なクリッピングが出来
なかったり、クリップとの接触部がウエブ処理開始時の
ウエブ幅長の2.0%未満、特には1.5%が好まし
い。テンター装置のクリップとしては、通常のポリエス
テルに使用されているクリップ、あるいは特開昭62−
46626号や特開平2−182654号等の公報に記
載されているようなピンクリップを用いてもよい。更に
テンター装置の角度を持たせ、テンター装置を使用する
効果をさらに高めることが出来る。これはウエブがテン
ター装置内部で弛むのを防ぐ役割がある。つまり角度を
持たせることによる、重力による弛みをなくすことが出
来る。テンター装置の角度は好ましくは+60°〜+1
20°、または−60°〜−120°である。
【0032】第3の発明は支持体からウエブを剥離後、
ウエブの最初に接触する媒体をドライブロールとするこ
とにより平面性劣化を防止するものである。ウエブの最
初に接触する媒体は、一般に剥離ロールと呼ばれてお
り、通常ではこの剥離ロールはフリーロールであって、
製膜速度で走行するウエブとの摩擦により回転している
ため、ロール上でのウエブの収縮、摩擦などの悪影響が
ウエブ平面にムラが生じてしまっていた。剥離ロールを
ウエブの走行速度に追従させるようにしたドライブロー
ル(駆動ロール)を用いることにより、前記の悪影響、
および、ウエブ平面性ムラを低減することが出来る。
【0033】ここで乾燥搬送工程とは、ロールあるいは
ロール群を通って搬送し、乾燥するゾーン全てをいう。
【0034】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0035】 〈ドープ処方〉 セルローストリアセテート 100重量部 メチレンクロライド 340重量部 エタノール 80重量部 トリフェニルホスフェート 12重量部 〈塗布液処方〉 (下引塗布液) 酢酸ビニル:無水マレイン酸交互共重合体 3重量部 アセトン 810重量部 イソプロパノール 150重量部 (帯電防止塗布液) 酸化スズ:酸化アンチモン複合微粒子(平均粒径0.05μm) 14重量部 セルロースジアセテート 6重量部 アセトン 800重量部 シクロヘキサノン 200重量部 〈評価方法〉 (平面性評価法)幅90cm、長さ100cmの大きさ
に各試料を切り出し、50W蛍光灯を5本並べて試料台
に45°の角度から照らせるように高さ1.5mの高さ
に固定し、試料台の上に各フィルム試料を置き、フィル
ム表面に反射してみえる凹凸を目で見て、次のように判
定した。
【0036】 A:蛍光灯が5本とも真っすぐに見えた B:蛍光灯が少し曲がって見えるところがある C:蛍光灯が全体的に少し曲がって見える D:蛍光灯が大きくうねって見える E:蛍光灯が大きい曲がりの中にも細かいうねりが見え
る。
【0037】(塗布ムラ評価法)上記下引塗布液塗布面
に下記ゼラチン液を塗布、セットそして乾燥して、平面
性と同じ大きさに切り出し、下記レベルに従って評価し
た。
【0038】 ゼラチン液: ゼラチン 4g 水 100g メチルバイオレット(染料) 0.2g サポニン 0.1g 各試料をシャーカステンの上に乗せ、塗布ムラを下記の
ように評価した。
【0039】 A:ムラがなく非常にスムースである B:細かいムラが若干ある C:ややムラがあるような感じ D:はっきりとムラが見える E:非常に大きなムラが見える。
【0040】実施例1 上記ドープをダイから支持体1上に流延し、ウエブ3を
剥離点4で残留溶媒率が100重量%で剥離し、ウエブ
をフリーロールの剥離ロール4′を通過させ、その後、
通常の平ロールを使用し、搬送張力を55kgf/m、
乾燥搬送ロールのスパンの比Hcを0.07として、乾
燥装置5のロール群6を通し、乾燥温度を50℃から徐
々に上昇させ、70℃、90℃そして110℃とし、残
留溶媒率を3.3として、次の下引塗布装置8へとウエ
ブを搬送した。この乾燥搬送工程での収縮率Saの最大
値はSa=5.5%であった。上記塗布液を2基の下引
塗布機9で塗布し、下引後の乾燥装置5′乾燥温度を1
00℃で乾燥し、下引塗布後のロールスパンの比をHc
=0.07とし、下引直後から最終乾燥搬送工程終了後
までの収縮率Sc=1.3として、製膜して巻き取り機
10でフィルムロール11として巻き取った。これを比
較試料1とした。なお、下引塗布機以降のロール形状と
張力は塗布前と同じであった。試料を上記の平面性と塗
布ムラについて評価した。
【0041】実施例2 実施例1の条件を下記に変えた外は実施例1と同様に製
膜し、巻き取り、本発明試料1、2及び3とした。
【0042】 平ロールの30%をクラウンロール(図4)に置き換え
た。
