JP4835770B1 - オーステナイト系耐熱鋼用溶接材料ならびにそれを用いてなる溶接金属および溶接継手 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(1)C:0.05%超〜0.18%、Si≦0.5%、Mn≦1.5%、Ni:40〜50%、Cr:20〜25%、W:8.0%超〜13.0%、Ti:0.01〜0.2%、N:0.03%超〜0.20%及びAl≦0.01%を含み、残部がFe及び不純物からなり、不純物としてのO≦0.02%、P≦0.008%及びS≦0.005%の化学組成を有するγ系耐熱鋼用溶接材料。この溶接材料はNb<0.60%を含んでもよい。(2)上記のγ系耐熱鋼用溶接材料を用いてなる溶接金属。(3)上記溶接金属と高温強度に優れたγ系耐熱鋼の母材からなる溶接継手。
【選択図】なし
Description
(f)上記の機構は、非特許文献3にHAZにおける類似の割れについて示唆されている。そして、非特許文献3には、粒界を弱くさせるSの低減またはSを固定するためにCaおよびMgを含有させることがその割れを防止するのに有効であることが示されている。しかしながら、溶接金属は凝固ままの組織で使用されるのが一般的であり、熱処理など調質された母材を元にするHAZとは現象が異なることが予想されるため、非特許文献3で提案されたHAZにおける割れ対策がそのまま、応力緩和割れに対しても適用できる可能性は小さい。具体的には、上記非特許文献3にて提案されているCaおよびMgは酸素との親和力が非常に強いため、溶接中に酸化物を形成しやすく、溶接後の溶接金属への歩留まりは溶接条件の影響を受け、その効果を安定して得るのは難しい。さらに、不純物元素の極端な低減は製鋼コストの大幅な増大を招くため、大量生産する工業製品に対して適用することは難しい。
Cは、オーステナイト生成元素であり、高温使用時のオーステナイト組織の安定性を高めるのに有効な元素である。さらにCは、本発明において、溶接時の高温割れ防止のために重要な元素である。すなわち、Cは、凝固過程で主にCrと結合して、共晶炭化物を生成させ、液相の消失を早めるとともに、最終凝固部の組織を(Cr、M)23C6とオーステナイトとのラメラ状組織とする。その結果、液相の残存形態が面状から点状に変化するとともに、特定面への応力集中が抑制されるので、凝固割れを防止することができる。さらにCは、不純物の偏析サイトとなる最終凝固界面積を増大させることから、溶接中の延性低下割れの防止および高温使用中の応力緩和割れの感受性低減にも寄与する。後述する本発明のCr含有量の範囲で、上記の効果を十分得るためには、Cを0.05%を超えて含有する必要がある。しかしながら、Cを過剰に含有する場合には、凝固中に炭化物とならない過剰なCが高温使用中に炭化物として微細析出し、かえって応力緩和割れ感受性を増大させる。そのため、Cの含有量は0.05%を超えて0.18%以下とする。C含有量の望ましい下限は0.06%であり、望ましい上限は0.15%である。
Siは、脱酸剤として含有されるが、溶接金属の凝固時に柱状晶粒界に偏析し、液相の融点を下げ、凝固割れ感受性を増大させる。そのため、Siの含有量は0.5%以下とする必要がある。Siの含有量は、0.3%以下とするのが好ましい。しかしながら、Si含有量の過度の低減は、脱酸効果が十分に得られず、鋼の清浄度が大きくなって清浄性が低下するとともに、製造コストの増大を招く。そのため、Si含有量の下限は特に設けないが、望ましくは0.01%である。少なくともSiを0.01%含んでおれば、脱酸効果を得ることができる。さらに望ましいSi含有量の下限は、0.02%である。
Mnは、Siと同様、脱酸剤として含有される。Mnは、溶接金属中のNの活量を下げることによりア−ク雰囲気中からのNの飛散を抑制して、強度の確保にも寄与する。しかしながら、Mnを過剰に含有する場合には脆化を招くため、Mnの含有量は1.5%以下とする必要がある。Mnの含有量は1.2%以下とするのが好ましい。Mn含有量の下限は特に設けないが、望ましくは0.01%である。少なくともMnを0.01%含んでおれば、上記の効果を得ることができる。さらに望ましいMn含有量の下限は、0.02%である。
Niは、オーステナイト組織を得るために有効な元素であるとともに、長時間使用時の組織安定性を確保し、十分なクリープ強度を得るために必須の元素である。その効果を得るためには、40%以上のNi含有量が必要である。しかしながら、Niは高価な元素であり、50%を超えるNiの多量の含有はコストの増大を招く。そのため、Niの含有量は40〜50%とする。Ni含有量の望ましい下限は40.5%であり、望ましい上限は48.5%である。Ni含有量のさらに望ましい下限は41%であり、さらに望ましい上限は46%である。
