JP2003038908A - 水処理用凝集剤の製造方法 - Google Patents
水処理用凝集剤の製造方法Info
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Abstract
除くために用いられる、高い凝集性能を有す金属−シリ
カ高分子系水処理用凝集剤を、工業的に安価かつ安定的
に得る。 【解決手段】 SiO2濃度が100〜200g/L、
粘度が6cp未満のシリカゾルを、無機酸水溶液とケイ
酸塩水溶液とを互いに5m/秒以上で衝突させること等
によって得、次いで該シリカゾルを熟成させて粘度を6
〜30cpとし、その後、該シリカゾルと塩化第二鉄等
の金属の水溶性塩とを混合して凝集剤とする。
Description
方法に関する。より詳しくは、高い処理能力を有する水
処理用凝集剤の簡便かつ低コストな製造方法に関する。
他の不純物を除いて浄化処理を行なうために、凝集剤を
該用水や排水中に注入してこれら不純物を凝集・沈降さ
せて処理する水処理方法が行われており、この目的の凝
集剤としては、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウ
ム、塩化第二鉄等が用いられている。
はポリ塩化アルミニウムが汎用されているが、アルミニ
ウムは両性金属であるため、水中の有機物質、例えば、
藻類が生産する有機酸等と結合して溶解性アルミニウム
となり、処理水中に残留するという問題点がある。また
アルミニウム系凝集剤は低水温では凝集性能が低下する
ため、過剰に注入してしまうという欠点もある。
重合ケイ酸に鉄塩等の水溶性金属塩を添加した金属−シ
リカ無機高分子凝集剤、特に金属塩が鉄塩である、鉄−
シリカ無機高分子凝集剤が、その高く安定した凝集性能
と安全性から注目されている。
第2732067号公報等に記載の如き、ビーカー等の
容器中で、ケイ酸塩水溶液を塩酸、硫酸等の無機酸水溶
液へ添加して、SiO2濃度が1〜6%程度のシリカゾ
ルを得、次いで該ケイ酸溶液を室温程度で数時間攪拌し
つつ重合を進行(熟成)させた後、そこへ鉄等の金属塩
溶液を添加することにより得る凝集剤である。
分子凝集剤は、凝集性能が高く、またゲル化時間が長い
ため長期間の保存によっても凝集性能を失わない、さら
には低温水に対しても高い凝集性能を示す等、水処理剤
として多くの利点を有す。
た製造方法では、ケイ酸塩水溶液の無機酸水溶液への添
加により得られるシリカゾルのSiO2濃度を70g/
L(約7%弱)以上にすることができない。なぜなら
ば、この方法では高濃度のシリカゾルを得ようとして
も、ケイ酸水溶液と無機酸水溶液との部分的な不均一が
極めて生じ易く、該不均一部分が即座にゲル化し、均一
なシリカゾルを得ることができないためである。従っ
て、良好な凝集性能を有する凝集剤を得るためには、低
い濃度で製造せざるを得ず、よって生産性が低いという
欠点があった。
剤の凝集性能をより高くし、実用的な凝集性能を得るた
めには、シリカゾルの熟成の際、60℃程度に加温し熟
成する(ケイ酸の重合を進行させ、分子量を大きくす
る)必要がある。従って、加温のための装置も必要とな
り、工業的に製造するためのコストも高くなるという欠
点もあった。
は、前述した多くの利点を有しながら、工業的には未だ
実用化されていないのが現状である。
価且つ多量に良好な凝集性能を有す金属−シリカ無機高
分子凝集剤を得る方法が切望されていた。
を解決すべく鋭意検討し、特公平4−54619号公報
に記載のシリカゲルの製造法における高濃度で均一なシ
リカゾルの生成工程に着目して、さらに研究を進めた結
果、該公報に記載の方法を応用して製造したシリカゾル
を、特定の粘度になるまで熟成させたものが、前記、金
属−シリカ無機高分子凝集剤の製造原料として好適なこ
とを見出した。
度や該シリカゾル中のSiO2濃度、及び得られる凝集
剤の凝集性能につき種々検討した結果、本発明を完成し
た。
00g/L、粘度が6cp未満のシリカゾルを熟成させ
て、SiO2濃度が100〜200g/L、粘度が6〜
30cpのシリカゾルとし、該シリカゾルと金属の水溶
性塩とを混合することを特徴とする水処理用凝集剤の製
