JP2008230055A - 電子ペーパー用ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 安価で、かつ、電子ペーパー製造における加工適性に優れ、電子ペーパー基材として要望される機能的特性、特に、光学的な歪みや欠陥の少ない、明瞭な透過視認性を有するポリエステルフィルム基材を提供する。
【解決手段】 フィルムの縦方向において、連続式厚さ計による厚さ振れが1μm以上である部分が20箇所/1000mm以下であり、偏光板で10cm四方のサイズのフィルムを挟み、偏光板を回転させながら蛍光灯の透過光で観察した際に、長径1mm以上の微小凹凸欠陥が10個以上存在しないことを特徴とする電子ペーパー用ポリエステルフィルム。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電子ペーパー用基材として好適なポリエステルフィルムに関するものである。
ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステルフィルムは、機械的強度、寸法安定性、平坦性、耐熱性、耐薬品性、光学特性等に優れ、コストパフォーマンスにも優れるため、各種の用途において基材フィルムとして使用されている。その用途の例として、電子ペーパー用基材がある。
電子ディスプレイ用途では、構造材料あるいは機能材料としてガラス基板が使用されているが、ディスプレイの方式の一つとしての電子ペーパーディスプレイについては、フレキシビリティの付与あるいは、トータル厚みを薄くする、軽量化することを目的として種々のプラスチックフィルムの使用が試みられている。
電子ペーパーの構成に関し一例を挙げると、基材の上に透明電極層、さらにはマイクロカプセル化した電子インキの塗布層が設けられる。このマイクロカプセル化電子インキは、内部の粒子が電圧の印加により帯電し、白と黒に分かれて文字・画像を表示するものである。この電子インキ塗布層と背面電極基板を貼り合わせてサンドイッチ構成体としたもの、さらには、露出表面側に傷入り防止のハードコートを施して電子ペーパーとする。
この電子ペーパーについては、各種樹脂シート/防湿層/接着層/樹脂シートの構成となした導電層用支持体の例(特許文献1)、表面にハードコート層を設け、かつ、その表面層に帯電防止性状を付与したポリエステルフィルムを用いた基材の例(特許文献2)、ポリブチレンテレフタレートフィルム基材を用いた例(特許文献3)等があるが、加工性、機能性およびコスト的な観点から、より好適なフィルム基材が望まれている。
特開2003―175566号公報 特開2003―182009号公報 特開2005―162768号公報
本発明は、電子ペーパーの実用化が進むなかで、上記実情に鑑みなされたものであり、安価で、かつ、電子ペーパー製造における加工適性に優れ、電子ペーパー基材として要望される機能的特性、特に、光学的な歪みや欠陥の少ない、明瞭な透過視認性を有するポリエステルフィルム基材を提供することを解決課題とするものである。
本発明者は上記実情に鑑み、検討を重ねた結果、特定の特性を兼備するポリエステルフィルムによれば、上記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、フィルムの縦方向において、連続式厚さ計による厚さ振れが1μm以上である部分が20箇所/1000mm以下であり、偏光板で10cm四方のサイズのフィルムを挟み、偏光板を回転させながら蛍光灯の透過光で観察した際に、長径1mm以上の微小凹凸欠陥が10個以上存在しないことを特徴とする電子ペーパー用ポリエステルフィルムに存する。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明に用いる基材は、コスト的に安価で、かつ、広く工業用として利用されているポリエステルフィルムに関するものであり、ここにおけるポリエステルとは、例えば、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものである。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的であり、かつ、コストと品質とのバランスから好ましいポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)が例示される。
また、ポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。共重合ポリエステルの場合は、通常30モル%以下の第三成分を含有した共重合体である。
本発明で用いるポリエステルは、溶融重合反応で得られたものであっても、また溶融重合後、チップ化したポリエステルを固相重合したものであってもよい。
