JP2003013324A - 熱可塑性セルロースエステル系マルチフィラメントの製造方法 - Google Patents

熱可塑性セルロースエステル系マルチフィラメントの製造方法

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JP2003013324A
JP2003013324A JP2001193179A JP2001193179A JP2003013324A JP 2003013324 A JP2003013324 A JP 2003013324A JP 2001193179 A JP2001193179 A JP 2001193179A JP 2001193179 A JP2001193179 A JP 2001193179A JP 2003013324 A JP2003013324 A JP 2003013324A
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cellulose ester
tension
thermoplastic cellulose
yarn
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Yoshitaka Aranishi
義高 荒西
Hiroyuki Yamada
博之 山田
Yuhei Maeda
裕平 前田
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】糸切れや単糸流れなどの工程トラブルなく、繊
度均一性、解舒性に優れた熱可塑性セルロースエステル
系マルチフィラメントの製造方法を提供すること。 【解決手段】特定の溶融粘度、特定のメルトテンション
を有する熱可塑性セルロースエステル組成物を、溶融温
度180〜240℃にて紡出し、口金下距離0.5〜5mの場所に
おいて油剤あるいは水を付与することにより収束して、
特定の紡糸張力となるように設定された一定の速度で回
転するゴデットローラーにて引き取った後、パッケージ
へ巻き取ることを特徴とする製造方法によって解決が可
能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱可塑性セルロース
エステル系マルチフィラメントの製造方法に関する。さ
らに詳しくは、高度な熱流動性を有するセルロースエス
テル組成物を用い、紡糸張力および巻き取り張力を低減
可能な条件を選択することにより、単糸流れや糸切れの
発生なく、工程安定性よく製糸が可能な熱可塑性セルロ
ースエステル系マルチフィラメントの製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】セルロース材料は地球上で最も大量に生
産されるバイオマス材料として、また環境中にて生分解
可能な材料として、昨今の大きな注目を集めつつある。
【0003】セルロースの繊維としての利用に関して
は、自然界中で産生する綿や麻などの短繊維をそのまま
紡績して使用することが古くから行われてきた。短繊維
ではなく、フィラメント材料を得るためには、レーヨ
ン、リヨセル等のようにセルロースを特殊な溶媒系で溶
解させ湿式紡糸法での製糸を行うか、セルロースアセテ
ートのようにセルロースを誘導体化して、塩化メチレン
やアセトンなどの有機溶媒に溶解させた後、この溶媒を
蒸発させながら紡糸する乾式紡糸法での製糸を行うしか
方法がなかった。
【0004】しかし、これらの湿式紡糸法あるいは乾式
紡糸法では、紡糸速度が遅いため生産性が低いという問
題があるだけでなく、使用する二硫化炭素、アセトン、
塩化メチレンなどの有機薬剤が環境に対して悪影響を及
ぼす懸念が強いため、環境との調和を考える場合には、
決して良好な製糸方法とはいえない。
【0005】一方、溶融紡糸法を用いる方法としては、
特開昭50-46921号公報、特開昭54-42420号公報、特開昭
62-250215号公報に見られるように、選択透過性を有す
る中空糸を得る目的で、セルロースアセテートにグリセ
リンやポリエチレングリコールなど水溶性の低分子量可
塑剤を大量に添加し、低速で紡糸する方法が知られてい
る。しかし、これらの方法では低分子量可塑剤を、例え
ば特開昭62-250215号公報では組成物中の50〜59重量パ
ーセントと高率で含有するため、紡糸温度における組成
物の溶融粘度がきわめて低く、分配性に劣るものであ
り、また曳糸性が低いものであった。さらに、これらの
