JP2021041664A - 熱風加熱循環装置、並びにフィルムの製造方法 - Google Patents

熱風加熱循環装置、並びにフィルムの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2021041664A
JP2021041664A JP2019167153A JP2019167153A JP2021041664A JP 2021041664 A JP2021041664 A JP 2021041664A JP 2019167153 A JP2019167153 A JP 2019167153A JP 2019167153 A JP2019167153 A JP 2019167153A JP 2021041664 A JP2021041664 A JP 2021041664A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hot air
oligomer
ultraviolet rays
heating circulation
specific wavelength
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019167153A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6752431B1 (ja
Inventor
進 平良
Susumu Taira
進 平良
福島 登
Noboru Fukushima
登 福島
綱島 研二
Kenji Tsunashima
研二 綱島
剛 板川
Takeshi Itakawa
剛 板川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Koka Chrome Ind Co Ltd
KOKA CHROME INDUSTRY CO Ltd
Original Assignee
Koka Chrome Ind Co Ltd
KOKA CHROME INDUSTRY CO Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Koka Chrome Ind Co Ltd, KOKA CHROME INDUSTRY CO Ltd filed Critical Koka Chrome Ind Co Ltd
Priority to JP2019167153A priority Critical patent/JP6752431B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6752431B1 publication Critical patent/JP6752431B1/ja
Publication of JP2021041664A publication Critical patent/JP2021041664A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Processing And Handling Of Plastics And Other Materials For Molding In General (AREA)
  • Heating, Cooling, Or Curing Plastics Or The Like In General (AREA)
  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)

Abstract

【課題】熱風中に持続的に発生する気体状のオリゴマーなどの有機物質を効率よく除去するために、人体や装置に悪影響を与えるオゾンガスを発生させない特定波長の紫外線を照射して、汚染物質である該気体状および微粒子状態で熱風中を浮遊するオリゴマーを除去する熱風加熱循環装置を提供する。【解決手段】高温に加熱された高温の熱風を加熱循環系に強制循環させながら熱可塑性樹脂のフィルム状の被処理物を加熱処理する熱風加熱循環装置において、該加熱循環系内に浮遊しているオリゴマーなどの低分子化合物に、オゾン発生が実質的にない特定波長の紫外線UVを照射するとともに、該加熱装置の熱風温度よりも低温に設定された捕集体表面に該オリゴマーを凝縮・析出させ、該析出された該オリゴマー表面にもオゾン発生が実質的にない特定波長の紫外線UVを同時に照射して、該オリゴマーを分解させながら熱風を強制循環させる熱風加熱循環装置。【選択図】図1

