JP2008111055A - 2軸配向ポリプロピレンフィルム - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、PETボトル、PPボトル、食缶等に粘着剤を介して貼り合わせ使用されるラベル用、写真アルバムに使用されるカバー(保護)用、工程紙として使用される離型用の2軸配向ポリプロピレンフィルムに関するものである。
2軸配向ポリプロピレンフィルムは、適度な機械特性と優れた透明性、軽量といった特徴をもち、各種包装用を始めとしてラベル用途や離型用途など幅広く用いられている。特に近年は、ポリプロピレンフィルムの表面エネルギーが低いことを利用して、シリコーン架橋体シート類、エポキシ樹脂基板、不飽和ポリエステルからなる部材、繊維強化プラスチック等の熱硬化性樹脂部材の製造工程に適する離型材料として広く使用されるようになってきた。このような離型用に使用される場合、工程での取り扱い性向上のために、寸法安定性が求められ、耐熱性を上げることとフィルム膜厚の厚物化が要望されていた。
耐熱性を上げる試みとして、用いられるポリプロピレン樹脂の低分子量成分と融点を規定することが提案されている(例えば特許文献1)。しかしながら、このようなポリプロピレン樹脂を選択した場合は延伸性が悪化するために均一で膜厚の厚い2軸配向ポリプロピレンフィルムを得ることは困難であり、とりわけ60ミクロンを超える厚みのフィルムは、延伸ムラによる膜厚の不均一のため工業的に製造することが困難であった。そのため、2枚の2軸配向ポリプロピレンフィルムを貼り合わせたり、他の素材、例えばポリエステルフィルムを貼り合わせて厚いフィルムを作成し、離型用フィルムとして使用する試みがなされていた。
このような貼り合わせフィルムは確かに寸法安定性が向上する効果があるが、貼り合わせ工程での気泡等の異物混入や加工コストが高くなる問題があり、実用上の問題を生じていた。
一方、このような問題の対応策として、耐熱性、延伸性に優れるポリプロピレン樹脂として特定のプロピレン−1−ブテン共重合体を用いる提案もされている(特許文献2)。しかしながら、このような樹脂組成を選択した場合、確かに延伸性は良好になるものの、必ずしも離型用として必要な耐熱性には不十分であった。
また、ポリプロピレン95〜50重量%とポリブテン5〜50重量%との混合物を用い、横延伸倍率/縦延伸倍率で示される比(R)を0.25≦R≦1.2にして所望のフィルムを得ようという提案もなされている(特許文献3)。しかしながら、このような樹脂組成、延伸条件を選択した場合、確かに延伸性は良好となるものの、必ずしも離型用として必要な厚み均一性、耐熱性には不十分である。また、フィルム表面に凹凸ができ、平滑性に欠ける場合があるため、フィルムの両面に樹脂層を重ねる必要が生じる場合がある。
また、炭素数が4以上のα−オレフィンをポリプロピレンの重合時に0.05〜5重量%含有して、延伸性の良いポリプロピレンフィルムを得ようとする提案もなされている(特許文献4)。しかしながら、このような重合時添加による手法によると、フイルム表面に微細な凹凸を生じ易く、表面を平滑にコントロールすることが難しく、表面光沢度、透明性を要求されるラベル用途、工程紙用途としては使用し難いという問題があった。
特開2001−146536公報(特許請求の範囲)
特開2002−128825号公報(請求項1、請求項3)
特開平07−156264号公報(請求項1)
特開2006−183017号公報(特許請求の範囲)
本発明は厚み均一性に優れ、延伸性、耐熱性、表面特性に優れた2軸配向ポリプロピレンフィルムを提供することを目的とするものである。
かかる課題を解決するために、本発明は以下の構成からなる。すなわち、
(1)式1で示される繰り返し単位を有するポリブテン−1を含み、NMR法による前記ポリブテン−1の含有量が0.5〜5重量%であり、かつ融点が157〜167℃であるポリプロピレン樹脂組成物からなり、厚みが6〜300μm、初期荷重20mN/10mm、温度150℃の条件下で幅方向の熱収縮応力が10Kg/mm2以下である2軸配向ポリプロピレンフィルム。
(1)式1で示される繰り返し単位を有するポリブテン−1を含み、NMR法による前記ポリブテン−1の含有量が0.5〜5重量%であり、かつ融点が157〜167℃であるポリプロピレン樹脂組成物からなり、厚みが6〜300μm、初期荷重20mN/10mm、温度150℃の条件下で幅方向の熱収縮応力が10Kg/mm2以下である2軸配向ポリプロピレンフィルム。