方法にあっては、目的が選択性を有する中空糸を得るこ
とであるため、繊維は外径が200〜300μmと太繊度であ
り、衣料用繊維に用いられる範疇のものではなかった。
【0006】これらの溶融紡糸方法とは異なり、より高
速での生産を可能とする方法として、特開平9-78339号
公報、特開平9-291414号公報、特開平10-317228号公
報、特開平11-506175号公報などには、εカプロラクト
ン誘導体等の添加によって可塑化したセルロースアセテ
ートの溶融紡糸に関する技術が開示されている。しか
し、これらの方法は、高速エアーを用いる製造方法であ
るため、エアー圧の変動によって引き取り速度が変動し
やすく、得られる繊維の繊度斑が大きくなるので、衣料
用繊維としての利用を考える場合には未だ満足できる製
糸方法ではない。さらに、これらの方法は、「高速エア
ーにて延伸、開繊してそのまま巻取るか、或いは開繊し
た後捕集用の支持体面上に体積・捕集してウエブを形成
する」方法であり、紡糸後に解繊が行われるものである
ことから、紡糸工程中では収束を行うことがない。その
ため、紡糸速度が高速の場合や単糸繊度が細い場合に
は、繊維にかかる紡糸張力が高くなりやすく、糸切れや
単糸流れなどの工程トラブルを生じやすいという問題が
あった。また、一旦巻き取ったパッケージから、延伸
機、織機、編機など高次加工用装置への給糸に際し、解
舒性が不十分となる問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
の問題点を克服し、糸切れや単糸流れなどの工程トラブ
ルなく、繊度均一性、解舒性に優れた熱可塑性セルロー
スエステル系マルチフィラメントの製造方法を提供する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述した本発明の課題
は、200℃, 1000sec-1における溶融粘度が50〜300Pa・se
cであり、200℃, 100m/min引き取り時におけるメルトテ
ンションが0.1〜50mNである熱可塑性セルロースエステ
ル組成物を、溶融温度180〜240℃にて紡出し、口金下距
離0.5〜5mで油剤あるいは水を付与することにより収束
して、紡糸張力が0.1〜3.0mN/dtexとなる条件でゴデッ
トローラーにて引き取った後、パッケージへ巻き取るこ
とを特徴とする熱可塑性セルロースエステル系マルチフ
ィラメントの製造方法によって解決することができる。
【0009】その際、紡糸ドラフトが30〜300であるこ
と、パッケージへの巻き取り張力が0.1〜2.0mN/dtexで
あることが好適に採用できる。
【0010】さらには、パッケージへ巻き取られた繊維
のU%が0.1〜2%となるように、或いはパッケージへ巻
き取られた繊維の単糸繊度が0.5〜20dtexとなるように
製造が行われることも、好適に採用できるものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明におけるセルロースエステ
ルとは、セルロースの水酸基がエステル結合によって封
鎖されているものを言う。具体的には、セルロースアセ
テート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロ
ースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタ
レートなどカルボン酸とのエステル結合を有するもので
あってもよく、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸な
どオキシカルボン酸あるいはそれらの重合体とのエステ
ル結合を有するものであってもよく、カプロラクトン、
プロピオラクトン、バレロラクトン、ピバロラクトンな
どの環状エステルあるいはそれらの重合体とのエステル
となっているものであってもよく、さらにはこれらの混
合エステルとなっているものでもよい。
【0012】セルロースエステルの置換度は、グルコー
ス単位あたり0.5〜2.9であることが好ましい。また、良
好な生分解性を得るためには、セルロースエステルの置
換度は比較的低置換度、例えば、0.5〜2.2であることが
好ましく、良好な流動性を得るためには、比較的高置換
度、例えば、2.2〜2.9であることが好ましいので、目的
によって適宜決定することができる。
【0013】これらのセルロースエステルは、セルロー
