JP2009234131A - 二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムの製造方法 - Google Patents

二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】1週間という連続操業時間単位で、延伸処理時の切断頻度を1回以内とすることが可能な、二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】押出機で加熱溶融されたポリアミド樹脂からなる未延伸シートを、テンター式二軸延伸機を用いて同時二軸延伸することにより二軸延伸フィルムを得る際に、テンターに供給する前の未延伸シートの全反射FT−IR法により測定したときの表面結晶化指数が1.0以下であるようにする。
【選択図】なし

Description

本発明は二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムの製造方法に関するものである。
ナイロン6などを用いた二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムは、引張強度、突き刺し強度、ピンホール強度、耐衝撃強度などの機械的物性に優れ、かつガスバリア性、耐熱性に優れているため、食品その他の包装材料用フィルムとして広く使用されている。二軸延伸フィルムの製造方法としては、チューブラ延伸法や、テンターによるフラット延伸法があり、フラット延伸法には、フィルムの縦横を同時に延伸する同時二軸延伸法と、縦延伸した後に横延伸する(またはその逆)逐次二軸延伸法とがある。
上記の製造方法の中で、フラット式同時二軸延伸法は、結晶性の高いポリアミド樹脂を二軸延伸する方法として好適である。
しかし、フラット式同時二軸延伸法は、逐次延伸法に比べて機構が複雑であるためか延伸工程においてフィルムの切断が発生し、操業性を損ねてしまうことがあり、問題となっている。
ポリアミド樹脂フィルムの操業性を向上する方法として、特許文献1には、冷却ドラムによる冷却を均一かつ十分に行うことが重要であることと、そのために冷却ドラムに続く次のガイドロールの回転速度を調節することとが提案されている。
特許文献2には、溶融押出したポリアミド樹脂を引き取る冷却ドラムの温度を可能な限り低温(15℃)に制御して、実質的に無配向の未延伸ポリアミドフィルムを得、かつ20〜80℃の温水槽で10分以下の調湿を行うことにより樹脂を可塑化するとともに、延伸時にクリップで把持した部分の延伸倍率を制御することにより、操業時のフィルム切断発生を1回/週に抑えることが可能であることが示されている。
特許文献3、4には、延伸時にフィルム端部の温度が上がることにより延伸切断が発生するとして、テンターによってフィルムを把持する箇所の温度を制御する方法が提案されている。
上述の特許文献1〜4に記載されたいずれの方法も、冷却ドラムの温度をできるだけ低くして未延伸シートを得たうえで、フィルムの両端を把持し、ポリアミド樹脂のガラス転移温度よりやや高い温度で、縦方向と横方向との延伸をテンター内で同時に行う方法である。
特開2001−030352号公報 特開2000−326402号公報 特開2000−254966号公報 特開2001−047508号公報
しかし、コストダウンの必要から操業性の向上の要望はますます強くなり、延伸切断は1回/週のレベルではもはや不十分で、1日でも長く切断が発生しないようにすることが求められている。ところが、上記のように延伸時の端部の延伸斑を制御するだけでは、延伸切断の回数を減らすには限界がある。つまり、従来の方法では、1週間(すなわち7日間、すなわち168時間)という連続操業時間単位で、延伸処理時の切断頻度さらに低減させることは困難である。
本発明は、上記のような問題を解決しようとするものであり、延伸時のフィルム切断が生じるまでの連続操業時間を一週間以上とすることが可能な、二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムの製造方法を提供するものである。
