JP2019078797A - 光学フィルムの製造方法、偏光板、および、画像表示装置 - Google Patents

光学フィルムの製造方法、偏光板、および、画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】搬送方向と平行に遅相軸を有する厚み30μm以下の透明ポリマーフィルム上に架橋性官能基を有する液晶性化合物を含む液晶層を設けた場合であっても、カールおよび位相差ムラを発生させることなく、折れシワ(UVシワ)の無い光学フィルムを製造する製造方法および偏光板、画像表示装置を提供する。【解決手段】搬送方向と平行に遅相軸を有する厚み30μm以下の透明ポリマーフィルム上に、架橋性官能基を有する液晶性化合物を含む塗布液を塗布、乾燥して塗布層を形成し、塗布層に紫外線を照射して硬化させる際にフィルムの塗布層の側とは反対側の面を支えるバックアップローラがあり、バックアップローラの温度を30℃〜80℃にし、バックアップローラの直前に、フィルムの塗布層の側とは反対側の面を支えるガイドローラがあり、ガイドローラ上においてフィルムの離脱点からバックアップローラ上においてフィルムの着地点の距離が0.5m以下である。【選択図】図3

Description

本発明は、光学フィルムの製造方法および、光学フィルム、偏光板、画像表示装置に関する。
従来から、液晶性化合物を配向固定させた位相差層を有するフィルムが広く検討されている。このような位相差層は、通常、透明基板(支持体)上に配向層を形成し、配向層の表面に液晶性化合物を塗布して形成される。
例えば、特許文献1には、シクロオレフィン系樹脂からなる透明基板と、上記透明基板上に接するように形成され、所定の重合性基を有する重合性モノマーの重合物を含有し、さらに液晶材料をホメオトロピック配向させる配向規制力を有する密着性配向層と、上記密着性配向層上に形成され、液晶材料を含有し、さらに面内方向において互いに直交する任意のx方向、y方向の屈折率nxおよびnyと、厚み方向の屈折率nzとの間に、nx=ny<nzの関係が成立する位相差層と、を有する位相差フィルムが開示されている。
特開2008−009328号公報 特開2010−064013号公報
一方、最近の表示装置の薄型化の要望により、光学フィルムに関しても更なる薄型化が求められている。最も効果が大きいのが、透明基板を構成するポリマーフィルムの薄型化である。ポリマーフィルムは、従来、100μm〜40μmが主流であったが、昨今の表示装置の薄型化のためには、ポリマーフィルムを30μm以下にしたいとの業界の強い要請があった。このポリマーフィルムは、従来用いられてきたセルロース系のポリマーに加え、より光学異方性の高いシクロオレフィン系ポリマーを用いることが考えられる。しかし、透明基板を構成するポリマーフィルムを30μm以下にすると、架橋性基を有する液晶と架橋性モノマーを含む塗布液を塗設後に、紫外線を照射して液晶を固化する際に、熱で延びようとする基板のポリマーフィルムがガイドローラとの摩擦により動けずに山型に折れることで、折れシワが発生し、重大な品質故障となる。この折れシワは、発生原因からUVシワと称しても良い。
折れシワ(UVシワ)を防ぐ方法として、あらかじめ透明基板を構成するポリマーフィルムに、粘着剤または接着剤を介してプロテクトフィルムを積層しておく方法が有効である。しかし、透明基板を構成するポリマーフィルムの厚みが30μm以下の場合は、プロテクトフィルムをそれより厚く、好ましくは60μm以上にしなければ折れシワを防ぐことができない。しかし、積層したプロテクトフィルムを厚くすると、乾燥ゾーンでカールが発生し、重大な品質故障となる。
さらには、搬送方向と平行に遅相軸を有する透明基板を構成するポリマーフィルムを用いて液晶表示装置の光学補償のための光学フィルムを作製する方法は以前からあるが、このポリマーフィルムは、搬送方向と平行に元々波板状(トタン状)のシワを有しており、そのままの状態で、架橋性基を有する液晶と架橋性モノマーを含む塗布液を塗設後に、紫外線を照射すると、シワによる凹凸のために塗布液への熱の掛かり方が不均一となり、固化した液晶層の位相差値がシワに沿って位相差ムラとなり、重大な品質故障となる。これを防ぐために、紫外線硬化時に、バックアップローラにベースを均一に密着させるべく、フィルムにかかる張力(テンション)を大きくするのが本業界の常識である。しかし、これは、基板のポリマーフィルムと塗布層と反対面のポリマーフィルムを支えるローラとの摩擦力を大きくすることになり、30μm以下のポリマーフィルムで発生する折れシワ(UVシワ)がさらに悪化する。
そこで、本発明は、搬送方向と平行に遅相軸を有する、厚みが30μm以下のポリマーフィルムを用い、ポリマーフィルムに隣接させて、架橋性官能基を有する液晶性化合物を含む液晶層を設けた場合であっても、カール、および、位相差ムラを発生させることなく、折れシワ(UVシワ)の無い光学フィルム、および、それを用いた偏光板、画像表示装置、ならびに、光学フィルムの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、紫外線照射時にフィルムを支えるバックアップローラの温度を精緻に制御し、かつ紫外線照射直前のフィルムを支えるガイドローラと該バックアップローラの距離を好適に近接化することで、折れシワ(UVシワ)が無く、位相差ムラを悪化させることなく、液晶性化合物を配向固定させた、厚みが30μm以下の光学補償フィルムの製造方法を見出した。その改良メカニズムは完全にはわかっていない。例えば、特許文献2には、硬化樹脂層を基材フィルムに塗布して、電離放射線を照射する際のフィルム塗膜面の反対側の面を温調ロールで支持する時の抱き角度を制御することで、カールとシワを良化することを謳っている。しかし、本発明ではこの方法は全く効果が無く、フィルム抱き角度は、シワ発生有無の因子ではないと結論された。その違いは、本発明が搬送方向と平行に遅相軸を有する30μm以下のポリマ―フィルムであることと、液晶性化合物の硬化であることが原因と推定される。
ウェブは幅に対する厚みが非常に小さく、長手方向にテンションを付加すると、特に搬送方向と平行に遅相軸を有する透明基板を構成するポリマーフィルムは、幅方向の収縮力で容易に幅方向に変形し、波板状(トタン状)の変形となる。この時点ではまだ永久変形であるシワになっていない。紫外線照射を行うバックアップローラに乗り上げた時に、このトタン状の変形が元に戻ればシワにならないため、臨界座屈応力が小さければ良いと推定される。この変形の臨界座屈応力は、紫外線照射時のポリマーフィルムを支えるバックアップローラとその直前のガイドローラとの距離を本発明の特定の値以下に小さくすることで劇的に低減することを見出した。さらに、本発明では、製造方法の精緻な制御の組合せにより、30μm以下のポリマーフィルムで、位相差ムラ、折れシワ(UVシワ)、カール、トタン状等の全ての故障を発生させずに所望の光学フィルムを得る製造方法を見出した。
すなわち、以下の構成により上記課題を達成することができることを見出した。
[1]搬送方向と平行に遅相軸を有する、厚み30μm以下の透明ポリマーフィルム上に、架橋性官能基を有する液晶性化合物を含む塗布液を塗布、乾燥して塗布層を形成し、次いで、前記塗布層に紫外線を照射して前記液晶化合物を硬化させる際に前記塗布層を有するフィルムの前記塗布層の側とは反対側の面を支えるバックアップローラがあり、前記バックアップローラの温度を30℃〜80℃にし、前記バックアップローラの直前に、前記塗布層を有するフィルムの前記塗布層の側とは反対側の面を支えるガイドローラがあり、前記ガイドローラ上において前記塗布層を有するフィルムの離脱点から前記バックアップローラ上において前記塗布層を有するフィルムの着地点の距離が0.5m以下である光学フィルムの製造方法。
[2]前記バックアップローラと紫外線照射光源を対にしたユニットをフィルム搬送ライン上に直列的に複数有し、塗布に近い側のバックアップローラに比較して、塗布から遠い側のバックアップローラの温度が同じ温度か、それ以上の温度である[1]に記載の光学フィルム製造方法。
[3]前記バックアップローラ上の前記着地点と前記ガイドローラ上の前記離脱点の間の前記塗布層を有するフィルムを放射温度計で測定した温度が、前記バックアップローラの温度に対して、−15℃〜+15℃の範囲になるように前記塗布層を有するフィルムの温度調節をする[1]または[2]に記載の光学フィルム製造方法。
[4]前記ガイドローラが、コンケーブローラあるいは中央部よりも両サイドの径が大きくなるようにストレートローラの中央より両端に近い側にテープを巻いたローラである[1]〜[3]のいずれかに記載の光学フィルム製造方法。
[5]前記透明ポリマーフィルムが、前記塗布層を塗布する面側とは反対面側に、予め粘着剤を介してプロテクトフィルムが貼りあわされている、[1]〜[4]のいずれかに記載の光学フィルム製造方法。
[6]前記液晶性化合物が、棒状液晶性化合物である、[1]〜[5]のいずれかに記載の光学フィルム製造方法。
[7]前記塗布液中に、下記(I)で表される化合物を前記液晶性化合物の質量に対して0.5〜7.0質量%含有する、[1]〜[6]のいずれかに記載の光学フィルム製造方法。
式(I) (Z)−L100−(Q)
前記式(I)中、
Zは、重合性基を有する置換基を表し、nは、0〜4の整数を表し、nが2〜4の整数である場合、2以上のZは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
Qは、少なくとも1つのホウ素原子を含有する置換基を表し、mは、1または2を表し、mが2の場合、2つのQは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
100は、n+m価の連結基を表す。ただし、nが0を表し、かつ、mが1を表す場合は、L100は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルキニル基、置換もしくは無置換のアリール基、または、置換もしくは無置換のヘテロアリール基を表す。
[8][1]〜[7]のいずれかに記載の製造方法で作られた光学フィルムと、偏光子とを有する偏光板。
[9][1]〜[7]のいずれかに記載の製造方法で作られた光学フィルム、または、[8]記載の偏光板を有する画像表示装置。
本発明によれば、搬送方向と平行に遅相軸を有する、30μm以下のポリマーフィルムに隣接させて液晶層を設け、該塗布層に紫外線を照射して液晶を硬化させる場合であっても、カール、および、位相差ムラを発生させることなく、折れシワ(UVシワ)の無い光学フィルムの製造方法、および、それを用いた偏光板、画像表示装置を提供することができる。
