JP2003007268A - 電池のリード線用フィルム及びそれを用いた電池用包装材料 - Google Patents

電池のリード線用フィルム及びそれを用いた電池用包装材料

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JP2003007268A JP2001187354A JP2001187354A JP2003007268A JP 2003007268 A JP2003007268 A JP 2003007268A JP 2001187354 A JP2001187354 A JP 2001187354A JP 2001187354 A JP2001187354 A JP 2001187354A JP 2003007268 A JP2003007268 A JP 2003007268A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】電池包装において、ポリプロピレン系樹脂をヒ
ートシール層とする外装体に電池本体を挿入してその周
縁をヒートシールして密封する際に、ヒートシールの熱
と圧力によって外装体のバリア層とリード線とがショー
トすることなく安定して密封可能な電池のリード線用フ
ィルム及びそれを用いた電池用包装材料を提供する。 【解決手段】内面にヒートシール性を有する積層体10
からなる外装体の周縁シール部に、細長の板または棒状
の金属からなるリード線本体4を挟持して、前記外装体
10の周縁部を密封シールする際に、前記積層体10と
リード線本体4との間に介在させるフィルム20が、少
なくともヒートシールによる熱と加圧によりつぶれ易い
高流動性の酸変性ポリプロピレン層21を含む多層シー
ラントであり、リード線側を高流動性の酸変性ポリプロ
ピレン層とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明の電池のリード線用フ
ィルム及びそれを用いた電池用包装材は、防湿性、耐内
容物性を有する、液体または固体有機電解質(高分子ポ
リマー電解質)を持つ電池、または燃料電池、コンデン
サ、キャパシタ等に用いる包装材料であって電池本体を
包装する外装体と前記電池のリード線部と外装体との間
に介在させるリード線用フィルム及びそれを用いたリー
ド線、電池用包装材料、該包装材を外装体とする電池に
関する。
【0002】
【従来の技術】本発明における電池とは、化学的エネル
ギーを電気的エネルギーに変換する素子を含む物、例え
ば、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、燃料
電池等や、または、液体、固体セラミック、有機物等の
誘電体を含む液体コンデンサ、固体コンデンサ、二重層
コンデンサ等の電解型コンデンサを示す。電池の用途と
しては、パソコン、携帯端末装置(携帯電話、PDA
等)、ビデオカメラ、電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄
電池、ロボット、衛星等に用いられる。前記電池の外装
体としては、金属をプレス加工して円筒状または直方体
状に容器化した金属製缶、あるいは、プラスチックフィ
ルム、金属箔等のラミネートにより得られる複合フィル
ムからなる積層体を袋状にしたもの(以下、外装体)が
用いられていた。電池の外装体として、次のような問題
があった。金属製缶においては、容器外壁がリジッドで
あるため、電池自体の形状が決められてしまう。そのた
め、ハード側を電池にあわせる設計をするため、該電池
を用いるハードの寸法が電池により決定されてしまい形
状の自由度が少なくなる。そのため、前記袋状の外装体
を用いる傾向にある。前記外装体の材質構成は、電池と
しての必要な物性、加工性、経済性等から、少なくとも
基材層、バリア層、シーラント層と前記各層を接着する
接着層からなり、必要に応じて中間層を設けることがあ
る。電池の前記構成の積層体からパウチを形成し、また
は、少なくとも片面をプレス成形して電池の収納部を形
成して電池本体を収納し、パウチタイプまたは、エンボ
スタイプ(蓋体を被覆して)において、それぞれの周縁
の必要部分をヒートシールにより密封することによって
電池とする。前記シーラント層(多層シーラント層の場