本発明者は、このような課題を解決するために鋭意検討した結果、テンター式同時二軸延伸機のクリップで把持される前の未延伸シートの全反射FT−IR法による表面結晶化指数を特定の値に制御した場合に、延伸工程における切断回数が減少することを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明の要旨は以下の通りである。
(1)押出機で加熱溶融されたポリアミド樹脂からなる未延伸シートを、テンター式二軸延伸機を用いて同時二軸延伸することにより二軸延伸フィルムを得る際に、テンターに供給する前の未延伸シートの全反射FT−IR法により測定した表面結晶化指数が1.0以下であるようにすることを特徴とする二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムの製造方法。
(2)押出機で加熱溶融されたポリアミド樹脂を15〜30℃の冷却ドラム上に押し付けて得られた未延伸シートを、30〜49℃の温水中に5秒以上浸漬し、さらに50〜65℃の温水中に60〜150秒浸漬して吸水率を3.0〜7.0質量%としたうえで、テンター式同時二軸延伸機に供給して、同時二軸延伸することを特徴とする(1)の二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムの製造方法。
本発明によれば、二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムの製造時の延伸工程において切断トラブルの発生を回避できて、連続操業時間が一週以上の安定した生産を可能とする二軸延伸ポリアミドフィルムの製造方法を提供することができ、これまでに延伸時に度々発生した切断についての極めて有効な解決手段とすることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるポリアミド樹脂とは、分子内にアミド結合(−CONH−)を有する熱可塑性高分子化合物をいう。たとえば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12,ナイロン46、ナイロン1010、ポリヘキサメチレンテレフタラミド(ナイロン6T)、ポリヘキサメチレンイソフタラミド(ナイロン6I)等が挙げられる。また、他の成分として、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸またはイソフタル酸との反応物の塩基を共重合させた共重合ポリアミドや、メタキシリレンアジパミドとアジピン酸からなるポリメタキシリレンアジパミドを含んでいてもよい。また、これらのブレンド物などであってもよい。これらの中でも、ナイロン6が、生産性やフィルム性能さらにはコストパフォーマンスの面で特に好ましい。
これらのポリアミド樹脂は、溶融時のモノマー生成を抑制するために、有機グリシジルエステル、無水ジカルボン酸、安息香酸などのモノカルボン酸、ジアミンなどを、末端封鎖剤として含んでいることがより好ましい。
上記のポリアミド樹脂の相対粘度は、特に制限されるものではないが、溶媒として96%硫酸を用い、温度25℃、濃度1g/dlの条件で測定した相対粘度が、1.5〜5.0であることが好ましい。より好ましくは、2.5〜4.5、さらに好ましくは3.0〜4.0の範囲である。この相対粘度が1.5未満のものは、フィルムの力学的特性が著しく低下しやすくなる。また、5.0を超えるものは、フィルムの製膜性に支障をきたしやすくなる。
これらのポリアミド樹脂には、必要に応じて、フィルムの性能に悪影響を与えない範囲で、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、帯電防止剤、無機微粒子等の各種の添加剤を、1種あるいは2種以上添加することができる。
また、フィルムのアンチブロッキング性を向上させるために、各種無機系滑剤や有機系滑剤が1種あるいは2種以上配合されていてもよい。これらの滑剤としては、クレー、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、カオリナイト、ハイドロタルサイド、層状ケイ酸塩、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、エルカ酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂等が挙げられる。
