JP2004141824A - 白金等の有価金属回収方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】スパッタリング用白金及び白金含有ターゲット等の製造工程等に発生する砥粒、端材、切削屑、平研屑等のスクラップに混入する非磁性粉等を効率良く除去し、白金、パラジウム等を含有するターゲットに再使用できる白金、パラジウム等の有価金属を低コストで回収する方法を提供する。
【解決手段】非磁性粉を含む白金等の有価金属含有磁性スクラップを水溶液中で攪拌しながら該白金等の有価金属含有磁性スクラップのみを磁石に吸着させ、非磁性粉とを分別することを特徴とする白金等の有価金属回収方法。
【解決手段】非磁性粉を含む白金等の有価金属含有磁性スクラップを水溶液中で攪拌しながら該白金等の有価金属含有磁性スクラップのみを磁石に吸着させ、非磁性粉とを分別することを特徴とする白金等の有価金属回収方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非磁性粉を含む白金等の有価金属含有磁性スクラップから白金等の有価金属含有スクラップを簡便にかつ効率良く回収する白金等の有価金属回収方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体集積回路の大きな進展に伴い、回路設計や各種の電気・電子素子形成のために様々な薄膜が形成されているが、その中で記録媒体用磁性薄膜(例えばCo−Cr−Pt−Ta−B−Cu−(Pd)等)又は半導体材料用として、白金やパラジウム等の有価金属又はこれらを含有する合金スパッタリングターゲットを使用して特定の薄膜を形成することも行われている。
これらの薄膜は、白金やパラジウム等の有価金属又はこれらを含有する合金製のターゲットをアルゴンガス等の不活性雰囲気下でスパッタリングすることにより形成される。
【0003】
このターゲットが製作される段階で切削屑等の多量の端材が生じる。これらは全てスクラップとなる。
ターゲットへの製作工程では、溶解鋳造後にインゴットの鍛造・圧延等の塑性加工又は切削等の機械加工さらにはバッキングプレーへの接合工程により、ターゲットに接触する部分の汚染が起きる。特に機械加工の切削工具や周辺の加工具を構成する材料からの重金属等の汚染が著しい。
【0004】
白金やパラジウムは高価な材料なので、これを回収して再使用する必要があるが、上記のような汚染が入った材料はそのままでは使用できないという問題がある。
特に、ターゲットの製作工程で砥石による切削の際に、多量の砥粒が入るが、この中に白金等の有価金属が含有された磁性粉が含まれる。
白金やパラジウム等の有価金属を効率良く回収する要求があるが、必ずしもこの要求に満足できる方法が得られていないのが現状である。
【0005】
従来、Pt含有スクラップに磁選を用いた例は見当たらないが、湿式磁選の例がある(例えば、特許文献1参照)。これは、磁力により不純物を取り除く例であり、本発明とは逆の方法である。また、水とスラグの重量比で0.2〜2.0で磁選を行うスラグの改質方法の記載がある(例えば、特許文献2参照)。さらに、パルプ濃度が10%程度のスラリー状とし1〜22kOeの磁場強度で実施することの記載がある(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、このような技術では白金の収率を向上させることが難しくまた溶解の際の汚染を防止することができなかった。
【0006】
【特許文献1】
特開平4−224107号公報
【特許文献2】
特許第2846623号公報
【特許文献3】
特開2000−129371号公報
【0007】
【発明が解決しょうとする課題】
以上から、本発明はスパッタリング用白金及び白金含有ターゲット等の製造工程等に発生する砥粒、端材、切削屑、平研屑等のスクラップに混入する非磁性粉等を効率良く除去し、白金、パラジウム等を含有するターゲットに再使用できる白金、パラジウム等の有価金属を低コストで回収する方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
1.非磁性粉を含む白金等の有価金属含有磁性スクラップを水溶液中で攪拌しながら該白金等の有価金属含有磁性スクラップのみを磁石に吸着させ、非磁性粉とを分別することを特徴とする白金等の有価金属回収方法
2.常磁性磁石を用いて吸着することを特徴とする上記1記載の白金等の有価金属回収方法
3.100〜100,000ガウスの磁石を用いることを特徴とする上記1又は2に記載の白金等の有価金属回収方法
4.液中のスクラップ量が0.01〜1Kg/Lであることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の白金等の有価金属回収方法