Description

本発明は、被処理物である熱可塑性樹脂フィルム、またはシート(以降フィルムと略記)を130℃以上、好ましくは150℃以上、さらに好ましくは200℃以上の熱風で加熱することにより、該フィルム、または該フィルムの熱風加熱循環装置から発生する蒸発物や昇華物等のオリゴマーからなる汚染物質(以降オリゴマーと略記)を該熱風中から除去することで、該フィルムに対する汚染防止や、さらに該熱風加熱循環装置内の汚染防止を可能にするものである。こうする事で、該フィルム表面や該熱風加熱循環装置の汚染がなくなり、表面汚染のないクリーンなフィルムが得られるばかりか、該フィルムの生産を中断して該熱風循環装置に蓄積したオリゴマーを清掃する時間の削減が可能になり、この結果、生産装置の連続長期運転が可能となり、生産性の高い熱風加熱循環装置を提供出来るだけでなく、さらに該装置から得られる表面のクリーンなフィルムの製造方法を提供するものである。
フィルムを加熱延伸・熱処理するための方法は、加熱空気などの熱風を装置内に強制循環させる方法が行われているが、被処理物である熱可塑性樹脂フィルムやシートからブリードアウトして発生する蒸発物や昇華物によって次第に熱風が汚染されてくる。これら熱風中の該オリゴマー物は、異物として被処理物であるフィルム表面に付着してフィルムの品質を低下させ、さらには熱風加熱循環装置のフィルム処理室の壁面や、フィルムを把持するクリップ、さらには該クリップが摺動するレール内面などに付着して堆積するばかりか、その堆積物が被処理体であるフィルム表面に落下すると、製造されるフィルムの表面に付着物や傷による欠点を発生させる可能性が高くなる。該蒸発物や昇華物は、熱可塑性樹脂フィルムやシートに含まれるオリゴマーや昇華性添加物であったり、装置の潤滑油であったりする。しかし、これら汚染物質の発生を抑制することは非常に困難であるので、従来からこれらを除去する方法や装置がいろいろと提案されている。
特許文献1〜3に示されたように、高温の熱交換器を利用した燃焼方式によって循環熱風中のオリゴマーを除去する技術では、オリゴマーを燃焼させるために循環熱風を一度800〜1000℃にまで加熱する必要がある。このため、この技術では、高温用電気ヒーターや、プロパンガスなどの加熱源が必要になるばかりか、新鮮な空気を別途導入して、一旦加熱した空気を再度、フィルムの処理温度に相応しい150℃から240℃まで低下させる必要があるために、たとえ熱交換器で回収しても熱損失は補えず、ランニングコストが高くなる。また、熱可塑性樹脂のオリゴマーは可燃性物質であり、それを高温加熱燃焼で除去する技術であるため、火災対策が要求されるという課題もある。
特許文献4〜6には、セラミックハニカムに担持した酸化物触媒や白金触媒により循環熱風中の有機系汚染物質を酸化燃焼分解させる方法が開示されている。ところが、これらの白金触媒などの固体触媒の表面は、継続使用で被毒されるために使用時間と共にその酸化分解能力が劣化してくる。また、通常、分子量が大きな有機化合物は、200〜250℃程度の温度では白金触媒などの固体触媒によるに酸化燃焼は難しい。とくにPETのオリゴマーなどの、ベンゼン環のある環状3〜5量体および糸状の3〜5量体などの分子量の大きいオリゴマーは、そのままでは、分解処理の効率が良くないので、タールやピッチ状の分解残渣が大量に蓄積してくる。このため、PETフィルムの循環熱風加熱処理装置では、1〜2年のサイクルで白金触媒を担持したセラミックハニカムを一旦装置外に取り出し、白金触媒に付着したタール状の物質を500℃以上の高温での燃焼によって除去しなければならない。しかし、触媒の被毒が多いと再生が難しく、高価な触媒の寿命がかなり短くなる欠点もある。さらに、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂フィルムの熱処理用の熱風温度は160℃程度と低いために、白金触媒の有機物の酸化分解効率がより悪くなるので、この方法は使用できない。
特許文献7〜8には、充填層や耐熱性多孔質膜などのフィルターを利用した除去方法が開示されているが、この方法では、蒸気状態から熱風中に析出可能で、フィルターの目開きより大きい直径の微粒子にまで凝集した昇華温度の高いオリゴマーは除去できるが、フィルターの目開き以下の微細粒子と昇華温度が低いために蒸気状態のままであるオリゴマーや有機物質は全く除去できない。また、より微細な粒子が除去できるフィルターを使用すると、使用時間が経過すると目詰まりで圧損が高くなるため、熱風の加熱循環量に影響を与える。したがって、該フィルターによる除去方法では、満足しうるレベルまで汚染物質を除去することができない。
特許文献9は、循環熱風の一部または全部を排気し、代わりに新鮮な熱風を給気してオリゴマー濃度を下げる方法だが、給気側熱風の予備加熱が必要であることと、大気汚染対策として、排気側熱風中のオリゴマーの除去処理が必要であるため、たとえ熱交換器を使用してもエネルギー消費が大きく好ましくない。
特許文献10〜12には、熱風を、冷却した捕集体表面に接触させて冷却することによって、熱風中の昇華物を液状あるいは固体状のオリゴマーとして凝縮・析出させて捕集する方法が開示されているが、この方法では捕集体の表面に付着し堆積したオリゴマーを常時除去して、捕集体表面をクリーンにする必要がある。捕集面のオリゴマー堆積量が増えすぎると、液滴あるいは塊状化したオリゴマーが熱風に再度巻き上げられてしまいフィルムに付着して欠点となる問題がある。さらに、より沸点および昇華点が低い低分子量オリゴマーの凝縮・析出を可能にするためには、捕集体表面の温度をそれらオリゴマーに合わせてさらに下げる必要があり、熱風の再加熱のための熱エネルギーが増えるため、エネルギー効率も悪く好ましくない。
特許文献13には、電気集塵機による循環熱風中の微粒子状あるいは液滴状のオリゴマーの捕集方法が開示されているが、電気集塵機では気体状態のオリゴマーや有機物質は捕集できない。また電気集塵機は、高電圧を印加して、帯電したオリゴマー微粒子を集塵用電極に付着させて捕集する。したがって、電気集塵機を稼働した状態では、集塵用電極に堆積したオリゴマーを回収することはできない。また、捕集用電極表面に捕集したオリゴマー微粒子は単に付着して堆積した状態であるため、捕集用電極表面からオリゴマーを回収するときに、熱風中に再飛散しやすいという問題もある。
特許文献14〜15には、高圧水銀ランプなどから長波長側の紫外線を光触媒に照射して活性化し、光触媒表面でオリゴマーを酸化分解させる方法が開示されている。ところが光触媒は、他の酸化燃焼触媒に比べてその分解能力は低く、特にベンゼン環のある分子量の大きい有機化合物の分解能力は低い。また光触媒は、紫外線による活性化が必要である。一方、熱風中のオリゴマーを触媒で処理する場合、最も圧力損失が少なく接触効率の良い触媒担体はポーラスハニカム構造体である。しかし、ポーラスハニカム構造体では内部の触媒には紫外線が照射できないので、その性能を引き出すことができない。したがって、光触媒は、フィルムの連続熱処理で発生する熱風中オリゴマーの酸化分解除去には適していない。
特許文献16には、熱可塑性樹脂フィルムの溶融押出し製造ラインでのフィルムの冷却成型・加熱・延伸・搬送などの工程で使用されるロール表面に、オゾンを発生させない特定波長の紫外線を、インラインで照射して、該ロールに接する熱可塑性樹脂フィルム表面からブリードアウトしてロール表面に付着したオリゴマー汚れ、あるいはフィルム表面から転写・付着したオリゴマー汚れを除去する方法が開示されている。これは、該ロール表面の汚れは、製品フィルム表面の擦り傷や、汚れ付着などの外観不良の原因となるので、オゾン発生の無い254nmを主とした特定波長の紫外線の照射で該ロール表面のオリゴマーを分解除去しようとするものである。
この方法は、フィルムから該ロール表面に凝縮・析出したオリゴマー表面に紫外線を照射してオリゴマーを分解する方法であるが、フィルム表面から発生するオリゴマーの蒸気が該ロール表面に凝縮・析出するのは、フィルムとロールが接触しているときだけなので、オリゴマーの蒸気だけでなく、該ロール表面に凝縮・析出した直後のオリゴマーにも紫外線を照射することはできない。また、ロール表面に凝縮・析出した後のオリゴマーは、紫外線が照射可能な位置まで移動する間に、すでに安定した固体状態に変化している。一般に、固体状態のオリゴマーは、気体状態のオリゴマーよりも紫外線による分解速度が遅いことが判っている。また、すでに固体状態となったオリゴマーへの紫外線照射では、紫外線の吸収と分解は表面から進行するので、オリゴマー内部および下層部の分解はさらに遅れるという欠点がある。このため、ロール表面に付着して固体状態となったオリゴマーに紫外線を照射して分解するこの方法は、紫外線の照射強度を増やしても、分解速度は飽和する傾向にあり、分解速度を充分には上げることができない。一方、紫外線の照射面積を増やしてオリゴマーの分解能力を上げようとしても、通常、ロールの表面の半分以上はフィルムに覆われており、紫外線を照射できる面積は限られている。このため、特に薄物フィルムの製膜ではフィルム速度が大きいので、単位時間当たりのロール表面への該オリゴマー付着量が膨大な量となり、フィルムの種類によっては、特許文献16の方法ではオリゴマーの分解除去能力が不足すると言う欠点もあった。
特開平4−201432号公報 特開2000−334749号公報 特開昭61−290031号公報 特開昭59−98821公報 特開平11−342535号公報 国際公開第2017/77990号 実全平1−46216号公報 特開昭60−97829号公報 特開2016―175230号公報 特開平5−253434号公報 特開2009−234195号公報 特開2003−19747号公報 特開平4−35925号公報 特開平11−333861号公報 特開平11−333860号公報 特許第6242550号公報
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、熱風中に持続的に発生する汚染物質である、気体状のオリゴマーやオリゴマー微粒子などの有機物質を効率よく除去することが可能な熱風加熱循環装置を提供することにある。また、本発明の他の目的は、有機物質によって表面が汚染されていない高品質の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法を提供することにもある。
上記目的を達成する本発明の熱風加熱循環装置は、高温に加熱された熱風を加熱循環系に強制循環させながら熱可塑性樹脂のフィルム状の被処理物を加熱処理する熱風加熱循環装置において、該加熱循環系内に浮遊している気体状のオリゴマーや微粒子状のオリゴマーなどの低分子化合物にオゾン発生が実質的にない特定波長の紫外線を照射するとともに、該加熱装置の熱風温度よりも低温に設定された捕集体表面に該オリゴマーを凝縮・析出させ、該析出された該オリゴマー表面にもオゾン発生が実質的にない特定波長の紫外線を同時に照射して、該オリゴマーを分解させながら熱風を強制循環させる熱風加熱循環装置、および該熱風加熱循環装置を使用した、表面のクリーンなフィルムの製造方法に関するものである。
本発明の場合、まず熱風中の気体状のオリゴマーと、熱風中を浮遊する微粒子状のオリゴマーとに該特定波長の紫外線を照射させながら、該オリゴマーを冷却した捕集面に凝縮・析出させ、その直後に、凝縮・析出したオリゴマーにも該特定波長の紫外線を同時に照射する方法である。重要なことは、該特定波長の紫外線を照射された熱風中の気体状および微粒子状のオリゴマーと、熱風中で該特定波長の紫外線が照射された後に捕集体表面に凝縮・析出したオリゴマーに同時に該特定波長の紫外線を照射することによって、非常に短時間で該特定波長の紫外線の照射による分解が可能になる点である。
本発明によれば、熱風中に分散して浮遊しているオリゴマーだけへの特定波長の紫外線照射の場合と凝縮・析出したオリゴマーだけへの紫外線照射の場合におけるそれぞれのオリゴマーの分解量より、熱風中のオリゴマーと凝縮・析出中の同量のオリゴマーにたいして、単独照射の場合と同量の該特定波長の紫外線を熱風中のオリゴマーと凝縮・析出直後のオリゴマーに同時照射した場合のほうが、オリゴマー分解速度がはるかに高くなるという予想外の効果が得られる。
該特定波長の紫外線を、熱風中のオリゴマーと凝縮・析出した直後のオリゴマーに同時照射することで分解速度が速くなる理由は詳細には不明であるが、以下の効果が推測される。熱風中のオリゴマーが特定波長の紫外線を吸収した場合、モノマーや同程度の分子量のオリゴマーは、特定波長の紫外線によるエネルギーで活性化して、低沸点有機化合物や二酸化炭素へと分解する。一方、2量体以上の比較的分子量が大きいオリゴマーは、より低分子量のオリゴマーへと分解が進行しているか、あるいはラジカルが発生して一部の結合が活性化しているものと推察される。また、気体状のオリゴマーや微粒子状のオリゴマーが、熱風中から補集体の表面に凝集析出した直後は、その厚みはまだ数分子レベルの大きさで、さらにお互いの結合や密着も不十分でまだ非晶質な状態にあると思われる。また、補集体の表面にトラップされたオリゴマー分子は捕集体の表面に固定されて移動できないので、該特定波長の紫外線への暴露時間が熱風中より長くなり、紫外線の吸収確率が高くなる。このように、新たに凝縮・析出した直後のオリゴマーは、上層から下層までのすべてのオリゴマー層に紫外線が到達し、同時に分解しやすい状態である。
この様に、熱風中のオリゴマーと特定波長の紫外線を照射しながら、凝縮・析出した直後のオリゴマーに特定波長の紫外線を同時に照射すると、熱風中のオリゴマーのみと、または凝縮・析出して固体状態で堆積しているオリゴマーのみに特定波長の紫外線を照射する場合に比べて、実用的に充分な速さで熱風循環路内のオリゴマーの分解除去が可能となる。
本発明の、熱風中のオリゴマーと該凝縮・析出するオリゴマー両方に、該特定波長の紫外線を同時照射する方法とは、以下の方法である。一つは、新たに凝縮・析出するオリゴマーの表面側の空間に設置した紫外線ランプから、該特定波長の紫外線を、熱風中のオリゴマーと新たに凝縮・析出するオリゴマーの表面との両方に熱風を介して同時照射する方法である。もう一つの方法は、該特定波長の紫外線の透過率の高い捕集体の片側の面において、熱風中からオリゴマーを凝縮・析出させながら、同時に該捕集体の反対(裏)側の空間に設置した紫外線ランプの紫外線を、該捕集体の反対側の面から、該捕集体を媒介にして凝縮・析出中のオリゴマーの裏面へ照射し、同時に該捕集体と凝縮・析出中のオリゴマー層を透過した紫外線を表面側の熱風へ照射する方法である。さらには、これら二つの同時照射方法を併用することも可能である。
凝縮・析出するオリゴマーの裏面側から該特定波長の紫外線を照射する具体例は、たとえば冷媒を流している透明石英ガラス管内部に紫外線ランプを設置し、そして、その外側表面に熱風を接触させて、熱風からオリゴマーを石英ガラス管の外側表面に凝縮・析出させると同時に、内部の紫外線ランプから石英ガラス管を媒介にして、オリゴマーの裏面に紫外線を照射する方法である。なお、このとき凝縮・析出した直後のオリゴマー層は極めて薄く、該捕集体の表面に疎らに分布しているので、ほとんどの紫外線はオリゴマー層を透過する。したがって、石英ガラス管とオリゴマー層を透過したこの紫外線を熱風中のオリゴマーにも同時に照射することが可能である。
なお該特定波長の紫外線照射強度(単位:mW/cm)とは、単位面積(cm)、単位時間(1sec)に照射された紫外線量をエネルギー(mJ)に換算した値である。特定波長の紫外線強度は強い方が、該オリゴマーの分解能力が高くなり、テンター内のクリーン化を短時間に達成できるので、該特定波長の紫外線照射強度は10mW/cm以上が好ましく、20mW/cm以上がより好ましい。
この紫外線照射装置は、フィルムの延伸・熱処理などの行われるチャンバー内に設置しても良いが、該チャンバー外の熱風循環用ダクト(以後熱風循環路)への設置の方が効果的で好ましい。熱風循環路だと熱風中のオリゴマーすべてに対する特定波長の紫外線の照射とオリゴマーの捕集体表面への凝縮・析出処理が効率良く行えるので、該オリゴマーの分解効率も高くて好ましい。さらに熱風循環路内で該オリゴマーを除去して、オリゴマーを含まない、あるいはオリゴマー含有量が非常に減少した熱風は、そのまま熱交換器で加熱後に、再びフィルムの延伸・熱処理がなされる熱風チャンバーに戻して、加熱処理に使用出来る。
該特定波長の紫外線ランプの設置する位置は、紫外線透過率の高い透明な保護用石英ガラス管内にいれて、熱風循環路内の凝集体表面の近傍の任意の場所でもよいし、熱風循環路の外に設置して、該特定波長の紫外線の透過率の高い石英ガラス板を嵌めた窓から、熱風循環路内部の捕集体表面に凝縮・析出したオリゴマーと熱風中のオリゴマーに特定波長の紫外線を同時照射してもよい。
(特定波長の紫外線:UV)
本発明で使用するオゾンの発生しない特定波長の紫外線とは、220nm以下の波長の紫外線を発生しない紫外線ランプ(以降オゾンレスUVランプ)から照射される紫外線のことである。
ここで、上記オゾンレスUVランプから照射される特定波長の紫外線は、220nm以下の波長の紫外線が実質的に消失されていればよく、実質的にとは、基本的にと言うことで、オゾンガスを発生させる220nm以下の波長の紫外線が、好ましいオゾンレスの状態を形成できるように紫外線ランプからの照射光から意図的に消失されていればよい。
さらに該特定波長の紫外線が、220nmを超え360nm以下の範囲内の、中でも220nmを超え310nm以下の範囲内の波長の紫外線を含んでいる。また、上記オゾンレスUVランプから照射される特定波長の紫外線には、波長320nmより長波長の光が多少ともは含まれていてもよい。ただし、波長が320nmを超える長波長側の紫外線は、有機化合物の結合を切断するための活性化エネルギーとしては不足しているため、有機物の光分解にはほとんど寄与しない。そればかりか、有機物分子がそのような長波長側の紫外線を吸収したときは、その活性化による反応イベントが終了するまでは、より分解能力の高い短波長側の紫外線の吸収は阻害されるので、長波長側の上限を適切に360nm以下に抑えておくことが好ましい。
(紫外線ランプ)
このような好ましい範囲内の波長の紫外線を照射可能なオゾンレスUVランプとして使用可能な紫外線ランプは、低圧水銀ランプ、アマルガム型低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、無電極UVランプ、キセノンランプなどの特定波長の紫外線を多く発光するUVランプと、特定波長の紫外線を単波長でピーク発光するエキシマランプである。
オゾンを発生させない特定波長である220nmから320nmの範囲内の単波長紫外線をピーク出力することが可能なエキシマランプは、そのままでオゾンレスUVランプとして用いることができる。しかしエキシマランプは、二重円筒状の複雑な構造をしており、同時に高周波や高電圧の印加による放電で発光するため、熱風加熱循環路内には設置が難しく、かつ連続運転においては外部金属電極の寿命が比較的短いので、本発明の目的においては実用的ではない。
紫外線ランプの該紫外線を通過させる管材料に、220nm以下の波長の紫外線の透過を規制可能に組成が調製され、かつ波長254nm以上の紫外線の透過率が80%以上と高い石英ガラスを用いることで、低圧水銀ランプ、アマルガム型低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、無電極UVランプ、キセノンランプは本発明のオゾンレスUVランプとして使用できるようになる。ただし、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、さらに無電極ランプは高圧型ランプであるため、360nm以上の長波長の紫外線および可視光を多く発光するので、さらに、長波長カットフィルターで360nm以上の長波長の光を除去しておくことが好ましい。
該特定波長の紫外線を照射するためのオゾンレスUVランプとして、低圧水銀ランプを使用すると、使用電力が低くて済み、さらにランプ寿命も長く、ランプ温度も低く、オゾンガスが発生しないので、ランニングコストも低くて済み、大掛かりなオゾンガス排気や除去装置、冷却装置などを必要とせず、オゾンガスによる人体、環境、機器類などへの悪影響をあたえないので、実用上はもっとも好ましい。
220nm以下の波長の紫外線の透過を規制可能に調製された石英ガラスとしては、例えば、特殊な酸化金属をドープした石英ガラスや、溶融石英ガラスに重金属等を加えた石英ガラスが挙げられる。本発明の場合、特に特殊な酸化金属をドープしたオゾンレス石英ガラス(たとえば信越石英(株)製M235)が取扱い性などで優れている。紫外線ランプのガラス管にこのような調製された石英ガラスを用いることで、オゾンを発生させる220nm以下の波長の紫外線を石英ガラス管に吸収させることで、透過を防止できる。