【0043】実施例3 実施例1の条件を下記に変えた以外は実施例1と同様に
製膜し、巻き取り、本発明試料4、5及び6とした。
【0044】 下引後の乾燥温度を塗布後残留溶媒率2.64%までは
80℃、その後は110℃、 ウエブ幅手弾性率が200kg/mm2の時に−90°
のテンター装置を使用。
【0045】実施例4 実施例の条件を下記に変えた以外は実施例1と同様に製
膜し、巻き取り、本発明試料7とした。
【0046】本発明試料7:剥離ロールをドライブロー
ルに変更、平ロールの20%をμmax=2.5、μmin
2.0ロールに置き換えた。
【0047】実施例5 実施例1の条件を下記に変えた以外は実施例1と同様に
製膜し、巻き取り、本発明試料8及び9とした。
【0048】 剥離ロールをドライブロールに変更、 平ロールの30%をクラウンロールに置き換えた、 ウエブ幅手弾性率が200kg/mm2の時に−90°
のテンター装置使用、下引乾燥温度(塗布後の残留溶媒
率2.64%まで80℃、その後の温度100℃、剥離
ロールをドライブロールに変更、平ロールの20%をμ
max=2.5、μmin=2.0ロールに置き換えた。
【0049】以上の実施例につき平面性と塗布ムラの評
価を行い、その結果を表1に示した。
【0050】
【表1】
【0051】(結果)収縮率Sa及びSc、あるいはH
a及びHc、搬送張力、クラウンロールの使用、乾燥温
度、−90°のテンター装置の使用、剥離ロールのドラ
イブロール化を本発明の範囲内に設定し、また実施した
本発明試料は、比較試料に比べ、格段に平面性、塗布ム
ラ共に向上し、更に本発明を組み合わせたところ更に向
上した。本発明をほとんどあるいは全て組み合わせた実
施例においては平面性及び塗布ムラ共、優れた評価結果
を得た。
【0052】
【発明の効果】セルローストリアセテートフィルムの製
造法において、乾燥搬工程内の各種の条件、例えば、収
縮率の制御ロールの形状、フリーパス長とロールの関
係、テンターの使用等を決めることにより、平面性に優
れたセルローストリアセテートが得られ、ハロゲン化銀
写真感光材料や、液晶画像表示装置の偏光板保護フィル
ムに好ましく用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶液流延製膜装置の概略断面図。
【図2】テンター装置を有する溶液流延製膜装置の概略
断面図。
【図3】テンター装置を有する溶液流延製膜装置の概略
断面図。
【図4】クラウンロールの平面図。
【図5】−90°に傾斜したテンター装置を有する溶液
流延製膜装置の概略断面図。
【符号の説明】
1 支持体 2 ダイ 3 ウエブ(ドープ膜) 4 剥離点 4′ 剥離ロール 5 乾燥装置 5′ 乾燥装置(下引乾燥装置) 6 ロール(ロール群) 7 乾燥風 8 下引塗布装置 9 下引塗布機 10 巻き取り機 11 フィルムロール 12 テンター装置 12′ 傾斜したテンター装置 13 クラウンロール 14 軸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29L 7:00 9:00 (72)発明者 清水 和之 東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会 社内 (72)発明者 萩原 俊幸 東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会 社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶液流延製膜法によりセルローストリア
    セテートフィルムを作製するにあたり、支持体からウエ
    ブを剥離後、乾燥搬送工程での任意の位置でのウエブの
    幅長をAとし、その位置から残留溶媒率を10%低減さ
    せた位置での幅長をBとし、それらの位置の間での収縮
    率SaをSa={(A−B)/A}×100とした時、
    Sa≦5.0として乾燥搬送させることを特徴とするセ
    ルローストリアセテートフィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 溶液流延製膜法によりセルローストリア
    セテートフィルムを作製するにあたり、支持体からウエ
    ブを剥離後、乾燥搬送工程中のウエブに対して、膨潤性
    を有する溶媒を含有している塗布液を塗布する直前での
    残留溶媒率をY0とし、その位置の幅長をCとし、最終
    乾燥搬送工程後での幅長をDとし、またその間での収縮
    率ScをSc={(C−D)/C}×100とした時、
