JP7322687B2 - 廃電池からの有価金属回収方法 - Google Patents

廃電池からの有価金属回収方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7322687B2
JP7322687B2 JP2019223743A JP2019223743A JP7322687B2 JP 7322687 B2 JP7322687 B2 JP 7322687B2 JP 2019223743 A JP2019223743 A JP 2019223743A JP 2019223743 A JP2019223743 A JP 2019223743A JP 7322687 B2 JP7322687 B2 JP 7322687B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reducing agent
valuable metals
waste
waste batteries
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019223743A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021091940A (ja
Inventor
隆士 井関
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Mining Co Ltd filed Critical Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority to JP2019223743A priority Critical patent/JP7322687B2/ja
Publication of JP2021091940A publication Critical patent/JP2021091940A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7322687B2 publication Critical patent/JP7322687B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W30/00Technologies for solid waste management
    • Y02W30/50Reuse, recycling or recovery technologies
    • Y02W30/84Recycling of batteries or fuel cells

Landscapes

  • Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)
  • Secondary Cells (AREA)

Description

本発明は、廃電池からの有価金属回収方法に関する。さらに詳しくは、リチウムイオン電池などの廃電池から有価金属を回収する回収方法に関する。
近年、軽量で大出力の二次電池としてリチウムイオン電池が普及している。リチウムイオン電池としては、アルミニウムや鉄等の金属製の外装缶内に、銅箔からなる負極集電体に黒鉛等の負極活物質を固着した負極材、アルミニウム箔からなる正極集電体にニッケル酸リチウムやコバルト酸リチウム等の正極活物質を固着した正極材、ポリプロピレン等の多孔質樹脂フィルムからなるセパレータ、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)等の電解質を含む電解液等を封入したものが知られている。
リチウムイオン電池の主要な用途の一つに、ハイブリッド自動車や電気自動車があるが、自動車のライフサイクルとともに、将来において搭載されたリチウムイオン電池が大量に廃棄される見込みとなっている。このような使用済みの電池や製造中に生じた不良品を資源として再利用する提案が多くなされている。その一つとして廃電池を高温の炉で全量熔解する乾式処理がある。
廃電池には、ニッケル、コバルト、銅などの有価金属の他に、炭素、アルミニウム、フッ素、リンなどの不純物が含まれる。廃電池から有価金属を回収するにはこれらの不純物を除去する必要がある。特にフッ素やリンは難分解性の有機物として含有されており、不用意にガスや排水などとして大気中や河川などの環境中に放出することは避けなければならない。
さらに各種電池のうち、リチウムイオン電池は高容量で電圧も高い特徴があるので処理をするには廃リチウムイオン電池に残留する電荷を放電させるなどして消滅させ安全に解体する無害化処理が欠かせない。
具体的な処理方法として例えば、廃電池を焙焼して無害化したのち、破砕あるいは粉砕処理を行い、その後、篩や磁選等の処理に付して分別し、その分別物から有価金属を回収する方法がある。
この方法で回収した有価金属は、公知の乾式処理や湿式処理に付して不純物をさらに分離し高純度に精製された有価金属を得ることができる。そして有価金属は例えば再度リチウムイオン電池の原料として供することができる。
乾式処理を用いて廃電池からのコバルトを回収方法として、特許文献1では、廃電池を熔融炉へ投入して酸素により酸化する処理が提案されている。