Crは、高温での耐酸化性および耐食性の確保のために必須の元素である。Crは、凝固過程でCと結合して、共晶炭化物を生成させ、溶接中の凝固割れおよび延性低下割れを防止するとともに、高温使用中の応力緩和割れ感受性を低減する作用も有する。これらの効果を得るためには、Crを20%以上含有させる必要がある。しかし、Crの含有量が過剰になって25%を超えると、高温での組織の安定性が劣化して、クリープ強度の低下を招く。このため、Crの含有量は20〜25%とする。Cr含有量の望ましい下限は20.5%であり、望ましい上限は24.5%である。Cr含有量のさらに望ましい下限は21%であり、さらに望ましい上限は24%である。
Wは、マトリックスに固溶して700℃を超える高温でのクリープ強度の向上に大きく寄与する元素である。また、Wは、Sの粒界偏析エネルギーを低下させ、溶接後熱処理および高温使用中のSの粒界への濃化を軽減することで粒界が弱くなることを抑制し、間接的に応力緩和割れの防止に寄与する。こうした効果を十分に確保して、高温使用中の耐応力緩和割れ性とクリープ強度を両立させるためには、本発明を構成する他の元素との関係で、8.0%を超えるW含有量が必要である。しかし、Wを過剰に含有させてもその効果は飽和し、かえって靱性およびクリープ強度を低下させる。さらに、Wは高価な元素であり、13.0%を超えるWの多量の含有はコストの増大を招く。そのため、Wの含有量は8.0%を超えて13.0%以下とする。W含有量の望ましい下限は8.2%であり、望ましい上限は12.8%である。W含有量のさらに望ましい下限は8.5%であり、さらに望ましい上限は12.5%である。
Tiは、微細な炭窒化物として粒内に析出し、高温でのクリープ強度の向上に寄与する。その効果を得るためには、0.01%以上のTi含有量が必要である。しかしながら、Tiの含有量が過剰になって0.2%を超えると、多量に析出し、粒内の変形抵抗を著しく高め、高温使用中の応力緩和割れ感受性を増大させる。そのため、Tiの含有量は0.01〜0.2%とする。Ti含有量の望ましい下限は0.03%であり、望ましい上限は0.15%である。
Nは、オーステナイト生成元素であり、高温使用時のオーステナイト組織の安定性を高めるのに有効な元素である。さらにNは、マトリックスに固溶し、引張強さの向上に寄与する元素でもある。上記の効果を得るためには、0.03%を超えるN含有量が必要である。しかしながら、Nの含有量が過剰になって0.20%を超えると、長時間使用中に多量に窒化物として析出して粒内の変形抵抗を著しく高め、高温使用中の応力緩和割れ感受性を増大させるとともに、溶接時にはブローホール生成の原因となる。そのため、Nの含有量は0.03%を超えて0.20%以下とする。N含有量の望ましい下限は0.05%であり、望ましい上限は0.18%である。N含有量のさらに望ましい下限は0.07%であり、さらに望ましい上限は0.17%である。
Alは、脱酸剤として含有されるが、多量に含有すると清浄性を著しく害し、溶接材料の加工性および溶接金属の延性を劣化させる。そのため、Alの含有量は0.01%以下とする必要がある。Alの含有量は0.008%以下とするのが望ましい。下限は不純物程度でよい。
Oは、不純物として存在するが、多量に含まれる場合には、溶接材料の加工性および溶接金属の延性を低下させる。そのため、Oの含有量は0.02%以下とする必要がある。Oの含有量は0.015%以下とするのが望ましい。
Pは、不純物として含まれ、溶接金属の凝固時に最終凝固部の融点を低下させ、凝固割れ感受性を著しく増大させるとともに、高温使用中に粒界脆化を引き起こして耐応力緩和割れ性の低下を招く元素である。そのため、Pの含有量は0.008%以下とする必要がある。Pの含有量は0.006%以下とするのが望ましい。
Sは、Pと同様、不純物として含まれ、溶接金属の凝固時に最終凝固部の融点を低下させ、凝固割れ感受性を増大させる元素である。さらには、高温使用中に結晶粒界に偏析・濃化し、応力緩和割れ感受性を著しく高める元素である。そのため、Sの含有量は0.005%以下とする必要がある。Sの含有量は0.003%以下とするのが望ましい。
Nbは、Tiと同様に微細な炭窒化物として粒内に析出し、高温でのクリープ強度の向上に寄与する元素である。このため、必要に応じてNbを含有させてもよい。しかしながら、Nbの含有量が過剰になって0.60%以上になると、炭窒化物の多量析出または微細な金属間化合物の析出を招き、粒内の変形抵抗を著しく高め、高温使用中の応力緩和割れ感受性を増大させる。そのため、含有させる場合のNbの量を0.60%未満とした。含有させる場合のNbの量は、0.50%以下とすることが望ましい。
