JP4613575B2 - セルロースエステル短繊維およびその製造方法 - Google Patents
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また、他の出願人によるたばこ製品用フィルターに関する出願においても、セルロースエステルの中で特にセルロースアセテート短繊維が好ましいこと、セルロースエステル短繊維の長さは、通常0.1mm〜10mmであることが記されている(特許文献2参照)。
R1−O−{(CH2)nO}m−R2 ・・・(1)
(但し、R1とR2は、H、アルキル基およびアシル基よりなる群から選ばれた同一または異なる基を表す。nは2〜5の整数、mは3〜30の整数。)
上記の一般式(1)で示されるポリエーテル化合物は、セルロース混合脂肪酸エステルとの相溶性が優れているため好適に採用することができる。具体的なポリエーテル化合物としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体などを挙げることができる。
本発明のセルロースエステル短繊維の強度は、0.5〜2.0cN/dtexであることが好ましい。強度が0.5cN/dtex以上であれば、短繊維を用いた繊維加工工程において糸切れによる操業性低下が抑制されるため好ましい。強度は、0.7cN/dtex以上であることがより好ましく、1.0cN/dtex以上であることがさらに好ましい。また、2cN/dtex以下であれば短繊維を用いた繊維構造物のソフト感が良好なものとなるため好ましい。
キャピラリーレオメーター(東洋精機(株)製キャピログラフ1B、L=10mm、D=1.0mmのダイ使用)を用い、測定温度240℃にて、剪断速度1000sec−1における粘度を求め、溶融粘度とした。
オリエンテック社製テンシロンUCT−100型を用い、試料長20mm、引張速度20mm/minの条件で引張試験を行って、試料が切断した時の応力を繊維の引張強度(cN/dtex)とし、試料が切断した時の伸度を繊維の引張伸度(%)とした。
JISL1015に記載のある平均繊維長の測定方法(7.4.1(3))によって測定し、繊維長(mm)を求めた。
JIS L1015に記載のある捲縮数の測定方法(7.12.1)によって測定し、捲縮数(山/25mm)を求めた。
捲縮を付与した短繊維100gを準備し、大和機工(株)製サンプルローラーカードにて梳綿を行った。均一なウェブが得られるものを○、未開繊など不均一な部分が認められるものを△、ローラーカードによる梳綿が不可能なものを×とした。その際、○および△を合格とした。
ハンドカードを用いて短繊維を分散させて得た繊維集合体を10g作成し、これを加熱プレス機を用いて温度200℃、圧力0.5MPaの条件で10分間熱圧した。冷却後に繊維集合体の様子を観察し、互いの繊維が強固に熱接着したものを○、一部繊維が熱接着して形状を保持可能なものを△、全く熱接着がなく繊維がほぐせるものを×とした。その際、○および△を合格とした。
JISL1015に記載のある結節強さの測定方法(7.8.1)に準じて、結節強度(cN/dtex)を求めた。この結節強度が引張強度の90%以上である場合を○、80%以上で90%に満たない場合を△、80%に満たない場合を×とした。その際、○および△を合格とした。
セルロース(日本製紙ケミカル(株)製溶解パルプ、NDP−S)1.0kgに、酢酸5.0kgとプロピオン酸1.0kgを加え、50℃で30分間攪拌した。混合物を15℃まで冷却した後、無水酢酸0.7kg、無水プロピオン酸4.3kgおよび硫酸を0.05kg加えてエステル化反応を行った。240分間攪拌を行った後、酢酸3.3kgと水1.7kgの混合溶液を60分間かけて添加し、反応を停止させた。続いて40℃で24時間攪拌を継続し、加水分解処理を行った。
