JP2001179485A - マルテンサイト系ステンレス溶接鋼管およびその製造方法 - Google Patents
マルテンサイト系ステンレス溶接鋼管およびその製造方法Info
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Abstract
ガス腐食性、耐SSC性および耐HE性)を発揮する溶
接部を有する厚肉大径のマルテンサイト系ステンレス溶
接鋼管とその製法を提供する。 【解決手段】溶接金属が、C:0.1%以下、Ni:2
〜10%、Cr:12〜20%、残部:実質的にFeよ
りなり、不純物として含まれるP、S、V、NおよびO
(酸素)の含有量がそれぞれ0.04%以下、0.01
%以下、0.1%以下、0.1%以下、0.06%以下
の化学組成を有し、かつ金属組織が、その組織中に占め
るフェライト相の体積割合をα%、オーステナイト相の
体積割合をγ%とした時、式「250≦1.6γ+1.3α+(15
・8C+2.8)(100−γ−α)≦320」を満たす。
Description
井管および油井化工機用配管に用いて好適なマルテンサ
イト系ステンレス溶接鋼管とその製造方法に関する。
ルテンサイト系ステンレス鋼は、油井用材料として近年
開発が進められている鋼種である。この低炭素マルテン
サイト系ステンレス鋼は、二相ステンレス鋼よりもCr
等の高価な元素の含有量が少ないために安価であり、湿
潤な炭酸ガスや微量の硫化水素を含む環境下で良好な耐
食性を示す。また、炭素含有量が低いために溶接性がよ
く、ガス・タングステン・アーク溶接法(以後、GTA
W法という)やガス・メタル・アーク溶接法(以後、G
MAW法という)による突き合わせ周溶接接合を前提と
するラインパイプに用いて特に好適である。
て製造されることが多い。継目無鋼管は、高耐食性ライ
ンパイプに要求される靭性等の機械的性質および耐炭酸
ガス腐食性、耐硫化物応力割れ性(以後、耐SSC性と
いう)、カソード防食時の耐水素割れ性(以後、耐HE
性という)等の耐食性が良好で、性能上の信頼性が高
い。しかし、外径300mm以上というような大径管の
製造が困難であるという問題がある。
による製造方法が検討されるようになってきた。例え
ば、特開平4−191319号公報や特開平4−191
320号公報には電縫溶接法(以後、ERW法という)
による方法、特開平9−164425号公報にはレーザ
溶接法による方法が示されている。
いずれも肉厚が10mm以下の薄肉管の製造を主として
いる。また、一般に、低炭素マルテンサイト系ステンレ
ス鋼は、その溶接金属の金属組織が焼入れマルテンサイ
ト組織となって著しく硬化し、靭性や耐SSC性、耐H
E性が低下する。このため、製管溶接後に後熱処理を施
して溶接金属の金属組織を回復させ、所望の性能を得る
ようにしている。
は、近年、需要が増えつつある肉厚が10mmを超える
厚肉で、かつ外径300mm以上の大径厚肉の溶接鋼管
を安定して製造することができないという欠点を有して
いる。また、製管溶接後に後熱処理を施すことは、製造
コストの上昇を招くので好ましくない。
るには、入熱量の大きいサブマージドアーク溶接法(以
後、SAW法という)が好適である。しかし、SAW法
によった場合は、溶接金属中のO(酸素)とCの含有量
が多くなる。このため、従来は、かかる溶接金属では所
望の機械的性質と耐食性を得ることは困難である考えら
れ、高濃度のOとCを含むSAW法で得られる溶接金属
で所望の機械的性質と耐食性を得る方法についてはほと
んど検討されることはなかった。その理由は次のとおり
である。
れる厚肉大径の溶接鋼管の製管設備には、ERW法やレ
ーザ溶接法による溶接鋼管や継目無鋼管の製造設備の場
合とは異なり、製管ラインに付随して熱処理設備が設け
られていないことが多い。これは、受注量が比較的多い
ラインパイプを製造する際、全ての製品に十分な後熱処