合にはその最内層、以下同じ)としては、シーラント層
同士のヒートシール性とともにリード線(金属)に対し
てもヒートシール性を有することが求められ、金属接着
性を有する、例えば、酸変性ポリオレフィン樹脂を最内
層とすることでリード線部との密着性は確保される。
【0003】しかし、酸変性ポリオレフィン樹脂を外装
体の最内層として積層すると、一般的なポリオレフィン
樹脂と比較してその加工性が劣ること、また、コストが
高いこと等のために、外装体のシーラント層としては一
般的なポリオレフィン樹脂層とし、リード線部にシーラ
ント層とリード線との両方に熱接着可能なリード線用フ
ィルムを介在させる方法が採用されていた。具体的に
は、図8(a)に示すように、リード線4と積層体1
0’のシーラント層14’との間に、金属と外装体のシ
ーラント層との双方に対してヒートシール性を有するリ
ード線用フィルム20’を介在させることにより、リー
ド線部での密封性を確保していた。前記リード線用フィ
ルムとしては、前記不飽和カルボングラフトポリオレフ
ィン、金属架橋ポリエチレン、エチレンまたはプロピレ
ンとアクリル酸、またはメタクリル酸との共重合物から
なるフィルムを用いることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、電池の外装体
(以下、外装体)を構成する積層体のシーラント層がポ
リオレフィン系樹脂からなる場合、電池本体を外装体に
収納し、その周縁をシールして密封するが、例えば、酸
変性ポリオレフィン単層からなるリード線用フィルム2
0’を用いる場合、リード線が存在する部分において、
図8(b)に示すように、ヒートシールのための熱と圧
力によって前記外装体のシーラント層14’とリード線
用フィルム層20’とがともに溶融し、また、加圧によ
って加圧部の領域の外に押出されることがある。その結
果、外装体10’のバリア層12’であるアルミニウム
箔と金属からなるリード線4’とが接触(S)しショー
トすることがあった。本発明の目的は、電池包装におい
て、ポリプロピレン系樹脂をシーラント層とする外装体
に電池本体を挿入してその周縁をヒートシールして密封
する際に、ヒートシールの熱と圧力によって外装体のバ
リア層とリード線とがショートすることなく安定して密
封可能な電池のリード線用フィルム及びそれを用いた電
池用包装材料を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、以下の本
発明により解決することができる。すなわち、請求項1
に記載した発明は、内面にヒートシール性を有する積層
体からなる外装体の周縁シール部に、細長の板または棒
状の金属からなるリード線本体を挟持して、前記外装体
の周縁部を密封シールする際に、前記積層体とリード線
本体との間に介在させるフィルムが、少なくともヒート
シールによる熱と加圧によりつぶれ難い低流動性ポリプ
ロピレン層とつぶれ易い高流動性の酸変性ポリプロピレ
ン層とを含む多層フィルムであり、リード線側を高流動
性の酸変性ポリプロピレン層とすることを特徴とする電
池のリード線用フィルムからなる。請求項2に記載した
発明は、多層フィルムが、低流動性ポリプロピレン層
と、高流動性の酸変性ポリプロピレン層との2層からな
り、リード線側を高流動性ポリプロピレン層とすること
を特徴とするものである。請求項3に記載した発明は、
多層フィルムが、高流動性ポリプロピレン層、低流動性
ポリプロピレン層、高流動性の酸変性ポリプロピレン層
の3層からなることを特徴とするものである。請求項4
に記載した発明は、前記リード線本体に、前記請求項1
〜請求項3のいずれかに記載のリード線用フィルムが部
分的に装着されたことを特徴とするリード線からなる。
請求項5に記載した発明は、少なくとも基材層、接着
層、アルミニウム、保護層、ポリプロピレン系樹脂のシ
ーラント層から構成される外装体を形成し、電池本体を
挿入し、周縁をヒートシールする際に、前記外装体とリ
ード線との間に請求項1〜請求項3のいずれかに記載の
リード線用フィルムを介在させることを特徴とする電池
用包装材料からなる。請求項6に記載した発明は、セル
とリード線からなる電池本体が、請求項5に記載の包装
材料からなる外装体に封入され、密封されていることを