    Se≦0.15Y0+0.57として乾燥することを特
    徴とするセルローストリアセテートフィルムの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 溶液流延製膜法によりセルローストリア
    セテートフィルムを作製するにあたり、乾燥搬送工程の
    剥離部において、支持体からウエブを剥離後、ウエブが
    最初に接触するロールがドライブロールであることを特
    徴とするセルローストリアセテートフィルムの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記乾燥搬送工程の任意の位置と、該位
    置でのウエブの残留溶媒率から10%低減された位置と
    の間において搬送ロールがウエブと接触している面長を
    Laとし、またその間のウエブのパス長をRaとした
    時、その比Ha(Ha=La/Ra)が0.07≦Ha
    ≦1.0の範囲で搬送することを特徴とする請求項1に
    記載のセルローストリアセテートフィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記乾燥搬送工程で、塗布液を塗布する
    直前での位置から最終乾燥工程終了までの間において、
    搬送ロールがウエブと接触している面長をLcとし、ま
    たその間のウエブのパス長をRcとし、またその間のウ
    エブのパス長をRcとした時、その比Hc(Hc=Lc
    /Rc)が0.09≦Hc≦0.9の範囲で搬送するこ
    とを特徴とする請求項2に記載のセルローストリアセテ
    ートフィルムの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記乾燥搬送工程の最終乾燥工程導入直
    前でのウエブの残留溶媒率をX0とし、最終乾燥工程導
    入直後の位置から最終乾燥工程中の任意の位置のウエブ
    の残留溶媒率X1がX1≦0.8×X0となったところま
    での間で塗布液の溶媒の沸点をbp(℃)とした時、ウ
    エブの表面温度を(bp+40℃)以下として乾燥する
    ことを特徴とする請求項2または5に記載のセルロース
    トリアセテートフィルムの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記塗布液を塗布した直後から乾燥終了
    までの間で、テンター装置を用いて乾燥し、搬送するこ
    とを特徴とする請求項2、5または6のいずれか1項に
    記載のセルローストリアセテートフィルムの製造方法。
  8. 【請求項8】 該テンター装置にウエブを導入するに際
    し、ウエブ幅手方向の弾性率が1.5kg/mm2〜4
    00kg/mm2のときに導入し、乾燥、搬送すること
    を特徴とする請求項7に記載のセルローストリアセテー
    トフィルムの製造方法。
  9. 【請求項9】 該テンター装置が水平に対して+30°
    〜150°、または−30°〜−150°の角度を持っ
    ていることを特徴とする請求項7または8に記載のセル
    ローストリアセテートフィルムの製造方法。
  10. 【請求項10】 前記乾燥搬送工程でのウエブの搬送方
    向への張力を10〜50kgf/mとして搬送すること
    を特徴とする請求項1、2、3、4、5または6のいず
    れか1項に記載のセルローストリアセテートフィルムの
    製造方法。
  11. 【請求項11】 前記乾燥搬送工程のロールが、ロール
    の幅手方向の外側に向かって張力がかかる構造であるこ
    とを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または1
    0のいずれか1項に記載のセルローストリアセテートフ
    ィルムの製造方法。
  12. 【請求項12】 前記乾燥搬送工程のロールが、ロール
    の幅手方向に対して表面の摩擦係数を最大値μmax、最
    小値μminとした時、最大値と最小値との比HμがHμ
    =μmax/μmin≧1.2μminであるロールを使用して
    搬送することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、
    6、10または11のいずれか1項に記載のセルロース
    トリアセテートフィルムの製造方法。
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