JP2003053742A - ポリイミド管状体の製造方法及びポリイミド管状体製造装置 - Google Patents

ポリイミド管状体の製造方法及びポリイミド管状体製造装置

Info

Publication number
JP2003053742A
JP2003053742A JP2001247607A JP2001247607A JP2003053742A JP 2003053742 A JP2003053742 A JP 2003053742A JP 2001247607 A JP2001247607 A JP 2001247607A JP 2001247607 A JP2001247607 A JP 2001247607A JP 2003053742 A JP2003053742 A JP 2003053742A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mold
tubular body
polyamic acid
curing agent
solution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001247607A
Other languages
English (en)
Inventor
Hitoshi Nojiri
仁志 野尻
正美 ▲柳▼田
Masami Yanagida
Koji Sezaki
好司 瀬崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP2001247607A priority Critical patent/JP2003053742A/ja
Priority to US10/177,692 priority patent/US20030090031A1/en
Priority to CN02147278.5A priority patent/CN1407017A/zh
Publication of JP2003053742A publication Critical patent/JP2003053742A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Fixing For Electrophotography (AREA)
  • Electrostatic Charge, Transfer And Separation In Electrography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 特にレーザービームプリンターあるいはファ
クシミリなどの電子写真装置に有用に用いられるポリイ
ミド管状体の製造方法に関し、生産性及び歩留まりの高
いポリイミド管状体製造方法を提供することにある。 【解決手段】 ポリアミック酸を主成分とする溶液と化
学キュア剤を混合し、混合溶液が流動性を維持している
間に該溶液を2重円筒状の筒型空間を有する型内に供給
し、ポリアミック酸が化学キュア剤の効果で流動性が無
くなったら型から取り外し、この自己支持性のある半硬
化管状体を加熱硬化用の型に外嵌し、加熱・乾燥した後
に取り出す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリアミック酸溶液
を乾燥・イミド化することによって得られる方式のポリ
イミド管状体の製造方法及び製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリイミド樹脂は、優れた耐熱性、寸法
安定性、機械強度、化学的安定性を有し、フレキシブル
プリント基板、耐熱電線絶縁材料等、種々の用途に使用
されている。また、その管状形成物は、例えば精密駆動
伝達ベルトや複写機やレーザービームプリンターなどの
電子写真装置用の、熱定着用ベルト、中間転写ベルト等
への応用が期待されている。
【0003】このポリイミド管状体は、従来、以下のよ
うな方法で製造されていた。たとえば、溶媒中にポリア
ミック酸を分散あるいは溶解させたポリイミド前駆体溶
液を、表面処理をした円柱状又は円筒状の金型外表面に
塗布する、あるいは円筒状の金型内表面に塗布し、厚み
調整をした後、加熱によって溶媒を蒸散させ、あるいは
さらに加熱することによってポリイミド管状体を製造し
ていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の方法で製造する
場合、律速となる工程はポリアミック酸溶液を型に塗布
した後、これを自己支持性が出るまで乾燥・硬化させる
工程である。少なくとも自己支持性が発現するまでの間
は、ポリアミック酸溶液は流動性を有するのであるか
ら、型に塗布した状態で樹脂の形状を維持しようとする
と、例えば塗布型を回転させるなどの処置が必要とな
る。そうでないと、塗布型の筒状体を縦置きした場合、
ポリアミック酸溶液は筒の下方に垂れて、そのまま乾燥
・硬化させると、下部の厚みが厚く、上部の厚みが薄い
管状物となる。また横置きにした場合も同様に下方に垂
れるため、周の一部が厚く、他部が薄い管状状物とな
る。非常に粘度の高いポリアミック酸溶液を用いるとし
ても、乾燥のために加熱することにより粘度低下するの
で、やはり垂れは防止しがたい。加熱しても垂れないほ
どに粘度を高くすると、塗布が困難になる。
【0005】横置きの場合に限り、塗布型を回転させる
ことによりこの問題は解決されるが、塗布型を回転させ
ながら乾燥・硬化工程を進めることは、工業的な量産で
連続工程を考える場合、回転ステージ上にのせた塗布型
を加熱炉内を通すなどの工夫が必要であり装置上非常に
複雑なものとなる。また回転可能な装置を乾燥のため加
熱下にさらすのみならず冷却と加熱のヒートサイクルを
も繰り返すことになり、装置の寿命を考えると工業的に
不利であることは明確である。
【0006】また、管状樹脂を造る別の手法として、押
し出し成形法や、インジェクション法、さらには液状樹
脂を型に注入する方法があるが、これらは基本的に熱可
塑性の樹脂に対する方法であり、非熱可塑性樹脂である
ポリイミドの成形には不向きである。さらには、これら
の方法では、厚さ数10μmの薄物を形成することは困
難であり、また寸法精度にも限界があった。しかも、こ
れらの方法では、装置及び治具が極めて大型かつ高価に
なるという致命的な欠陥を有する。
【0007】本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意
研究を重ねた結果、工業的に極めて簡便な手法でのポリ
イミド管状体の製造方法を想到するに至ったのである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のポリイミド管状体の製造方法の特徴は、ポ
リアミック酸を主成分とする溶液と化学キュア剤を混合