理を施すことは製造コストの上昇を招くため、必須の製
造条件に後熱処理を加え難いためである。
(以後、MIG法という)による低炭素マルテンサイト
系ステンレス溶接鋼管の製造方法としては、特開平10
−60599号公報および特開平10−146691号
公報に示される方法がある。
(以後、HAZという)の靭性を確保するために十分な
量のマルテンサイトをHAZに生成させるようにした必
須成分としてCaを含有する母材鋼とその溶接金属の一
例、後者の公報には、マルテンサイト、オーステナイト
およびフェライトの3相からなる金属組織を有する溶接
金属を得るために所定の化学組成を有するワイヤを用い
るMIG法が示されているにすぎず、SAW法で得られ
る溶接金属自体の化学組成と金属組織をどのようにすれ
ば所望の機械的性質と耐食性が確保できるかについては
何等記載されていない。
E製管法やスパイラル製管法に代表され溶接製管法によ
って製造され、製管溶接後の後熱処理が不要であるにも
かかわらず、溶接部の靭性と耐食性、特に耐SSC性お
よび耐HE性が良好な厚肉大径のマルテンサイト系ステ
ンレス溶接鋼管とその製造方法を提供することにある。
(1)のマルテンサイト系ステンレス溶接鋼管と下記
(2)のマルテンサイト系ステンレス溶接鋼管の製造方
法にある。
C:0.1%以下、Ni:2〜10%、Cr:12〜2
0%、Si:0〜1%、Mn:0〜3%、Mo:0〜5
%、Ti:0〜0.2%、Al:0〜0.1%、Nb:
0〜0.1%、Cu:0〜3%、W:0〜6%を含有
し、残部が実質的にFeよりなり、不純物として含まれ
るP、S、V、NおよびO(酸素)の含有量がそれぞれ
0.04%以下、0.01%以下、0.1%以下、0.
1%以下、0.06%以下であり、かつ溶接金属の組織
が、その組織中に占めるフェライト相の体積割合をα
%、オーステナイト相の体積割合をγ%としたとき、下
式を満たす金属組織であるマルテンサイト系ステンレス
溶接鋼管。
(質量%)である。
系ステンレス溶接鋼管の製造方法であって、製管溶接を
サブマージアーク溶接で行うマルテンサイト系ステンレ
ス溶接鋼管の製造方法。
溶接鋼管は、フェライト相の体積割合αが15体積%以
下、より好ましくは5〜15体積%であることが望まし
い。
による製管溶接後、焼戻し処理を施して硬度を調整する
ようにしてもよい。
に鋭意検討の結果、次のことを知見し、本発明を完成さ
せた。
が適正でも金属組織が適正でないと確保されない。特
に、酸素含有量が高いために靭性の確保が難しく、かつ
金属組織の調整の難しいSAW法で得られる溶接金属の
場合、その傾向が著しい。
も、その金属組織が上記の式「250≦1.6γ+1.3α+(15
・8C+2.8)(100−γ−α)≦320 」を満たす組織であれ
ば、所望の靭性と耐食性(耐炭酸ガス腐食性、耐SSC
性および耐HE性)が確保されることを知見した。
しく説明する。なお、以下において、「%」は特に断ら
ない限り、「質量%」を意味する。
著しく硬化し、靭性、耐SSC性および耐HE性が低下
する。したがって、C含有量は0.1%以下とした。な
お、硬化はC含有量が低いほど抑制される。このため、
C含有量の下限は特に定める必要はなく、低ければ低い
ほど好ましい。しかし、過度の低減はコスト上昇を招く
ので、経済性の観点から、その下限は0.002%程度
とするのがよい。
に、低温靭性を向上させる効果があり、これらの効果を
得るためには最低でも2%が必要である。しかし、10
%を超えて含有させてもその効果が飽和し、コスト上昇
を招くだけである。したがって、Ni含有量は2〜10
%とした。好ましい範囲は4〜8%、より好ましい範囲
は5〜7%である。
酸ガス腐食性を確保する上で必須の元素であり、その効
果を得るためには最低でも12%が必要である。しか
し、20%を超えて含有させるとフェライト相が多量に
析出し、靭性が低下することがあり、これを防ぐには上