本発明において、二軸延伸ポリアミドフィルムは、以下の方法により製造される。
概略的には、例えば、ポリアミド樹脂組成物を押出機により融点以上の温度で加熱溶融して、Tダイなどのスリット状ダイよりシート状に押出す。次に、エアーナイフキャスト法、エアーノズル法、静電印加キャスト法など公知のキャスティング法により、回転する表面温度15〜25℃の冷却ドラムの表面に密着させて冷却固化させることにより、未延伸シートを製膜する。そして、この未延伸シートにテンター式の延伸機にて延伸処理を施すことにより、二軸延伸ポリアミドフィルムが得られる。
本発明の二軸延伸ポリアミドフィルムの製造方法においては、連続操業時間が一週間以上(フィルム切断によるトラブルが発生しない)安定した生産を可能とするためには、テンターに供給する前の未延伸シートを全反射FT−IR法により測定したときの表面結晶化指数が、ミルロール全幅にわたって1.0以下であることが必要である。この表面結晶化指数が1.0を超える部分が発生すると、切断頻度が高くなり、1週間の連続操業時間単位で切断する可能性がきわめて高くなる。1.5を超えると、たとえば1日に4回以上切断する。2.0を超えると、頻繁に切断が発生し、生産性が極めて悪くなる。
全反射FT−IR法とは、フィルム側面から赤外線を照射して、フィルム表面の全反射光から得られる吸収スペクトルにより、フィルムの組成や結晶化状態等を測定する方法である。この方法によれば、未延伸シートの1199cm−1付近の結晶化ピークと1169cm−1付近の非晶性ピークとの比を求めることにより、フィルム表面の結晶化指数が得られる。その数値が高いほど、高結晶性状態であることを意味する。
全反射FT−IR法により測定したときの表面結晶化指数が1.0以下であるとは、未延伸フィルムが結晶性が低い状態となっていて、二軸延伸に適した性能を有することを意味する。したがって、延伸処理の際に連続操業時間が一週間以上という、切断が発生しにくい状況を達成することができる。
全反射FT−IR法により測定したときの表面結晶化指数が1.0を超えると、結晶性が高い状態となっていて、このような部分が発生すると二軸延伸処理の際にフィルムの幅方向または長さ方向で切断しやすい箇所が出現し、結果としてフィルム切断が発生しやすくなる。
テンターに供給する前のシートを、全反射FT−IR法により測定したときの表面結晶化指数が1.0以下であるようにするためには、例えば以下のように対処することが必要である。
溶融押出されたシートを冷却ドラムの表面に密着させて冷却固化させるときに、冷却ドラムの表面温度を15〜30℃とし、ついで2段階で吸水処理を施すことにより、全幅にわたって、未延伸シートの表面結晶化指数が1.0未満の、結晶性が均一な未延伸シートを得ることができる。
冷却ドラムの表面温度が30℃を超えると、未延伸シートの表面結晶化指数が1.0を超えることになるため、フィルムの厚み斑が大きくなることはもとより、テンターでの延伸時に切断しやすくなる。一方、15℃未満の場合は、冷却ドラムの表面に結露水が付着して、延伸後のフィルムが部分的に白化して外観上の品位の低下が生じたり、未延伸シートの部分的な結晶斑のため厚み斑が発生したりする。
冷却ドラムで冷却、固化された未延伸シートは、次いで、二段階の吸水処理を施す必要がある。延伸機に供給する前の未延伸シートを、一段目の吸水処理として30〜49℃の温水中に5秒以上浸漬し、さらに50〜65℃の温水中に60〜150秒浸漬する二段目の吸水処理工程を施すのである。この方法により、延伸前のシートとして、全幅にわたって表面結晶化指数が1.0以下の、結晶性が均一な、未延伸シートを得ることができる。
一段目の吸水処理は、結晶化を円滑に抑制するための処理である。冷却ドラムの温度を従来より高めに設定したため、この工程がないと、未延伸シートの結晶化が進みすぎでその表面結晶化指数が1.0を超えるため、フィルムの厚み斑が大きくなることはもとより、テンターでの延伸時に切断しやすくなる。一段目の吸水処理における温水温度が30℃未満、もしくは浸漬時間が5秒未満の場合も、同様に未延伸シートの表面結晶化指数が1.0を超えて、延伸後のフィルムの厚み斑が大きく、切断頻度も高くなる。一段目の吸水処理における温水温度が49℃を越えると、未延伸シートに斑模様の外観不良が生じたり、延伸後のフィルムが部分的に白化して製品品位に支障が生じたり、厚み斑が発生したりする。
