JP2003027154A - 高純度白金及びパラジウムの回収方法 - Google Patents

高純度白金及びパラジウムの回収方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スパッタリング用白金及び白金含有ターゲッ
トの製造工程等に発生する端材、切削屑、平研屑等のス
クラップに混入するコバルト、クロム、銅、鉄、ニッケ
ル、シリコン等を効率良く除去し、白金及び白金含有タ
ーゲットに再使用できる高純度白金、パラジウムを低コ
ストで回収する方法を提供する。 【解決手段】 白金含有スクラップを酸で溶解し残渣を
除去した後、白金を溶解した酸と塩化アンモニア溶液を
反応させて塩化白金酸アンモニウムとして沈殿回収し、
さらにこれを焙焼して白金スポンジを得ることを特徴と
する高純度白金の回収方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、白金含有スクラッ
プから効率良く、純度の高い高純度白金及びパラジウム
を回収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体集積回路の大きな進展に伴
い、回路設計や各種の電気・電子素子形成のために様々
な薄膜が形成されているが、その中で記録媒体用磁性薄
膜(例えばCo-Cr-Pt-Ta-B-Cu-(Pd)等)又は半導体材料
用として、白金やパラジウム又はこれらを含有する合金
スパッタリングターゲットを使用して特定の薄膜を形成
することも行われている。これらの薄膜は、白金やパラ
ジウム又はこれらを含有する合金製のターゲットをアル
ゴンガス等の不活性雰囲気下でスパッタリングすること
により形成される。
【0003】このターゲットが製作される段階で切削屑
等の多量の端材が生じる。これらは全てスクラップとな
る。ターゲットへの製作工程では、溶解鋳造後にインゴ
ットの鍛造・圧延等の塑性加工又は切削等の機械加工さ
らにはバッキングプレーへの接合工程により、ターゲッ
トに接触する部分の汚染が起きる。特に機械加工の切削
工具や周辺の加工具を構成する材料からの重金属等の汚
染が著しい。白金やパラジウムは高価な材料なので、こ
れを回収して再使用する必要があるが、上記のような汚
染が入った材料はそのままでは使用できないという問題
がある。
【0004】一般に、このような不純物は、記録媒体や
ハードディスクや半導体デバイス素子の性能を低下させ
る原因となるとともに、スパッタリング中にスプラッシ
ュ、異常放電、パーティクル等を発生させ、薄膜の性質
を低下させる虞がある。以上から、白金やパラジウムを
効率良く回収する要求があるが、必ずしもこの要求に満
足できる方法が得られていないのが現状である。
【0005】
【発明が解決しょうとする課題】以上から、本発明はス
パッタリング用白金及び白金含有ターゲットの製造工程
等に発生する端材、切削屑、平研屑等のスクラップに混
入するコバルト、クロム、銅、鉄、ニッケル、シリコン
等を効率良く除去し、白金及び白金含有ターゲットに再
使用できる高純度白金、パラジウムを低コストで回収す
る方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、 1.白金含有スクラップを酸で溶解し残渣を除去した
後、白金を溶解した酸と塩化アンモニア溶液を反応させ
て塩化白金酸アンモニウムとして沈殿回収し、さらにこ
れを焙焼して白金スポンジを得ることを特徴とする高純
度白金の回収方法 2.白金含有スクラップを王水で溶解することを特徴と
する上記1記載の高純度白金の回収方法 3.白金を溶解した王水を塩化アンモニア溶液に添加す
ることを特徴とする上記2記載の高純度白金の回収方法 4.白金含有スクラップを酸で溶解し、タンタル酸化
物、ボロン酸化物等の不純物を残渣として除去すること
を特徴とする上記1〜3のそれぞれに記載の高純度白金
の回収方法 5.白金含有スクラップを酸で溶解し残渣を除去した
後、溶液に苛性アルカリを添加しpHを3〜6に調整し
て、コバルト、銅等を水酸化物として沈殿させ除去する
ことを特徴とする上記1〜4のそれぞれに記載の高純度