スエステルに用いられる公知の可塑剤を含むことができ
る。しかし、大量の可塑剤を含有する場合、可塑剤の蒸
散に起因する溶融紡糸時の発煙の問題が生じることがあ
り、また、繊維表面への可塑剤のブリードアウトによる
ヌメリ感が発生する問題がある。このことから、特に分
子量が1000に満たない比較的低分子量の可塑剤を用いる
場合には、その添加量を20wt%以下とすることが好まし
い。
【0014】具体的に用いうる可塑剤の例としては、可
塑剤のうち比較的低分子量のものとして、例えばジメチ
ルフタレート、ジエチルフタレート、ジヘキシルフタレ
ート、ジオクチルフタレート、ジメトキシエチルフタレ
ート、エチルフタリルエチルグルコレート、ブチルフタ
リルブチルグリコレートなどのフタル酸エステル類、テ
トラオクチルピロメリテート、トリオクチルトリメリテ
ートなどの芳香族多価カルボン酸エステル類、ジブチル
アジペート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケー
ト、ジオクチルセバケート、ジエチルアゼレート、ジブ
チルアゼレート、ジオクチルアゼレートなどの脂肪族多
価カルボン酸エステル類、グリセリントリアセテート、
ジグリセリンテトラアセテートなどの多価アルコールの
低級脂肪酸エステル類、トリエチルホスフェート、トリ
ブチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェー
ト、トリクレジルホスフェートなどのリン酸エステル類
などを挙げることができる。可塑剤として比較的高分子
量のものとしては、ポリエチレンアジペート、ポリブチ
レンアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチ
レンサクシネートなどのグリコールと二塩基酸とからな
る脂肪族ポリエステル類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸
などのオキシカルボン酸からなる脂肪族ポリエステル
類、ポリカプロラクトン、ポリプロピオラクトン、ポリ
バレロラクトンなどのラクトンからなる脂肪族ポリエス
テル類、ポリビニルピロリドンなどのビニルポリマー類
などが挙げられる。可塑剤は、これらを単独、もしくは
併用して使用することができる。
【0015】また、本発明の熱可塑性セルロースエステ
ル組成物は、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、糸摩擦低減
剤、抗酸化剤、着色顔料等として、無機微粒子や有機化
合物を必要に応じて含有することができる。
【0016】本発明における熱可塑性セルロースエステ
ル組成物は、200℃, 1000sec-1における溶融粘度が50〜
300Pa・secである。200℃, 1000sec-1における溶融粘度
が50Pa・sec以上である場合には、口金背面圧が十分に得
られ、分配性が良好となるためにマルチフィラメント間
の繊度の均一性が担保されることから好ましい。また、
溶融粘度が50Pa・secに満たない低粘度の組成物では、紡
出後の固化が十分に進まず、収束すると繊維同士が膠着
することがある。また、溶融粘度が300Pa・sec以下であ
る場合には、ポリマーの熱流動性が良好であり、配管圧
力の異常な上昇によるトラブルが回避できることから好
ましい。良好な流動性および分配性の観点から、200℃,
1000sec-1における溶融粘度は70〜250Pa・secであるこ
とがより好ましく、80〜200Pa・secであることがさらに
好ましい。
【0017】さらに、本発明における熱可塑性セルロー
スエステル組成物は、200℃、100m/min引き取り時にお
けるメルトテンションが0.1〜50mNである。ここで、メ
ルトテンションとはキャピラリーレオメーターである東
洋精機(株)製キャピログラフを用い、温度200℃、引
き取り速度100m/min、使用ダイ寸法1mmφ×10mmL、吐
出量9.55cm3/minの条件にて測定した値をいう。このメ
ルトテンションは0.1mN以上であることが、溶融紡糸時
に繊維にかかる応力によって繊維の内部構造の形成が行
われるので好ましい。また、50mN以下であれば繊維にか
かる応力が繊維強度を越えることがなく、糸切れや単糸
流れの発生なく安定した紡糸が可能となるため好まし
い。メルトテンションは、低い値であるほど良好な曳糸
性を有する。そのため、0.1〜40mNであることがより好