造方法であり、他の発明は、SiO2濃度が100〜2
00g/L、粘度が6cp未満のシリカゾルを熟成させ
て、SiO2濃度が100〜200g/L、粘度が6〜
30cpのシリカゾルとし、該シリカゾルをSiO2濃
度が50〜70g/Lとなるまで水で希釈した後、金属
の水溶性塩と混合することを特徴とする水処理用凝集剤
の製造方法であり、また他の発明は、上記SiO2濃度
が100〜200g/L、粘度が6cp未満のシリカゾ
ルが、無機酸水溶液とケイ酸塩水溶液とを互いに5m/
秒以上で衝突させることによって得たシリカゾルである
上記水処理用凝集剤の製造方法である。
な装置として、(a)無機酸水溶液の貯蔵槽と、(b)
ケイ酸塩水溶液の貯蔵槽と、(c)金属塩水溶液の貯蔵
槽と、(d)該無機酸水溶液貯蔵槽及びケイ酸塩水溶液
貯蔵槽に各々貯蔵されている無機酸水溶液とケイ酸塩水
溶液とを互いに5m/秒以上の速度で衝突することによ
り反応させてシリカゾルとする衝突装置と、(e)該衝
突により得られたシリカゾルを攪拌しつつ熟成する攪拌
熟成装置と、(f)該攪拌熟成装置から排出されたシリ
カゾルと混合される、前記金属塩水溶液の貯蔵槽に貯蔵
されている金属塩水溶液を供給する供給装置、とを備え
ることを特徴とする水処理用凝集剤製造装置が提供され
る。
0〜200g/Lで粘度が6cp未満のシリカゾル(以
下、原料シリカゾルと称す場合がある)を、熟成させる
(ケイ酸の重合を進行させる)ことによりSiO2濃度
が100〜200g/Lで、且つ粘度が6〜30cpの
シリカゾル(以下、熟成シリカゾルと称す場合がある)
とする工程を経る必要がある。
00g/L未満あるいは200g/Lを越えたシリカゾ
ルを用いた場合には、懸濁物質の凝集沈降に長時間を要
するなど、凝集剤の凝集性能が劣ることになり好ましく
ない。また、SiO2濃度が100g/L未満のシリカ
ゾルでは後述する熟成で、粘度を6〜30cpにするた
めに極めて長時間を要し、さらにバッチ当たりの生産量
も少なくなるため生産性も低くなる。
度に懸濁物質を凝集させるためには、SiO2濃度が1
40〜160g/Lのシリカゾルを原料シリカゾルとし
て使用することが好ましい。
シリカゾルは得ることができないため、原料シリカゾル
としては粘度6cp未満のものが使用される。高い凝集
性能を有す凝集剤を得るためには、粘度が5cp以下の
シリカゾルを原料シリカゾルとして用いることが好まし
い。
は、温度20℃で回転粘度計を使用して測定した値であ
る。
ルを得る方法は特に制限されず、公知の方法が適用で
き、具体的には特公平4−54619号公報に記載の無
機酸水溶液とケイ酸塩水溶液を一定以上の速度で接触さ
せる製造方法や、特開平8−333112号公報に記載
の水流中にケイ酸塩水溶液と硫酸を添加する方法、ある
いはアルキルシリケートを酸あるいはアルカリ性条件下
で加水分解する方法、ケイ酸塩水溶液をイオン交換膜で
電気透析を行なう方法等が挙げられる。
酸塩水溶液とを互いに一定速度以上で衝突させる方法
が、製造設備が簡便で、さらに原料コストやランニング
コストが安価で済むため原料シリカゾルの製造コストが
安く、また、安定して前記の濃度と粘度を有すシリカゾ
ルを製造でき極めて好適である。
酸等の無機酸の水溶液と、ケイ酸塩水溶液とを互いに5
m/秒以上、好ましくは7m/秒以上、より好ましくは
10m/秒以上の流速で衝突させる。なお、この方法に
おいては、無機酸水溶液及びケイ酸塩水溶液の双方が上
記流速以上である必要がある。どちらか一方でも上記流
速以下では、部分的にゲル化が発生し、均質なゾルを得
ることが困難となる。
造に用いる、上記無機酸の濃度は、2〜7Nであること
が好ましく、3〜6Nであることがより好ましい。この
範囲の濃度とすることにより、得られるシリカゾルの濃
度を100〜200g/L、粘度を6cp未満とするこ
とが容易となり、また、後述する熟成のための時間を5
分〜20時間と、工業的に扱いやすい適当な時間内に納
めることが容易となる。
ダ水溶液が好適に用いられ、またその濃度としては、S
iO2成分の濃度が200〜350g/Lであるのが好
ましく、250〜300g/Lであるケイ酸ソーダ水溶