たとえば、低圧水銀ランプあるいはアマルガム型低圧水銀ランプ(以後この二つを低圧水銀ランプと呼ぶ)から照射される紫外線の強度ピークは実質として波長185nmと254nmだけに現れるが、これを本発明におけるオゾンレスUVランプとするために、このように調製された石英ガラスをランプ管に使用すると、照射光から波長185nmの紫外線を消失させ、確実にオゾンの発生を規制でき、254nmの波長の紫外線のみとすることができる。オゾンレスの状態にてオリゴマーを分解出来、最も有効な紫外線照射の条件を生成できることになる。
本発明のオゾンレスUVランプを熱風加熱循環内で熱風中に設置して使用する場合、254nm紫外線発生効率が75%以上になる範囲に、ランプ管温度を制御することが大切である。したがって、この様にオゾン発生が実質的にない特定波長の紫外線ランプすなわちオゾンレスUVランプを熱風の循環路内で使用するときは、紫外線ランプを熱風から保護するために、特定波長の紫外線の透過率が高い石英ガラス管内の中心部に設置して用いるのが実用的である。該保護用透明石英ガラス管とオゾンレスUVランプの間に冷却媒体を流して該ランプ管の表面温度を制御することが可能になる。この冷却媒体としては圧縮空気が好ましく、オゾンレスUVランプ管の表面をその最適使用温度に冷却してのち温度が上昇した空気は、該石英ガラス管内からそのまま熱風中に放出することが可能である。
さらに、この保護用透明ガラス管の表面は該熱風中の有機物質オリゴマーを捕集する表面としても機能するので、該透明ガラス管外表面に凝縮・析出させたオリゴマー表面と、該ランプ内から特定波長の紫外線を照射する距離が非常に短くなり、20mm以下に保つことも容易に出来ると言う特徴もある。
オゾンレスUVランプの管形状としては、直線形状のものであってもよく、U字管やV字管およびW字のような折り返し形状に形成することも可能である。
(捕集法)
該熱風中の有機物質オリゴマーを捕集する方法として、熱風加熱循環路内で熱風を冷媒で冷却した捕集体表面と接触させて冷却し、有機物質を凝縮・析出させる方法や、静電気捕集法などの公知の方法が好ましい。ここで静電気捕集法とは、熱風中に析出して微粒子状となったオリゴマーを、線状電極に高電圧を印可して発生させたコロナ放電でマイナス帯電させ、プラス電圧を印可した電極を捕集極にして、静電気力により捕集させる方法であるが、本発明の場合、特に冷媒を循環させて冷却した透明な石英ガラス板や管体、あるいは金属板や金属管に熱風を接触させる方法が簡易であり、かつ効率よく冷却出来るのでもっとも好ましい。この該捕集体の外表面温度は、該熱風からオリゴマーが析出する温度近傍以下の温度に、さらに熱風温度よりも30℃以上低い、好ましくは80℃以上低い温度、さらに詳しくは、熱風の温度としては、150℃以下、さらに好ましくは75℃以下に冷却するのが良い。
なお、冷媒で冷却した該捕集体に、金属平板、金属管、ダクト管内面を使用する場合は冷却媒体には循環冷却水を使用するが、内部に該オゾンレスUVランプを設置し、管内部に冷却媒体を流した保護用透明石英ガラス管の外面も捕集体として活用できる。この場合、冷却媒体は該オゾンレスUVランプの冷却も行うので、該特定波長の紫外線の透過率が80%以上であるイオン交換水、圧縮空気、窒素、不活性ガスなどが良い。このなかで圧縮空気は、該オゾンレスUVランプを冷却して温度が上昇したあとに、熱風中に排出が可能であり、また後述するように、この圧縮空気にオリゴマー濃度に応じた加水分解反応用の適量の水分を加えることが可能なので、本発明の場合、最も好ましい。
一般的な熱可塑性樹脂フィルムの熱風加熱循環装置における熱風中のオリゴマー濃度は数〜数十mg/mと非常に少ない。そのため、蒸気状態から熱風中に析出したオリゴマーは互いに衝突する確率が小さく、大きく成長できないので、粒子径はサブミクロン以下の微粒子状態である。通常の熱風加熱循環装置の熱風循環路内での風速は2〜3m/sec程度である。しかし、このような風速においては、冷却した捕集体表面への接触で熱風の温度を低下させて、熱風中からオリゴマーを析出させただけでは、このようなサブミクロン以下のオリゴマー微粒子を捕集体表面に付着させることは出来ない。しかし、捕集体表面での熱風の風速を0.2m/secまで急激に低下させると、温度低下をそれほどさせなくても、熱風中から凝縮・析出したオリゴマーの効率的な捕集が可能となる。熱風循環路から熱風を導入するダクト管の断面積に対して、オリゴマーの捕集体および紫外線照射装置を設置してあるダクト管部の断面積を10倍程度まで急激に増大させることで風速の低下が可能となる。
(加水分解)
該捕集体の該特定波長の紫外線を照射する近傍を外部から積極的に加湿させると、該熱風中のオリゴマーおよび捕集体表面に凝縮・析出したオリゴマーを加水分解反応によって、より低分子量のオリゴマーのみならずモノマーにまで分解できる。そのときの水分は、液体あるいは水蒸気でも、どちらの状態で供給しても良いが、熱可塑性樹脂の加水分解の速度は、雰囲気温度がより高温であるほど指数関数的に増加するので、水蒸気の状態で供給するのが好ましい。
波長220〜320nmの紫外線とくに254nmの照射によるオリゴマーの分解においては、オリゴマーは紫外線の吸収によって、分解反応が可能な活性化エネルギーを得てより低分子量のオリゴマーまたはモノマーへと逐次分解する、そしてモノマーはさらに紫外線を吸収して最終的に無害なより低分子量の揮発性あるいは気体状の有機化合物へと分解する。したがって、紫外線照射によるオリゴマーの分解においては最も分子数単位の小さいオリゴマーすなわちモノマーの分解速度が最も早い。加水分解反応を併用すると、比較的大きな分子量の気相状態オリゴマーや気相から析出して微粒子状となったオリゴマーに対してもさらに効率的な分解が可能となる。
なお、通常の、熱可塑樹脂製造用の熱風加熱循環装置における熱風中のオリゴマー濃度は〜数十mg/m(DA)と少ないので、温度が高い領域であれば、数百mg/m(DA)程度の微量の水分でも、気相中および析出直後のオリゴマーすべてに対して加水分解を起こせるので、この効果を併用するのが良い。紫外線ランプに、最適動作時のランプ管内の最冷点温度が70〜110℃である、数%水銀を含む固体アマルガム合金を放電体として封入したアマルガム低圧水銀ランプを使用することにより、紫外線ランプの冷却後の放出エアー温度は70〜110℃程度と高くでき、またランプ冷却用の圧縮エアーに適度の水分を残留させておくことで、この放出エアー中の水分で近傍のエアーの相対湿度を〜0.1%程度に調整できる。最も一般的な冷凍式エアードライヤーによる圧縮エアーの除湿法では、大気圧下露点を最大−17℃まで下げることが可能である。このとき、たとえば温度100℃の圧縮空気には、相対湿度は0.1%、絶対湿度は800mg/m(DA)なので、まだ微量の水分が残留している。この水分濃度は、ダクト管内の熱風で10倍程度に希釈されても、熱風中のオリゴマーを分解するのに十分な量である。80℃近傍から温度が10℃上昇するたびに加水分解速度は5〜6倍単位で上昇するので、雰囲気に水蒸気さえあれば、温度が高いほど加水分解速度は上昇するので、熱風温度はできるだけ高く維持する方が好ましい。もちろん熱風中のオリゴマー量に応じて、冷却用圧縮エアー中の水分量を追加したいときは、その露点を上げることで水分量を増やすことができ、水分量をさらに減らしたいときにはさらに、吸着式圧縮空気除湿装置を通過させて、その露点を−60℃(絶対湿度10mg/m(DA))程度まで下げることが可能である。
なお、オリゴマーを分解した熱風は、ダクトで回収された後、熱交換機で200〜245℃まで再加熱されたのち、フィルムの熱処理室において、全量がノズルからフィルム表面に再噴射されてフィルムと接触するが、このフィルムの熱処理室へと戻る間に、高温空気中の水分はすべてオリゴマー分解で消費される。したがって、冷却用圧縮エアーが熱風中に持ち込んだ少量の水分は、生産中のフィルムには悪影響を与えないのである。
(触媒)
該熱風の循環路内に、有機物を分解する触媒を、熱風循環路内のオゾンレスUVランプを装着した照射装置より下流側に並置し、該熱風中に浮遊しているオリゴマーの触媒による接触分解反応を併用すると、特定波長の紫外線の照射によって、オリゴマーがより低分子量あるいは低沸点有機化合物(VOC)とへと分解され、さらに一部はラジカルへと活性化しているので、オリゴマーおよびその他の有機物の分解速度がさらに上がるので好ましい。該有機物分解触媒には、200℃付近の温度において、酸化燃焼反応で有機物を分解できる白金族触媒(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金)が好ましく、白金触媒が最も好ましい。
本発明のオリゴマーとは、熱可塑性樹脂のモノマー、オリゴマー、トリマー、ダイマー、環状化合物などの低分子量物、分解物、熱可塑性樹脂からのブリードアウト物、あるいは熱可塑性樹脂への添加物などを含むものである。具体的には、テレフタル酸、ナフタレン酸、ビスヒドロキシエチルテレフタル酸、モノヒドロキシエチルテレフタル酸、線状2〜3量体、環状化合物などの低分子オリゴマー、有機低分子帯電防止剤、滑り剤、アンチブロング剤、安定剤、フィルムの微細破片、駆動系の摺動部から飛散した潤滑油のオイルミストである。
本発明で言う有機樹脂とは、ポリオレフィン、ポリアミドPA、ポリエステル、アクリル、ポリカーボネートPC、ポリフェニレンスルフィドPPS、フッ素樹脂など熱可塑性樹脂であり、本発明により、該樹脂を熱風中で加熱時に発生し、熱風中に飛散して滞留しているオリゴマーを除去することができる。該樹脂の形態はシート状、フィルム状、ブロック状、繊維状の何れの形態であっても良く、また、本発明においては、熱可塑性樹脂フィルム状物の材質については特に限定されない。本発明はポリ乳酸PLAや、PETさらにポリエチレンナフタレートPENなどのポリエステルやポリアミドPAなどに特に有効である。該熱可塑性樹脂フィルム状物の製造方法における熱可塑性樹脂シート状物の形体は特に限定されず、未延伸のもの、一軸延伸されたもの、二軸延伸した形態でも良い。
本発明の場合、熱風加熱装置を提供するのみならず、該熱風加熱装置を使用する熱可塑性樹脂フィルムの製造方法も提供するものである。高温の熱風を加熱循環系にて強制循環させながら被処理物を加熱処理する方法において、該熱風加熱循環系内に浮遊しているオリゴマーなどの低分子化合物にオゾン発生が実質的にない特定の特定波長の紫外線を照射するとともに、熱風温度よりも低温に設定された捕集体表面に該オリゴマーを凝縮・析出させ、該析出された該オリゴマー表面にもオゾン発生が実質的にない特定波長の紫外線を同時に照射して、該オリゴマーを可塑性樹脂フィルムに対して無害となるより低分子量の有機物へと分解させながら、熱風を強制循環させる熱風加熱循環方法に関するものでもある。
もちろん、加熱オーブン中に該オゾンレス紫外線照射装置を複数個並置する方がオリゴマーの分解効果が優れる。また、該熱風中のオリゴマーと凝縮・析出した直後および析出中のオリゴマーにたいしてオゾン発生が実質的にない特定の特定波長の紫外線の同時照射することで、該熱風中のオリゴーを効率的に分解除去出来るが、さらに、加水分解反応を併用することで、分解速度はさらに促進することが可能になる。また、酸化燃焼反応触媒を併用することで、フィルム表面への付着物となりやすい、比較的分子量が大きく、微粒子として析出しやすい難分解性のオリゴマーのみならず、逆に凝縮・析出させることが難しいために、加熱循環系内の熱風から除去することが難しい低分子量のVOC(揮発性有機化合物)の効率的な分解除去も可能となる。
なお本発明は、該熱風温度が、熱可塑性樹脂フィルムから該熱風中へのオリゴマーの昇華が起りやすい温度である130℃以上、好ましくは150℃以上となる、熱風加熱循環装置による熱処理において特に有効な方法である。
以上説明したように、本発明に係る熱風中のオリゴマーの紫外線照射式分解除去装置によれば、オゾンレスUVランプの使用により、オゾンガスによる不具合を発生させることなく、付着物除去に有効な紫外線を効率よく照射でき、目標とする熱風中のオリゴマーなどの浮遊物除去をフィルムの製造工程中に効果的に行うことができる。また、オゾンガスが発生しないので大掛かりなオゾンガス排気装置を必要とせず、低圧UVランプを使用するため使用電力も低くて済み、さらに寿命も長く、ランニングコストも低くて済む。
この熱風中でのオリゴマーなどの異物の除去する装置を用いた本発明に係る熱可塑性樹脂シート状物の製造方法によれば、フィルム生産をしながらインライン処理で安定して優れた、フィルム表面への付着物除去性能が得られることとなり、表面欠点のない高品質な熱可塑性樹脂フィルム状物を高い生産性をもって製造することが可能になる。
熱風中のオリゴマーと凝集オリゴマーの両方に、特定波長の紫外線を同時に照射する装置の例を示したものである。 図1に示した特定波長の紫外線照射装置の内部構造の一例であり、(A)が側面図で、(B)が断面図、(C)が紫外線ランプユニットである。 (A)、(B)は、熱風中のオリゴマー量の定量のための熱風からオリゴマーの捕集装置の一例である。 標準グレースケール:Gray Value(8 bits,256stps)を示す。 (A)は、ナイロン6の凝縮・析出オリゴマーへのUV照射後のCCDカメラによる撮影画像であり、(B)は、TPA,PET、ナイロン6の三種類の凝縮・析出オリゴマーへのUV照射時間とGray Value測定値との関係の一例、(C)は、PETの凝縮・析出オリゴマー付着量とGray Value測定値との関係の一例を示す図である。 熱風中のオリゴマーに照射される総UV照射量の測定法の概略図である。 試験片表面への凝縮オリゴマー形成方法の概略図である。 凝縮析出したオリゴマーのみへのUV照射による分解試験の概略図である。 蒸気オリゴマーのみへのUV照射による分解試験の概略図である。 蒸気オリゴマーと凝縮・析出オリゴマーへの同時UV照射試験の概略図である。 石英板表面へ凝縮析出するオリゴマーへの蒸着面裏側へのUV照射と蒸気オリゴマーへの同時UV照射による分解実験の概略図である。 TPA試薬で発生させた各種オリゴマーの状態とUV照射による分解除去試験後の状態を、試験片の長さ方向の座標軸にたいするGray Valueの変化(Plot Profile)で比較した図である。
本発明は、熱風で加熱されたフィルムからブリードアウトして発生し、熱風中に飛散して、熱風中を浮遊する気体状あるいは微粒子状のオリゴマーの濃度を低下させる、あるいは完全除去する熱可塑性樹脂フィルム状物の加熱循環装置、およびそれを用いた熱可塑樹脂フィルムの製造方法である。
本発明は、高温に加熱された高温の熱風を加熱循環系に強制循環させながら熱可塑性樹脂のフィルム状の被処理物を加熱処理する熱風加熱装置において、該加熱循環系内の熱風中に浮遊している気体状態および微粒子状態のオリゴマーなどの低分子化合物にオゾン発生が実質的にない特定の特定波長の紫外線を照射するとともに、熱風温度よりも低温に設定された捕集体表面に該オリゴマーを凝縮・析出させ、該析出された該固体状のオリゴマー表面にもオゾン発生が実質的にない特定波長の紫外線を同時に照射して、該オリゴマーを分解させながら熱風を強制循環させる熱風加熱循環方法に関するものである。
熱風中に飛散している気体状のオリゴマーのみに該特定波長の紫外線光を照射するだけでも、該オリゴマーの分解はある程度は可能であるが、2量体以上の比較的分子量の大きなオリゴマーや、気体状態から次々に熱風中に析出し、そして相互に衝突しながら集合して微粒子状態になって浮遊しているオリゴマーにたいしては、分解速度が不足しているので、熱風中のオリゴマーを減少あるいは皆無にすることは出来ない。さらには捕集体表面に凝縮・析出して堆積し、固体状になったオリゴマーのみに該特定波長の紫外線光を照射した場合も、オリゴマーの凝縮・析出速度にたいして分解速度が不足するため、捕集体表面へのオリゴマーの凝縮・析出による堆積を防止できない。
そこで、熱風中に飛散している気体状および微粒子状のオリゴマーのみならず、熱風中から凝縮・析出した該固体状のオリゴマーさらには新たに凝縮・析出中のオリゴマーにも該特定波長の紫外線光を同時に照射することで、飛躍的なオリゴマー分解速度が達成できることを見出した。すなわち、熱風中のオリゴマーに該特定波長の紫外線を照射後に、該照射された気体状オリゴマーおよびオリゴマー微粒子が、熱風から凝縮・析出し、該冷却捕集面に凝集されると同時に該特定波長の紫外線ランプを照射すると言う2段階の該特定波長の紫外線照射で、オリゴマーの分解速度が飛躍的に向上するのである。
この効果は熱可塑性樹脂フィルムの生産中に該オリゴマーで汚染された熱風中から該オリゴマーを除去し、該オリゴマーによる該フィルム表面の汚染を阻止できるばかりか、熱風加熱循環装置内の壁および機器への該オリゴマー付着による機器駆動部の損傷や、機器外面に付着した該オリゴマー片がフィルム表面に落下して発生する付着物や傷による該フィルムの外観不良の発生を防止出来る。
本発明で用いる紫外線ランプは、オゾン発生が実質的にない特定波長の紫外線を照射できるオゾンレスUVランプである。オゾン発生のない該特定波長の紫外線とは、主として220nmを超え360nm以下の範囲内の波長の紫外線を含む紫外光である。すなわち、オゾンを発生させる主として波長220nm以下の紫外線を含有していないことが重要である。
オゾンを発生させる短波長側の185nmなどの紫外線を照射光から消失させるには、ランプ管を少量の重金属をまぜた溶融石英ガラスから構成し、上記短波長の紫外線を吸収させる手法が好適である。それによって、オゾンを発生させる波長220nm以下の紫外線の発生を規制できる。
特定波長の紫外線を照射できるランプとして、無電極UVランプ、低圧水銀ランプ、アマルガム型低圧水銀ランプ、キセノンランプ、該特定波長の紫外線だけを照射可能なエキシマランプなどが有効である。本発明では、特定波長の紫外線を照射できるオゾンレスUVランプとして低圧水銀ランプを使用するのが、好ましい。
低圧水銀ランプは低圧状態の水銀蒸気の放電発光を用いたもので、点燈時の水銀蒸気圧が約0.8Paに制御され、主として2つの波長の254nmと185nmの紫外線だけをピーク出力として放射する。上記の如くオゾンを発生させる波長185nm以下の紫外線を吸収する溶融石英ガラスに重金属を混ぜた材質を用いたランプ管で、波長185nm以下の紫外線の照射を規制したオゾンレスUVランプを構成し、そこからオゾンを発生させない波長254nmの紫外線のみを実質照射することが可能となる。波長254nmの紫外線は、オゾンを発生させない実質使用可能な紫外線においては、もっともエネルギーが高く、同時にオリゴマーへの吸収率も高いことから、オリゴマーなどの有機物の分解能力がもっとも高い紫外線である。
低圧水銀ランプには、発光体に水銀のみを封入した低圧水銀ランプと、水銀を数%含むインジウム、鉛、アンチモン、銀などの数種類の金属からなる固体状のアマルガム合金を発光材料として封入したアマルガム型低圧水銀ランプの二種類がある。
オゾンレス低圧水銀ランプの実質唯一の発光ピークである波長254nmの紫外線強度は水銀蒸気圧に大きく影響を受け、水銀蒸気圧が約0.8Paのときに最高の発光効率が得られる。水銀蒸気圧はランプ管内の最冷点にある水銀の温度の影響を受け、発光体に水銀のみを封入した低圧水銀ランプでは、ランプ管内がこの蒸気圧になるときのランプ管内の最冷点に置いてある水銀の温度は、約40℃である(以後はランプ管内の最冷点の温度を、ランプ管温度と呼ぶ)。水銀蒸気源としての水銀を数%含むインジウム、鉛、アンチモン、銀などの数種類の金属からなる固体状のアマルガム合金を封入したアマルガム型低圧水銀ランプでは、波長254nmの紫外線の出力が最高となるランプ管の温度を約90℃と高くでき、同時にランプ出力も、同形状の、水銀のみを封入した低圧水銀ランプの2〜5倍程度まで引き上げることが可能であるので、本発明の目的にはアマルガム型低圧水銀ランプの使用が好ましい。
なお、波長254nm紫外線の発生効率が、最高発光効率に対して75%以上になるランプ管温度は低圧水銀ランプでは35〜45℃で、アマルガム型低圧水銀ランプでは70〜110℃である。
本発明で使用するオゾンレスUVランプの波長254nm紫外線の発生効率は最高発光効率に対して75%以上にする必要がある。このために、該紫外線ランプを熱風加熱循環装置の熱風加熱循環路内に置いて使用するときは、冷媒の流れる透明な保護用石英ガラス管内に設置する。その冷却媒体には特定波長の紫外線の透過率が80%以上である水、圧縮空気、窒素、不活性ガスなどが用いる事が出来るが、本発明の場合、圧縮空気が好ましい。また、アマルガム型低圧水銀ランプは、ランプ管温度は70〜110℃なので、該透明なガラス管内に設置して、150〜250℃と比較的高温な環境である熱風加熱循環路内に置いて使用する該紫外線ランプとして最も好ましい。