図1は、本発明の製造方法で作られた光学フィルムの実施形態の一例を示す模式的な断面図である。 図2は、実施例における液晶表示装置の層構成の一例を示す模式図である。 図3は、本発明の光学フィルムの製造方法の一例を示す模式図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、偏光板とは、偏光子の少なくとも一方の表面に保護層または機能層が配置されたものをいい、偏光子と偏光板は区別して用いる。
また、本明細書において、平行および直交とは、厳密な意味での平行および直交を意味するのではなく、それぞれ、平行または直交から±8°の範囲を意味する。
また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートのいずれかを意味する表記であり、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルのいずれかを意味する表記であり、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルおよびメタクリロイルのいずれかを意味する表記である。
また、本明細書において、液晶組成物および液晶性化合物は、硬化等により、もはや液晶性を示さなくなったものも概念として含まれる。
《レターデーション》
本発明において、Re(λ)およびRth(λ)は、各々、波長λにおける面内のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。特に記載がないときは、波長λは、550nmとする。
本発明において、Re(λ)およびRth(λ)は、AxoScan OPMF−1(オプトサイエンス社製)において、波長λで測定した値である。AxoScanにて平均屈折率((nx+ny+nz)/3)と膜厚(d(μm))を入力することにより、
遅相軸方向(°)
Re(λ)=R0(λ)
Rth(λ)=((nx+ny)/2−nz)×dが算出される。
《屈折率》
本発明において、屈折率nx、nyおよびnzは、アッベ屈折計(NAR−4T、アタゴ(株)製)を使用し、光源にナトリウムランプ(λ=589nm)を用いて測定する。また、波長依存性を測定する場合は、多波長アッベ屈折計DR−M2(アタゴ(株)製)にて、干渉フィルタとの組合せで測定できる。また、ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することもできる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
<光学フィルム>
本発明の製造方法で作られた光学フィルムは、ポリマーフィルムと、ポリマーフィルムに隣接して設けられる液晶層とを有する。使用されるポリマーフィルムは特定の材料に限定されないが、シクロオレフィン系ポリマー、または、セルロース系ポリマーが好ましい。本発明の光学フィルムは、液晶層が、液晶性化合物と、後述する式(I)で表される化合物とを含有する液晶組成物を用いて形成されても良い。その場合は、後述する式(I)で表される化合物を、液晶性化合物の質量に対して0.5〜7.0質量%含有する組成物である。
一般的にポリマーフィルムと塗布層との界面には、塗布層とポリマーフィルムとが混じり合った染み込み層が形成される場合がある。また、一般的には、このような染み込み層が形成されている方が密着性には有利であると解されている。後工程で液晶層を剥離する場合等のような密着性を下げたい場合は、染込み層は小さい方が好ましい。
上記式(I)で表される化合物を用いる場合は、染み込み層は小さい方が好ましく、ポリマーフィルムと上記式(I)で表される化合物が効果的に相互作用し、配向性を向上できると考えられる。さらに、染み込み層がある場合でも、上記式(I)で表される化合物が局所的に偏在することで配向性を向上できる場合があると考えられる。
ここで、本発明において「染み込み層」とは、ポリマーフィルムの素材と液晶層の素材が両方検出される領域を意味する。染み込み層の厚みは、30〜300nmの範囲が好ましく、50〜250nmの範囲がより好ましい。この範囲であると、液晶層とポリマーフィルムとの密着性がよく、かつ、液晶層の配向性が向上できる。
図1に本発明の光学フィルムの一例の模式的な断面図を示す。
図1に示す光学フィルム10は、シクロオレフィン系ポリマーを含むポリマーフィルム1と、ポリマーフィルム1に隣接している液晶層2とを有する。この1と2の間に、染み込み層が形成される場合があっても良い。また、ポリマーフィルムは、これに限定されない。
次に、本発明の光学フィルムを構成するポリマーフィルムおよび液晶層について詳述する。
〔ポリマーフィルム〕
本発明の光学フィルムが有するポリマーフィルムは、透明であることが必要である。本発明で透明とは、可視光の透過率が60%以上であることを示す。本発明では、透過率が80%以上であることが好ましい。
ポリマーフィルムの材料としては、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネートなどのセルロース系ポリマー;ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステルなどのアクリル系ポリマー;ポリカーボネート系ポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系ポリマー;ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)などのスチレン系ポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体などのポリオレフィン系ポリマー;ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィンの重合体、環状共役ジエンの重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体などの脂環式構造を有するポリマー;塩化ビニル系ポリマー;ナイロン、芳香族ポリアミドなどのアミド系ポリマー;イミド系ポリマー;スルホン系ポリマー;ポリエーテルスルホン系ポリマー;ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー;ポリフェニレンスルフィド系ポリマー;塩化ビニリデン系ポリマー;ビニルアルコール系ポリマー;ビニルブチラール系ポリマー;アリレート系ポリマー;ポリオキシメチレン系ポリマー;エポキシ系ポリマー;またはこれらのポリマーを混合したポリマー;等が挙げられる。
これらの材料のうち、セルロース系ポリマー、または、シクロオレフィン系ポリマーであることがより好ましい。
{シクロオレフィン系ポリマー}
シクロオレフィン系ポリマーを含むポリマーフィルムである。シクロオレフィン系ポリマーの含有量は、ポリマーフィルム中の全固形分に対して、シクロオレフィン系ポリマーが60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
本発明に用いられるシクロオレフィン系ポリマーとしては、例えば、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環のシクロオレフィンの重合体、(3)環状共役ジエンの重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、および、(1)〜(4)の水素化物などがある。上記シクロオレフィン系ポリマーとしては、具体的には、例えば、下記一般式(III)で表される繰り返し単位を少なくとも1種以上含む付加(共)重合体シクロポリオレフィン、および、下記一般式(III)で表される繰り返し単位とともに下記一般式(II)で表される繰り返し単位の少なくとも1種以上を更に含んでなる付加(共)重合体シクロポリオレフィンなどが好適に挙げられる。
また、上記シクロオレフィン系ポリマーとしては、下記一般式(IV)で表される環状繰り返し単位を少なくとも1種含む開環(共)重合体も好適に使用することができる。
上記一般式(II)〜(IV)中、mは0〜4の整数を表す。R〜Rは、それぞれ、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を示し、X〜XおよびY〜Yは、それぞれ、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜10の炭化水素基、−(CHCOOR11、−(CHOCOR12、−(CHNCO、−(CHNO、−(CHCN、−(CHCONR1314、−(CHNR1314、−(CHOZ、−(CHW、あるいは、XとY、XとYもしくはXとYから構成された(−CO)Oまたは(−CO)NR15を示す。なお、R11、R12、R13、R14およびR15は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Zは炭化水素基またはハロゲンで置換された炭化水素基を示し、WはSiR16 3−p(R16は炭素数1〜10の炭化水素基、Dはハロゲン原子、−OCOR16または−OR16、pは0〜3の整数を示す)を示し、nは0〜10の整数を示す。
上記一般式(II)〜(IV)中、X〜XおよびY〜Yの置換基に分極性の大きい官能基を導入することにより、光学フィルムのRthを大きくし、Reの発現性を大きくすることができる。Re発現性の大きなフィルムは、製膜過程で延伸することによりRe値を大きくすることができる。
本発明に用いられるシクロオレフィン系ポリマーは、特開平10−7732号公報、特表2002−504184号公報、US2004229157A1号明細書あるいは国際公開第2004/070463A1号パンフレット等に開示されているものも用いることができる。ノルボルネン系多環状不飽和化合物同士を付加重合することによって得られる。また、必要に応じ、ノルボルネン系多環状不飽和化合物と、エチレン、プロピレン、ブテン、ブタジエン、イソプレンのような共役ジエン;エチリデンノルボルネンのような非共役ジエン;アクリロニトリル、アクリル酸、メタアクリル酸、無水マレイン酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイミド、酢酸ビニル、塩化ビニルなどの線状ジエン化合物とを付加重合することもできる。
このノルボルネン系付加(共)重合体としては、市販品を用いることもできる。具体的には、三井化学(株)よりアペルの商品名で発売されており、ガラス転移温度(Tg)の異なる例えばAPL8008T(Tg70℃)、APL6013T(Tg125℃)あるいはAPL6015T(Tg145℃)などのグレードがある。ポリプラスチック(株)よりTOPAS8007、同6013、同6015などのペレットが発売されている。更に、Ferrania社よりAppear3000が発売されている。