液であるのがより好ましい。この濃度範囲とすることに
より、得られるシリカゾルの濃度を100〜200g/
Lとすることが容易となり、また無機酸水溶液との混合
(衝突)時にゲル化が進行してしまうことなく、均一な
シリカゾルを得ることが極めて容易になる。
SiO2とNa2Oのモル比が2.5〜4である。
装置としては、図1に示すようなY字型の装置が好適に
用いられる。即ち、原料貯蔵槽5,5’から、各々無機
酸水溶液またはケイ酸水溶液が原料供給管1,1’へと
送られ、絞り部4,4’で加速され、反応部3で衝突す
る。反応部3で生成したシリカゾルはゾル排出管2から
ゾル貯槽7へと送られる。その後、該シリカゾルを原料
シリカゾルとして、後述する熟成および金属の水溶性塩
との混合が行われる。
通常は、原料供給管1、1’の径が5〜40mm程度、
長さがその径の1.5〜6倍程度、絞り部4,4’の径
が0.5〜6mm程度、絞り部の長さがその径の0.5〜
5倍程度、ゾル排出管2の径が5〜20mm程度、長さ
が10〜100mm程度である。従って、Y字型の装置
全体としては、幅が40〜100mm程度、高さが40
〜150mm程度、厚さが2〜70mm程度の極めて小
さな装置とすることができる。
00〜200g/Lのシリカゾルの製造直後(熟成前)
の粘度は、得られたシリカゾル中のSiO2濃度にもよ
るが、通常2〜5cpである。
0〜200g/L、粘度が6cp未満のシリカゾルは、
引き続いて熟成、即ちケイ酸の重合を進行させて粘度を
6〜30cpとする必要がある。
はないが、本発明におけるSiO2濃度が100〜20
0g/Lの原料シリカゾルでは、一般には室温(15〜
40℃程度)で行なうことができる。また、この温度範
囲内であれば、一定温度に保ちつづける必要も特に無
い。即ち、上記した濃度の原料シリカゾルを使うことに
より、熟成のために特別な加温(定温)装置を要さず、
このため製造コストが安くできるという利点もある。
カゾルのSiO2濃度、粘度にもよるが、一般的には2
0分〜4時間であり、好ましくは40〜220分であ
る。SiO2濃度が140〜160g/L、粘度5cp
程度の原料シリカゾルを20〜35℃程度の温度で熟成
させる場合には、30〜200分で6〜30cpの粘度
とすることができる。
も6cp未満の低い粘度の状態で、後述する金属の水溶
性塩との混合を行なっても、良好な凝集性能を有する凝
集剤とはならない。また逆に、熟成を進行させすぎて3
0cpを越える粘度にしてしまった場合も凝集性能が良
好なものとはならない。該シリカゾルは、熟成によりそ
の粘度を7〜20cpの範囲とされることがより好まし
い。
槽等の容器中で、穏やかに攪拌しつつ行なうことが好ま
しい。
が100〜200g/L、粘度が6〜30cpのシリカ
ゾルを金属の水溶性塩と混合して凝集剤を得ても、該凝
集剤は十分な凝集性能を有すものとはならない。また、
熟成工程を経たシリカゾルでも、一旦粘度が30cp以
上となってしまったものを、水あるいは粘度の低いシリ
カゾルと混合し、それにより粘度を6〜30cpとした
シリカゾルを用いてもやはり凝集性能の良好な凝集剤と
することはできない。
大きく、粘度も30cpを越えるシリカゾルを水により
希釈してSiO2濃度が100〜200g/L、粘度が
6〜30cpのシリカゾルとしたもの;SiO2濃度が
100g/L未満で粘度が6〜30cpのシリカゾルと
SiO2濃度が200g/Lを超え粘度が6〜30cp
のシリカゾルとを混合し、SiO2濃度が100〜20
0g/L、粘度が6〜30cpのシリカゾルとしたも
の;SiO2濃度が100〜200g/Lで粘度が30
cpを上回るものと、同濃度でより粘度の低いものとを
混合してSiO2濃度が100〜200g/L、粘度が
6〜30cpのシリカゾルとしたもの等を用いても、得
られる凝集剤の凝集性能は不十分なものにしかならな
い。
いて金属の水溶性塩と混合され、凝集剤とされる。
のではなく、鉄、アルミニウム、マグネシウム等の塩酸
塩、硝酸塩、硫酸塩等が使用できる。生体への安全性、
凝集剤の凝集性能及び長期保存における安定性等を考慮
すると、鉄塩が好ましく、第二鉄塩がより好ましい。最