また、オゾンレスUVランプの管形状が、単管だけでなく、U字管やV字管などの折り返しが複数回あるランプ形状であってもよいが、本発明では紫外線ランプを保護用の透明石英ガラス管内部に設置して使用するので、単管形状が好ましい。
このランプ管保護用の透明なガラス管は、波長254nmの紫外線の透過率が80%以上であることが求められるが、特にオゾンを発生させる220nm以下の波長の紫外線の透過を規制する必要はなく、むしろ、紫外線透過率がより高いアルカリ添加量を抑えた天然石英ガラス、特に低波長紫外線の透過率が高い人工合成石英ガラスの使用が好ましい。
該紫外線を照射する発光面と該ガラス管の外側表面との距離は短いほど紫外線強度は高いので、該冷却管ガラスの外側表面と、紫外線ランプ表面間の距離は20mm以下、好ましくは10mm以下のほうがオリゴマーの分解能力が高くなる。本発明の場合、透明保護ガラス管内に紫外線光源があるので、該ガラス管の直径は小さい方が、該ガラス管の該表面に凝縮・析出するオリゴマーに対する分解効率が高いばかりか、紫外線ランプを沢山設置できる利点があるが、該ガラス管の径が小さすぎると、冷却媒体を流し難くなる。逆に径が大きすぎると、発光面と該ガラス管表面との距離が長くなり紫外線強度は低下するので、適切な管径としては、30mmから100mm程度である。該ガラス管は、そのガラス管内に該特定波長の紫外線ランプを挿入し、圧縮空気や水などの冷媒で内部を冷却しているので、紫外線の発光源であると共に、熱風中のオリゴマーの冷却捕集体にもなっているので、熱風循環路内への設置が簡単な、小型でコンパクトな紫外線照射式オリゴマー捕集・分解除去装置を製作できる。
本発明では、熱風循環路内部に該オゾンレスUVランプを設置する場合は、内部に該オゾンレスUVランプを設置した保護用透明石英ガラス管の外面もオリゴマーの捕集体として活用するが、さらに熱風中のオリゴマーの捕集率とオリゴマーへの紫外線照射の効率を高めるために、循環冷却水で冷却した金属平板あるいは金属管を、上記の保護用透明石英ガラス管内に設置したオゾンレスUVランプから紫外線を照射できる場所に設置し、その表面を捕集体として使用できる。また熱風循環路の一部の区間のダクト管を外面から循環冷却水で冷却し、その内面も捕集体として使用できる。ダクト管の内面近傍に、オゾンレスUVランプを内部に組み込んだ透明石英ガラス管を円周状に複数本配列することで、熱風中からのオリゴマーの捕集と、捕集体表面に凝縮・析出したオリゴマーへの該特定波長の紫外線の同時照射が効率良く実施可能なので、循環冷却水で冷却した捕集体にはダクト管の内面を使用するのが好ましい。該捕集体の外表面温度は熱風温度よりも30℃以上低い温度、好ましくは80℃以上低い温度、さらに詳しくは、熱風温度として150℃以下、さらに好ましくは75℃以下に冷却し、さらに熱風速度を2〜3m/secから1/10程度の0.2m/sec程度まで低下させることで確実に熱風中のオリゴマーを凝集捕集することが出来る。これは、熱風の速度が静止に近い状態まで低下することで、すでに熱風中にサブミクロンサイズの微粒子状態で飛散している難分解性のオリゴマーを捕集体表面に付着させると同時に、捕集体との接触で温度が下がった熱風から、熱風中にまだ蒸気状態で残っている低分子量のオリゴマーを捕集体表面に凝縮・析出させて、熱風中に再浮上させずに付着させことが出来るためである。
熱風速度を1/10程度に低下させるのは、熱風循環路からオリゴマー分解装置に熱風を導入するためのダクト管の断面積に対して、オリゴマー捕集部のダクト管の断面積を10倍程度まで急激に増大させることで可能となる。
さらに、該捕集体の該特定波長の紫外線を照射する近傍に、積極的に水分を供給して、紫外線が照射されている熱風中および捕集体表面に凝縮・析出したオリゴマーの分解除去に、加水分解作用を併用させることも可能である。水分は、液体あるいは水蒸気でも、どちらの状態で供給しても良いが、熱可塑性樹脂の加水分解の速度は、雰囲気温度が高いほど指数関数的に増加するので水蒸気状態で反応させるほうが良い。保護用石英ガラス管内部を流れるオゾンレスUVランプ冷却用の圧縮空気は、該ランプを冷却後に熱風中に放出することが可能で、また、露点の制御によって該圧縮空気の含有水分量の調節が可能なので、このランプ冷却用の圧縮空気に含まれる水蒸気を加水分解に使用するのが好ましい。
高出力のマイクロ波励起無電極UVランプを使用して、熱風加熱循環路(ダクト管)の外部からダクト管外周に設置した紫外線透過率が高い石英ガラス窓を通じて、ダクト管内の熱風に該特定波長のオゾンレス紫外線を照射することも可能である。マイクロ波励起無電極UVランプに使用するランプ管の管内圧力は高圧水銀ランプと同じ程度なので、波長が360nm以上の紫外線や可視光も多く含まれているが、波長360nm以上の光は長波長カットフィルターで除去して、波長320nm以下の特定波長の紫外線だけを照射することが可能である。オゾンを発生させる波長220nm以下の紫外線は、特殊な酸化金属をドープしたオゾンレス石英ガラス製ランプ管による吸収で除去し、特定波長の紫外線が照射可能なオゾンレスUVランプとすることができる。
マイクロ波励起無電極UVランプのバルブ(ランプ管)には電極が無いので、低圧水銀ランプやエキシマランプなどの有電極式におけるような黒変がランプ管に発生しない。このため、有電極式に比べて約10倍のランプ寿命であることと、バブル長はわずか206mmと短いが、最高出力は、同一長さの低圧水銀ランプと比べると25倍、通常の高圧水銀ランプと比べると3倍となる5kWの大容量出力が可能である。熱風加熱循環路の外側に紫外線照射用光源を設置して使用するので、装置付属の冷却ファンだけでもランプの温度制御は可能である。
これらの特徴を生かして、熱風加熱循環路の外部から照射窓を通じて、熱風加熱循環路内の熱風中のオリゴマーと冷却した捕集体表面に凝縮・析出したオリゴマー層に対して大容量の紫外線を同時照射することが可能である。ただし、マイクロ波励起無電極UVランプは、紫外線照射用光源が、マグネトロン、マイクロ発振アンテナ、マイクロ波導波管、ランプ管(バルブ)、反射板、冷却ファンがすべて一体となった比較的大きいユニットなっていることから、熱風加熱循装路の内部に設置することには向いていない。
本発明の場合、該熱風加熱循環路内の、紫外線照射式オリゴマー分解装置より下流側に、有機物オリゴマーを分解する酸化燃焼触媒を配置して該熱風中の気体状オリゴマーや揮発性有機化合物(VOC)の分解能力を向上させることで、さらにオリゴマーの分解速度を上げることが出来る。この該有機物分解触媒には白金触媒が好ましく、さらに該触媒の担持体にはポーラスハニカム型構造体を使用し、熱風加熱用ヒーターの上流側の面に装着するのが好ましい。
また、本発明の場合、製造方法もカバーしている。すなわち、熱可塑性樹脂フィルムやシート状の成形体を熱風で加熱・延伸・熱処理・エージングする方法において、該熱風加熱装置に設置した、オゾンレスUVランプの入った、冷却された石英ガラス管外表面に、さらには該オゾンレスUVランプから該オゾンを発生させない特定波長の紫外線を照射可能な場所に別途設置した、水冷金属板や金属管の表面に、フィルムから循環熱風中に昇華あるいは揮発して飛散したオリゴマーを凝縮・析出させ、該石英ガラス管内面から該オゾンレス特定波長の紫外線を、該熱風内に飛散しているオリゴマーに照射し、さらに該凝縮・析出オリゴマーにも同時に照射することで、該オリゴマーを効率的に分解出来、熱風内のオリゴマー濃度を低く、さらに好ましくはオリゴマーを皆無にする熱可塑性樹脂フィルムを製造する熱可塑性樹脂フィルムの製造方法である。熱風加熱循環装置内に複数個の該オゾンレス紫外線照射装置を並置した熱可塑性樹脂フィルムの製造方法でもあり、また、該熱風温度が有機物からオリゴマーがブリードアウトし飛散しやすい130℃以上、好ましくは150℃以上である熱可塑性樹脂フィルムの製造方法である。
本発明において示される熱可塑性樹脂は、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリフェニルスルフィド、およびそれらの混合体、変性体などから選ばれた樹脂が代表的なものであり、特にポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂が対象樹脂として好ましいものである。
ここでいうポリエステルとは、分子主鎖中にエステル結合を有する高分子化合物であり、通常、ジオールとジカルボン酸とからの重縮合反応により合成されることが多いが、ヒドロキシ安息香酸で代表されるようなヒドロキシカルボン酸のように自己縮合するような化合物を利用してもよい。ジカルボン酸化合物の代表的なものとしては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバチン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸、及びそれらの混合体などである。ジオール化合物の代表的なものとしては、HO(CHOHで表されるエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキセングリコール、さらにジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、エチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物等で代表されるエーテル含有ジオールなどであり、それらの単独または混合体などである。
代表的なポリエステル樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)およびこれらの共重合体、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート(PCT)などを挙げることができ、中でもポリエチレンテレフタレート(PET)とポリエチレンナフタレート(PEN)およびこれらの共重合体が好ましく、特にポリエチレンテレフタレートおよびその共重合体が、安価であるため、非常に多岐にわたる用途で用いられ、本発明による効果が高い。また、これらの樹脂はホモ樹脂であってもよく、共重合またはブレンドであってもよい。これらの高分子化合物の繰り返し単位は、好ましくは80以上、より好ましくは120以上であるのがよい。
また、ポリアミド樹脂とは、主鎖中にアミド結合を有する高分子化合物であり、代表的なものとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン11、ナイロン46、ナイロン12、ナイロン7、ポリメタキシリレンアジパミドmXD6、ポリヘキサメチレンテレフタラミド/イソフタラミド6T/6I、9Tナイロン、およびそれらの関連共重合体、混合体などから選ばれたポリアミド化合物などが挙げられる。中でも、本発明の場合、ナイロン6およびその共重合体、ポリメタキシリレンアジパミドmXD6およびその共重合体が好ましいポリアミドである。さらに、これらのポリアミドに柔軟ナイロンや、結晶化し難いナイロン化合物を添加しておくと、キャストでの結晶化防止や、得られた品質の低温柔軟性などを付与できるので好ましい。
また、ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、メチルペンテンポリマー(PMP)、環状オレフィン(COP/COC)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、酢酸ビニルポリマー(EVA)、およびそれらの各種共重合体などを用いることができる。
これらの本発明において用いる熱可塑性樹脂には必要に応じて着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、核剤、離型剤などを本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。
本発明におけるオリゴマーとは、熱可塑性樹脂の低分子量物、分解物、ブリードアウト物、あるいは添加物などである。さらに熱風中に含まれる昇華物や油脂、塵芥などもこれに含まれる。この中でも主体となる低分子量物は、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂の場合、テレフタル酸、ビスヒドロキシエチルテレフタル酸、モノヒドロキシエチルテレフタル酸などのモノマー類及びダイマー、トリマー、サイクリックトリマーなどのオリゴマー類が対象となる。オレフィン樹脂の場合は、帯電防止剤や、安定剤などの低分子添加剤が主である。
本発明において用いるポリエステルフィルムがポリエチレンエチレンテレフタレートの場合には、従来公知の製造方法によって製造することができる。すなわち、テレフタル酸とエチレングリコール及び必要により共重合成分を直接反応させて水を留去しエステル化した後、減圧下に重縮合を行う直接エステル化法、または、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコール及び必要により共重合成分を反応させてメチルアルコールを留去しエステル交換させた後、減圧下に重縮合を行うエステル交換法等により製造することができる。更に極限粘度を増大させ、環状3量体やアセトアルデヒド含量等を低下させるために固相重合を行ってもよい。前記溶融重縮合反応は、回分式反応装置で行ってもよいしまた連続式反応装置で行ってもよい。これらいずれの方式においても、溶融重縮合反応は1段階で行ってもよいし、また多段階に分けて行ってもよい。固相重合反応も、溶融重縮合反応と同様、回分式装置や連続式装置で行うことができる。溶融重縮合と固相重合は連続で行ってもよいし、分割して行ってもよい。
次に、本発明における熱可塑性樹脂フィルムの製造方法について、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに適用した例として、より具体的に示す。
原料としてポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂または必要に応じて他の化合物を添加ブレンドした原料、例えば、液晶ポリマーや他のポリエステル樹脂、さらに酸化珪素、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、マイカ、タルク、カオリンなどの無機化合物、架橋ポリエステル、架橋ポリスチレン、エチレンビスステアリルアミド、イオン性高分子化合物、アイオノマー等の有機化合物等を添加した原料、一旦溶融させた回収原料などを混合した原料などを準備し、そのまま二軸ベント押出機に投入して、これを乾燥・脱水した後、溶融押出機に供給し、分子量、例えば固有粘度[η]を極力低下させないように窒素気流下、あるいは真空下で可能な限り低温で溶融押出する。
次に、溶融体中の異物を除去するために、溶融樹脂を適宜な濾過フィルター、例えば、金属繊維状焼結(FSS)、パウダー状焼結金属(PSS)、多孔性セラミック、金網等で濾過しながら押出しする。かくして溶融されたポリエステル樹脂を成型用の口金から押出し成形するのである。
なお、口金から溶融フィルムを押出すときのドラフト比(=口金リップ間隔/押出されたシート厚み)は、好ましくは3以上、より好ましくは5〜10の範囲とすることにより、厚みむらの小さい、平面性の良いフィルムが得られやすい。かくして溶融されたポリエステル樹脂を押出し、該溶融フィルムに5〜15kv程度に負極に帯電印加したワイヤー電極あるいはブレード電極で該溶融樹脂フィルムを冷却媒体であるキャスティングドラムに密着させて急冷する。
なお、これらの熱可塑性樹脂シートを溶融押出するときには、上記の如く溶融樹脂シートに静電荷を印加しながら冷却密着固化させてシート製造することが、結晶化抑制や厚み均質化の点、さらには急冷キャスティングドラム面の汚れ防止などの点で好ましい。
続いて、このフィルムをロールに接触させながら該高分子のガラス転移温度Tg以上、冷結晶化温度Tcc以下に加熱して1.5〜7.0倍程度に、一段あるいは多段階で縦方向(フィルムの長手方向)に延伸し、必要なら該縦延伸フィルムを幅方向延伸のためにテンター式幅方向延伸機に導き、縦延伸フィルムの幅方向両端をクリップで把持し、加熱熱風によってフィルムを該高分子のガラス転移温度Tg以上に加熱し、両端クリップ幅を広げることでフィルムを横方向(フィルムの幅方向)へ1.1〜8.0倍延伸する逐次二軸延伸方式で二軸方向に延伸する。さらに長手方向に強度の強いフィルムにするために、長手方向に再度ロールに接触させて延伸してもよい。この二軸延伸は縦と横方向の延伸を同時に行う同時二軸延伸方式であってもよい。この場合にも、同時二軸延伸機の前に加熱されたロールがある場合には、ロールが汚染されることが多い。また、必要に応じて延伸されたフィルムを熱風あるいは、ロールによってフィルムを樹脂の融点以下の温度に加熱して熱処理してもよい。この時、熱寸法安定性を出すためにテンター式熱風加熱循環装置を使用して、縦や横方向にリラックス処理と呼ばれる熱処理を施してもよい。
このようなフィルムの熱処理工程においては、高温に加熱した熱風をノズルからフィルム表面に吹きつけて、フィルムを加温しているが、そのとき加温中のフィルムからブリードアウトしたオリゴマーが、昇華あるいは揮発して気体状のオリゴマー(蒸気)として熱風中に溶け込み熱風と共に飛散する。そしてその一部は、熱風循環路中の温度が低下する場所で、熱風中から析出して凝集して微粒子状となり、循環熱風中に浮遊した状態で蓄積してくる。このような微粒子状のオリゴマーは、熱風によって熱風循環加熱路を経由して、再度ノズルに運ばれて、フィルム表面に吹き付けられて付着するので、熱風中のオリゴマー微粒子の濃度が高くなるとフィルムの品質を低下させる。また、微粒子状のオリゴマーは、熱風速度が低下するフィルム処理室の壁やフィルム搬送装置のテンタークリップ、駆動部品などに凝集付着して堆積するが、このような堆積物が成長すると、粒子状あるいは塊状の落下物となって、循環熱風によってフィルム表面に運ばれて、フィルム表面に欠点を発生させる可能性が高くなる。また機器の駆動部を損傷させるので、定期的なクリーニング作業が必要となってくる。
本発明の主な特徴であるオゾンレス特定波長紫外線を、熱風中のオリゴマーと熱風から捕集体表面に凝縮・析出させたオリゴマーに同時に照射することにより、熱風中のオリゴマーを分解除去して、循環熱風中に飛散し浮遊している気体状および微粒子状のオリゴマーの両方とも減少させることが可能になる。これにより、テンター式熱風循環装置内の循環熱風とフィルム処理室内部をクリーンに保つことができ、熱処理されたフィルムも微粒子付着が少なくなって品質が向上し、かつ表面欠点が減少する。また、定期的なクリーニング作業の期間を延ばすことが可能になり、生産性も向上する。
この本発明による、循環熱風中に飛散し浮遊している気体状および微粒子状のオリゴマーの除去が可能な、熱風加熱循環装置1の一例を図1に示した。この熱風加熱循環装置1について、図1と、熱風加熱循環装置1の熱風循環経路5に設置したUV照射式オリゴマー分解装置8の内部詳細を示した図2にもとづいて説明をする。UV照射式オリゴマー分解装置8が、熱風中のオリゴマーと捕集体表面に凝縮・析出したオリゴマーにオゾンレス特定波長紫外線を同時に照射して、オリゴマーを分解除去する装置である。
熱風加熱循環装置1に入っているフィルムの延伸・熱処理装置において、熱風吹き出しノズル4から噴出された熱風でフィルム3を加熱し、テンタークリップ12により延伸と熱処理をされて二軸延伸フィルム3を得る。この時の加熱装置1の熱風は熱風循環経路5内にある熱風加熱用ヒーター6により加熱されてから、循環ファン7により加熱ゾーンの一室2に供給され、上下の熱風吹き出しノズル4a、4bからフィルム3を加熱する。熱風加熱循環装置1内でフィルムの加熱に使用された熱風は、熱風循環経路5に回収され、再びヒーター6で加熱され、フィルム3の昇温に循環再利用される。この熱風循環経路5の途中から分岐させて、吸入用管9から熱風の一部を取出し、紫外線照射式オリゴマー分解装置8に供給し、ここでオリゴマーを分解除去させ、還流用ファン11により還流用管10から熱風循環路5にもどる。
この時の熱風中の気体状のオリゴマーの分解状態を把握するために、フィルム処理室2から熱風吸引用真空ポンプ18により熱風を吸引し、その熱風をオリゴマー採集装置17にて捕集して検査をすることもできる様になっている。なお、排気用ダクト29からオリゴマーを含有した熱風を大気中に放出するとともに、フレッシュ・エアー供給用のダクト28を通して、オリゴマーの含有していない新鮮な空気を取り込むことが出来る。この時の排気量は、熱風を循環量の10〜20%程度で任意に変更できる。