記の高価なNi等他の元素を増やす必要が生じ、コスト
上昇を招く。したがって、Cr含有量は12〜20%と
した。好ましい範囲は12〜16%、より好ましい範囲
は12〜14%である。
性、耐SSC性および耐HE性を劣化させる。特に、そ
の含有量が0.04%を超えるとこれらの特性が著しく
劣化する。したがって、P含有量は0.04%以下とし
た。なお、P含有量は低ければ低いほどよい。
在し、粒界に偏析したり、硫化物系の介在物を生成して
靭性、耐SSC性および耐HE性を低下させる。特に、
その含有量が0.01%を超えると靭性や耐食性の低下
が著しくなる。したがって、P含有量は0.01%以下
とした。なお、S含有量は低ければ低いほどよい。
り、その含有量が0.1%を超えると微細なVCが析出
し、これが原因で著しく硬化し、靭性、耐SSC性およ
び耐HE性が低下する。したがって、V含有量は0.1
%以下とした。好ましい上限は0.05%、より好まし
い上限は0.02%である。
0.1%を超えるとブローホール等の溶接欠陥が生じて
健全な溶接金属が得られない。また、Nは粒界に偏析
し、靭性を低下させることがある。したがって、N含有
量は0.1%以下とした。なお、N含有量は低ければ低
いほどよい。
入し、その含有量が0.06%を超えると粗大な酸化物
を形成し、靭性が低下する。したがてO含有量は0.0
6%以下とした。なお、O含有量は低ければ低いほどよ
い。
上記の化学組成をみたせば十分であるが、上記の成分以
外に下記量の各成分を含むものであってもよい。
ある。この効果は0.2%以上で顕著になる。しかし、
1%を超えて含有させると粒界強度を低め、靭性、耐S
SC性および耐HE性が低下する。したがって、添加す
る場合のSi含有量は0.2〜1%とするのがよい。好
ましい範囲は0.2〜0.6%、より好ましい範囲は
0.2〜0.4%である。
MnSを形成し、熱間加工性を改善するとともに、オー
ステナイト相の体積割合γを高める効果がある。この効
果は0.5%以上で顕著になる。しかし、3%を超えて
含有させると粒界強度を弱めたり、湿潤硫化水素環境中
で鋼が溶解しやすくなって、靭性、耐SSC性および耐
HE性を低下させる。したがって、添加する場合のMn
含有量は0.5〜3%とするのがよい。好ましい範囲は
0.5〜2%、より好ましい範囲は0.5〜1%であ
る。
む環境中での耐食性を高める効果がある。この効果は
0.5%以上で顕著になる。しかし、Moは前記のCr
と同様にフェライト相の生成を助長する元素で、5%を
超えて含有させるとフェライト相の析出を促進し、靭性
を低下させることがあり、これを防ぐには前記の高価な
Ni等の他の元素を増やす必要が生じ、コスト上昇を招
く。したがって、添加する場合のMo含有量は0.5〜
5%とするのがよい。好ましい範囲は0.5〜3%であ
る。
であるNをTiNとして固定する効果がある。この効果
は0.01%以上で顕著になる。また、Nの固定に必要
な量を超えるTiは、Cと結合して炭化物を形成し、突
き合わせ周溶接部のHAZ硬化を抑制する効果がある。
しかし、0.2%を超えて含有させると炭窒化物を過剰
に生成し、靭性、耐SSC性および耐HE性を低下させ
る。したがって、添加する場合のTi含有量は0.01
〜0.2%とするのがよい。好ましい範囲は0.01〜
0.1%、より好ましい範囲は0.01〜0.02%で
ある。
効である。この効果は0.01%以上で顕著になる。し
かし、0.1%を超えて含有させると粗大なAl2O3系
介在物が多くなって靭性、耐SSC性および耐HE性が
低下する。したがって、添加する場合のAl含有量は
0.01〜0.1%とするのがよい。好ましい範囲は
0.01〜0.05%、より好ましい範囲は0.01〜
0.03%である。なお、本発明にいうAlとは、所謂
「sol.Al(酸可溶Al)」のことである。
を形成し、粒径の微細化に有効である。この効果は0.