5.空気バブリングにより攪拌することを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の白金等の有価金属回収方法
6.圧力0.01〜10MPaでバブリングすることを特徴とする上記5記載の白金等の有価金属回収方法
7.磁石の周囲に非磁性体の覆いを設け、この覆いを介して間接的に磁石に吸着することを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載の白金等の有価金属回収方法
8.白金等の有価金属含有磁性スクラップを、覆いを介して間接的に磁石に吸着した後、磁石から覆いを除去し、同時に磁石からの吸着を解除して白金等の有価金属含有磁性スクラップのみ回収することを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載の白金等の有価金属回収方法
に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の白金、パラジウム等の有価金属回収方法は、SiC等の砥石(非磁性粉)を多量に含有するスクラップを水溶液中で攪拌しながら、該白金等の有価金属含有磁性スクラップのみを磁石に吸着させて、磁性粉と非磁性粉とを分別し、回収するものである。
砥石(非磁性粉)を多量に含有するスクラップから化学的(湿式)に精製することは無駄が多く、著しくコストが高くなるという欠点がある。白金、パラジウム等は高価な材料であるが、これらを効率良く、かつ簡便な方法で回収することは非常に重要なことである。
磁性スクラップには、コバルト、クロム、銅、鉄、ニッケル、シリコン等を含有するがこれは、後述する方法で白金及びパラジウムを効率良く回収することができる。本発明は、このような白金及びパラジウム等の有価金属を含有する材料の事前の分別方法である。
【0010】
磁石には、常磁性磁石(永久磁石)を使用することが望ましい。電磁石を使用すると装置が大型化し、コスト高になる欠点があるからである。しかし、これらの欠点に妥協できるものであれば使用を妨げるものではない。
上記磁石は、100〜100,000ガウスの磁石を用いることが望ましい。磁力が弱すぎる場合は、磁石による吸着力が劣り、回収効率が悪くなるからであり、また磁力が強すぎる場合にはわずかに磁性を帯びるもの(このような場合は不純物が多い)を吸着してしまうので、上記の範囲とすることが望ましい。
操作上及び分別効率から、液中のスクラップ量は0.01〜1kg/Lであることが望ましい。
【0011】
非磁性粉を含む白金等の有価金属含有磁性スクラップの回収に際して、水溶液中で空気バブリングにより攪拌する。攪拌に際しては圧力0.01〜10MPaでバブリングすることが望ましい。この攪拌は効率的な分別に重要である。
一般に、白金等の有価金属含有磁性スクラップに対して非磁性粉である砥粒の一部は突き刺さるようにして付着している。このような場合、磁石に吸着される量は砥粒を巻き込み、磁石に付着する不要な不純物の量は増大する。
しかし、前記のように液中で強い空気バブリングを行うと、スクラップ及び砥粒相互の衝突を生じさせ、スクラップに付着又は突き刺さった砥粒を分離する役割を持ち、砥粒の巻き込みを防止し、分別効果を上げることができる。
【0012】
磁石には、その周囲に非磁性体の覆いを設け、この覆いを介して間接的に磁石に白金等の有価金属含有磁性スクラップを吸着させる構造とする。例えば、棒状の磁石であれば塩化ビニル製の非磁性有底円筒体をすぽっと嵌めるようにすることができる。
白金等の有価金属含有磁性スクラップは、覆いを介して間接的に磁石に吸着させる。吸着させた後、磁石から覆いを取り除く。同時に磁石からの吸着が解除されるので、白金等の有価金属含有磁性スクラップを容易に回収することができる。
【0013】
白金(及びパラジウムを付加的に)を含有し、さらに不純物元素としてコバルト、クロム、銅、鉄、ニッケル、シリコン等を含有する白金等の有価金属含有磁性スクラップの工程の例を説明すると、まずこのスクラップを王水等の酸で溶解する。
白金含有スクラップの酸による溶解後、残渣であるタンタル酸化物(Ta2O5)、ボロン酸化物(B2O3)等の不純物を除去する。
この残渣を除去した後、白金を含有する溶液に水酸化ナトリウム(NaOH等の)苛性アルカリを添加しpHを3〜6に調整して中和し、コバルト、銅等を水酸化物として沈殿させ、これを濾過除去する。
溶液にパラジウムが含有している場合には、コバルト、銅等の水酸化物を沈殿除去した後、溶媒抽出によりパラジウムを抽出する。パラジウム抽出後、該抽出されたパラジウムをアンモニアで逆抽出し、パラジウム含有液を還元剤、例えばヒドラジン等で還元して高純度パラジウムスポンジを回収することができる。