また、特許文献2では、廃電池を熔融してスラグを分離して有価物を回収した後、脱リン工程で石灰系のフラックスを添加して熔融することでリンを除去する処理が提案されている。
上記のような乾式処理を用いて廃電池を熔融還元する際には炉が必要となる。
炉にはプラズマ炉、アーク炉、および誘導炉などがある。しかしながらプラズマ炉やアーク炉は装置費用が高額であり、還元度を微妙に調整する操作が難しいという問題がある。
一方、誘導炉は還元度の調整は比較的行い易い特長があるが、誘導電流で加熱するためには電気を流し易い金属や黒鉛(カーボン)が介在することが必要となる。このため廃電池にわざわざ加熱させるための金属を入れるために余計なコストを要したり、黒鉛坩堝を用いて坩堝から加熱することが必要となる。しかもとくに後者の黒鉛坩堝を用いた場合、黒鉛自身は還元剤にもなり得るため、熔融する廃電池の還元が過剰に進行したり、黒鉛坩堝の酸化が進行して破損しやすくなり坩堝コストや交換の手間が増加し生産効率や安定性を損ねるなどの課題がある。
上述のように、廃リチウムイオン電池を還元熔融しようとする場合、コストや効率の点で多くの課題が残されていた。
特開2013-91826号公報 特表2013-506048号公報
本発明は、上記実情に鑑み、廃電池に含有される有価金属を効率的かつ安価に回収する方法を提供することを目的とする。
第1発明の廃電池からの有価金属回収方法は、廃電池から有価金属を回収する方法であって、廃電池を700℃以上に加熱して焙焼物を得る焙焼工程と、前記焙焼工程で得られた焙焼物を破砕して破砕物を得る破砕工程と、前記破砕工程で得られた破砕物を篩って篩下物と篩上物に分ける篩工程と、前記篩工程で得られた篩下物を酸化焙焼する酸化焙焼工程と、前記酸化焙焼工程で得られた酸化焙焼物を還元熔融して還元物とスラグとを得る還元熔融工程、その順で処理し、前記還元熔融工程で用いる炉が誘導炉であり、該誘導炉に塊状の炭素質還元剤を添加して還元熔融することを特徴とする。
第2発明の廃電池からの有価金属回収方法は、第1発明において、添加する塊状の炭素質還元剤の量が、前記誘導炉から排出される還元物とスラグの物量の合計を100質量%として0.1質量%以上18質量%以下の範囲となるように制御することを特徴とする。
第3発明の廃電池からの有価金属回収方法は、第1または第2発明において、添加する塊状の炭素質還元剤が1cm3~1000cm3の大きさであることを特徴とする。
第4発明の廃電池からの有価金属回収方法は、第1,第2または第3発明において、添加する塊状の炭素質還元剤の組成が炭素品位65質量%以上であることを特徴とする。
第5発明の廃電池からの有価金属回収方法は、第1発明において、磁着物である鉄を除去する磁選工程を前記篩工程の前または後で行うことを特徴とする
第6発明の廃電池からの有価金属回収方法は、第1,第2,第3,第4または第発明において、回収される有価金属が少なくともコバルト、ニッケル、および銅から選ばれる1種以上であることを特徴とする。
第1発明によれば、焙焼工程で焙焼することにより廃電池を粉砕しやすくしておき、破砕過程で廃電池の全量を細かく破砕して破砕物を得ると、篩工程で篩下物と篩上物に分離することで、篩下物を還元熔融工程に付す準備ができる。そして、酸化焙焼することによって廃電池中の還元剤になり得る成分を酸化して廃電池の品質を均一化できるので、還元度を制御しやすくできる。そのうえで、還元熔融工程においては、塊状炭素質還元剤を炉内に入れて誘導加熱によって塊状炭素質還元剤を発熱させ炉内温度を上昇させる。誘導加熱によって塊状炭素質還元剤が発熱すると炉内の篩下物の還元反応が進行しメタルが生成する。同時に生成したメタルが誘導炉の誘導加熱を受けて発熱し、炉内温度が上昇するので、この発熱によって誘導加熱できないスラグをも熔融することもできる。このようにして、メタルの生成と炉内温度の上昇を両立させて廃電池を還元しながら熔融すると、有価金属を含有するメタルが効率的かつ安価に得られる。
第2発明によれば、塊状の炭素質還元剤の量は、誘導炉から排出される還元物とスラグの物量の合計を100質量%として0.1質量%以上、18質量%以下の範囲となるように制御することで、熔融された廃電池と炭素質還元剤の接触の頻度が増し、還元反応が効率よく進行する。
第3発明によれば、添加する塊状の炭素質還元剤は、個々の体積が1cm~1000cmであると、小さすぎたり大きすぎるサイズにならないので接触の機会が増し発熱が充分に行われて、炭素質還元剤からの表面積当たりの発熱量も多くなる。
第4発明によれば、塊状の炭素質還元剤の炭素品位が65質量%以上にしているので、還元効率が高くなり不純物の混入も少なくなる。
第5発明によれば、磁選を行った場合は、鉄分の除去ができているのでスラグの融点や粘性等の設計が簡単に行え、後工程の湿式工程での処理費用も低減できる
第6発明によれば、コバルトやニッケル、銅を各種産業で再利用できるほか、再度リチウムイオン電池の原料に供することができる。