ノルボルネン系重合体水素化物は、特開平1−240517号公報、特開平7−196736号公報、特開昭60−26024号公報、特開昭62−19801号公報、特開2003−1159767号公報あるいは特開2004−309979号等公報に開示されているように、多環状不飽和化合物を付加重合あるいはメタセシス開環重合したのち水素添加することにより作られるものを用いることができる。
本発明に用いるノルボルネン系重合体において、上記一般式(IV)中のR〜Rは、水素原子または−CHが好ましく、上記一般式(IV)中のXおよびYは、水素原子、Cl、−COOCHが好ましく、その他の基は適宜選択される。
このノルボルネン系樹脂は、市販品を用いることもでき、具体的にはJSR(株)からアートン(Arton)GあるいはアートンFという商品名で発売されており、また日本ゼオン(株)からゼオノア(Zeonor)ZF14、ZF16、ゼオネックス(Zeonex)250あるいはゼオネックス280という商品名で市販されており、これらを使用することができる。
本発明に用いられるシクロオレフィン系ポリマーは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した質量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン分子量換算で5,000〜1,000,000であることが好ましく、10,000〜500,000であることがより好ましく、50,000〜300,000であることがさらに好ましい。また、分子量分布(Mw/Mn;MnはGPCにより測定した数平均分子量)は10以下であることが好ましく、より好ましくは5.0以下、さらに好ましくは3.0以下である。
示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry:DSC)により測定されるガラス転移温度(Tg)は50〜350℃であることが好ましく、より好ましくは80〜330℃、さらに好ましくは100〜300℃の範囲にある。
本発明に用いられるシクロオレフィン系ポリマーは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で添加剤を含有していてもよく、特開2009−114303号公報の段落番号0025〜0074、0086〜0091の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
{ポリマーフィルムの水接触角}
本発明の光学フィルムが有するポリマーフィルムは、後述する本発明の光学フィルムの製造方法に示す通り、液晶層と隣接する側の表面における水接触角が5°〜65°となるよう表面処理されていることが好ましい。また、ポリマーフィルムの水接触角は、5°〜55°であることがより好ましく、5°〜50°であることが特に好ましい。
《水接触角の測定方法》
本発明において、水接触角は、下記の方法で測定された値をいう。
水接触角は、JIS R 3257:1999の静滴法に基づいて測定を行う。
また、測定には、株式会社ニック製LSE−ME1(ソフトウェア2win mini)を用いる。具体的には、純水を用いて室温20℃で、水平を保ったポリマーフィルム表面上に液滴2μlを滴下し、滴下後20秒の時点での接触角を測定する。
{ポリマーフィルムの光学特性}
本発明の光学フィルムが有するポリマーフィルムの光学特性は、後述する本発明の偏光板を画像表示装置に使用した際に表示性能が向上する理由から、下記式(2)および下記式(3)を満たしていることが好ましく、下記式(2−1)および下記式(3−1)を満たしていることがより好ましく、下記式(2−2)および下記式(3−2)を満たしていることが更に好ましい。
式(2) 5nm≦Re1(550)≦300nm
式(3) 10nm≦Rth1(550)≦240nm
式(2−1) 40nm≦Re1(550)≦200nm
式(3−1) 20nm≦Rth1(550)≦200nm
式(2−2) 80nm≦Re1(550)≦150nm
式(3−2) 40nm≦Rth1(550)≦150nm
{ポリマーフィルムの延伸}
本発明の光学フィルムが有するポリマーフィルムは、延伸により各種特性を調整することができる。詳しくは、ポリマーフィルムを、縦方向(搬送方向)、横方向(幅方向)に延伸(一軸または二軸延伸)することによって、面内レターデーション(Re)、厚み方向のレターデーション(Rth)および任意の膜厚を発現させることができる。
特性を調整するために、延伸や緩和を組み合わせてもよい。例えば、以下の(a)〜(k)に記載する各処理を実施することができる。
(a) 横延伸
(b) 縦延伸
(c) 横延伸→緩和処理
(d) 縦延伸→緩和処理
(e) 縦延伸→横延伸
(f) 縦延伸→横延伸→緩和処理
(g) 縦延伸→緩和処理→横延伸→緩和処理
(h) 横延伸→縦延伸→緩和処理
(i) 横延伸→緩和処理→縦延伸→緩和処理
(j) 縦延伸→横延伸→縦延伸
(k) 縦延伸→横延伸→縦延伸→緩和処理
これらの中で特に重要となるのが、(a)の横延伸工程、(b)の縦延伸工程である。
〈縦延伸〉
ポリマーフィルムを縦方向に延伸する場合には、例えば、複数本の予熱ローラでポリマーフィルムを予熱した後に、一対の延伸ローラに周速差をつけることで縦方向に延伸加工することができる。
なお、この縦延伸工程では、特開2008−213332号公報の[0036]〜[0045]に記載のように、シワの発生の防止のために、複数本の予熱ローラと上流側の延伸ローラの周速度を、各ローラへのフィルム接触前後での温度変化に基づき、下流に向かうに従い次第に増速させて、各予熱ローラ間に適度な張力を付与してもよい。
また、特開2011−207168号公報の[0022]〜[0031]に記載のように、擦り傷の発生を抑えるために、縦延伸後に冷却ローラによりフィルムを急冷してもよい。
〈横延伸〉
ポリマーフィルムを横延伸する場合には、例えばテンターを用いることで、横方向に延伸加工することができる。即ちポリマーフィルムの幅方向の両端部をクリップで把持し、横方向に拡幅することで延伸する。この時、テンター内に所望の温度の風を送ることで延伸温度を制御できる。本明細書中、「延伸温度」(以下、「横延伸温度」ともいう。)は、ポリマーフィルム膜面温度によって特定する。
延伸温度が、Tg−40℃〜Tg+40℃となるように制御して行うことが好ましい。すなわち、横延伸工程の横延伸温度はTg−40℃〜Tg+40℃が好ましく、より好ましくはTg−20℃〜Tg+20℃、さらに好ましくはTg−10℃〜Tg+10℃である。ここで、横延伸工程における横延伸温度とは、延伸開始点から延伸終了点までの間の平均温度を意味する。
横延伸工程の延伸時間は、1秒〜10分が好ましく、より好ましくは2秒〜5分、さらに好ましくは5秒〜3分である。延伸温度および延伸時間を上記の範囲内に制御することにより、本発明の好ましい範囲内のRe、Rth、膜厚に調整することができる。
また、好ましい横延伸倍率は1.01〜4倍、より好ましく1.03〜3.5倍、さらに好ましくは1.1〜3.0倍である。横延伸倍率は1.51〜3.0倍であるのが特に好ましい。
〈同時2軸延伸〉
ポリマーフィルムを同時2軸延伸する場合には、通常の横延伸方法と同様、横方向にクリップを拡幅し、それと同時に縦方向に延伸、収縮することで、縦方向と横方向に同時に延伸加工することができる。具体的には、実開昭55−93520号、特開昭63−247021号、特開平6−210726号、特開平6−278204号、特開2000−334832号、特開2004−106434号、特開2004−195712号、特開2006−142595号、特開2007−210306号、特開2005−22087号、特表2006−517608号、特開2007−210306号各公報に記載されていて、いずれの公報に記載の方法も参照することができる。
このような延伸の前に予熱、延伸の後に熱固定を行うことで延伸後のRe、Rth分布を小さくし、ボーイングに伴う配向角のばらつきを小さくできる。予熱、熱固定はどちらか一方であってもよいが、両方行うことがより好ましい。これらの予熱、熱固定はクリップで把持して行うことが好ましく、即ち延伸と連続して行うことが好ましい。
予熱は延伸温度より1℃〜50℃程度高い温度で行うことができ、好ましく2℃〜40℃以下、さらに好ましくは3℃以上30℃以下高くすることが好ましい。好ましい予熱時間は1秒以上10分以下であり、より好ましくは5秒以上4分以下、さらに好ましくは10秒以上2分以下である。予熱の際、テンターの幅はほぼ一定に保つことが好ましい。ここで「ほぼ」とは未延伸フィルムの幅の±10%を指す。
熱固定は延伸温度より1℃以上50℃以下低い温度で行うことができ、より好ましく2℃以上40℃以下、さらに好ましくは3℃以上30℃以上低くすることが好ましい。さらに好ましくは延伸温度以下でかつTg以下にすることが好ましい。好ましい予熱時間は1秒以上10分以下であり、より好ましくは5秒以上4分以下、さらに好ましくは10秒以上2分以下である。熱固定の際、テンターの幅はほぼ一定に保つことが好ましい。ここで「ほぼ」とは延伸終了後のテンター幅の0%(延伸後のテンター幅と同じ幅)〜−10%(延伸後のテンター幅より10%縮める=縮幅)を指す。延伸幅以上に拡幅すると、ポリマーフィルム中に残留歪が発生しやすくRe、Rthの経時変動を増大し易く好ましくない。
このような延伸によりさらに、Re、Rthの、幅方向、長手方向のばらつきを、いずれも5%以下、より好ましくは4%以下、さらに好ましくは3%以下にできる。
高速延伸処理を行ってもよく、好ましくは20m/分以上、より好ましくは25m/分以上、さらに好ましくは30m/分以上で延伸処理することができる。
本発明においては、ポリマーフィルムは、搬送方向と平行に遅相軸を有する。平行の程度は、搬送方向と遅相軸が成す角度を0°±8°以下にすることであり、好ましくは0°±5°以下、より好ましくは0°±3°以下、さらに好ましくは0°±1°以下とすることができる。
本発明のポリマーフィルムの厚みは30μm以下である。5μm〜30μmであることが好ましく、7μm〜25μmであることがより好ましく、10μm〜20μmであることがさらに好ましい。
〔プロテクトフィルム〕
本発明のポリマーフィルムは、巻き取り時のブロッキング防止や、搬送安定化の観点から、塗布する面とは逆側にプロテクトフィルムを設けておく事ができる。また、塗布後に塗布面側に設けることもできる。プロテクトフィルムは、たとえば偏光板加工の際、必要がなくなった段階で剥離される。プロテクトフィルムの材質としては、ハンドリングが容易である、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂などを好ましく用いることができ、これらの1種または2種以上を単層または多層状に成形したフィルムをプロテクトフィルムとして用いることができる。中でも単独で偏光フィルムに対して粘着性を有する自己粘着性のプロテクトフィルムは、プロテクトフィルム表面の粘着剤層を保護する必要性が無いことから簡便であり、より好適に使用できる。自己粘着性樹脂フィルムの市販品としては、たとえば、ポリエチレン樹脂からなるトレテック(東レ(株)製)などを挙げることができる。