セルロース(日本製紙ケミカル(株)製溶解パルプ、NDP−S)1.0kgに、酢酸4.0kgとプロピオン酸2.0kgを加え、50℃で30分混合した。混合物を15℃まで冷却した後、無水酢酸2.0kg、無水プロピオン酸3.0kg、および硫酸を0.05kg加えてエステル化反応を行った。240分間攪拌を行った後、酢酸3.3kgと水1.7kgの混合溶液を60分間かけて添加し、反応を停止させた。続いて40℃で24時間攪拌を継続し、加水分解処理を行った。
合成例1により得られたセルロースアセテートプロピオネート(CAP1)90wt%と、可塑剤のポリエチレングリコール(三洋化成(株)製、PEG600)10wt%を、30mmφエクストルーダーを用いて混合し、熱可塑性組成物のペレットを得た。得られたペレットの240℃、1000sec−1における溶融融粘度は、86.7Pa・secであった。
続いてペレットを真空乾燥した後、エクストルーダー式溶融紡糸機で、紡糸温度235℃にて溶融し、0.20mmφ−0.30mmLの口金孔を72ホール有する口金より紡出した。紡出糸は25℃のチムニー風により冷却した後、油剤を付与して集束し、1000m/minで回転するゴデットローラーにより引き取り、320dtex−72fil(単糸繊度4.4dtex)の繊維を一旦ドラムに巻き取った。このドラムを10本準備して引き揃えを行い、3200dtex−720filのサブトウとし、さらにこのサブトウ30本を引き揃えて96000dtex−21600filのトウにした。
得られたトウを延伸倍率を1.0としたステープル延伸機を使用し、スタッファーボックスで機械捲縮を付与した後、その後繊維長が表1に記載の長さとなるようにカッティングを行った。捲縮数は9山/25mmと適切なレベルであった。
得られた短繊維の評価結果を表1に示す。短繊維のTgは115℃であり、100℃以下で膠着するなどのトラブルは起こらなかった。引張強度は1.0cN/dtex、引張伸度は25%であり、機械的特性に優れているため紡糸工程における製糸性は良好であった。
前述の方法によりサンプルローラーカードを用いて梳綿したところ、繊維長が38mm〜64mmと適切であったため、短繊維はローラーカードによって均一に分散され高品質のウエブが得られた。いずれの例においても絡合性は非常に優れていた。
前述の方法によりハンドカードを用いて作成した繊維集合体の熱圧成形を行ったところ、いずれの例においても、短繊維は十分な熱可塑性と低いTgを有していたため、熱接着性に非常に優れており、短繊維同士が融着して強固な構造体となった。
得られた短繊維の引張強度は1.0cN/dtexであったが、結節強度を測定したところ0.9cN/dtexであった。耐フィブリル性の評価尺度である、結節強度の引張強度に対する比率は90%であり、耐フィブリル性に優れていることが分かった。
実施例4および5では、セルロースアセテートプロピオネートと可塑剤の重量比率を変更し、使用する口金を口金孔を96ホール有するものに変更することによってトウを96000dtex−28800fil(単糸繊度3.3dtex)とする他は、実施例1と同様にしてセルロースエステル短繊維を得た。
実施例6では、用いる可塑剤をジオクチルアジペート(DOA)としてその添加量を5wt%とし、使用する口金を口金孔を36ホール有するものに変更することによってトウを96000dtex−10800fil(単糸繊度8.9dtex)とする他は、実施例1と同様にしてセルロース短繊維を得た。
これら得られた短繊維の評価結果を表1に示す。実施例5では繊維の強度がやや低いために紡糸時に糸切れの発生が認められたが、製糸そのものは可能であった。実施例6では熱可塑性組成物の溶融粘度がやや高いため、単糸繊度の細い繊維を得ることはできなかったが、単糸繊度8.8dtexであれば繊維化が可能であった。
前述の方法によりサンプルローラーカードを用いて梳綿したところ、実施例4では繊維長が80mmと適切であったため、短繊維はローラーカードによって均一に分散され高品質のウエブが得られた。実施例5では繊維長が28mmとやや短かったためうまく絡合されない部分が残りネップ状のものが観察された。実施例6では繊維長が逆に120mmとやや長かったために、ウエブの均一性がやや劣っていた。但し、いずれも許容範囲内であった。