本発明に係る有価金属回収方法の一例を示す工程図である。 還元熔融工程S6の詳細説明図である。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本発明の有価金属回収方法を適用できる廃電池には、リチウムイオン電池に限られず、非水溶系二次電池としてのLi・AL‐リチウム含有二酸化マンガン二次電池、リチウムポリマー電解質二次電池など、また水溶液系二次電池としてのニッケル‐カドミニウム電池やニッケル‐水素電池、ニッケル‐亜鉛電池、ニッケル‐鉄電池など、各種の電池が含まれる。
廃電池から有価金属を回収するにあたっては、乾式製錬プロセスに加え、湿式製錬プロセスを行う場合もあるが、本発明に係る有価金属の回収方法は、乾式製錬プロセスに係るものである。
なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において種々の変更が可能である。
≪本発明に係る有価金属回収方法の概要≫
本発明に係る有価金属回収方法は、図1に示すように、廃電池を焙焼して焙焼物を得る焙焼工程S1と、焙焼物を破砕して破砕物を得る破砕工程S2と、破砕物を篩って篩下物と篩上物に分ける篩工程S4と、篩下物を還元熔融して還元物とスラグとを得る還元熔融工程S6を必須の工程とし、前記還元熔融工程S6において誘導炉を用い、この誘導炉に塊状の炭素質還元剤を添加することを特徴とする
なお、本発明の有価金属回収方法において、磁着物である鉄を除去する磁選工程S3と篩下物を酸化焙焼する酸化焙焼工程S5を実施することがあるが、これら両工程は任意である。
本発明において、廃電池とは、リチウムイオン電池や上記各種電池の使用済み電池そのものの外、二次電池を構成する正極材等の製造工程で生じた不良品、製造工程内部の残留物、リチウムイオン電池の製造工程内における発生屑等の廃材も含む概念である。これらの廃電池には、例えば、銅、ニッケル、コバルト等の有価金属が含まれている。
本発明では、廃電池を還元熔融する際に誘導炉を用い、塊状の炭素質還元剤を炉内に入れることにより、誘導加熱によって炭素質還元剤を発熱させ炉内温度を上昇させることを技術原理としている。
本発明の技術原理によれば、誘導加熱によって炉内に入れられた塊状の炭素質還元剤が発熱すると炉内の廃電池の還元反応が進行しメタルが生成する。同時に生成したメタルが誘導炉の誘導加熱を受けて発熱し、炉内温度が上昇する。この発熱によって誘導加熱できないスラグをも熔融することもできる。
これら一連の作用によってメタルの生成と炉内温度の上昇を両立させて、廃電池を還元しながら熔融できる。このようにして有価金属を含有するメタルが効率的かつ安価に得られる。
上記のような乾式製錬プロセスを経て得られたメタルに対して、後工程で湿式製錬プロセスを実行してもよく、それによって不純物成分を除去し、銅、ニッケル、コバルト等の有価金属を分離精製して、それぞれを回収することができる。湿式製錬プロセスにおける処理としては、中和処理や溶媒抽出処理等の公知の方法により行うことができる。
≪本発明に係る有価金属回収方法の詳細≫
図1は、本発明に係る有価金属回収方法の一例を示しており、同図に基づき各工程S1~S6を順に説明する。
(焙焼工程:S1)
焙焼工程S1は、廃電池を無害化することや次工程で破砕し易くすることを主な目的としている。焙焼条件はとくに限定されないが、確実に無害化するとともに脆くして破砕し易くするためには700℃以上に加熱することが好ましい。また、廃電池を積み重ねすぎると内部まで十分に焙焼できず焼きムラができてしまうので、均一に焙焼できるように処理量や炉の加熱能力に注意が必要である。焙焼時の加熱方式はとくに限定されず、電気式であってよく、バーナー式であってよい。バーナー式加熱は低コストである点で好ましい。
(破砕工程:S2)
破砕工程S2では、焙焼工程S1で焙焼された焙焼物を細かく破砕して廃電池内の各部材を分離する。本発明において破砕機はとくに限定されない。たとえばロッドミルや振動ミルなど公知の破砕機を用いてよい。チェーンミルも廃電池を効率よく破砕できるため好ましい。様々な種類や形状の廃電池が存在するため、目的に合わせて適切な破砕機を選定すればよい。
(磁選工程:S3)
磁選工程S3の実施は任意である。そして、磁選工程S3を実施する場合は、前記破砕工程S2の後に行ってもよく、また後述する篩工程S4の後に行ってもよい。
磁選の目的は磁着物である鉄を主とする金属を除去することにある。有価金属に鉄が含まれてしまうと乾式製錬の際にスラグの融点や粘性等の設計が複雑になり、また鉄を充分に除去できない場合は後工程の湿式工程で処理費用がかかってしまうためである。磁選を行った場合は、スラグの融点や粘性等の設計が簡単に行え、鉄を充分に除去した場合は、後工程の湿式工程での処理費用が低減できる。
磁選機はとくに限定されないが、公知の吊下げ磁選機を用いることができる。
(篩工程:S4)
篩工程S4は、破砕工程S2の後で行ってよく、また磁選工程S3の後で行ってもよい。篩工程S4では破砕物を篩機によって篩上物と篩下物に分ける。篩の目開きは破砕する廃電池の種類や形状に合わせて決めればよい。目開きが大きすぎると篩下に有価金属とともに非有価金属が多く回収されてしまうため好ましくない。また目開きが小さすぎると篩上に多く有価金属が含まれてしまい好ましくない。一般的には、篩の見開きは、0.5mm以上で、5mm以下であると有価金属を効率的に回収できて好ましい。