紫外線照射式オリゴマー分解装置8の内部構造の一例を図2(A)に示した。この分解装置8には、紫外線ランプ保護用石英ガラス管14内に設置されている紫外線ランプ13から特定波長の紫外線を照射出来るランプが設置されている。このランプの特定波長の紫外線の発光効率を安定させるために、ランプ管の温度を調整する紫外線ランプ冷却用エアー31を流入させ、逆の端子から紫外線ランプ管を冷却後の放出エアー32としてオリゴマー分解装置8の熱風中に放出している。紫外線ランプ保護用石英ガラス管14内での冷却エアー31と放出エアー32に関する詳細は、図2(C)に示した通りである。
なお、オリゴマー分解装置8には、熱風循環経路5から、熱風吸入用管を通してオリゴマーを多く含む熱風を導入するが、ここで重要なことは、吸入用管9の径に比べて、このオリゴマー分解装置8内部の径は大きく、好ましくは熱風吸入用管の断面積が10倍程度以上に大きくなるように設定してあるので、分解装置内の熱風の流速を急激に低下させると共に、水冷管15に冷却用の水を通水することで、内壁のオリゴマー捕集用内壁19の表面温度を低下させているので、熱風中のオリゴマーが該オリゴマー捕集用内壁19に容易に凝縮・析出することが出来る様になっている。
図2(B)に示した様に、その分解装置内部の円周に沿って、UV(紫外線)ランプ13が多数設置されている。UVランプ13は、熱風から保護するためにUVランプ保護用石英ガラス管14の内部に設置されている。波長254nmの紫外線の発光効率を75%以上に維持するために、UVランプ保護用石英ガラス管14内部にUVランプ冷却用エアー31を導入し、UVランプ13の温度を70から110℃に冷却している。紫外線ランプを冷却して温度が上昇したUVランプ冷却後放出エアー32はそのまま熱風中に放出され、熱風中に混合されて熱風温度までさらに加温される。冷却用エアー31は冷凍式エアードライヤー(非表示)による除湿で露点が最大−17℃まで低下しているが、たとえば放出エアー32の温度が90℃まで上昇した場合には、そのなかには絶対湿度800mg/m(DA)の水分が水蒸気として残留している。この水蒸気によって分解装置内の熱風中のオリゴマーと捕集体表面に凝集したオリゴマーは、モノマーにまで加水分解される。また、冷却用エアー31の露点すなわち絶対湿度(水蒸気濃度)は熱風中のオリゴマー量に応じて、調整可能である。
熱風中のオリゴマーへの紫外線照射によって、該熱風中のオリゴマーの一部が分解されると同時に、紫外線照射された後もまだ熱風中に残量している該オリゴマーは、水冷管15により冷却されたオリゴマー捕集用内壁19の表面に凝縮・析出した直後に、再度紫外線が照射される。すなわち、熱風中のオリゴマーと凝縮・析出したオリゴマーの両方に紫外線を同時に照射するので、非常に効率よくオリゴマーを分解できるのである。また、紫外線ランプ保護用石英ガラス管14の外側の表面温度も熱風温度より低いので、保護用石英ガラス管14の外側表面にも熱風中のオリゴマーは凝縮・析出する。このとき、保護用石英ガラス管14内部に設置してある紫外線ランプ13の表面から新たに凝縮・析出するオリゴマーの裏面までは5〜10mm程度の距離なので、極めて高い強度の紫外線が常時照射される。このため、保護用石英ガラス管14の外側表面に凝縮・析出するオリゴマーはただちに分解除去されて、保護用石英ガラス管14の外側表面は常にクリーンな状態となっている。
オリゴマーを分解除去した後の熱風は、逆流防止用多孔板30を通過させ還流用管10から還流用ファン11によって熱風循環経路5に戻し、熱風加熱用ヒーター6で再加熱し、ノズル4からフィルム3の表面に噴射してその加熱処理に循環再使用するようになっている。
この様に本発明にかかる熱風加熱循環装置を使用したフィルムの製造方法だと、フィルム製造中のインライン処理によって、熱風中のオリゴマーを常時分解除去することが可能となり、表面欠点のない高品質な熱可塑性樹脂フィルムを生産性よく製造することができ、かくして得られた表面がクリーンな熱可塑性樹脂フィルムは、表面欠点を問題とする光学用、磁気記録媒体用、電気絶縁用、コンデンサー用、その他一般工業用などに広く利用できる。
(物性および特性の測定法)
次に本発明で使用した物性および特性の測定法について以下に述べる。
(1)ポリエステル樹脂の固有粘度[η]
25℃で、o−クロロフェノールを溶媒として次式より求めた。
[η]= lm[ηsp/c]
比粘度ηspは、相対粘度ηrから1を引いたものである。cは、濃度である。
単位はdl/gで表わす。
(2)ポリエステルの熱特性
セイコー電子工業(現在セイコーインスツル社)製DSC RDC220型を用い、ポリエステルを5mg秤量し、窒素ガス雰囲気下20℃/分の速度で昇温して300℃になった時点でクエンチし、再度20℃/分の速度で300℃まで昇温しながらガラス転移点(Tg)、冷結晶化発熱ピーク温度(Tcc)、融点(Tm)を測定した。300℃に到達した後、さらに20℃/分の速度で降温させ、溶融結晶化発熱ピーク温度(Tmc)を測定した。
(3)紫外線照射強度の測定
紫外線照射強度の測定は、富士フィルム社製UVスケールを使用した紫外線照射強度(光量)分布解析システムFUD−7010J ver1.3 で行った。UVスケールとは、紫外線に感応してその積算光量に応じて色の濃さが変化し、紫外線照射強度(光量)分布を可視化できるフィルムである。紫外線の照射量計測用として富士フィルム社によって商品化されている。紫外線照射強度を測定したい位置にUVスケールを一定時間置くと、紫外線吸収量に対応した濃度で発色する。この色の濃度分布を適用スキャナーで読み取ってデジタル画像化する。そして、その画像を専用画像解析ソフトで処理することで、色の濃度分布を、一定時間内に特定領域に照射された紫外線積算光量(単位:mJ/cm)分布として数値化し、照射時間の計測値と合わせると、紫外線照射強度(光量)(単位:mW/cm)分布の解析が可能である。
照度計では一度に一点だけの紫外線強度しか測定できないが、UVスケールはそのフィルム面内の紫外線強度と分布を同時に測定できるだけでなく、UVスケール全面での紫外線総照射量(単位:mJ)を測定できる。UVスケールを設置した窓枠あるいはUVスケールで囲った面を通過していった紫外線総照射量の測定によって、窓枠背後やあるいはUVスケールで囲った空間内で凝縮するあるいはその空間を移動する熱風中のすべてのオリゴマーへの紫外線総照射量の測定が可能になる。
(4)熱風中のオリゴマー量の測定
図3(A)に示した様に、フィルム加熱処理室2の壁に穴をあけて、熱風が循環している壁の内側までテフロン(登録商標)製熱風吸引管22の一端を入れ、他端は壁の外において、グラハム式蛇管冷却器24を経由して、気体状のオリゴマーの捕集装置27(インピンジャー)が接続されている。そして、該気体捕集装置27の他端には、フィルム加熱処理室2内からオリゴマーを含有する熱風を吸引するためのガス流量計26と吸引用真空ポンプ18が接続されている。該気体捕集装置27に、常温でオリゴマーを溶解可能な溶剤を注入し、そこにフィルム加熱処理室2から吸引した熱風をバブリングさせ、熱風中に含有されている微粒子状および気体状のすべてのオリゴマーを溶剤中に捕集する。熱風は、気体流量計を見ながら一定量の吸引を行う。そして、溶剤に溶解したオリゴマー量を、液体クロマトグラフィ(液クロ)(島津製作所LC―7Aなど)を用いて測定する。
採取したオリゴマーの量(mg/m)は、液クロの検出ピークのエリア面積から、検量線を用いて面積比から濃度に変換してデーター処理する。たとえば、PETフィルムの熱風加熱処理で発生したオリマーの補集用溶剤にはジメルホルムアミド(DMF)を使用する。そして、熱風中のオリゴマーは、大多数がテレフタル酸(TPA)であるので、市販の高純度なTPAをDMFに一定量含有させた液を用いて、液クロで測定した面積を標準面積データーとする。この時のTPAの標準試料の濃度は、0.001〜0.01mg/mLの範囲で作成する。検出波長は、254nmで、カラム温度40℃で用いた。この標準データーに対する測定データーの面積比から読み取った含有オリゴマー量をmg/m単位に換算して表示する。
別法として、図3(B)に示した様に、熱風中の微粒子状のオリゴマーを採集するために、熱風中にオリゴマー採集用熱風吸引管22を入れ、ダクト管壁23から取出して、100から150℃の高温熱風のまま、微粒子捕集装置であるインピンジャー27に導く。このとき、熱風採集用の管の内径に比べてインピンジャーの内径は急激に広くなっているので、風速が急激に低下し、下に置いてある鏡面加工したハードクロムメッキ片にオリゴマー21が付着する。この時、熱風加熱室からの熱風の吸引速度を一定にするために、熱風の吸引流量を流量計25で測定しながら、真空ポンプで吸引させる。この捕集したオリゴマーの定量化には、鏡面加工ハードクロムめっき表面に付着したオリゴマーのCCDカメラによる画像から画像処理で測定したGray Valueが用いられる。CCDカメラで撮影したオリゴマー画像のGray Value(輝度)測定によるオリゴマー付着量の測定原理は下記のようになる。
白色蛍光灯照明下において、CCDカメラで撮影した鏡面加工ハードクロムめっきの画像色は灰色だが、オリゴマーの画像色はそれより白色で、クロムめっきより輝度が高い。このため、鏡面加工ハードクロムめっき表面に付着したオリゴマーは白い画像として撮影される。CCDカメラで撮影されたオリゴマーの白色画像の輝度はオリゴマー分子の密度を示していて、照明光がハードクロムめっき表面まで透過可能な厚み範囲においては、オリゴマー付着量が増加するとオリゴマーの白さ(輝度)が増す。したがって、オリゴマーの白さ(輝度)測定によって、ハードクロムめっき表面のオリゴマー付着量を測定することが可能である。白黒画像の白さは、標準グレースケールのGray Valueとして示される。図4の標準グレースケールによるGray Value(黒=0→灰色254steps→白=256)の測定により、白色のオリゴマー付着量の定量的表現が可能である。このオリゴマー付着量の測定方法は、目視による判断を半定量化した方法であるが再現性が良い。付着量が非常に微量で、目視による判断では付着が確認できるが、重量測定では測定が不可能な場合に有効な方法である。
白色照明光の設定、撮影距離、撮影角度、照度が一定の条件において、オリゴマーが付着した試料と付着がない試料(キャリブレーション用背景画像)をCCDカメラで撮影し、その画像を画像処理ソフトImageJに取り込み、8ビット0〜255階調のグレースケール画像に変換する。続いて画像間の演算機能(Image Calculator)を使って、オリゴマーが付着した試料画像から付着がない資料料画像のGray Valueを減算処理(キャリブレーション)した画像を作成する。キャリブレーション後の画像において、測定したい領域を円形枠あるいは長方形枠のROI(Region Of Interest)で囲んで、Gray Valueを測定する。本発明では、囲った領域全体のGray Valueの平均値を測定するときは丸枠型ROIを、座標軸方向へのGray Value変化(Plot Profile)を調べるときは長方形枠型ROIを使用する。長方形枠型ROIの横軸方向座標に対して、縦軸方向でのGray Valueの平均値が計算されてグラフ化される。
(5)熱風中やフィルム処理室のオゾン濃度の測定
0.03 ppm〜50.00 ppmまでのオゾン濃度の測定が可能なオゾン計OS−6(MK Scientific)を用いた。
(6)熱風加熱循環路内の熱風の風速と温度測定
500℃までの熱風の風速と温度の測定が可能な、熱線式の中高温用アネモマスター風速計(Model 6162日本カノマックス社)を使用した。
以下に、実施例および比較例に基づいて、本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例1]
熱可塑性樹脂として、ポリエチレンテレフタレート(PET)(固有粘度[η]=0.61、ガラス転移温度Tgは70℃、冷結晶化温度Tccは128℃、融点Tmは265℃、溶融結晶化発熱ピーク温度Tmcは215℃、添加剤として平均粒径0.25μmの酸化珪素粒子を0.1wt%含有)を用いた。該PET樹脂の含水率が20ppm以下になるように乾燥した後、押出機に供給して280℃で溶融して3t/hの吐出量で押出し、目開き10μmの金属繊維燒結フィルターを通過させて濾過し、口金に導入して溶融フィルムを吐出し、この溶融フィルムに0.12mm径のワイヤー状の電極から負の静電荷を印加させながら冷却ロール上に密着させ冷却、固化させた。該押出フィルムを、クロムメッキを表面に施工したロールで予熱温度72℃に予備加熱し、その後アルミナセラミックスをプラズマ溶射で表面に施工したロールにてさらに加熱して、長手方向延伸機で、延伸温度95℃で3.5倍延伸した後、ガラス転移温度Tg70以下に冷却した。続いて該長手方向延伸フィルムの幅方向両端をテンタークリップで把持しながらテンター式熱風加熱循環装置1内に導き、延伸温度95℃に加熱された熱風雰囲気中で幅方向に4.2倍延伸後、225℃で熱固定して、厚さ25μmのフィルムを250m/minの高速で製膜した。
熱固定部ゾーンのフィルム加熱処理室2の外側に設置された熱風循環経路5には、熱風加熱用のヒーター6の上流側に、給気口(吸入用管)9を通じてUV照射式オリゴマー分解装置が設置されている。
熱風循環加熱路5のヒーター6で225℃に加熱された熱風をフィルム処理室2においてPETフィルム表面に吹き付けて、フィルム3を加熱処理するが、このときにフィルム3から昇華したオリゴマー蒸気が熱風中に飛散する。フィルム3を加熱した後はオリゴマーを含んだ熱風は、フィルム処理室2内に拡散するが、熱風循環ファン7によって熱風循環路5に再度吸引回収されて、熱風加熱用ヒーター6で再加熱され、フィルムの加熱に循環使用される。このフィルムから昇華したオリゴマーを含有した熱風を、熱風加熱用ヒーター6の上流側で給気口9からオリゴマー分解装置8に供給する。
オリゴマー分解装置8の内部に配置されたUV保護用石英ガラス管14の内部には、波長254nmの紫外線だけを照射可能なオゾンレスアマルガム型低圧水銀(UV)ランプ13が設置されている。UVランプ13は冷却用圧縮エアー31で冷却されており、ランプ管温度は70〜110℃に制御されている。UVランプ13を冷却後の放出エアー32は、オリゴマー分解装置8内部の熱風中に放出される。
この時、オリゴマー分解装置8の断面積は、給気口9の断面積よりも10倍程度に拡張されているため、熱風の流速は急速に低下するので、水冷管15で100〜150℃程度に冷却されたオリゴマー捕集用内壁19表面と、内部をUVランプ冷却用圧縮エアー31で冷却している保護用石英ガラス管14の外側表面に、オリゴマー21を容易に凝縮・析出させることが出来る。そして、該石英ガラス管14の内部のUVランプ13から254nm紫外線を、保護用石英ガラス管14の外側の表面とオリゴマー捕集用内壁19表面に凝縮・析出したオリゴマーに、さらには熱風中のオリゴマーにも照射した。すなわち、熱風中のオリゴマーと凝縮・析出したあるいは析出中のオリゴマーに、254nmの紫外線を同時に照射した。このときの紫外線強度はオリゴマー捕集用内壁19の表面において20mW/cmである。熱風中のオゾン濃度は、オゾン濃度測定機の読み取り精度0.03ppmより少なく、無視できる濃度であった。
この時、紫外線ランプ冷却後放出エアー32は、800mg/m(DA)程度の水蒸気を含んでいる。この水蒸気による加水分解効果も併用されて、オリゴマー分解装置8内において、循環熱風中のオリゴマーとオリゴマー捕集用内壁19および保護用石英ガラス管14の外側表面に凝縮・析出したオリゴマーは迅速に分解することが出来る。
オリゴマーを分解除去された熱風は還流用ファン11によって吸引されて熱風循環路5に再度戻され、ヒーター6で再加熱して温度を調節されてのち、フィルム加熱処理室2で再使用される。
紫外線照射による分解処理を開始してから24時間後のフィルム加熱処理室2の熱風中のオリゴマー濃度は、熱風中のオリゴマー採集装置17を用いて、フィルム加熱処理室2から採取した熱風内のオリゴマー濃度を液体クロマトグラフィで測定し、その値から計算した。
さらに、別途フィルム加熱処理室2から採集した熱風を図3(B)内に設置した試験片20の鏡面加工したクロムメッキ表面に継続して導入して、オリゴマー微粒子を凝集付着させて、そのCCD画像から付着したオリゴマーのGray Valueを測定し、その値で24時間経過後のフィルム処理室2の熱風中のオリゴマー濃度の変動を確認したところ、Gray Valueの増加は少ないことからも、フィルム加熱処理室2のオリゴマー微粒子の濃度はほとんど変動も増加もしていないことが判った。
[実施例2]
実施例1で使用した熱風加熱循環装置1の熱風循環路5の途中に、UV照射式オリゴマー分解装置8を組み込んだ同じ設定に対して、さらに熱風加熱用ヒーター6の上流側の面に、白金触媒(日揮ユニバーサルNH−12)を担持したポーラス型ハニカム構造体を設置した。この白金触媒を追加した装置設定において、オリゴマー分解装置8による紫外線照射によるオリゴマー分解除去と白金触媒によるオリゴマーの酸化燃焼除去を併用して、熱固定処理ゾーンの循環熱風中のオリゴマーの分解除去を行なった以外は、実施例1と同じ二軸延伸フィルム製造条件と同じ熱固定温度225℃による製膜を行った。
その結果、実施例1よりも熱風中のオリゴマー濃度はさらに低くなり、併用の効果が認められた。
[実施例3]
実施例1で用いた、熱風加熱循環装置1の熱風循環路5の途中にUV照射式オリゴマー分解装置8を組み込んだ同じ設定において、オリゴマー捕集用内壁19の表面での紫外線強度が、おおよそ20mW/cmから40mW/cmへと2倍程度になるように、紫外線ランプ13の本数を増やした以外は、PET二軸延伸フィルムにたいして、実施例1と同じ設定と条件で、熱固定温度225℃による製膜を行った。その結果、熱風中のオリゴマー濃度は2.2mg/mから1.8mg/mへとさらに低くなった。
[比較例1]
実施例1で用いた、熱風加熱循環装置1の熱風循環路5の途中に設置してあるUV照射式オリゴマー分解装置8を停止し、それ以外はすべて実施例1と同じ二軸延伸フィルム製造条件と同じ熱固定温度225℃による製膜を行った。もちろんこの様な状態では、熱風中に飛散しているオリゴマー微粒子が増え過ぎるため、熱風排気用ダクト29からオリゴマーを含んだ熱風の一部を排出して、代わりに、フレッシュ・エアー供給用ダクト28からフレッシュ・エアーを導入する方法を併用しても、フィルム表面の外観品質はすぐに低下し、汎用フィルムには使用できても、光学用や磁気記録媒体用などの高機能フィルム用途には使用できないレベルであった。また熱固定部ゾーンのフィルム処理室2の壁やテンタークリップ12など、比較的温度が低く、同時に熱風流速が遅い場所においては、オリゴマーの凝集付着が多く見られ、それらの落下物によるフィルム欠陥も増えた。
[比較例2]
実施例2と同じ設定において、UV照射式オリゴマー分解装置8を停止して、UV照射式オリゴマー分解除去技術を用いることなく、PETフィルムを二軸延伸後に、オリゴマー分解効果のある白金触媒ハニカム構造体だけを使用して、実施例2と同じ、幅方向の延伸条件と同じ熱固定温度225℃による製膜を行った。結果、循環熱風内のオリゴマー濃度の低下はみられたが、まだ不十分であり、とくに製膜時間が経過するにつれて、循環熱風中に飛散しているオリゴマー微粒子が増加していく傾向があり、フィルム表面の外観品質が低下していった。このため、光学フィルムなどの高機能フィルム向けのフィルム品質を維持するためには、熱風排気用ダクト29からオリゴマーを含んだ熱風の一部を排出して、代わりにフレッシュ・エアーをフレッシュ・エアー供給用ダクト28から導入する方法を併用して、オリゴマー濃度を下げる必要があった。したがって、この方法だけでは、循環熱風中のオリゴマー濃度の変動を、品質的に問題の無いレベル以下に抑えることができない。
[比較例3]
実施例1でオリゴマー分解装置8の水冷管15による冷却を止め、オリゴマー捕集用内壁19を熱風に近い温度に設定した。すると実施例1ではオリゴマー捕集用内壁19に析出したオリゴマーは、この場合には、析出することがなかった。すなわち、この状態で、UVランプ13から紫外線を照射すると、熱風中のオリゴマーにのみ紫外線を照射することになる。その他の設定は実施例1の様にして、実施例1と同様に紫外線を照射して熱風中のオリゴマー量の変化を24時間後に観察した。結果、循環熱風中のオリゴマー濃度は減少しているが、減少量は不十分で、熱風中のオリゴマーにのみ紫外線を照射させて除去する方法だけでは除去能力は不足であった。
[比較例4]
実施例1でオリゴマー分解装置8のUVランプ13を停止し、紫外線を照射せず、水冷管15による冷却だけを行い、オリゴマー捕集用内壁19に熱風からオリゴマーが凝集析出するように設定した。この場合、オリゴマー捕集用内壁19に析出したオリゴマーには紫外線は照射されていないので、凝縮・析出したオリゴマーだけの紫外線照射による照射効率は測定できないが、捕集用内壁19への凝集析出効果による、熱風中からのオリゴマー除去は確認できる。その他の設定は実施例1と同様にして、PETフィルムの処理を行い、熱風中のオリゴマー量の変化を24時間後に観察した。結果、循環熱風中のオリゴマー濃度は減少しているが、減少量は不十分で、捕集装置へ凝縮・析出させて除去する方法だけでは除去能力は不足であった。
