JP2003089142A - フィルムの製造方法およびフィルムの製造装置 - Google Patents

フィルムの製造方法およびフィルムの製造装置

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JP2003089142A
JP2003089142A JP2001281788A JP2001281788A JP2003089142A JP 2003089142 A JP2003089142 A JP 2003089142A JP 2001281788 A JP2001281788 A JP 2001281788A JP 2001281788 A JP2001281788 A JP 2001281788A JP 2003089142 A JP2003089142 A JP 2003089142A
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Shunichi Osada
俊一 長田
Kenji Tsunashima
研二 綱島
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】表面欠点のない、高品質な熱可塑性樹脂フィル
ムを生産性良く製造するためのロールクリーニング手段
を備えたフィルム製造装置およびその製造方法を提供す
る。 【解決手段】フィルムの製造に用いられるロール表面に
紫外線を照射してロール表面の付着物を除去しながらフ
ィルムを製造する方法において、紫外線照射面側の一部
に少なくとも電極を有さない部分が存在するエキシマU
Vランプで紫外線照射を行い、かつエキシマUVランプ
とロール表面との距離が50mm以下であることを特徴
とするフィルムの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ロール表面に紫外
線を照射してロール表面の付着物を除去しながらフィル
ムを製造する方法、および、フィルムの製造装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂フィルムを製造する際に
は、一般に冷却・加熱・延伸などほとんどの過程におい
て、成型用ロール(以下、ロールと略す)が用いられて
いる。
【0003】しかしながら、熱可塑性樹脂がロールに接
すると、該熱可塑性樹脂フィルム表面に存在する極僅か
な該樹脂のモノマー、オリゴマ−などの低分子量物、分
解物、ブリードアウト物、添加物、変性物などで代表さ
れる有機物が、熱可塑性樹脂フィルムと接触したロール
に付着し、経時で接触ロール表面に堆積する。これがフ
ィルム表面に転写して、擦り傷の原因になるという問題
があった。そこで有機物で汚れたロールを清掃するため
に、いったん製膜を止めてロールをふき取り付着物の除
去を行ってきた。しかし、この作業は効率が悪く、生産
性の大幅な低減につながっていた。
【0004】この問題を解決するため、オンラインでロ
ール清浄する方法がいろいろ提案されている。例えば、
特開昭56−69120号公報にはタッチロールを接触
させたりする方法、特公昭47−3917号公報には洗
浄液をつけてふき取る方法などが開示されている。しか
しこれらの方法では、フィルム表面の有機付着物を低減
させることはできるが、完全に除くことができず、ロー
ル上に蓄積する汚れ防止に対して十分とは言えなかっ
た。
【0005】また、特公平3−65775号公報には紫
外線照射によってロールを洗浄する方法が開示されてい
る。しかしこの方法では、紫外線照射エネルギーが弱
く、製膜速度が高速の場合や、熱可塑性樹脂の種類によ
り有機物の付着量が多くなった場合には、除去しきれな
いといった問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、ロー
ル表面の付着物を除去して、生産性よく表面欠点のすく
ない高品質の熱可塑性樹脂フィルムを得ることのできる
フィルムの製造方法およびフィルムの製造装置を提供す
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上述した問
題について、鋭意検討した結果、本発明に到達した。
【0008】すなわち、本発明のフィルムの製造方法
は、フィルムの製造に用いられるロール表面に紫外線を
照射してロール表面の付着物を除去しながらフィルムを