なお、ニッケルやコバルト等の有価金属は主に正極活物質に含まれるため、粉末状で回収されるので篩下物に含まれる。
(酸化焙焼工程:S5)
酸化焙焼工程S5の実施は任意である。酸化焙焼工程S5を実施する場合は、篩工程S4で回収された篩下物(粉末)を酸化焙焼工程S5において酸化焙焼する。酸化焙焼することによって廃電池中の還元剤になり得る成分を酸化することができ、それにより廃電池の品質を均一化できる。酸化焙焼すると残留還元剤率を安定して低く抑えることができ、これによって次工程の還元熔融工程において還元度を制御し易くできる。
(還元熔融工程:S6)
還元熔融工程S6では、廃電池の粉砕物である篩下物を、または酸化焙焼された篩下物を還元熔融する。この還元熔融によって有価金属を含有するメタルとスラグが生成させる。本発明の還元熔融工程S6では誘導炉が用いられるが、誘導炉を用いると効率的に廃電池を熔融でき、また目的に合わせた還元度を実現でき、よって効率的に有価金属を回収できる。
図2は廃電池の熔融に用いる誘導炉IFを示している。本発明では誘導炉IFに、廃電池とともに塊状の炭素質還元剤を誘導炉に投入して還元熔融することを特徴とする。誘導炉IF自体は公知のものでよい。図示の誘導炉IFは、るつぼ形にライニング材1を貼った炉1と、炉1の外周に配置したコイル2と、コイル2の外側に配置した継鉄(ヨーク)3を有し、炉底にプラグ4を設け炉上面には炉蓋5を置けるようにしたものであり、このような誘導炉IFを利用できる。
上記誘導炉IFにおける炉1内に塊状の炭素質還元剤と廃電池を投入することで、炭素質還元剤が誘導電流によって加熱され、加熱された炭素質還元剤によって廃電池の還元反応が促進される。
さらに、還元反応の進行に伴って有価金属を含有するメタルとスラグが生成するが、メタルは誘導電流によって加熱されるので、温度が効率的に上昇する。また本来電流が流れないスラグでは発熱が発生しないが、炭素質還元剤を塊として添加することで、スラグと塊状の炭素質還元剤の接触部のスラグ部分でも発熱を生じさせられる。
このように本発明では、炉1内に発熱源である炭素質還元剤を多数分散させて発熱と還元を同時並行で進めるものであり、この「炭素質還元剤の誘導電流による加熱→炭素質還元剤による廃電池の還元→メタルの生成→誘導電流によるメタルの加熱」なるサイクルが繰り返されることにより炉内は効率的に温度上昇し還元熔融が進行する。
本発明のように塊状の炭素質還元剤を用いることで、熔融された廃電池と還元物の接触の頻度が増し、還元反応が効率よく進行する効果が得られる。
本発明では、還元剤のうちとくに炭素質還元剤が用いられる。還元剤には、HSなどの水素化合物やCOなどの酸化物を含め種々のものがあるが、本発明では、カーボンや石炭、コークスに代表される炭素質還元剤を選択している。その理由は、優れた還元反応の制御性にある。つまり、廃電池に含まれるカーボンは、還元剤として寄与して還元反応が促進する。そして添加する還元剤も同質の炭素質であれば、同じ還元反応が起きるので還元反応を制御しやすく、よって温度制御や雰囲気制御がしやすくなる。なお、わざわざCOガスを使う手法も考えられるが設備費がかかったり安全上の問題がある。水素化合物も同様の問題がある。
炭素質還元剤としては、石炭やカーボン、コークスなどを例示できる。
本発明で用いる塊状の炭素質還元剤は、小さなサイズである方が処理物との接触の機会が増し、均一に処理が進むため好ましい。
しかし個々の塊のサイズが、例えば1cm未満となるなど、極度に小さなサイズでは誘導電流による発熱が充分に行われず、加熱の効果が不充分なまま消耗されるので効果が減じる。一方で、誘導電流は炭素質還元剤の表面で生じて発熱するものであり、過度に粗大な炭素質還元剤を用いても発熱を有効に活用することができない。
このため、添加する塊状の炭素質還元剤は、個々の体積が1cm~1000cm、好ましくは5cm~500cmであることが好ましい。この場合、発熱が充分に行われるし、還元剤からの表面積当たりの発熱量も多くなる。
また、添加する塊状の炭素質還元剤の量は、誘導炉から排出される還元物とスラグの物量の合計を100質量%として0.1質量%以上、18質量%以下の範囲となるように制御することが好ましい。0.1質量%未満であると、添加量が少なく添加した効果が十分現れず、18質量%を越えると廃電池に還元剤が全く無かったとしても還元が進み過ぎて鉄やマンガンなどの不要な金属が多く生成して有価金属に混入してしまうので、いずれも好ましくない。上記範囲であると、熔融された廃電池と還元物の接触の頻度が増し、還元反応が効率よく進行するので好ましい。
さらに、塊状の炭素質還元剤は炭素品位が65質量%以上、好ましくは95質量%以上であることが好ましい。65質量%未満であると還元効率が低くなるとともに不純物が多く混入する可能性があるため好ましくないが、上記範囲であると還元効率が高くなり、不純物の混入も少ないので好ましい。
電磁誘導による発熱では塊状の炭素質還元剤の表面が影響を受けるので、必要な炭素質還元剤が少量の場合、発熱量を確保するためには表面に炭素質が集中して中心部が中空となる構造の炭素質還元剤を用いてもよい。