白金の回収方法 6.コバルト、銅等を水酸化物として沈殿させ除去した
後、溶媒抽出によりパラジウムを抽出することを特徴と
する上記5記載の高純度白金の回収方法 7.パラジウム抽出後、該抽出されたパラジウムをアン
モニアで逆抽出し、パラジウム含有液を還元剤で還元し
てパラジウムスポンジを得ることを特徴とする上記6記
載の高純度白金の回収方法に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明は、白金(及びパラジウム
を付加的に)を含有し、さらに不純物元素としてコバル
ト、クロム、銅、鉄、ニッケル、シリコン等を含有する
スクラップを、まず酸で溶解する。溶解用の酸は特に王
水が望ましい。他の酸で溶解することも可能であるが、
例えば塩酸で溶解した場合には溶解が不完全であり、ま
た水素が発生し水素爆発の可能性がある。王水を用いる
と溶解が十分達成され、また溶解時に窒素酸化物と水素
が同時に発生するので、水素が希釈され爆発の危険性が
ないという利点がある。王水を使用した場合、初期にお
いては白金がなかなか溶解しないが、次第に白金が良く
溶けるようになる。
【0008】白金含有スクラップの酸による溶解後、残
渣であるタンタル酸化物(Ta )、ボロン酸化物
(B)等の不純物を除去する。この残渣を除去し
た後、白金を含有する溶液に水酸化ナトリウム(NaO
H等の)苛性アルカリを添加しpHを3〜6に調整して
中和し、コバルト、銅等を水酸化物として沈殿させ、こ
れを濾過除去する。溶液にパラジウムが含有している場
合には、コバルト、銅等の水酸化物を沈殿除去した後、
溶媒抽出によりパラジウムを抽出する。パラジウム抽出
後、該抽出されたパラジウムをアンモニアで逆抽出し、
パラジウム含有液を還元剤、例えばヒドラジン等で還元
して高純度パラジウムスポンジを回収することができ
る。
【0009】次に、白金を溶解した酸と塩化アンモニア
溶液を反応させて塩化白金酸アンモニウム((NH
PtCl)結晶を沈殿させる。この場合、白金を溶
解した王水を塩化アンモニア溶液に添加することが望ま
しい。通常、白金を溶解した王水に塩化アンモニア溶液
を添加しようとするのが常識であるが、このような手法
をとると塩化白金酸アンモニウムが再溶解し、析出し難
くなり、液に白金が残存し、白金の収率が落ちる現象が
見られる。したがって、白金の収率を上げるために、白
金を溶解した王水を塩化アンモニア溶液に添加すること
は重要な意味をもつ。次に、このようにして得た塩化白
金酸アンモニウム((NHPtCl)結晶を6
00〜1000°Cで焙焼して高純度白金スポンジを得
る。以上の工程により、非常に簡単な方法で高純度の白
金が効率良く回収できる。
【0010】
【実施例】次に、実施例に基づいて説明する。なお、こ
れらは本発明の理解を容易にするためのものであり、本
発明はこれらに制限されるものではない。
【0011】(実施例1)本実施例においては、スパッ
タリング用白金ターゲットの製造工程に発生した端材、
切削屑、平研屑等の白金(Pt)含有スクラップ100
gを使用した。このスクラップの不純物の分析値を表1
に示す。このスクラップに王水を添加し80°Cに加熱
した。残渣を除去後、450mlの白金含有溶液にNa
OH溶液を添加しpH4.5に調整した。これによっ
て、Co、Cu等の不純物が水酸化物となって沈殿し
た。この中には未溶解物も残存していた。次に、これを
濾過し、塩化アンモニウム溶液(40g/L)の液61
0mlに、前記水酸化物を除去した溶液を添加し、塩化
白金酸アンモニウム((NH PtCl)結晶を
得た。さらに、前記塩化白金酸アンモニウムを800°
Cで焙焼することにより白金スポンジ14gを得た。
【0012】このときの不純物の分析結果を同様に表1
に示す。原材料がタンタルターゲットの製造工程に発生
する端材、切削屑、平研屑からくる多くのコバルト、ク
ロム、銅、鉄、ニッケル、シリコン等が含有されていた
にもかかわらず、これらの殆どが除去され、表1に示す
ように、高純度白金が得られた。これによって、目的と
する薄膜の電気的特性及び化学的特性を改善するだけで