製造する方法において、紫外線照射面側の一部に少なく
とも電極を有さない部分が存在するエキシマUVランプ
で紫外線照射を行い、かつエキシマUVランプとロール
表面との距離が50mm以下であることを特徴とするフ
ィルムの製造方法である。
【0009】また、本発明のフィルムの製造装置は、フ
ィルム製造用ロールの表面に紫外線を照射する装置を有
し、紫外線照射装置が紫外線照射面側の一部に少なくと
も電極を有さない部分が存在するエキシマUVランプで
あり、エキシマUVランプとロール表面との距離が50
mm以下であることを特徴とするフィルムの製造装置で
ある。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、本発明のフィルムの製造
方法について詳細を説明する。
【0011】本発明のフィルムの製造方法は、フィルム
の製造に用いられるロール表面に紫外線を照射してロー
ル表面の付着物を除去しながらフィルムを製造する方法
において、紫外線照射面側の一部に少なくとも電極を有
さない部分が存在するエキシマUVランプで紫外線照射
を行い、かつエキシマUVランプとロール表面との距離
が50mm以下である。
【0012】本発明のフィルムの製造方法により、主に
ロール表面の有機物を除去し、ロール表面とフィルムと
の密着性を一定になるよう維持し、擦り傷等の表面欠点
のない高品質なフィルムを得られる。
【0013】本発明に用いられるエキシマUVランプ
は、紫外線照射面側の一部に少なくとも電極を有さない
部分が存在するものでなければならない。紫外線照射面
全体に外部電極が存在するエキシマUVランプの場合、
紫外線照射面に合成石英製の窓ガラスが必要であるた
め、ロールクリーニングをするために十分な効果が得ら
れる距離まで近づけることができない。
【0014】また、本発明ではエキシマUVランプとロ
ール表面との距離が50mm以下でなければならない。
ここで言うエキシマUVランプとロール表面との距離
は、エキシマUVランプ本体の照射面側から金属ロール
までを結ぶ最短距離と定義される。本発明者らが鋭意努
力し、種々の熱可塑性樹脂に由来するロール付着の有機
物を分解するには、その距離を50mm以下にすると飛
躍的に効果が向上することを見出したものである。エキ
シマUVランプとロール表面との距離を50mm以下に
してロール表面にエキシマUVランプを近づけることに
よって、照射強度自体が向上する効果とともに、紫外線
によって発生したオゾンがロール表面の付着物をさらに
効率よく分解することができる。従来の場合のように、
ロール表面とエキシマUVランプの距離が遠い場合に
は、ロールの回転により発生するロール表面の随伴気流
が紫外線によって発生したオゾンをロール表面の有機物
に近づきにくくするため、十分な効果が得られない。
【0015】エキシマUVランプから照射される紫外線
は、有機付着物の主体である低分子量物を分解・除去す
るために、低分子量物を効率的に分解できる380nm
以下の波長を含んでいることが好ましい。380nm以
上の波長のみの場合は、低分子量物の分解速度が遅くな
るため好ましくない。エキシマUVランプから照射され
る紫外線には、380nm以上の波長を含んでもよい
が、380nm以下の波長が主成分であることがより好
ましい。
【0016】本発明で言うエキシマUVランプとは放電
エキシマを用いるUVランプである。エキシマとは励起
状態原子と基底状態原子の二量体のことであり、ランプ
管内に放電プラズマなどの高エネルギーを発生させるこ
とにより、放電管内の原子をエキシマ状態にすることが
できる。このエキシマ状態から基底状態に戻るときに、
エキシマ発光と呼ばれる現象により、強紫外線光が発生
する。これにより、低波長水銀ランプが波長当たりの出
力が小さくかつ限られた複数の発光波長しか得られない
のに対し、エキシマランプはほぼ単波長の高強度の光を
効率よく取り出すことができる。放電管内に封入される
気体原子は、波長が120nm〜380nm内にある、
例えばXe2(中心波長172nm)やKrCl(中心
波長222nm)などが好ましい。
【0017】なお、中心波長が200nm以下のエキシ
マUVランプを選択した場合、空気中の酸素の吸収によ
り、オゾンが発生する。このオゾンは短波長光と同等以
上に有機付着物を酸化分解する効果があり、オゾンが発
生すると有機付着物の分解効率は非常に高くなる。その