なお、工業的な操業では誘導炉に廃電池と炭素質還元剤を連続して供給し排出する操業方法が一般的であるが、このような場合、運転を開始する時の炭素質還元剤の添加量は炉内装入物から理論的に計算される還元物とスラグの物量に応じて添加し、運転とともに添加量を調整することができる。
(本発明に係る回収方法の後工程)
本発明の回収方法で得たメタルは、後工程で例えば酸に溶解して中和や溶媒抽出や電解採取などの方法により不純物を分離する湿式処理を行うことで純度の高い有価金属を分離して回収することができる。
以下、実施例1~18および比較例1を用いて、本発明をさらに詳細に説明する。
(焙焼工程)
廃電池としてのリチウムイオン電池には、自動車車載用の一般に角形電池と称せられるものの使用済み品を用いた。この廃電池を900℃の温度で5時間、大気中で焙焼して焙焼物を得た。
(破砕工程)
次に破砕工程で、上記の焙焼物をチェーンミルを用いて12kg/バッチづつ35秒間の破砕処理を行った。
破砕処理で得た破砕物を回収し、下記の磁選工程で磁選を行った。
(磁選工程)
磁選機には市販の吊下げ磁選機を用た。各試料は4.5kg/分の供給速度で破砕物を3000Gの磁力を有する磁選機に供給し磁選して鉄などの磁着物と非磁着物とに分けた。
(篩工程)
上記の非磁着物を連続式の振動篩を用いて篩別した。
篩の目開きは3.0mmとし、供給速度は2.5kg/分とした。
篩下物を次工程の酸化焙焼工程で酸化焙焼に付した。
(酸化焙焼工程)
酸化焙焼には炉内直径20cmで炉の有効長さ100cmのキルンを用いた。試料の供給速度は2.0kg/分とし炉内温度が750℃に維持しながら3時間大気を流しながら焙焼した。得た酸化焙焼物(篩下物)を次工程の還元熔融工程に付した。
(還元熔融工程)
酸化焙焼物(篩下物)の還元熔融には炉内容量が60リットルの誘導炉を用いた。誘導炉での1回の処理量は10.0kgとした。
表1において、実施例1~10では塊状炭素質還元剤を0.80kg投入した。比較例1では塊状炭素質還元剤は投入しなかった。
投入した塊状炭素質還元剤の大きさ(体積)は、表1に示すとおり実施例1から実施例8に向かって順に大きくした。塊状炭素質還元剤の炭素品位はいずれも90質量%である。
実施例9,10では塊状炭素質還元剤の大きさ(体積)は、いずれも110cmであるが、塊状炭素質還元剤の炭素品位は実施例6が65質量%、実施例7を99質量%とした。
(評価)
評価基準としては、各試料が熔融できたか否か、熔融時間が短いか長いか、および生成したメタルを回収できたか否か、を目安とした。結果を表1に示した。
実施例1~10では、試料が塊状炭素質還元剤で加熱され還元されて熔融し、メタルが生成して回収することができた。これに対し、塊状炭素質還元剤を投入していない比較例1では、廃電池が熔融しなかった。
実施例1~8に示すように、塊状炭素質還元剤の炭素品位(質量%)が同じ場合では、塊状炭素質還元剤の大きさが大きいほど短時間で廃電池が熔融した。すなわち実施例1から実施例8で示すように、投入した塊状炭素質還元剤が大きい実施例ほど、熔融時間が早かった。
また、実施例9,10で対比するように塊状炭素質還元剤の大きさ(体積)が同じ場合では、塊状炭素質還元剤の炭素品位(質量%)が高いほど短時間で廃電池が熔融した。
Figure 0007322687000001
表2に示すように、実施例11~15では、塊状炭素質還元剤の大きさ(体積)を80cmとし、かつ塊状炭素質還元剤の炭素品位を85質量%に統一し、炭素質還元剤の量を誘導炉から排出される還元物とスラグの物量の合計を100質量%として、0.1質量%、2質量%、7質量%、15質量%、18質量%とした。
実施例11~15は、いずれも熔融された廃電池と還元物の接触の頻度が増し、還元反応が効率よく進行した。このことは比較例1と比べて熔融時間が短いことからも分かる。
しかしながら、表3に示す実施例11~15の不純物であるメタル中の鉄、マンガンの含有量の発生傾向をみると、塊状炭素質還元剤の使用量が、0.1質量%未満である実施例11では還元反応が効力良く進まないと推測される。また、塊状炭素質還元剤の使用量が18質量%を越える実施例15では還元が進み過ぎて鉄やマンガンなどの不要な金属が多く生成すると推測される。
表2に示すように、実施例16~18では、炭素質還元剤の大きさ(体積)を60cmに統一し、かつ炭素質還元剤の量を8.0%に統一した。そのうえで、炭素質還元剤の炭素品位を、それぞれ、65質量%、80質量%、95質量%とした。
実施例16~18は、いずれも還元効率が高くなり、比較的、不純物の混入も少なかった。しかしながら、実施例16~18の熔融時間の傾向をみると、実施例16で示す炭素品位が65質量%を下回ると、溶解時間が長くなる傾向が推測される。
Figure 0007322687000002
Figure 0007322687000003
以上の各実施例から分かるように、本発明の回収方法を用いることで、廃電池を効率よく熔融しメタルを回収することができた。また、後工程の湿式製錬プロセスに付すことで、得られたメタルからコバルト、ニッケル、銅などの有価金属を回収できた。
本発明によれば、コバルトやニッケル、銅を各種産業で再利用できるほか、再度リチウムイオン電池の原料として供することができる。
1 ライニング材
2 コイル
3 継鉄(ヨーク)
4 プラグ
IF 誘導炉