も好ましい金属の水溶性塩は、塩化第二鉄及び硫酸第二
鉄である。
により好適な範囲が異なるが、金属が鉄(Fe)である
場合には、該鉄塩の添加量は、Si/Feのモル比が
0.1〜5となる量とすることが好ましい。より好まし
くはSi/Feのモル比が0.5〜3となる量である。
また金属がアルミニウム(Al)である場合には、Si
/Alのモル比が2.5〜15、マグネシウム(Mg)
である場合には、Si/Mgのモル比が2〜10の範囲
となる量を用いることが好適である。Si/金属のモル
比が大きいほど凝集性能が高く、逆にその比が小さいほ
どゲル化しにくいため安定性に優れる。
に溶解させて水溶液として混合することが、熟成シリカ
ゾルと混合した際に均一分散させることができ好まし
い。金属の水溶性塩として塩化第二鉄を用いる場合は、
該水溶液濃度は20〜40重量%で用いるのが好適であ
る。
る際には、前記方法で製造したSiO2濃度が100〜
200g/Lで、且つ粘度が6〜30cpのシリカゾル
に対し、直接金属の可溶性塩(あるいはその水溶液)を
混合しても良いが、該シリカゾルを、SiO2濃度が5
0〜70g/Lとなるまで水で希釈した後、金属の可溶
性塩(の水溶液)を混合するほうが凝集剤の凝集性能が
より高くなり好ましい。
SiO2濃度が10〜30g/Lとなるまで水で再度希
釈することにより、凝集剤として好適に使用できる。
ることにより得た凝集剤は、長期の保存安定性を得るた
めに、そのpHを1〜3としておくことが好ましい。こ
の範囲のpHとしておくことにより、数ヶ月間安定に保
存できる。逆に、pHが中性に近いほど、該凝集剤の保
存時にゲル化を起こしやすい。通常、原料シリカゾルを
前記したような無機酸水溶液とケイ酸塩水溶液の衝突に
よる方法で製造した場合には、特に調製せずとも得られ
る凝集剤はそのpHが1〜3の範囲のものとなるが、そ
の範囲外である場合には、硫酸等の各種の酸や、水酸化
ナトリウム等の各種塩基でそのpHを調整すればよい。
集剤を製造するための製造装置は特に制限されず、公知
のシリカゾル製造装置や攪拌・貯蔵装置、液体の添加・
混合装置等を必要に応じて適宜組み合わせて用いればよ
い。
ゾルの熟成を100〜200g/Lと高いSiO2濃度
で行い、その後、水等により希釈すればよいため、該熟
成を従来の方法に比べて小さな装置で行うことが可能と
なる。また、熟成のために加温する必要もないため、熟
成のための装置を加温する各種加熱装置も不要である。
したがって、該シリカゾルの熟成装置は各種の運搬用車
両等により容易に輸送が可能であり、これによりSiO
2濃度が100〜200g/Lの原料シリカゾルを製造
した後、輸送中に熟成させ、水処理用凝集剤の使用場所
にて水を調達、その水を前述した希釈に使用する方法を
採用することが可能となる。その結果、希釈のために用
いる水の量の分だけ輸送コスト等を削減することが可能
となる。さらに、凝集剤を使用する被処理水の状況を確
認しながらSi/金属のモル比等を調整し、該被処理水
に対して最適化することも極めて容易となる。
前述したY字型の装置のような無機酸水溶液とケイ酸水
溶液とを互いに5m/秒以上の速度で衝突することによ
り反応させてシリカゾルとする装置を採用することによ
り、該原料シリカゾルの製造装置部分の小型化も可能と
なり、該原料シリカゾルの製造装置部分をも含めて輸送
可能な水処理用凝集剤の製造装置とすることが可能とな
る。これにより上記のシリカゾルの熟成装置を搬送する
利点に加え、さらに、水処理用凝集剤を必要な場所で、
必要なときに必要な量だけ製造することが容易となり、
製造コストを大幅に削減することが可能となる。
装置の好適な例を、添付した図面を用いてより詳細に説
明する。
水溶液の貯蔵槽5、ケイ酸塩水溶液の貯蔵槽5’、金属
塩水溶液の貯蔵槽9(これら3つの貯蔵槽を総称して、
単に原料貯蔵槽と称す場合がある)、該無機酸水溶液貯
蔵槽及びケイ酸塩水溶液貯蔵槽に各々貯蔵されている無
機酸水溶液とケイ酸塩水溶液とを互いに5m/秒以上の
速度で衝突することにより反応させてシリカゾルとする
衝突装置8、該衝突により得られたシリカゾルを攪拌し
つつ熟成する攪拌熟成装置7、及び該攪拌熟成装置から