ため、紫外線を照射してロール表面の付着物を除去しロ
ール表面を洗浄する雰囲気としては、塵埃などが浮遊し
ていないクリーンな酸素雰囲気中が好ましく、該ロール
と紫外線ランプの囲いに排気装置を取り付けておき、常
にフレッシュエアーを供給することがより好ましい。
【0018】また、本発明のフィルムの製造方法は、好
ましくは、回転するロールに紫外線を照射する。製膜中
に回転するロールに紫外線を照射することにより、ロー
ルに付着した有機物を除去できるので、ロールに付着し
た汚れ清掃のために製膜を中断する回数が激減し、フィ
ルム生産の生産性を向上させることができる。
【0019】熱可塑性樹脂フィルムの製造に用いられる
ロールとしては、キャスティングロール、渡りロール、
カレンダーロール、冷却・予熱ロール・延伸ロールやニ
ップロールなどが挙げられる。これらロールの表面材質
としては、金属やセラミックであることが好ましい。ま
た、金属ロールとしては、ステンレス、鉄、アルミ、
銅、クロムメッキ、アモルファスクロムメッキ、ニッケ
ルメッキ、タングステンカーバイド、窒化チタン、窒化
クロムなどが挙げられる。また、これらロールの表面粗
さは特に限定されるものではない。
【0020】逆にシリコンゴム、あるいは有機樹脂コー
ティング加工されたロールの場合、紫外線がロール表面
上の有機物だけでなく、ロール表面材質まで分解作用を
およぼすことがあり、好ましくない場合がある。
【0021】また、本発明の紫外線照射は転写ロールに
施してもよい。この転写ロールは、熱可塑性樹脂フィル
ム表面の有機物を捕集するために設けられたものであ
る。転写ロールは熱可塑性樹脂フィルム表面に接触させ
ることにより有機物を転写移行させてフィルム表面を清
浄化することを目的とするものである。このようにして
転写ロールに有機物を付着させると、転写ロールが経時
で汚れてくるので、熱可塑性樹脂フィルムが接していな
い部分の転写ロール表面に紫外線照射を行うことにより
常にロール表面を清浄化しておくことができる。
【0022】本発明の紫外線照射は、照射エネルギーが
高く、有機付着物の分解効率が非常に高い反面、集光し
ているため照射面積が小さく、紫外線光がロール全域に
行き渡らない場合がある。そのため、本発明の紫外線照
射は、照射形状をロール幅方向に対して、長軸にするこ
とが好ましい。つまり、照射径をロール幅方向に長く採
ることにより、ロールの回転で、全体的な照射面積を稼
ぐことができるため有利である。さらに前記集光紫外線
光は、ロール幅方向に周期的にトラバースすることによ
り、ロール全域を清浄化できるため好ましい。
【0023】本発明における有機付着物とは、主として
熱可塑性樹脂に由来するもので、工程で発生する種々の
有機化合物を生成するものである。例えば、該熱可塑性
樹脂の低分子量物、分解物、ブリードアウト物、あるい
は添加物などである。さらに空気中に含まれる昇華物や
油脂、塵芥などもこれに含まれる。この中でも主体とな
る低分子量物は、熱可塑性樹脂由来のモノマー、オリゴ
マー類である。
【0024】本発明における熱可塑性樹脂は、特に限定
されないが、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリ
オレフィン、ポリフェニルスルフィド、およびそれらの
混合体・変性体・共重合体などから選ばれた樹脂が好ま
しい。
【0025】ここでいうポリエステルとは、分子主鎖中
にエステル結合を有する高分子化合物であり、通常、ジ
オールとジカルボン酸とからの重縮合反応により合成さ
れることが多いが、ヒドロキシ安息香酸で代表されるよ
うなヒドロキシカルボン酸のように自己縮合するような
化合物を利用してもよい。ジオール化合物の代表的なも
のとしては、HO(CH2 )nOHで表されるエチレン
グリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコー
ル、ヘキセングリコール、さらにジエチレンギリコー
ル、ポリエチレングリコール、エチレンオキサイド付加
物、プロピレンオキサイド付加物等で代表されるエーテ
ル含有ジオールなどであり、それらの単独または混合体
などである。
【0026】ジカルボン酸化合物の代表的なものとして
は、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレ
ンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、
スベリン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ダイマー酸、
マレイン酸、フマル酸、及びそれらの混合体などであ
る。ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ
−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレートな
どを用いることができる。特にポリエチレンテレフタレ
ートは、安価であるため、非常に多岐にわたる用途で用
いられ、効果が高い。また、これらの樹脂はホモ樹脂で
あってもよく、共重合またはブレンドであってもよい。
【0027】本発明が適用されるフィルムがポリエチレ
ンエチレンテレフタレートフィルムの場合には、従来公
知の製造方法によって製造することが出来る。
【0028】すなわち、テレフタル酸とエチレングリコ
ール及び必要により共重合成分を直接反応させて水を留
去しエステル化した後、減圧下に重縮合を行う直接エス
テル化法、または、テレフタル酸ジメチルとエチレング
リコール及び必要により共重合成分を反応させてメチル
アルコールを留去しエステル交換させた後、減圧下に重
縮合を行うエステル交換法等により製造することができ
る。更に極限粘度を増大させ、環状3量体やアセトアル
デヒド含量等を低下させるために固相重合を行ってもよ
い。前記溶融重縮合反応は、回分式反応装置で行っても
良いしまた連続式反応装置で行っても良い。これらいず
れの方式においても、溶融重縮合反応は1段階で行って
も良いし、また多段階に分けて行っても良い。固相重合
反応も、溶融重縮合反応と同様、回分式装置や連続式装
置で行うことが出来る。溶融重縮合と固相重合は連続で
行っても良いし、分割して行ってもよい。
【0029】本発明が適用される代表的なポリエステル
樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート(P
ET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ
エチレンナフタレート(PEN)およびこれらの共重合
体、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート(P
CT)などを挙げることができ、中でもポリエチレンテ
レフタレート(PET)とポリエチレンナフタレート
(PEN)およびこれらの共重合体が好ましく、特にポ
リエチレンテレフタレートおよびその共重合体が好まし
い。
【0030】これらの高分子化合物の繰替し単位は、好
ましくは80以上、より好ましくは120以上であるの
がよい。
【0031】また、本発明において、ポリアミド樹脂と
は、主鎖中にアミド結合を有する高分子化合物であり、
代表的なものとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナ
イロン610、ナイロン12、ナイロン11、ナイロン
7、ポリメタ/パラキシリレンアジパミド、ポリヘキサ
メチレンテレフタラミド/イソフタラミドおよびそれら
の関連共重合体、混合体などから選ばれたポリアミド化
合物などがある。本発明の場合、中でも、ナイロン6お
よびその共重合体、ナイロン66およびその共重合体が
好ましいポリアミドである。さらに、これらのポリアミ
ドに柔軟ナイロンや、結晶化し難いナイロン化合物を添
加しておくと、キャストでの結晶化防止や、得られた品
質の低温柔軟性などを付与できるので好ましい。
【0032】また、ポリオレフィン樹脂としては、ポリ
エチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、メチルペ
ンテンポリマー(MPP)、エチレンビニルアルコール
(EVOH)、酢酸ビニルポリマー(EVA)、および
それらの各種共重合体などを用いることができる。
【0033】これらの本発明において用いる熱可塑性樹
脂には必要に応じて着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止
剤、帯電防止剤、滑剤、核剤、離型剤などを本発明の目
的を損わない範囲で添加することができる。
【0034】次に、本発明における熱可塑性樹脂フィル
ムの製造方法について、ポリエチレンテレフタレート
