JP6998241B2 - リチウム回収方法 - Google Patents

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Description

この発明は、リチウムイオン電池廃棄物を焙焼して得られた電池滓から、リチウムを回収する方法に関するものである。
近年は、製品寿命その他の理由で廃棄されるリチウムイオン電池廃棄物から、そこに含まれるニッケルやコバルト等の有価金属を湿式処理等により回収することが、資源の有効活用の観点から広く検討されている。
リチウムイオン電池廃棄物から有価金属を回収する方法の一例としては、はじめに、リチウムイオン電池廃棄物に対し、焙焼、破砕及び篩別を行い、不純物であるアルミニウム等をある程度除去する(特許文献1等参照)。
次いで、篩別後の篩下に得られる粉末状等の電池滓を浸出液に添加して浸出し、そこに含まれ得るリチウム、ニッケル、コバルト、マンガン、アルミニウム等を浸出液中に溶解させる。その後は、上述したように浸出して得られた浸出後液に溶解している各金属元素を分離させる。ここでは、浸出後液に浸出しているそれぞれの金属を分離させるため、たとえば、浸出後液に対し、分離させる金属に応じた複数段階の溶媒抽出、逆抽出等を施す。それにより、最終的にリチウムイオンを含むリチウム含有溶液が得られる(特許文献2~4等参照)。
ここで、上述したような方法に関し、特許文献5では、「高価な薬品を用いることなく、安価に操業を行うことができ、リチウムとコバルトとを安全に分離回収する」との課題の下、「コバルト酸リチウムを、水素気流中で、かつ、400℃以上の温度にて、還元焙焼することにより、コバルト酸リチウムの化合物形態をLiOHあるいはLi2Oへ変化させ、焙焼物を水で浸出することにより、焙焼物中のリチウム分を溶出させて、かつ、コバルトを残渣中へ分配させて、それぞれ回収すること」が提案されている。そして、これにより、「酸を使用せずに、水のみでリチウムを浸出することが可能であり、また、還元剤に水素あるいは炭素を使用することで、高価な酸を使用しなくて済み、また中和剤を必要としない」とされている。
また、これに関連する技術として、特許文献6には、「リチウムイオン二次電池の正極材料であるコバルト酸リチウムから、リチウムを効率よく回収することができ、リチウムイオン二次電池の再利用を行うことができるリチウムの回収方法を提供すること」を目的とし、「コバルト酸リチウム100質量部に対し、1質量部以上の炭素を混合した混合物を、大気雰囲気下、酸化雰囲気下、及び還元性雰囲気下のいずれかで焙焼してなる酸化リチウムを含有する焙焼物を水で浸出すること」等が提案されている。
特開2015-195129号公報 特開2005-149889号公報 特開2009-193778号公報 特許第4581553号公報 特開2004-11010号公報 特許第5535717号公報
しかしながら、リチウムイオン電池廃棄物を焙焼等して得られる電池滓を、水のみで浸出させようとしても、リチウムが十分に溶解せず、リチウム浸出率を十分に高めることができないことが解かった。それにより、上記の特許文献5、6の方法では、リチウムイオン電池廃棄物に対する処理の初期の段階で多くのリチウムを回収することはできなかった。
この発明は、このような問題に対処することを課題とするものであり、その目的は、リチウムイオン電池廃棄物を焙焼して得られた電池滓から、リチウムを効果的に回収することのできるリチウム回収方法を提供することにある。
発明者は鋭意検討の結果、リチウムイオン電池廃棄物を焙焼して得られた電池滓中のリチウムが、アルミン酸リチウムの形態で含まれ得ることを新たに見出した。そして、電池滓にアルミン酸リチウムが含まれる場合、アルミン酸リチウムは難溶性であることから水では有効に溶かすことができず、それにより、上述したような水による浸出では、リチウムの浸出率を大きく向上させることができないとの知見を得た。