排出されたシリカゾルと混合される前記金属塩水溶液の
貯蔵槽に貯蔵されている金属塩水溶液を供給する供給装
置10とを備える。また、必要に応じて後述するような
各種装置が付随的に備えられる。
車両により、凝集剤の使用場所まで輸送され、該車両上
で、あるいは車両から降ろし必要な場所に設置し、そこ
で下記の各原料から凝集剤を製造する。
度の無機酸水溶液(75%又は98%程度)、市販の2
8〜40%程度の濃度の高濃度のケイ酸塩水溶液及び市
販の塩化鉄水溶液(37%程度)等を用いれば良く、該
各原料を製造装置と共に搬送するか、あるいは別途輸送
して当該製造装置に供給する。また水は水道水等を使用
すればよく、通常は現地調達することが容易にでき、こ
れにより水を輸送するコストを削減できる。むろん必要
に応じて水を上記各原料と共に輸送してもかまわない。
ような高濃度の無機酸水溶液及びケイ酸塩水溶液を、前
述したような原料シリカゾルの製造に好適な濃度まで水
で希釈する。該希釈は、各々無機酸水溶液の貯蔵槽5、
ケイ酸塩水溶液の貯蔵槽5’中にて行えばよい。また、
これらを水で希釈する際には、前述したように外部の水
源から水道水等を調達して使用すればよいが、その水は
一旦、水圧調整装置11や給水弁(図示しない)等によ
り圧力や流量を調整する装置を介し供給することが好ま
しい。また、得られる希釈水溶液の濃度が均一になるよ
うに、これらの貯蔵槽には攪拌装置(図示しない)が設
けられていることが好ましい。
製造用に好適な濃度とされた無機酸水溶液とケイ酸塩水
溶液は、衝突装置8により互いに5m/秒以上の速度で
衝突させられることによって反応しシリカゾルとなる。
該衝突装置8は衝突部12、無機酸水溶液及びケイ酸塩
水溶液を各々5m/秒以上の速度とするためのポンプ6
及び6’により構成されている。衝突部8としては前述
したようY字型の装置を採用することが、構造が簡単で
小型化が容易なため好ましい。またポンプは公知のもの
を採用すればよい。衝突させる際に送り出す無機酸水溶
液及びケイ酸塩水溶液の量は、前述した通り、得られる
シリカゾル中のSiO2濃度が100〜200g/Lと
なるように調整する。
は、そのまま攪拌熟成槽7へと送られそこで熟成させら
れる。当該熟成は前述した通り、シリカゾルの粘度が6
〜30cpになるまで行われる。該攪拌熟成槽7には、
熟成中の攪拌のための攪拌装置13、粘度をモニターす
るための粘度計14が設けられている。さらに、温度計
15やpH計(図示しない)を設け、これらの物性を常
にモニターしておくことがより好ましい。
粘度である6〜30cpになったシリカゾル(熟成シリ
カゾル)は排出管16(及び20)から排出され、凝集
剤最終調製槽(貯蔵槽)19へと送られる。該排出は図
示したようにポンプ17を用いればよいが、場合によっ
ては重力による自然落下を利用することも可能である。
水溶液と混合される前に、SiO2濃度が50〜70g
/Lとなるように水で希釈されることが好ましい。該希
釈は、攪拌熟成槽7中で行ってもよいし、凝集剤最終調
製槽19中で行ってもよい。好ましくは、熟成シリカゾ
ルを凝集剤最終調製槽19へ移した後、該希釈のための
水を攪拌熟成槽7、排出管16(及び20)、ポンプ1
7を経由して凝集剤最終調製槽19へと加える方法であ
る。これにより、攪拌熟成槽7、排出管16(及び2
0)、ポンプ17の洗浄を兼ねることができると同時
に、攪拌熟成槽7が相対的に小さいもので良くなり好ま
しい。なお、この希釈の際の水も前記無機酸水溶液及び
ケイ酸塩水溶液を希釈調整するために用いたものと同
様、外部の水源から調達したものを、水圧調製装置11
等を介して供給すればよい。
が50〜70g/Lに調整された熟成シリカゾルには、
続いて金属塩水溶液貯蔵槽9に貯蔵されている金属塩水
溶液が、供給装置10によって供給される。該供給装置
10は、熟成シリカゾルと金属塩水溶液とが混合できる
よう、該混合を行うための装置に対して金属塩水溶液を
供給できる機能を有すものであれば特に限定されない
が、構造が簡単なことから、図示したように、金属塩水
溶液の供給配管18(及び20)、弁21、ならびにポ
ンプ22からなる装置とすることが好ましい。該供給配