(PET)フィルムに用いた例として、より具体的に示
す。
【0035】原料としてポリエチレンテレフタレート
(PET)樹脂または必要に応じて他の化合物を添加ブ
レンドした原料、例えば、液晶ポリマーや他のポリエス
テル樹脂、さらに酸化珪素、酸化マグネシウム、炭酸カ
ルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、マイカ、タ
ルク、カオリンなどの無機化合物、架橋ポリエステル、
架橋ポリスチレン、エチレンビスステアリルアミド、イ
オン性高分子化合物アイオノマー等の有機化合物等を添
加した原料、いったん溶融させた回収原料などを混合し
た原料などを準備し、これを乾燥・脱水した後、溶融押
出機に供給し、分子量、例えば固有粘度[η]を極力低
下させないように窒素気流下、あるいは真空下で溶融押
出する。
【0036】次に、原料中の異物を除去するために、溶
融樹脂を適宜なフィルター、例えば、焼結金属、多孔性
セラミック、サンド、金網等で濾過しながら押出しす
る。かくして溶融されたポリエステル樹脂を成型用の口
金から押出し成形するのである。
【0037】なお、口金から溶融フィルムを押出すと
き、溶融樹脂シートに静電荷を印加しながら冷却密着固
化させてシート製造することが、結晶化抑制や厚み均質
化の点、さらには急冷キャスティングドラム面の汚れ防
止などの点で好ましい。
【0038】続いて、フィルムをロールを用いてTg以
上に加熱して1.5〜7倍程度延伸するのである。次い
で、幅方向延伸のためにテンター式幅方向延伸機に導か
れ、シート両端をクリップによって把持し熱風によって
フィルムをTg以上に加熱し、両端クリップの幅を広げ
ることでフィルムを横方向へ2〜8倍延伸する。さらに
長手方向に強度の強いフィルムにするために長手方向に
再度延伸してもよい。必要に応じて熱風によってフィル
ムを樹脂の融点以下の温度で熱処理しても良い。
【0039】上記方法によって製膜することにより、経
時でロール上に有機付着物が堆積し、フィルムに欠点を
残すことになるが、このようにロール上の有機物を、本
発明の主な特徴である、改良紫外線照射により、分解し
て除去させ、ロール表面をクリーンに保つのである。
【0040】フィルムを縦延伸する際には、延伸がすす
むにつれ熱可塑性樹脂の結晶化度が向上するために、樹
脂中に溶解していた有機物が析出されやすくなり、フィ
ルム表面に存在する有機物の量が非常に多くなることか
ら、フィルムが接触する縦延伸ロールは有機物が付着し
やすく、汚れやすい。従って、本発明の方法は、縦延伸
ロールもしくは再縦延伸ロールに用いることにより非常
に効果的である。また、本発明は有機物除去効果が高い
ため、キャスティング速度の増加により、有機付着物の
転写量が増加したとしても、ロールを清浄な状態に保つ
ことができる。
【0041】上述した本発明の熱可塑性樹脂フィルムの
製造方法を用いて、傷欠点の少ない高品質な熱可塑性樹
脂フィルムを生産性よく製造することができる。
【0042】かくして得られたフィルムは、表面欠点を
問題とする光学用、磁気記録媒体用、電気絶縁用、その
他一般工業用などに広く利用できる。 (物性の測定法)次に本発明で使用した測定法について
以下に述べる。 (1)ポリエステル樹脂の固有粘度[η] 25゜Cで、o−クロロフェノールを溶媒として次式よ
り求めた。
【0043】[η]= lm[ηsp/c] 比粘度ηspは、相対粘度ηrから1を引いたものであ
る。
【0044】cは、濃度である。単位はdl/gで表わ
す。 (2)ロール汚れ ロール上のオリゴマー汚れは、製膜開始前に対象とする
ロールを十分に清掃し、製膜開始から24時間後の汚れ
状態をそれぞれ目視で観察し、製膜前と変わらずきれい
なものを「◎」、一見してほとんど汚れが見られないも
のを「○」、ごく薄く汚れ(白く濁った程度)が確認で
きるが使用を続けて問題ないものを「△」、汚れがかな
り厚く付着し、掃除または交換が必要なものを「×」と
評価した。 (3)フィルムの表面欠点 フィルムの表面欠点は、まず製膜開始から24時間後の
フィルムを、偏光下で目視にてフィルム表面傷の数で判
定した。判定方法としては、フィルム1m2内に目視に
て確認できる傷の数が0〜2個の場合を「◎」、3〜5
個の場合を「○」、6〜20個の場合を「△」、21個
以上の場合を「×」と評価した。
【0045】