〔液晶層〕
本発明の光学フィルムが有する液晶層は、上述したポリマーフィルムに隣接して設けられる層であり、後述する液晶性化合物を含有する液晶組成物を用いて形成される液晶層である。また、液晶組成物において、後述する式(I)で表される化合物は、液晶性化合物の質量に対して0.5〜7.0質量%含有しても良い。
{液晶層の光学特性}
本発明の光学フィルムが有する液晶層の光学特性は、後述する本発明の偏光板を画像表示装置に使用した際に表示性能が向上する理由から、下記式(4)および下記式(5)、または、下記式(6)および下記式(7)を満たすことが好ましい。
式(4) 0nm≦Re2(550)≦10nm
式(5) −360nm≦Rth2(550)≦−50nm
式(6) 10nm≦Re2(550)≦220nm
式(7) −110nm≦Rth2(550)≦−5nm
また、本発明の光学フィルムが有する液晶層の光学特性は、下記式(4−1)および下記式(5−1)、または、下記式(6−1)および下記式(7−1)を満たすことがより好ましく、下記式(4−2)および下記式(5−2)、または、下記式(6−2)および下記式(7−2)を満たすことが更に好ましい。
式(4−1) 0nm≦Re2(550)≦5nm
式(5−1) −270nm≦Rth2(550)≦−50nm
式(6−1) 20nm≦Re2(550)≦200nm
式(7−1) −100nm≦Rth2(550)≦−10nm
式(4−2) 0nm≦Re2(550)≦1nm
式(5−2) −180nm≦Rth2(550)≦−100nm
式(6−2) 60nm≦Re2(550)≦160nm
式(7−2) −80nm≦Rth2(550)≦−30nm
本発明においては、液晶層の厚みは特に限定されないが、0.1μm〜10μmであることが好ましく、0.3μm〜8μmであることがより好ましく、0.5μm〜5μmであることが更に好ましい。
{液晶性化合物}
本発明の光学フィルムが有する液晶層を形成する液晶組成物は、液晶性化合物を含有する。液晶性化合物は、棒状液晶性化合物またはディスコティック液晶性化合物であることが好ましく、後述する本発明の偏光板を画像表示装置に使用した際に表示性能が向上する理由から、棒状液晶性化合物であることがより好ましい。
使用可能な棒状液晶性化合物については、例えば、特開2009−217256号公報の[0045]〜[0066]に記載があり、これらの内容は本明細書に取り込まれる。
ディスコティック液晶性化合物としては、例えば、特開2006−301614号公報の[0025]〜[0153]、特開2007−108732号公報の[0020]〜[0122]や特開2010−244038号公報の[0012]〜[0108]に記載があり、これらの内容は本明細書に取り込まれる。
本発明に用いられる液晶性化合物は、液晶層の光学特性の調整のために、垂直配向した状態で固定化されていることが好ましい。例えば、棒状液晶性化合物を垂直配向状態で固定化した層は、正のC−プレートとして機能することができる。また、ディスコティック液晶性化合物を垂直配向状態で固定化した層は、負のA−プレートとして機能することができる。
なお、本発明において、垂直配向とは、棒状液晶性化合物であれば、層の法線方向と液晶分子の長軸方向が、ディスコティック液晶性化合物であれば、層の法線方向と液晶分子の円盤面が平行となる配向状態である。なお、液晶分子の長軸方向、液晶分子の円盤面は層の法線方向と平行であることが特に好ましいが、液晶分子の配向状態により傾きをもつ場合がある。この傾きは3.5°以内であることが好ましい。
ここで、棒状液晶性化合物が垂直配向している場合は、上記式(4)および(5)を満たすことが好ましく、ディスコティック液晶性化合物が垂直配向している場合は、上記式(6)および(7)を満たすことが好ましい。
本発明では、前記塗布層に紫外線を照射して前記液晶化合物を硬化させる際に前記塗布層を有するフィルムの前記塗布層の側とは反対側の面を支えるバックアップローラがあり、前記バックアップローラの温度を30℃〜80℃にする。好ましくは、35℃〜70℃であり、さらに好ましくは35℃〜50℃である。バックアップローラの温度が30℃より低いと、塗布層の重合度が上がらず、完成した光学フィルムの耐久性が著しく悪化する。一方、30℃より高く設定すると、搬送方向と平行に遅相軸を有する、厚み30μm以下のポリマーフィルムでは、上記の折れシワや位相差ムラが発生する。そこで鋭意検討の結果、前記バックアップローラの直前に、前記塗布層を有するフィルムの前記塗布層の側とは反対側の面を支えるガイドローラがあり、前記ガイドローラ上において前記塗布層を有するフィルムの離脱点から前記バックアップローラ上において前記塗布層を有するフィルムの着地点の距離が0.5m以下であると、搬送方向と平行に遅相軸を有する、厚み30μmの光学フィルムでも、耐久性を損なわずに、折れシワ、位相差ムラが発生しないことを見出した。
前記バックアップローラと紫外線照射光源を対にしたユニットは、フィルム搬送ライン上に直列的に複数有していることが好ましい。二個以上設置した場合は、本発明では、前半から後半のバックアップローラに向かって、設定温度を高くしていくことで、耐久性と折れシワ、位相差ムラの全ての品質要求を満たすことが容易になる。各バックアップローラの温度差は、0℃〜50℃で、好ましくは、0℃〜20℃、さらに好ましくは0℃〜5℃である。また、紫外線照射光源は、ひとつのバックアップローラに複数装着されても良い。
前記バックアップローラは、円柱状の形状の本体と、本体の両端部に配置された回転軸とを備えている。バックアップローラの本体は、例えば、幅方向に1000mm以上5000m以下の長さを有し、150mm以上1000mm以下の半径Rを有しているが、幅方向の長さ、半径についての制限は無い。バックアップローラの本体には、温度調節器が取り付けられている。バックアップローラが複数ある場合は、各々に温度調節器があることが好ましい。
搬送方向と平行に遅相軸を有する、透明ポリマーフィルムは、元々僅かながら搬送方向と平行なトタン状の永久変形を伴わない変形を有しており、それが搬送時にさらに悪化し、紫外線照射時のバックアップローラ上で、永久変形となる折れシワに成長する。
本発明では、前記バックアップローラの直前に、前記塗布層を有するフィルムの前記塗布層の側とは反対側の面を支えるガイドローラがあり、前記ガイドローラ上において前記塗布層を有するフィルムの離脱点から前記バックアップロール上において前記塗布層を有するフィルムの着地点の距離が0.5m以下である。メカニズムは不明であるが、0,5mより長くなると、シワが劇的に悪化し、短くなると劇的に良化することがわかった。また、好ましくは0.3m以下であり、さらに好ましくは0.1m以下である。ただし、紫外線照射バックアップローラと直前のガイドローラが接触しないように各ローラを設置する必要がある。以下の記載では記載の簡便化のために、前記ローラ間の距離を紫外線照射バックアップローラと直前のガイドローラの距離、あるいは、UVバックアップローラとガイドローラの距離、と省略する。
本発明では、前記バックアップローラ上の前記着地点と前記ガイドローラ上の前記離脱点の間の前記塗布層を有するフィルムを放射温度計で測定した温度が、前記バックアップローラの温度に対して、−15℃〜+15℃の範囲になるように前記塗布層を有するフィルムの温度調節をすることが、折れシワ改良のために好ましい。より好ましくは、−10℃〜+10℃である。さらに好ましくは、―5℃〜+5℃である。本発明では、前記バックアップローラと前記ガイドローラの距離は、0.5m以下である。ポリマーフィルムがバックアップローラに接触する際のフィルムとバックアップローラの温度差が小さいことがシワ抑制に良いことを明らかにしたが、その温度測定は、バックアップローラに接触する前0.5m以内で測定された結果が前記の温度範囲内であれば問題ないことがわかった。測定は放射温度計でなければ測定は難しく、また、測定時にポリマーフィルムの背景にローラ等、室温より温度が高い物体が無い箇所を選択して測定する。このようにフィルム温度を設定するためには、紫外線照射ゾーンに入る前に温度調節をすることが有効であり、フィルムに温風をかける、赤外ヒーターを照射する、室温を上げる等の方法があるが、方法はこれらに限定されない。
塗布に最も近い紫外線照射光源とバックアップローラに到達直前のフィルムを支えるガイドローラが、コンケーブローラあるいは中央部よりも両サイドの径が大きくなるようにストレートローラの中央より両端に近い側にテープを巻いたローラを使用することを上記方法に組み合わせるとさらに折れシワ抑制に効果が大きい。この時に使用するテープは、特定のものに限定されない。
{式(I)で表される化合物}
本発明の光学フィルムが有する液晶層を形成する液晶組成物は、下記式(I)で表される化合物を含有することが好ましい。
式(I) (Z)−L100−(Q)
ここで、式(I)中、Zは、重合性基を有する置換基を表し、nは、0〜4の整数を表し、nが2〜4の整数である場合、2以上のZは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
また、Qは、少なくとも1つのホウ素原子を含有する置換基を表し、mは、1または2を表し、mが2の場合、2つのQは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
また、L100は、n+m価の連結基を表す。ただし、nが0を表し、かつ、mが1を表す場合は、L100は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルキニル基、置換もしくは無置換のアリール基、または、置換もしくは無置換のヘテロアリール基を表す。
上記式(I)中、Zが表す重合性基を有する置換基としては、例えば、(メタ)アクリレート基、スチリル基、ビニルケトン基、ブタジエン基、ビニルエーテル基、オキシラニル基、アジリジニル基およびオキセタン基等を含む置換基が挙げられる。
これらのうち、(メタ)アクリレート基、スチリル基、オキシラニル基もしくはオキセタン基を含む置換基が好ましく、(メタ)アクリレート基またはスチリル基を含む置換基がより好ましい。
特に、(メタ)アクリレート基を含む置換基としては、下記一般式(V)で表されるエチレン性不飽和二重結合を有する基であることが好ましい。
上記一般式(V)中、Rは水素原子またはメチル基であり、水素原子が好ましい。
また、上記一般式(V)中、Lは、単結合、または、−O−、−CO−、−NH−、−CO−NH−、−COO−、−O−COO−、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロ環基、および、それらの組み合わせからなる群から選ばれる二価の連結基であり、単結合、−CO−NH−または−COO−が好ましく、単結合または−CO−NH−が特に好ましい。