(2)厚みが50〜200μmである、上記(1)に記載の2軸配向ポリプロピレンフィルム。
(3)少なくとも一方の表面の光沢度が120%以上である、上記(1)または(2)に記載の2軸配向ポリプロピレンフイルム。
(3)少なくとも一方の表面の光沢度が120%以上である、上記(1)または(2)に記載の2軸配向ポリプロピレンフイルム。
本発明の2軸配向ポリプロピレンフィルム(以下本発明フィルム)は、厚み均一性や平面性、易延伸性に優れ、特に離型用として加工性、耐熱性に優れており、離型用フィルムとして好適である。
本発明フィルムを構成するポリプロピレン樹脂組成物はポリプロピレンとポリブテン−1との混合物である。ポリプロピレンにポリブテン−1を含有せしめる方法としては、種々の方法を用いることができる。また、ポリブテン−1の含有量は0.5〜5重量%であることが重要であり、好ましくは1〜3重量%である。含有量が0.5重量%未満であると、均一に延伸することができず、実用に耐えないフィルムになる場合がある。また、含有量が5重量%を超えると相溶範囲を超えるため、表面に粗大な凹凸を形成したり、耐熱性、剛性が著しく低下する等、実用に耐えないフィルムになる場合がある。
また、本発明フィルムを構成するポリプロピレン樹脂組成物の融点は、157〜167℃であることが重要であり、好ましくは159〜165℃である。融点が157℃未満であると耐熱性に問題を生じる場合がある。また融点が167℃を超えると、均一に延伸することができず、実用上に耐えないフィルムとなる場合がある。
ポリブテン−1樹脂をポリプロピレン樹脂に少量(5重量%以下)添加する場合、ポリプロピレン樹脂組成物の融点は主に使用されるポリプロピレン樹脂の融点によって決まり、使用されるポリブテン−1樹脂の量にはほとんど影響されない。そのため、融点をこの範囲にするためには、該当範囲の融点を持つポリプロピレン樹脂を選択することが好ましい。
また、本発明のフィルムの厚みは6〜300μmであることが好ましく、より好ましくは50〜200μm、さらに好ましくは65〜100μmである。フィルムの厚みが6μm未満であると当該用途での耐熱性に劣る場合がある。またフィルムの厚みが300μmを超えると、均一に延伸することができず、実用に耐えないフィルムとなる場合がある。ポリマーの溶融押出量を増やすとフィルムの厚みが厚くなり、減らすとフィルムの厚みが薄くなるため、フィルムの厚みをこの範囲にするためには、ポリマーの溶融押出量を適宜調整すればよい。
また、本発明のフィルムの初期荷重20mN/10mm、温度150℃の条件下での幅方向の熱収縮応力は10Kg/mm2以下であることが重要であり、好ましくは7〜10Kg/10mm2、より好ましくは7.6〜10Kg/10mm2である。初期荷重20mN/10mm、温度150℃の条件下での幅方向の熱収縮応力が10Kg/mm2を超えると、延伸ムラが生じ、実用に耐えないフィルムとなる場合がある。
ポリブテン−1の含有量を増やすと熱収縮応力が下がり、減らすと熱収縮応力が上がるため、初期荷重20mN/10mm、温度150℃の条件下での幅方向の熱収縮応力をこの範囲にするためには、ポリブテン−1の含有量を前述の範囲にすればよい。また、初期荷重20mN/10mm、温度150℃の条件下での幅方向の熱収縮応力は使用するポリブテン−1樹脂の融点を適宜選択することが好ましく、その範囲は70〜130℃であると好ましく、100〜120℃であるとより好ましい。
また、本発明のフィルムの光沢度は少なくとも一方の表面において、より好ましくは表面と裏面の両面において120%以上であることが好ましく、126〜150%であるとより好ましい。フィルムの光沢度が120%未満であると、当該用途での平滑性に劣る場合がある。また、光沢度が高すぎると滑り性が悪化して工程適性に問題を生じることがある。フィルムの光沢度は使用するポリブテン−1樹脂の融点を適宜選択することが好ましく、その範囲は70〜130℃であると好ましく、100〜120℃であるとより好ましい。また、前述のとおり、使用するポリブテン−1樹脂の含有量が5重量%を超えると、表面に粗大な凹凸を形成し、フィルムの光沢度が低下する場合がある。もちろん、必要であれば、公知の技術を用いて、表面に更に別の樹脂層を設けて、光沢度をコントロールすることができる。