ましく、0.1〜20mNであることがさらに好ましい。
【0018】本発明の熱可塑性セルロースエステル組成
物の溶融紡糸に関し、以下図面を参照しながら説明す
る。溶融温度は180〜240℃の範囲内から適切な温度を選
ぶことができる。溶融温度が180℃以上であれば組成物
の溶融粘度が低くなり、曳糸性も向上する傾向にある。
また、240℃以下であれば、セルロースエステル主鎖の
熱分解の程度が少ないため、最終的な繊維の強度が高く
なる傾向がある。良好な流動性を確保して、かつ熱分解
を避けるためには、溶融温度は190〜230℃であることが
好ましく、200〜220℃であることがより好ましい。溶融
温度は紡糸パック(1)の温度をいう。
【0019】また、紡出にあたり使用する口金(2)は
公知の物を使用でき、ホール数は所望のマルチフィラメ
ントのフィラメント数あるいはその自然数倍であればよ
い。ホール数が多すぎると均一な冷却が得られない場合
があるので、ホール数は、1,000個以下が好ましい。口
金孔径はポリマーの溶融粘度および紡糸ドラフトに応じ
て適宜選択することができるが、0.05〜0.50mmが適当で
ある。0.05mm以上であれば紡糸パック内の圧力が以上に
高くなることをさけることができ、0.50mm以下であれば
紡糸速度を低下させずに紡糸ドラフトを高くできるた
め、好ましい。口金孔径は、より好ましくは0.10〜0.40
mmであり、さらに好ましくは0.20〜0.30mmである。
【0020】本発明においては、紡出した糸条は口金下
距離0.5〜5mの場所において油剤あるいは水を付与する
装置(3)を用い、収束させることが重要である。油剤
または水を付与することで、それまで単糸毎に空気抵抗
を受けていた繊維は、それ以降ほとんど空気抵抗力を受
けることなく走行が可能となる。セルロースエステル系
ポリマーはポリエステルやポリアミドと異なり、溶融張
力が高く曳糸性に乏しい傾向があるため、単糸にかかる
空気抵抗力が高くなると、紡糸張力が非常に高くなり、
最終的には単糸流れや糸切れにつながってしまう。その
ため、マルチフィラメントを収束することは非常に重要
な工程である。糸条を収束するための油剤または水の付
与方法としては、オイリングローラー(3a)との接触
による方法を用いてもよいし、油剤ガイド(3b)との
接触による方法であってもよい。
【0021】収束の位置については、溶融状態で紡出さ
れた糸条が固化した後である必要があるため、口金下距
離0.5m以上の箇所であることがよい。口金と収束箇所の
間では、適切な糸条の冷却を達成するために、冷却され
た或いは加熱された空気を送風するチムニー(4)を設
けることが好ましい。また、収束の位置は離れても口金
下5m以下の場所であることが必要である。これよりも離
れている場合には紡糸張力が高くなりすぎて、糸切れが
多発する傾向がある。収束の位置は、好ましくは口金下
距離0.8〜3mであり、より好ましくは1〜2mである。
【0022】また、本発明の製造方法における紡糸速度
は、一定速度で回転するゴデットローラー(5)により
決定されることが重要である。ゴデットローラーの回転
速度の変動率は、±0.5%以下であることが好ましく、
±0.1%以下であることがより好ましい。紡糸速度が変
動するエアーサクション方式やフラッシュ紡糸方式で
は、繊維の長さ方向における繊度の均一性が得られな
い。ゴデットローラーの回転速度は、紡糸張力が0.1〜
3.0mN/dtexの範囲内となるように適宜決定することがで
きる。紡糸張力が0.1mN/dtexに満たない場合には、繊維
構造が十分に形成されないことがあるため、好ましくな
いし、3.0mN/dtex以上となると単糸流れや糸切れが多発
し、製糸性不良の傾向があるため好ましくない。良好な
製糸性の観点からは、紡糸張力は0.2〜2.0mN/dtexであ
ることがより好ましい。このような紡糸張力になるため
の紡糸速度は、使用するポリマーおよび紡糸ドラフトに
よって変化するので、特に限定はなく、適宜決定すれば
よいが、200〜2000m/minが適当である。
【0023】紡糸ドラフトは高いほど生産性が良好とな
るが、曳糸性が不足する場合には糸切れが多発すること
となる。紡糸ドラフトは30以上であれば生産性が良好で
あるが、より好ましくは50以上、さらに好ましく100以
上であることがよい。また、ドラフトが300以下であれ
ば紡糸張力が高くなりすぎることがなく、製糸性が良好