特徴とする電池からなる。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明は、金属箔からなるバリア
層を含み、内面にヒートシール性を有する積層体からな
る外装体の周縁シール部に、細長の板または棒状の金属
からなるリード線本体を挟持して、前記外装体の周縁部
を密封シールする際に、前記積層体とリード線本体との
間に介在させるフィルムの構成を、少なくともヒートシ
ールによる熱と加圧によりつぶれ難い低流動性ポリプロ
ピレン層とつぶれ易い高流動性の酸変性ポリプロピレン
層とを含む多層フィルムであり、リード線側を高流動性
の酸変性ポリプロピレン層とするものである。以下、本
発明について、図等を利用してさらに詳細に説明するが
電池を具体例として説明する。
【0007】図1は、本発明のリード線用フィルムを説
明する図で、(a)リード線用フィルムの層構成を示す
断面図、(b)電池リード線、外装体、リード線用フィ
ルムの材質及び位置関係(片側)を説明する図、(c)
ヒートシール後のリード線部の模式断面図であり、
(d)、(e)および(f)は、別のリード線用フィル
ムを用いた場合の同様の説明図である。図2は、電池の
外装体を形成する積層体の層構成例を示す断面図であ
る。図3は、電池用包装材料とリード線との接着におけ
るリード線用フィルムの装着方法を説明する斜視図であ
る。図4は、本発明におけるリード線用フィルムのリー
ド線と外装体との間への介在方法を説明する図である。
図5は、電池のパウチタイプの外装体を説明する斜視図
である。図6は、電池のエンボスタイプの外装体を説明
する斜視図である。図7は、エンボスタイプにおける成
形を説明する、(a)斜視図、(b)エンボス成形され
た外装体本体、(c)X2−X2部断面図、(d)Y1
拡大図である。
【0008】電池のリード線としては、細長の板状また
は棒状の金属からなり、板状のリード線用としては、厚
さが50〜2000μm、 巾 が2.5〜20mm程度
であって、その材質としては、 AL、Cu(Niメッ
キを含む)、Ni、等である。
【0009】また、電池の外装体のシーラント層(多層
シーラント層とする場合には、その最内層)は該シーラ
ント層同士がヒートシール可能な樹脂により形成され
る。そして、外装体の最内層はリード線に直接ヒートシ
ール可能な樹脂とすることが望ましいが、前述したよう
に、一般的なポリオレフィン例えばポリエチレンやポリ
プロピレンの単体、またはブレンド物の単層あるいは多
層構成からなる樹脂物をシーラント層とし、リード線と
該シーラント層とは、リード線用フィルムにより相互に
ヒートシールして密封する方法がとられている。
【0010】電池の外装体は、電池本体の性能を長期に
わたって維持する性能を有することが求められ、基材
層、バリア層、ヒートシール層等を各種のラミネート法
によって積層している。特に、電池の外装体(以下、外
装体)を構成する積層体のヒートシール層がポリオレフ
ィン系樹脂等からなる場合、電池本体を外装体に収納
し、その周縁をシールして密封する際、リード線が存在
する部分において、例えば、リード線用フィルムとして
酸変性ポリオレフィンを用いる場合、図8(c)及び図
8(f)に示すようにヒートシールのための熱と圧力に
よって前記外装体のシーラント層14’とリード線用フ
ィルム層20’とがともに溶融し、また、加圧によっ
て、絶縁層となっていた外装体のバリア層12’より内
側の層、及び、リード線用フィルム層20’が、ともに
加圧部の領域の外に押し出されることがある。その結
果、外装体のバリア層12’であるアルミニウム箔と金
属からなるリード線本体4’とが接触しショートSする
ことがあった。
【0011】本発明者らは、前記ショートを防止するこ
とについて、鋭意研究の結果、リード線用フィルムの材
質及び構成を変更することで、前記課題を解決し得るこ
とを見出し、本発明を完成するに到った。すなわち、本
発明は、図1(b)及び図1(e)に示すように金属で
あるリード線4と外装体のシーラント層14との間に、
次のようなリード線用フィルム20を介在させるもので
ある。すなわち、該フィルム20を、図1(b)に示す
ように、ヒートシールによる熱と加圧によりつぶれ難い
低流動性ポリプロピレン層(以下、低流動性PP層)2
2と、つぶれ易い高流動性酸変性ポリプロピレン層(以
下、高流動性PPa)21とからなり、リード線4に接