管18は、前記した熟成シリカゾルの排出管16と途中
で接続しておくと、配管が簡潔になり好ましい。なおこ
の場合、図における配管20の部分は、熟成シリカゾル
の排出管16と供給配管18との双方を兼ねる配管であ
る。むろん、該金属塩水溶液は、点線で描かれている配
管20’を経由して直接凝集剤最終調製槽19へと注入
するようにしたり、配管20”、攪拌熟成槽7を経由す
るようにしてもなんら構わない。なお、ポンプ22を用
いずに、重力による自然落下を利用して金属塩水溶液を
供給すること等も可能である。
製槽19へ供給しておき、そこへ熟成シリカゾルを加え
て混合する方法や、攪拌熟成槽7中へ金属塩水溶液を供
給し、そこで熟成シリカゾルと混合する方法も採用でき
る。
熟成シリカゾルは、水処理用凝集剤として使用する際に
はSiO2濃度が10〜30g/Lとなるまで水で再度
希釈することが好ましいが、該希釈はこの最終調整槽1
9内で行えばよい。この最終調整槽19は通常の大型タ
ンク等でよく、これまで述べてきたような本発明の製造
装置24(点線で囲まれた部分)を構成する、各原料貯
蔵槽や衝突装置、攪拌貯蔵槽、金属塩水溶液の供給装置
及び付随する配管等と異なり、水処理用凝集剤を使用す
る場所にて調達することが容易であり、該最終調整槽1
9をこれらと共に搬送する必要はない。したがって、使
用場所にて水処理用凝集剤を製造するために、搬送の必
要な装置を小型・軽量化できる。これは、SiO2濃度
が1〜6%程度のシリカゲルを60℃程度で熟成させる
必要がある公知の方法では、本発明の方法と同量の水処
理用凝集剤を製造するために極めて大規模な装置が必要
であり、事実上、搬送が不可能なのと対照的であり、前
述した本発明の製造方法を採用する極めて大きな利点で
ある。
濃度を10〜30g/Lとする希釈は、最終調整槽19
に対して直接水を投入することにより行ってもよいが、
好ましくは、そのための水を攪拌貯蔵槽7へ投入、排出
管16等を通して最終調整槽19へ投入する方法を採用
することにより、これらの装置を洗浄する効果も得られ
好ましい。また、最終調整槽19にも攪拌装置23を取
り付け、水処理用凝集剤全体が均一な状態となるように
することが好ましい。
は特に制限されるものではないが、運搬の際に容易で、
かつ必要十分な量の水処理用凝集剤を製造できる点で、
無機酸水溶液貯蔵槽、金属水溶液貯蔵槽はいずれも50
〜500L程度(より好ましくは100〜300L程
度)、ケイ酸塩水溶液貯蔵槽は100〜600L程度
(より好ましくは150〜400L程度)、攪拌熟成槽
は100〜600L程度(より好ましくは300〜50
0L程度)の大きさであればよい。これにより一回につ
きに1000〜10000L程度の水処理用凝集剤を製
造することが可能である。また、他の装置の大きさはこ
れらの原料貯蔵槽や攪拌熟成槽に合わせて適宜選択すれ
ば良い。
に応じて各種ポンプや流量調整装置(弁など)を適宜配
設することが好ましい。
原料が凍結したり、熟成速度が遅くなったりするのを防
止する目的で、ヒーター等(図示しない)を設けて、水
圧調整装置11から各部へ供給される水を温めたり、攪
拌混合槽7が冷えすぎないようにすることも好適に採用
できる。
剤製造装置は通常、上記した水やシリカゾルの流量、凝
集剤の粘度、温度、pH等を測定・監視し、必要に応じ
て装置各部を制御する各種制御装置をも備える。
制御装置等を動かすための電源としては、水処理用凝集
剤を製造する場所(製造装置を稼動させる場所)で、外
部電源から調達しても良いし、発電機等を製造装置と共
に運搬し、該発電機から得ても良い。
後は、製造装置24は必要に応じて再度トラック等の運
搬手段により他の場所に搬送し、そこでまた上述した手
順により水処理用凝集剤を製造することが可能である。
トラック等による運搬や装置の積み下ろし、使用時の設
置等の作業を容易にするために、本発明の水処理用凝集
剤製造装置23を構成する各部分(各原料貯蔵槽、衝突
装置、攪拌熟成槽、金属塩水溶液の配合装置及び付随す
る配管等)は各種公知の方法で一体化させておくことが
好ましい。なおこの場合には、各部分装置を溶接等の通
常の方法で容易に分離できない形で連結させて一体化さ
