JP5393818B2 - 光学用積層ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
近年、IT(Information Technology)分野の躍進に伴い、LCD、PDP、有機EL等の表示部材製造時に使用されるポリエステルフィルムの品質向上と共に、オリゴマーの析出に伴う各種不具合が顕在化する状況にある。
5≦P≦200(ppm)・・・(2)
(上記式中、TiおよびPはポリエステルフィルム中におけるチタン元素含有量、リン元素含有量を示す)
本発明における積層ポリエステルフィルムは、単層構成であっても積層構成であってもよく、例えば、2層、3層構成以外にも本発明の要旨を越えない限り、4層またはそれ以上の多層であってもよく、特に限定されるものではない。
0≦P ≦300(ppm)・・・(2)
Tiに関しては、好ましくは2〜10ppmの範囲である。Tiが上記(1)式の上限を超える場合、ポリエステルを溶融押出する工程でオリゴマーが副生し、低オリゴマーでかつ高透明性を有するフィルムが得られない場合がある。光学用途において、色調を重視する用途に対応困難になる場合がある。一方、Pに関しては、好ましくは5〜200ppmの範囲である。Pが上記(2)式の上限を超える場合、ポリエステル製造時にゲル化が発生し、異物となってフィルムの品質を低下させ、例えば、光学的評価を伴う検査工程に対応困難になる等の不具合を生じる場合がある。
20≦W(B)≦80 …(2)
(上記式中、W(A)およびW(B)は積層ポリエステルフィルムを構成する塗布層中における金属元素を含む有機化合物(A)の含有量(重量%)、バインダーポリマー(B)の含有量(重量%)を表す)
W(A)は20〜80重量%、W(B)は30〜70重量%の範囲がそれぞれさらに好ましい。金属元素を有する有機化合物(A)およびバインダーポリマー(B)の何れかが上記範囲を外れる場合、熱処理後の塗布層表面からのオリゴマー析出量が多くなる場合がある。
(上記式中、Δnはフィルムの可視光(波長=589nm)での複屈折であり、dはフィルムの厚み(nm)である)
すなわち、直線偏光した光が、延伸されたポリエステルフィルムなどの複屈折体に入射すると一般に互いに直交する振動方向を有し、しかも速度を異にする2つの偏光波のみが通過する。その速度を異にすることから2つの偏光波には位相差が生じる。この位相差をリターデーションとよぶ。
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
所定量のポリエステルフィルムをクロロホルム/1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(混合比:3/2)混合溶液に溶解した後、クロロホルム/メタノール(混合比:2/1)で再析出して濾過し、線状ポリエチレンテレフタレートを除いた後、次いで得られた濾液中の溶媒を、エバポレータを用いて蒸発させ、得られた析出物を所定量のDMFに溶解させた。得られたDMFを、液体クロマトグラフィー(島津LC−7A)に供給してポリエステル中に含まれるオリゴマー(環状三量体)量を求め、この値を測定に用いたポリエステル量で割って、ポリエステルフィルム中に含まれるオリゴマー(環状三量体)量とした。液体クロマトグラフィーで求めるオリゴマー(環状三量体)量は、標準試料ピーク面積と測定試料ピーク面積のピーク面積比より求めた(絶対検量線法)。標準試料の作成は、予め分取したオリゴマー(環状三量体)を正確に秤量し、正確に秤量したDMF(ジメチルホルムアミド)に溶解して作成した。
移動相A:アセトニトリル
移動相B:2%酢酸水溶液
カラム:三菱化学(株)製 MCI GEL ODS 1HU
カラム温度:40℃
流速:1ml/分
検出波長:254nm
あらかじめ、積層ポリエステルフィルムの塗布層表面を溶剤(メチルエチルケトン)塗布した後、窒素雰囲気下、180℃のオーブンで10分間放置し、熱処理を行った。次に得られたポリエステルフィルムをJIS−K7105に準じ、日本電色工業社製積分球式濁度計NDH−1001DPにより、フィルムヘーズ(H)を測定した。その後、未処理(メチルエチルケトン塗布前)の積層ポリエステルフィルムについて、フィルムヘーズ(H0)を測定し、下記式により、積層ポリエステルフィルムのフィルムヘーズ変化率(ΔH)を求めた。
ΔH=H−H0
大塚電子株式会社製、セルギャップ検査装置RETS−1100Aを用い、フィルム長手方向に20mm毎に50点測定し、標準偏差(STD)を計算した。なお、リターデーションの測定には光干渉法を用い、アパーチャ径5mmとし、23℃で行った。
JIS−K7105に準じ、日本電色工業社製分球式濁度計NDH−1001DPによりフィルムの濁度および全光線透過率を測定した。
アンリツ社製連続フィルム厚さ測定器(電子マイクロメーター使用)により、積層ポリエステルフィルムの縦方向および横方向に沿って測定(測定長3m)し、次式より算出した。
厚みムラ=((最大厚さ−最小厚さ)/平均厚さ)×100(%)
マイクロメータ−により求めた。