[実施例4]
ナイロン6樹脂(UBEナイロン1023FD,相対粘度ηr3.6、宇部興産製)を押出機に投入し、270℃で加熱溶融した後、該溶融物をTダイからフィルムを押出し、引き続き冷却水の温度が30℃に保たれた冷却ロール表面にエアーナイフで密着させて急冷し、未延伸フィルムを得た。得られた未延伸フィルムを45℃に保たれた縦延伸ロールで2.8倍延伸した。その後、テンター内で100℃に加熱し、横方向3.2倍延伸し、その後該テンター内で210℃熱処理して、15μmのナイロン6フィルムを得た。
実施例1と同じように熱風循環路5の途中にUV照射式オリゴマー分解装置8を組み込んだ設定で、循環熱風中のオリゴマーを分解除去した。結果は表3に示した様に、熱処理温度が210℃とPETフィルムに比べて低いため、発生するオリゴマー量は少なく。かつ二軸延伸ナイロン6フィルムは二軸延伸PETフィルムに比べて、循環加熱熱風中に含まれるオリゴマーは分解され易かった。これは、ナイロン6のオリゴマーには化学的に安定性の高いベンゼン環は含まれていないので、ベンゼン環を有するPETのオリゴマーより紫外線照射による分解反応と加水分解反応が進行しやすいためと思われる。
[比較例5]
実施例6と同じ設定において、ナイロン6フィルムを二軸延伸後に、UV照射式オリゴマー分解装置8を停止して、通常のテンター式熱風加熱循環装置の運転条件において210℃で熱処理した。その結果、熱風中のオリゴマー濃度は、13.5mg/m^3と非常に高くなり、製膜した二軸延伸ナイロン6フィルムにオリゴマーが付着し、外観品質が低下する結果となった。
以上の結果を表1から3に示す。
Figure 2021041664
Figure 2021041664
Figure 2021041664
以上の結果、比較例3と4に示すように、熱風中のオリゴマーだけに紫外線を照射しても、あるいは凝縮・析出法だけによってオリゴマーを除去しても、オリゴマーの除去能力は不足している。実施例1から3および4に示すように、本発明のすなわち、熱風中のオリゴマーと捕集体の表面に凝縮・析出させたオリゴマーの両方に、254nm波長の紫外線を同時に分解除去することにより、循環熱風中のオリゴマーを効果的に分解除去することが可能で、フィルム処理室の壁やテンタークリップなどへのオリゴマーの堆積量を減らすことができる。これにより、熱風中のオリゴマーによるフィルム表面の汚染と、オリゴマーの堆積物から脱落した塊状物が原因のフィルム欠陥を減少させことが可能になり、さらに装置のクリーニングサイクルの期間も延ばすことが可能になる。
さらに本発明の効果をより明確に確認するために、以下のオゾンレス低圧水銀ランプを用いた熱風中のオリゴマーの分解除去効果確認試験を実施した。
1.試験の概要
本発明の、熱風中のオリゴマーと凝縮・析出するオリゴマーの両方へ、特定波長の紫外線を同時に照射することによる、熱風中のオリゴマーの分解除去効果を確認するために、表4に示した5種類の実験を行った。円筒石英ガラス管内部で樹脂ペレットまたは試薬を加熱してオリゴマー蒸気を生成させて、熱風中のオリゴマーの状況を再現した。オリゴマー蒸気を発生させる樹脂原料として、PETとナイロン6のペレット、さらにTPA試薬を使用した。TPAは、PETフィルムの熱風加熱循環装置の熱処理部におけるPETのオリゴマーの主成分なので、TPA試薬だけを使用した実験を加えた。
さらに特定波長の紫外線の光源すなわちオゾンレスUVランプには、実質的に波長254nmの紫外線(以後UVと表示)のみを照射可能なオゾンレス低圧水銀ランプを使用した。蒸気オリゴマーと凝縮オリゴマーを同一量で生成させ、それぞれ単独に対して、波長254nmの紫外線を照射して分解した場合と、蒸気オリゴマーと凝縮オリゴマーへ同時にUVを照射して分解した場合について、オリゴマーの分解率の比較を行った。それぞれの実験概要は実験表1に示してある。
Figure 2021041664
実験1は、熱風中から水冷板表面や水冷管外面に凝縮・析出し蓄積した状態のオリゴマーに対して、凝縮・析出したオリゴマーの表面に特定波長のUVを照射する場合を想定している。
実験2は、熱風中のオリゴマーだけに、特定波長のUVを照射する場合を想定している。
実験3は、熱風加熱循環路内に設置した水冷板表面や水冷管外面に、新たに凝縮・析出するオリゴマーの表面側から、熱風中のオリゴマーと凝縮・析出するオリゴマーの両方に特定波長のUVを同時照射する場合を想定している。
実験4は、内部を冷媒で冷却した保護石英ガラス管の内部に設置されたUVランプによって、透明石英ガラス管の外面に凝縮するオリゴマーに、熱風とは反対面側、すなわち裏面側からUVを照射し、同時に熱風中のオリゴマーにもUVを同時照射する場合を想定している。
実験5は、熱風中でUVを照射された後に凝縮・析出したオリゴマーに、さらにUVを照射し分解することを想定している。
2.測定方法
2−1.UV照射後のオリゴマー分解残量の測定方法
すべての分解実験において、UV照射によるオリゴマーの分解除去効果は、試験片表面に凝縮・析出させたオリゴマーの付着量の違いで調べた。そして、試験片表面のオリゴマーの付着量は、試験片のデジタルカメラ画像のGray Value値を使用して測定した。
試験片に凝縮・析出したオリゴマーの重量はわずかで、高精度天秤の測定精度以下であるため、重量測定法ではオリゴマーの付着量変化は検出できない。一方、オリゴマーは、基材であるクロムめっきの鏡面加工面や石英ガラス面よりGray Valueが高いので、オリゴマーの残留状態は、目視だと白い色として容易に判断できる。しかし目視法では定量的な判断ができない。そこで、試験片表面のオリゴマーをCCDカメラで撮影し、その画像を、画像処理ソフト“ImageJ”に取り込んで白黒画像に変換後に、オリゴマー付着範囲の平均Gray Valueを測定し、試験片表面のオリゴマー付着量の替りに使用した。
試験片表面に凝縮・析出したナイロン6のオリゴマーに、UVを照射したときの付着量の変化を示すCCDカメラの画像を図5(A)にしめす。この画像からUV照射によってオリゴマーが分解されて試験片表面から除去されていく様子が良くわかる。3種類の凝縮・析出オリゴマーに対してUV照射による分解除去実験を行った際の、UV照射時間とそれらのオリゴマーの平均Gray Valueの変化を示す例を図5(B)に示す。また、PETオリゴマーの蒸発(付着)量に応じて平均Gray Valueが増加する状態を示すグラフを図5(C)にしめす。これらのグラフから、試験表面のオリゴマーの付着量は平均Gray Valueとほぼ比例関係にあり、オリゴマーの付着厚みが、可視光が試験片表面まで透過可能な範囲においては、オリゴマー付着量をGray Valueで定量的に示せることがわかる。本実験では、UV照射によるオリゴマーの分解除去量、分解率などの評価を、試験片表面に凝縮・析出したオリゴマーのCCDカメラによる撮影画像から測定したGray Valueを使用して行う。
2−2.UV照射量の測定方法
それぞれのオリゴマーへのUV強度(mW/cm)は、事前の予備測定においてUVスケールで測定したUV積算光量(mJ/cm)と、そのときの照射時間(sec)から計算した。
凝縮・析出したオリゴマーへのUV総照射量は、その試験片表面での平均UV強度と凝縮オリゴマーの付着面積(12.6cm)さらにUV照射時間から計算した。
蒸気オリゴマーへのUV総照射量は、その蒸気が発生している石英ガラス円筒容器表面での平均UV強度とその表面積、さらにUV照射時間から計算した。
蒸気オリゴマーと凝縮・析出オリゴマーへのUV同時照射実験でも、オリゴマー蒸気の発生と試験片表面への凝縮・析出は、蒸気オリゴマーへのUV照射実験と同じ石英ガラス円筒容器を使用し、同じ設定で行うので、UV総照射量も同じ方法で計算した。
蒸気オリゴマー58に照射される総UV照射量の測定法を図6に示す。円筒形状の溶融石英ガラス管(以後石英ガラス容器)55の内面側にUVスケール66を配置し、そのUVスケール66全面でのUV積算光量(mJ/cm)の測定と照射時間から、平均UV強度(mW/cm)を算出した。石英ガラス容器55の内部にUV57が入射可能な円筒高さは35mmで、その円筒全面の面積は56cmである。この面積と平均UV強度、UV照射時間から算出したUV総照射量を、石英ガラス容器55内部を通過するすべてのオリゴマー蒸気に対するUV総照射量とした。
2−3.実験用試験片
オリゴマーが凝縮・析出する表側からのUV照射試験(実験番号1,2,3,5)
(1)材質:SS材、(2)試験片形状:幅50mm×長さ100mm×厚み3mm、(3)オリゴマー付着面に、クロムめっきを施工後に表面粗さを0.2S以下まで鏡面仕上げ
オリゴマーが凝縮・析出する裏側からのUV照射試験(実験番号4)
1)材質:溶融石英ガラス板、(2)試験片形状:幅100mm×長さ100mm×厚み2mm、(3)両面光沢研磨仕上げ
2−4.オリゴマー蒸気形成に使用した熱可塑性樹脂のペレットと試薬
(1)TPA:(99%テレフタル酸市販試薬)、(2)PET樹脂:(MA2101M ユニチカ製)、(3)ナイロン6樹脂:(UBEナイロン1023FD宇部興産製)
3.実験方法
3−1.オリゴマー蒸気の生成方法と試験片表面にオリゴマーを凝縮・析出させる方法
蒸気オリゴマー58の生成と試験片表面にオリゴマー59を凝縮・析出させる方法を図7に示す。アルミブロックヒーター60上に円筒形状の石英ガラス容器55(内径φ55×70×2t)を設置し、その底に樹脂ペレット63入れたステンレス製シャーレ56を置いて、樹脂ペレット63を加熱する。石英ガラス容器55の上部には、試験片52が置いてある。試験片52は加熱用ラバーヒータ70と冷却用エアーノズル(非表示)で温度を調節する。試験片52の片面には、クロムめっき53を施工し、その上に凝縮・析出したオリゴマー59の厚みが判別しやすいように、鏡面に仕上げてある。試験片は石英ガラス容器55の上端に置いてあるだけで密閉されていないので、隙間から微量の熱風が漏れ出るようになっている。同様に石英ガラス容器55の下端とアルミブロックヒーター60の上面との間も密閉されておらず外部空気が隙間から流入するようになっている。
樹脂ペレット63からブリードアウトして蒸発したオリゴマー58は、下部のアルミブロックヒーター60による加熱で発生した上昇気流によって石英ガラス容器55の上部に移送される。そして、石英ガラス容器55の上部に設置した試験片52のクロムめっき53の表面に衝突し、そこで冷却されて、凝縮・析出オリゴマー59を形成する。試験片52の表面に衝突した上昇気流の一部は、試験片52と石英ガラス容器55との上端の隙間から外部に流出し、残りは下降流となって再度ステンレス製シャーレ56に戻る。このとき流出した空気を補うため、下部の隙間から外部の空気が流入する。
3−2.実験1:凝縮・析出後のオリゴマーをUV照射分解
凝縮・析出後のオリゴマーへのUV照射試験の概略を図8に示す。図7の方法で、試験片52のクロムめっき53の表面にオリゴマー59を凝縮・析出させた後に、オリゴマー付着面を上にして図8の試験片加熱用ブロックヒーター68上に設置する。上方に設置されたUVランプ51から直接UV57を照射する。この図7のUV照射試験器は他の図9あるいは10のUV照射試験器よりUV強度が強いので、UVランプ51と試料52の間の距離を長くしてUV強度を下げた。試験片とランプ間の距離が90mmのときに、実験1において凝縮・析出したオリゴマー59に照射されるUV総照射量と、実験2および3において、石英ガラス容器内55で発生した蒸気オリゴマー58すべてに照射されるUV総照射量とがほぼ同じとなる。
3−3.実験2:蒸気状態のオリゴマーにUVを照射分解
蒸気オリゴマーへのUV照射による分解除去試験の概略を図9に示す。
図7の設定にたいして、さらに円筒形状の石英ガラス容器55の外壁より33.5mm離れた位置の円周上に、石英ガラス容器55の縦方向と平行に、4本のUVランプ51を設置した。さらにUVランプの外側にはアルミ反射板61を設置し、UV照射用円筒面の窓71から石英ガラス容器内部にUV57を水平方向で照射している。石英ガラス容器55の上部に設置した試験片52に凝縮・析出したオリゴマー59にUV57が当たらないようにアルミ箔65で、ステンレス製シャーレ56内の樹脂ペレット63はUV遮蔽用アルミパンチ板54で遮蔽している。
樹脂ペレット63からブリードアウトして蒸発したオリゴマー58は、ブロックヒーター60による加熱で発生した上昇気流によって、石英ガラス容器55上部に運ばれる。蒸気状態のオリゴマー58はUV57中を通過してから、石英ガラス容器55上部に設置してある試験片52のクロムめっき53の表面に衝突して冷却されて、凝縮析出オリゴマー59が付着するようになっている。下記の方法で、試験片表面に凝縮・析出し付着したオリゴマー59のGray Valueから蒸気状態オリゴマー58の紫外線による分解率を推測した。
蒸発したオリゴマーがUVによって分解されると試験片に凝縮・析出するオリゴマー量が減るので、試験片表面に凝縮・析出するオリゴマー量を測定することでオリゴマーの分解率を推測できる。UV照射なしの状態で、蒸気オリゴマーから試験片表面に凝縮・析出したオリゴマーのGray ValueをGとし、UV中を通過させた同量のオリゴマーから、試験片表面に凝縮・析出させたときのオリゴマーのGray ValueをGとして、100×(G−G)/GをUV照射による蒸気状態のオリゴマーの分解率とした。
3−4.実験3:蒸気状態と凝縮・析出後のオリゴマーへ、新たに凝縮・析出するオリゴマーの表面側からUVを同時照射し分解
蒸気状態のオリゴマーと凝縮・析出したオリゴマーの両方に同時UVを照射しオリゴマーを分解除去する実験の概略を図10に示す。上面のUVランプ51から照射されたUV57を、電解研磨された鏡面アルミ板で製作した反射板72で、溶融石英ガラス容器55の内部の蒸気オリゴマー58及び試験片表面に凝縮・析出したオリゴマー59に同時照射する構造となっている。溶融石英ガラス容器55の内部にUV57を照射するための円筒面の窓71の高さは、蒸気オリゴマーだけへのUV実験とおなじ35mmで、円筒全面の面積も56cmである。溶融石英ガラス容器内部のオリゴマーへの総UV照射量は実験2と同量になるようにUVスケール66で測定し調整した。このときのUV照射による蒸気状態のオリゴマーと凝縮・析出したオリゴマーの合計の分解率も、実験2と同じ計算方法で算出した。
3−5.実験4:蒸気状態と凝縮・析出後のオリゴマーへ、凝縮・析出するオリゴマーの裏面側からUVを同時照射し分解
冷却した溶融石英ガラス板69の表面にオリゴマー59を凝縮・析出させながら、凝縮・析出面の裏側からUVを、UV照射用窓73から石英ガラス板越しに、凝縮析出したオリゴマー59と蒸気状態のオリゴマー58に同時照射してオリゴマーを分解除去する実験の概略を図11にしめす。この実験は冷媒で内部を冷却した保護用石英ガラス管表面に凝縮・析出した直後のオリゴマーと熱風中の蒸気オリゴマーの両方に、保護用石英ガラス管の内部に設置したUVランプからUVを同時に照射するときのモデルである。この実験では透明石英ガラス板69とUVランプ管61の距離は30mmにまで接近させた。
3−6.実験5:UVを照射した蒸気状態のオリゴマーから凝縮・析出したオリゴマーのUV照射分解
UV57を照射された直後のオリゴマー蒸気58から試験片表面に凝縮・析出したオリゴマー59は、蒸気状態におけるUVの吸収によって一部の結合が分解されており、またはUV照射に対してより分解されやすい状態に変化していると思われる。この効果を確認するために、実験2で作成した試験片52を使用した。実験2で行った図9の方法で、蒸気オリゴマーのみにUVを照射した状態で凝縮・析出したオリゴマーに対して、実験1で行った図8の方法で、凝縮・析出して付着しているオリゴマーだけにUVを照射し分解する実験を行なった。
4.実験結果
4−1.実験1〜3の結果
実験1〜3の実験条件と実験結果を実験表2−1〜3に、樹脂材料ごとに整理して示す。実験1から3の実験における、Gray Valueのプロットプロファイルの変化の代表例としてTPAの実験結果を図12に示す。いずれの樹脂材料でも蒸気と凝縮・析出オリゴマーへUVを同時照射した場合の分解率が高いことがわかる。
4−2.実験4の結果
実験4の実験について、実験条件と、実験結果を実験表2に示す。析出するオリゴマーの裏面からのUV照射においても、いずれの樹脂材料も蒸気状態のオリゴマーと凝縮・析出した直後のオリゴマーへUVを同時照射すると高い分解率が得られることがわかる。
4−3.実験5の実験条件と結果
実験5では、実験2で作成した、蒸気状態のオリゴマーへUVを照射しながらオリゴマーを凝縮・析出させた試験片を使用した。その実験条件と、実験結果を実験表3に示す。この結果から、UVを照射されている蒸気状態のオリゴマーから凝縮・析出したオリゴマーは、UV照射なしの蒸気状態のオリゴマーから凝縮・析出したオリゴマーより、あらためてUVを照射した場合の分解率が高いことがわかる。実験5により、UVを照射された直後のオリゴマー蒸気から試験片表面に凝縮・析出したオリゴマーは、UV照射によって分解されやすい状態に変化していることが確認できた。
Figure 2021041664
Figure 2021041664
Figure 2021041664
Figure 2021041664
Figure 2021041664
上述の一連の試験結果からも分かるように、オゾンレス低圧UVランプを用いてオゾンを発生させない特定波長の紫外線を、熱風中のオリゴマーと捕集体表面に凝縮・析出したオリゴマーに同時照射する本発明の方法は、優れたオリゴマー除去性能が得られることが確認できた。
すなわち、本発明は、熱風加熱循環系内に浮遊しているオリゴマーなどの低分子化合物にオゾン発生が実質的にない特定の特定波長の紫外線を照射するとともに、熱風温度よりも低温に設定された捕集体表面に凝縮・析出させたオリゴマー表面にもオゾン発生が実質的にない特定波長の紫外線を同時に照射して、循環熱風中のオリゴマーを可塑性樹脂フィルムに対して無害となるより低分子量の有機物へと分解し、効率よく除去することが可能な方法である。その本発明による除去効果が、上述の一連の実験によって実証された。
1 熱風加熱循環装置
2 フィルム加熱処理室
3 二軸延伸フィルム
4a 熱風吹付ノズル(上)
4b 熱風吹付ノズル(下)
5 熱風循環経路
6 熱風加熱用ヒーター
7 熱風循環ファン
8 UV照射式オリゴマー分解装置
9 吸入用管
10 還流用管
11 還流用ファン
12 テンタークリップ
13 UVランプ
14 UVランプ保護用石英ガラス管
15 水冷管
16 熱風導入用石英ガラス管
17 熱風中のオリゴマー採集装置
18 熱風吸引用真空ポンプ
19 オリゴマー捕集用内壁
20 試験片(ハードクロムめっき鏡面仕上げ)
21 付着オリゴマー
22 ダクト管内熱風吸引管(テフロン)
23 ダクト管壁
24 グラハム式蛇管冷却器
25 冷却水
26 ガス流量計
27 インピンジャー管
28 フレッシュ・エアー供給用ダクト
29 排気用ダクト
30 逆流防止用多孔板
31 UVランプ冷却用エアー
32 UVランプ冷却後放出エアー
51 オゾンレスU字型UVランプ
52 試験片 50×100×3t
53 ハードクロムめっき
54 UV遮蔽用アルミパンチ板
55 溶融石英ガラス容器(φ55×60)
56 ステンレス製シャーレ
57 UV(波長254nm紫外線)
58 蒸気オリゴマー
59 凝縮・析出オリゴマー
60 アルミブロックヒーター
61 アルミ反射板
62 スペーサー用リング
63 樹脂ペレット
64 ステンレス粉末
65 UV遮蔽用アルミ箔
66 UVスケール
67 冷却用エアーノズル
68 試験片加熱用ヒーター
69 石英ガラス板(100×100×2t)
70 シリコンラバーヒーター
71 UV照射用円筒面の窓(35mm)
72 UV同時照射用反射板
73 UV照射用窓(φ50)
以上の結果、比較例3と4に示すように、熱風中のオリゴマーだけに紫外線を照射しても、あるいは凝縮・析出法だけによってオリゴマーを除去しても、オリゴマーの除去能力は不足している。実施例1から3および4に示すように、本発明のすなわち、熱風中のオリゴマーと捕集体の表面に凝縮・析出させたオリゴマーの両方に、254nm波長の紫外線を同時に照射することにより、循環熱風中のオリゴマーを効果的に分解除去することが可能で、フィルム処理室の壁やテンタークリップなどへのオリゴマーの堆積量を減らすことができる。これにより、熱風中のオリゴマーによるフィルム表面の汚染と、オリゴマーの堆積物から脱落した塊状物が原因のフィルム欠陥を減少させことが可能になり、さらに装置のクリーニングサイクルの期間も延ばすことが可能になる。