005%以上で顕著になる。しかし、0.1%を超えて
含有させると炭窒化物を形成し、靭性、耐SSC性およ
び耐HE性が低下する。したがって、添加する場合のN
b含有量は0.005〜0.1%とするのがよい。好ま
しい範囲は0.005〜0.05%、より好ましい範囲
は0.005〜0.03%である。
る効果がある。この効果は0.5%以上で顕著になる。
しかし、3%を超えて含有させると耐食性の向上効果は
飽和し、マルテンサイト相の強度上昇を招き、靭性、耐
SSC性および耐HE性を低下させる。したがって、添
加する場合のCu含有量は0.5〜3%とするのがよ
い。好ましい範囲は0.5〜2%、より好ましい範囲は
0.5〜1%である。
様に、硫化水素を含む湿潤環境中での耐食性を高める効
果がある。この効果は0.5%以上で顕著になる。しか
し、6%を超えて含有させるとフェライト相の析出を促
進し、靭性を低下させることがあり、これを防ぐには前
記の高価なNi等の他の元素を増やす必要が生じ、コス
ト上昇を招く。したがって、添加する場合のW含有量は
0.5〜6%とするのがよい。好ましい範囲は0.5〜
4%、より好ましい範囲は0.5〜3%である。
織は、その組織中に占めるオーステナイト相の体積割合
をγ(体積%)、フェライト相の体積割合をα(体積
%)、溶接金属中のC含有量をC(質量%)とした場
合、式「250≦1.6γ+1.3α+(15・8C+2.8)(100−γ−
α)≦320 」を満たす必要がある。
8)(100−γ−α)」で求められる値が250未満の金属
組織では、溶接金属の方が母材の硬さよりも低く、アン
ダーマッチングとなって硬さの低い溶接金属部に応力が
集中し、所望の耐SSC性および耐HE性が確保できな
い。逆に、上記の値が320を超える金属組織では、溶
接金属の硬さが高すぎるために、所望の靭性、耐SSC
性および耐HE性が確保できないためである。
体積%以下であることが望ましく、より好ましくは5〜
15体積%であることが望ましい。これは、フェライト
相の体積割合αが15体積%を超えると、耐食性は確保
できるが、靭性が確保できない場合があり、逆に5体積
%未満であると、溶接高温割れが生じやすいためであ
る。
γは、式「250≦1.6γ+1.3α+(15・8C+2.8)(100−γ
−α)≦320」を満たせばよく、その上下限値は特に制限
されない。
(体積%)は、次の方法によって得られる値である。線
源がCo−KαのX線回折法により、鋼板の断面でマル
テンサイト相の{211}回折線とオーステナイト相の
{220}回折線の強度比を測定し、3断面の測定値を
平均してオーステナイト相の体積割合γを求める。
ト相では、回折線の強度が異なり、装置毎の特性による
誤差がある。このため、所定の相比に混合された、理学
電機工業(株)製の市販のマルテンサイト系ステンレス
鋼およびオーステナイト系ステンレス鋼の標準試料を用
いて強度補正を行う。
と同じbcc構造であるため、X線回折法では分離でき
ない。このため、フェライト相の体積割合α(体積%)
は、次の点算法により得られる値とする。
し、730×950mm角視野の顕微鏡写真を5視野撮
影してこれらの顕微鏡写真を4倍に拡大するとともに、
線幅0.5mm、ピッチ5mmの升目格子を描く。そし
て、升目格子の格子点がフェライト相中にあれば1点、
マルテンサイト相中またはオーステナイト相中にあれば
0点、境界にあれば0.5点として5視野の全格子点に
ついて調べ、その合計点数を全格子数で除してフェライ
ト相の体積割合α(体積%)を求める。
ト相中に微細析出しているため、ミクロ組織を観察して
も区別が不可能であり、上記のX線回折法を用いる必要
がある。
の鋼管外周長とほぼ同じ幅に切断して円筒状に成形し、
その突き合わせ部分をSAW溶接して溶接鋼管とする。
成形には段階的にCプレス、UプレスおよびOプレスに
より成形するUOE法を用いてもよいし、スパイラル法
やロールベンド法を用いてもよい。