試料フィルムの縦方向および横方向より短冊型の試験片を切り出し、熱風循環式恒温槽内に入れて、150℃で1時間加熱処理し、取り出した後に水冷し、全長をステンレス製
スケールで測定し、縦方向(Sh(MD))および横方向(Sh(TD))の加熱収縮率を求めた。
加熱収縮率(%)=|[(元長−加熱後の長さ)/(元長)]|×100
電通産業(株)製フラットイルミネーターの上に試料フィルムを載せ、光の透過の仕方を目視で検査して下記判定基準により判定を行なった。
《判定基準》
○:フィルムを載せた場合でも、透過光がほとんどフラットイルミネーターと同一の明るさを保持するもの
△:フィルムを載せた場合、少し白っぽく濁った感じで光が見えるもの
×:フィルムを載せた場合、光が濁った感じとなるもの
クロスニコル下、試料フィルムを配置し、白色光源で光干渉の影響を以下の判定基準により判定を行なった。
《判定基準》
○:光干渉による色むらが観察できない
△:光干渉による色むらはあるが、使用上問題ない
×:光干渉による色むらのため、不具合が生じる
蛍光X線分析装置((株)島津製作所社製型式「XRF−1500」を用いて、下記表1に示す条件下で、フィルムFP法により単枚測定でフィルム中の元素量を求めた。なお、本方法での検出限界は、通常1ppm程度である。
下記塗布剤組成から構成される活性エネルギー線硬化樹脂を試料フィルムの塗布層上に下記硬化条件により、塗布厚み(乾燥後)が5μmになるように形成した後、1インチ幅に碁盤目が100個になるようにクロスカットを入れ、直ちに、同一箇所について粘着テープ(ニチバン製)急速剥離試験テストを3回実施し、剥離面積を用いて、下記判定基準により判定を行なった。
《活性エネルギー線硬化樹脂組成》
KAYARAD DPHA(日本化薬製) 77部
KAYARAD R−128H(日本化薬製) 18部
IRGACURE651(チバガイギー製) 5部
乾燥温度(℃):100
乾燥時間(秒):15
UVランプ:高圧水銀灯
出力:120(w/cm)×2灯
照射距離(mm):100
《判定基準》
◎:碁盤目剥離個数0個(実用上問題ないレベル)
○:1≦碁盤目剥離個数≦10個(実用上問題ないレベル)
△:11≦碁盤目剥離個数≦20個(実用上問題になる場合があるレベル)
×:21<碁盤目剥離個数(実用上問題あるレベル)
試料フィルムにつき、下記判定基準により、総合評価を行った。
《判定基準》
◎:ΔHが5%以下、かつ目視検査、明るさ評価、接着性がすべて○である。
(極めて良好。実用上問題ないレベル)
○:ΔHが5%以下、かつ目視検査、明るさ評価、接着性のいずれかの項目が△である。(良好。実用上問題ないレベル)
△:ΔHが5%以下、接着性が○または△で、かつ目視検査、明るさ評価のいずれかの項目が×である。(やや不良。実用上問題になる場合があるレベル)
×:ΔHが5%を越える、または接着性が×である。(不良。実用上問題あるレベル)
〈ポリエステルの製造〉
(ポリエステルA)
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去と共に除々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了したこの反応混合物にエチレングリコールスラリーに分散させた平均粒径が3.0μmのシリカ粒子を0.45部、エチルアシッドフォスフェート0.04部、三酸化アンチモン0.04部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち温度を230℃から除々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より除々に減じ最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、4時間を経た時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステルAの極限粘度は、0.65であった。
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒としてテトラブトキシチタネート0.01部を加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物を重縮合槽に移し、平均粒子径2.5μmのシリカ粒子のエチレングリコールスラリーを、粒子のポリエステルに対する含有量が0.06重量%となるように添加し、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.55に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、極限粘度0.55のポリエステルBを得た。
ポリエステルBを真空下220℃で固相重合し、極限粘度0.67のポリエステルCを得た。
(ポリエステルD)