せても良いが、ネジやボルト・ナット等の機械的嵌合力
を利用する方法で行う方が好ましい。これにより、修理
や改修の際に、各部分の交換が容易となる。むろんこの
場合には、強度等を補強するために各種の金属枠や板等
をさらに用いることが可能である。
すぐ使用してもよいし、最終調製槽(貯蔵槽)19にて
保存しておき、必要時に使用してもよい。そして、該貯
蔵槽の残量が減った場合には、再度、製造装置24を搬
送してくることにより凝集剤の製造、補充を行えばよ
い。
置を用いて、本発明の製造方法により得られる凝集剤
は、通常、上水用の河川水中や排水中の懸濁物質等の汚
染物質を凝集沈降させるために使用さる。その使用量
は、該水中の汚染物質量にもよるが、通常、Fe量とし
て3〜6ppmとなる量である。
るが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではな
い。
は以下の通りである。 a)原料シリカゾルの製造:図1に示すY字管反応装置
で、絞り部の管径(内径)1.2mmφ×長さ10mmのケ
イ酸ソーダ水溶液供給管、同じく絞り部の管径(内径)
1.4mmφ×長さ10mmの硫酸水溶液供給管を組み込ん
だ装置を用い、各実施例・比較例記載の原料濃度及び流
速で製造した。 b)東京計器製造所製BL型粘度計で、温度20℃で測
定した。 c)凝集性能:多摩川河川水に市販カオリン(ENGE
L HADR社製 ASP−072)を混合し、濁度2
3〜26度に調整したものを試験水とした。該試験水1
000mlを、日京テクノス(株)製6連ジャーテスタ
ーに取り、凝集剤を水1Lに対し、Feが4又は5mg
相当を添加、攪拌速度150rpmで3分間攪拌してフ
ロックを生成させた。続けて、攪拌速度50rpmで1
0分間攪拌、さらに10分間静置した後、上澄み液30
0mlを採取し、日研ラボ製濁度計(SEP-PT-706D)と
pH計を用いて、濁度とpHを測定した。
2濃度298g/Lのケイ酸ソーダ水溶液を各々1L/
minの速度でY字管反応装置へ供給し、シリカゾル1
0Lを得た。このときの反応部へと供給される硫酸及び
ケイ酸ソーダの流速は、各々、10.8m/秒、14.
7m/秒であった。
シリカゾルのSiO2濃度は150g/L、粘度は5.
0cpであった。また、得られたシリカゾルの温度は3
3℃であった。
pの原料シリカゾルから1Lを採取し、室温(約23
℃)で穏やかに攪拌しつつ120分間熟成させることに
より、粘度10cpの熟成シリカゾルを得た。このシリ
カゾルを水で希釈し、SiO2濃度60g/Lとした
後、37%塩化第二鉄88mlを混合した。このときの
Si/Feモル比は3である。次に、これを更に水で希
釈し、SiO2濃度20g/Lとして、pH1.3の凝
集剤を製造した。この凝集剤を使用して凝集性能を測定
した結果を表1に示す。
度が19.5cpの熟成シリカゾルを得た以外は、実施
例1と同様にして凝集剤を得た。凝集性能の測定結果を
表1に示した。
し、ケイ酸ソーダ水溶液のSiO2濃度が230g/L
のものを用いて、実施例1と同様にして、SiO2濃度
110g/L、粘度3cpの原料シリカゾルを得た。
粘度7cpの熟成シリカゾルとした以外は、実施例1と
同様の操作により、Si/Feのモル比が3、SiO2
濃度が20g/L、pH1.4の凝集剤を製造した。こ
の凝集剤を用いて凝集性能を測定した結果を表1に示
す。
ったシリカゾルを水で希釈せずに塩化第二鉄水溶液を加
えた以外は、実施例1と同様にして、Si/Feのモル
比が3、SiO2濃度が20g/L、pH1.3の凝集
剤を製造した。この該凝集剤を用いて凝集性能を測定し
た結果を表1に示す。なお表1に示す如く、実施例4と
5では、試験水に対する凝集剤の添加量を変えている。
る熟成シリカゾルの粘度5cpのものを用いた以外は実
施例1と同様にして、Si/Feのモル比が3、SiO
2濃度が20g/L、pH1.3の凝集剤を製造した。
この凝集剤を用いて凝集性能を測定した結果を表1に示
す。
れる熟成シリカゾルの粘度38cpのものを用いた以外
は実施例1と同様にして、Si/Feのモル比が3、S
iO2濃度が20g/L、pH1.3の凝集剤を製造し