ヤは、本発明条件の溶接金属が得られれば特に制限は受
けない。また、溶接後の後熱処理は不要であるが、硬度
の微調整のために焼戻し処理等を施してもよい。
や耐食性を有する鋼であれば特に制限はされない。ただ
し、母材の強度については、近年は降伏応力が551M
Pa以上級のラインパイプの需要が多いことから、55
1MPa以上の降伏応力を有するものであることが望ま
しい。
特に指定はされない。例えば、金属組織についてはマル
テンサイト単相であってもよいし、数10%のオーステ
ナイト相やフェライト相を含んでいてもよい。ただし、
化学組成については、耐炭酸ガス腐食性を確保する観点
から、12〜20%のCrを含むものであることが望ま
しい。
い。通常の分塊圧延および熱間圧延により製造した熱延
鋼板または厚鋼板を用いればよい。熱延方法について
は、通常の加熱温度、例えば1100〜1250℃の範
囲に加熱した後、通常の方法で圧延して仕上げればよ
い。また、強度の微調整のため圧延後に焼戻しを実施し
てもよい。
た。この素材鋼を、1250℃のに加熱後、厚板圧延に
より板厚25mmの厚鋼板とした。その後焼入れ焼戻し
の熱処理を施し、降伏応力654MPaに調整した。
法を模擬して単電極のSAW法によって溶接を行い、表
2と表3に示す化学組成を有する29種類の溶接金属を
得た。そして、各溶接金属の金属組織に占めるオーステ
ナイト相の体積割合γとフェライト相の体積割合αを前
述した方法により測定して式「 1.6γ+1.3α+(15・8C
+2.8)(100−γ−α) 」値を求める一方、その性能(靭
性、耐炭酸ガス腐食性、耐SSC性および耐HE性)を
調査した。
置するように、厚さ10mm、幅10mm、長さ55m
mのシャルピー衝撃試験片を採取し、−30℃で衝撃試
験を実施し、吸収エネルギーが50J/cm2 以上のも
のを良好な靭性を有していると見なした。
た。
mm、長さ30mmの試験片を溶接金属を中心として採
取し、この試験片を、30atmの炭酸ガスを飽和させ
たNaCl濃度25質量%の温度が室温の水溶液からな
るオートクレーブ中に浸漬封入した後、120℃に昇温
して720時間浸漬保持する試験を行い、腐食速度と選
択腐食の有無を調べた。
0.1mm/年以下で、かつ溶接金属に選択腐食が認め
られなかったものを良好「○」、腐食速度が0.1mm
/年を超えるか、または溶接金属に選択腐食が認められ
たものを不芳「×」とした。
心に位置するように、厚さ2mm、幅10mm、長さ7
5mmの試験片を採取し、この試験片に母材の降伏応力
の100%の応力が作用する曲げ歪みを付与して下記の
条件で応力腐食割れ試験を行い、割れの発生の有無を調
べた。
連続通気して飽和させ、酢酸−酢酸ナトリウムを所定量
添加してpHを4.5に調整した常温のNaCl濃度が
5質量%の水溶液中に336時間浸漬した。
生が認められなかったものを良好「○」、認められたも
のを不芳「×」とした。
と同じ寸法の試験片を溶接金属部を中心にして採取し、
この試験片に母材の降伏応力の100%の応力が作用す
る曲げ歪みを付与して下記の条件で応力腐食割れ試験を
行い、割れの発生の有無を調べた。
5℃の水溶液中に、−1.5Vの電位を負荷して720
時間浸漬した。その際、参照電極には、KCl水溶液を
飽和させたAg/AgCl電極を用いた。
なかったものを良好「○」、認められたものを不芳
「×」とした。
表4には示していないが、母材の靭性、耐炭酸ガス腐食
性、耐SSC性および耐HE性は、いずれも良好であっ
た。
明で規定する条件を満たす試番1〜8の溶接金属は、い
ずれの性能も良好であった。
る試番9〜29の溶接金属は、靭性または/および耐食
性が不芳であった。具体的に説明すると次のとおりであ
る。
する範囲内であるが、その金属組織が式「250≦1.6γ+
1.3α+(15・8C+2.8)(100−γ−α)≦320」(以降、単
に組織表示式という)の上限値を超える組織で、硬さが