Wは、溶接金属におけると同様に、マトリックスに固溶して700℃を超える高温でのクリープ強度の向上に大きく寄与する元素である。母材は凝固ままで使用される溶接金属とは異なり、熱処理によって均質化が図られ、その効果がより得られやすい。このため、母材は、Wを含有することが好ましく、その量は6.0%以上であればよい。しかし、Wは高価な元素であり、コストの増大を招くため、Wを含有する場合のその量は10.0%以下とすることが望ましい。母材におけるW含有量のさらに望ましい下限は7.0%であり、さらに望ましい上限は9.8%である。母材におけるW含有量の一層望ましい下限は7.5%であり、一層望ましい上限は9.5%である。
Niは、溶接金属におけると同様に、オーステナイト組織を得るために有効な元素であるとともに、長時間使用時の組織安定性を確保し、十分なクリープ強度を得るために有効な元素である。その効果を得るために、母材は、Niを含有することが好ましく、その量は、溶接金属におけると同様、40%以上とすることが好ましい。一方、Niは高価な元素であり、コストの増大を招くため、Niを含有する場合のその量は50%以下とすることが望ましい。母材におけるNi含有量のさらに望ましい下限は40.5%であり、さらに望ましい上限は48.5%である。母材におけるNi含有量の一層望ましい下限は42%であり、一層望ましい上限は47%である。
Crは、溶接金属におけると同様に、母材の高温での耐酸化性および耐食性の確保のために有効な元素である。溶接金属と同等の効果を得るために、母材は、Crを含有することが好ましく、その量は、20%以上とすることが好ましい。しかし、Crの含有量が過剰になると高温での組織の安定性を劣化して、クリープ強度の低下を招く。このため、Crを含有する場合、その量は25%以下とすることが望ましい。母材におけるCr含有量のさらに望ましい下限は20.5%であり、さらに望ましい上限は24.5%である。母材におけるCr含有量の一層望ましい下限は21%であり、一層望ましい上限は24%である。
Cは、溶接金属におけると同様に、オーステナイト生成元素であり、高温使用時のオーステナイト組織の安定性を高めるのに有効な元素である。母材は凝固ままで使用される溶接金属とは異なり、熱処理によって均質化が図られ、その効果がより得られやすく、また、溶接割れ防止に対する対策を必要としない。このため、母材は、Cを含有することが好ましく、その量は0.04%以上であればよい。しかしながら、Cの含有量が過剰になると高温での使用中に粗大な炭化物を生成し、かえってクリープ強度の低下を招く。したがって、Cを含有する場合、その量は0.12%以下とすることが望ましい。母材におけるC含有量のさらに望ましい下限は0.05%であり、さらに望ましい上限は0.10%である。
Siは、脱酸作用を有する。しかしながら、Siの含有量が過剰になると靱性を低下させる。したがって、母材がSiを含有する場合、その量は0.5%以下とすることが望ましく、0.4%以下とするのがさらに好ましい。しかしながら、Si含有量の過度の低減は、脱酸効果が十分に得られず鋼の清浄度が大きくなって清浄性が低下するとともに、製造コストの増大を招く。そのため、母材におけるSi含有量の下限は特に設けないが、望ましくは0.01%である。少なくともSiを0.01%含んでおれば、脱酸効果を得ることができる。さらに望ましいSi含有量の下限は、0.02%である。
Mnは、Siと同様、脱酸作用を有する。しかしながら、Mnの含有量が過剰になると脆化を招く。このため、母材がMnを含有する場合、その量は1.5%以下とすることが望ましく、1.2%以下とするのがさらに好ましい。母材におけるMn含有量の下限は特に設けないが、望ましくは0.01%である。少なくともMnを0.01%含んでおれば、脱酸効果を得ることができる。さらに望ましいMn含有量の下限は、0.02%である。
Pは、不純物として含まれ、Pの含有量が過剰になるとクリープ延性の低下を招く。母材は、溶接金属の場合とは異なり、溶接割れ防止に対する対策を必要としないし、P含有量の極度の低減は製鋼コストの著しい増大を招く。このため、母材におけるP含有量は0.03%以下とすることが望ましく、0.02%以下とするのがさらに好ましい。
Sは、Pと同様、不純物として含まれ、Sの含有量が過剰になるとクリープ延性の低下を招く。母材は、溶接金属の場合とは異なり、溶接割れ防止に対する対策を必要としないし、S含有量の極度の低減は製鋼コストの著しい増大を招く。このため、母材におけるS含有量は0.01%以下とすることが望ましく、0.008%以下とするのがさらに好ましい。