する層を高流動性酸変性PPa層21とするまたは、図
1(e)に示すように、ヒートシールによる熱と加圧に
より高流動性PP21(2)、低流動性PP22、高流
動性PPa21(1)とからなり、リード線に接する層
を高流動性PPa21(1)とする。前記低流動性PP
層22は、電池用包装材料の密封に適したヒートシール
条件によるヒートシールの熱と圧力とを受けて熔融樹脂
となった状態においても低流動性であり、バリア層12
とリード線4との間に絶縁膜を存在させる。一方、高流
動性PPa層は、金属であるリード線4に対して接着性
を示し、かつ熔融時に低粘性となり段差部の密封効果を
示す。本発明における前記低流動性PP22、高流動性
PPa21の流動性は、JIS K7210により測定
されたメルトインデックス(以下、MIと記載)の値に
より区別することができる。本発明における低流動性P
P22としてはMIが0.5〜3.0g/10min、
また、高流動性PPa21および高流動性PPa
(1)、高流動性PP(2)としては、MIが5.0〜
30g/10minものが好ましい。
【0012】本発明のリード線用フィルム20は、例え
ば、図1(a)に示すように、低流動性PP22と高流
動性PPa21とから構成される2層のフィルム、ある
いは、図1(d)に示すように、高流動性PP21
(2)、低流動性PP22、高流動性PPa21(1)
から構成される3層のフィルムである。
【0013】本発明のリード線用フィルム20における
層厚比として、低流動性PP層22と高流動性PPa層
21とからなる2層構成の場合、低流動性PPは高流動
性PPaの1.5倍以上とすることが望ましい。また、
高流動性PPa21(2)、低流動性PP22、高流動
性PPa21(1)から構成される3層構成の場合、低
流動性PPは高流動性PPa(1)と高流動性PP
(2)との合計の厚みの1.5倍以上とすることが望ま
しい。低流動性PPの層厚みが、前記2層のリード線用
フィルムの場合に高流動性PPa21が、また前記3層
リード線用フィルムの場合高流動性PPa21(1)と
高流動性PPa21(2)との合計の層厚みの1.5倍
未満の厚さでは、シール時につぶれてしまい、課題に対
する効果が少なくバリア層とリード線との間での短絡の
恐れがある。
【0014】本発明のリード線用フィルムは、共押出し
製膜することが望ましい。層の厚さとしては、低流動性
PP層が5μm以上、該リード線用フィルム20の総厚
は、使用されるリード線の1/3以上有ればよく、たと
えば、100μmの厚さのリード線であれば、リード線
用フィルム20の総厚は30μm以上あれば良い。
【0015】本発明のリード線用フィルム20に用いる
ポリプロピレン系樹脂としては、ホモタイプポリプロピ
レン、ランダムタイプポリプロピレン、ブロックタイプ
ポリプロピレンを用いることができる。また、酸変性ポ
リプロピレン系樹脂とは、不飽和カルボン酸をグラフト
したホモタイプポリプロピレン、ランダムタイプポリプ
ロピレン、ブロックタイプポリプロピレンである。
【0016】本発明の電池リード線用フィルム20を外
装体とリード線4との間に介在させて密封シールをした
場合に、例えば、低流動性PP22と高流動性PPa2
1との2層からなるリード線用フィルム20では、図1
(c)に示すように、前記密封のための熱、圧力によっ
ても低流動性PP層22は膜状の層としてバリア層12
とリード線4との間に残存し、また、高流動性PPa2
1(2)と低流動性PP22と高流動性PPa21
(1)との3層からなるリード線用フィルム20では、
図1(f)に示すように、前記密封のための熱、圧力に
よっても低流動性PP層22は膜状の層として、外装体
のバリア層12とリード線4との間に残存し、バリア層
12とリード線4とのショートを防止する絶縁層として
機能して、前記ショートを回避することができる。
【0017】電池用包装材料は電池本体を包装する外装
体を形成するものであって、その外装体の形式によっ
て、図5に示すようなパウチタイプと、図6(a)、図
6(b)または図6(c)に示すようなエンボスタイプ
とがある。前記パウチタイプには、三方シール、四方シ
ール等及びピロータイプ等の袋形式があるが、図5は、
ピロータイプとして例示している。
【0018】エンボスタイプは、図6(a)に示すよう