前述の方法によりハンドカードを用いて作成した繊維集合体の熱圧成形を行ったところ、いずれの例においても、実施例4および5では、短繊維は十分な熱可塑性と低いTgを有していたため、熱接着性に優れており、短繊維同士が融着して強固な構造体となった。実施例6においてはTgがやや高めで熱可塑性がやや劣っていたため、熱接着は強固ではなかったが、繊維同士の融着は認められ形状保持は可能であった。
実施例4および6では、結節強度の引張強度に対する比率がそれぞれ87.5%、88.9%であり、やや耐フィブリル性に劣るものの許容範囲内であった。実施例5では短繊維の耐フィブリル性は大変優れていた。
合成例2で得られたセルロースアセテートプロピオネート(CAP2)と可塑剤とを、表2に示す割合にて、実施例1と同様にしてエクストルーダーを用いて混合し、熱可塑性組成物のペレットを得た。
得られたトウを延伸倍率を1.0としたステープル延伸機を使用し、スタッファーボックスで機械捲縮を付与した後、その後繊維長が表2に記載の長さとなるようにカッティングを行った。
得られた短繊維の評価結果を表2に示す。短繊維のTgは108〜120℃であり、100℃以下で膠着するなどのトラブルは起こらなかった。引張強度は0.8〜1.3cN/dtex、引張伸度は24〜32%であり、機械的特性に優れているため紡糸工程における製糸性は良好であった。
前述の方法によりサンプルローラーカードを用いて梳綿したところ、繊維長が36〜90mmと適切であったため、短繊維はローラーカードによって均一に分散され高品質のウエブが得られた。いずれの例においても絡合性は非常に優れていた。
前述の方法によりハンドカードを用いて作成した繊維集合体の熱圧成形を行ったところ、いずれの例においても、短繊維は十分な熱可塑性と低いTgを有していたため、熱接着性に非常に優れており、短繊維同士が融着して強固な構造体となった。
実施例7,8および10では、表2に示す通り、結節強度の引張強度に対する比率が90%以上であり、耐フィブリル性に優れていた。実施例9では、やや耐フィブリル性に劣るものの許容範囲内であった。
セルロースアセテートブチレート(イーストマンケミカル社製CAB−381−20)を85%、可塑剤として実施例11ではポリエチレングリコール(三洋化成(株)製PEG600)15%、実施例12ではジオクチルアジペート15%を用いて、実施例1と同様に熱可塑性組成物のペレットを得た。
得られた短繊維の評価結果を表2に示す。短繊維のTgは101〜102℃であり、100℃以下で膠着するなどのトラブルは起こらなかった。引張強度は0.5〜0.6cN/dtex、引張伸度は35〜38%であり、強度が低いため紡糸時に糸切れの発生が認められたが、製糸そのものは可能であった。
前述の方法によりサンプルローラーカードを用いて梳綿したところ、実施例11では繊維長が72mmと適切であったため、短繊維はローラーカードによって均一に分散され高品質のウエブが得られた。実施例12では繊維長が120mmとやや長かったため、ウェブには密度ムラが発生して品位の悪い部分が認められた。
前述の方法によりハンドカードを用いて作成した繊維集合体の熱圧成形を行ったところ、いずれの例においても、短繊維は十分な熱可塑性と低いTgを有していたため、熱接着性に非常に優れており、短繊維同士が融着して強固な構造体となった。
実施例11および12では、耐フィブリル性を示す尺度である、結節強度の引張強度に対する比率がそれぞれ83.3%、80%であり、耐フィブリル性にはやや劣るものの、許容範囲内であった。
アセトンを溶媒として乾式紡糸法により得られた市販のセルロースジアセテート繊維(84dtex−20fil)を30本引き揃えて2520dtex−600filのサブトウとし、さらにこのサブトウ38本を引き揃えて95760dtex−22800dtex(単糸繊度4.2dtex)のトウにした。