硬すぎるために、靭性、耐SSC性および耐HE性が不
芳であった。
定する範囲内であるが、その金属組織が上記の組織表示
式の下限値未満の組織で、硬さが低すぎるために応力が
溶接金属に集中し、耐SSC性と耐HE性が不芳であっ
た。試番13は、C含有量が多すぎ、その金属組織が組
織表示式の上限値を超える組織で、硬さが高すぎるため
に、靭性、耐SSC性および耐HE性が不芳であった。
示式を満たす組織ではあるが、それぞれSi、Mn、
P、Sの含有量が多すぎるために、靭性、耐SSC性お
よび耐HE性が不芳であった。試番18は、その金属組
織は組織表示式を満たす組織ではあるが、Ni含有量が
低すぎるために、靭性が不芳であった。
満たす組織ではあるが、Cr含有量が低すぎるために、
耐炭酸ガス腐食性が不芳であった。試番20、21は、
その金属組織は組織表示式を満たす組織ではあるが、そ
れぞれCr、Moの含有量が多すぎるためにフェライト
相が過剰に析出し、靭性が不芳であった。
示式を満たす組織ではあるが、それぞれTi、Al、N
b、V、Cuが多すぎるために、靭性や耐SSC性およ
び耐HE性が不芳であった。試番27〜29は、その金
属組織は組織表示式を満たす組織ではあるが、それぞれ
W、N、Oの含有量が多すぎるために、靭性が不芳であ
った。
接鋼管は、厚肉大径であるにもかかわらず、溶接部の靭
性と耐食性、すなわち耐炭酸ガス腐食性、耐SSC性お
よび耐HE性に優れている。また、その製造方法はSA
W法により溶接製管するだけですむので、その工業的利
用価値は絶大である。
Claims (5)
- 【請求項1】溶接金属の化学組成が、質量%で、C:
0.1%以下、Ni:2〜10%、Cr:12〜20
%、Si:0〜1%、Mn:0〜3%、Mo:0〜5
%、Ti:0〜0.2%、Al:0〜0.1%、Nb:
0〜0.1%、Cu:0〜3%、W:0〜6%を含有
し、残部が実質的にFeよりなり、不純物として含まれ
るP、S、V、NおよびO(酸素)の含有量がそれぞれ
0.04%以下、0.01%以下、0.1%以下、0.
1%以下、0.06%以下であり、かつ溶接金属の組織
が、その組織中に占めるフェライト相の体積割合をα
%、オーステナイト相の体積割合をγ%としたとき、下
式を満たす金属組織であるマルテンサイト系ステンレス
溶接鋼管。 250≦1.6γ+1.3α+(15・8C+2.8)(100−γ−α)≦320 ただし、上記式中のCは溶接金属に含まれるC含有量
(質量%)である。 - 【請求項2】フェライト相の体積割合αが15%以下で
ある請求項1に記載のマルテンサイト系ステンレス溶接
鋼管。 - 【請求項3】フェライト相の体積割合αが5〜15%で
ある請求項1に記載のマルテンサイト系ステンレス溶接
鋼管。 - 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載のマルテン
サイト系ステンレス溶接鋼管の製造方法であって、製管
溶接をサブマージアーク溶接で行うマルテンサイト系ス
テンレス溶接鋼管の製造方法。 - 【請求項5】サブマージアーク溶接後、焼戻し処理を施
す請求項4に記載のマルテンサイト系ステンレス溶接鋼
管の製造方法。
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---|---|---|---|
JP37012999A JP2001179485A (ja) | 1999-12-27 | 1999-12-27 | マルテンサイト系ステンレス溶接鋼管およびその製造方法 |
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JP37012999A JP2001179485A (ja) | 1999-12-27 | 1999-12-27 | マルテンサイト系ステンレス溶接鋼管およびその製造方法 |
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