し、混合溶液が流動性を維持している間に該溶液を筒状
型に供給し、ポリアミック酸が化学キュア剤によって部
分イミド化し、非流動化した後に、この自己支持性のあ
る半硬化管状体を加熱硬化用の型に外嵌し、加熱・乾燥
した後に取り出す事にある。
【0009】さらに、本発明は上記の製造法を実現でき
る以下の構成を有する製造装置を提供する。すなわち、
少なくとも ポリアミック酸を主成分とする溶液を供給する装置 化学キュア剤を供給する装置 とから供給されるポリアミック酸を主成分とする
溶液と化学キュア剤を均一に混合する装置 で混合された溶液を筒状型内に供給する装置を有す
るポリイミド管状体製造装置である。
【0010】さらには、少なくとも ポリアミック酸を主成分とする溶液を供給する装置 化学キュア剤を供給する装置 とから供給されるポリアミック酸を主成分とする
溶液と化学キュア剤を均一に混合する装置 で混合された溶液を相対的に移動可能な内型と外型
からなる筒状型内に供給する装置 筒状型外型を取り外す装置 加熱装置 取り外し装置を有するポリイミド管状体製造装置を開
示するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係わるポリイミド
管状体の製造方法の実施の形態を説明する。
【0012】本発明におけるポリイミド管状体とは、主
にポリイミドからなるシームレスの中空状フィルムを意
味し、本発明の製造方法や製造装置はその径や厚みの大
小を問わない。従ってベルトと呼ばれる事の多い大口径
のものにも、チューブと呼ばれる事の多い小径のものに
ついても適用することができるものである。
【0013】発明に係るポリイミド管状体の製造方法に
おいて、ポリアミック酸は、例えば芳香族テトラカルボ
ン酸成分とジアミン成分を有機極性溶媒中で重合反応さ
せて得られるものである。芳香族テトラカルボン酸成分
としては特に制限はなく、例えば、ブタンテトラカルボ
ン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカ
ルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4
−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−シ
クロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−
トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,
6−トリカルボキシノルボナン−2−酢酸二無水物、
2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸
二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラ
ル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカ
ルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−
7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物
等の脂肪族または脂環式テトラカルボン酸二無水物;ピ
ロメリット酸二無水物、3,3´4,4´−ベンゾフェ
ノンテトラカルボン酸二無水物、3,3´,4,4´−
ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,
4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、
2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水
物、3,3´,4,4´−ビフェニルエーテルテトラカ
ルボン酸二無水物、3,3´,4,4´−ジメチルジフ
ェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3´,
4,4´−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無
水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水
物、4,4´−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキ
シ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4´−ビス
(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホ
ン二無水物、4,4´−ビス(3,4−ジカルボキシフ
ェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3´,
4,4´−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二
無水物、3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボ
ン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオ
キサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニ
ルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフ
ェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル
酸)−4,4´−ジフェニルエーテル二無水物、ビス
(トリフェニルフタル酸)−4,4´−ジフェニルメタ
ン二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物;1,
3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−2,5−ジオ
キソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−
1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサ
ヒドロ−5−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジ
オキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン
−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキ
サヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−
ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラ
ン−1,3−ジオン等の芳香環を有する脂肪族テトラカ
ルボン酸二無水物等を挙げることができる。これらのテ
トラカルボン酸二無水物は、単独でまたは2種以上組み
合わせて用いることができる。
【0014】次に用いられるジアミンは、ジアミンであ
れば特に限定されないが、例えば、p−フェニレンジア
ミン、m−フェニレンジアミン、4,4´−ジアミノジ
フェニルメタン、4,4´−ジアミノジフェニルエタ
ン、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル、4,4´
−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4´−ジアミノ
ジフェニルスルフォン、1,5−ジアミノナフタレン、
3,3−ジメチル−4,4´−ジアミノビフェニル、5
−アミノ−1−(4´−アミノフェニル)−1,3,3
−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4´−アミ
ノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、4,
4´−ジアミノベンズアニリド、3,5−ジアミノ−3
´−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,5−ジア
ミノ−4´−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,
4´−ジアミノジフェニルエーテル、2,7−ジアミノ
フルオレン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキ
サフルオロプロパン、4,4´−メチレン−ビス(2−
クロロアニリン)、2,2´,5,5´−テトラクロロ
−4,4´−ジアミノビフェニル、2,2´−ジクロロ
−4,4´−ジアミノ−5,5´−ジメトキシビフェニ
ル、3,3´−ジメトキシ−4,4´−ジアミノビフェ
ニル、4,4´−ジアミノ−2,2´−ビス(トリフル
オロメチル)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−ア
ミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス
[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフル
オロプロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)
ベンゼン、4,4´−ビス(4−アミノフェノキシ)−
ビフェニル、1,3´−ビス(4−アミノフェノキシ)
ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオ
レン、4,4´−(p−フェニレンイソプロピリデン)
ビスアニリン、4,4´−(m−フェニレンイソプロピ
リデン)ビスアニリン、2,2´−ビス[4−(4−ア
ミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]
ヘキサフルオロプロパン、4,4´−ビス[4−(4−
アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オク
タフルオロビフェニル等の芳香族ジアミン;ジアミノテ
トラフェニルチオフェン等の芳香環に結合された2個の
アミノ基と当該アミノ基の窒素原子以外のヘテロ原子を
有する芳香族ジアミン;1,1−メタキシリレンジアミ
ン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミ
ン、ペンタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミ
ン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメ
チレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イ
ソフォロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエ
ニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダ
ニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6,2,1,
2.7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4´−
メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等の脂肪族ジア
ミンおよび脂環式ジアミン等を挙げることができる。こ
れらのジアミン化合物は単独でまたは2種以上組み合わ
せて用いることができる。ジアミンは、芳香族ジアミン
を用いることが好ましいが、特に限定されるものではな
い。
【0015】ここで該ポリアミック酸の生成反応に使用
される有機極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホ
キシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶
媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチル
ホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメ
チルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなど
のアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、
N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、
フェノール、o−、m−、またはp−クレゾール、キシ
レノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフ
ェノール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジ
オキソラン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノー
ル、ブタノール等のアルコール系溶媒、ブチルセロソル
ブ等のセロソルブ系あるいはヘキサメチルホスホルアミ
ド、γ−ブチロラクトンなどをあげることができ、これ
