JP2003071589A - 油井用高強度鋼管継手の製造方法 - Google Patents
油井用高強度鋼管継手の製造方法Info
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Abstract
供する。 【解決手段】 鋼管を、C:0.03%以下、Si:0.70%以
下、Mn:0.30〜2.00%、Cr:10.5〜15.0%、Ni:7.0 %
以下、N:0.03%以下、O:0.01%以下を含み、かつN
b:0.20%以下、V:0.20%以下のうちの1種または2
種を含有する母材組成を有する高強度鋼管の端部同士を
円周溶接するにあたり、溶接材料が、C+N:0.3 %以
下、Si:1.0 %以下、Mn:2.5 %以下、Cr:10.5〜24.0
%、Ni:8.0%以下を含み、あるいはさらに、Mo、Cuの
うちの1種または2種、および/またはNb、V、Ti、Z
r、B、Wのうちから選ばれた1種または2種以上、お
よび/またはCa、REM を含有する溶接材料とし、GTA
W法あるいはGMAW法を用いて溶接接合する。100 %
不活性ガス中でGMAW法を用いて溶接する場合には、
溶接材料にはREM は必須含有とすることが好ましい。
Description
然ガスの油井、ガス井に使用される油井管に係り、とく
に、特に炭酸ガス(CO2 )、塩素イオン(Clー )などを
含む極めて厳しい腐食環境下でも好適な、優れた耐食性
を有する油井用高強度マルテンサイト系ステンレス鋼管
継手の製造方法に関する。なお、本発明でいう、高強度
とは降伏強さ:654MPa以上をいうものとする。
想される石油資源の枯渇化を目前にして、従来は省りみ
られなかったような深層油田や、開発が一旦は放棄され
ていた腐食性の強い油田等に対する開発が、世界的規模
で盛んになっている。このような油田、ガス田は一般に
深度が極めて深く、またその雰囲気は高温でかつ、炭酸
ガス(CO2 )、塩素イオン(Clー )等を含む厳しい腐食
環境となっている。したがって、このような油田、ガス
田の採掘に使用される油井管は、高強度で、しかも耐食
性に優れた特性が要求される。そのため、一般に、この
ようなCO2 、Cl- 等を含む腐食環境下では、油井管とし
て、耐CO2 腐食性、耐孔食性に優れた13%Cr系マルテン
サイト系ステンレス鋼管が多く使用されている。
ス鋼管は、従来からネジ継手により接続され、油井管と
されていた。しかし、最近では、油田の掘削環境が厳し
くなり、それに対応してネジ継手においても、種々のPr
emium Joint が開発されている。しかしながら、ネジ継
手に対する要求も年々厳しくなり、曲げ等の条件が厳し
いPremium Joint によっても必要な特性が得られないよ
うな掘削条件も出現している。
ンパイプ等で一般的な、溶接接合により鋼管を接続して
使用することが要望されるようになってきている。しか
しながら、従来の油井用鋼管は、強度が高く溶接性が劣
ることから、今まで油井管の接続に溶接を使用した例は
ない。さらに、溶接接合した場合には、溶接金属の強
度、靱性あるいはさらに母材 (鋼管)と溶接金属間の電
位差に起因するガルバニック腐食が問題となる。
従来技術の問題に鑑みなされたものであり、耐食性に優
れた高強度鋼管を溶接接合して、CO2 、Cl- 等を含む苛
酷な腐食環境下においても使用可能な優れた耐食性を示
す油井管とする、油井用高強度鋼管継手の製造方法を提