【0014】
次に、白金を溶解した酸と塩化アンモニア溶液を反応させて塩化白金酸アンモニウム((NH4)2PtCl6)結晶を沈殿させる。この場合、白金を溶解した王水を塩化アンモニア溶液に添加することが望ましい。通常、白金を溶解した王水に塩化アンモニア溶液を添加しようとするのが常識であるが、このような手法をとると塩化白金酸アンモニウムが再溶解し、析
出し難くなり、液に白金が残存し、白金の収率が落ちる現象が見られる。
したがって、白金の収率を上げるために、白金を溶解した王水を塩化アンモニア溶液に添加することは重要な意味をもつ。
次に、このようにして得た塩化白金酸アンモニウム((NH4)2PtCl6)結晶を600〜1000°Cで焙焼して高純度白金スポンジを得る。
以上の工程により、非常に簡単な方法で高純度の白金が効率良く回収できる。
【0015】
【実施例及び比較例】
次に、実施例に基づいて説明する。なお、これらは本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明はこれらに制限されるものではない。すなわち、本発明の技術思想に基づく変形、又は他の実施例は本発明に含まれる。
【0016】
(実施例1)
まず、水60Lを入れた大型の上面開放ポリ容器にSiC等の非磁性粉を含む白金含有スクラップ(白金量0.6wt%)10kgを入れ、0.2MPaの圧縮空気により空気バブリングを行った。
また、前記ポリ容器のほぼ中心に塩化ビニル製の有底円筒体を被せた20,000ガウスの永久磁石を設けた。塩化ビニルの外側面は4000ガウスであった。
10分後に、この塩化ビニル製の有底円筒体を被せた磁石をポリ容器から取り出し、さらに磁石を抜いて付着した磁性粉を回収した。この時の白金濃度は7.3wt%であり、約600gを回収できた。
これを王水で溶解し、上記工程にしたがって脱硝酸後、塩化アンモニウムを添加して塩化白金酸アンモニウム((NH4)2PtCl6)結晶を得た。さらに、前記塩化白金酸アンモニウムを800°Cで焙焼することにより白金スポンジ4.3gを得た。回収効率を上げる場合には、これを数回繰返せば良い。
【0017】
(比較例1)
SiC等の非磁性粉を含む白金含有スクラップ(白金量0.6wt%)10kgを、そのまま20,000ガウスの永久磁石を用いて吸着を行った。この結果、付着物中の白金濃度は0.9wt%に上昇したのみであった。
【0018】
(比較例2)
実施例1と同様ではあるが、圧縮空気による空気バブリングを実施しなかった場合、付着物中の白金濃度は1.2wt%に上昇したのみであった。したがって、空気バブリングは白金の回収率を高める上で、重要であることが分かった。
【0019】
【発明の効果】
スパッタリング用白金及び白金含有ターゲット等の製造工程等において発生する砥粒、端材、切削屑、平研屑等のスクラップに混入する非磁性粉等を、構造簡単な永久磁石を用いて効率良く除去し、白金、パラジウム等を含有するターゲットに再使用できる白金、パラジウム等の有価金属を低コストで効率良く回収できるという優れた特徴を有する。
また、空気攪拌によりスクラップ及び砥粒相互の衝突を生じさせ、スクラップに付着又は突き刺さった砥粒を分離する役割を持たせて、砥粒の巻き込みを防止し、分別効果を上げることができる著しい効果を有する。
【発明の属する技術分野】
本発明は、非磁性粉を含む白金等の有価金属含有磁性スクラップから白金等の有価金属含有スクラップを簡便にかつ効率良く回収する白金等の有価金属回収方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体集積回路の大きな進展に伴い、回路設計や各種の電気・電子素子形成のために様々な薄膜が形成されているが、その中で記録媒体用磁性薄膜(例えばCo−Cr−Pt−Ta−B−Cu−(Pd)等)又は半導体材料用として、白金やパラジウム等の有価金属又はこれらを含有する合金スパッタリングターゲットを使用して特定の薄膜を形成することも行われている。
これらの薄膜は、白金やパラジウム等の有価金属又はこれらを含有する合金製のターゲットをアルゴンガス等の不活性雰囲気下でスパッタリングすることにより形成される。
【0003】
このターゲットが製作される段階で切削屑等の多量の端材が生じる。これらは全てスクラップとなる。
ターゲットへの製作工程では、溶解鋳造後にインゴットの鍛造・圧延等の塑性加工又は切削等の機械加工さらにはバッキングプレーへの接合工程により、ターゲットに接触する部分の汚染が起きる。特に機械加工の切削工具や周辺の加工具を構成する材料からの重金属等の汚染が著しい。
【0004】