に、片面に凹部を形成しても良いし、図6(b)に示す
ように、両面に凹部を形成して電池本体を収納して周縁
の四方をヒートシールして密封しても良い。また、図6
(c)に示すような折り部をはさんで両側に凹部形成し
て、電池を収納して3辺をヒートシールする形式もあ
る。
【0019】外装体のヒートシール層14として金属に
対してヒートシール性を持たない材質とした時には、前
述のように、外装体5とリード線4との間にリード線用
フィルム20を介在させるがその具体的方法は、例え
ば、図3(a)及び図3(b)に示すように、電池本体
のリード線部密封シール部の上下にリード線用フィルム
20をおいて(実際には仮着シールにより固定して)外
装体5に挿入しリード線部を挟持した状態でヒートシー
ルすることによって密封する。
【0020】リード線用フィルム20のリード線4への
介在方法として、図3(d)または図3(e)に示すよ
うに、リード線4の所定の位置にリード線用フィルム2
0のフィルムを巻き付けてもよい。リード線4とリード
線用フィルム20は、図4(a)に示すように、リード
線4にリード線用フィルム6の酸変性ポリオレフィン2
1を予め溶着mkさせて用いてもよい。あるいは、図4
(b)に示すように、リード線4とリード線用フィルム
20とを仮着wkさせた状態で用いてもよい。さらに、
図4(c)または図4(d)に示すように、予め外装体
10のシーラント層14の面に仮着wkまたは溶着mk
させてもよい。
【0021】次に、本発明の電池リード線用フィルム2
0を適用する外装体10の材質について説明する。前記
外装体は、図2(a)に示すように、少なくとも基材層
11、接着層16、バリア層12、保護層15、接着樹
脂層13、シーラント層14から構成されるものであ
る。あるいは、図2(b)、図2(c)に示すように、
少なくとも基材層11、接着層16、保護15(1)、
バリア層12、保護層15(2)、接着樹脂層、13、
シーラント層14から構成されるものである。
【0022】本発明のリード線用フィルムに適用する外
装体を形成する電池用包装材料を積層する場合の、バリ
ア層12に設けた保護層15とシーラント層14との接
着は、例えば、リチウムイオン電池等における電解液と
水分との反応により発生するフッ化水素酸などによるデ
ラミネーション防止のために、以下に述べるラミネート
および接着安定化処理を行うことが望ましい。
【0023】前記外装体におけるバリア層12とシーラ
ント層14とのラミネートは、図2(a)に示すように
ドライラミネート法13dでもよいし、図2(b)に示
すように、接着樹脂層13eによりサンドイッチラミネ
ート法、あるいは共押出ラミネート法を用いてもよい。
さらに、図2(c)に示すように、酸変性ポリプロピレ
ンのエマルジョン液を塗布乾燥後、更に焼付けた面13
hにシーラント層14を熱ラミネート法により積層して
もよい。前記ラミネート法の内、サンドイッチラミネー
ト法、共押出しラミネート法を用いた場合には、ラミネ
ート工程において、バリア層のラミネート面を加熱して
積層する方法、または、得られた積層体を後加熱により
接着強度の向上を図ることが望ましい。
【0024】前記基材層11は、電池として用いられる
場合、ハードと直接接触する部位であるため、基本的に
絶縁性を有する樹脂層がよい。フィルム単体でのピンホ
ールの存在、及び加工時のピンホールの発生等を考慮す
ると、基材層は6μm以上の厚さが必要であり、好まし
い厚さとしては12〜30μmである。
【0025】外装体における前記基材層11としては、
延伸ポリエステルまたはナイロンフィルムからなるが、
この時、ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレ
ンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、共重合ポ
リエステル、ポリカーボネート等が挙げられる。またナ
イロンとしては、ポリアミド樹脂、すなわち、ナイロン
6、ナイロン6,6、ナイロン6とナイロン6,6との
共重合体、ナイロン6,10、ポリメタキシリレンアジ
パミド(MXD6)等が挙げられる。
【0026】基材層11は耐ピンホール性及び電池の外
装体とした時の絶縁性を向上させるために、積層化する
ことも可能である。基材層を積層体化する場合、基材層