Claims (6)

  1. 廃電池から有価金属を回収する方法であって、
    廃電池を700℃以上に加熱して焙焼物を得る焙焼工程と、
    前記焙焼工程で得られた焙焼物を破砕して破砕物を得る破砕工程と、
    前記破砕工程で得られた破砕物を篩って篩下物と篩上物に分ける篩工程と、
    前記篩工程で得られた篩下物を酸化焙焼する酸化焙焼工程と、
    前記酸化焙焼工程で得られた酸化焙焼物を還元熔融して還元物とスラグとを得る還元熔融工程、その順で処理し、
    前記還元熔融工程で用いる炉が誘導炉であり、
    該誘導炉に塊状の炭素質還元剤を添加して還元熔融する
    ことを特徴とする廃電池からの有価金属回収方法。
  2. 添加する塊状の炭素質還元剤の量が、前記誘導炉から排出される還元物とスラグの物量の合計を100質量%として0.1質量%以上18質量%以下の範囲となるように制御する
    ことを特徴とする請求項1記載の廃電池からの有価金属回収方法。
  3. 添加する塊状の炭素質還元剤が1cm~1000cmの大きさである
    ことを特徴とする請求項1または2記載の廃電池からの有価金属回収方法。
  4. 添加する塊状の炭素質還元剤の組成が炭素品位65質量%以上である
    ことを特徴とする請求項1,2または3記載の廃電池からの有価金属回収方法。
  5. 磁着物である鉄を除去する磁選工程を前記篩工程の前または後で行う
    ことを特徴とする請求項1記載の廃電池からの有価金属回収方法
  6. 回収される有価金属が少なくともコバルト、ニッケル、および銅から選ばれる1種以上である
    ことを特徴とする請求項1,2,3,4または記載の廃電池からの有価金属回収方法。
JP2019223743A 2019-12-11 2019-12-11 廃電池からの有価金属回収方法 Active JP7322687B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019223743A JP7322687B2 (ja) 2019-12-11 2019-12-11 廃電池からの有価金属回収方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019223743A JP7322687B2 (ja) 2019-12-11 2019-12-11 廃電池からの有価金属回収方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021091940A JP2021091940A (ja) 2021-06-17
JP7322687B2 true JP7322687B2 (ja) 2023-08-08