白金やパラジウムは高価な材料なので、これを回収して再使用する必要があるが、上記のような汚染が入った材料はそのままでは使用できないという問題がある。
特に、ターゲットの製作工程で砥石による切削の際に、多量の砥粒が入るが、この中に白金等の有価金属が含有された磁性粉が含まれる。
白金やパラジウム等の有価金属を効率良く回収する要求があるが、必ずしもこの要求に満足できる方法が得られていないのが現状である。
【0005】
従来、Pt含有スクラップに磁選を用いた例は見当たらないが、湿式磁選の例がある(例えば、特許文献1参照)。これは、磁力により不純物を取り除く例であり、本発明とは逆の方法である。また、水とスラグの重量比で0.2〜2.0で磁選を行うスラグの改質方法の記載がある(例えば、特許文献2参照)。さらに、パルプ濃度が10%程度のスラリー状とし1〜22kOeの磁場強度で実施することの記載がある(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、このような技術では白金の収率を向上させることが難しくまた溶解の際の汚染を防止することができなかった。
【0006】
【特許文献1】
特開平4−224107号公報
【特許文献2】
特許第2846623号公報
【特許文献3】
特開2000−129371号公報
【0007】
【発明が解決しょうとする課題】
以上から、本発明はスパッタリング用白金及び白金含有ターゲット等の製造工程等に発生する砥粒、端材、切削屑、平研屑等のスクラップに混入する非磁性粉等を効率良く除去し、白金、パラジウム等を含有するターゲットに再使用できる白金、パラジウム等の有価金属を低コストで回収する方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
1.非磁性粉を含む白金等の有価金属含有磁性スクラップを水溶液中で攪拌しながら該白金等の有価金属含有磁性スクラップのみを磁石に吸着させ、非磁性粉とを分別することを特徴とする白金等の有価金属回収方法
2.常磁性磁石を用いて吸着することを特徴とする上記1記載の白金等の有価金属回収方法
3.100〜100,000ガウスの磁石を用いることを特徴とする上記1又は2に記載の白金等の有価金属回収方法
4.液中のスクラップ量が0.01〜1Kg/Lであることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の白金等の有価金属回収方法
5.空気バブリングにより攪拌することを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の白金等の有価金属回収方法
6.圧力0.01〜10MPaでバブリングすることを特徴とする上記5記載の白金等の有価金属回収方法
7.磁石の周囲に非磁性体の覆いを設け、この覆いを介して間接的に磁石に吸着することを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載の白金等の有価金属回収方法
8.白金等の有価金属含有磁性スクラップを、覆いを介して間接的に磁石に吸着した後、磁石から覆いを除去し、同時に磁石からの吸着を解除して白金等の有価金属含有磁性スクラップのみ回収することを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載の白金等の有価金属回収方法
に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の白金、パラジウム等の有価金属回収方法は、SiC等の砥石(非磁性粉)を多量に含有するスクラップを水溶液中で攪拌しながら、該白金等の有価金属含有磁性スクラップのみを磁石に吸着させて、磁性粉と非磁性粉とを分別し、回収するものである。
砥石(非磁性粉)を多量に含有するスクラップから化学的(湿式)に精製することは無駄が多く、著しくコストが高くなるという欠点がある。白金、パラジウム等は高価な材料であるが、これらを効率良く、かつ簡便な方法で回収することは非常に重要なことである。
磁性スクラップには、コバルト、クロム、銅、鉄、ニッケル、シリコン等を含有するがこれは、後述する方法で白金及びパラジウムを効率良く回収することができる。本発明は、このような白金及びパラジウム等の有価金属を含有する材料の事前の分別方法である。
【0010】
磁石には、常磁性磁石(永久磁石)を使用することが望ましい。電磁石を使用すると装置が大型化し、コスト高になる欠点があるからである。しかし、これらの欠点に妥協できるものであれば使用を妨げるものではない。
上記磁石は、100〜100,000ガウスの磁石を用いることが望ましい。磁力が弱すぎる場合は、磁石による吸着力が劣り、回収効率が悪くなるからであり、また磁力が強すぎる場合にはわずかに磁性を帯びるもの(このような場合は不純物が多い)を吸着してしまうので、上記の範囲とすることが望ましい。