が2層以上の樹脂層を少なくとも一つを含み、各層の厚
みが6μm以上、好ましくは、12〜30μmである。
基材層を積層化する例としては、次の1)〜8)が挙げ
られる。 1)延伸ポリエチレンテレフタレート/延伸ナイロン 2)延伸ナイロン/延伸延伸ポリエチレンテレフタレー
ト また、包装材料の機械適性(包装機械、加工機械の中で
の搬送の安定性)、表面保護性(耐熱性、耐電解質
性)、2次加工とて電池用の外装体をエンボスタイプと
する際に、エンボス時の金型と基材層との摩擦抵抗を小
さくする目的あるいは電解液が付着した場合に基材層を
保護するために、基材層を多層化、基材層表面にフッ素
系樹脂層、アクリル系樹脂層、シリコーン系樹脂層、ポ
リエステル系樹脂層、またはこれらのブレンド物からな
る樹脂層等を設けることが好ましい。例えば、 3)フッ素系樹脂/延伸ポリエチレンテレフタレート
(フッ素系樹脂は、フィルム状物、または液状コーティ
ング後乾燥で形成) 4)シリコーン系樹脂/延伸ポリエチレンテレフタレー
ト(シリコーン系樹脂は、フィルム状物、または液状コ
ーティング後乾燥で形成) 5)フッ素系樹脂/延伸ポリエチレンテレフタレート/
延伸ナイロン 6)シリコーン系樹脂/延伸ポリエチレンテレフタレー
ト/延伸ナイロン 7)アクリル系樹脂/延伸ナイロン(アクリル系樹脂は
フィルム状、または液状コーティング後乾燥で硬化) 8)アクリル系樹脂+ポリシロキサングラフト系アクリ
ル樹脂/延伸ナイロン(アクリル系樹脂はフィルム状、
または液状コーティング後乾燥で硬化) また、少なくとも基材層11にエルカ酸アマイド、オレ
イン酸アマイド、ステアリン酸アマイド、ビスエルカ酸
アマイド、ビスオレイン酸アマイド、ビスステアリン酸
アマイドに代表される一般的にはポリオレフィン系樹脂
に内部添加する滑剤の少なくとも一つを、イソプロピル
アルコール、酢酸エチル、トルエン、メチルーエチルー
ケトン等の溶剤で溶液状とし塗工、塗布することで表面
の滑り性が改善され成形性が向上することも判明した。
【0027】前記バリア層12は、外部から電池の内部
に特に水蒸気が浸入することを防止するための層で、バ
リア層単体のピンホール、及び加工適性(パウチ化、エ
ンボス成形性)を安定化し、かつ耐ピンホールをもたせ
るために厚さ15μm以上のアルミニウム、ニッケルな
どの金属、または、無機化合物、例えば、酸化珪素、ア
ルミナ等を蒸着したフィルムなども挙げられるが、バリ
ア層として好ましくは厚さが20〜80μmのアルミニ
ウムとする。ピンホールの発生をさらに改善し、電池の
外装体のタイプをエンボスタイプとする場合、エンボス
成形におけるクラックなどの発生のないものとするため
に、本発明者らは、バリア層として用いるアルミニウム
の材質が、鉄含有量が0.3〜9.0重量%、好ましく
は0.7〜2.0重量%とすることによって、鉄を含有
していないアルミニウムと比較して、アルミニウムの展
延性がよく、積層体として折り曲げによるピンホールの
発生が少なくなり、かつ前記エンボスタイプの外装体を
成形する時に側壁の形成も容易にできることを見出し
た。前記鉄含有量が、0.3重量%未満の場合は、ピン
ホールの発生の防止、エンボス成形性の改善等の効果が
認められず、前記アルミニウムの鉄含有量が9.0重量
%を超える場合は、アルミニウムとしての柔軟性が阻害
され、積層体として製袋性が悪くなる。
【0028】また、冷間圧延で製造されるアルミニウム
は焼きなまし(いわゆる焼鈍処理)条件でその柔軟性・
腰の強さ・硬さが変化するが、本発明において用いるア
ルミニウムは焼きなましをしていない硬質処理品より、
多少または完全に焼きなまし処理をした軟質傾向にある
アルミニウムがよい。前記、アルミニウムの柔軟性・腰
の強さ・硬さの度合い、すなわち焼きなましの条件は、
加工適性(パウチ化、エンボス成形)に合わせ適宜選定
すればよい。例えば、エンボス成形時のしわやピンホー
ルを防止するためには、成形の程度に応じた焼きなまし
された軟質アルミニウムを用いることが望ましい。
【0029】本発明者らは、電池用包装材料のバリア層
12であるアルミニウムの表、裏面に化成処理等の保護
層を設けることによって、前記包装材料として満足でき
る積層体とすることができた。例えば、前記化成処理と
は、具体的にはリン酸塩、クロム酸塩、フッ化物、トリ