供することを目的とする。本発明では、代表的な油井用
鋼管である、13%Cr系マルテンサイト系ステンレス鋼継
目無管に着目し、これら鋼管の強度、靭性、耐食性等の
母材特性および溶接性を向上させるとともに、これら鋼
管を溶接接合した鋼管継手部の溶接性、耐食性が向上す
る鋼管継手の製造方法を提供するものである。
課題を達成するために、まず代表的なマルテンサイト系
ステンレス鋼である13%Cr鋼をベースとし、C、Nを従
来より著しく低減し、さらに合金元素の含有量を調整
し、耐食性に優れ、かつ溶接可能なマルテンサイト系ス
テンレス鋼管としたうえで、これら鋼管の端部同士を溶
接接合するに際し、鋼管継手部の強度、 靭性および耐食
性に及ぼす各種要因について鋭意検討した。その結果、
本発明者らは、溶接方法と溶接材料組成を適正に組み合
わせることにより、鋼管継手部の強度、 靭性が向上し、
さらに耐食性、とくにCO2 、Cl- 等を含む苛酷な腐食環
境下においても耐食性が顕著に向上することを見いだ
し、この発明を成すに至ったのである。
溶接により接合し油井管とするに当り、前記鋼管を、ma
ss%で、C:0.03%以下、Si:0.70%以下、Mn:0.30〜
2.00%、P:0.03%以下、S:0.005 %以下、Cr:10.5
〜15.0%、Ni:7.0 %以下、Al:0.05%以下、N:0.03
%以下、O:0.01%以下を含有し、さらにNb:0.20%以
下、V:0.20%以下のうちから選ばれた1種または2種
を含有し、残部Feおよび不可避的不純物よりなる母材組
成を有する高強度マルテンサイト系ステンレス鋼管と
し、前記溶接をガスタングステンアーク溶接法による溶
接とし、さらに前記溶接時に使用する溶接材料を、mass
%で、C+N:0.3 %以下、Si:1.0 %以下、Mn:2.5
%以下、Cr:10.5〜21.5%、Ni:8.0 %以下を含有し、
残部Feおよび不可避的不純物よりなる溶材組成を有する
溶接材料とすることを特徴とする耐食性に優れた油井用
高強度鋼管継手の製造方法であり、また、この発明で
は、前記鋼管が、前記母材組成に加えてさらに、mass%
で、次a群〜c群 a群:Mo:0.1 〜3.0 %、Cu:3.5 %以下のうちから選
ばれた1種または2種 b群:Ti:0.3 %以下、Zr:0.2 %以下、B:0.0005〜
0.01%、W:3.0 %以下のうちから選ばれた1種または
2種以上 c群:Ca:0.0005〜0.01% のうちから選ばれた1群または2群以上を含有する鋼管
であることが好ましく、また、この発明では、前記溶接
材料が、前記溶材組成に加えてさらに、mass%で、次A
群〜D群 A群:Nb:0.20%以下、V:0.20%以下、Ti:0.3 %以
下、Zr:0.2 %以下、B:0.01%以下、W:3.5 %以下
のうちから選ばれた1種または2種以上 B群:Mo:3.5 %以下、Cu:3.5 %以下のうちから選ば
れた1種または2種 C群:Ca:0.01%以下 D群:REM :0.1 %以下 のうちから選ばれた1群または2群以上を含有する溶接
材料であることが好ましい。
タルアーク溶接法による溶接とすることが好ましい。ま
た、この発明では、鋼管の端部同士を溶接により接合し
油井管とするに当り、前記鋼管を、mass%で、C:0.03
%以下、Si:0.70%以下、Mn:0.30〜2.00%、P:0.03
%以下、S:0.005 %以下、Cr:10.5〜15.0%、Ni:7.