二段目の水処理は、未延伸シートの吸水率を3.0質量%以上、すなわち3.0〜7.0質量%に調整するために必要である。二段目の温水温度が50℃未満の場合や温水への浸漬時間が60秒未満の場合は、未延伸シートの吸水率が3.0質量%未満となって、未延伸シートの可塑化が不十分となり、未延伸シートの表面結晶化指数が1.0を超えて、延伸後のフィルムの厚み斑が大きくなり、延伸時の切断が増加するばかりか、延伸後のポリアミド樹脂フィルムが白化しやすくなる。反対に、温水温度が65℃を超える場合や温水への浸漬時間が150秒を超える場合は、吸水率が7.0質量%を越えて、延伸後のポリアミド樹脂フィルムの強度低下が生じたり、延伸後のフィルムが部分的に白化して製品品位に支障が生じたり、厚み斑が発生したりする。
以上のようにして得られたポリアミド樹脂の未延伸シートは、両端をテンターのクリップ部に把持され、ガラス転移温度以上の温度に加熱されて、縦方向及び横方向の二軸方向に面積倍率で9倍以上になるように延伸処理される。これによって、引張強度やピンホール性能等の機械特性に優れ、またガスバリア性に優れた特徴を有するようにすることが可能となる。
延伸処理の後は、延伸処理が行われたテンター内において150〜220℃でフィルムを熱固定し、その後、必要に応じて0〜10%、好ましくは2〜6%の範囲で縦方向および/または横方向の弛緩処理を施す熱セット工程を実行する。さらに20〜100℃の温度条件による冷却工程を経て、フィルムをロール状に巻き取る。
二軸延伸ポリアミドフィルムには、フィルムに機能性を付与するために、例えば、他のフィルムや接着剤やインキなどとの接着性を高めるための易接着剤、静電気の発生を抑制させるための帯電防止剤、バリア性を向上させるためのバリアコート剤などの各種機能性コート剤の、インラインコーティング処理を行っても良い。
そのためのインラインコーティング処理の方法は、特に限定されるものではなく、例えば、グラビアロール法、リバースロール法、エアーナイフ法、リバースグラビア法、マイヤーバー法、インバースロール法、またはこれらの組み合わせによる各種コーティング方式を採用することができる。あるいは、各種噴霧方式などを採用することもできる。
本発明の方法により製造される二軸延伸ポリアミドフィルムの厚みは、特に限定されないが、包装用途に使用する場合には10μm〜30μmの範囲であることが好ましい。
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、下記の実施例・比較例における各種物性の評価方法は、次のとおりである。
(1)吸水率
吸水処理後の未延伸フィルムを採取し、秤量瓶に入れた後、80℃の減圧乾燥機中で8時間乾燥し、乾燥前後の質量変化から算出した。
(2)未延伸シートの表面結晶化指数
パーキンエルマー社製FT−IR装置(FT−IR装置IR Spectrometer SPECTRUM2000)を使用し、全反射FT−IR法で未延伸シートの1199cm−1付近の結晶化ピーク(I1199)と1169cm−1付近の非晶性ピーク(I1169)とを測定し、I1199/I1169を表面結晶化指数とした。測定は、フィルムの幅方向について、10cmおきに全幅について測定し、最も高い値を表面結晶化指数とした。
(3)厚み斑
JIS C−2318に準じて、ハイデンハイン社製触針式厚み計を用いて二軸延伸ポリアミドフィルムの厚みを測定した。測定は、フィルムの幅方向について、10cmおきに全幅について測定し、平均厚さを基準に最大値または最小値との差が5%未満であった場合を良好(○)、5%以上10%未満であった場合を(普通)、10%以上あった場合を不良(×)とした。
(4)フィルム白化
二軸延伸ポリアミドフィルムに目視で容易に確認できる程度の白化部が確認されたものを不良(×)とし、そうでないものを良好(○)とした。
(5)延伸性(切断回数)
二軸延伸ポリアミドフィルムの生産を1週間継続した時の、テンターでの切断回数を計測した。1週間の間に切断回数が0回である場合を合格とした。
下記の実施例・比較例において使用した原料は以下のとおりである。
《ポリアミド樹脂》
