JPH11310412A - 鉄・活性シリカ複合液、その製造方法及びその装置 - Google Patents

鉄・活性シリカ複合液、その製造方法及びその装置

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JPH11310412A
JPH11310412A JP11535698A JP11535698A JPH11310412A JP H11310412 A JPH11310412 A JP H11310412A JP 11535698 A JP11535698 A JP 11535698A JP 11535698 A JP11535698 A JP 11535698A JP H11310412 A JPH11310412 A JP H11310412A
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acidic
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Katsuyuki Kataoka
克之 片岡
Takeshi Otsu
健史 大津
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Ebara Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造装置としても小規模化が可能であり、製
造操作も容易であり、さらに製造時間も短く、浄水処理
の凝集剤として高品質で信頼性の高い活性シリカ、その
製造方法及び、製造装置を提供する。 【解決手段】 水温30℃以上で、珪酸ソーダ水溶液と
第2鉄塩水溶液などの酸性水溶液とをシリカ濃度が3〜
5重量%になるように混合し、pH2.5〜5.5の条
件下でシリカ分を重合したのち、更に第2鉄塩などの酸
性液を添加してpH値を1.5〜2.5まで低下させ、
ゲル化速度を遅延化させて製造される。この製造装置
は、内部に珪酸ソーダ水溶液導入口と第2鉄塩の酸性水
溶液導入口とが開口し、容器内撹拌手段を併設してある
混合容器でなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、浄水処理などの凝
集処理に使用する凝集剤すなわち鉄・活性シリカ複合
液、その製造方法及びその製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】浄水処理の重要な工程の一つに、凝集処
理というのがある。凝集処理は、原水中に含まれている
不純物をフロック状に凝集する。凝集させた混合不純物
は、凝集沈殿工程、凝集分離工程、ろ過工程などを経て
固液分離する。凝集処理では凝集剤として、例えば硫酸
アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム(PAC)などを
利用する。いずれも無機凝集剤である。こうした無機凝
集剤は、単独で使用すると十分な大きさのフロックは形
成されにくく、凝集沈殿工程、砂ろ過工程で行う固液分
離速度が遅いという欠点がある。また、凝集分離工程か
らは汚泥が排出される。汚泥は、沈降させて濃縮し、さ
らに脱水するが、上記の無機凝集剤を使用した場合、そ
の際の沈降濃縮脱水性が悪いという欠点もあった。
【0003】原水の富栄養化が進むと、ミクロキスチス
などの藻類が多量に含まれてくる。原水が藻類を含んで
いる場合、極めて沈降性の悪いフロックしか形成されな
い。PACあるいは硫酸バンドでは生成したフロックが
浮上してしまうことがある。結局、藻類は効果的な除去
ができないという問題があった。しかも、アルミニウム
イオンを含む凝集剤を使用して浄化した飲料水には、凝
集剤のアルミニウムイオンが残留しており、これはアル
ツハイマ症を引き起こす原因になりかねない可能性が一
部で最近指摘されてきた。なお、浄水処理以外の廃水処
理分野では、各種の合成高分子凝集剤がフロック形成を
促進するため多用されている。浄水処理には合成有機高