0 %以下、Al:0.05%以下、N:0.03%以下、O:0.01
%以下を含有し、さらにNb:0.20%以下、V:0.20%以
下のうちから選ばれた1種または2種を含有し、残部Fe
および不可避的不純物よりなる鋼管組成を有する高強度
マルテンサイト系ステンレス鋼管とし、前記溶接を100
%不活性ガス雰囲気中でのガスメタルアーク溶接法によ
る溶接とし、さらに前記溶接時に使用する溶接材料を、
mass%で、C+N:0.3%以下、Si:1.0 %以下、Mn:
2.5 %以下、Cr:10.5〜21.5%、Ni:8.0 %以下、REM
:0.1 %以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物
よりなる溶接材料組成を有する溶接材料とすることを特
徴とする耐食性に優れた油井用高強度鋼管継手の製造方
法であり、また、この発明では、前記鋼管が、前記母材
組成に加えてさらに、mass%で、前記a群〜c群のうち
から選ばれた1群または2群以上を含有する鋼管である
ことが好ましく、またこの発明では、前記溶接材料が、
前記溶材組成に加えてさらに、mass%で、次A群〜C群 A群:Nb:0.20%以下、V:0.20%以下、Ti:0.3 %以
下、Zr:0.2 %以下、B:0.01%以下、W:3.5 %以下
のうちから選ばれた1種または2種以上 B群:Mo:3.5 %以下、Cu:3.5 %以下のうちから選ば
れた1種または2種 C群:Ca:0.01%以下 のうちから選ばれた1群または2群以上を含有する溶接
材料であることが好ましい。
手の製造方法に使用する油井管用鋼管について説明す
る。本発明で使用する油井管用鋼管は、高強度マルテン
サイト系ステンレス鋼管であり、降伏強さYSが654MPa以
上の高強度と高靭性を有し、CO2 、Cl- 等を含む腐食環
境においても優れた耐食性を示す鋼管である。本発明で
使用する鋼管の鋼管組成の限定理由について説明する。
るために必要な元素であるが、溶接熱影響部の硬さを増
加し溶接割れ感受性を高め、溶接割れを引き起こす危険
性を高める。このため、この発明ではCは0.03%以下に
限定した。また、耐食性の観点からはCはできるだけ低
減するのが好ましく、0.02%以下とするのがより好まし
い。なおこの発明では、Cの低減による強度低下をNi、
Nb、Vの含有で補うこととした。
であるが、0.70%を超えると耐CO2 腐食性等の耐食性を
低下させ、さらに熱間加工性をも低下させる。このた
め、Siは0.70%以下に限定した。なお、好ましくは、0.
10〜0.40%である。
るために必要な元素であり、この発明では0.30%以上の
含有を必要とするが、2.00%を超えて含有すると靭性に
悪影響を及ぼす。このため、Mnは0.30〜2.00%の範囲に
限定した。なお、好ましくは、0.35〜1.50%である。
および耐硫化物応力腐食割れ性をともに劣化させる元素
であり、できるだけ低減するのが望ましいが、極端な低
減は製造コストの高騰を招く。このため、Pは、工業的
に比較的安価に実施可能でかつ耐CO2 腐食性、耐CO2 応
力腐食割れ性、耐孔食性および耐硫化物応力腐食割れ性
を劣化させない範囲である0.03%以下とした。
劣化させる元素であり、鋼管製造過程における生産性向
上のためにも、できるだけ低減するのが望ましいが、極
端な低減は製造コストの高騰を招く。0.005 %以下に低
減すれば、通常の工程での鋼管製造が可能となることか
ら、この発明では、Sの上限を0.005 %とした。なお、
好ましくは0.003 %以下である。
ために主要な元素であり、耐食性の観点からは10.5%以
上の含有を必要とするが、15.0%を超えて含有すると熱
間加工性が劣化する。このことから、Crは10.5〜15.0%
の範囲に限定した。
CO2 腐食性、耐CO2 応力腐食割れ性、耐孔食性を高める
元素である。また、Niは、固溶強化により鋼管の強度を
増加させる元素でもあり、Cを低減するこの発明では、
Niを強度増加のために添加されるが、強度増加の観点か
らは 1.0%以上含有するのが望ましい。一方、7.0 %を
超える含有はマルテンサイト組織の安定性を損なう。こ
のため、Niは7.0 %以下に限定した。なお、好ましくは
1.0 〜6.5 %である。
超える含有は靭性に悪影響を及ぼす。このため、Alは0.