【実施例】実施例および比較例により、本発明をさらに
詳細に説明する。
【0046】実施例1 熱可塑性樹脂として、ポリエチレンテレフタレート(P
ET)(固有粘度[η]=0.65、添加剤として平均粒
径0.25μmのSiO2粒子を0.1wt含有)を用
いた。該PET樹脂の含水率が50ppm以下になるよ
うに乾燥した後、押出機に供給して280℃で溶融した
後に、10μmカットの繊維燒結金属フィルターを通過
させて濾過し、口金に導入し、この溶融フィルムにワイ
ヤー状の電極から静電荷を印加させながら冷却ロール上
に密着させ冷却させた。該押出フィルムを予熱温度80
℃で予備加熱して、ロール式長手方向延伸機で延伸温度
90℃で3.0倍延伸後、ガラス転移温度Tg以下に冷
却した。続いて該長手方向延伸フィルムの両端をクリッ
プで把持しながらテンタに導き、延伸温度105℃に加
熱された熱風雰囲気中で幅方向に3.5倍延伸後、23
5℃で熱固定した。
【0047】紫外線照射は光源に照射面側に外部電極を
有さない(株)エム・ディ・エキシマ製のエキシマUV
Xeランプ(波長172nm)を用いた。ランプはチ
ャンバーで囲い排気するとともに、ロールの幅方向にト
ラバース(移動速度0.05m/min)するように
し、表面材質がハードクロムメッキされた縦延伸予熱ロ
ールおよび冷却ロールに連続的に照射した。また、エキ
シマUVランプとロールとの距離は5mmに設定した。
製膜速度は30m/minで、得られた延伸フィルムの
厚さは188μmであった。このときの結果を表1に示
す。
【0048】実施例2 実施例1と同様の条件で製膜した。ただし、エキシマU
Vランプとロールとの距離は25mmに設定した。得ら
れた結果を表1に示す。
【0049】実施例3 実施例1と同様の条件で製膜した。ただし、エキシマU
Vランプとロールとの距離は45mmに設定した。得ら
れた結果を表1に示す。
【0050】比較例1 実施例1と同様の条件で製膜した。ただし、エキシマU
Vランプとロールとの距離は60mmに設定した。得ら
れた結果を表1に示す。
【0051】比較例2 実施例1と同様の条件で製膜した。ただし、エキシマU
Vランプとロールとの距離は80mmに設定した。得ら
れた結果を表1に示す。
【0052】比較例3 実施例1と同様の条件で製膜した。ただし、用いたエキ
シマUVランプ(Xe:172nm)にはUV照射面側
に外部電極を有するウシオ電機(株)製のものを用い
た。また、照射面側の石英ガラスを取り外し、エキシマ
UVランプとロールとの距離を、45mmに設定した。
しかしながら、照射面側の外部電極から金属ロールへの
放電がおこり、製膜できなかった。得られた結果を表1
に示す。
【0053】比較例4 実施例1と同様の条件で製膜した。ただし、用いたエキ
シマUVランプ(Xe:172nm)にはUV照射面側
に外部電極を有するウシオ電機(株)製のものを用い
た。エキシマUVランプとロールとの距離は、機械的に
干渉するため60mmにしか設定できなかった。得られ
た結果を表1に示す。
【0054】比較例4 実施例1と同様の条件で製膜した。ただし、紫外線照射
をおこなわなかった。このときの結果を表1に示す。
【0055】実施例4 実施例1と同様の条件で製膜した。ただし、エキシマU
Vランプの照射は2時間ごとに10分間照射するように
セッティングした。得られた結果を表1に示す。
【0056】実施例5 実施例1と同様の条件で押し出したフィルムを、予熱温
度80℃で予備加熱した後、ロール式長手方向延伸機で
延伸温度110℃で3.0倍延伸して、ガラス転移温度
Tg以下に冷却した。続いて該長手方向延伸フィルムの
両端をクリップで把持しながらテンタに導き、延伸温度
100℃に加熱された熱風雰囲気中で幅方向に3.7倍
延伸後、さらに再度長手方向に延伸するために、延伸温
度155℃に加熱されたロール上で1.5倍長手方向の
延伸を行った。さらに、このフィルムを熱処理するため
にクリップで把持してテンターで200℃、および13
0℃で熱固定し、厚さ6μmの二軸配向ポリエステルフ
ィルムを巻取った。エキシマUVランプには実施例1と
同じものを用い、紫外線照射は1段目縦延伸の予熱ロー
ルおよび冷却ロール、再縦延伸の予熱ロールおよび冷却
ロールに行った。このときのエキシマUVランプとロー
ルとの距離は5mmに設定し、また連続照射を行った。
製膜速度は200m/minである。得られた結果を表
1に示す。