上記式(I)中、nは、0〜4の整数を表し、0または1を表すことが好ましく、1を表すことがより好ましい。
また、mは、1または2を表し、1を表すことが好ましい。
また、L100としては、例えば、二価の連結基として、単結合、または、−O−、−CO−、−NH−、−CO−NH−、−COO−、−O−COO−、アルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリール基、および、それらの組み合わせから選ばれる二価の連結基が挙げられる。
これらのうち、置換もしくは無置換のアリーレン基がより好ましい。
また、L100が表すアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基およびヘテロアリール基については、下記一般式(VI)中のRおよびRと同義であり、好ましい範囲も同様である。
また、これらの基が有する置換基としては、例えば、特開2013−054201号公報の[0046]段落に記載された置換基などが挙げられる。
上記式(I)中、Qは、少なくとも1つのホウ素原子を含有する置換基であり、ポリマーフィルムに吸着して結合することができる基であることが好ましい。
例えば、ポリマーフィルムが、表面処理等により表面にヒドロキシル基またはカルボキシル基を有する場合は、ポリマーフィルムのヒドロキシル基またはカルボキシル基と結合できる基が好ましい。なお、「ポリマーフィルムに吸着して結合することができる基」とは、ポリマーフィルムを構成している材料が有する構造と相互作用して、ポリマーフィルムに化学吸着可能な基を意味する。
少なくとも1つのホウ素原子を含有する置換基としては、下記一般式(VI)で表される置換基などが挙げられる。
上記一般式(VI)中、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換のアリール基、または、置換もしくは無置換のヘテロアリール基を表す。また、上記一般式(VI)中のRおよびRは、RおよびRが連結してアルキレン基、アリール基、またはこれらの組み合わせからなる連結基を構成していてもよい。
上記一般式(VI)中、RおよびRがそれぞれ表す置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基には、置換もしくは無置換のアルキル基、アルケニル基およびアルキニル基が含まれる。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−ノルボルニル基等の直鎖状、分枝状、または環状のアルキル基が挙げられる。
アルケニル基の具体例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基等の直鎖状、分枝状、または環状のアルケニル基が挙げられる。
アルキニル基の具体例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、1−オクチニル基等が挙げられる。
アリール基の具体例としては、1個から4個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と不飽和五員環とが縮合環を形成したものを挙げることができ、具体例としてはフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナブテニル基、フルオレニル基、ピレニル基等が挙げられる。
また、上記一般式(VI)中、RおよびRがそれぞれ表す置換もしくは無置換のヘテロアリール基の例には、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を1個以上含む複素芳香環上の水素原子を1個除し、ヘテロアリール基としたものが含まれる。
窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を1個以上含む複素芳香環の具体例としては、ピロール、フラン、チオフェン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、チアジアゾール、インドール、カルバゾール、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、チアナフテン、ジベンゾチオフェン、インダゾールベンズイミダゾール、アントラニル、ベンズイソオキサゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、プリン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、キノリン、アクリジン、イソキノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキザリン、ナフチリジン、フェナントロリン、プテリジン等が挙げられる。
上記一般式(VI)中のR1およびR2として好ましくは水素原子である。
また、上記一般式(VI)中のRおよびR、ならびに、上記式(I)中のL100は、可能な場合はさらに1個以上の置換基によって置換されていてもよい。これらの炭化水素基は任意の置換基によって1個以上置換されていてもよい。置換基としては水素を除く1価の非金属原子団を挙げることができる。
上記式(I)で表される化合物の分子量としては、120〜1200が好ましく、180〜800がより好ましい。
上記式(I)で表される化合物の具体例としては、特開2007−219193号公報の段落[0035]〜[0040]に記載の具体例に例示されている化合物の他に以下の化合物が挙げられ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。もちろん、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。
上記式(I)で表される化合物は、上述した通り、液晶組成物中の液晶性化合物の質量に対して0.5%〜7質量%含有しており、1〜5質量%含有していることが好ましく、3〜5質量%含有していることがより好ましい。
上記式(I)で表される化合物の配合量を0.5質量%以上とすることで密着性を向上でき、7質量%以下とすることで配向性を向上できる。なお、液晶性化合物が複数種含まれている時は、その合計に対しての割合である。
本発明においては、上記式(I)で表される化合物は、液晶層中で膜厚方向において、ポリマーフィルムに近い側に偏在していることが好ましい。ここでいう偏在とは、化合物そのものとして偏在している場合の他、液晶層が液晶性組成物の重合物である場合は重合後の反応生成物としてその分布が偏在していることも包含する概念である。
{その他の添加剤}
本発明の光学フィルムが有する液晶層または液晶層を形成する液晶組成物には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、他の添加剤を配合してもよい。
他の添加剤としては、例えば、垂直配向剤が挙げられる。垂直配向剤としては、ピリジニウム化合物やオニウム化合物を使用することが好ましく、これら化合物を含有させることで、液晶性化合物のポリマーフィルム界面における垂直配向を促進する垂直配向剤として作用するとともに、液晶性化合物の配向状態を固定した液晶層とポリマーフィルムとの界面の密着性改善にも寄与する。ピリジニウム化合物については、例えば、特開2007−093864号公報の[0030]〜[0052]、オニウム化合物については、例えば、特開2012−208397号公報の[0027]〜[0058]に記載があり、これらの内容は本明細書に取り込まれる。
また、液晶性化合物の配向状態を固定した液晶層は、必要に応じて、空気界面側の配向を制御する空気界面側配向制御剤(例えば、フルオロ脂肪族基を有する繰り返し単位を含む共重合体)を含有していてもよい。
また、液晶組成物は、例えば、重合開始剤を配合することができる。重合開始剤としては、特開2010−84032号公報の段落[0099]〜[0100]、特開2007−219193号公報の段落[0065]〜[0067]の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に取り込まれる。
市販品としてはIRGACURE907、184、819、TPO、OXE01、OXE02、127、2959(BASF社製)等が挙げられ、重合開始剤を2種以上併用しても良い。また、ベンゾフェノン類やチオキサントン類等の各種増感剤や、各種連鎖移動剤を組み合わせて用いる事もできる。連鎖移動剤としては、チオール類が挙げられ、市販品ではカレンズMT(R)PE1、BD1、NR1(昭和電工製)等が挙げられる。
また、液晶組成物は、非液晶性の重合性モノマーを含有していてもよい。重合性モノマーとしては、ビニル基、ビニルオキシ基、アクリロイル基またはメタクリロイル基を有する化合物が好ましい。具体的には、重合性の反応性官能基数が2以上の多官能モノマー、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル[例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート]、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート]、上記のエチレンオキサイド変性体、ビニルベンゼン及びその誘導体(例えば1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例えばジビニルスルホン)、アクリルアミド(例えばメチレンビスアクリルアミド)及びメタクリルアミドが挙げられる。上記モノマーは2種以上併用してもよい。
<光学フィルムの製造方法>
本発明の光学フィルムの製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」とも略す。)は、シクロオレフィン系ポリマー、および、セルロース系ポリマーを含むポリマーフィルムの表面に対して、水接触角が5°〜65°となるように表面処理を施す表面処理工程と、表面処理を施した表面に対して、液晶性化合物と溶剤とを含む液晶組成物を接触させた後、液晶層を形成する液晶層形成工程とを有する。
また、上記液晶組成物は、上記式(I)で表される化合物を、液晶性化合物の質量に対して0.5〜7.0質量%含有しても良い。
〔表面処理工程〕
本発明の製造方法が有する表面処理工程は、ポリマーフィルム表面に対して、水接触角が5°〜65°となるように表面処理する工程である。水接触角の測定方法については前述の通りである。
また、表面処理工程は、ポリマーフィルム表面にヒドロキシル基またはカルボキシル基を付加する工程であることが好ましい。具体的な手段は各種公知のものを用いることができるが、コロナ処理が好ましい。
{コロナ処理}