このような知見に基づき、この発明のリチウム回収方法は、リチウムイオン電池廃棄物を焙焼して得られた電池滓から、リチウムを回収する方法であって、アルミン酸リチウムを含有する前記電池滓を、酸性溶液中に浸出させ、前記酸性溶液のpHを2超かつ6以下とする浸出工程と、浸出工程で得られる浸出後液のpHを上昇させて中和するとともに固液分離して、リチウム溶解液を得る中和工程とを含むものである。
この発明のリチウム回収方法によれば、アルミン酸リチウムを含有する電池滓を酸性溶液中に浸出させる浸出工程と、浸出工程で得られる浸出後液を中和して、リチウム溶解液を得る中和工程とを含むことにより、リチウムイオン電池廃棄物を焙焼して得られた電池滓から、リチウムを効果的に回収することができる。
この発明の一の実施形態のリチウム回収方法を適用することのできるプロセスの一例を示すフロー図である。 所定の電池滓に対して行ったX線回折法の結果を示すグラフである。 実施例の試験例1でアルミン酸リチウム粉末試薬を浸出した際のpHとLi及びAl浸出率との関係を示すグラフである。 実施例の試験例1でアルミン酸リチウム粉末試薬の浸出後に中和した際のpHとLi及びAl中和率との関係を示すグラフである。 実施例の試験例2で電池滓を浸出した際のpHとLi、Al及びCo浸出率との関係を示すグラフである。 実施例の試験例2で電池滓の浸出後に中和した際のpHとLi、Al及びCo中和率との関係を示すグラフである。
以下に、この発明の一の実施形態のリチウム回収方法について詳細に説明する。
この発明の一の実施形態のリチウム回収方法は、リチウムイオン電池廃棄物を焙焼して得られた電池滓であってアルミン酸リチウムを含有するものから、リチウムを回収するに当り、上記の電池滓を酸性溶液中に浸出させる浸出工程と、浸出工程で得られる浸出後液のpHを上昇させて中和するとともに固液分離して、リチウム溶解液を得る中和工程とを含むものである。この実施形態は、たとえば、図1に例示するプロセスに組み込むことができる。
(リチウムイオン電池廃棄物)
この実施形態で対象とするリチウムイオン電池廃棄物は、携帯電話その他の種々の電子機器、自動車等の様々な機械ないし装置で使用され得るリチウムイオン電池の廃棄物である。より具体的には、たとえば、電池製品の寿命や製造不良またはその他の理由によって廃棄もしくは回収されたもの等であり、このようなリチウムイオン電池廃棄物を対象とすることにより、資源の有効活用を図ることができる。
リチウムイオン電池廃棄物には、マンガン、ニッケル及びコバルトを含有するリチウム金属塩である正極活物質の他、カーボン、鉄及び銅を含む負極材や、正極活物質が、たとえばポリフッ化ビニリデン(PVDF)その他の有機バインダー等によって塗布されて固着されたアルミニウム箔(正極基材)、リチウムイオン電池廃棄物の周囲を包み込む外装としてのアルミニウムを含む筐体が含まれることがある。具体的には、リチウムイオン電池には、正極活物質を構成するリチウム、ニッケル、コバルト、マンガンのうちの一種の元素からなる単独金属酸化物および/または、二種以上の元素からなる複合金属酸化物、並びに、アルミニウム、銅、鉄、カーボン等が含まれ得る。
(焙焼工程)
焙焼工程では、上記のリチウムイオン電池廃棄物を加熱する。この焙焼工程は一般に、リチウムイオン電池廃棄物の温度を上昇させ、内部の電解液を除去して無害化するとともに、アルミニウム箔と正極活物質を結着させているバインダーを分解し、破砕・篩別時のアルミニウム箔と正極活物質の分離を促進して篩下に回収される正極活物質の回収率を高くし、場合によってはさらに、リチウムイオン電池廃棄物に含まれるコバルト等の金属を、酸による浸出で溶かしやすい形態に変化させること等を目的として行う。
