JP5344376B2 - ガリウム回収方法 - Google Patents

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Description

本発明はガリウム回収方法に関し、特にガリウムヒ素含有澱物からガリウムを回収する方法に関する。
ガリウムは、優れた特性を有する半導体材料であるが、精鉱がほとんど存在しない希少元素であり、主としてアルミニウムや亜鉛の精錬副産物として得られる。このため、不足しがちなガリウム資源を有効に利用し、併せて産業廃棄物の減少を図るべく、IC等の電子部品を製造する際に生じる半導体屑、スクラップあるいはワイヤーソーによる切断時に生じるスラリーや切断後の研磨により生じるスラリー等から、ガリウムを回収することが行われている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
しかしながら、特許文献1に示された方法は、ガリウムヒ素化合物から溶媒抽出によりガリウムを濃縮回収する方法であり、有機溶媒を別途用意する必要があるため、プロセスが高価となる問題があった。
そこで、リン化ガリウム等のガリウムを含む化合物の半導体結晶を切断する際に切削屑として発生するガリウムリン化合物含有澱物から、湿式分級による濃縮、液体サイクロンや膜分離による固液分離、酸溶解、濃縮回収という工程を経てガリウムを回収する方法(特許文献2)が開示されている。
しかし、液体サイクロンや膜分離による固液分離のみでは、分離された固形物に10%程度の切削油が残留することが避けられず、このように有機物(切削油)を含有した状態での酸溶解はガリウム回収時に炭素の混入を招き、回収されたガリウムの純度を低下させるという問題があった。
特開昭61−215214号公報 特許第3436304号公報
このため、ガリウム化合物を切断したり研磨したりした際に生じる切削屑や研磨屑等から、高い純度のガリウムをコストを上昇させることなく回収することが可能な技術の開発が望まれていた。
本発明者は、以下に示す各請求項の発明により、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。以下、各請求項の発明を説明する。
請求項1に記載の発明は、
ガリウムヒ素含有澱物からガリウムを回収するガリウム回収方法であって、
前記ガリウムヒ素含有澱物を、透気度18cc/cm/min以下の耐油性フィルターを用いたフィルタープレスにて油分と固形残渣とに固液分離を行う固液分離工程と、
前記固液分離工程で得られた固液分離後の固形残渣を、前記油分の沸点より高く、ヒ素の蒸発温度より低い温度範囲の不活性ガス雰囲気に保持して、前記固液分離後の固形残渣に含有される油分を1重量%以下とする油分除去工程と、
前記油分除去工程で得られた油分除去後の固形残渣を、1000℃以上の大気雰囲気に5分以上保持して、ヒ素を除去するヒ素除去工程と、
前記ヒ素除去工程で得られたヒ素除去後の固形残渣を酸またはアルカリに溶解させる溶解工程と、
前記溶解工程で得られた溶解液および不溶物をフィルターにて濾別する不溶物濾別工程と、
前記不溶物濾別工程で得られた前記溶解液を、中和してガリウム酸化物を得るガリウム回収工程と、
を有していることを特徴とするガリウム回収方法である。
本請求項の発明においては、切削油や研磨油などの油分およびヒ素を除去した後に、ガリウム酸化物の形でガリウムを回収しているため、高い純度のガリウムを効率よく回収することができる。
以下、各工程につき工程順に説明する(図1参照)。
(1)固液分離工程
最初の工程である固液分離工程は、ガリウムヒ素化合物の切断時や研磨時に生じたガリウムヒ素含有澱物(スラリー状であるため、以下「廃スラリー」とも言う。)を、フィルタープレスにて油分と固形残渣とに固液分離する工程である。
即ち、このガリウムヒ素含有澱物には、ガリウムヒ素化合物、砥粒(通常SiCが使用される)および切削油または研磨油(通常A重油が使用される)が含有されているが、本工程により、ガリウムヒ素化合物および砥粒を含有する固形残渣と油分とに分離される。