また、本発明フィルムには、ポリプロピレン樹脂組成物の化学的な安定性を付与する上で、熱安定剤、酸化防止剤を添加することが好ましい。具体的には、フェノール系、ヒンダードアミン系、フォスファイト系、ラクトン系、トコフェロール系の熱安定剤や酸化防止剤が例示される。さらに具体的には、ジブチルヒドロキシトルエン、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株): “Irganox(登録商標)1010”)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4ヒドロキシ)ベンゼン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株): “Irganox(登録商標)1330”)、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株): “Irgafos(登録商標)168”)が挙げられる。この中で、フェノール系酸化防止剤系から選ばれた少なくとも1種あるいはそれらの組み合わせ、あるいはフェノール系とフォスファイト系との組み合わせ、及び、フェノール系とラクトン系、フェノール系とフォスファイト系とラクトン系の組み合わせが、ポリプロピレン樹脂の化学的な安定性を付与する観点から好ましい。
なお、本発明フィルムには本目的を反しない範囲で、有機および/または無機のすべり剤、塩素捕獲剤、帯電防止剤を含有することが可能である。すべり剤としては、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド等脂肪族アミド、ラウリル酸ジエタノールアミド、アルキルジエタノールアミン、脂肪族モノグリセライド、脂肪族ジグリセライド、シリカ、アルミナ、シリコーン架橋ポリマー等が例示される。塩素捕獲剤としては、ステアリン酸カルシウム、ハイドロタルサイト等が例示される。また、帯電防止剤としては、アルキルメチルジベタイン、アルキルアミンジエタノール及び/又はアルキルアミンエタノールエステル及び/又はアルキルアミンジエタノールジエステル等が例示される。
以下、本発明フイルムの製造方法を説明するが、以下の記載に限定されるものではない。
ポリプロピレン樹脂は公知の方法で得ることができる。製造方法としては、例えばチタン、アルミニウム化合物からなるチーグラー触媒系を用い、炭化水素溶媒中プロピレンを重合する方法、液状プロピレン中で重合する方法(バルク重合)、気相で重合する方法が挙げられる。
また、ポリブテン−1樹脂は公知の方法で得ることができる。製造方法としては、例えばチーグラー触媒を用い、モノマー溶媒中でブテン−1を重合する方法やパラフィン系炭化水素溶媒中でブテン−1を重合する方法が挙げられる。
そのポリプロピレン樹脂とポリブテン−1樹脂を混合する方法としては、それぞれの樹脂を2軸押出機等をもちいて溶融混練した後にペレット化する方法やそれぞれの樹脂をドライブレンドしておいて、製膜装置に導く方法、ポリプロピレン樹脂の重合時にブテン−1及び/またはポリブテン−1として添加する方法等が例示される。この中で、ポリプロピレン樹脂とポリブテン−1樹脂とを予め所定濃度となるように混練してペレット化しておくか、あるいはポリプロピレン樹脂にポリブテン−1を高濃度に添加したペレット(所謂マスターペレット)を作成しておき、製膜機の押出機にて所定濃度となるようにポリプロピレン樹脂と混練し押出す方法が経済的であり好ましい。
次いで、本発明フイルムは2軸延伸法によって製造されるが、テンター法、チューブラー(バブル)法いずれの方法によってもよい。この中でもテンター法は厚み斑・平面性が良好となるので好ましい。テンター法でも更に同時二軸延伸法と逐次二軸延伸法とがあるが、いずれの方法によってもよい。以下逐次二軸延伸法により本発明フイルムを得る方法を説明するが、もちろんこれに限定されるものではない。
前記のように準備された樹脂組成物を230〜270℃で押出機にて溶融混錬して、ポリマーフイルターを経由してT型スリットダイよりシート状に溶融押出しする。
このようにして溶融混練された樹脂組成物は押出機からポリマーフィルターにて粗大異物等を除去された後に口金に導かれ、70〜100℃にコントロールした金属ドラム上にエアー圧で密着させシート状に成形される。