焙焼工程では、一般に、リチウムイオン電池廃棄物を500℃~700℃の温度範囲で1時間以上にわたって加熱を行うことが好適であると考えられている。これにより正極活物質が十分に分解され、水に溶けやすい炭酸リチウムが生成しやすくなり、浸出時に水を用いた場合でも水による浸出率を高くすることができるからである。一方で、炭酸リチウムの融点である723℃を超えた辺りから炭酸リチウムの流動性がよくなることが推測され、水に難溶なアルミン酸リチウムが生じることで、水による浸出率を低下させてしまう。一般的には、炉内に温度ムラがあり、また焙焼炉の温度制御が難しいことから、アルミン酸リチウムは生じてしまう。
但し、この実施形態では、上記の温度を超える温度、たとえば700℃~1000℃の温度で1時間以上にわたって加熱した場合であっても、後述の浸出工程で電池滓を有効に浸出させることが可能である。したがって、焙焼工程では、通常は500℃~700℃の温度での加熱が好ましいが、700℃~1000℃の温度での加熱であってもよい。
このような焙焼工程を経ることにより、リチウムイオン電池廃棄物中のリチウムは、その一部が、水であっても容易に溶解する酸化リチウムや炭酸リチウム等の形態となることがあるが、その少なくとも一部が、水には溶解しないアルミン酸リチウムとなる。それ故に、かかる難溶性のアルミン酸リチウムを溶解させるため、後述の浸出工程では酸性溶液を用いることとする。
焙焼工程では、上記のようにリチウムイオン電池廃棄物の温度を制御することができるものであれば、ロータリーキルン炉その他の各種の炉や、大気雰囲気で加熱を行う炉等の様々な加熱設備を用いて行うことができる。
(破砕・篩別工程)
上述した焙焼工程の後、必要に応じて、破砕工程および、その後の篩別工程を行うことができる。
破砕工程は、リチウムイオン電池廃棄物の筺体を破壊するとともに、正極活物質が塗布されたアルミニウム箔から正極活物質を選択的に分離させるために行う。ここでは、種々の公知の装置ないし機器を用いることができるが、その具体例としては、リチウムイオン電池廃棄物を切断しながら衝撃を加えて破砕することのできる衝撃式の粉砕機、たとえば、サンプルミル、ハンマーミル、ピンミル、ウィングミル、トルネードミル、ハンマークラッシャ等を挙げることができる。なお、粉砕機の出口にはスクリーンを設置することができ、それにより、リチウムイオン電池廃棄物は、スクリーンを通過できる程度の大きさにまで粉砕されると粉砕機よりスクリーンを通じて排出される。
破砕工程の後は、たとえばアルミニウムの粉末を除去する目的で、適切な目開きの篩を用いて、リチウムイオン電池廃棄物を篩別する。それにより、篩上には、たとえば、アルミニウムや銅が残り、篩下には、アルミニウムや銅がある程度除去されたリチウム、コバルト等を得ることができる。
(浸出工程)
浸出工程では、上述した工程を経て得られた電池滓を、酸性溶液中に浸出させる。この浸出工程と後述の中和工程により、電池滓中のリチウムのみを選択的に取り出し、リチウムイオン電池廃棄物の処理における早い段階でリチウムを回収することができる。その結果として、リチウムイオン電池廃棄物からの有価金属の回収時に使用され得る各種の試薬等に含まれる物質が、最終的に得られる炭酸リチウム等に混入することを抑制することができ、高品位の炭酸リチウム等が生成される。また、早い段階でリチウムを分離できることで、試薬等の薬剤コストの低減ならびに、各種の金属の回収に要する処理の簡略化及び費用の低減も実現することができる。
なおここで、「電池滓」とは、単に、リチウムイオン電池廃棄物に対し、少なくとも何らかの条件の焙焼工程を行って得られたものを意味し、破砕・篩別工程が行われたか否かは問わない。電池滓は一般には粉状ないし粒状のものである。