らを単独または混合物として用いるのが望ましいが、更
にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素も使用
可能である。溶媒は、ポリアミック酸を溶解するもので
あれば特に限定されない。
【0016】本発明におけるポリアミック酸溶液には、
完成したポリイミド管状体の抵抗値、強度、対紫外線
性、耐湿性等の制御のために、一般的に樹脂の特性制御
に用いられている種々の添加物を添加する方法を応用す
ることができる。例えば、ポリイミド管状体を電子写真
装置の転写もしくは中間転写ベルトとして用いる場合、
その体積抵抗値を1×106〜1015Ω・cm好ましく
は1×107〜1012Ω・cmの範囲に制御する事が極
めて重要であるが、これを実現するための具体的方法と
しては、一般的に絶縁性樹脂の導電化・抵抗値低下・静
電気防止などの手段に用いられる、カーボンブラックを
はじめとする導電性無機粉体を樹脂中に適量混合する方
法が最も効果的である。カーボンブラック以外にも小径
金属粒体、金属酸化物粒体、また酸化チタンや各種無機
粒体・ウイスカーを金属酸化物など導電性物質で皮膜形
成したもの等が、同様の効果を得ることができる。さら
には、LiCl等のイオン導電性物質の添加も可能であ
る。また例えば、電子写真装置のトナー定着ベルトとし
て用いることを考える場合、ポリイミド管状体樹脂中に
熱伝導性の無機紛体を導入することで、その熱定着能力
を向上することができる。熱伝導性無機粉末としては、
熱伝導機能を有する無機粉末であれば特に制限はなく、
例えば窒化アルミニウム、窒化ホウ素、アルミナ、炭化
珪素、珪素、シリカ、グラファイト等があげられる。な
かでも、熱伝導機能が高く、離型効果を発揮し、化学的
に安定で、無害であるという点で、窒化ホウ素が好まし
い。また、駆動ベルト等の力伝達の用途では、より強度
を向上させるために例えばガラス短繊維のような強度向
上のために通常用いられる種々の添加物を加えることも
できる。
【0017】上述の無機紛体類は、単独または複数の混
合系で用いることにより、ポリイミド管状体の用途に応
じて適宜選択されうる。添加物の添加量は、添加物の種
類及び目的によって適宜適量が選択されるが、概ねポリ
イミド固形分に対して1〜50wt%程度が用いられう
る。50wt%を超える量は、添加物の種類によっては
ポリイミドの強度を低下させる可能性がある。一方1%
以下の添加量では通常の物理的特性例えば伝熱性や強度
などを改良するためには効果が得られないが、例えばL
iCl等のイオン導電性の化合物等は極めて少量の添加
で電気抵抗低下の効果があり、その限りではない。
【0018】上記準備されたポリアミック酸を主成分と
する有機溶媒溶液は、有機溶媒にポリアミック酸として
5〜25wt%程度含有するのが適当である。ただし、
無機添加物の添加量によって、この範囲を超えても良好
な加工が可能な場合もあり、特には限定されない。ま
た、溶液の粘度としては1〜1000Pa・secの範
囲が好ましい。
【0019】上述の様なポリアミック酸を主たる成分と
する溶液は、管状体としての形状を形成するに先立ち、
化学キュア剤を混合せしめる。本発明で、化学キュア剤
とは、積極的な加熱を行わなくともポリアミック酸をポ
リイミドに閉環させる化学的な作用効果を有する薬剤を
意味し、通常酸無水物化合物及び3級アミンの組み合わ
せがこれに相当する。
【0020】酸無水物としては、脱水作用を有するもの
であれば種々のものを用いうるが、活性の点から最も好
ましく、反応後生成物が比較的低沸点で速やかに系から
除かれる点で好適なものは無水酢酸である。
【0021】3級アミンとしては、イソキノリン等のキ
ノリン類、β−ピコリン等のピコリン類、トリエチルア
ミン等の脂肪族3級アミン等を挙げること事ができる。
適度な活性を有し、出来上がったポリイミド管状体の機
械的強度を高めるために特に好ましいものとしては、イ
ソキノリンやβ−ピコリンがあげられる。
【0022】化学キュア剤の有効成分がが、ポリアミッ
ク酸高分子そのものの溶解性を有しない場合、ポリアミ
ック酸を溶解できる溶媒との混合物を化学キュア剤とし
て用意することが好ましい。例えば無水酢酸は多くのポ
リアミック酸に対して貧溶媒であるため、これに3級ア
ミンを加えたとしても、無水酢酸が主たる成分となる該
溶液をポリアミック酸に直接混合させると、均一混合ま
でに時間がかかってしまうのである。また均一に混合さ
れるまでの間、部分的にポリアミック酸が十分溶解され
ていない状態となり、この部分で未溶解ゲル分の発生
や、添加された無機物の不均一化等、成型後の欠陥とな
りうる現象が起こる危険性がある。
【0023】ポリアミック酸を溶解できる溶媒の例とし
ては、ポリアミック酸の重合溶媒として例示したものが
同様に用いられるし、当然ポリアミック酸の重合に用い
たものと同一の溶媒を用いる事が特に好ましい。該溶剤
は化学キュア剤の成分に対して、概ね10〜50wt%程
度用いられる。ただしこれについてもポリアミック酸の
組成とそれを溶解する溶媒組成によって適量は異なるた
め、必要量は適宜選択されるものであり、特に限定され
るものではない。また、ミキサーの混合能力が高ければ
不要な場合もありうる。
【0024】ポリアミック酸溶液と化学キュア剤との混
合方法は、例えばポリアミック酸溶液をミキサー装置中
に導入し、別ラインでミキサー中に導入される化学キュ
ア剤と連続的に混合均一化する。
【0025】この際、重要なことは、この一連の作業が
連続で気相を含まない状態で行われることである。ポリ
アミック酸と化学キュア剤溶液を別途容器に取り混ぜて
攪拌するといった方法で混合を行うと、混合にあたって
空気をかみこみ、混合後にこれを脱泡する作業が必要に
なる。脱泡を放置による自然脱泡により行おうとすると
その間に硬化が進行しすぎて後の成型が不可能になって
しまう。一方遠心脱泡を行うと時間は短縮できるが、添
加したフィラー類が遠心力により偏ってしまうため、フ
ィラー類を添加する系では用いることが出来ず、用途が
限定されることになる。
【0026】ポリアミック酸溶液と化学キュア剤溶液と
を均一にすばやく混合するため、ミキサーの形態及びそ
の使用方法には該目的のために用いられる種々の手段が
用いうる。例えば混合不良を防止するため,通常樹脂溶
液の流れにそって複数段×複数枚の攪拌翼を有すること
が好ましい。また化学キュア剤の投入口は前記攪拌翼の
上段(上流段)の位置の側面に設けるのが通常である
が、より攪拌効率を上げるため攪拌軸及び翼中に化学キ
ュア剤ラインを設け、攪拌翼の先端や途中に1箇所また
は複数箇所の投入口を設けることもできる。また攪拌翼
の回転数が高いほど攪拌効率は向上するが、高すぎると
攪拌熱による発熱が顕著になり、攪拌中にイミド化が進
行することがあるため、ミキサーには冷却装置が付加さ