05%以下に限定した。 N:0.03%以下 Nは、耐孔食性を著しく向上させる元素であるが、0.03
%を超える含有は、Cと同様に溶接熱影響部の硬さを増
加させ、溶接割れを引き起こす危険性が増大する。この
ため、Nは0.03%以下に限定した。なお、好ましくは
0.015%以下である。
て重要な元素である。すなわち、O含有量が多いと各種
の酸化物を形成して熱間加工性、耐CO2 応力腐食割れ
性、耐孔食性および靭性を著しく劣化させる。このた
め、Oは0.01%以下に限定した。なお、好ましくは0.00
6 %以下である。
1種または2種 Nb、Vは、いずれも靱性を劣化させずに常温、および高
温における強度を上昇させる作用を有する元素であり、
この発明ではNb、Vのうちから選ばれた1種または2種
を含有する。Nb、Vの含有量が、0.20%を超えると、靭
性を低下させる。このため、Nb:0.20%以下、V:0.20
%以下に限定した。なお、好ましくはNb:0.015 〜0.06
%、V:0.03〜0.10%である。
てさらに、次a群〜c群 a群:Mo:0.1 〜3.0 %、Cu:3.5 %以下のうちから選
ばれた1種または2種 b群:Ti:0.3 %以下、Zr:0.2 %以下、B:0.0005〜
0.01%、W:3.0 %以下のうちから選ばれた1種または
2種以上 c群:Ca:0.0005〜0.01% のうちから選ばれた1群または2群以上を必要に応じ選
択して含有することができる。
のうちから選ばれた1種または2種 a群:Mo、Cuは、いずれも耐食性を向上させる元素であ
り、必要に応じ選択して含有できる。 Moは、Cl- による孔食に対する抵抗性を増加させ、耐食
性を改善する元素である。このような効果は、0.1 %以
上の含有で認められるが、一方、3.0 %を超える含有は
δフェライトの発生を招き、耐CO2 腐食性、耐CO2 応力
腐食割れ性および熱間加工性を低下させる。このような
ことから、Moは0.1 〜3.0 %の範囲に限定するのが好ま
しい。なお、より好ましくは0.50〜2.50%である。
水素の侵入を抑制し、耐硫化物応力腐食割れ性等の耐食
性を高める元素であるが、3.5 %を超えて含有すると、
高温でCuS が粒界析出し、熱間加工性が低下する。この
ことから、Cuは3.5 %以下に限定するのが好ましい。な
お、より好ましくは0.2 〜2.5 %である。 b群:Ti:0.3 %以下、Zr:0.2 %以下、B:0.0005〜
0.01%、W:3.0 %以下のうちから選ばれた1種または
2種以上 b群:Ti、Zr、B、Wは、いずれも強度を上昇させ、耐
応力腐食割れ性を改善する作用を有し、この発明では必
要に応じ選択して含有できる。
を、Wは3.0 %を、それぞれ超えて含有すると靭性を劣
化させるため、Tiは0.3 %、Zrは0.2 %、Bは0.01%、
Wは3.0 %を、それぞれ上限とするのが好ましい。ま
た、Bは0.0005%未満では上記した効果が認められない
ため、0.0005%を下限とするのが好ましい。なお、より
好ましくは、Ti:0.03〜0.20%、Zr:0.02〜0.15%、
B:0.0003〜 0.005%、W:0.1 〜 2.0%である。
し、介在物の周囲のマトリックスの格子歪を小さくし
て、水素のトラップ能を下げ、耐硫化物応力腐食割れ性
を向上させる元素であり、必要に応じ含有できる。この
ような効果は0.0005%以上の含有で顕著となるが、0.01