ここで得られたシートは加熱金属ロールにより予熱し130〜155℃までフイルム温度を昇温し、周速差を設けた1対のロール間で3.5〜6.5倍、好ましくは4〜6倍に長手方向に延伸し一軸延伸フイルムとする。次いで該一軸延伸フイルムの幅方向の両端をクリップで把持して加熱オーブンに導いて150〜170℃に予熱した後に幅方向に7〜12倍、好ましくは8〜10倍に延伸し二軸延伸フイルムとし、幅方向に0〜20%のリラックスを許しながら140〜160℃でアニールする。このようにして得られた二軸延伸フイルムの両エッジ部をトリミングした後にコロナ放電処理を施した後にロール状に巻き取る。
巻き取られたフイルムは、20〜40℃の雰囲気中でエージング処理を施された後に必要な製品幅に裁断する。
以下実施例に基づき、本発明フィルムの実施態様を説明するが、本実施例に限定されるものではない。
次に、本発明の実施例に用いる評価法および測定法について説明する。
(1)ポリブテン−1の含有量
ポリブテン−1を含むフィルムサンプルについて、140℃での13C−NMR法による分析を行い、スペクトルを得た。分析条件は次の通りである。
ポリブテン−1を含むフィルムサンプルについて、140℃での13C−NMR法による分析を行い、スペクトルを得た。分析条件は次の通りである。
約0.3gのフィルムサンプル及び約5mlのo−ジクロロベンゼンをサンプル管に装入し140℃で溶解;10mmφプローブを使用;測定装置 日本電子社製GX−270(6.34T);13C観測周波数 67.94MHz;ロック溶媒 ベンゼン−d6;パルス幅 17μs(90°パルス);積算繰り返し時間 25s;測定温度 140℃;試料回転数 15Hz
<解析条件>
LBを5.0としてフーリエ変換を行い、ポリプロピレン(PP)のメチル炭素のピークを20.85ppmとした。Aliceソフト バージョン4.8(日本電子データム社製)を用いて、各ピークの面積積分値を求めた。ポリブテン−1(PB)の含有率は、PPのメチル炭素のピーク強度IPPとPBのメチル炭素の強度IPBを用い、下の計算式より求めた。
<解析条件>
LBを5.0としてフーリエ変換を行い、ポリプロピレン(PP)のメチル炭素のピークを20.85ppmとした。Aliceソフト バージョン4.8(日本電子データム社製)を用いて、各ピークの面積積分値を求めた。ポリブテン−1(PB)の含有率は、PPのメチル炭素のピーク強度IPPとPBのメチル炭素の強度IPBを用い、下の計算式より求めた。
PB含有率(wt%)=IPB×56/(IPP×42+IPB×56)×100
(2)融点
セイコー社製RDC220示差走査熱量計を用いて、以下の条件で測定を行った。
(2)融点
セイコー社製RDC220示差走査熱量計を用いて、以下の条件で測定を行った。
<試料の調製>
検体5mgを測定用のアルミパンに封入する。
検体5mgを測定用のアルミパンに封入する。
<測定>
以下の(a)→(b)→(c)のステップでフイルムを溶融・再結晶・再溶融させる。樹脂の融点は2nd Runで観測される融解ピークの内で最も高い融解ピーク温度を融点とした。n=3の平均値を求めた。
以下の(a)→(b)→(c)のステップでフイルムを溶融・再結晶・再溶融させる。樹脂の融点は2nd Runで観測される融解ピークの内で最も高い融解ピーク温度を融点とした。n=3の平均値を求めた。
(a)1st Run 30℃→280℃(昇温速度20℃/分)
(b)Tmc 280℃で5分保持後に20℃/分で 30℃まで冷却
(c)2nd Run 30℃→280℃(昇温速度20℃/分)
(3)フィルム厚み
JIS C−2330(2001)の7.4.1.1.により、平均フィルム厚さを求めた。
(b)Tmc 280℃で5分保持後に20℃/分で 30℃まで冷却
(c)2nd Run 30℃→280℃(昇温速度20℃/分)
(3)フィルム厚み
JIS C−2330(2001)の7.4.1.1.により、平均フィルム厚さを求めた。
(4)熱収縮応力
エスエスアイ・ナノテクノロジー株式会社製TMA/SS6100を用いて、TMAによる測定をフィルムの幅方向について10点測定する。その平均値を熱収縮応力値とした。
エスエスアイ・ナノテクノロジー株式会社製TMA/SS6100を用いて、TMAによる測定をフィルムの幅方向について10点測定する。その平均値を熱収縮応力値とした。
測定条件は以下の通りである。
<測定条件>
サンプル長:20mm
断面積 :0.12mm
昇温条件 :30℃〜200℃ 10℃/min
(5)光沢度