重合釜としての、撹拌機を備えた密閉式の反応容器に、ε−カプロラクタム100質量部と、安息香酸0.12質量部(ε−カプロラクタムに対して10mmol/kg)と、水3質量部とを投入して昇温し、制圧力0.5MPa、温度260℃で重縮合反応をおこなった。そして、反応容器から払い出した後、チップ状にカッティングし、これを精錬、乾燥して、ポリアミド樹脂を得た。このチップにおいて、末端カルボキシル基は44mmol/kg、末端アミノ基は36mmol/kg、相対粘度は3.1であった。
《マスターチップ》
重合釜としての、撹拌機を備えた密閉式の反応容器に、ε−カプロラクタム100質量部と、安息香酸0.12質量部(ε−カプロラクタムに対して10mmol/kg)と、水3質量部と、無機微粒子(シリカ:水澤化学工業社製、サイロイドSY−150)6質量部とを投入して昇温し、制圧力0.5MPa、温度260℃で重縮合反応をおこなった。そして、反応容器から払い出した後、チップ状にカッティングし、これを精錬、乾燥して、ポリアミド樹脂のマスターチップを得た。このチップにおいて、末端カルボキシル基は46mmol/kg、末端アミノ基は34mmol/kg、相対粘度は3.1であった。
実施例1
上述のポリアミド樹脂96質量部とマスターチップ4質量部とをブレンドし、これを押出機に投入し、温度270℃に加熱したシリンダー内で溶融し、Tダイよりシート状に押し出した。そして、押し出したシートを、表面温度25℃に調節された、硬質クロムメッキが施された冷却ドラム上にエアーナイフ法(エアー圧400mmAq)により密着させて急冷し、厚さ150μmの未延伸フィルムを得た。
次に、上記の未延伸フィルムを第一吸水処理として、40℃の温水槽に10秒浸漬させ、第二吸水処理として、52℃の温水層に120秒浸漬させた。その後、テンター式同時二軸延伸機に導き、クリップに把持させ、延伸温度175℃で、縦方向に3.0倍、横方向に3.3倍に同時二軸延伸した。さらにテンター内で、熱固定温度195℃で3.5秒間、横方向に弛緩率3%の熱セット工程を施して、厚さ15μmのポリアミド樹脂フィルムを得た。
このようにして二軸延伸ポリアミドフィルムを製造する作業を、1週間、昼夜を問わず連続して行った。そのとき、1日に1度、テンターに供給する前の未延伸シートの吸水率及び全反射FT−IR法による表面結晶化指数を測定した。また1週間の連続操業中にわたって、延伸工程における切断回数を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2009234131
表1に示す通り、実施例1において、テンターに供給する前の未延伸シートの吸水率は4.2〜4.5質量%、表面結晶化指数は1週間にわたって0.64〜0.76の範囲であった。その結果、1週間の連続操業中の切断は一度もなく、フィルムの白化や厚み斑も良好であった。
実施例2〜10
冷却ドラムの表面温度、第一吸水処理の温水槽の温度及び浸漬時間、第二吸水処理の温水槽の温度及び浸漬時間を、表1の条件とした。それ以外は実施例1と同様にして、厚さ15μmのポリアミド樹脂フィルムを得た。
このようにして二軸延伸ポリアミドフィルムを製造する作業を、実施例1と同様に1週間、昼夜を問わず連続して行った。そのとき、同様に1日に1度、テンターに供給する前の未延伸シートの吸水率及び全反射FT−IR法による表面結晶化指数を測定した。また1週間の連続操業中にわたって、延伸工程におけるフィルムの厚みとフィルム外観と切断回数とを測定した。その結果を表1に示す。
表1に示す通り、実施例2〜10において、テンターに供給する前の未延伸シートの吸水率はいずれも3.0〜7.0質量%、表面結晶化指数は1週間にわたっていずれも1.0以下であった。その結果、1週間の連続操業中の切断は一度もなく、フィルムの白化や厚み斑も良好であった。
比較例1〜10
冷却ドラムの表面温度、第一吸水処理のための温水槽の温度及び浸漬時間、第二吸水処理のための温水槽の温度及び浸漬時間を、表1の条件とした。それ以外は実施例1と同様にして、厚さ15μmのポリアミド樹脂フィルムを得た。
このようにして二軸延伸ポリアミドフィルムを製造する作業を行うときの、テンターに供給する前の未延伸シートの吸水率及び全反射FT−IR法による表面結晶化指数を測定した。その結果を表1に示す。