ここでは、アルミン酸リチウムを含有する電池滓を対象として浸出工程を行う。アルミン酸リチウムは、リチウムとアルミニウムの複合金属酸化物であり、一般にLiAlO2で表されるものであって、リチウムイオン電池廃棄物では比較的高い温度の焙焼によりリチウムとアルミニウムが反応して生成される。アルミン酸リチウムは難溶性であり、水には溶解しない。そのため、この浸出工程では、酸性溶液を用いて、アルミン酸リチウムを含む電池滓を浸出させる。
アルミン酸リチウムを含有する電池滓は、少なくともリチウム及びアルミニウムが含まれ、さらに、ニッケル、コバルト、マンガン、銅、鉄およびカーボンから選択される少なくとも一種が含まれることがある。
電池滓中のアルミン酸リチウムの存在の有無は、電池滓に対してX線回折法(XRD)を実施し、そのピーク強度を観察することにより確認することができる。参考までに、図2に所定の電池滓に対するXRDの結果を示す。
アルミン酸リチウムが比較的多く含まれる電池滓は、水によるリチウム浸出率を十分に高めることが困難であるが、この実施形態のように酸性溶液を用いることで効果的に浸出させることができるからである。
浸出工程で用いる酸性溶液は、硫酸、硝酸もしくは塩酸その他の各種の酸の酸性溶液とすることができるが、なかでも、薬剤コストや腐食性を考慮すると硫酸酸性溶液が好ましい。
浸出工程では、酸性溶液のpHを1~6とすることが好適である。pHが高すぎると、電池滓中のアルミン酸リチウムが有効に溶解しないことが懸念され、この一方でpHが低すぎると、コバルトの浸出率が高くなることが考えられる。この観点から、酸性溶液のpHは、pH2~pH4とすることがより一層好ましい。
ここでいう酸性溶液のpHは、浸出工程の少なくとも終期のpHを意味する。浸出の最中は、酸性溶液中で、電池滓に含まれるアルミン酸リチウムや、その他に含まれ得る炭酸リチウム等の溶解によりpHが変動ないし上昇することがある。
pHを所定の値まで低下させるため、浸出の際に硫酸等の酸を、継続的に、又は所定の回数にわたって断続的に添加してもよい。このように途中で酸を添加する場合、電池滓の添加時や浸出の初期は酸性でなくても、その途中で酸性溶液となればよい。
浸出工程で、電池滓と酸性溶液とを接触させる際の液温は、25℃~80℃とすることができる。パルプ濃度は、50g/L~500g/Lとすることができる。このパルプ濃度は、電池滓と接触させる酸性溶液の量(L)に対する電池滓の乾燥重量(g)の比を意味する。
浸出工程で電池滓を浸出して得られる浸出後液中のリチウム濃度は、好ましくは2g/L~20g/L、より好ましくはリチウム濃度が高い方が良い。また、アルミニウム濃度は、好ましくは10g/L以下である。アルミニウム濃度は低い方が良い。
この浸出工程では、酸性溶液のpHを比較的低くすることにより、リチウムやアルミニウムのみならず、コバルト等有価金属も溶解し、これらの金属イオンが浸出後液に含まれることがあるが、アルミニウムやコバルト等については、後述の中和工程でリチウムと分離させることが可能である。浸出後液中のコバルト濃度は、たとえば5g/L~20g/L、典型的には10g/L~15g/Lである。
(中和工程)
中和工程では、上記の浸出工程で得られた浸出後液のpHを上昇させて、浸出後液を中和する。それにより、浸出後液中に溶解していたコバルトやアルミニウム等はその多くが析出して沈殿する一方で、リチウムはそれほど析出しない。その後、このように中和して得られる中和後液に対して、フィルタープレスやシックナー等の公知の装置及び方法を用いて固液分離を行うことにより、主としてリチウムが溶解して含まれるリチウム溶解液と、コバルトやアルミニウム等が固体として含まれる残渣とを分離させてそれぞれ得ることができる。