JIS K 7105に準じ、スガ試験機株式会社製 デジタル変角光沢計UGV−5Dを用いて入射角60°受光角60°の条件で測定した5点のデータの平均値を光沢度とする。尚、製膜時に冷却ドラムに接していた面をフィルムの表面とし、その反対側の面を裏面として測定を行う。
サンプル長:20mm
断面積 :0.12mm
昇温条件 :30℃〜200℃ 10℃/min
(5)光沢度
JIS K 7105に準じ、スガ試験機株式会社製 デジタル変角光沢計UGV−5Dを用いて入射角60°受光角60°の条件で測定した5点のデータの平均値を光沢度とする。尚、製膜時に冷却ドラムに接していた面をフィルムの表面とし、その反対側の面を裏面として測定を行う。
(6)易延伸性
後述の製膜方法の幅方向延伸工程後におけるフィルムの状態を次の基準で判定した。
後述の製膜方法の幅方向延伸工程後におけるフィルムの状態を次の基準で判定した。
○:延伸ムラが見られず良好。
△:フィルムの幅方向50cm以上の間隔で延伸ムラが確認できる。
×:フィルムの幅方向50cm未満の間隔で延伸ムラが確認できる。
(7)厚み均一性
(3)同様の方法でフィルムの幅方向について10点測定する。各々の測定値の最大、最小値からばらつき(最大値−最小値)を算出する。
(3)同様の方法でフィルムの幅方向について10点測定する。各々の測定値の最大、最小値からばらつき(最大値−最小値)を算出する。
以上の方法で得られた値を次の基準で判定した。
○:ばらつきがフィルム厚みの10%未満であること。
△:ばらつきがフィルム厚みの10%以上12%未満であること。
×:ばらつきがフィルム厚みの12%以上であること。
(8)耐熱性
オフラインでフィルムの片面にシリコ−ン樹脂を塗布し、幅方向に張力をかけずに150℃のオーブンを通す。その後、サンプルを平坦なテ−ブルの上に5mの長さに広げて、塗布面に蛍光灯の光を反射させて熱しわの有無を確認する。またシリコーン樹脂は、加工張力10kg/mの条件下で、ダイコート方式によりする。
オフラインでフィルムの片面にシリコ−ン樹脂を塗布し、幅方向に張力をかけずに150℃のオーブンを通す。その後、サンプルを平坦なテ−ブルの上に5mの長さに広げて、塗布面に蛍光灯の光を反射させて熱しわの有無を確認する。またシリコーン樹脂は、加工張力10kg/mの条件下で、ダイコート方式によりする。
以上の方法で得られたサンプルの状態を次の基準で判定した。
○:熱しわは全く見られず良好。
△:全面に熱しわは見られないが、部分的に熱しわが見られる。
×:全面に熱しわが確認できる。
以下、実施・比較例に基づき説明する。
1.ポリプロピレン樹脂及びポリブテン−1樹脂の準備
ポリプロピレン樹脂及びポリブテン−1樹脂は、表1に示す特性の樹脂を用いた。
2.製膜方法
いずれの実施・比較例も以下の製膜方法により2軸配向ポリプロピレンフイルムを得た。
ポリプロピレン樹脂ペレットとポリブテン−1樹脂ペレットとをポリブテン−1添加量が5重量%となるようにドライブレンドした後に、2軸押出機にて240℃で溶融混練した水冷バス中にガット状に押出し、冷却固化後ペレット状に裁断してポリブテン−1を5重量%含有するマスタ−ペレットを得た。 次いで、ポリプロピレン樹脂ペレットとポリブテン−1マスターペレットとを所定のポリブテン−1の含有量となるように適宜混合して、直列に用意された2台の押出機I、IIの押出機Iから250℃で溶融押出して、押出機IIに導き、ポリマーフィルターを経由してT型ダイからシートとして押出したのち、冷却ドラム上で固化させる。2軸延伸後のフイルム厚みが20ミクロンを下回る場合は、50℃の冷却ドラム上に空気圧で押しつけながら冷却し、シートを得る。また、20μm以上のフィルムを得る場合は、冷却ドラムを25℃とし、更に該冷却ドラムのほぼ半周を水槽に水没させ、溶融シートを空気圧で冷却ドラムに押しつけながら水槽中に導いて冷却する。該水槽の水温は25℃に維持するように冷却水を循環させる。
1.ポリプロピレン樹脂及びポリブテン−1樹脂の準備
ポリプロピレン樹脂及びポリブテン−1樹脂は、表1に示す特性の樹脂を用いた。
2.製膜方法
いずれの実施・比較例も以下の製膜方法により2軸配向ポリプロピレンフイルムを得た。