本工程においては、フィルタープレスを用いているため、ガリウムヒ素含有澱物に含有されている油分の殆ど(90%以上)を回収することができる。なお、回収された油分は切削油や研磨油として、再使用することができる。
フィルターの透気度が18cc/cm/minを超えると、固形分がフィルターを通過してしまい、後々のGa回収率が下がるため好ましくない。
(2)油分除去工程
次の油分除去工程は、固液分離工程において得られた固形残渣を、油分の沸点より高い温度で加熱することにより、固液分離後の固形残渣中に残存している油分を沸騰、蒸発させて、1重量%以下まで減少させる工程である。
固液分離工程において得られた固形残渣には、少量とはいえ、3wt%程度の油分が残存している。本工程により固液分離後の固形残渣の油分を1重量%以下まで減少させているため、最終的に得られるガリウムに炭素が混入することを抑制することができる。
本工程においては、前記したように、固液分離後の固形残渣を油分の沸点よりも高い温度で加熱するが、加熱温度が高すぎる、具体的には500℃程度を超えると、油分の蒸発に加えて、有害なヒ素も蒸発してくるので好ましくない。従って、加熱温度は、油分の沸点より高く、ヒ素の蒸発温度よりも低く設定する。
例えば、前記したA重油の場合であれば、沸点は240〜250℃であるため、300〜400℃程度で加熱する。
そして、この加熱は、油分の蒸気が爆発限界濃度に達しても爆発することを防止するために、不活性ガス雰囲気で行う。例えば、前記A重油の場合の爆発限界濃度は1〜7vol%である。不活性ガスとして例えば窒素ガスを挙げることができる。なお、加熱時間は、残存油分の濃度に対応して、適宜設定すればよいが、1〜5時間程度が好ましい。
(3)ヒ素除去工程
次のヒ素除去工程は、前記の油分除去工程により油分が1重量%以下となった固形残渣を1000℃以上の大気雰囲気に5分以上保持することにより、ヒ素を熱分解させて除去する工程である。
即ち、本工程においては、1000℃以上の大気雰囲気に5分以上保持することにより、油分除去後の固形残渣中のガリウムヒ素化合物のヒ素が熱分解されて油分除去後の固形残渣より除去される。具体的には、熱分解されたヒ素が大気中の酸素により酸化されて、昇華することにより、油分除去後の固形残渣より除去される。昇華したヒ素酸化物の蒸気を水トラップにより回収することにより、有毒なヒ素を外部に拡散させることなく、確実に回収することができる。なお、回収されたヒ素酸化物は、適宜還元処理することにより、ヒ素として再利用される。
本工程においては、前記したように、油分除去後の固形残渣を1000℃以上の温度で加熱する。しかし、加熱温度が高すぎる、具体的には1200℃程度を超えると、研磨剤のSiCが酸化してSiOが生成し、砥粒の再利用が困難となる。従って、加熱温度は、1000〜1200℃程度が好ましく、1150℃が特に好ましい。また、保持時間は、5分以上が好ましく、30分以上であるとより好ましい。
(4)溶解工程
次の溶解工程は、ヒ素が除去された固形残渣を酸またはアルカリに溶解させる工程である。ヒ素が除去されたヒ素除去後の固形残渣はガリウムおよび砥粒を含有しているが、酸やアルカリと接触させた場合、ガリウムのみが溶解し、砥粒は不溶物として沈殿する。
なお、酸としては、塩酸と硝酸を1:3〜1(体積比)の割合で混合して得られる逆王水が好ましく用いられ、溶解は、例えば、90℃の温度で1時間以上かけて行うことが短時間溶解としては好ましい。また、アルカリとしては、NaOH水溶液やアンモニア水(NHOH)などが好ましく使用される。
(5)不溶物濾別工程
次の不溶物濾別工程は、前記の溶解工程で得られた溶解液および不溶物をフィルターにて濾別する工程である。濾別された不溶物の砥粒は、水洗された後再利用される。
ガリウムヒ素化合物の切断時における砥粒としては一般的にSiCが用いられている。この場合、本工程により濾別された不溶物はSiC砥粒であり、水洗後、SiC砥粒として再利用されることとなる。
(6)ガリウム回収工程
最後のガリウム回収工程は、前記の溶解液を中和してガリウム酸化物を得る工程であり、ガリウム酸化物の形でガリウムを回収する工程である。