コロナ処理としては、例えば、特公昭39−12838号、特開昭47−19824号、特開昭48−28067号、特開昭52−42114号の各公報に記載等の処理方法によって行うことができる。コロナ処理装置は、Pillar社製ソリッドステートコロナ処理機、LEPEL型表面処理機、VETAPHON型処理機等を用いることができる。処理は空気中での常圧にて行うことができる。電極と誘電体ロールのギャップ透明ランスは0.1mm〜10mm、より好ましくは1.0mm〜2.0mmである。放電は、放電帯域に設けられた誘電サポートローラーの上方で処理し、処理量は、10W・min/m2〜1000W・min/m、好ましくは20W・min/m〜500W・min/m、より好ましくは30W・min/m〜250W・min/mである。
〔液晶層形成工程〕
本発明の製造方法が有する液晶層形成工程は、表面処理を施した表面に対して、液晶性化合物と溶剤とを含む液晶組成物を接触させた後、液晶層を形成する工程である。
液晶組成物を接触させる方法は特に限定はなく、塗布等、各種公知の方法を用いることができる。また、上記式(I)で表される化合物を添加することができる。
ここで、上述した染み込み層を制御する観点から、溶剤はポリマーフィルムに対して溶解能も膨潤能も有さない溶剤とすることが好ましい。ポリマーフィルムに対する溶解能も膨潤能も有さない溶剤とは、ポリマーフィルムと相溶性の低い溶剤をいい、ポリマーフィルムに対しての溶解能や膨潤能に応じて使い分けることができる。
なお、ポリマーフィルムに対する溶解能を有する溶剤とは、24mm×36mm(厚み80μm)の大きさのポリマーフィルムを該溶剤の入った15cm3の瓶に室温下(25℃)で60秒浸漬させて取り出した後に、浸漬させた溶液をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で分析したとき、ポリマーフィルム成分のピーク面積が400mV/sec以上である溶剤のことを意味する。
ポリマーフィルムに対する膨潤能を有する溶剤とは、24mm×36mm(厚み80μm)の大きさのポリマーフィルムを該溶剤の入った15cm3の瓶に縦に入れ、25℃で60秒浸漬し、適宜該瓶を揺らしながら観察し、折れ曲がりや変形が見られる溶剤を意味する。なお、ポリマーフィルムは膨潤した部分の寸度が変化し折れ曲がりや変形として観察される。膨潤能の無い溶媒では折れ曲がりや変形といった変化が見られない。
本発明に好ましく用いられる溶剤の例としては、メタノール、エタノール、シクロヘキサノン、アセトン、メチルイソブチルケトン、酢酸メチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トルエン等が挙げられる。これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
一方で、溶剤がポリマーフィルムに対して溶解能または膨潤能を有するかどうかは、ポリマーフィルムの成分と溶剤の組み合わせのみならず、ポリマーフィルムを製造する際の製造方法によっても影響があるため、ポリマーフィルムに応じて溶剤を選択することが好ましい。酢酸メチル等のエステル系溶剤、およびプロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒が、ポリマーフィルムに対する溶解能または膨潤能と、液晶性化合物の溶解安定性とのバランスに優れ好ましく用いることができる。
<偏光板>
本発明の偏光板は、上述した本発明の光学フィルムと偏光子とを有する。
偏光子の、光学フィルムと反対側には別途光学フィルムを設けてもよいし、硬化樹脂層を配置してもよいし、後述の画像表示装置の別の部材と直接貼りあわせてもよい。
なお、本発明の光学フィルムは、ポリマーフィルム側を偏光子側として配置しても、液晶層側を偏光子側として配置してもよい。
偏光子と光学フィルムの積層には、接着剤を用いることができる。
偏光子と両面の偏光板保護フィルムの間の接着剤層は、その厚さを0.01〜30μm程度とすることが好ましく、より好ましくは0.01〜10μm、さらに好ましくは0.05〜5μmである。接着剤層の厚さがこの範囲にあれば、積層される光学フィルムと偏光子との間に浮きや剥がれを生じず、実用上問題のない接着力が得られる。
好ましい接着剤の一つとして、水系接着剤、すなわち、接着剤成分が水に溶解または分散しているものを挙げることができ、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液からなる接着剤が好ましく用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂水溶液からなる接着剤において、ポリビニルアルコール系樹脂には、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルをケン化処理して得られるビニルアルコールホモポリマーのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体をケン化処理して得られるビニルアルコール系共重合体、さらにそれらの水酸基を部分的に変性した変性ポリビニルアルコール系重合体などがある。この接着剤には、多価アルデヒド、水溶性エポキシ化合物、メラミン系化合物、ジルコニア化合物、亜鉛化合物、グリオキシル酸塩等が架橋剤として添加されていてもよい。水系接着剤を用いた場合、それから得られる接着剤層の厚みは通常、1μm以下である。
もう一つの好ましい接着剤として、活性エネルギー線の照射または加熱により硬化する、カチオン重合性化合物を含有する硬化性接着剤組成物や、ラジカル重合性化合物を含有する硬化性接着剤組成物等が挙げられる。カチオン重合性化合物としては、エポキシ基やオキセタニル基を有する化合物が挙げられる。エポキシ化合物は、分子内に少なくとも2個のエポキシ基を有するものであれば特に限定されず、例えば、特開2004−245925号公報に詳細に説明されている化合物を用いることができる。
ラジカル重合性化合物としては、(メタ)アクリロイル基やビニル基等の不飽和二重結合を有するラジカル重合性化合物であれば特に限定されず、単官能ラジカル重合性化合物、分子内に2個以上の重合性基を有する多官能ラジカル重合性化合物、水酸基を有する(メタ)アクリレート、アクリルアミド、アクリロイルモルフォリン等が挙げられ、これらの化合物を単独で用いても、組み合わせて用いても良い。例えば、特開2015−11094号公報に詳細に説明されている化合物を用いることができる。また、ラジカル重合性化合物とカチオン重合性化合物を組み合わせて用いることもできる。
硬化性接着剤を用いる場合には、貼合ローラを用いてフィルムを貼合した後、必要に応じて乾燥を行ない、活性エネルギー線を照射するかまたは加熱することにより硬化性接着剤を硬化させる。活性エネルギー線の光源は特に限定されないが、波長400nm以下に発光分布を有する活性エネルギー線が好ましく、具体的には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ等が好ましく用いられる。
また、光学フィルムと偏光子とを接着剤で貼合するにあたり、接着強度向上や、光学フィルム表面への接着剤の濡れ性を改善する目的で、光学フィルムの、偏光子と対向する面に表面処理(例えばグロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理)や易接着層形成等をしてもよい。特開2007−127893号公報、特開2007−127893号公報等に記載されている易接着層の材料や形成法などを用いることができる。
光学フィルムの液晶層側と偏光子をポリビニルアルコール系樹脂水溶液からなる接着剤で貼合する場合には、液晶層表面のグロー放電処理、コロナ放電処理や、液晶層へポリビニルアルコールと親和性の高い添加剤を添加し、接着強度向上させることが好ましい。
また、光学フィルムの液晶層側と偏光子を、活性エネルギー線の照射または加熱により硬化する接着剤を用いて貼合する場合には、液晶層表面をグロー放電処理、またはコロナ放電処理しておくことが、接着強度向上や、光学フィルム表面への接着剤の濡れ性改善の観点で好ましい。更に、液晶層がハーフキュアの状態で光学フィルムを作製しておき、偏光子と接着貼合した際の活性エネルギー線照射または加熱によってフルキュアする事で、高い接着性を得ることができる。
また、本発明の偏光板は、保護フィルムを有していてもよい。
なお、保護フィルムを有する場合は、偏光子と光学フィルムとの間や、光学フィルムの偏光子とは反対側等に、粘着剤または接着剤を介して配置してもよい。
〔偏光子〕
本発明の偏光板が有する偏光子は、特に限定はなく、自然光を特定の直線偏光に変換する機能を有するいわゆる直線偏光子であればよい。偏光子としては、特に限定されないが、吸収型偏光子を利用することができる。
本発明に用いられる偏光子の素材は特に限定はなく、通常用いられている偏光子を利用することができ、例えば、ヨウ素系偏光子、二色性染料を利用した染料系偏光子、およびポリエン系偏光子のいずれも用いることができる。
本発明においては、偏光子の厚みは特に限定されないが、3μm〜60μmであることが好ましく、5μm〜30μmであることがより好ましく、5μm〜15μmであることが更に好ましい。
〔保護フィルム〕
保護フィルムの材料としては特に限定されず、例えばセルロースアシレートフィルム(例えば、セルローストリアセテートフィルム、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム)、ポリメチルメタクリレート等のポリアクリル系樹脂フィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルニトリルフィルム、ポリオレフィン、脂環式構造を有するポリマー(ノルボルネン系樹脂(アートン:商品名、JSR社製、非晶質ポリオレフィン(ゼオネックス:商品名、日本ゼオン社製))、などが挙げられる。
保護フィルムの光学特性としては、本発明の偏光板を画像表示装置に使用した際に表示性能が向上する理由から、下記式(8)および下記式(9)を満たすことが好ましい。
式(8) 0nm≦Re3(550)≦10nm
式(9) −40nm≦Rth3(550)≦40nm
特に本発明の光学フィルムと偏光子との間や、光学フィルムの偏光子とは反対側等に保護フィルムを設ける場合においては、透明ポリマーフィルムに貼合したまま光学補償フィルムとして使用する場合であり、保護フィルムは、下記式(10)および下記式(11)の光学特性を満たす波長分散補償層であることが好ましい。
式(10) 3nm≦|Rth(450)−Rth(550)|≦30nm
式(11) 0nm≦|Rth(450)|<30nm、または、0nm≦|Rth(550)|<30nm
偏光子と、上記式(10)および(11)を満たす保護フィルムと、本発明の光学フィルムとを積層した偏光板とすることで、屈折率の波長分散性が是正され、全可視光波長域にわたり理想的な光学補償を実現することができる。