ポリプロピレン樹脂ペレットとポリブテン−1樹脂ペレットとをポリブテン−1添加量が5重量%となるようにドライブレンドした後に、2軸押出機にて240℃で溶融混練した水冷バス中にガット状に押出し、冷却固化後ペレット状に裁断してポリブテン−1を5重量%含有するマスタ−ペレットを得た。 次いで、ポリプロピレン樹脂ペレットとポリブテン−1マスターペレットとを所定のポリブテン−1の含有量となるように適宜混合して、直列に用意された2台の押出機I、IIの押出機Iから250℃で溶融押出して、押出機IIに導き、ポリマーフィルターを経由してT型ダイからシートとして押出したのち、冷却ドラム上で固化させる。2軸延伸後のフイルム厚みが20ミクロンを下回る場合は、50℃の冷却ドラム上に空気圧で押しつけながら冷却し、シートを得る。また、20μm以上のフィルムを得る場合は、冷却ドラムを25℃とし、更に該冷却ドラムのほぼ半周を水槽に水没させ、溶融シートを空気圧で冷却ドラムに押しつけながら水槽中に導いて冷却する。該水槽の水温は25℃に維持するように冷却水を循環させる。
続いて該シートを金属ロールに接触させながら140℃に加熱後、周速差のあるロール間で4.8倍に長手方向に延伸し一軸配向フィルムを得る。
次いで該一軸配向フィルムをクリップで把持して熱風オーブン中に導入して、160℃に予熱した後に幅方向に9倍延伸し、引き続き幅方向に5%の弛緩をしながら160℃で熱固定を行い、得られた2軸配向ポリプロピレンフィルムの端部をトリミングした後、巻き取った。
(実施例1)
ポリプロピレン樹脂としてPP(A)、ポリブテン−1樹脂としてPB−1(A)を用いて、NMR法による分析値でポリブテン−1の含有量を2.5重量%として、前述の方法により2軸配向ポリプロピレンフイルムを得た。幅方向延伸工程後のフィルムには延伸ムラが見られず良好であった。
ポリプロピレン樹脂としてPP(A)、ポリブテン−1樹脂としてPB−1(A)を用いて、NMR法による分析値でポリブテン−1の含有量を2.5重量%として、前述の方法により2軸配向ポリプロピレンフイルムを得た。幅方向延伸工程後のフィルムには延伸ムラが見られず良好であった。
得られた2軸配向ポリプロピレンフィルムの厚みは80μmであり、融点は162℃、初期荷重20mN/10mm、温度150℃の条件下で幅方向の熱収縮応力が8Kg/mm2、光沢度は表面が142%で裏面が140%であった。
こうして得られた2軸配向ポリプロピレンフィルムは、厚み均一性が良く、さらに耐熱性に優れ、問題なく離型用途に使用することができた。
(実施例2)
ポリプロピレン樹脂としてPP(A)、ポリブテン−1樹脂としてPB−1(B)を用いて、NMR法による分析値でポリブテン−1の含有量を2.5重量%として、前述の方法により2軸配向ポリプロピレンフイルムを得た。幅方向延伸工程後のフィルムには延伸ムラが見られず良好であった。
ポリプロピレン樹脂としてPP(A)、ポリブテン−1樹脂としてPB−1(B)を用いて、NMR法による分析値でポリブテン−1の含有量を2.5重量%として、前述の方法により2軸配向ポリプロピレンフイルムを得た。幅方向延伸工程後のフィルムには延伸ムラが見られず良好であった。
得られた2軸配向ポリプロピレンフィルムの厚みは80μmであり、融点は163℃、初期荷重20mN/10mm、温度150℃の条件下で幅方向の熱収縮応力が8.5Kg/mm2、光沢度は表面が124%で裏面が120%であった。
こうして得られた2軸配向ポリプロピレンフィルムは、当該用途での平滑性にやや難があるものの厚み均一性が良く、さらに耐熱性に優れ、問題なく離型用途に使用することができた。
(実施例3)
ポリプロピレン樹脂としてPP(A)、ポリブテン−1樹脂としてPB−1(A)を用いて、NMR法による分析値でポリブテン−1の含有量をを0.5重量%として、前述の方法により2軸配向ポリプロピレンフイルムを得た。幅方向延伸工程後のフィルムには幅方向50cm以上の間隔で延伸ムラが確認できた。
ポリプロピレン樹脂としてPP(A)、ポリブテン−1樹脂としてPB−1(A)を用いて、NMR法による分析値でポリブテン−1の含有量をを0.5重量%として、前述の方法により2軸配向ポリプロピレンフイルムを得た。幅方向延伸工程後のフィルムには幅方向50cm以上の間隔で延伸ムラが確認できた。
得られた2軸配向ポリプロピレンフィルムの厚みは80μmであり、融点は163℃、初期荷重20mN/10mm、温度150℃の条件下で幅方向の熱収縮応力が9Kg/mm2、光沢度は表面が146%で裏面が142%であった。
こうして得られた2軸配向ポリプロピレンフィルムは、厚み均一性がやや悪い箇所があったものの、耐熱性に優れ、問題なく離型用途に使用することができた。