以上、(1)〜(6)の各工程に示したように、本請求項の発明によれば、油分やヒ素が除去された廃スラリーを酸やアルカリに溶解させてガリウムの回収を行っているため、純度の高いガリウムを回収することができる。また、溶解工程において使用される酸やアルカリ、例えば、逆王水を構成する硝酸や塩酸は、有機溶媒に比べて安価に調達することができるため、コストの上昇を招くことがない。さらに、各工程において、回収された油分やヒ素は再び使用することができるため、この面からもコスト的に好ましい。そして、本請求項の発明によれば、クローズドシステムの回収方法を構築することが可能となるため、環境、安全性の面からも好ましい。
請求項2に記載の発明は、
前記固液分離工程に先立って、
磁石を用いて、前記廃スラリーから鉄分の除去を行う鉄分除去工程が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のガリウム回収方法である。
廃スラリーには、場合によっては、ワイヤの切片等の鉄分が含まれていることがある。この鉄分が除去されないままであると、回収されたガリウムの純度に影響するため、除去することが好ましい。鉄分の除去を行う具体的な手段としては、磁石を用いることが好ましい。
請求項3に記載の発明は、
前記ヒ素除去工程が、
400℃までの昇温過程において油分が除去された前記油分除去後の固形残渣を、400℃で1時間以上保持してヒ素を酸化させた後、450〜500℃の間を0.5℃/分以下の昇温速度でゆっくりと昇温させ、その後1000℃以上の高温に5分以上保持することにより、酸化ヒ素を気化させる工程であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガリウム回収方法である。
ガリウムヒ素化合物からのガリウムおよびヒ素への熱分解とその後の酸化を行っているため、ヒ素を効率よく除去することができる。
請求項4に記載の発明は、
前記溶解工程と前記ガリウム回収工程との間に、前記溶解工程で得られた前記溶解液に定電位電解処理を行ってヒ素の選択除去を行う定電位電解工程が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のガリウム回収方法である。
ヒ素除去工程を行った後でも、状況によっては、所定値より高い濃度のヒ素が残存していることがある。この場合には、溶解液に定電位電解処理を行うことにより、ヒ素を選択除去する。その結果、充分にヒ素が除去された状態でガリウム回収を行うことができ、純度の高いが入り有無の回収が可能となる。なお、この定電位電解処理は、溶解工程とガリウム回収工程の間に行えば良く、不溶物濾別工程の前後は問わない。
本発明によれば、ガリウム化合物を切断したり研磨したりした際に生じる切削屑や研磨屑等から、高い純度のガリウムをコストを上昇させることなく回収することが可能となる。
本発明の一実施の形態におけるガリウムヒ素含有澱物からガリウムを回収する工程の概略を示す図である。 GaとAsの1273Kにおける気化分解速度を示すグラフである。 熱処理によるAsの分離速度と熱処理温度の関係を示すグラフである。 本発明の一実施の形態における熱処理後の固形残渣のSEM像および蛍光X線測定結果を示す図である。 本発明の一実施の形態において回収されたSiC粒子のSEM像および蛍光X線測定結果を示す図である。 本発明の一実施の形態において回収された粒子のGaのSEM像および蛍光X線測定結果を示す図である。
以下、本発明を実施の形態に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、以下の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
本実施の形態は、砥粒としてSiC、切削油としてA重油を用いてGaAs(ヒ化ガリウム)基板を切断した際に生じるスラリー状のガリウムヒ素含有澱物(廃スラリー)からガリウムを回収する方法に関する。以下、図面に基づいて本実施の形態を説明する。
図1は、廃スラリーからGaを回収する工程の概略を示す図である。以下各工程について説明する。
1.廃スラリーの組成
最初に、本実施の形態における廃スラリーとして、GaAs2wt%、SiC28wt%、A重油70wt%より構成されている廃スラリーを準備した。