分子凝集剤の安全性に心配があるため、使用が認可され
ていない。
【0004】浄水処理分野では安全性の高い凝集助剤と
して、日本では昭和30年代に、米国のBaylis氏
が見いだした活性シリカの使用が検討されたことがあっ
た。活性シリカとは、シリカモノマが重合して高分子に
なった状態のシリカを言う。顕著な凝集効果を示すので
活性シリカと呼ぶ。活性とはシリカの凝集活性を言う。
モノマシリカに凝集促進効果は無い。
【0005】Baylis氏が見いだした活性シリカの
製造方法は次の通りである。すなわち、水ガラスを水で
希釈してこれをシリカ濃度1.5%の水溶液にし、得ら
れた水溶液に硫酸を加えてpH8.5に調整し、室温に
おいて2時間撹拌してシリカモノマーを重合させ、高分
子状態になったシリカすなわち活性シリカを得るという
方法である。しかし当時、こうして製造される活性シリ
カは、我が国では凝集剤として実用化されなかった。製
造時あるいは保存時にゲル化トラブルを頻発し、安定し
て製造、保存することが非常に難しいことが判明したた
めである。ゲル化トラブルというのは、液全体がゼリー
状に固まってしまう現象を言う。
【0006】1953年、米国のA.P.Black氏
は、水ガラスと硫酸アルミニウムとを混合する活性シリ
カの製造法を提案した。この方法は、硫酸アルミニウム
1%と珪酸ソーダ1%水溶液を4対1の比率で混合する
という方法である。反応式を示す。 3〔Na2O・3SiO2〕+Al2(SO43・18H2
O →3Na2SO4+2Al(OH)3+9SiO2+1
5H2O A.P.Black氏の方法で製造された活性シリカは
凝集効果が悪い。硫酸アルミと珪酸ソーダを混合した時
点で水酸化アルミニウムフロックが生成する。その結
果、重合シリカを凝集剤として原水中に投入しても、汚
濁成分の凝集に効果的なAl3+イオンの原水への添加率
は少ない。しかも、重合シリカ製造時のモノマシリカの
濃度も非常に低く、重合速度が小さい。そのため、シリ
カ重合度は小さく、凝集効果は劣る。ゲル化時間が早い
ため、硫酸アルミニウムと水ガラスを混合すれば直ちに
原水に注入しなければならないという使いにくさもあ
る。結局、我が国ではこの方法も実用化されなかった。
【0007】ところが、最近こうした活性シリカについ
てこれを再評価しようとする動きが出てきた。例えば特
公平4−75796号公報は、「水処理方法及び水処理
用凝集剤」という表題で、重合シリカつまり活性シリカ
を利用した凝集処理法を開示している。シリカモノマー
の極限粘度の2倍以上の極限粘度を有する重合シリカ
と、水中で水酸化物を形成しうる金属の可溶性塩とを処
理対象水中に撹拌しながら注入する。重合シリカの注入
量は、珪素のモル比を該金属に対して2以上とする、と
いう。特公平4−75796号公報が開示している活性
シリカの製造方法の概要を図2に示す。水ガラス酸性化
槽を用い、希釈された強アルカリ性の水ガラス水溶液を
硫酸などの鉱酸水溶液に添加して混合し、水ガラス水溶
液のpHを2以下に調整する。pHを下げて調整した混
合物をその後モノマシリカ重合槽に移し、苛性ソーダを
添加してpHを4以上に上げ、極限粘度を測定しながら
その中のシリカモノマーを2〜6時間重合させる。
【0008】特許2732067号の明細書には、「第
2鉄イオンを安定剤として含有し、かつpH1.5以下
である珪酸溶液からなる水処理用凝集剤」が開示されて
いる。この明細書による凝集剤の製造方法は2つある。
水ガラスに鉱酸を添加して酸性の水ガラス水溶液を作
り、これに第2鉄を添加するという方法、酸性の水ガラ
ス水溶液を重合させ、次いで第2鉄塩を添加するという
方法、この2つである。最初の方法はシリカを重合させ
ないで第2鉄を添加している。後の方法はシリカを重合
させてから第2鉄塩を添加している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら前記特公
平4−75796号公報開示の製造方法は、水ガラス酸