た。この凝集剤を用いて凝集性能を測定した結果を表1
に示す。
た粘度38cpのシリカゾル(熟成時間210分)に、
比較例1の方法で製造した粘度5cpのシリカゾル(熟
成時間10分)を混合することにより、粘度が10c
p、SiO2濃度が150g/Lの混合シリカゾルを得
た。この混合シリカゾルの1Lを熟成シリカゾルとして
用いた以外は実施例1と同様にしてSi/Feのモル比
が3、SiO2濃度が20g/L、pH1.3の凝集剤
を製造した。この凝集剤を用いて凝集性能を測定した結
果を表1に示す。
流量0.53L/min(流速5.7m/秒)、及びS
iO2濃度が298g/Lのケイ酸ソーダ水溶液を流量
を1.3L/minでY字管に供給し、実施例1と同様
にして、SiO2濃度225g/L、粘度5.7cpの
原料シリカゾルを得た。
粘度19.5cpの熟成シリカゾルを得た。この熟成シ
リカゾルを用い、実施例1と同様にして、Si/Feの
モル比が3、SiO2濃度が20g/L、pH1.1の
凝集剤を製造した。この凝集剤を用いて凝集性能を測定
した結果を表1に示す。
ケイ酸ソーダ水溶液のSiO2濃度が135g/Lのも
のを用い、実施例1と同様にして、SiO2濃度50g
/L、粘度1.5cpの原料シリカゾルを得た。
し、粘度1.5cpの熟成シリカゾルを得た。この熟成
シリカゾルを用い、実施例1と同様にして、Si/Fe
のモル比が3、SiO2濃度が20g/L、pH1.3
の凝集剤を製造した。この凝集剤を用いて凝集性能を測
定した結果を表1に示す。
O2濃度50g/L、粘度1.5cpの原料シリカゾル
を室温で270分間熟成したが、1.5cpのままであ
った。
熟成したが粘度2cpにしかならなかった。
とし、熟成により粘度を6〜30cpとする製造方法を
用いることにより、高い凝集性能を有した水処理用の凝
集剤を高濃度に、即ち、バッチ当たりの収量を大きくす
ることができるため工業的に安価に得ることができる。
また、熟成のための特別な加温装置を必要としないた
め、この点からも製造コストを低減することが可能であ
る。
定の速度以上で衝突させる方法で製造することにより、
前記特定濃度の原料シリカゾルを安定的に連続して製造
することが極めて容易となり、また、高速攪拌機等も必
要ないため製造コストを更に低減することが可能であ
る。
製造方法として極めて有用である。
/秒以上で衝突させるために用いる、Y字型装置の模式
図である。
製造装置の全体構成を表す模式図。
Claims (4)
- 【請求項1】 SiO2濃度が100〜200g/L、
粘度が6cp未満のシリカゾルを熟成させて、SiO2
濃度が100〜200g/L、粘度が6〜30cpのシ
リカゾルとし、該シリカゾルと金属の水溶性塩とを混合
することを特徴とする水処理用凝集剤の製造方法。 - 【請求項2】 SiO2濃度が100〜200g/L、
粘度が6cp未満のシリカゾルを熟成させて、SiO2
濃度が100〜200g/L、粘度が6〜30cpのシ
リカゾルとし、該シリカゾルをSiO2濃度が50〜7
0g/Lとなるまで水で希釈した後、金属の水溶性塩と
混合することを特徴とする水処理用凝集剤の製造方法。 - 【請求項3】 SiO2濃度が100〜200g/L、
粘度が6cp未満のシリカゾルが、無機酸水溶液とケイ
酸塩水溶液とを互いに5m/秒以上で衝突させることに
よって得たシリカゾルである請求項1または2記載の製
造方法。 - 【請求項4】 (a)無機酸水溶液の貯蔵槽と、(b)
ケイ酸塩水溶液の貯蔵槽と、(c)金属塩水溶液の貯蔵
槽と、(d)該無機酸水溶液貯蔵槽及びケイ酸塩水溶液
貯蔵槽に各々貯蔵されている無機酸水溶液とケイ酸塩水
溶液とを互いに5m/秒以上の速度で衝突することによ
り反応させてシリカゾルとする衝突装置と、(e)該衝
突により得られたシリカゾルを攪拌しつつ熟成する攪拌
熟成装置と、(f)該攪拌熟成装置から排出されたシリ
カゾルと混合される、前記金属塩水溶液の貯蔵槽に貯蔵
されている金属塩水溶液を供給する供給装置、とを備え
ることを特徴とする水処理用凝集剤製造装置。
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