<画像表示装置>
本発明の画像表示装置は、上述した本発明の偏光板と、画像表示素子を有する。
また、本発明の画像表示装置は、上述した本発明の偏光板と、画像表示素子と、対向偏光板とを有し、画像表示素子が、液晶セルであり、対向偏光板が、偏光子と、上記式(10)および上記式(11)を満たす保護フィルム(波長分散補償層)とを有する対向偏光板を有し、保護フィルムが液晶セル側となるように配置された画像表示装置であることが好ましい。
式(10) 3nm≦|Rth3(450)−Rth3(550)|≦30nm
式(11) 0nm≦|Rth3(450)|<30nm、または、0nm≦|Rth3(550)|<30nm
〔画像表示素子〕
本発明に用いられる画像表示素子は特に限定されず、例えば、液晶セル、有機エレクトロルミネッセンス(以下、「EL」と略す。)表示パネル、および、プラズマディスプレイパネル等が挙げられる。
これらのうち、液晶セルまたは有機EL表示パネルであることが好ましく、液晶セルであることがより好ましい。すなわち、本発明の画像表示装置としては、画像表示素子として液晶セルを用いた液晶表示装置、画像表示素子として有機EL表示パネルを用いた有機EL表示装置であることが好ましく、液晶表示装置であることがより好ましい。
{液晶セル}
液晶表示装置に利用される液晶セルは、VA(Vertical Alignment)モード、OCB(Optical Compensated Bend)モード、FFSやIPS(In−Plane−Switching)モード、または、TN(TwistedNematic)モードであることが好ましいが、これらに限定されるものではない。
TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、更に60〜120゜にねじれ配向している。TNモードの液晶セルは、カラーTFT(Thin Film Transistor)液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech.Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。また、PVA(Patterned Vertical Alignment)型、光配向型(Optical Alignment)、およびPSA(Polymer−Sustained Alignment)のいずれであってもよい。これらのモードの詳細については、特開2006−215326号公報、および特表2008−538819号公報に詳細な記載がある。
IPSモードの液晶セルは、棒状液晶分子が基板に対して実質的に平行に配向しており、基板面に平行な電界が印加することで液晶分子が平面的に応答する。IPSモードは電界無印加状態で黒表示となり、上下一対の偏光板の吸収軸は直交している。光学補償シートを用いて、斜め方向での黒表示時の漏れ光を低減させ、視野角を改良する方法が、特開平10−54982号公報、特開平11−202323号公報、特開平9−292522号公報、特開平11−133408号公報、特開平11−305217号公報、特開平10−307291号公報などに開示されている。
{有機EL表示パネル}
本発明に用いられる画像表示素子として用いられる有機EL表示パネルは、電極間(陰極および陽極間)に有機発光層(有機エレクトロルミネッセンス層)を挟持してなる有機EL素子を用いて構成された表示パネルである。有機EL表示パネルの構成は特に制限されず、公知の構成が採用される。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明は以下の実施例に限定され制限されるものではない。
[実施例1]
<光学フィルムの作製>
シクロレオレフィンポリマーフィルム(JSR(株)製 商品名:アートンフィルム、Re=124nm、Nz=1.0、膜厚25μm)の片面を放電量125W・min/mでコロナ処理を行い、コロナ処理を行った面に以下の組成で調製した液晶層形成用組成物1を、スロットダイを用いたダイコート法で、塗布量4.6cc/m2、搬送速度20m/分の条件で、支持体上に塗布した。次いで、組成物の溶媒の乾燥および液晶性化合物の配向熟成のために、70℃の温風で120秒加熱し、更に窒素パージ下酸素濃度約0.01体積%で35℃に保温した第一のUVバックアップローラでラップしながら100mJ/cm2紫外線照射した後、40℃に保温した第二のUVバックアップローラでラップしながら300mJ/cm2紫外線照射して塗布層を硬化させて光学異方性層を形成した後、巻き取った。
この際、第一のUVバックアップローラに到達する直前のフィルム温度が35℃になる様に、ヒーターでフィルムを加温した。また、第一のUVバックアップローラに到達直前のフィルムを支えるガイドローラに、フィルム両端からの掛かり量が20mm、厚みが0.5mmになる様に、カプトンテープを巻いた。作製した光学フィルムのReは124nm、Rthは―36nmであった。
本発明で使用するシクロオレフィンポリマーフィルムは、光学的には、Nz係数が1.0のポジティブAプレートであり、面内の遅相軸方向および進相軸方向の屈折率をそれぞれnx、ny、厚み方向の屈折率をnzとすると、nx>ny=nzの関係にある。面内レターデーションReとNz係数は、それぞれ以下の関係を有する。
Re=(nx−ny)×d
Nz=(nx−nz)/(nx−ny)
ただし、dは厚みを表す。
本発明において、ポジティブAプレートにおける「ny=nz」の記載は、面内の屈折率nyと厚み方向の屈折率nzが必ずしも完全に一致する必要は無い。したがって、Nz係数が、0.90〜1.10の範囲内であれば、本発明のny=nzのNz=1.0のポジティブAプレートとみなしても良く、好ましくは、0.95〜1.05である。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
液晶層形成用組成物1
液晶性化合物R1 100.0質量部
配向助剤(A1) 2.0質量部
上記式(I)で表される化合物B1 4.5質量部
ATMMT 8.0質量部
重合開始剤(P1) 2.0質量部
重合開始剤(P2) 5.0質量部
界面活性剤(S1) 0.3質量部
界面活性剤(S2) 0.5質量部
アセトン 425.6質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 48.9質量部
メタノール 14.7質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・液晶性化合物R1
下記液晶性化合物(RA)(RB)(RC)の83:15:2(質量比)の混合物
・配向助剤A1
・式(I)で表される化合物B1
・重合開始剤(P1):OXE−01(BASF社製)
・重合開始剤(P2):IRGACURE127(BASF社製)
・界面活性剤S1
・界面活性剤S2(重量平均分子量:11,200)
実施例2〜5、比較例1〜2、参考例1〜2の光学フィルムを、表1に記載した条件に変更した以外は実施例1と同様にして作製した。作製した光学フィルムについて、Re,Nzを、上述した方法にしたがって測定した。結果を下記表1に示す。
<評価;フィルム形態>
光学フィルム形態で、折れシワ(UVシワ)、密着性、耐久性を評価する。
〔折れシワ(UVシワ)の評価〕
偏光板をクロスニコル配置とし、得られた光学フィルムをクロスニコル配置した偏光板の間に入れ、偏光板の下側にバックライト光源を配置して、シワを観察した。
A:シワが視認されない
B:僅かにシワが視認されるが、気にならない
C:強いシワが視認される
〔密着性の評価〕
作製した光学フィルムの液晶層側に、1mm間隔で縦横に11本の切れ込みを入れて1mm角の碁盤目を100個作った。
ニチバン(株)製のセロテープ(登録商標)を圧着し、1分間放置した後に勢いよく剥離した。液晶層の剥がれの有無を目視で観察し、各升内の1/4以上の面積(0.25mm以上)が剥離しているものを剥離升とみなして、剥離升数をカウントし、液晶層とポリマーフィルムとの密着性を下記の基準で評価した。結果を下記表1に示す。
A:80〜100升
B:51〜79升
C:0〜50升
〔耐久性の評価〕
作製した光学フィルムを85℃85%の環境下に500hr曝した際の、Rth変化を測定した。
A:Δ3nm以下
B:Δ5nm以下
C:Δ5nmよりも大きい
<評価;偏光板・表示装置形態>
作製した光学フィルムを偏光板にして、さらにそれを液晶表示装置に装着し、位相差ムラ、斜め光漏れの表示品位を評価する。
<保護フィルム1の作製>
〔コア層セルロースアシレートドープ1の作製〕
下記の組成物をミキシングタンクに投入し攪拌して、各成分を溶解し、コア層セルロースアシレートドープ1を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――
コア層セルロースアシレートドープ1
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アセチル置換度2.88のセルロースアセテート 100質量部
下記エステルオリゴマーA 10質量部
下記偏光子耐久性改良剤 4質量部
下記紫外線吸収剤 2質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 430質量部
メタノール(第2溶剤) 64質量部
――――――――――――――――――――――――――――――
・エステルオリゴマーA(分子量MW:750)
・偏光子耐久性改良剤
・紫外線吸収剤
〔外層セルロースアシレートドープ1の作製〕
上記のコア層セルロースアシレートドープ1の90質量部に下記のマット剤溶液を10質量部加え、外層セルロースアシレートドープ1を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――
外層セルロースアシレートドープ1
――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子
(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製)
2質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 76質量部
メタノール(第2溶剤) 11質量部
コア層セルロースアシレートドープ1 1質量部
――――――――――――――――――――――――――――――
〔セルロースアシレートフィルム1の作製〕