得られたトウを延伸倍率を1.0としたステープル延伸機を使用し、スタッファーボックスで機械捲縮を付与した後、その後繊維長が表3に記載の長さとなるようにカッティングを行った。得られた短繊維の評価結果を表3に示す。
比較例1では繊維長が51mmと十分な長さを有していたため、サンプルローラーカードによって梳綿したところ均一なウエブが得られた。しかしながら、ハンドカードを用いて作成した繊維集合体の熱圧成形を行ったところ、繊維に熱可塑性がないため、繊維同士の熱接着は全く起こらず、手で簡単にほぐせるものであった
比較例2では、繊維長が8mmと極端に短いため、サンプルローラーカードによって梳綿することができず、ウエブを形成すること自体が不可能であった。ハンドカードによって作成した繊維集合体の熱圧成形を行ったところ、繊維に熱可塑性がないため、繊維同士の熱接着は全く起こらず、手で簡単にほぐせるものであった。
また、比較例1においては、得られた短繊維の引張強度は1.0cN/dtexであったが、結節強度を測定したところ0.6cN/dtexであった。耐フィブリル性の評価尺度である、結節強度の引張強度に対する比率は80%未満であり、耐フィブリル性に劣っていることが分かった。
比較例3
繊維長を8mmとする以外は、実施例1と同様にして原綿を得た。繊維長が8mmと極端に短いため、サンプルローラーカードによって梳綿することができず、ウエブを形成すること自体が不可能であった。ハンドカードによって作成した繊維集合体の熱可塑成形を行ったところ、熱接着性については良好な結果が得られた。
比較例4
繊維長を300mmとする以外は、実施例1と同様にして原綿を得た。繊維長が300mmと極端に長いため、サンプルローラーカードによって梳綿した際にうまく分散が進まず、また糸切れが多発して落綿が多かった。得られたウエブは品質が非常に悪いものであった。
ハンドカードによって作成した繊維集合体の熱可塑成形を行ったところ、熱接着性については良好な結果が得られた。また、耐フィブリル性も良好であった。
比較例5
可塑剤量を35%とする以外は、実施例12と同様にして原綿を得た。伸度が42%と高すぎるため、サンプルローラーカードにおける梳綿時に伸長してしまう短繊維が多発し、安定した梳綿が不可能であった。結節強度も低く、耐フィブリル性に劣っていた。
比較例6
ステープル延伸機の延伸倍率を1.2倍とする以外は実施例1と同様にして原綿を作成した。引張強度は2.1cN/dtexと高いものであったが、伸度が3%と非常に低かったため、サンプルローラーカードによって梳綿した際に糸切れが発生し、得られたウエブは品質が非常に悪い物であった。また、結節強度が低くなり、耐フィブリル性に劣っていた。
Claims (4)
- セルロースアセテートプロピオネートおよび/またはセルロースアセテートブチレート70〜95wt%と可塑剤5〜30wt%とを含有する熱可塑性組成物からなり、伸度が5〜40%、繊維長が25〜150mm、捲縮数が3山/25mm〜20山/25mmであるセルロースエステル短繊維。
- 繊維のガラス転移温度が100〜180℃であることを特徴とする請求項1記載のセルロースエステル短繊維。
- 強度が0.5〜2.0cN/dtexであることを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載のセルロースエステル短繊維。
- セルロースアセテートプロピオネートおよび/またはセルロースアセテートブチレート70〜95wt%と可塑剤5〜30wt%とを含有する熱可塑性組成物を、紡糸温度180〜280℃の条件で溶融紡糸し、紡出糸を回転ローラーにて引き取った後、捲縮数が3山/25mm〜20山/25mmとなるように捲縮を付与し、繊維長25〜150mmにカッティングすることを特徴とするセルロースエステル短繊維の製造方法。
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