性化槽とモノマシリカ重合槽とが必要であり、更にpH
調整用の目的のみに酸、アルカリ剤を不可欠とする。本
発明者が詳細に検討したところ、その他にも次のような
問題点のあることが判明し、さらに優れた技術を開発す
る必要のあることが認められた。 製造工程に非常に長時間を要する。pH4でシリカモ
ノマーを重合させ、所用極限粘度の重合シリカを調整す
るのに2時間から6時間を要する。また重合タンクの容
積も大きくなる。
【0010】重合時間の設定が非常に難しい。重合に
必要な時間は、シリカ濃度、水温、pHなどの微妙な変
動によってが大きく変化するからである。重合時間の設
定を誤ると重合中にシリカがゲル化トラブルを引き起こ
し、凝集剤としての使用が不能となる。とりわけシリカ
濃度を4%以上に高めると、こうしたゲル化トラブルが
極めて起きやすくなる傾向がある。重合時間が不足する
と凝集効果が悪いものしか得られない。
【0011】製造にあたり、極限粘度の測定が要求さ
れる。極限粘度の測定には熟練者でも一時間以上かか
る。実用現場で、一時間以上もかかる極限粘度を測定し
ながら重合時間を制御するという方法は、実際には不可
能である。 pH調整の目的のみに酸性剤とアルカリ性剤の両方が
必要で、その分で製造コストが高くなる。pH調整は2
段階が必要で、操作は煩雑である。
【0012】また特許2732067公報記載の方法に
ついては、本発明者の追試の結果、次のようなことが分
かった。シリカを重合させないで第2鉄を添加した液
は、シリカが重合していないため凝集効果が極めて劣
る。シリカを重合させてから第2鉄塩を添加する方法
は、前記特公平4−75796号公報記載の技術と基本
的には同一の技術であり、それと同じ欠点がある。な
お、特公平4−75796号公報及び特許第27320
67号公報記載の活性シリカの製造法はいずれも、珪酸
ソーダ液に鉄アルミニウムなどの多価金属塩を共存させ
ない状態でシリカモノマーを重合させている。予めシリ
カモノマと多価金属塩を共存させた状態でシリカモノマ
の重合を進行させるという思想は示されていない。
【0013】本発明は、以上のような従来の活性シリカ
およびその製造技術の欠点を考慮し、製造装置としても
小規模化が可能であり、製造操作も容易であり、さらに
製造時間も短く、浄水処理の凝集剤として高品質で信頼
性の高い活性シリカ、活性シリカを製造できる方法及
び、そのような活性シリカの製造装置を提供することを
目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、以下によ
り解決された。 (1)珪酸ソーダ水溶液と第2鉄塩の酸性水溶液とを混
合しpH2.5〜5.5の条件下でシリカ分を重合した
のち、更に第2鉄塩水溶液、H2 SO4 、HClなどの
酸性液を添加してpH値を低下させ、ゲル化速度を遅延
化させて得たことを特徴とする鉄・活性シリカ複合液。 (2)シリカ分重合後の酸性液の添加を、重合液のpH
値が1.5〜2.5の範囲になるまで行ったことを特徴
とする前記(1)の鉄・活性シリカ複合液。 (3)混合液のシリカ濃度が3〜5重量%になるように
珪酸ソーダ水溶液と第2鉄塩の酸性水溶液とを混合した
ことを特徴とする前記(1)又は(2)の鉄・活性シリ
カ複合液。 (4)シリカ分を重合させる混合操作を、水温30℃以
上で行ったことを特徴とする前記(1)〜(3)のいず
れかの鉄・活性シリカ複合液。
【0015】(5)珪酸ソーダ水溶液と第2鉄塩の酸性
水溶液とを混合しpH2.5〜5.5の条件下でシリカ
分を重合したのち、更に第2鉄塩水溶液、H2 SO4
HClなどの酸性液を添加してpH値を低下させ、ゲル
化速度を遅延化させて得ることを特徴とする鉄・活性シ
リカ複合液の製造方法。 (6)シリカ分重合後の酸性液の添加を、重合液のpH
値が1.5〜2.5の範囲になるまで行うことを特徴と
する前記(5)の鉄・活性シリカ複合液の製造方法。 (7)混合液のシリカ濃度が3〜5重量%になるように
珪酸ソーダ水溶液と第2鉄塩の酸性水溶液とを混合する