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.09部を加えて反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物を重縮合槽に移し、正リン酸0.02部を添加した後、二酸化ゲルマニウム0.02部加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.63に相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させ、極限粘度は0.63のポリエステルDを得た。
上記ポリエステルC,Dをそれぞれ95%、5%の割合で混合した混合原料を押出機に供給し、各々285℃で溶融した後、40℃に冷却したキャスティングドラム上に押出し、冷却固化させて無配向シートを得た。次いで、リニアモーター駆動式の同時二軸延伸機を有するテンターに導いて、さらに95℃の熱風で予熱・加温を行い、95℃で縦方向3.5倍、横方向4.3倍に同時二軸延伸を行った。次に下記塗布剤組成から構成される塗布剤を塗布厚み(乾燥後)が0.07(g/m2)になるように片面に塗布し、同じテンター内で240℃の熱風雰囲気下で3秒間、熱固定を行い、同じ温度で縦方向および横方向に各々3%弛緩処理を行った後、フィルムをロール状に巻き上げ、塗布層が設けられた、厚さ100μmの積層ポリエステルフィルムを得た。
(化合物例)
・チタン元素を含む有機化合物:(A1)
チタンラクテート TC−310(松本製薬工業社製)
・チタン元素を含む有機化合物:(A2)
チタントリエタノールアミネート TC−400(松本製薬工業社製)
・ジルコニウム元素を含む有機化合物:(A3)
ジルコニウムアセテート ZB−115(松本製薬工業社製)
・PVA系樹脂:(B1)
けん化度=88モル%、重合度=500のポリビニルアルコール
・アクリル系樹脂:(B2)
ジュリマーAT−M−918(日本純薬(株)製)
・架橋剤(C)
ガンマ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
・粒子:(D)
平均粒径65nmのシリカゾル
下記塗布剤を用い、塗布液の濃度は4重量%とした。
チタン元素を含む有機化合物(A1):50重量%
チタン元素を含む有機化合物(A2):0重量%
ジルコニウム元素を含む有機化合物(A3):0重量%
PVA系樹脂(B1):25重量%
アクリル系樹脂(B2):0重量%
架橋剤(C):20重量%
粒子(D):5重量%
次に得られた積層ポリエステルフィルムを雰囲気温度170℃に調整した熱処理ゾーンを有する加熱処理装置に通し、熱処理ゾーン通過時のフィルム張力を5kg/1000mm幅、熱処理ゾーン通過時間を20秒間として、熱弛緩処理を施し、積層ポリエステルフィルムを得た。
実施例1において、下記表2〜表4に示す条件に変更する以外は実施例1と同様に製造し、積層ポリエステルフィルムを得た。
上記ポリエステル(C)をA層の原料とし、ポリエステル(B)をB層の原料として、2台の押出機に各々を供給し、各々285℃で溶融した後、A層を最外層(表層)、B層を中間層として、40℃に冷却したキャスティングドラム上に、2種3層(A/B/A)の層構成で共押出し冷却固化させて無配向シートを得た。次いで、リニアモーター駆動式の同時二軸延伸機を有するテンターに導いて、さらに95℃の熱風で予熱・加温を行い、95℃で縦方向3.5倍、横方向4.3倍に同時二軸延伸を行った。次に、実施例1で用いたものと同じ塗布液を塗布厚み(乾燥後)が0.07(g/m2)になるように片面に塗布し、同じテンター内で240℃の熱風雰囲気下で3秒間、熱固定を行い、同じ温度で縦方向および横方向に各々3%弛緩処理を行った後、フィルムをロール状に巻き上げ、塗布層が設けられた、厚さ100μmの積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、15/70/15μmであった。採取した積層ポリエステルフィルムの特性をまとめて下記表2〜表6に示す。
Claims (3)
- チタン元素量およびリン元素含有量が下記式(1)および(2)を同時に満足し、アンチモン元素を実質的に含まない、少なくとも一軸方向に延伸されたポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布層が設けられた積層ポリエステルフィルムであり、前記塗布層が金属元素を含む有機化合物およびポリビニルアルコールを各々10重量%以上含有し、当該塗布層表面にメチルエチルケトンを塗布し、乾燥後に180℃で10分間熱処理した前後におけるフィルムヘーズ変化率(ΔH)が5%以下であることを特徴とする光学用積層ポリエステルフィルム。
2≦Ti≦10(ppm)・・・(1)
5≦P≦200(ppm)・・・(2)
(上記式中、TiおよびPはポリエステルフィルム中におけるチタン元素含有量、リン元素含有量を示す) - 金属元素がチタン元素またはジルコニウム元素である請求項1に記載の光学用積層ポリエステルフィルム。
- 塗布層が設けられた積層ポリエスエルフィルムの厚みが100〜250μmである請求項1または2に記載の光学用積層ポリエステルフィルム。
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