であるが、より好ましくは250以下、さらに好ましくは2
00以下であることがよい。ここで、紡糸ドラフトとは、
口金孔を出た繊維の線速度(cm/sec)を引き取り速度(cm/
sec)で除した値で定義される値である。
【0024】ゴデットローラーで引き取られた繊維は、
次ぎのローラー(6)との間で延伸されるか或いは延伸
されることなく引き取られる。延伸される場合には、ゴ
デットローラーと回転軸をずらして回転するセパレート
ローラー(9)を用いるネルソン方式を採用することが
できる。
【0025】最終ローラーを離れた糸条は、ワインダー
(7)にてパッケージ(8)へと巻き取られるが、この
際の巻き取り張力は0.1〜2.0mN/dtexとすることが好ま
しい。巻き取り張力は0.1mN/dtex以上であれば、最終ロ
ーラーに糸が取られるトラブルがなく、巻き形状も一定
となり、形崩れもないため好ましい。また、2.0mN/dtex
以下であれば巻き取り時の糸切れがないため好ましい。
巻き取り張力は、0.2〜1.5mN/dtexであることがより好
ましく、0.4〜1.0mN/dtexであることがさらに好まし
い。巻き取り張力が著しく高い場合には、パッケージの
巻き締まりや、さらには糸切れが生じること場合があ
る。パッケージへの巻き取り張力はダンサアームなどの
張力を調節する手段(10)を用いて調節するようにし
てもよいし、ドライブローラー(11)の速度を張力を
検知して調節する方式を採用しても良い。
【0026】本発明の熱可塑性セルロースエステル系マ
ルチフィラメントの製造方法によって、繊維の長さ方向
の繊度斑を低減することができる。パッケージへ巻き取
られた繊維のU%が0.1〜2%となることが好ましい。
【0027】また、本発明の熱可塑性セルロースエステ
ル系マルチフィラメントの製造方法によって、細繊度の
繊維を得ることができる。パッケージへ巻き取られた繊
維の単糸繊度は0.5〜20dtexであることが好ましい。
【0028】本発明の熱可塑性セルロースエステル系マ
ルチフィラメントの製造方法は、得られる繊維の形態に
関する制限は特になく、公知の形態を有する繊維の製造
に適用することができる。例えば、丸孔を有する口金を
用いて真円形のフィラメントを製造することはもちろ
ん、異形孔を有する口金を用いることによって、3葉断
面糸、6葉断面糸、8葉断面糸のような多葉断面糸、W
字型、X字型、H字型、C字型および田型などの異形断
面糸を製造することができる。また、芯鞘複合、偏芯芯
鞘複合、サイドバイサイド型複合、異繊度混繊などのよ
うに複合繊維を製造することも可能であり、得られる繊
維の形態には特に制限がない。
【0029】
【実施例】以下、実施例によって本発明をより詳細に説
明する。なお、実施例中の各特性値は次の方法で求め
た。
【0030】A.溶融粘度 60℃で24時間真空乾燥して絶乾状態とした測定用試料20
gを、東洋精機(株)製キャピログラフを用いて、測定
温度200℃、使用ダイ寸法1mmφ×10mmLの条件で溶融粘
度を測定し、溶融粘度のせん断速度依存性の関係を示す
関係式を得、この式よりせん断速度が1000sec-1の時の
溶融粘度を算出し、組成物の溶融粘度(Pa・sec)とし
た。
【0031】B.メルトテンション 60℃で24時間真空乾燥して絶乾状態とした測定用試料20
gを、東洋精機(株)製キャピログラフを用いて、測定
温度200℃、ローラー速度100m/min、吐出量9.55cm3/min
の条件でローラーにかかる張力を測定し、得られた張力
をメルトテンション(mN)とした。
【0032】C.U% ツェルベガーウースター社製ウースターテスター4-CXに
て給糸速度25m/minで1分間の測定を行い、得られた値
をU%とした。
【0033】D.製糸性 紡糸速度1000m/minにおいて溶融紡糸を行い、1kg当たり
の糸切れが見られないものを○○、1〜3回の糸切れが
あるものを○、4回以上の糸切れがあるものを△、製糸
不能のものを×とした。
【0034】実施例1 200℃における溶融粘度が120Pa・secであり、メルトテン
ションが12mNであるアジピン酸ジオクチルを可塑剤とし
て12wt%含有するセルロースアセテートプロピオネート
(イーストマン社製テナイトプロピオネート)を熱可塑
性セルロースエステル組成物として用い、エクストルー
ダー型紡糸機にて溶融温度210℃、紡糸温度210℃にて溶
融させ、吐出量が8g/minとなるように計量し、0.20mmφ