(実施例4)
ポリプロピレン樹脂としてPP(A)、ポリブテン−1樹脂としてPB−1(A)を用いて、NMR法による分析値でポリブテン−1の含有量を5.0重量%として、前述の方法により2軸配向ポリプロピレンフイルムを得た。幅方向延伸工程後のフィルムには延伸ムラが見られず良好であった。
ポリプロピレン樹脂としてPP(A)、ポリブテン−1樹脂としてPB−1(A)を用いて、NMR法による分析値でポリブテン−1の含有量を5.0重量%として、前述の方法により2軸配向ポリプロピレンフイルムを得た。幅方向延伸工程後のフィルムには延伸ムラが見られず良好であった。
得られた2軸配向ポリプロピレンフィルムの厚みは80μmであり、融点は161℃、初期荷重20mN/10mm、温度150℃の条件下で幅方向の熱収縮応力が7Kg/mm2、光沢度は表面が126%で裏面が124%であった。
こうして得られた2軸配向ポリプロピレンフィルムは当該用途での平滑性にやや難があり、厚み均一性がやや悪い箇所があり、やや耐熱性に欠けるものの、問題なく離型用途に使用することができた。
(実施例5)
ポリプロピレン樹脂としてPP(A)、ポリブテン−1樹脂としてPB−1(A)を用いて、NMR法による分析値でポリブテン−1の含有量を2.5重量%として、溶融押出量を0.125倍にして、前述の方法により2軸配向ポリプロピレンフイルムを得た。幅方向延伸工程後のフィルムには延伸ムラが見られず良好であった。
ポリプロピレン樹脂としてPP(A)、ポリブテン−1樹脂としてPB−1(A)を用いて、NMR法による分析値でポリブテン−1の含有量を2.5重量%として、溶融押出量を0.125倍にして、前述の方法により2軸配向ポリプロピレンフイルムを得た。幅方向延伸工程後のフィルムには延伸ムラが見られず良好であった。
得られた2軸配向ポリプロピレンフィルムの厚みは10μmであり、融点は162℃、初期荷重20mN/10mm、温度150℃の条件下で幅方向の熱収縮応力が6Kg/mm2、光沢度は表面が144%で裏面が142%であった。
こうして得られた2軸配向ポリプロピレンフィルムは、厚み均一性が良く、やや耐熱性に欠けるものの、問題なく離型用途に使用することができた。
(実施例6)
ポリプロピレン樹脂としてPP(A)、ポリブテン−1樹脂としてPB−1(A)を用いて、NMR法による分析値でポリブテン−1の含有量を2.5重量%として、溶融押出量を2.38倍にして、さらに長手方向の延伸倍率を3.5倍、幅方向の延伸倍率を6.0倍として、前述の方法により2軸配向ポリプロピレンフイルムを得た。幅方向延伸工程後のフィルムには延伸ムラが見られず良好であった。
ポリプロピレン樹脂としてPP(A)、ポリブテン−1樹脂としてPB−1(A)を用いて、NMR法による分析値でポリブテン−1の含有量を2.5重量%として、溶融押出量を2.38倍にして、さらに長手方向の延伸倍率を3.5倍、幅方向の延伸倍率を6.0倍として、前述の方法により2軸配向ポリプロピレンフイルムを得た。幅方向延伸工程後のフィルムには延伸ムラが見られず良好であった。
得られた2軸配向ポリプロピレンフィルムの厚みは190μmであり、融点は162℃、初期荷重20mN/10mm、温度150℃の条件下で幅方向の熱収縮応力が9.5Kg/mm2、光沢度は表面が141%で裏面が139%であった。
こうして得られた2軸配向ポリプロピレンフィルムは、厚み均一性がやや悪い箇所がありものの、耐熱性に優れ、問題なく離型用途に使用することができた。
(実施例7)
ポリプロピレン樹脂としてPP(A)、ポリブテン−1樹脂としてPB−1(A)を用いて、NMR法による分析値でポリブテン−1の含有量を2.5重量%として、溶融押出量を3.5倍にして、さらに長手方向の延伸倍率を3.5倍、幅方向の延伸倍率を6.0倍として、前述の方法により2軸配向ポリプロピレンフイルムを得た。幅方向延伸工程後のフィルムには幅方向50cm以上の間隔で延伸ムラが確認できた。
ポリプロピレン樹脂としてPP(A)、ポリブテン−1樹脂としてPB−1(A)を用いて、NMR法による分析値でポリブテン−1の含有量を2.5重量%として、溶融押出量を3.5倍にして、さらに長手方向の延伸倍率を3.5倍、幅方向の延伸倍率を6.0倍として、前述の方法により2軸配向ポリプロピレンフイルムを得た。幅方向延伸工程後のフィルムには幅方向50cm以上の間隔で延伸ムラが確認できた。