2.廃スラリーからのGaの回収方法
(1)鉄分除去工程
最初に磁石を用いて、ガリウムヒ素含有澱物から鉄分を除去した。
(2)固液分離工程
次に、鉄分を除去した廃スラリー200kgを、JIS P 8117:1998「紙及び板紙−透気度試験方法−ガーレー試験機法」に準じて測定した透気度が18cc/(cm・min)以下のポリプロピレン製分離膜(膜面積:5m)を用い、フィルタープレスにて0.4MPaの圧力の下、300cc/minの処理速度で加圧濾過した。本工程により、60kgの固形残渣と140kgの分離液(A重油)とを固液分離して得ることができた。
得られた分離液(A重油)の固形分は1%以下であり、切削油として充分再利用可能であった。
(3)切削油除去工程
上記の固形残渣について検査したところ、なお3wt%のA重油が含有されていた。次に、熱処理炉を用いてこの固形残渣を、大気圧、300〜400℃の間の温度である390℃の窒素ガス気流中に120分間保持し、固形残渣中に残存しているA重油を沸騰、蒸発させて除去し、固形残渣中のA重油を1wt%以下、具体的には、0.01wt%以下とした。
(4)ヒ素除去工程
次に、A重油を除去した後の固形残渣を熱処理炉内に配置し、熱処理炉の一方向から炉内に空気を導入しながら油分除去後の固形残渣を1150℃で60分間加熱した。
加熱によるヒ素除去の条件としては、空気量に関して、予め200gのSiC/GaAs(GaAs:3wt%)を用いて、実験を行った。その結果、この200gの例の場合、酸素量として約2.8Lが必要で、また、GaとAsが酸化されてGaおよびAsを生成すると思われる450〜500℃の温度範囲を0.5℃/分で昇温させる必要があることが分かった。即ち、この処理を100分間で行う場合には、酸素流量として、28mL/分(空気換算では、140mL/分)が必要となる。
本実施の形態においては、上記の実験結果に基づき、必要量を上回る0.2L/minの空気を導入した。
本工程は、大気中で油分除去後の固形残渣を加熱した際に生成するGaとAsの気化分解速度の差を利用するものであり、これを図2に示す。図2は、生成したGaおよびAsの1000℃における気化分解率と時間との関係を示すグラフである。図2に示すように、Gaは殆ど気化分解せず不揮発性であるのに対して、Asは昇華、気化分解する。
また、本工程における加熱温度と加熱時間に関しては、図3に基づき設定した。図3(a)は熱処理時間を一定とした場合におけるAsの油分除去後の固形残渣からの分離量と熱処理温度との関係を示すグラフであり、図3(b)は熱処理温度を一定とした場合におけるAsの油分除去後の固形残渣からの分離量と熱処理時間との関係を示すグラフである。図3(a)から処理時間が30分の場合、処理温度1150℃であればAsの濃度がほぼ0wt%になることが分かり、図3(b)から熱処理温度が1000℃の場合、処理時間5分以上であればAsの濃度が0wt%近くなることが分かる。
本工程における加熱温度および加熱時間(1150℃、60分)は、予め得られたこれらの知見に基づき設定されたものである。
熱処理炉の一方向から空気を導入することにより必要な酸素を支障なく供給することができる。これに対して、双方向から空気を導入した場合には、エアーの乱れが起こり、生成したGaが飛散する恐れがあり、好ましくない。
なお、昇華したAsは、水トラップで捕集して回収した。回収したAsの量は、約1.8kgであった
(5)溶解工程
本実施の形態においては、溶解液として、酸である逆王水を使用した。熱処理によりAsを分離除去した後の固形残渣を、ポリプロピレンで内張したSUS製の槽に用意された逆王水(1L)に投入し、90℃の温度で300分間をかけて、逆王水1Lに対しヒ素除去後の固形残渣200g(Gaの溶解濃度に換算すると6g/Lに相当)の割合で溶解させた。なお、このときSiCは逆王水に溶解せず、不溶物として沈殿した。
(6)定電位電解工程
イ.熱処理後の固形残渣の調査
前記熱処理によりAsを分離除去した後の固形残渣をSEMで観察し、蛍光X線分析により組成分析を行った結果、微量ではあるがAsが残留していることが分かった(図4参照)。そして、Asが残留している箇所にはFeが検出された。そこで、逆王水への溶解後、定電位電解により残存しているAsを除去した。なお、Feは事前に磁石を用いて取り除いた。