れるべきであり、その冷却能力に応じて溶液温度が高く
なりすぎないよう回転数を制限するべきである。
【0027】ミキサーから型内に化学キュア剤溶液が混
合されたポリアミック酸溶液が供給されるにあたり、ミ
キサー内を含めて型内に到達する以前のライン中でのポ
リアミック酸の硬化を防ぐ方法として、上述のような冷
却を行う事は有効であるが、それでもなお、ライン中の
樹脂溶液の滞留などにより偏在的に硬化が進行すること
が懸念される場合、化学キュア剤またはポリアミック酸
を主成分とする溶液に常温硬化阻害剤を混合しておき、
筒状型に混合溶液を注入後に加熱により部分イミド化さ
せて非流動化させる方法も取りうる。そのような常温硬
化阻害剤の例としてはアセチルアセトンをあげることが
できる。
【0028】続いて混合後の樹脂溶液は、筒状型に供給
され、型内を満たす。この工程は大きく2種の方法で実
施される。第一の方法は、予め外型と内型が筒状空間を
形成するようにセットされており、該空間に樹脂溶液が
注入される方法である。第二の方法は、外型と内型は相
互に移動可能であり、樹脂溶液が供給される段階では、
内型と外型は離れており、いずれかの型に樹脂が供給さ
れたのち、型のいずれかまたは両方が移動することによ
り結果として筒状空間に樹脂溶液が充填される形をとる
ものである。
【0029】それぞれの方法の場合について詳細に説明
する。
【0030】第一の方法の場合、供給された樹脂溶液が
空気を噛み込む事の無いように型内に充填されることが
特に重要となる。そのために例えば下記のようないくつ
かの工夫を行いうる。樹脂溶液を円筒状の型内に供給す
るにあたって、供給口も円筒状にし、全周にわたって均
一に樹脂が充填するようにする。型と供給口の接続にあ
たって、接続部分で空気の噛み込みがおこらないよう
に、型同士の寸法精度を高いものにすることも重要であ
る。型を縦置きにし、型の下部より樹脂の充填を行うよ
うにすれば、泡は上方に押し出されるので良好である。
また型内を満たすのに必要な量より多めの量を供給する
ことにより、注入時に一旦入った泡を押し出して安定化
した後に供給を止める方法も有効である。樹脂の歩留ま
りは低下するものの、製品になった後に欠陥により歩留
まりが低下するのに対して、原料時点の歩留まりは影響
が小さいため、泡欠陥防止のために樹脂を余分に使うこ
とには意味がある。
【0031】次に第二の方法について、具体例をいくつ
か示すことによって説明を加える。
【0032】例えば図3(1)のような状態で、外型と
なる型の内壁に樹脂を十分量塗布した状態にしておく。
ここに図3(2)のように内型を挿入し、筒状空間に樹
脂が満たされる状態とする。この際余分な樹脂は型から
はみ出す。はみ出した余分な樹脂は、工程の適当な部分
で除去することができる。他の例として外型は図4
(1)のように容器状になっていてもかまわない。この
場合、樹脂は外型の内壁に塗布されている必要は無く、
容器底部に溜まった状態にしておけば、ここに内型が挿
入されることにより、図4(2)のように自動的に、樹
脂が筒状空間に満たされていくことになる。
【0033】上記筒状型の材質としては、金属、ガラ
ス、セラミックス、樹脂などを適宜使用できる。型の塗
布表面は、形成されたポリイミド管状体を取り外しやす
くするため、ガラスやフッ素樹脂などでコートしてお
く、あるいは剥離剤を塗布しておく等の表面の好剥離化
処理を施しておく事ができる。ただし、化学キュア剤を
混合することによりポリアミック酸はポリイミドに変換
し、そのため樹脂の許容含溶剤量が減少し、樹脂は自発
的に溶剤を滲出させる。この滲出液が自己支持性を持っ
た樹脂と型との間に液膜として形成され、これが潤滑剤
となって自己支持性を有した樹脂筒状体をスムーズに取
り外すことができるため、筒状型をポリアミック酸が自
己支持性を発現するまでの中間的硬化用型として使用す
る場合、従来のような型に対する限定は必ずしも必要な
いのも本法の利点である。また、前述した内型をそのま
ま加熱硬化用型として利用する場合も、従来の塗布法で
あると、樹脂の硬化後の剥離性と、塗布時のハジキ防止
が二律背反となり、それを解決するために樹脂粘度や型
の表面性状に制限が加えられたのであるが、本法であれ
ば、そのような制限を加える必要が無い。
【0034】成型型の表面粗さ(Ra)は、10μm以
下、好ましくは5μm以下、より好ましくは1μm以下で
あることが望ましい。10μm以上表面粗さが大きい
と、繰り返しの使用において、樹脂や樹脂中の無機紛体
が表面に付着堆積し、樹脂管状体の離型性を低下させる
可能性もある。ただし、完成したポリイミド管状体の表
面にさらに樹脂をコートする事が必要な場合、コートさ
れる樹脂の密着性を向上させるため一定レベル表面に凹
凸があったほうが好ましい場合もある。この場合、表面
粗さを一定レベルに規定するために、上述の樹脂の付着
堆積の問題を回避でき、高い離型性を確保できる範囲
で、型の表面を研磨などの物理的な表面加工をすること
も適宜選択されうる。この場合も、上述の潤滑性は有利
に働き、化学キュア剤を用いない場合に比較して樹脂の
付着自体が起こりにくいため、より自由度が高いのであ
る。
【0035】キュア剤をポリアミック酸溶液と混合して
からポリアミック酸溶液が自己支持性を有するようにな
るまでの時間は、化学キュア剤の濃度により制御するこ
とができる。その時間をさらに短くするための手段とし
て、ポリアミック酸溶液中に、塩化金属化合物を添加す
る方法も行われ得る。塩化金属化合物としては、金属塩
化物、金属ヨウ化物、金属硝酸塩等種々のものが適用可
能で、より具体的にはSnCl2、AuI3、AgNO3
等を挙げることができる。
【0036】また、ポリアミック酸溶液ならびに化学キ
ュア溶液の中の水分はできるだけ少なくなるよう制御す
るのが好ましい、水分の存在は化学キュア剤の成分であ
る酸無水物を開環させる効果があるため、速やかな化学
キュアを妨げ、その結果化学キュア剤混合後のポリアミ
ック酸が自己支持性を得るまでの時間が長くなってしま
う。また水分は、ポリアミック酸高分子そのものの分解
にも寄与しうることから化学キュア剤混合前から、でき
るだけポリアミド酸溶液中の水分は少ない方が好まし
い。具体的には、水分は0.5%以下さらに好ましくは
500ppm以下とすることが好ましい。含水分量を下
げるための方法としては、用いる溶媒を予め脱水処理さ
れたものを用いる、作業をドライエアーや不活性ガス気
流下で行うなどの方法を取りうる。
【0037】次にポリアミック酸が化学キュア剤の効果
により自己支持性が発現し、型内で部分イミド化したポ
リアミック酸(あるいは部分的にポリアミド酸部位を残
したポリイミド)筒状体が形成された後の工程について
説明する。
【0038】これ以降の工程は大きく二つの工程をとる
ことができる。一つは、筒状体形状を規制した筒状外型