ことを特徴とする前記(5)又は(6)の鉄・活性シリ
カ複合液の製造方法。 (8)シリカ分を重合させる混合操作を、水温30℃以
上で行うことを特徴とす (9)内部に珪酸ソーダ水溶液導入口と第2鉄塩の酸性
水溶液導入口又は第2鉄塩水溶液及び酸性液の導入口と
が開口し、容器内撹拌手段を併設してある混合容器でな
ることを特徴とする鉄・活性シリカ複合液の製造装置。
【0016】上記の製造方法、製造装置には、特公平4
−75796号公報などに開示がある従来の例に比較し
次のような特徴がある。すなわち、従来の例では水ガラ
ス酸性化槽、モノマシリカの重合槽など複数の反応槽を
要するが、本方法、装置ではそれが実質的に一つで足り
る。重合シリカの極限粘度の測定が不要となり、その分
で製造工程も従来より著しく簡単になる。製造に所要の
時間も非常に短時間でよくなる。性質が相反する酸性剤
とアルカリ性剤の両方を使用しなければならないpH調
整工程が不要となる。製造中および保存中、ゲル化トラ
ブルが発生しない。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、実施の形態を説明するが、
本発明はこれに限定されない。鉄・活性シリカ複合液
は、例えば以下のような方法によって製造する。すなわ
ち、珪酸ソーダ水溶液と第2鉄塩の酸性水溶液とを混合
し、pHが2.5〜5.5の条件下でシリカ分を重合す
る。珪酸ソーダ水溶液と混合する第2鉄塩の酸性水溶液
とは、具体的にはpH1以下の強酸性の第2鉄塩水溶液
を挙げることができる。水溶する第2鉄塩としては、例
えば塩化第2鉄、硫酸第2鉄、ポリ硫酸第2鉄、硝酸第
2鉄などを挙げることができる。第2鉄塩の酸性水溶液
と混合する珪酸ソーダ水溶液とは、具体的にはpH11
〜12の強アルカリ性の珪酸ソーダ水溶液すなわち水ガ
ラス水溶液を挙げることができる。
【0018】混合によって行うシリカ分の重合反応は、
pH2.5〜5.5の条件下、第2鉄塩の酸性水溶液と
珪酸ソーダ水溶液とを混合して行う。混合は撹拌しなが
ら行うとよい。その際、混合液中のシリカ濃度は、例え
ば3〜5wt%の範囲内に納めるとよい。シリカ濃度をこ
の範囲に納めると通常、pHは2.5〜5.5となる。
しかもこのような範囲で混合を行うと鉄シリカモノマ複
合体の重合速度は適度に高まり、凝集効果の大きい鉄・
活性シリカ複合液を短時間にゲル化トラブルなく製造す
ることができる。混合液のpHが2.5未満ではシリカ
モノマの重合速度が小さく、鉄・活性シリカ複合液の製
造に長時間を必要とするようになり、好ましくない。p
Hが5.5を超えるとシリカの重合速度が急速になりす
ぎるため、製造中に速やかにゲル化してしまう危険が大
きくなって好ましくない。混合水温は20℃以上、好ま
しくは30℃以上とするとよい。水温が20℃未満で
は、モノマシリカの重合速度が低下したり、結晶性シリ
カが析出したりする場合があり、余り好ましくない。特
に寒冷期などは、加温して30℃以上に維持することが
好ましい。
【0019】シリカ分を重合させると、次いで酸性液を
添加してpH値を低下させ、ゲル化速度を遅延化させ
る。添加する酸性液としては例えば、シリカ分の重合に
あたって使用した第2鉄塩の酸性水溶液をそのまま使用
するとよい。第2鉄塩の酸性水溶液に代えて、あるいは
それと組み合わせ、例えば、硫酸、塩酸などの他の酸性
液を使用してもよい。pH値は、好ましくは1.5〜
2.5まで低下させる。これによって活性シリカのゲル
化を大幅に遅延させることができる。ただし、pHが
1.5より下に低下するとむしろゲル化が早くなるので
避けるべきである。
【0020】このような鉄・活性シリカ複合液の製造方
法は、例えば以下のような製造装置を使用して実施する
とよい。図1は、そのような製造装置の一例を示す概念
図である。有底の容器体1を設け、珪酸ソーダ水溶液導
入管2を設けてその導入口3を容器体1内に向けて開口
してある。また、第2鉄塩の酸性水溶液導入管4を設け