%を超える含有は、CaO の増加を招き、耐CO2 腐食性、
耐孔食性を低下させる。このため、Caは0.0005〜0.01%
に限定するのが好ましい。なお、より好ましくは0.001
〜0.005 %である。
避的不純物である。つぎに、この発明に使用する鋼管の
好ましい製造方法について、説明する。上記した組成の
鋼素材を熱間加工により鋼管とする。本発明では鋼素材
の製造方法についてはとくに限定する必要はない。転
炉、電気炉等の通常公知の溶製方法で上記した組成の溶
鋼を溶製し、あるいはさらに2次精錬等を付加したの
ち、連続鋳造法等の通常公知の鋳造方法で鋼素材(ビレ
ット)とするのが好ましい。
工程を用いて継目無鋼管とすればよい。継目無鋼管の製
造工程としては、マンネスマン−プラグミル方式の熱間
加工による製造工程が好ましい。なお、継目無鋼管以外
の電縫鋼管、UOE鋼管の製造工程を用いて鋼管として
もよい。本発明では、上記した組成の鋼管の端部同士を
当接し、円周溶接して接合し、鋼管継手を作製する。こ
のような端部同士の溶接接合による鋼管継手の作製を、
必要な長さとなるまで繰り返し行い、油井管とする。
同士を溶接接合するが、溶接接合は、ガスタングステン
アーク溶接法(GTAW)またはガスメタルアーク溶接
法(GMAW)によるものとする。なお、鋼管継手部
が、とくに高靭性を有することが要求される場合には、
溶接雰囲気は100 %不活性ガス雰囲気とすることが好ま
しい。
接材料の溶材組成限定理由について説明する。この発明
で用いる溶接材料は、C+N:0.3 %以下、Si:1.0 %
以下、Mn:2.5 %以下、Cr:10.5〜21.5%、Ni:8.0 %
以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物よりなる溶
材組成を基本組成とする。
であるが、C+Nが0.3 %を超えると溶接割れ発生の危
険性が増大するとともに、鋼管継手(溶接継手)部の耐
食性が低下する。このため、C+Nを0.3 %以下に限定
した。 Si:1.0 %以下 Siは、脱酸剤として必要な元素であるが、1.0 %を超え
ると溶接金属の靱性を低下させるとともに、高温割れ発
生の危険性が増大する。このため、Siは1.0 %以下に限
定した。なお、好ましくは、0.15〜0.50%である。
る元素であり、0.1 %以上含有することが好ましいが、
2.5 %を超えて含有すると靭性に悪影響を及ぼす。この
ため、Mnは2.5 %以下に限定した。なお、好ましくは、
0.30〜1.50%である。
を保持するために主要な元素であり、耐食性の観点から
は10.5%以上の含有を必要とするが、24.5%を超えて含
有すると溶接熱影響部の靱性が劣化する。このことか
ら、Crは10.5〜24.5%の範囲に限定した。なお、好まし
くは10.5〜16.5%である。
CO2 腐食性、耐CO2 応力腐食割れ性、耐孔食性等の耐食
性を高める元素であり、また、固溶強化により溶接金属
の強度を増加させる元素でもある。溶接金属の強度保持
の観点からは%以上含有するのが望ましいが、8.0 %を
超える含有は溶接金属におけるマルテンサイト組織の安
定性を損なうとともに、溶接金属の強度低下を生じ、継
手のアンダーマッチングを生じる危険性がある。また、
高温割れの発生傾向が増大するしやすくなる。このこと
から、Niは8.0 %以下に限定した。なお、好ましくは1.