本発明においては、単層構造のフィルムであっても、異種のポリエステルや添加物等の異なるポリエステルを共押出積層した構造を有するフィルムであってもよく、各ポリエステル層の何れかに、本発明の要旨を損なわない範囲であれば、帯電防止剤等を配合してもよい。
通常、ポリエステルフィルムは、製膜したフィルムを傷あるいは歪みを発生させることなく適正に巻き取るため、さらには、種々の加工において、トラブルなく連続的な加工が適正に為されるように、フィルムに適度の滑り性を付与することが必要である。この場合、ポリエステルに対し、不活性な無機または有機の微粒子などを添加するが、配合する粒子としては、酸化ケイ素、アルミナ、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、カオリン、タルク、架橋高分子微粉体等を挙げることができる。これらの粒子は、単独あるいは2成分以上を同時に使用してもよい。
この場合、添加する粒子の種類、粒径あるいは添加量によって、フィルムの算術平均粗さ(Ra値と称す)およびヘーズ値(曇り度)は変化する。
添加する粒子の粒径が小さく、また、添加量が少ないほどフィルムのRa値およびヘーズ値は低くなり、より平坦なフィルム表面を有し、かつより透明なフィルムが得られるが、逆に、透明度を上げすぎるとフィルムの滑り性が悪くなり、フィルムロールとして正常な巻き取りができなくなり、後加工の際にも種々のトラブルが発生しやすくなる。したがって、使用する用途に応じて、添加する粒子、あるいは量を調整する必要がある。
これらの結果として、易接着層またはハードコート層を有するフィルムに加工後のヘーズ値が1.5%を超える場合、あるいはRa値の平均が0.015μmを超える場合は、フィルムの透明性・鮮明性が電子ペーパーの用途には適さない場合があり、また、Ra値の平均が0.004μmより小さくなると、フィルムの滑り性が悪くなりすぎ、電子ペーパーの加工工程で滑り性に起因するトラブルを招くことがある。
なお、本発明においては、片面のRa値が小さすぎる場合であっても、裏面側が大きければトラブルを防止できるため、表裏のRa値が異なる場合は、その平均値が対象となる。
電子ペーパーの用途においては、フィルムに添加する粒子の量は、粒径によって異なるが、沈降法にて測定した平均粒径が1〜2μmの粒子の場合は10〜500ppmの範囲である。なお多層フィルムの場合は、対象とする表面を構成する層において、上記した範囲の粒子添加量とすることが好ましい。
電子ペーパーの用途においては、透明導電層の加工、電子インキの塗布加工等の加工段階において、加熱工程を経ることになる。この時に基材フィルムの加熱収縮率が高いと、付設された電極間隔に寸法ズレあるいはダメージが発生し、トラブルを招く。また、サンドイッチ構造にラミした場合にカールが発生したりする。最終製品においても、加熱伸縮の小さいことが好ましい。
したがって、本用途においては、150℃で1時間加熱処理後のフィルムの縦および横方向の加熱収縮率の絶対値がいずれも0.7%以下であることが好ましい。通常の条件で製膜されたポリエステルフィルムは、製膜条件にもよるが、一般的な逐次縦−横延伸・熱固定方式の場合、当該加熱収縮率は、縦方向が1.0〜3.0%、横方向が0.0〜0.5%程度である。フィルムの縦方向の加熱収縮率を工業的、すなわち、連続的な長尺フィルムの状態で小さくする方法としては、低テンション下で所定温度以上の加熱炉を通して加熱弛緩することにより、そのテンション、温度、処理時間に応じて、小さくすることができる。
本発明においては、電子ペーパー用途に使用する場合、150℃の加熱収縮率を小さくすることが有効であり、特に、縦横ともに0.7%以下にした場合、上記したトラブルを防止する上で大きな効果を発揮することが判明した。
電子ペーパー用途においては、光学的特性において、欠陥がないことが要求される。後工程としてのハードコート層あるいは電子インク塗布層に横段状の厚薄塗布ムラ欠陥が発生するとその商品価値は低くなる。これについては、基材としてのポリエステルフィルムの縦方向について、連続式厚さ計で測定した場合に、厚さ振れ(山谷間の厚み差)が1μm以上の部分が1000mmあたり20箇所以内であることが必要である。1μm以上である厚さ振れが1000mmあたり20箇所以上存在すると(この場合、規則的な周期でなくとも、周期状に見えるので、ここでは周期状厚薄と表現する)、コートあるいは印刷加工時のトラブル発生のみならず、塗布品において横段状のムラとして出現し、商品価値も下がる。ここでいう山谷間とは、その間に小さな山谷部が存在しても、その厚み差が1μm以上となりうる一番高い山部、一番低い谷部を指す。