操作上及び分別効率から、液中のスクラップ量は0.01〜1kg/Lであることが望ましい。
【0011】
非磁性粉を含む白金等の有価金属含有磁性スクラップの回収に際して、水溶液中で空気バブリングにより攪拌する。攪拌に際しては圧力0.01〜10MPaでバブリングすることが望ましい。この攪拌は効率的な分別に重要である。
一般に、白金等の有価金属含有磁性スクラップに対して非磁性粉である砥粒の一部は突き刺さるようにして付着している。このような場合、磁石に吸着される量は砥粒を巻き込み、磁石に付着する不要な不純物の量は増大する。
しかし、前記のように液中で強い空気バブリングを行うと、スクラップ及び砥粒相互の衝突を生じさせ、スクラップに付着又は突き刺さった砥粒を分離する役割を持ち、砥粒の巻き込みを防止し、分別効果を上げることができる。
【0012】
磁石には、その周囲に非磁性体の覆いを設け、この覆いを介して間接的に磁石に白金等の有価金属含有磁性スクラップを吸着させる構造とする。例えば、棒状の磁石であれば塩化ビニル製の非磁性有底円筒体をすぽっと嵌めるようにすることができる。
白金等の有価金属含有磁性スクラップは、覆いを介して間接的に磁石に吸着させる。吸着させた後、磁石から覆いを取り除く。同時に磁石からの吸着が解除されるので、白金等の有価金属含有磁性スクラップを容易に回収することができる。
【0013】
白金(及びパラジウムを付加的に)を含有し、さらに不純物元素としてコバルト、クロム、銅、鉄、ニッケル、シリコン等を含有する白金等の有価金属含有磁性スクラップの工程の例を説明すると、まずこのスクラップを王水等の酸で溶解する。
白金含有スクラップの酸による溶解後、残渣であるタンタル酸化物(Ta2O5)、ボロン酸化物(B2O3)等の不純物を除去する。
この残渣を除去した後、白金を含有する溶液に水酸化ナトリウム(NaOH等の)苛性アルカリを添加しpHを3〜6に調整して中和し、コバルト、銅等を水酸化物として沈殿させ、これを濾過除去する。
溶液にパラジウムが含有している場合には、コバルト、銅等の水酸化物を沈殿除去した後、溶媒抽出によりパラジウムを抽出する。パラジウム抽出後、該抽出されたパラジウムをアンモニアで逆抽出し、パラジウム含有液を還元剤、例えばヒドラジン等で還元して高純度パラジウムスポンジを回収することができる。
【0014】
次に、白金を溶解した酸と塩化アンモニア溶液を反応させて塩化白金酸アンモニウム((NH4)2PtCl6)結晶を沈殿させる。この場合、白金を溶解した王水を塩化アンモニア溶液に添加することが望ましい。通常、白金を溶解した王水に塩化アンモニア溶液を添加しようとするのが常識であるが、このような手法をとると塩化白金酸アンモニウムが再溶解し、析
出し難くなり、液に白金が残存し、白金の収率が落ちる現象が見られる。
したがって、白金の収率を上げるために、白金を溶解した王水を塩化アンモニア溶液に添加することは重要な意味をもつ。
次に、このようにして得た塩化白金酸アンモニウム((NH4)2PtCl6)結晶を600〜1000°Cで焙焼して高純度白金スポンジを得る。
以上の工程により、非常に簡単な方法で高純度の白金が効率良く回収できる。
【0015】
【実施例及び比較例】
次に、実施例に基づいて説明する。なお、これらは本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明はこれらに制限されるものではない。すなわち、本発明の技術思想に基づく変形、又は他の実施例は本発明に含まれる。
【0016】
(実施例1)
まず、水60Lを入れた大型の上面開放ポリ容器にSiC等の非磁性粉を含む白金含有スクラップ(白金量0.6wt%)10kgを入れ、0.2MPaの圧縮空気により空気バブリングを行った。
また、前記ポリ容器のほぼ中心に塩化ビニル製の有底円筒体を被せた20,000ガウスの永久磁石を設けた。塩化ビニルの外側面は4000ガウスであった。
10分後に、この塩化ビニル製の有底円筒体を被せた磁石をポリ容器から取り出し、さらに磁石を抜いて付着した磁性粉を回収した。この時の白金濃度は7.3wt%であり、約600gを回収できた。
これを王水で溶解し、上記工程にしたがって脱硝酸後、塩化アンモニウムを添加して塩化白金酸アンモニウム((NH4)2PtCl6)結晶を得た。さらに、前記塩化白金酸アンモニウムを800°Cで焙焼することにより白金スポンジ4.3gを得た。回収効率を上げる場合には、これを数回繰返せば良い。
【0017】
(比較例1)
SiC等の非磁性粉を含む白金含有スクラップ(白金量0.6wt%)10kgを、そのまま20,000ガウスの永久磁石を用いて吸着を行った。この結果、付着物中の白金濃度は0.9wt%に上昇したのみであった。