Claims (29)

  1. 高温に加熱された熱風を加熱循環系に強制循環させながら熱可塑性樹脂のフィルム状の被処理物を加熱処理する熱風加熱循環装置において、該加熱循環系内に浮遊しているオリゴマーなどの低分子化合物に、オゾン発生が実質的にない特定波長の紫外線を照射するとともに、該加熱装置の熱風温度よりも低温に設定された捕集体表面に該オリゴマーを凝縮・析出させ、該析出された該オリゴマー表面にもオゾン発生が実質的にない特定波長の紫外線を同時に照射して、該オリゴマーを分解させながら熱風を強制循環させる熱風加熱循環装置。
  2. 前記特定波長の紫外線が照射された熱風中のオリゴマーが、前記捕集体表面に凝集された直後に、該特定波長の紫外線が照射されている請求項1に記載の熱風加熱循環装置。
  3. 前記特定波長の紫外線を照射する面が、新たなオリゴマーが凝集する捕集体表面である請求項1または2に記載の熱風加熱循環装置。
  4. 前記特定波長の紫外線を照射する面が、新たなオリゴマーが凝集する面ではない捕集体の裏面である請求項1または2に記載の熱風加熱循環装置。
  5. 前記特定波長の紫外線は、主として220nmを超え360nm以下の範囲内の波長の紫外線を含む紫外光である請求項1から4に記載の熱風加熱循環装置。
  6. 前記特定波長の紫外線を発するランプを備え、該ランプが、無電極UVランプ、低圧水銀ランプ、アマルガム型低圧水銀ランプ、キセノンランプ、特定波長の紫外線を発光するエキシマランプである、請求項1から5に記載の熱風加熱循環装置。
  7. 前記特定波長の紫外線を発するランプを備え、該ランプが、冷媒の流れる透明なガラス管内に封入されている請求項1から6に記載の熱風加熱循環装置。
  8. 前記透明なガラス管は、波長254nmの特定波長の紫外線透過率が80%以上である請求項7に記載の熱風加熱循環装置。
  9. 前記透明なガラス管は、波長254nmの紫外線透過率が80%以上の紫外線高透過性であるアルカリ添加量を抑えた天然石英ガラス、人工合成石英ガラス、から選ばれた管材料である、請求項7または8に記載の熱風加熱循環装置。
  10. 前記特定波長の紫外線を発するランプが、実質的に254nmの波長の紫外線のみを発する低圧水銀ランプまたはアマルガム型低圧水銀ランプである、請求項6から9に記載の熱風加熱循環装置。
  11. 前記特定波長の紫外線の照射強度が、254nm波長の紫外線の強度で10mW/cm以上である請求項7から10の熱風加熱循環装置。
  12. 前記紫外線ランプ管内の最冷点温度が、254nm紫外線の発生効率が75%以上になる温度範囲である請求項7から9に記載の熱風加熱循環装置。
  13. 前記冷媒が、水、空気、圧縮空気、窒素、不活性ガスなどから選ばれた冷媒である請求項1から12に記載の熱風加熱循環装置。
  14. 前記捕集体の外表面温度は、熱風温度よりも30℃以上低い請求項1から13に記載の熱風加熱循環装置
  15. 前記捕集体の前記特定波長の紫外線を照射する近傍を外部から積極的に加湿させ、熱風中のオリゴマーおよび前記捕集体表面に凝縮・析出したオリゴマーの分解除去において、加水分解作用を併用させる請求項1から14に記載の熱風加熱循環装置。
  16. 前記捕集体は、透明なガラス製の管体や平板、金属製の管や平板および円筒体内側の表面である請求項14または15に記載の熱風加熱循環装置。
  17. 前記熱風の循環路に、有機物分解触媒を配置し、該熱風中に浮遊しているオリゴマーを分解させながら熱風を強制循環させる請求項1から16に記載の熱風加熱循環装置。
  18. 前記有機物分解触媒が白金族系または白金触媒である請求項17に記載の熱風加熱循環装置。
  19. 前記有機物が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアミド(PA)、ポリアクリル酸、ポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂、および、それらのオリゴマーや分解物、添加剤の低分子化合物である請求項17または18に記載の熱風加熱循環装置。
  20. 前記オリゴマーは、前記熱風中に浮遊している有機物質であるテレフタル酸、ナフタレン酸、ビスヒドロキシエチルテレフタル酸、モノヒドロキシエチルテレフタル酸、線状2〜3量体、環状3量体や5量体の低分子量有機オリゴマー、低分子量有機帯電防止剤、滑り剤、アンチブロック剤、安定剤、フィルムの微細破片、駆動系の摺動部から飛散した潤滑油のオイルミストである、請求項1から19に記載の熱風加熱循環装置。
  21. 前記熱風で処理される物が、熱可塑性樹脂からなるフィルムまたはシートの成形体である請求項1から20に記載の熱風加熱循環装置。
  22. 前記成形体の延伸工程や熱処理工程、エージング処理工程などで使用される、請求項21に記載の熱風加熱循環装置。
  23. 冷媒の流れる特定波長に対する透過率が80%以上の透明なガラス管内に、オゾン発生が実質的にない該特定波長の紫外線ランプを設置し、冷媒による冷却作用により熱風より低い温度とした透明なガラス管の外側表面に、熱風からオリゴマーを凝縮・析出させ、該特定波長の紫外線を、該ガラス管内から該管外側表面に凝縮・析出させたオリゴマーの裏面に照射し、さらに該ガラス管の外側表面近傍の熱風中のオリゴマーにも同時照射して、該凝縮・析出したオリゴマーと熱風中のオリゴマーとを同時に分解させる装置を、フィルムの延伸・熱処理・エージング処理工程の行われるゾーンの系外熱風循環路内に設置した請求項1から22に記載の熱風加熱循環装置。
  24. 高温に加熱された熱風を加熱循環系に強制循環させながら熱可塑性樹脂のフィルム状の被処理物を加熱処理する熱風加熱循環方法において、
    該熱風加熱循環系内の熱風中を浮遊しているオリゴマーなどの低分子化合物にオゾン発生が実質的にない特定の特定波長の紫外線を照射するとともに、熱風温度よりも低温に設定された捕集体表面に該オリゴマーを凝縮・析出させ、該析出された該オリゴマー表面にもオゾン発生が実質的にない特定波長の紫外線を同時に照射して、該オリゴマーを分解させながら熱風を強制循環させる熱風加熱循環方法。
  25. 前記特定波長の紫外線は、主として220nmを超え360nm以下の範囲内の波長の紫外線を含む紫外光である請求項24に記載の熱風加熱循環方法。
  26. 前記熱風加熱循環系内に複数個の前記オゾン発生が実質的にない特定の特定波長の紫外線照射装置を並置した請求項24または25に記載の熱風加熱循環方法を用いた熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  27. 前記熱風加熱循環系内の熱風中のオリゴマーおよび前記捕集体表面に凝縮・析出したオリゴマーに前記特定波長の紫外線を照射しながら、該紫外線を照射する前記熱風中のオリゴマーおよび前記捕集体表面に凝縮・析出させたオリゴマーへ水分を供給し、加水分解反応を併用してオリゴマーを分解除去する請求項26に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  28. 前記熱風加熱循環系内に、熱風中のオリゴマーを分解する白金触媒を配置し、該熱風中に浮遊しているオリゴマーを分解させながら熱風を強制循環させる請求項26または27に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  29. 前記熱風温度が130℃以上である請求項26から28に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
JP2019167153A 2019-09-13 2019-09-13 熱風加熱循環装置、並びにフィルムの製造方法 Active JP6752431B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019167153A JP6752431B1 (ja) 2019-09-13 2019-09-13 熱風加熱循環装置、並びにフィルムの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019167153A JP6752431B1 (ja) 2019-09-13 2019-09-13 熱風加熱循環装置、並びにフィルムの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6752431B1 JP6752431B1 (ja) 2020-09-09
JP2021041664A true JP2021041664A (ja) 2021-03-18