得られた2軸配向ポリプロピレンフィルムの厚みは280μmであり、融点は162℃、初期荷重20mN/10mm、温度150℃の条件下で幅方向の熱収縮応力が10Kg/mm2、光沢度は表面が140%で裏面が138%であった。
こうして得られた2軸配向ポリプロピレンフィルムは、厚み均一性がやや悪い箇所がありものの、耐熱性に優れ、問題なく離型用途に使用することができた。
(比較例1)
ポリプロピレン樹脂PP(A)のみを用いて、前述の方法により2軸配向ポリプロピレンフイルムを得た。しかし、幅方向延伸工程後のフィルムの延伸ムラが至る所で確認でき、実用に耐えられるものでは無かった。
ポリプロピレン樹脂PP(A)のみを用いて、前述の方法により2軸配向ポリプロピレンフイルムを得た。しかし、幅方向延伸工程後のフィルムの延伸ムラが至る所で確認でき、実用に耐えられるものでは無かった。
(比較例2)
ポリプロピレン樹脂としてPP(A)、ポリブテン−1樹脂としてPB−1(A)を用いて、NMR法による分析値でポリブテン−1の含有量を6重量%として、前述の方法により2軸配向ポリプロピレンフイルムを得た。しかし得られたフィルムは耐熱性に劣り、実用に耐えられるものでは無かった。
ポリプロピレン樹脂としてPP(A)、ポリブテン−1樹脂としてPB−1(A)を用いて、NMR法による分析値でポリブテン−1の含有量を6重量%として、前述の方法により2軸配向ポリプロピレンフイルムを得た。しかし得られたフィルムは耐熱性に劣り、実用に耐えられるものでは無かった。
(比較例3)
ポリプロピレン樹脂としてPP(A)、ポリブテン−1樹脂としてPB−1(A)を用いて、NMR法による分析値でポリブテン−1の含有量を2.5重量%として、溶融押出量を0.0625倍として、前述の方法により2軸配向ポリプロピレンフイルムを得た。
ポリプロピレン樹脂としてPP(A)、ポリブテン−1樹脂としてPB−1(A)を用いて、NMR法による分析値でポリブテン−1の含有量を2.5重量%として、溶融押出量を0.0625倍として、前述の方法により2軸配向ポリプロピレンフイルムを得た。
得られた2軸配向ポリプロピレンフィルムの厚みは5μmであったが、耐熱性に劣り、実用に耐えられるものでは無かった。
(比較例4)
ポリプロピレン樹脂としてPP(A)、ポリブテン−1樹脂としてPB−1(A)を用いて、NMR法による分析値でポリブテン−1の含有量を2.5重量%として、溶融押出量を3.875倍として、前述の方法により2軸配向ポリプロピレンフイルムを得た。
ポリプロピレン樹脂としてPP(A)、ポリブテン−1樹脂としてPB−1(A)を用いて、NMR法による分析値でポリブテン−1の含有量を2.5重量%として、溶融押出量を3.875倍として、前述の方法により2軸配向ポリプロピレンフイルムを得た。
得られた2軸配向ポリプロピレンフィルムの厚みは310μmであったが、幅方向延伸工程後のフィルムの延伸ムラが至る所で確認でき、さらにフィルムの至る所で偏肉を生じており、実用に耐えられるものでは無かった。
(比較例5)
ポリプロピレン樹脂としてPP(A)、ポリブテン−1樹脂としてPB−1(A)を用いて、NMR法による分析値でポリブテン−1の含有量を2.5重量%として、長手方向の延伸倍率を4.8倍、幅方向の延伸倍率を5.3倍として、前述の方法により2軸配向ポリプロピレンフイルムを得た。
ポリプロピレン樹脂としてPP(A)、ポリブテン−1樹脂としてPB−1(A)を用いて、NMR法による分析値でポリブテン−1の含有量を2.5重量%として、長手方向の延伸倍率を4.8倍、幅方向の延伸倍率を5.3倍として、前述の方法により2軸配向ポリプロピレンフイルムを得た。
得られた2軸配向ポリプロピレンフィルムの厚みは80μmであり、融点は160℃、初期荷重20mN/10mm、温度150℃の条件下で幅方向の熱収縮応力が14Kg/mm2であった。
こうして得られた2軸配向ポリプロピレンフィルムは、幅方向延伸工程後のフィルムの延伸ムラが至る所で確認でき、さらにフィルムの至る所で偏肉を生じており、実用に耐えられるものでは無かった。
本発明フィルムは、厚み均一性、延伸性、耐熱性に優れ、特に離型用として加工性に優れた2軸配向ポリプロピレンフィルムである。また離型用途以外にも、ラベル用フィルム、各種カバー(保護)フィルム、粘着テープ基材として好ましく用いることもできる。
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