ロ.定電位電解
具体的には、ヒ素除去後の固形残渣を溶解させた逆王水中にTi電極を挿入し、銀/塩化銀の参照極に対して正極の電位を0.5Vの定電位に維持しながら、100mA以下の電流で2時間電解し、この間に正極から発生するガス(酸化ヒ素)を回収した。これにより、逆王水中のAs濃度は電解前の620ppmから49ppmと大きく低下した。なお、逆王水に溶解しているGaは、電解前は560ppmであり、電解後は水分が多少減少したこともあり、570ppmであった。
なお、前記したように、ヒ素除去後の固形残渣に含まれるAsの濃度が充分に低い場合には、電解処理を行う必要はない。また、電解処理は次のSiCの分離回収後に行ってもよい。
(7)不溶物濾別工程
前記したように、ヒ素除去後の固形残渣を逆王水に溶解させる際に、SiCは溶解せず沈殿するため、膜フィルター(日本ミリポア社製)を用い減圧ろ過して、不溶物を濾別して、SiCを回収した。回収されたSiC粒子につき、SEM観察および蛍光X線分析を行ったところ、Ga、Asを含まない純粋なSiC粒子であることが確認でき(図5参照)、研磨材として再利用できることが分かった。なお、回収量は、約56kgであった。
(8)ガリウム回収工程
SiCとAsを除去した逆王水を、NaOHで中和してpHを4〜6に調整することにより、GaをGa(白色粉末)として沈殿させた。得られた沈殿を膜フィルター(日本ミリポア)減圧濾過により濾過した後水洗して回収した。回収量は、Gaとして約1.9kgであり、初期投入量から換算された約2.4kgのGaに対して回収率は83%であった。なお、回収したGaをSEMにより観察し、また蛍光X線分析により組成分析を行ったところ、粒径が0.2〜0.5μmの純粋なGaであることが確認された(図6参照)。

Claims (4)

  1. ガリウムヒ素含有澱物からガリウムを回収するガリウム回収方法であって、
    前記ガリウムヒ素含有澱物を、透気度18cc/cm/min以下の耐油性フィルターを用いたフィルタープレスにて油分と固形残渣とに固液分離を行う固液分離工程と、
    前記固液分離工程で得られた固液分離後の固形残渣を、前記油分の沸点より高く、ヒ素の蒸発温度より低い温度範囲の不活性ガス雰囲気に保持して、前記固液分離後の固形残渣に含有される油分を1重量%以下とする油分除去工程と、
    前記油分除去工程で得られた油分除去後の固形残渣を、1000℃以上の大気雰囲気に5分以上保持して、ヒ素を除去するヒ素除去工程と、
    前記ヒ素除去工程で得られたヒ素除去後の固形残渣を酸またはアルカリに溶解させる溶解工程と、
    前記溶解工程で得られた溶解液および不溶物をフィルターにて濾別する不溶物濾別工程と、
    前記不溶物濾別工程で得られた前記溶解液を、中和してガリウム酸化物を得るガリウム回収工程と、
    を有していることを特徴とするガリウム回収方法。
  2. 前記固液分離工程に先立って、
    磁石を用いて、前記廃スラリーから鉄分の除去を行う鉄分除去工程が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のガリウム回収方法。
  3. 前記ヒ素除去工程が、
    400℃までの昇温過程において油分が除去された前記油分除去後の固形残渣を、400℃で1時間以上保持してヒ素を酸化させた後、450〜500℃の間を0.5℃/分以下の昇温速度でゆっくりと昇温させ、その後1000℃以上の高温に5分以上保持することにより、酸化ヒ素を気化させる工程であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガリウム回収方法。
  4. 前記溶解工程と前記ガリウム回収工程との間に、前記溶解工程で得られた前記溶解液に定電位電解処理を行ってヒ素の選択除去を行う定電位電解工程が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のガリウム回収方法。
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