なく、スパッタリング中のスプラッシュ、異常放電、パ
ーティクル等の発生が減少するという著しい特長を有し
た。なお、上記においては、スパッタリング用白金及び
白金含有ターゲットのスクラップを用いた説明をした
が、同様な不純物を有する他のスクラップにおいても同
様に適用できるものである。
【0013】
【表1】
【0014】(実施例2)実施例1と同様に、記録媒体
用スパッタリング用白金含有ターゲットの製造工程に発
生した端材、切削屑、平研屑等の純度2N〜4Nのスク
ラップ100gを使用した。このスクラップの不純物の
分析値を表2に示す。このスクラップに王水を添加し8
0°Cに加熱した。残渣を除去後、450mlの白金含
有溶液にNaOH溶液を添加しpH4.5に調整した。
これによって、Co、Cu等の不純物が水酸化物となっ
て沈殿した。この中には未溶解物も残存していた。次
に、これを濾過した後、濾液を溶媒抽出剤(大八化学
製:SF1−6)でPdを抽出した。さらにこれをアン
モニアで逆抽出し、ヒドラジンで還元して0.9gのパ
ラジウムスポンジを得た。パラジウム溶媒抽出後の残液
を使用し、塩化アンモニウム溶液(40g/L)の液6
10mlに添加し、塩化白金酸アンモニウム((N
PtCl)結晶を得た。さらに、前記塩化白
金酸アンモニウムを800°Cで焙焼することに白金ス
ポンジ14gを得た。このときの白金スポンジに含有す
る不純物は実施例とほぼ同様であった。
【0015】
【表2】
【0016】
【発明の効果】スパッタリング用白金及び白金含有ター
ゲットの製造工程に発生する端材、切削屑、平研屑等の
スクラップに混入するコバルト、クロム、銅、鉄、ニッ
ケル、シリコン等を比較的簡単な工程で除去し、白金、
パラジウム及びこれらを含有するターゲットに再使用で
きる高純度白金、パラジウムを低コストで回収すること
ができるという優れた効果を有する。また、これによっ
て得られた高純度白金及び白金含有ターゲットは、薄膜
の電気特性又は化学的特性を改善するだけでなく、不純
物元素に起因するスパッタリング中のスプラッシュ、異
常放電、パーティクル等の発生が減少するという著しい
特長を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22B 3/00 J

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 白金含有スクラップを酸で溶解し残渣を
    除去した後、白金を溶解した酸と塩化アンモニア溶液を
    反応させて塩化白金酸アンモニウムとして沈殿回収し、
    さらにこれを焙焼して白金スポンジを得ることを特徴と
    する高純度白金の回収方法。
  2. 【請求項2】 白金含有スクラップを王水で溶解するこ
    とを特徴とする請求項1記載の高純度白金の回収方法。
  3. 【請求項3】 白金を溶解した王水を塩化アンモニア溶
    液に添加することを特徴とする請求項2記載の高純度白
    金の回収方法。
  4. 【請求項4】 白金含有スクラップを酸で溶解し、タン
    タル酸化物、ボロン酸化物等の不純物を残渣として除去
    することを特徴とする請求項1〜3のそれぞれに記載の
    高純度白金の回収方法。
  5. 【請求項5】 白金含有スクラップを酸で溶解し残渣を
    除去した後、溶液に苛性アルカリを添加しpHを3〜6
    に調整して、コバルト、銅等を水酸化物として沈殿させ
    除去することを特徴とする請求項1〜4のそれぞれに記
    載の高純度白金の回収方法。
  6. 【請求項6】 コバルト、銅等を水酸化物として沈殿さ
    せ除去した後、溶媒抽出によりパラジウムを抽出するこ
    とを特徴とする請求項5記載の高純度白金の回収方法。
  7. 【請求項7】 パラジウム抽出後、該抽出されたパラジ
    ウムをアンモニアで逆抽出し、パラジウム含有液を還元
    剤で還元してパラジウムスポンジを得ることを特徴とす
    る請求項6記載の高純度白金の回収方法。
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