てその導入口5を容器体1内に向けて開口してある。容
器体1内にはモーターで回転駆動する容器内撹拌翼6を
設けてある。
【0021】このような装置を使う場合、例えば次のよ
うに行うとよい。予め容器体1内に第2鉄塩水溶液7を
仕込み水温20℃以上に保ち、、撹拌翼6を回転させな
がら珪酸ソーダ水溶液導入管2から水温20℃以上の珪
酸ソーダ水溶液をpH2.5〜5.5の範囲になるよう
に導入、添加し、容器体1内でシリカ成分の重合反応を
進行させる。重合反応が終結したなら、続けて第2鉄塩
の酸性水溶液導入管4から第2鉄塩の酸性水溶液をpH
1.5〜2.5の範囲になるように導入、添加し、ゲル
化速度の遅延化を図る。図1の例では、容器体内に珪酸
ソーダ水溶液導入管2と第2鉄塩の酸性水溶液導入管4
とを設けている。これと異なり、第2鉄塩の酸性水溶液
導入管2に代え、第2鉄塩水溶液導入管と酸性液の導入
管とを別々に設け、それぞれの導入口を容器体内に開口
させてもよい。混合中の水温は一定に維持することが重
要であり、水温が不安定であるとシリカの重合速度がバ
ラつく。
【0022】上記の方法又は装置で製造された鉄・活性
シリカ複合剤は、浄水処理の凝集剤として好ましく使用
できる。浄水処理の場合、鉄・活性シリカ複合剤の適正
な注入率は、鉄イオンで換算して2〜20mg/リット
ル、SiO2で換算して3〜20mg/リットル程度に
なる場合が多い。鉄・活性シリカ複合液中には第2鉄イ
オンが共存しているので、本発明の製造方法又は装置で
得られた鉄・活性シリカ複合液のみを原水に注入するだ
けで良好な凝集処理を行うことができる。硫酸アルミニ
ウム、PAC、塩化第2鉄、ポリ硫酸鉄などの無機凝集
剤を併用する必要はない。凝集処理を行う原水に、上記
の鉄・活性シリカ複合液を注入して凝集撹拌槽で撹拌す
ると30秒程度という極めて短時間にマイクロフロック
が形成される。その後緩速撹拌を行うと通常、約2分程
度で非常に大きなフロックが形成される。こうしてでき
たフロックは沈殿槽及びろ過槽で高速度で固液分離でき
る。
【0023】通常、第2鉄イオン(Fe3+)は、pH2
以上でほぼ完全に水酸化第2鉄に変化して沈殿する。そ
のため、第2鉄イオンを含む酸性水溶液は容易に固液分
離し、液側に第2鉄イオンは極微量しか存在できなくな
るのが普通である。これに反し、本発明の製造方法によ
ると、驚くべきことに、そうした水酸化第2鉄の沈殿は
ほとんど生成しない。液中には、鉄イオンが高濃度(数
千mg/リットル以上)の状態で安定して存在する。第
2鉄の酸性水溶液に水ガラスを添加混合し、pHを2.
5〜5.5に設定したからである。EDTAなどの格別
の金属キレート剤が存在しない状態で、しかもpH5と
いうかなり中性近傍において、第2鉄イオンが液中に高
濃度に存在するという現象は、本発明者にとっても当初
理解できない不可解な現象であった。しかしこれは実験
的事実として認められる。この理由は明確ではないが、
第2鉄イオンとシリカ分子が液中で独立して存在してい
るのではなく、第2鉄イオンがシリカ分子特に重合シリ
カ分子と化学結合し、安定化されたためではないかと思
われる。モノマシリカは単独で重合しているのではな
く、第2鉄イオンと化学結合し、鉄・シリカ複合体とし
て重合が進んでいるものと考えられる。第2鉄塩の酸性
水溶液と水ガラス水溶液とを、適温下、pH2.5〜
5.5の条件下、シリカ濃度も適正な範囲で維持して混
合すると、シリカモノマ分子の重合反応が鉄塩水溶液内
で鉄・シリカ複合体を形成する形で速やかに進行する。
その結果、酸性の鉄塩水溶液内に鉄・重合シリカ複合体
が安定して存在する状態になると考えられる。
【0024】これに対して特公平4−75796号公報
が開示している従来法では、水ガラスと硫酸を混合する
水ガラス酸性化槽と、苛性ソーダを添加してpHを4以
上にしてモノマーシリカを重合させるシリカ重合槽とを
必要とする。本発明方法によればこうしたいくつもの槽
を設けなくとも、強力なフロック形成促進作用を持った
鉄・活性シリカ複合液を容易にかつ短時間に製造でき