-0.30mmLの口金孔を36ホール有する口金より紡出し
た。
【0035】紡出した糸条は、25℃のチムニー風により
冷却され、口金下距離2mの位置に設置された給油ガイド
を用いて油剤を付与して収束し、1000m/minで回転する
第1ゴデットローラーにて引き取った。ドラフトは155
であった。
【0036】糸条はさらに1000m/minで回転する第2ゴ
デットローラーを介して、ドライブローラー駆動のワイ
ンダーにて巻き取り張力0.15mN/dtexの条件で巻き取っ
た。
【0037】紡糸張力は0.2mN/dtexと十分に低い値であ
り、紡糸の際に糸切れは認められず、製糸性は良好であ
った。得られた繊維は、U%が0.8であり、繊度の均一性
が非常に優れていた。 実施例2 紡糸温度を200℃、吐出量を7.2g/min、口金孔径を0.3m
m、紡糸速度を600m/minとする他は、実施例1と同様に
紡糸を行った。ドラフトは233であった。
【0038】紡糸張力は0.5mN/dtexと十分に低い値であ
り、紡糸の際に糸切れは認められず、製糸性は良好であ
った。得られた繊維は、U%が1.2であり、繊度の均一性
に優れていた。
【0039】実施例3 重量平均分子量800であるL−乳酸オリゴマー30wt%と
置換度2.5のセルロースジアセテート70wt%を2軸エク
ストルーダーにより予備混練してチップ化した。このポ
リマー組成物は、200℃における溶融粘度が150Pa・secで
あり、メルトテンションが25mNであった。
【0040】この組成物を用いて、エクストルーダー型
紡糸機にて溶融温度220℃、紡糸温度220℃にて溶融さ
せ、吐出量が26.7g/minとなるように計量し、0.18mmφ-
0.30mmLの口金孔を24ホール有する口金より紡出した。
【0041】紡出した糸条は、25℃のチムニー風により
冷却され、口金下距離1mの位置に設置された給油ガイド
を用いて油剤を付与して収束し、2000m/minで回転する
第1ゴデットローラーにて引き取った。ドラフトは50.3
であった。
【0042】糸条はさらに2000m/minで回転する第2ゴ
デットローラーを介して、ドライブローラー駆動のワイ
ンダーにて巻き取り張力0.15mN/dtexの条件で巻き取っ
た。
【0043】紡糸張力は1.2mN/dtexと十分に低い値であ
り、紡糸の際には若干の発煙が認められたが、糸切れは
なく製糸性は良好であった。得られた繊維は、U%が1.1
であり、繊度の均一性が優れていた。
【0044】実施例4 重量平均分子量3,000であるL−乳酸オリゴマー30wt%
と置換度2.5のセルロースジアセテート70wt%を2軸エ
クストルーダーにより予備混練してチップ化した。この
ポリマー組成物は、200℃における溶融粘度が210Pa・sec
であり、メルトテンションが42mNであった。
【0045】この組成物を用いて、エクストルーダー型
紡糸機にて溶融温度230℃、紡糸温度230℃にて溶融さ
せ、吐出量が4.8g/minとなるように計量し、0.25mmφ-
0.50mmLの口金孔を18ホール有する口金より紡出した。
【0046】紡出された糸条は25℃のチムニー風により
冷却され、口金下距離3mの位置に設置されたオイリング
ローラーを用いて油剤を付与して収束し、800m/minで回
転する第1ゴデットローラーにて引き取った。ドラフト
は162であった。
【0047】糸条はさらに800m/minで回転する第2ゴデ
ットローラーを介して、ドライブローラー駆動のワイン
ダーにて巻き取り張力0.25mN/dtexの条件で巻き取っ
た。
【0048】紡糸張力は2.1mN/dtexと低い値であり、紡
糸の際には発煙も認められなかった。糸切れは1kgあた
り2回発生した。得られた繊維はU%が0.9%と繊度の均
一性が非常に優れていた。
【0049】比較例1 分子量400のポリエチレングリコールと置換度2.5のセル
ロースジアセテートを重量比で1:9となるようにアセト
ン中に溶解させ、キャスト法によってシートを作成し
た。この組成物の200℃における溶融粘度は320Pa・secで
あり、メルトテンションは120mNであった。
【0050】この組成物を用いて、紡糸温度を240℃と
する他は、実施例1と同様に溶融紡糸を試みたが、溶融
粘度およびメルトテンションの双方が高すぎるため、曳
糸性が悪く、安定した製糸を行うことができなかった。
【0051】比較例2 分子量400のポリエチレングリコールと置換度2.5のセル