この縦方向周期状厚薄は、フィルム製膜時におけるキャスティングドラムの振動、口金の振動、あるいは口金から押し出された溶融樹脂シートの押出脈動、キャスティングドラムの冷却不足等があると発生しやすい。したがって、本用途の製膜においては、これらを、総合的に、通常の用途品より厳密に管理・調整を行い、採取製膜フィルムの欠陥状況を確認のうえ、製膜を行う必要がある。
光学的歪み性をさらに良くするには、ポリステルフィルム基材の微小凹凸状欠陥をなくすことが必要である。本用途においては、非常に小さい欠陥であっても問題となり得るため、通常の外観の検査で確認することは容易ではない。この欠陥は、斜め、ほぼ水平方向からポリエステルフィルムを反射光および透過光観察するなど、特定の方法を用いることにより確認できる。この欠陥については、2枚の偏光板でポリエステルフィルムを挟み、相互の角度を変え、下面からの蛍光灯透過光でポリエステルフィルムを検査することにより、明確に視認できる。この欠陥は、散発的ならば許容されうるが、偏光板を用いた検査で検出しえる、長径1mm以上の欠陥が10cm×10cmの正方形(100cm)に10個以上存在すると問題となる。
この微小凹凸欠陥は、フィルム製膜中に、キャスティングドラムあるいはフィルム縦延伸ニップロール表面の汚染等の進行、フィルム−キャスティングドラムあるいはフィルム−延伸ニップロール間の接触不良等により、フィルム表面に微小歪みが発生すると出現する。これらのドラムあるいはロール表面汚染は、ポリエステル樹脂から発生するオリゴマー成分あるいは周囲からの異物等で進行するため、静電密着法を用いての溶融樹脂シートとキャスティングドラムとの密着性アップ、汚れ出現時のドラムあるいはロール表面洗浄・汚染除去を適切に行い、フィルムとドラムあるいはロールの接触を均一にする必要がある。これらの現象については、許容限度を認識のうえ、適切に対応することにより、製膜効率を維持しつつ対処・回避できる。
次に、本発明のポリエステルフィルムの製造方法の例として、ポリエチレンテレフタレートフィルムの例を示すが、使用するポリエステル、あるいは、添加粒子により製造条件は異なり、本発明は必ずしもこれに限定されない。また、粒子の添加は、ポリエステル重合段階からポリエステル樹脂の押出機への供給段階までの任意の段階で実施しうる。
まず、常法に従って、テレフタル酸とエチレングリコールからエステル化し、または、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールのエステル交換により、ビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレート(BHT)を得る。次にこのBHTを減圧下、280℃に加熱して重合反応を進めポリエステル原料を得る。
このポリエステル原料を、押出機を用いて、押出脈動を抑えた押出量で、口金から溶融シートとして押出し、表面を清浄状態に保った冷却キャスティングドラム上にキャスティングし冷却固化して未延伸シートを得る。キャスティングについては、静電密着法を用いて、充分な静電強度で密着させる。この場合、内部に冷却水を通したキャスティングドラムの温度が過度に上昇しないように、冷却水温度を15℃程度に維持する。
この未延伸シートを、表面を清浄に保った縦延伸ニップロールにより一段目の縦延伸を行う。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃であり、延伸倍率は、通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する方向にテンターで横延伸を行う。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜115℃であり、延伸倍率は、通常3.0〜6倍、好ましくは3.5〜5倍である。引き続き、130℃〜250℃の範囲の温度で30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸延伸ポリエステルフィルムを得る。
製膜時には、縦方向周期状厚薄、微小凹凸欠陥の検査を実施し、これらの欠陥が、基準を逸脱する場合は、その対応処置を行い、品質を保つ。
本発明の基材としてのポリエステルフィルムの厚さは、その用途により、種々の厚みが選択しうるが、電子ペーパー用途としては、その厚みは100〜260μmの範囲が適当とされる。
本発明において、基材のポリエステルフィルムに易接着性を付与するには、易接着性付与塗料をインラインコート方式またはオフラインコート方式にて塗布する。
インラインコートとは、フィルムの製膜工程のなかで塗料を塗布する場合であり、オフラインコートとは、製膜にて得られた二軸延伸ポリエステルフィルムをコーターにかけ、塗料を塗布・乾燥する場合である。本発明においては、インラインコートの方が望ましい。すなわち、電子ペーパー用途においては、少なくとも片面側に機能樹脂の塗布加工がなされ、この塗布層の接着性を高めるために易接着層が求められる。このことを、コスト的に安価に成し遂げるには、ポリエステルフィルムの製膜時に易接着層をインラインコートすることが好ましい。