る。第2鉄塩の酸性水溶液と水ガラス水溶液とを、水温
が低すぎない条件下、しかもpH2.5〜5.5の条件
下、シリカ濃度を適正範囲に維持すると、シリカモノマ
分子が、鉄・シリカ複合体の形で速やかに重合する。こ
れは酸性の鉄塩水溶液内に鉄・重合シリカ複合体が安定
して存在する状態になるためと考えられる。第2鉄塩の
酸性溶液と水ガラス水溶液とを混合する工程が、従来技
術の水ガラス酸性化槽で行われる工程とシリカモノマー
の重合槽で行われる工程との両者を兼ねている。
【0025】
〔実施例1〕
《鉄・活性シリカ複合液の製造例》JIS3号水ガラス
原液(シリカ濃度30%)を水道水で希釈し、シリカ濃
度5%の水ガラス水溶液(pH11.41)を作成し
た。次いで、この水ガラス水溶液を、34g35g
36g37g38g39g40g41g
と、それぞれ量を違えて8試料に小分しけた。次いで、
小分けした各水ガラス水溶液それぞれについて、撹拌し
ながら、塩化第2鉄の酸性水溶液を10gづつ順次添加
混合した。塩化第2鉄の濃度は10wt%、水溶液のpH
値は0.98とした。混合槽の水温は40℃とした。得
られた混合液のpH値を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】このようにして得られた混合液を5分間撹
拌した後、次いで、濃度10%の塩化第2鉄の上記酸性
水溶液を追加し、鉄・活性シリカ複合液(pH1.8)
を得た。塩化第2鉄酸性水溶液の追加量は、小分けした
各水ガラス水溶液の使用量それぞれより10g少ない
量、例えば当初の水ガラス添加量が34gのときはそれ
より10gほど少ない24gとした。これによって、F
eを1.72wt%、SiO2を2.5wt%含む鉄・活性
シリカ複合液を得た。
【0028】〔実施例2〕 《凝集試験》カオリンを水道水に添加してSS100m
g/リットルの懸濁液を作成し、実施例1で作成した鉄
・活性シリカ複合剤(液)各試料をそれに添加してジャ
ーテストを行った。ジャーテストの条件は次の通りとし
た。撹拌回転数は急速撹拌150rpm90秒、緩速撹
拌50rpm120秒とした。凝集剤注入後のpHは6
一定とした。水温は24℃であった。鉄・シリカ複合剤
の注入率は、Fe換算で7mg/リットルで一定とした。ジ
ャーテスト時のフロック生成時間と、緩速撹拌120秒
後のフロック粒径及び撹拌終了1分静置後の上澄み液濁
度を測定した。この結果を表2に示す。なおフロック生
成時間とは、薬注後、肉眼で認識できるマイクロフロッ
クが生成するまでの時間をいう。フロック粒径は次の基
準によって表示した。E;0.2mm以下、D;0.2
〜0.5mm、C:0.5〜2mm、B;2〜5mm、
A;5mm以上、特A:ペレット化
【0029】
【表2】
【0030】試料は、塩化第2鉄のみを原水に添加し
たものである。塩化第2鉄のみを注入した場合のに比
較し、本発明製造方法に基づいて調製した鉄・重合シリ
カ複合剤〜は、フロックの生成速度、フロックの等
級性、上澄み液の濁度いずれにおいても明確にすぐれた
凝集促進効果が現れていることが分かった。試料、
、は、水ガラスと塩化第2鉄を始めに混合した混合
液pHが4〜5のものである。これらは、フロック生成
速度が特に速く、極めて大きなフロックが形成され、緩
速撹拌中にフロックが底に沈降し転がりながらペレット
状に変化していくのが確認された。なお、シリカ分の重
合の際のpHが2.5未満の場合、凝集促進効果がほと
んど無く、pHが5.5を超えるとゲル化が早すぎるこ
とも認められた。
【0031】
【発明の効果】本発明に関わる鉄・活性シリカ複合液の
製造方法及び製造装置は、上記の構成でなるから、製造
装置としても小規模化が可能であり、製造操作も容易で
あり、さらに製造時間も短く、浄水処理の凝集剤として
高品質で信頼性の高い活性シリカを製造できる方法及
び、そのような活性シリカの製造装置を提供することが
できる。
【0032】従来の図2に示すような活性シリカ製造法