Family

ID=76311890

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019223743A Active JP7322687B2 (ja) 2019-12-11 2019-12-11 廃電池からの有価金属回収方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7322687B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114162840B (zh) * 2021-12-30 2023-04-14 江西赣锋循环科技有限公司 退役三元锂电材料优先提锂的方法
CN116462194A (zh) * 2023-05-11 2023-07-21 昆明理工大学 一种从废旧锂离子电池中回收高纯石墨的方法

Citations (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005042189A (ja) 2003-07-25 2005-02-17 Ise Chemicals Corp コバルトの回収方法
JP2009185369A (ja) 2008-02-08 2009-08-20 Sumitomo Metal Ind Ltd 銅鉄スクラップからの金属回収法
JP2011094227A (ja) 2009-09-30 2011-05-12 Dowa Eco-System Co Ltd リチウムの回収方法
JP2012229481A (ja) 2011-04-27 2012-11-22 Japan Metals & Chem Co Ltd 使用済みリチウムイオン電池類の有価物の分別回収方法
JP2013091826A (ja) 2011-10-25 2013-05-16 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 有価金属回収方法
JP2014199774A (ja) 2013-03-29 2014-10-23 Jx日鉱日石金属株式会社 リチウムイオン電池からの有価物の回収方法
JP2016037661A (ja) 2014-08-11 2016-03-22 日本重化学工業株式会社 有価金属の回収方法
JP2017004920A (ja) 2015-06-11 2017-01-05 日本リサイクルセンター株式会社 リチウムイオン電池からの有価物の回収方法
JP2019131871A (ja) 2018-02-01 2019-08-08 株式会社神戸製鋼所 金属回収方法
JP2019135321A (ja) 2018-02-05 2019-08-15 住友金属鉱山株式会社 廃リチウムイオン電池からの有価金属の回収方法
JP2019160429A (ja) 2018-03-07 2019-09-19 Jx金属株式会社 リチウム回収方法