中和工程では浸出後液のpHを上昇させるため、浸出後液にアルカリを添加することができる。このアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等を挙げることができるが、なかでも水酸化ナトリウムが、pHを調整しやすい点で好ましい。
このようなアルカリを添加することにより、pHを、中和時の少なくとも終期に7~9に調整することが好適である。このときのpHは特に8とすることが最も好ましい。ここでのpHが低すぎる場合は、コバルトやアルミニウムが十分に沈殿しないことが懸念される。
中和工程では、浸出後液の液温を、好ましくは50℃~80℃、より好ましくは60℃~70℃とすることができる。これはすなわち、浸出後液の液温を比較的低温とした場合は、中和物のろ過不良が懸念される。
なおここで、浸出工程で得られる浸出後液にアルミニウムイオン及びリチウムイオンが含まれる場合、浸出後液中のアルミニウムイオンに対するリチウムイオンのモル比(Li/Al比)は1.1以上として、浸出後液中のリチウムイオンを比較的多くすることが好ましい。これにより、中和工程で当該浸出後液を中和した際の沈殿物に含まれるアルミニウムが、ゲル状のAl(OH)3の他、結晶性のあるLiAlO2、LiAl2(OH)7等の複合酸化物、複合水酸化物を生成し、粉末状に近い形態となる。この場合、濾過等の固液分離に要する時間の短縮化を図ることができる。浸出後液のLi/Al比を調整するため、浸出後液にリチウム含有材料等を添加して調整することができる。このリチウム含有材料としては、試薬を用いることもできるが、リチウムイオン電池廃棄物の処理プロセスで得られた炭酸リチウム、水酸化リチウムその他のリチウム化合物や、これらのうちの少なくとも一種を水に溶解させて得られるリチウム水溶液とすることができる。
中和後に固液分離して得られるリチウム溶解液は、リチウム濃度が、例えば2g/L以上、好ましくは3g/L以上、より好ましくは5g/L以上である。一方、リチウム溶解液中のアルミニウムは、その全量を除去可能である。また、リチウム溶解液中のコバルト濃度は、好ましくは0.1g/L以下、より好ましくは0.01g/L以下である。リチウム濃度が低いとリチウムの回収率の有意な向上が見込めない懸念があり、またコバルト濃度が高いとこれらの回収率が低下するおそれがあるとともに、高純度のリチウムが得られなくなる可能性がある。
(金属回収工程)
中和工程で固液分離して得られる残渣について回収工程を行うことができる。この回収工程では、その残渣に対し、コバルト等の有価金属その他の金属を分離・回収するための所定の処理を施す。
ここでは、かかる金属を回収するための各種の処理を採用することができるが、その一例としては、たとえば、当該残渣を酸で浸出し、その溶液に対して複数段階の溶媒抽出もしくは中和等を施し、各段階で得られた溶液に対して、逆抽出、電解等を行うことができる。
(リチウム回収工程)
中和工程で得られたリチウム溶解液から、リチウムを回収するため、リチウム回収工程を行うことができる。
ここでは、必要に応じて、リチウム溶解液のリチウムイオンを濃縮させるため、所定の抽出溶媒の抽出及び逆抽出によるリチウム濃縮を行った後、ニッケルイオン等を分離させるための中和及び固液分離ならびに、炭酸リチウムを得るための炭酸化を順次行うことができる。またさらに、その後に炭酸リチウムの精製を行ってもよい。
次に、この発明のリチウム回収方法を試験的に実施し、その効果を確認したので以下に説明する。但し、ここでの説明は単なる例示を目的としたものであり、それに限定されることを意図するものではない。
(試験例1)
参考としてアルミン酸リチウム粉末試薬を用いた試験を行った。所定のアルミン酸リチウム粉末試薬を水に懸濁したところ、pHは11を示し、アルミン酸リチウムは溶解しなかった。これに硫酸を添加し、pHを低下させていくと、図3に示すように、pHが2を下回った時点から、リチウムとアルミニウムが溶解し、pH0でリチウム浸出率は約60%となった。