5 〜 7.0%である。
基本組成に加えて、さらにmass%で、次A群〜D群 A群:Nb:0.20%以下、V:0.20%以下、Ti:0.3 %以
下、Zr:0.2 %以下、B:0.01%以下、W:3.5 %以下
のうちから選ばれた1種または2種以上 B群:Mo:3.5 %以下、Cu:3.5 %以下のうちから選ば
れた1種または2種 C群:Ca:0.01%以下 D群:REM :0.1 %以下 のうちから選ばれた1群または2群以上を必要に応じ選
択して含有することが好ましい。
Ti:0.3 %以下、Zr:0.2 %以下、B:0.01%以下、
W:3.5 %以下のうちから選ばれた1種または2種以上 A群:Nb、V、Ti、Zr、B、Wは、いずれも、溶接金属
の強度を上昇させるとともに、溶接金属の耐応力腐食割
れ性を改善する作用を有し、この発明では、必要に応じ
選択して含有できる。Nbは0.20%を、Vは0.20%を、Ti
は0.3 %を、Zrは0.2 %を、Bは0.01%を、Wは3.0 %
を、それぞれ超えて含有すると靭性を劣化させるため、
Nbは0.20%、Vは0.20%、Tiは0.3 %、Zrは0.2 %、B
は0.01%、Wは3.5 %を、それぞれ上限とするのが好ま
しい。なお、より好ましくは、Nb:0.015 〜0.15、V:
0.02〜0.15%、Ti:0.01〜0.20%、Zr:0.01〜0.15%、
B:0.0001〜0.0050%、W:0.1 〜 2.5%である。
うちから選ばれた1種または2種 B群:Mo、Cuはいずれも、溶接金属の耐食性を向上させ
る元素であり、 必要に応じ含有することが好ましい。 Moは、Cl- による孔食に対する抵抗性を増加させ、耐食
性を改善する元素である。このような効果を得るために
は、0.1 %以上含有するのが望ましい。一方、3.5 %を
超える含有は溶接金属の靱性を低下させる。このため、
Moは3.5 %以下に限定するのが好ましい。なお、より好
ましくは0.50〜 2.0%である。
への水素の侵入を抑制し、耐硫化物応力腐食割れ性等の
耐食性を高める元素であり、0.2 %以上含有するのが望
ましい。しかし、3.5 %を超えて含有すると、高温割れ
感受性が高くなる。このことから、Cuは3.5 %以下に限
定するのが好ましい。なお、より好ましくは 0.2〜2.5
%である。
のトラップ能を下げる作用があり、必要に応じ含有でき
る。しかし、0.01%を超える含有は、CaO の増加を招
き、靱性が低下する。このことから、Caは0.01%以下と
することが好ましい。
接継手部の品質を改善する作用を有しており、必要に応
じ含有できる。しかし、0.1 %を超えて含有すると、溶
接金属の靱性を低下させる危険性が増大する。このこと
から、REM は0.1 %以下とすることが好ましい。なお、
溶接を、100 %不活性ガス雰囲気中でGMAW法を用い
て行う場合には、この発明ではREM は必須含有とする。
性および耐食性はもちろん、鋼管継手部でも、強度靭性
に優れ、炭酸ガス、塩素イオンを含む厳しい腐食環境下
における全面腐食、孔食等の発生を防止でき、耐食性に
優れた溶接継手部を有する油井管となる。また、鋼管継
手部におけるガルバニック腐食を防止できる。
1に示す組成の鋼を転炉で溶製し、真空脱ガス処理を施
して精錬したのち、連続鋳造法により鋼管素材(ビレッ
ト)とした。これらの鋼管素材を加熱して、マンネスマ
ン−マンドレル方式のミルで造管し外径 101.6mm×肉厚
12.7mmの継目無鋼管とした。ついで、これら鋼管に、表
2に示す条件の熱処理(焼入れ−焼戻し)を施し、95ks
i グレードのマルテンサイト系ステンレス鋼管とした。
得られた鋼管の引張特性(降伏強さYS, 引張強さTS, 伸