比較例1では、冷却ドラムの表面温度を13℃とした。その結果、テンターに供給する前の未延伸シートの吸水率は4.3質量%、表面結晶化指数は0.54であったが、フィルムに白化が認められ、厚み斑も認められたため、1週間の連続操業は行わなかった。なお、冷却ドラムの表面には結露水が付着していた。
比較例2では、冷却ドラムの表面温度を35℃とした。その結果、テンターに供給する前の未延伸シートの吸水率は4.3質量%であったが、表面結晶化指数は1.48であり、3時間以内に2回切断が発生したため、1週間の連続操業を行わなかった。なお、フィルムに白化は認められなかったが、厚み斑が認められた。
比較例3では、第二吸水処理の温水槽の温度を35℃とした。その結果、テンターに供給する前の未延伸シートの吸水率は2.0質量%となり、表面結晶化指数は1.37であり、3時間以内に2回切断が発生したため、1週間の連続操業を行わなかった。なお、フィルムに白化が認められ、厚み斑も認められた。
比較例4では、第二吸水処理の温水槽の温度を75℃とした。その結果、テンターに供給する前の未延伸シートの吸水率は10.0質量%となり、表面結晶化指数は0.50であったが、フィルムに白化が認められ、厚み斑が大きく、1週間の連続操業は行わなかった。
比較例5では、第二吸水処理の温水槽における浸漬時間を30秒とした。その結果、テンターに供給する前の未延伸シートの吸水率は1.9質量%となり、表面結晶化指数は1.84であり、3時間以内に2回切断が発生したため、1週間の連続操業を行わなかった。なお、フィルムに白化が認められ、厚み斑も認められた。
比較例6では、第二吸水処理の温水槽の浸漬時間を240秒とした。その結果、テンターに供給する前の未延伸シートの吸水率は11.5質量%となり、表面結晶化指数は0.55であったが、フィルムに白化が認められ、厚み斑が大きく、1週間の連続操業は行わなかった。
比較例7では、第一吸水処理の温水槽の温度を25℃とした。その結果、テンターに供給する前の未延伸シートの吸水率は2.4質量%となり、表面結晶化指数は1.52であり、3時間以内に2回切断が発生したため、1週間の連続操業を行わなかった。なお、フィルムに白化は認められなかったが、厚み斑は認められた。
比較例8では、第一吸水処理の温水槽の温度を70℃とした。その結果、テンターに供給する前の未延伸シートの吸水率は4.5質量%であり、表面結晶化指数は0.82であったが、フィルムに白化が認められ、厚み斑が大きく、1週間の連続操業は行わなかった。
比較例9では、第一吸水処理の温水槽の浸漬時間を3秒とした。その結果、テンターに供給する前の未延伸シートの吸水率は2.3質量%となり、表面結晶化指数は1.48であり、3時間以内に2回切断が発生したため、1週間の連続操業を行わなかった。なお、フィルムに白化は認められなかったが、厚み斑は認められた。
比較例10では、二段階の吸水処理を行わず、第二吸水処理のみを、温水槽の温度を52℃、浸漬時間を120秒として行ったが、テンターに供給する前の未延伸シートの吸水率は2.7質量%となり、表面結晶化指数は1.24であり、3時間以内に2回切断が発生したため、1週間の連続操業を行わなかった。なお、フィルムに白化は認められなかったが、厚み斑は認められた。

Claims (2)

  1. 押出機で加熱溶融されたポリアミド樹脂からなる未延伸シートを、テンター式二軸延伸機を用いて同時二軸延伸することにより二軸延伸フィルムを得る際に、テンターに供給する前の未延伸シートの全反射FT−IR法により測定した表面結晶化指数が1.0以下であるようにすることを特徴とする二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムの製造方法。
  2. 押出機で加熱溶融されたポリアミド樹脂を15〜30℃の冷却ドラム上に押し付けて得られた未延伸シートを、30〜49℃の温水中に5秒以上浸漬し、さらに50〜65℃の温水中に60〜150秒浸漬して吸水率を3.0〜7.0質量%としたうえで、テンター式同時二軸延伸機に供給して、同時二軸延伸することを特徴とする請求項1記載の二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムの製造方法。
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