Moは、Wと同様に、マトリックスに固溶して700℃を超える高温でのクリープ強度の向上に寄与する元素である。このため、母材は、Moを含有することが好ましい。しかしながら、Moは高価な元素であるともに、相安定性を低下させる元素でもあるため、Moを含有する場合のその量は0.2%以下とすることが望ましい。母材におけるMo含有量の望ましい下限は0.02%である。
Nbは、微細な炭窒化物として粒内に析出し、高温でのクリープ強度の向上に寄与する元素であり、高温使用中の応力緩和割れ感受性が溶接金属に比べて低い母材では高強度化のために積極的に活用してもよい。このため、母材は、Nbを含有することが好ましく、その量は、0.05%以上とすることが好ましい。しかしながら、Nbの含有量が過剰になると多量に炭窒化物を生成し、靱性の低下を招く。したがって、Nbを含有する場合、その量は0.60%未満とすることが望ましい。母材におけるNb含有量のさらに望ましい下限は0.10%であり、さらに望ましい上限は0.50%である。
Tiは、微細な炭窒化物として粒内に析出し、高温でのクリープ強度の向上に寄与する元素であり、高温使用中の応力緩和割れ感受性が溶接金属に比べて低い母材では高強度化のために積極的に活用してもよい。このため、母材は、Tiを含有することが好ましく、その量は、0.02%以上とすることが好ましい。しかしながら、Tiの含有量が過剰になると多量に炭窒化物を生成し、靱性の低下を招く。そのため、Tiを含有する場合、その量は0.20%以下とすることが望ましい。母材におけるTi含有量のさらに望ましい下限は0.05%であり、さらに望ましい上限は0.15%である。
Nは、オーステナイト相を安定にするのに有効な元素であり、マトリックスに固溶し、引張強さを高めるのに有効な元素である反面、熱間加工性を著しく低下させてしまう。そのため、母材においては、溶接金属に比べて、N含有量の上限を厳しく管理するのがよく0.02%以下とすることが好ましい。母材におけるN含有量のさらに望ましい上限は0.01%である。
Bは、高温での使用中に粒界に偏析して粒界を強化するとともに、粒界炭化物を微細分散させることによって、クリープ強度を向上させるのに有効な元素である。このため、母材は、Bを含有することが好ましい。しかしながら、Bの含有量が過剰になるとHAZの液化割れ感受性を高める。そのため、Bを含有する場合、その量は0.005%以下とすることが望ましい。母材におけるB含有量の望ましい下限は0.0002%である。
Alは、脱酸作用を有するが、Alの含有量が過剰になると清浄性を著しく害し、母材製造時の加工性を低下させる。しかしながら、母材においては、溶接金属の場合のように溶接中に酸化物を生成してより一層清浄性を低下させる懸念がない。このため、Alを含有する場合、その量は0.04%以下にすることが望ましい。母材におけるAl含有量のさらに望ましい上限は0.03%である。
Claims (6)
- 質量%で、C:0.05%超えて0.18%以下、Si:0.5%以下、Mn:1.5%以下、Ni:40〜50%、Cr:20〜25%、W:8.0%を超えて13.0%以下、Ti:0.01〜0.2%、N:0.03%を超えて0.20%以下およびAl:0.01%以下を含み、残部がFeおよび不純物からなり、不純物としてのO、PおよびSがそれぞれ、O:0.02%以下、P:0.008%以下およびS:0.005%以下の化学組成を有することを特徴とする、オーステナイト系耐熱鋼用溶接材料。
- Feの一部に代えて、質量%で、Nb:0.60%未満を含むことを特徴とする、請求項1に記載のオーステナイト系耐熱鋼用溶接材料。
- 請求項1または2に記載のオーステナイト系耐熱鋼用溶接材料を用いてなる溶接金属。
- 請求項3に記載の溶接金属と高温強度に優れたオーステナイト系耐熱鋼の母材からなることを特徴とする、溶接継手。
- 高温強度に優れたオーステナイト系耐熱鋼の母材が、質量%で、W:6.0〜10.0%、Ni:40〜50%およびCr:20〜25%を含有することを特徴とする、請求項4に記載の溶接継手。
- 高温強度に優れたオーステナイト系耐熱鋼の母材が、質量%で、C:0.04〜0.12%、Si:0.5%以下、Mn:1.5%以下、P:0.03%以下、S:0.01%以下、Ni:40〜50%、Cr:20〜25%、W:6.0〜10.0%、Mo:0.2%以下、Nb:0.05%以上で0.60%未満、Ti:0.02〜0.20%、N:0.02%以下、B:0.005%以下およびAl:0.04%以下を含有し、残部がFeおよび不純物からなることを特徴とする、請求項4に記載の溶接継手。
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