と筒状内型のうち筒状外型のみを外し、筒状内型ごと、
該筒状体を加熱・硬化し、ポリイミド管状体を形成する
方法。もう一つは、自己支持性を発現した筒状体を加熱
硬化用の別の型に挿入しなおして、これを加熱・硬化す
ることでポリイミド管状体を形成する方法である。
【0039】それぞれの方法の特徴に付いて説明を加え
る。第一の方法、すなわち内型をそのまま加熱硬化用型
として用いる場合についてであるが、この場合内型に
は、後の加熱硬化の工程で扱いやすいように、内型の形
状を工夫することができる。例えば内型の両端部にハン
ドリング用の棒状突起を形成しておき、この部分を使っ
て、加熱硬化炉中を移動させるといったことが考えられ
る。また、内型側に自己支持性を発現した筒状体が残る
ようにするため、外型の表面を内型の表面より樹脂離れ
の良い組成または/かつ形状にする方法や、樹脂を型か
ら余分にはみ出すような形で注入し半硬化させ、はみ出
した部分を内型ごと押さえて外型を外すなどの方法をと
ることもできる。内型をそのまま加熱硬化用型として用
いる方法は、樹脂を嵌め換える必要なく連続した工程を
とることができるため、より生産性に優れる。
【0040】第二の方法、すなわち、自己支持性を発現
した筒状体を別の型に挿入して加熱・硬化する方法であ
るが、この場合、まず自己支持性を発現した半硬化管状
体を型から取りはずし、その後加熱硬化用型に再挿入す
る方法も取り得るし、あるいは相互に移動可能な筒状外
型と筒状内型のうち、内型のみを脱し、これに代わって
加熱硬化用型を挿入し、その後筒状外型を脱す方法がと
りうる。この際、図1のように内型を外すのと同時に加
熱硬化用型を挿入する方法も取り得る。半硬化管状体が
操作上のミスなどにより破損を受けにくいという点で、
型から一旦取り外すことの無い方法のほうが、より好ま
しい。
【0041】このような移し替えを行う方法は、加熱・
硬化用の型の表面に対する制限がより緩和されるため、
むしろ脱型のための工夫を積極的に型に施すことができ
るという利点がある。例えば、加熱硬化用型を表面に微
細な穴を多数有し、型の内側から外側に向かって空気を
放出できるような連続的空孔を有する、通気性の多孔体
(例として、焼結金属やセラミックスが上げられる)を
用い、加熱硬化後、空気を放出することにより、ポリイ
ミド管状体と型の間に空気層を形成し、そのことにより
容易にポリイミド管状体を型から外すことができる。樹
脂を注入し自己支持性を発現させるための型にこのよう
な多孔体を用いることは、樹脂が穴の中にわずかに滲入
するおそれがあるので、適用は困難である。したがっ
て、このような型の移し替えの工程が必要である。自己
支持性発現のための型の内型をそのまま加熱硬化用型と
して用いる方法に比べ、1工程余分に必要となるもの
の、脱型のための型の工夫を行いやすいため、樹脂の組
成などによっては、結果的にこの方法の方が生産性が高
くなることもありうる。樹脂の型への密着性の違い等に
応じて、両者を使い分けることができる。
【0042】自己支持性が発現した半硬化樹脂管状体を
筒状型から取り外したり、あるいは、外型のみを取り外
すためには、半硬化樹脂管状体につかみしろ、あるいは
おさえしろが必要となる。それを形成するための方法と
しては、例えば過剰に樹脂を注入し、端部より樹脂がは
み出した状態で半硬化させることができる。また、外型
の少なくとも片方の端部を分割型とし、その部分を半硬
化後に取り外す方法も有効である。
【0043】移し替えを行う場合においても、行わない
場合においても、加熱硬化用の内型に自己支持性を有し
た半硬化樹脂が外嵌された状態(外型がない状態)とし
た後、加熱により溶剤の乾燥とイミド化を同時に進行さ
せる。熱で自己支持性を発現させる従来の方法(熱キュ
ア法)では、自己支持性を発現することは溶剤量が相当
量減少していることを意味するが、本法の場合、自己支
持性が発現した状態で、樹脂はまだ大量に溶剤を含有し
ている。従って、乾燥に際しては、主たる溶媒の沸点以
下から加熱を開始し、順次加熱温度を上げることによ
り、発泡現象や熱ストレスによる破壊を避けることがで
きる。
【0044】強度発現に必要な温度まで加熱したら系を
冷却し、目的のポリイミド管状体を得ることができる。
強度発現に必要な温度はポリイミドの組成によっても異
なるが、概ね350℃〜550℃である。
【0045】冷却の後、ポリイミド管状体を型より取り
外すのであるが、この際に上述のように、金型を多孔体
としておいて、この多孔体の内側から外側に向かって空
気放出させながら行えば容易に取り外すことができる。
また、型に超音波振動子を取り付け、超音波振動により
密着を解消することも有効である。多孔体としては、セ
ラミックス多孔体、金属多孔体、カーボン多孔体等を用
いうる。また、多孔体は焼結体のような連続体だけでな
く、例えば板状金属にパンチングやドリルにより微細な
穴を設け、これを筒状に溶接するといった方法でも得ら
れる。その際、板状金属を加工した筒状体だけでは強度
上不十分な場合、そのさらに内側により粗な状態で空気
放出用の穴のあけられた金型をはめ込むなどの方法を取
ることもできる。(図2参照) また、このポリイミド管状体において、他の成分を有す
る層を外層に積層することも適宜選択されうる。外層
は、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(フッ化ビ
ニリデン)などが例示されるが、これに限定されるもの
ではない。
【0046】
【実施例】本発明に関わる実施例のひとつは以下の通り
である。
【0047】(実施例)攪拌羽がついた容器にジメチル
ホルムアミド(DMF)8.20kgを入れ、窒素気流
下4、4´−ジアミノジフェニルエーテル862gを溶
解し、これにピロメリット酸二無水物を938gを少量
ずつ加え、よく攪拌した。系の粘度が約300Pa・s
ecになったところで攪拌を停止し、ポリアミック酸溶
液を得た。次に、石原産業社FT−300を1.05k
gとDMF4.50kgを別の容器に入れ、よく攪拌
し、さらに超音波分散機にかけることで分散液中の金属
フィラーを均一に分散させフィラー分散液を得た。上記
で得られたポリアミック酸溶液に対して、上記で得られ
た分散液を溶かし入れ、よく攪拌した。その後、攪拌を
継続しながら容器を減圧下において脱泡を行った。
【0048】また、さらに別の容器にイソキノリン1.
3kgと無水酢酸2.2kgとDMF4.0kgを加え
よく攪拌し化学キュア剤溶液を調整した。重量比でポリ
アミック酸溶液100に対して化学キュア剤溶液10の
比率で、各液の容器下部から配管を通じてギアポンプを
用いて多段多翼型のミキサー装置に送り込み、回転数約
200rpmで両液を攪拌しながら送り出した。
【0049】一方、長さ400mm、外径81mmの円
柱金型と、長さ400mm内径82.4mm外形92.