Family

ID=72333549

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019167153A Active JP6752431B1 (ja) 2019-09-13 2019-09-13 熱風加熱循環装置、並びにフィルムの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6752431B1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112721247A (zh) * 2020-12-29 2021-04-30 安徽恒鑫环保新材料有限公司 一种聚乳酸吸管风温结晶工艺
CN114161632B (zh) * 2021-12-03 2022-10-28 连云港市金田高新材料有限公司 一种双向拉伸聚丙烯复合薄膜的冷却装置及冷却方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6752431B1 (ja) 2020-09-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6752431B1 (ja) 熱風加熱循環装置、並びにフィルムの製造方法
JP6036099B2 (ja) Petボトル再生原料を使用した二軸配向ポリエステルフィルム
CN107200856A (zh) 半芳香族聚酰胺膜及其制造方法
KR20110114636A (ko) 투명 필름
JP2008248135A (ja) フォトマスク保護テープ用ポリエステルフィルム
JP2003335872A (ja) 耐加水分解性二軸延伸フィルム及びその製造方法ならびにコンデンサ
JP4710103B2 (ja) ロール表面の付着物除去方法および熱可塑性樹脂フィルムの製造方法
TWI622478B (zh) 輥表面之附著物去除方法及熱可塑性樹脂片狀物之製造方法
JP6242550B1 (ja) ロール表面の付着物除去方法および熱可塑性樹脂シート状物の製造方法
JP2015033812A (ja) ロール表面の有機付着物の除去方法
JP2018145214A (ja) 熱可塑性樹脂フィルム
JP2007268971A (ja) 縦延伸熱可塑性樹脂フィルム及びその製造方法並びに装置
JP5069434B2 (ja) ポリエステル組成物およびその製造方法
JP3717447B2 (ja) ポリトリメチレンテレフタレート組成物
JP2009169186A (ja) フォトマスク保護テープ用ポリエステルフィルム
JP5287584B2 (ja) 太陽電池用ポリエステルフィルム
JP2006265275A (ja) ポリエステル組成物の製造方法
JP2006152140A (ja) ポリエステル組成物およびそれからなる成形品
JP5069435B2 (ja) ポリエステル組成物、フィルムおよびその製造方法
JP2021127452A (ja) ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物
JP2004009597A (ja) フィルム製造方法およびフィルム製造装置
JP2018135480A (ja) ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物
JP4765221B2 (ja) ポリエステルおよびフィルムの製造方法
JP2004174975A (ja) 転写材用ポリエステルフィルム
JP2008169276A (ja) ポリエステル組成物およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190930

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20191108

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20191115

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200121

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200316

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200331

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200415

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200623

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200721

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6752431

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250