ロースジアセテートを重量比で5:5となるようにアセト
ン中に溶解させ、キャスト法によってシートを作成し
た。この組成物の200℃における溶融粘度は20Pa・secで
あり、メルトテンションは1mNであった。
【0052】この組成物は曳糸性が劣っており、単糸繊
度を小さくすることができなかった。また、紡糸速度も
高くすることができず、紡糸速度50m/minにて引き取っ
て実施例1と同様に紡糸を行った。その際、口金はホー
ル数4個の物を用い、吐出量は2.2g/minとした。ドラフ
トは4.2であった。
【0053】紡糸張力は0.05mN/dtexと低すぎる値であ
り、糸条は安定しなかった。1kgあたりの糸切れは12回
であった。また、溶融粘度が低すぎるため糸条の分配性
が不良となり、繊維のU%は3.8と繊度斑の大きすぎる繊
維であった。
【0054】比較例3 油剤付与による収束を行わず、吐出量を3.2g/minとする
こと以外は、実施例4と同様にして紡糸を行った。紡糸
張力は4mN/dtexと高い値であり、1kgあたり5回の糸切れ
が発生した。また、得られたパッケージからは繊維を解
舒することができず、U%は測定不能であった。
【0055】比較例4 第1ゴデットローラーに変えてエアーサクションガンを
用い、吐出量を3.2g/minとすること以外は、実施例4と
同様にして紡糸を行った。紡糸張力は1.0mN/dtexであっ
た。
【0056】ゴデットローラーを使用しないため、引き
取り速度が不均一となり、得られた繊維はU%が2.8と繊
度斑の大きすぎるものであった。1kgあたりの糸切れは3
回であった。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【発明の効果】本発明の製糸方法によれば、糸切れや単
糸流れなどの工程トラブルなく、繊度均一性、解舒性に
優れた熱可塑性セルロースエステル系マルチフィラメン
トを製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱可塑性セルロースエステル系マルチ
フィラメントの製造方法の一例を示す工程概略図であ
る。
【図2】本発明の熱可塑性セルロースエステル系マルチ
フィラメントの製造方法の他の一例を示す工程概略図で
ある。
【符号の説明】
1 :紡糸パック 2 :口金 3a:給油ローラー 3b:給油ガイド 4 :チムニー 5 :第1ゴデットローラー 6 :第2ゴデットローラー 7 :ワインダー 8 :パッケージ 9 :セパレートローラー 10:ダンサアーム 11:ドライブローラー

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】200℃, 1000sec-1における溶融粘度が50〜
    300Pa・secであり、200℃, 100m/min引き取り時における
    メルトテンションが0.1〜50mNである熱可塑性セルロー
    スエステル組成物を、溶融温度180〜240℃にて紡出し、
    口金下距離0.5〜5mで油剤あるいは水を付与することに
    より収束して、紡糸張力が0.1〜3.0mN/dtexとなる条件
    でゴデットローラーにて引き取った後、パッケージへ巻
    き取ることを特徴とする熱可塑性セルロースエステル系
    マルチフィラメントの製造方法。
  2. 【請求項2】紡糸ドラフトが30〜300であることを特徴
    とする請求項1記載の熱可塑性セルロースエステル系マ
    ルチフィラメントの製造方法。
  3. 【請求項3】パッケージへの巻き取り張力が0.1〜2.0mN
    /dtexであることを特徴とする請求項1または2項記載
    の熱可塑性セルロースエステル系マルチフィラメントの
    製造方法。
  4. 【請求項4】パッケージへ巻き取られた繊維のU%が0.1
    〜2%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    1項記載の熱可塑性セルロースエステル系マルチフィラ
    メントの製造方法。
  5. 【請求項5】パッケージへ巻き取られた繊維の単糸繊度
    が0.5〜20dtexであることを特徴とする請求項1〜4の
    いずれか1項記載の熱可塑性セルロースエステル系マル
    チフィラメントの製造方法。
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