上記コア層セルロースアシレートドープ1とその両側に外層セルロースアシレートドープ1とを3層同時に流延口から20℃のドラム上に流延した。溶剤含有率略20質量%の状態で剥ぎ取り、フィルムの幅方向の両端をテンタークリップで固定し、残留溶剤が3〜15%の状態で、横方向に1.1倍延伸しつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、厚さ40μmのセルロースアシレートフィルム1を作製し、保護フィルム1とした。保護フィルム1の位相差を測定した結果、Re=2nm、Rth=7nmであった。
<保護フィルム2の作製>
〔コア層セルロースアシレートドープ2の作製〕
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して、各成分を溶解し、コア層セルロースアシレートドープ2を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――
コア層セルロースアシレートドープ2
――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル置換度2.88のセルロースアセテート 100質量部
下記ポリエステル 12質量部
上記偏光子耐久性改良剤 4質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 430質量部
メタノール(第2溶剤) 64質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
・ポリエステル(数平均分子量800)
〔外層セルロースアシレートドープ2の作製〕
上記のコア層セルロースアシレートドープ2の90質量部に下記のマット剤溶液を10質量部加え、外層セルロースアシレートドープ2を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤溶液
―――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子
(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製)
2質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 76質量部
メタノール(第2溶剤) 11質量部
コア層セルロースアシレートドープ 1質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――
〔セルロースアシレートフィルム2の作製〕
上記コア層セルロースアシレートドープ2と上記外層セルロースアシレートドープ2を平均孔径34μmのろ紙および平均孔径10μmの焼結金属フィルターでろ過した後、上記コア層セルロースアシレートドープ2とその両側に外層セルロースアシレートドープ2とを3層同時に流延口から20℃のドラム上に流延した(バンド流延機)。
次いで、溶剤含有率略20質量%の状態で剥ぎ取り、フィルムの幅方向の両端をテンタークリップで固定し、横方向に延伸倍率1.1倍で延伸しつつ乾燥した。
その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、厚み40μmのセルロースアシレートフィルム2を作製し、保護フィルム2とした。保護フィルム2の位相差を測定した結果、Re=1nm、Rth=−5nmであった。
<保護フィルムのけん化処理>
上記作製した保護フィルム1、2を、2.3mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で3分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05mol/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥し、保護フィルム表面の鹸化処理を行った。
<偏光板の作製>
上記作製したけん化処理した保護フィルム1、ポリビニルアルコール系偏光子、実施例1の光学フィルムを、偏光子の吸収軸と光学フィルムの遅相軸が平行な方向になるように、光学フィルムの液晶層側と偏光子を接着剤を用いて貼り合わせ、上偏光板を作製した。接着剤としては、PVA((株)クラレ製、PVA−117H)3%水溶液を用いた。また下側偏光板はけん化処理した保護フィルム1、ポリビニルアルコール系偏光子、けん化処理した保護フィルム2を同様に貼り合わせて作製した。このとき、偏光子と光学フィルムは、実用上十分な接着性であった。
<液晶表示装置の作製>
上記作製した液晶セルに、上記上側偏光板および下側偏光板を、それぞれ光学フィルム、保護フィルム2が液晶セル側になるように総研科学社製SK2057を用いて貼り合わせ、実施例1の液晶表示装置を作製した。このとき、セル内の液晶の遅相軸と上偏光板の吸収軸が直交な方向、セル内の液晶の遅相軸と下偏光板の吸収軸が平行な方向になるように貼り合わせた。
液晶表示装置の層構成の一例を示した図2で、詳細に説明する。各層上の矢印は、偏光子においては吸収軸方向を、それ以外の層においては遅相軸方向を表す。本実施例では、図2のa、dに、前記で作製した保護フィルム1を使用し、図2のcに、前記保護フィルム2を使用する。図2のbは、本実施例では用いない。図2の1、2が合わせて本発明の光学フィルムである。
《黒表示の光漏れ、色味の測定》
作製した液晶表示装置を拡散光源の上に配置し、測定機“EZ−Contrast XL88”(ELDIM社製)を用いて、方位角0°(水平方向)から反時計方向に359°まで1°刻み、および極角0゜(正面方向)から88゜までの1゜刻みの黒表示における輝度を測定した。極角60°における光漏れを下記の評価基準で評価した。
A:光漏れが非常に少なく、特に優れている
B:光漏れが少なく、優れている
C:光漏れが多く、許容できない
比較例1は強いUVシワが見られるが、実施例2は、ガイドローラと紫外線バックアップローラの距離を本発明の態様にすることにより気にならない品質まで大きく良化している。さらに実施例1では紫外線バックアップローラの1灯目と2灯目の温度差をつけることで完全にUVシワ治っていることがわかる。また、実施例3、4、5もUVシワに大きな効果が認められるが、実施例1と比較すると、紫外線前ヒーターによるポリマーフィルムの温度アップ、ガイドローラの両端を中心より大きい径にすること、および、プロテクトフィルムのUVシワへの効果が明白である。また、紫外線バックアップローラの温度を本発明より低くした比較例2は、耐久性が悪い結果であった。
参考例1,2では、本発明の化合物B1を添加していないと密着性が悪いこと、遅相軸を搬送方向と垂直にした横延伸COPは斜め光漏れが悪いことがわかる。
10 光学フィルム
1 ポリマーフィルム
2 液晶層
3、5 偏光子
4 液晶セル
6 バックライト
a 保護フィルムa
b 保護フィルムb
c 保護フィルムc
d 保護フィルムd
11 紫外線照射バックアップローラの直前のガイドローラ
12 紫外線照射バックアップローラ
13 ポリマーフィルム搬送方向
14 ガイドローラ上のフィルム離脱点
15 バックアップローラ上のフィルム着地点
16 紫外線照射装置

Claims (9)

  1. 搬送方向と平行に遅相軸を有する、厚み30μm以下の透明ポリマーフィルム上に、架橋性官能基を有する液晶性化合物を含む塗布液を塗布、乾燥して塗布層を形成し、次いで、前記塗布層に紫外線を照射して前記液晶化合物を硬化させる際に前記塗布層を有するフィルムの前記塗布層の側とは反対側の面を支えるバックアップローラがあり、前記バックアップローラの温度を30℃〜80℃にし、前記バックアップローラの直前に、前記塗布層を有するフィルムの前記塗布層の側とは反対側の面を支えるガイドローラがあり、前記ガイドローラ上において前記塗布層を有するフィルムの離脱点から前記バックアップローラ上において前記塗布層を有するフィルムの着地点の距離が0.5m以下である光学フィルムの製造方法。
  2. 前記バックアップローラと紫外線照射光源を対にしたユニットをフィルム搬送ライン上に直列的に複数有し、塗布に近い側のバックアップローラに比較して、塗布から遠い側のバックアップローラの温度が同じ温度か、それ以上の温度である請求項1に記載の光学フィルム製造方法。
  3. 前記バックアップローラ上の前記着地点と前記ガイドローラ上の前記離脱点の間の前記塗布層を有するフィルムを放射温度計で測定した温度が、前記バックアップローラの温度に対して、−15℃〜+15℃の範囲になるように前記塗布層を有するフィルムの温度調節をする請求項1または2に記載の光学フィルム製造方法。
  4. 前記ガイドローラが、コンケーブローラあるいは中央部よりも両サイドの径が大きくなるようにストレートローラの中央より両端に近い側にテープを巻いたローラである請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルム製造方法。
  5. 前記透明ポリマーフィルムが、前記塗布層を塗布する面側とは反対面側に、予め粘着剤を介してプロテクトフィルムが貼りあわされている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルム製造方法。
  6. 前記液晶性化合物が、棒状液晶性化合物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学フィルム製造方法。
  7. 前記塗布液中に、下記(I)で表される化合物を前記液晶性化合物の質量に対して0.5〜7.0質量%含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学フィルム製造方法。
    式(I) (Z)−L100−(Q)
    前記式(I)中、
    Zは、重合性基を有する置換基を表し、nは、0〜4の整数を表し、nが2〜4の整数である場合、2以上のZは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
    Qは、少なくとも1つのホウ素原子を含有する置換基を表し、mは、1または2を表し、mが2の場合、2つのQは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
    100は、n+m価の連結基を表す。ただし、nが0を表し、かつ、mが1を表す場合は、L100は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルキニル基、置換もしくは無置換のアリール基、または、置換もしくは無置換のヘテロアリール基を表す。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法で作られた光学フィルムを粘着剤または接着剤を介して偏光子と積層した偏光板。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法で作られた光学フィルム、または、請求項8に記載の偏光板を有する、画像表示装置。
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