びEl)および靭性(vE-40 )を表2に示す。
表3に示す化学組成を有する溶接材料を用いて、表4に
示す溶接条件でガスタングステンアーク溶接(GTA
W)法またはガスメタルアーク溶接(GMAW)法を用
いて、円周溶接し鋼管継手(油井管)を作製した。開先
形状は60°のV開先とした。また、円周溶接前後の熱処
理は行わなかった。溶接終了後、 溶接ビードを目視で観
察し、溶接割れの有無で、溶接性を評価した。溶接割れ
有りを×、 無を○として表示した。
採取した試験片を用いて、溶接部の引張試験、靭性試
験、腐食試験を実施した。引張試験は、鋼管継手の溶接
部から管長手方向に引っ張り試験を採取して、引張強さ
を測定した。また、靭性試験は、溶接部中央にノッチを
導入したシャルピー衝撃試験片を採取し、ー20℃で衝撃
試験を行い、吸収エネルギーvE-20 を求めた。
さ:3.0 ×25×50mm)を、オートクレーブで3.0 MPa の
炭酸ガスを飽和した20%NaCl水溶液(液温:100 ℃)中
に7日間浸漬したのち引き上げた。引上げた試験片につ
いて、腐食生成物を除去したのち、孔食の有無を目視に
より調査した。また、腐食試験後の試験片重量を測定し
板厚減少量に換算し、腐食速度(mm/y)を求めた。
さ:3.0 ×25×50mm)を、10%NaCl水溶液にHCl を添加
してpHを1.0 に調整した液(液温:65℃)中に2日間浸
漬したのち、引き上げた。引上げた試験片について、腐
食生成物を除去したのち、ガルバニック腐食の有無を目
視により調査した。
のは○、孔食の発生しなかったものは×として、耐孔食
性を評価した。また、ガルバニック腐食の発生したもの
は○、ガルバニック腐食の発生しなかったものは×とし
て、耐ガルバニック腐食性を評価した。また、実用的に
使用可能な腐食速度:0.100mm/y を限界値とし、この限
界値以上の腐食速度を示すものは×、限界値未満の腐食
速度を示すものは○として、耐全面腐食性を評価した。
度、 靭性は優れるとともに、鋼管継手部には孔食および
ガルバニック腐食の発生は認められず、優れた耐孔食
性、耐ガルバニック腐食性を示している。また、本発明
例では、鋼管継手部の腐食速度は0.1mm/y 以下と小さ
く、実用的に使用可能なレベル以上の優れた耐全面腐食
性を有している。また、溶接割れの発生も認められず、
優れた溶接性を示している。
合により高強度油井管を能率よく製造でき、炭酸ガス
(CO2 )、塩素イオン(Cl- )を含む高温で過酷な腐食
環境下においても十分な耐食性を示す油井管を安価に提
供でき、産業上格段の効果を奏する。
Claims (7)
- 【請求項1】 鋼管の端部同士を溶接により接合し油井
管とするに当り、前記鋼管を、mass%で、 C:0.03%以下、 Si:0.70%以下、 Mn:0.30〜2.00%、 P:0.03%以下、 S:0.005 %以下、 Cr:10.5〜15.0%、 Ni:7.0 %以下、 Al:0.05%以下、 N:0.03%以下、 O:0.01%以下 を含有し、さらにNb:0.20%以下、V:0.20%以下のう
ちから選ばれた1種または2種を含有し、残部Feおよび
不可避的不純物よりなる母材組成を有する高強度マルテ
ンサイト系ステンレス鋼管とし、前記溶接をガスタング
ステンアーク溶接法による溶接とし、前記溶接時に使用
する溶接材料を、mass%で、 C+N:0.3 %以下、 Si:1.0 %以下、 Mn:2.5 %以下、 Cr:10.5〜21.5%、 Ni:8.0 %以下 を含有し、残部Feおよび不可避的不純物よりなる溶材組
成を有する溶接材料とすることを特徴とする耐食性に優
れた油井用高強度鋼管継手の製造方法。 - 【請求項2】 前記鋼管が、前記母材組成に加えてさら