塗料の塗布方法としては、ロールコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、リバースコート法、リバースグラビアコート法、バーコート法、ロールブラッシュ法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ダイコート法などの任意の塗布方法を適宜、単独または組み合わせて適用するとよい。
易接着性塗料の成分としては、特開平11−198329号公報に記載されているようなポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂と架橋剤成分のメラミン系樹脂等を組み合わせたものを例示できる。また、易接着層の乾燥後塗布量は、0.02〜0.5g/mの範囲が適当である。
本発明のポリエステルフィルムは、光学的な歪みの少ない、明瞭な透過視認性を有する電子ペーパー用基材フィルムとして好適に使用され、工業的価値は高い。
以下、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、本発明における各種特性の評価方法は以下のとおりである。
(1)縦方向周期状厚薄
試料フィルムより縦方向(フィルムの流れ方向)長さ1m、幅38mmの試験片を切り取り、アンリツ(株)製 電子マイクロメーター(フィルム連続厚さ計)を使用し、フィルム送り速度60cm/分にて、連続的に試験片フィルムの厚さを測定し、チャート紙に出力記録し、厚さ振れ(山谷間の厚み差)が1μm以上の部分の箇所数を調べた。図1にチャート紙の厚さ振れ出現状況の例を示す。なお、隣りあう山谷の厚み差が1μm未満の場合は、複数の山、複数の谷を含めて一番高い山、一番低い谷を山谷として厚み差を判定した。
〇:厚さ振れ(山谷部の距離)が1μm以上の部分が20箇所未満である
×:厚さ振れ(山谷部の距離)が1μm以上の部分が20箇所以上存在する
(2)微小凹凸欠陥
試料フィルムを、表裏2枚の偏光板で挟み、裏側から蛍光灯をあてて、偏光板の角度を変えながら挟んだフィルムを表側から透過光観察し、歪み状に出現する欠陥を計数した。試料フィルム幅方向の平均出現個数を評価値とする。
〇:長径が1mm以上の欠陥数が10cm×10cmの正方形に10個以上存在しない
×:長径が1mm以上の欠陥数が10cm×10cmの正方形に10個以上存在する
(3)ヘーズ
JIS K−7136に基づき、試料フィルムの全光線透過率(τt)に対する拡散透過率(τd)の比としてフィルムのヘーズ値を求めた。
ヘーズ(%)=(τd/τt)×100
(4)算術平均粗さ(Ra)
フィルム表面を、JIS B0601に基づいて、カットオフ値は0.08mmにて測定し、算出した。
(5)加熱収縮率
フィルムの縦方向および横方向より短冊型の試験片を切り出し、試験片を熱風循環式恒温槽内に入れ150℃で1時間加熱し、取り出し、直ちに水冷して、全長をステンレス製スケールで測定し、次式により求めた。
加熱収縮率(%)=[(元長−加熱後の長さ)/(元長)]×100
(6)光学的歪み性
垂直〜ほぼ水平方向にかけて、種々の角度から試料フィルムを透過光ならびに反射光で観察し、下記基準で判定。
〇:どの角度から見ても鮮明で、フィルム層面に微小凹凸状の欠陥あるいは横段状の欠陥が殆ど認められない
×:角度により、フィルム層面に微小凹凸状の欠陥あるいは横段状の欠陥が有意に認められる
(7)巻取性
フィルム製膜時およびハードコート樹脂塗布加工時において、巻取りフィルムロールの状態を下記基準で目視判定した。
〇:巻取ったフィルムロールに凹凸跡等のダメージ跡、歪みの発生がない
×:巻取ったフィルムロールに歪が発生し、スムーズに巻き取れない
(8)寸法歪み
試料フィルムに5mm間隔の碁盤目をつけ、熱風循環式恒温槽内に入れ、130℃で3分間加熱し、取り出し、処理後のフィルムの碁盤目の縦横間隔を電極配線間隔に見立て歪み具合を観察し、下記基準で評価した。
〇:碁盤目に寸法歪みが発生し、寸法間隔にズレが見られる
×:碁盤目に寸法歪みがほとんどない
(9)加熱後のカール
約8mの乾燥炉およびUV照射設備を有するコーターにて、試料ポリエステルフィルムの易接着層上に走行速度30m/minで下記のハードコート塗料を塗布し、100℃で乾燥後、照射距離100mm、120W/cmの高圧水銀灯2灯にてUV硬化処理を行い、乾燥後塗布厚3μのハードコート層を有する片面ハードコートポリエステルフィルムを作った。
<ハードコート塗料の組成>
日本合成化学(株)製UV7600B:100重量部(オリゴマー成分)
日本合成化学(株)製 D−1173:3重量部(光開始剤)
希釈溶剤MEK:100重量部