次いで、この溶液に水酸化ナトリウムを添加しpHを上げると、図4に示すように、pHが4となった時点で、アルミニウムのほとんどが中和されて沈殿した。このアルミニウムは一部を水酸化アルミニウムとして沈殿分離することができて、リチウムが溶解した溶液を得ることができた。
浸出条件はパルプ濃度100g/L、液温25℃とし、中和条件は液温70℃とした。なお、図4中、中和率は、(中和前の金属濃度-中和後の金属濃度)/中和前の金属濃度×100%で算出される。
但し、この試験はあくまで試薬についてのものであり、電池滓中のアルミン酸リチウムとは性状が異なると考えられる。所定の条件で製造された試薬のアルミン酸リチウムは、焙焼により生じた電池滓中のアルミン酸リチウムとは生成の条件が異なるからである。また試薬のアルミン酸リチウムは、電池滓中のアルミン酸リチウムに比べて粒径が大きいと考えられる。それゆえに、試薬に対して行ったこの試験の浸出pH等の結果が、電池滓にそのまま適用できるとは解されない。この観点より、下記の試験例2を行った。
(試験例2)
リチウムイオン電池廃棄物を焙焼して得られた電池滓について、水に硫酸を添加して酸性溶液として各金属を浸出し、その後にpHを上昇させて中和を行った。その結果を図5及び6に示す。浸出条件はパルプ濃度100g/L、液温25℃とし、中和条件は液温70℃とした。
図5に示すように、硫酸を添加しない場合は、リチウム浸出率は50%以下であったが、硫酸を添加してpHを下げるにつれてリチウム浸出率がほぼ100%まで上昇した。その後、浸出後の濾液を水酸化ナトリウムで中和したところ、図6に示すように、アルミニウムはpHが4.5~5で、コバルトはpHが8でほぼ全量中和できた。中和時にリチウムが10%前後ロスしたが、不純物を含まないリチウム溶解液を得ることができた。リチウム回収工程へ送ることができたリチウム量は、電池滓中のリチウム量の50%程度であったが、pHを下げてリチウム浸出率を改善することで90%へと増やすことができた。

Claims (8)

  1. リチウムイオン電池廃棄物を焙焼して得られた電池滓から、リチウムを回収する方法であって、
    アルミン酸リチウムを含有する前記電池滓を、酸性溶液中に浸出させ、前記酸性溶液のpHを2超かつ6以下とする浸出工程と、浸出工程で得られる浸出後液のpHを上昇させて中和するとともに固液分離して、リチウム溶解液を得る中和工程とを含むリチウム回収方法。
  2. 前記浸出工程で、酸性溶液に酸を添加して、酸性溶液のpHを調整する請求項1に記載のリチウム回収方法。
  3. 前記浸出工程で酸性溶液に添加する酸を、硫酸とする請求項に記載のリチウム回収方法。
  4. 前記中和工程で、アルカリの添加により、浸出後液のpHを7~9に調整する請求項1~のいずれか一項に記載のリチウム回収方法。
  5. 前記電池滓が、リチウムイオン電池廃棄物を700℃~1000℃の温度で1時間以上にわたって焙焼されて得られたものとする請求項1~のいずれか一項に記載のリチウム回収方法。
  6. 前記リチウム溶解液中のリチウム濃度が、2g/L以上である請求項1~のいずれか一項に記載のリチウム回収方法。
  7. 前記電池滓がさらにコバルトを含有し、
    前記リチウム溶解液中のコバルト濃度が、0.1g/L以下である請求項1~のいずれか一項に記載のリチウム回収方法。
  8. 浸出工程で得られる浸出後液がアルミニウムイオン及びリチウムイオンを含み、該浸出後液中のアルミニウムイオンに対するリチウムイオンのモル比を1.1以上とする請求項1~のいずれか一項に記載のリチウム回収方法。
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