【0018】
(比較例2)
実施例1と同様ではあるが、圧縮空気による空気バブリングを実施しなかった場合、付着物中の白金濃度は1.2wt%に上昇したのみであった。したがって、空気バブリングは白金の回収率を高める上で、重要であることが分かった。
【0019】
【発明の効果】
スパッタリング用白金及び白金含有ターゲット等の製造工程等において発生する砥粒、端材、切削屑、平研屑等のスクラップに混入する非磁性粉等を、構造簡単な永久磁石を用いて効率良く除去し、白金、パラジウム等を含有するターゲットに再使用できる白金、パラジウム等の有価金属を低コストで効率良く回収できるという優れた特徴を有する。
また、空気攪拌によりスクラップ及び砥粒相互の衝突を生じさせ、スクラップに付着又は突き刺さった砥粒を分離する役割を持たせて、砥粒の巻き込みを防止し、分別効果を上げることができる著しい効果を有する。
Claims (8)
- 非磁性粉を含む白金等の有価金属含有磁性スクラップを水溶液中で攪拌しながら該白金等の有価金属含有磁性スクラップのみを磁石に吸着させ、非磁性粉とを分別することを特徴とする白金等の有価金属回収方法。
- 常磁性磁石を用いて吸着することを特徴とする請求項1記載の白金等の有価金属回収方法。
- 100〜100,000ガウスの磁石を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の白金等の有価金属回収方法。
- 液中のスクラップ量が0.01〜1Kg/Lであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の白金等の有価金属回収方法。
- 空気バブリングにより攪拌することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の白金等の有価金属回収方法。
- 圧力0.01〜10MPaでバブリングすることを特徴とする請求項5記載の白金等の有価金属回収方法。
- 磁石の周囲に非磁性体の覆いを設け、この覆いを介して間接的に磁石に吸着することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の白金等の有価金属回収方法。
- 白金等の有価金属含有磁性スクラップを、覆いを介して間接的に磁石に吸着した後、磁石から覆いを除去し、同時に磁石からの吸着を解除して白金等の有価金属含有磁性スクラップのみ回収することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の白金等の有価金属回収方法。
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JP2002312286A JP2004141824A (ja) | 2002-10-28 | 2002-10-28 | 白金等の有価金属回収方法 |
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JP2002312286A JP2004141824A (ja) | 2002-10-28 | 2002-10-28 | 白金等の有価金属回収方法 |
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JP2002312286A Withdrawn JP2004141824A (ja) | 2002-10-28 | 2002-10-28 | 白金等の有価金属回収方法 |
Country Status (1)
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Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010137147A (ja) * | 2008-12-10 | 2010-06-24 | Toshiba Corp | 排水処理装置 |
JP2011045950A (ja) * | 2009-08-26 | 2011-03-10 | Asahi Glass Co Ltd | ガラス基板の加工装置、ガラス基板の加工方法、その方法により製造された磁気ディスク用ガラス基板またはフォトマスク用ガラス基板、及び繰り返しガラス基板を加工する方法 |
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2002
- 2002-10-28 JP JP2002312286A patent/JP2004141824A/ja not_active Withdrawn
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