4mmの円筒状金型とを円盤状台座の上でクリアランス
がほぼ均一になるように縦置きでセットし、外型下部に
設けた注入樹脂注入口より上述の送り出された化学キュ
ア剤混合溶液を注入し上部より若干はみ出す状態で注入
を中止した。
【0050】30℃の環境下15分経過した段階で、塗
布されたポリアミド酸溶液膜は自己支持性を得ており、
まず内型を取り外した。内型と樹脂の接触面積のほう
が、外型と樹脂の接触面積より小さいため、特に工夫を
しなくても、容易に内型のみを取り外すことができた。
内型が存在した空間に、外径80mmの多孔性金属(神
戸製鋼社製ヒポラス)の円筒に挿入した。なお、この円
筒は内側から外側に向かって空気を放出させるための空
気導入口が設けられており、外周表面にはフッ素系の剥
離剤をスプレーしておいた。樹脂のはみ出し部分を押さ
えながら、外型を取りはずし、該円筒ごと半硬化管状体
を100℃で10分、200℃で5分、300℃で5
分、400℃で3分加熱し、半硬化状態の管状物を完全
にイミド化すると同時に残溶剤を揮発せしめた。続いて
型を室温まで徐冷し、多孔性金属円筒から空気を放出せ
しめることで管状体を取り外し、目的のポリイミド管状
体を得た。
【0051】以上、本発明に係わるポリイミド管状体の
製造方法について説明したが、本発明は上述の形態に限
定されるものではない。例示するまでもなく記述した範
囲内で種々の変形を加えた態様で実施できるものであ
る。
【0052】
【発明の効果】本発明に係るポリイミド管状体の製造法
は、以上説明したように、ポリアミック酸をイミド化し
て得られるポリイミド管状体の製造方法であり、化学キ
ュアを混合後、型内で半硬化状態を経た後、加熱硬化す
ることを特徴とするものである。このことにより、極め
て正確に管状体の厚みを規制し、塗布法などに比較して
一旦規制した厚みが変化することなく、しかも短時間で
自己支持性を発現し、なおかつ自己支持性を発現した管
状体を型より容易に脱着でき、極めて操作容易に製造が
可能である。化学キュア剤を混合した溶液を次々に多数
準備された型に注入していくことにより、半連続的に生
産が可能であり、極めて高い生産性を実現できるととも
に、上述のような作業性のよさにより破損などが生じに
くく、また閉鎖された空間で初期の固化がなされるた
め、ゴミ等の付着による不良も少ないなど歩留まりの向
上効果も顕著である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 内型を外すのと同時に加熱硬化用型を挿入す
る方法を示す模式図である。
【図2】 板状金属を加工した筒状体だけでは強度上不
十分な場合に、内側により粗な状態で空気放出用の穴の
あけられた金型をはめ込む方法の模式図である。
【図3】 第二の方法における樹脂充填方法の一例を示
す模式図である。
【図4】 第二の方法における樹脂充填方法の別の一例
を示す模式図である。
【符号の説明】
1 筒状型の外型 2 筒状型の内型 3 樹脂 4 加熱硬化用型 5 板状金属を加工した筒状体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B29D 31/00 B29D 31/00 B29K 79:00 B29K 79:00 B29L 23:00 B29L 23:00 Fターム(参考) 2H033 AA31 BA11 2H200 FA13 GB26 JC03 JC15 JC16 LC03 LC09 LC10 MA04 MA11 MA12 MA14 MA17 MA20 MB04 4F204 AA40 AB03 AG08 EA03 EA04 EB01 EF01 EK17 EK25 EW02 EW06 4F213 AA40 AG08 AJ08 WA02 WA03 WA32 WA52 WA54 WA56 WA58 WA67 WA87 WB01 WC02 WF01 WF24 WF27 WK03 WW06 WW15 WW31 WW33 4J002 CM041 EE046 EF127 EN027 EU047 EU057 FD147

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアミック酸を主成分とする溶液と化
    学キュア剤を混合し、混合溶液が流動性を維持している
    間に該溶液を筒状型に供給し、ポリアミック酸が化学キ
    ュア剤によって部分イミド化し、非流動化した後に、こ
    の自己支持性のある半硬化管状体を加熱硬化用の型に外
    嵌し、加熱・乾燥した後に取り出す事を特徴とするポリ
    イミド管状体の製造方法。
  2. 【請求項2】 ポリアミック酸を主成分とする溶液また
    は化学キュア剤の少なくとも一方に常温硬化阻害剤を混
    合しておき、筒状型に混合溶液を供給後、加熱によりポ
    リアミック酸を部分イミド化させて非流動化させる事を
    特徴とする請求項1記載のポリイミド管状体の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 常温硬化阻害剤がアセチルアセトンであ
    る請求項2記載のポリイミド管状体の製造方法。
  4. 【請求項4】 筒状型が相対的に移動可能な内型と外型
    からなるものを用いる事を特徴とする請求項1ないし3
    記載のポリイミド管状体の製造方法。
  5. 【請求項5】 ポリアミック酸溶液が化学キュア剤によ
    って部分イミド化し、非流動化した後に、筒状型の内型
    を半硬化管状体より脱離させ、脱離した空間に加熱硬化
    用の型を挿入した後、筒状型外型を脱離させる工程を含
    む事を特徴とする請求項4記載のポリイミド管状体の製
    造方法。
  6. 【請求項6】 ポリアミック酸溶液が化学キュア剤によ
    って部分イミド化し、非流動化した後に、筒状型の外型
    を半硬化管状体より脱離させ、筒状型の内型を加熱硬化
    用の型として流用し、そのまま半硬化管状体を加熱し、
    ポリイミド管状体を製造する工程を含む事を特徴とする
    請求項4記載のポリイミド管状体の製造方法。
  7. 【請求項7】 相互に移動可能な内型と外型からなる筒
    状型の外型が、少なくとも一方の端部で分離可能な構造
    になっており、ポリアミック酸溶液が化学キュア剤によ
    って部分イミド化し、非流動化した後に、該端部の外型
    のみを外し、露出した半硬化管状体部分を把握または押
    さえることにより型からの取りはずしもしくは外型のみ
    の取りはずしを行う事を特徴とする請求項4ないし6記
    載のポリイミド管状体の製造方法。
  8. 【請求項8】 少なくとも ポリアミック酸を主成分とする溶液を供給する装置 化学キュア剤を供給する装置 とから供給されるポリアミック酸を主成分とする
    溶液と化学キュア剤を均一に混合する装置 で混合された溶液を筒状型内に供給する装置を有す
    るポリイミド管状体製造装置。
  9. 【請求項9】 少なくとも ポリアミック酸を主成分とする溶液を供給する装置 化学キュア剤を供給する装置 とから供給されるポリアミック酸を主成分とする
    溶液と化学キュア剤を均一に混合する装置 で混合された溶液を筒状型内に供給する装置 自己支持性のある筒状型内の半硬化管状体を型より取
    り外す装置 取り外した半硬化管状体を加熱硬化用型に外嵌する装
    置 加熱装置 取り外し装置を有するポリイミド管状体製造装置。
  10. 【請求項10】 筒状型が相対的に移動可能な内型と外
    型からなる請求項9ないし10記載のポリイミド管状体
    製造装置。
  11. 【請求項11】 少なくとも ポリアミック酸を主成分とする溶液を供給する装置 化学キュア剤を供給する装置 とから供給されるポリアミック酸を主成分とする
    溶液と化学キュア剤を均一に混合する装置 で混合された溶液を相対的に移動可能な内型と外型
    からなる筒状型内に供給する装置 筒状型の内型を取り外し、それに引き続きまたはそれ
    と同時に加熱用の型を挿入する装置 筒状型の外型を取り外す装置 加熱装置 取り外し装置を有するポリイミド管状体製造装置。