このフィルムを、試験片を熱風循環式恒温槽内で、150℃で3分間加熱し、取り出してフィルムのカールの度合いを観察し、下記基準で評価した。
×:明らかにフィルムがカールし、実用に際して支障がある
〇:カールがない、または実用に支障を与えないレベル以下である
・易接着性塗料の作成
下記に示す塗料原液A〜Dを重量比A/B/C/D=20/45/30/5で混合した水性塗料を作成した。
A:テレフタル酸/イソフタル酸/5−ソジウムスルホイソフタル酸/エチレングリコール/ネオペンチルグリコール=24/25/1/25/25モル比のポリエステル分散体
B:メチルアクリレート/エチルアクリレート/アクリロニトリル/N−メチロールメタアクリルアミド=45/45/5/5モル比の乳化重合体(乳化剤はアニオン系界面活性剤)
C:メラミン架橋剤:ヘキサメトキシメチルメラミン
D:粒子径0.06μmの酸化ケイ素の水分散体
実施例1:
ポリエチレンテレフタレート(平均粒径約1.5μmのシリカ粒子を15PPM添加)のペレットを180℃で熱風乾燥結晶化後、押出機に供給し、280〜300℃の温度で口金からシート状に適性押出量を調整して溶融押出しし、適性強度条件の静電密着法を併用し、回転振動を極度に抑え、表面を清浄にし、かつ冷却水温度を15℃に維持して適性な冷却温度を保った鏡面キャスティングドラム上にキャスト・急冷し、厚さ約1925μmの未延伸フィルムとし、引き続いて、このフィルムを85〜95℃で、表面を清浄に保った縦延伸ニップロールにて、長手(縦)方向に3.2倍延伸し、一軸延伸フィルムとし、引き続き、上記の水性塗料を使用して、易接着性塗料を塗布し、横延伸ゾーンにて110〜150℃で横方向に3.2倍延伸し、230℃で熱処理・固定を行い、厚さ188μm、乾燥後易接着層塗布厚約0.1μmの片面易接着性ポリエステルフィルムを得た。
この片面易接着性ポリエステルフィルムを雰囲気温度170℃に調整した熱処理ゾーンを有する加熱処理機に通し、熱処理ゾーンの通過時のフィルムテンション5kg/1000mm幅で熱処理ゾーン通過時間20秒で熱弛緩処理を行い、低収縮性片面易接着ポリエステルフィルム−T1を巻き取った。
実施例2:
実施例1と同様にして、但し、キャスティングロール表面がごく薄く汚れた状況にて、実施例1と同様にして、厚さ188μm、乾燥後易接着層塗布厚約0.1μmの片面易接着性ポリエステルフィルムを得た。この片面易接着性ポリエステルフィルムを用いて、実施例1と同様にして、熱処理ゾーン通過速度をやや遅くした熱処理を行うことにより低収縮性片面易接着ポリエステルフィルム−T2を得た。
比較例1:
表面清浄性、振動抑止配慮がなく、かつ、冷却水温度35℃のキャスティングドラム、および、清浄性配慮の無い縦延伸ロールを用いて、実施例1の製膜条件にて、厚さ188μm、乾燥後易接着層塗布厚約0.1μmの片面易接着性ポリエステルフィルムを得た。
この片面易接着性ポリエステルフィルムを用いて、実施例1と同様にして、低収縮性ポリエステルフィルム−H1を得た。
比較例2:
キャスティングドラムならびに縦延伸ロールの表面清浄性を配慮することなく、実施例1の製膜条件にて、厚さ188μm、乾燥後易接着層塗布厚約0.1μmの片面易接着性ポリエステルフィルムを得た。この片面易接着性ポリエステルフィルムを用いて、実施例1と同様にして、低収縮性ポリエステルフィルム−H2を得た。
比較例3:
比較例1における使用するポリエチレンテレフタレートのペレットを、平均粒径約2.3μmのシリカ粒子を600PPM添加したものに変え、低収縮化処理のない片面易接着性ポリエステルフィルム−H3を得た。
比較例4:
比較例1における使用するポリエチレンテレフタレートのペレットを、平均粒径約1.5μmのシリカ粒子を2PPM添加したものに変え、低収縮化処理のない片面易接着性ポリエステルフィルム−H4を得た。
得られたフィルムの特性および評価結果は、下記表1に示すとおりであり、実施例1〜2についてはすべての特性において満足しうるが、一方、比較例1〜4においてはこれらのすべてを満足するものではない。
Figure 2008230055
本発明のフィルムは、電子ペーパー用基材をはじめとして、光学用途基材に好適に利用することができる。
連続式厚さ計による厚さ振れの測定チャートの一例である。

Claims (1)

  1. フィルムの縦方向において、連続式厚さ計による厚さ振れが1μm以上である部分が20箇所/1000mm以下であり、偏光板で10cm四方のサイズのフィルムを挟み、偏光板を回転させながら蛍光灯の透過光で観察した際に、長径1mm以上の微小凹凸欠陥が10個以上存在しないことを特徴とする電子ペーパー用ポリエステルフィルム。
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