Patent Citations (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005042189A (ja) 2003-07-25 2005-02-17 Ise Chemicals Corp コバルトの回収方法
JP2009185369A (ja) 2008-02-08 2009-08-20 Sumitomo Metal Ind Ltd 銅鉄スクラップからの金属回収法
JP2011094227A (ja) 2009-09-30 2011-05-12 Dowa Eco-System Co Ltd リチウムの回収方法
JP2012229481A (ja) 2011-04-27 2012-11-22 Japan Metals & Chem Co Ltd 使用済みリチウムイオン電池類の有価物の分別回収方法
JP2013091826A (ja) 2011-10-25 2013-05-16 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 有価金属回収方法
JP2014199774A (ja) 2013-03-29 2014-10-23 Jx日鉱日石金属株式会社 リチウムイオン電池からの有価物の回収方法
JP2016037661A (ja) 2014-08-11 2016-03-22 日本重化学工業株式会社 有価金属の回収方法
JP2017004920A (ja) 2015-06-11 2017-01-05 日本リサイクルセンター株式会社 リチウムイオン電池からの有価物の回収方法
JP2019131871A (ja) 2018-02-01 2019-08-08 株式会社神戸製鋼所 金属回収方法
JP2019135321A (ja) 2018-02-05 2019-08-15 住友金属鉱山株式会社 廃リチウムイオン電池からの有価金属の回収方法
JP2019160429A (ja) 2018-03-07 2019-09-19 Jx金属株式会社 リチウム回収方法

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
山本哲也ら,鉱石炭材混合紛の高温還元特性,鉄と鋼,日本,日本鉄鋼協会,2001年12月01日

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021091940A (ja) 2021-06-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2019135321A (ja) 廃リチウムイオン電池からの有価金属の回収方法
KR101883100B1 (ko) 폐전지로부터 유가금속을 회수하는 방법 및 유가금속 회수 시스템
KR102470940B1 (ko) 리튬 이온 전지 폐재의 처리 방법
JP2018197385A (ja) リンの除去方法、有価金属の回収方法
JP2013064177A (ja) 有価金属回収方法
JP7322687B2 (ja) 廃電池からの有価金属回収方法
WO2021177005A1 (ja) 廃電池からの有価金属回収方法
JP2021095628A (ja) 有価元素の回収方法
JP2021031760A (ja) 有価金属を回収する方法
JP7363207B2 (ja) 有価金属を回収する方法
KR20220139978A (ko) 유가 금속을 회수하는 방법
JP7400333B2 (ja) 有価金属を回収する方法
JP7306277B2 (ja) 廃電池からの有価金属回収方法
JP7447643B2 (ja) 有価金属回収方法
JP7413847B2 (ja) 廃電池からの有価金属回収方法
JP7363206B2 (ja) 有価金属を回収する方法
JP7389354B2 (ja) 有価金属回収方法
JP7389344B2 (ja) 廃電池からの有価金属回収方法
JP7416153B1 (ja) 有価金属の回収方法
WO2023026854A1 (ja) 電気炉、有価金属の製造方法
WO2024048247A1 (ja) 有価金属の回収方法
WO2024048248A1 (ja) 有価金属の回収方法
KR20240046215A (ko) 유가 금속의 제조 방법
KR20240004893A (ko) 유가 금속의 제조 방법
JP2022085446A (ja) 有価金属を回収する方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220624

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230413

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230425

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230526

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230627

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230710

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7322687

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150