  12. 【請求項12】 少なくとも ポリアミック酸を主成分とする溶液を供給する装置 化学キュア剤を供給する装置 とから供給されるポリアミック酸を主成分とする
    溶液と化学キュア剤を均一に混合する装置 で混合された溶液を相対的に移動可能な内型と外型
    からなる筒状型内に供給する装置 筒状型の外型を取り外す装置 加熱装置 取り外し装置を有するポリイミド管状体製造装置。
JP2001247607A 2001-06-22 2001-08-17 ポリイミド管状体の製造方法及びポリイミド管状体製造装置 Pending JP2003053742A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001247607A JP2003053742A (ja) 2001-08-17 2001-08-17 ポリイミド管状体の製造方法及びポリイミド管状体製造装置
US10/177,692 US20030090031A1 (en) 2001-06-22 2002-06-21 Method and apparatus for producing polyimide molding
CN02147278.5A CN1407017A (zh) 2001-06-22 2002-06-21 聚酰亚胺成形体的制造方法和聚酰亚胺成形体的制造用装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001247607A JP2003053742A (ja) 2001-08-17 2001-08-17 ポリイミド管状体の製造方法及びポリイミド管状体製造装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003053742A true JP2003053742A (ja) 2003-02-26

Family

ID=19076913

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001247607A Pending JP2003053742A (ja) 2001-06-22 2001-08-17 ポリイミド管状体の製造方法及びポリイミド管状体製造装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003053742A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012045543A (ja) * 2011-08-29 2012-03-08 Bridgestone Corp 分級ローター用羽根ピンの製造方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07178741A (ja) * 1993-11-15 1995-07-18 I S T:Kk ポリイミド複合管状物とその製造方法及び製造装置
JPH0955119A (ja) * 1995-08-10 1997-02-25 Toshiba Corp エポキシ樹脂注型品の製造方法および装置
JPH1015968A (ja) * 1996-06-28 1998-01-20 Showa Electric Wire & Cable Co Ltd ポリイミドチューブの製造方法
JPH10296761A (ja) * 1997-02-27 1998-11-10 Fuji Xerox Co Ltd 継ぎ目なし回転体の製法
JP2000085007A (ja) * 1998-09-10 2000-03-28 Du Pont Toray Co Ltd 二軸配向ポリイミドフィルムおよびその製造方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07178741A (ja) * 1993-11-15 1995-07-18 I S T:Kk ポリイミド複合管状物とその製造方法及び製造装置
JPH0955119A (ja) * 1995-08-10 1997-02-25 Toshiba Corp エポキシ樹脂注型品の製造方法および装置
JPH1015968A (ja) * 1996-06-28 1998-01-20 Showa Electric Wire & Cable Co Ltd ポリイミドチューブの製造方法
JPH10296761A (ja) * 1997-02-27 1998-11-10 Fuji Xerox Co Ltd 継ぎ目なし回転体の製法
JP2000085007A (ja) * 1998-09-10 2000-03-28 Du Pont Toray Co Ltd 二軸配向ポリイミドフィルムおよびその製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012045543A (ja) * 2011-08-29 2012-03-08 Bridgestone Corp 分級ローター用羽根ピンの製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5347306B2 (ja) シームレスベルト
JP5900868B2 (ja) 多孔質ポリイミドおよびその製造方法
EP2557110A1 (en) Porous polyimide membrane and process for production thereof
TWI677520B (zh) 聚醯亞胺膜之製造方法及其利用
JPWO2017038897A1 (ja) 多孔質膜の製造方法
JP6330261B2 (ja) ポリマー多孔質膜の製造方法及びポリマー多孔質膜
US20030090031A1 (en) Method and apparatus for producing polyimide molding
JP2003053742A (ja) ポリイミド管状体の製造方法及びポリイミド管状体製造装置
JP2010085450A (ja) シームレスベルトおよびシームレスベルトの製造方法
JP2002283366A (ja) ポリイミドベルトの製造方法
JP3321901B2 (ja) 粗面化ポリイミドフィルムの製造法
JP2003001651A (ja) ポリイミド管状体の製造方法及びポリイミド管状体製造装置
JP2003320523A (ja) ポリイミド成型体の製造方法及びポリイミド成型体製造用装置
JP2004148706A (ja) ポリイミド筒状体の製造方法
JP2007063492A (ja) 欠陥の少ないポリイミドフィルム
JPH09227697A (ja) ゲルを経由した耐熱性ポリイミドフィルムの製造方法
JP2004230755A (ja) 管状体成形用金型及びこれを用いた管状体の製造方法
JP2003001628A (ja) ポリイミド管状体の製造方法
JP2003001638A (ja) ポリイミド成形体の製造方法
JP2004291440A (ja) ポリイミド管状成形体の製造方法
JP2004161821A (ja) ポリイミド管状成形体
CN110358134A (zh) 一种低介电常数聚酰亚胺薄膜及其制备方法
JP2002137308A (ja) ポリイミドベルトの製造方法
JP2002127165A (ja) ポリイミド成型体の製造方法
JP2004217848A (ja) ポリイミド管状成形体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20080222

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Effective date: 20101222

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110111

A02 Decision of refusal

Effective date: 20110719

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02