に、mass%で、下記a群〜c群のうちから選ばれた1群
または2群以上を含有する鋼管であることを特徴とする
請求項1に記載の油井用高強度鋼管継手の製造方法。 記 a群:Mo:0.1 〜3.0 %、Cu:3.5 %以下のうちから選
ばれた1種または2種 b群:Ti:0.3 %以下、Zr:0.2 %以下、B:0.0005〜
0.01%、W:3.0 %以下のうちから選ばれた1種または
2種以上 c群:Ca:0.0005〜0.01% - 【請求項3】 前記溶接材料が、前記溶材組成に加えて
さらに、mass%で、下記A群〜D群のうちから選ばれた
1群または2群以上を含有する溶接材料であることを特
徴とする請求項1または2のいずれかに記載の油井用高
強度鋼管継手の製造方法。 記 A群:Nb:0.20%以下、V:0.20%以下、Ti:0.3 %以
下、Zr:0.2 %以下、B:0.01%以下、W:3.5 %以下
のうちから選ばれた1種または2種以上 B群:Mo:3.5 %以下、Cu:3.5 %以下のうちから選ば
れた1種または2種 C群:Ca:0.01%以下 D群:REM :0.1 %以下 - 【請求項4】 前記溶接を、ガスメタルアーク溶接法に
よる溶接とすることを特徴とする請求項1ないし3のい
ずれかに記載の油井用高強度鋼管継手の製造方法。 - 【請求項5】 鋼管の端部同士を溶接により接合し油井
管とするに当り、前記鋼管を、mass%で、 C:0.03%以下、 Si:0.70%以下、 Mn:0.30〜2.00%、 P:0.03%以下、 S:0.005 %以下、 Cr:10.5〜15.0%、 Ni:7.0 %以下、 Al:0.05%以下、 N:0.03%以下、 O:0.01%以下 を含有し、さらにNb:0.20%以下、V:0.20%以下のう
ちから選ばれた1種または2種を含有し、残部Feおよび
不可避的不純物よりなる鋼管組成を有する高強度マルテ
ンサイト系ステンレス鋼管とし、 前記溶接を100 %不活性ガス雰囲気中でのガスメタルア
ーク溶接法による溶接とし、 前記溶接時に使用する溶接材料を、mass%で、 C+N:0.3 %以下、 Si:1.0 %以下、 Mn:2.5 %以下、 Cr:10.5〜21.5%、 Ni:8.0 %以下 REM :0.1 %以下 を含有し、残部Feおよび不可避的不純物よりなる溶接材
料組成を有する溶接材料とすることを特徴とする耐食性
に優れた油井用高強度鋼管継手の製造方法。 - 【請求項6】 前記鋼管が、前記母材組成に加えてさら
に、mass%で、下記a群〜c群のうちから選ばれた1群
または2群以上を含有する鋼管であることを特徴とする
請求項5に記載の油井用高強度鋼管継手の製造方法。 記 a群:Mo:0.1 〜3.0 %、Cu:3.5 %以下のうちから選
ばれた1種または2種 b群:Ti:0.3 %以下、Zr:0.2 %以下、B:0.0005〜
0.01%、W:3.0 %以下のうちから選ばれた1種または
2種以上 c群:Ca:0.0005〜0.01% - 【請求項7】 前記溶接材料が、前記溶材組成に加えて
さらに、mass%で、下記A群〜C群のうちから選ばれた
1群または2群以上を含有する溶接材料であることを特
徴とする請求項5または6に記載の油井用高強度鋼管継
手の製造方法。 記 A群:Nb:0.20%以下、V:0.20%以下、Ti:0.3 %以
下、Zr:0.2 %以下、B:0.01%以下、W:3.5 %以下
のうちから選ばれた1種または2種以上 B群:Mo:3.5 %以下、Cu:3.5 %以下のうちから選ば
れた1種または2種 C群:Ca:0.01%以下
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