【0057】実施例6 実施例5と同様の条件で製膜した。ただし、エキシマU
Vランプとロールとの距離は25mmに設定した。得ら
れた結果を表1に示す。
【0058】実施例7 実施例5と同様の条件で製膜した。ただし、エキシマU
Vランプとロールとの距離は45mmに設定した。
られた結果を表1に示す。
【0059】比較例6 実施例5と同様の条件で製膜した。ただし、エキシマU
Vランプとロールとの距離は60mmに設定した。この
ときの結果を表1に示す。
【0060】比較例7 実施例5と同様の条件で製膜した。ただし、紫外線照射
をおこなわなかった。このときの結果を表1に示す。
【0061】この結果、実施例1〜7では、ロール汚れ
がなく、長時間の製膜に対してもロール汚れは認められ
なかった。かくして得られたフィルムは、ロール汚れや
表面欠点が全く無い平面性の優れたフィルムであった。
【0062】それに対し、比較例1〜6では、製膜から
6時間後ですでにロール表面にわずかに付着物の発生が
認められ、24時間後はロール上でフィルム滑りや傷転
写などが発生した。この時得られた二軸延伸フィルム表
面には異物の付着のみならず、擦り傷・掻き傷などの表
面欠点が多く存在した。
【0063】
【表1】
【0064】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明により、熱
可塑性樹脂フィルムの製膜工程で発生するフィルム表面
傷の発生が低減し高品質なフィルムが得られるととも
に、ロールに付着した汚れ清掃のための製膜中断回数が
激減し、生産性を向上することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29L 7:00 B29L 7:00

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィルムの製造に用いられるロール表面
    に紫外線を照射してロール表面の付着物を除去しながら
    フィルムを製造する方法において、紫外線照射面側の一
    部に少なくとも電極を有さない部分が存在するエキシマ
    UVランプで紫外線照射を行い、かつエキシマUVラン
    プとロール表面との距離が50mm以下であることを特
    徴とするフィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記紫外線が380nm以下の波長を含
    む請求項1に記載のフィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 ロール表面の材質が金属あるいはセラミ
    ックであることを特徴とする請求項1から請求項2のい
    ずれかに記載のフィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】 回転するロールに紫外線を照射すること
    を特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の
    フィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】 熱可塑性樹脂がポリエステル、ポリアミ
    ド、ポリオレフィン、ポリフェニレンサルファイドのい
    ずれかであることを特徴とする請求項1から請求項4の
    いずれかに記載のフィルムの製造方法。
  6. 【請求項6】 フィルム製造用ロールの表面に紫外線を
    照射する装置を有し、紫外線照射装置が紫外線照射面側
    の一部に少なくとも電極を有さない部分が存在するエキ
    シマUVランプであり、エキシマUVランプとロール表
    面との距離が50mm以下であることを特徴とするフィ
    ルムの製造装置。
  7. 【請求項7】 エキシマUVランプの照射波長が380
    nm以下であることを特徴とする請求項6に記載のフィ
    ルムの製造装置。
  8. 【請求項8】 ロールの表面材質が金属あるいはセラミ
    ックであることを特徴とする請求項6または請求項7に
    記載のフィルムの製造装置。
  9. 【請求項9】 排気装置を有する請求項6から請求項8
    のいずれかに記載のフィルムの製造装置。
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