では不可欠であった「水ガラス酸性化槽、シリカ重合
槽」が不要になり、また重合シリカの極限粘度の測定も
不要になる。そのため、活性シリカ製造工程が著しく単
純化でき、熟練技術者がいなくても例えば浄水場におい
てオンサイトで容易に自動化された装置によっても無人
製造できる。また活性シリカ製造所要時間が数分と非常
に短時間である。活性シリカ製造中のゲル化トラブルを
防止できる。塩化第2鉄原液、水ガラス原液を、浄水場
内などに設けた活性シリカ使用場所に輸送し、そこから
オンサイトで製造使用することもできる。活性シリカを
遠隔地で製造して輸送してくる必要も無くなり、輸送コ
スト上の欠点も無くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に関わる鉄・活性シリカ複合液の製造装
置の一例を示す概念図である。
【図2】従来の活性シリカの製造方法を示す概念図であ
る。
【符号の説明】
1 有底の容器体 2 珪酸ソーダ水溶液導入管 3 珪酸ソーダ水溶液導入口 4 第2鉄塩の酸性水溶液導入管 5 第2鉄塩の酸性水溶液導入口 6 撹拌翼 7 第2鉄塩水溶液

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 珪酸ソーダ水溶液と第2鉄塩の酸性水溶
    液とを混合しpH2.5〜5.5の条件下でシリカ分を
    重合したのち、更に第2鉄塩水溶液などの酸性液を添加
    してpH値を低下させ、ゲル化速度を遅延化させて得た
    ことを特徴とする鉄・活性シリカ複合液。
  2. 【請求項2】 シリカ分重合後の酸性液の添加を、重合
    液のpH値が1.5〜2.5の範囲になるまで行ったこ
    とを特徴とする請求項1に記載の鉄・活性シリカ複合
    液。
  3. 【請求項3】 混合液のシリカ濃度が3〜5重量%にな
    るように珪酸ソーダ水溶液と第2鉄塩の酸性水溶液とを
    混合したことを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄・
    活性シリカ複合液。
  4. 【請求項4】 シリカ分を重合させる混合操作を、水温
    30℃以上で行ったことを特徴とする請求項1〜3のい
    ずれかに記載の鉄・活性シリカ複合液。
  5. 【請求項5】 珪酸ソーダ水溶液と第2鉄塩の酸性水溶
    液とを混合しpH2.5〜5.5の条件下でシリカ分を
    重合したのち、更に第2鉄塩水溶液などの酸性液を添加
    してpH値を低下させ、ゲル化速度を遅延化させて得る
    ことを特徴とする鉄・活性シリカ複合液の製造方法。
  6. 【請求項6】 シリカ分重合後の酸性液の添加を、重合
    液のpH値が1.5〜2.5の範囲になるまで行うこと
    を特徴とする請求項5に記載の鉄・活性シリカ複合液の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 混合液のシリカ濃度が3〜5重量%にな
    るように珪酸ソーダ水溶液と第2鉄塩の酸性水溶液とを
    混合することを特徴とする請求項5又は6に記載の鉄・
    活性シリカ複合液の製造方法。
  8. 【請求項8】 シリカ分を重合させる混合操作を、水温
    30℃以上で行うことを特徴とする請求項5〜7のいず
    れかに記載の鉄・活性シリカ複合液の製造方法。
  9. 【請求項9】 内部に珪酸ソーダ水溶液導入口と第2鉄
    塩の酸性水溶液導入口又は第2鉄塩水溶液及び酸性液の
    導入口とが開口し、容器内撹拌手段を併設してある混合
    容器でなることを特徴とする鉄・活性シリカ複合液の製
    造装置。
JP11535698A 1998-04-24 1998-04-24 鉄・活性シリカ複合液、その製造方法及びその装置 Withdrawn JPH11310412A (ja)

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