アジンチオール化合物等の耐酸性皮膜を形成することに
よってエンボス成形時のアルミニウムと基材層との間の
デラミネーション防止と、電池の電解質と水分とによる
反応で生成するフッ化水素により、アルミニウム表面の
溶解、腐食、特にアルミニウムの表面に存在する酸化ア
ルミが溶解、腐食することを防止し、かつ、アルミニウ
ム表面の接着性(濡れ性)を向上させ、エンボス成形
時、ヒートシール時の基材層11とアルミニウム12と
のデラミネーション防止、電解質と水分との反応により
生成するフッ化水素によるアルミニウム内面側でのデラ
ミネーション防止効果が得られることを確認している。
各種の物質を用いて、アルミニウム面に化成処理を施
し、その効果について研究した結果、前記耐酸性皮膜形
成物質のなかでも、フェノール樹脂、フッ化クロム
(3)化合物、リン酸の3成分から構成されたものを用
いるリン酸クロメート処理が良好であった。または、少
なくともフェノール樹脂を含む樹脂成分に、モリブデ
ン、チタン、ジルコン等の金属、または金属塩を含む化
成処理剤が良好であった。
【0030】電池の外装体がパウチタイプの場合には、
アルミの化成処理はパウチで用いる場合、ヒートシール
層側のみの片側または基材層側とヒートシール層側の両
面のどちらでも良い。電池の外装体がエンボスタイプの
場合には、アルミニウムの両面に化成処理することによ
って、エンボス成形の際のアルミニウムと基材層との間
のデラミネーションを防止することができる。
【0031】本発明のリード線用フィルムを適用する場
合の外装体のシーラント層は、ホモタイプ、ランダムタ
イプまたはブロックタイプのプロピレン系樹脂、また
は、これらのポリプロピレン層を最内層とする多層シー
ラントとしもよい。外装体の少なくとも最内層をポリプ
ロピレン樹脂とすることによって、最終製品としての電
池としての耐熱性が確保される。また、ポリプロピレン
系樹脂からなるシーラント層14、及び接着樹脂層13
にはブテン成分、エチレンとブテンとプロピレンの3成
分共重合体からなるターポリマー成分、密度が900k
g/m3の低結晶のエチレンとブテンの共重合体、非晶
性のエチレンとプロピレンの共重合体、プロピレンーα
・オレフィン共重合体成分、ブタジエンゴム等を添加す
ることもできる。
【0032】本発明の電池用包装材料において、外装体
を形成する積層体における前記の各層には、適宜、製膜
性、積層化加工、最終製品2次加工(パウチ化、エンボ
ス成形)適性を向上、安定化する目的のために、コロナ
処理、ブラスト処理、酸化処理、オゾン処理等の表面活
性化処理をしてもよい。
【0033】
【実施例】本発明の電池リード線用フィルムについて、
実施例によりさらに具体的に説明する。
【実施例】本発明の電池用包装材料ついて、実施例によ
りさらに具体的に説明する。実施例比較例ともに共通条
件は次の通りである。 (1)外装体 以下の、実施例及び比較例において、パウチタイプの外
装体としては、巾30mm巾、長さ50mm(いずれも
内寸)とし、また、エンボスタイプの外装体の場合は、
いずれも片面エンボスタイプとし、成形型の凹部(キャ
ビティ)の形状を30mm×50mm,深さ3.5mm
としてプレス成形して成形性の評価をした。 (2)シーラント層は、いずれも、ランダムポリプロピ
レン樹脂(MI=7g/10min、融点147℃)か
らなる30μmの厚さの層とした。 (3)化成処理 外装体のバリア層に化成処理を施す場合は、実施例、比
較例ともに、処理液として、フェノール樹脂、フッ化ク
ロム(3)化合物、リン酸からなる水溶液を、ロールコ
ート法により、塗布し、皮膜温度が180℃以上となる
条件において焼き付けた。クロムの塗布量は、2mg/
2(乾燥重量)とした。 (4)リード線 実施例、比較例ともに、リード線はいずれも100μm
の厚さ、4mm巾、長さ25mmのものとした。リード
線用フィルムは、いずれも100μmの厚さとして、電
池本体のリード線の所定の位置に巻き付けた後、電池本
体をそれぞれの外装体に挿入した。 (5)ヒートシール条件 ヒートシール条件としては、190℃、2.0MPa、
5secとした。 [実施例1]アルミニウム20μmの片面に化成処理を
施し、化成処理していない面に延伸ポリエステルフィル
ム(厚さ12μm)をドライラミネート法により貼り合
わせ、次に、化成処理したアルミニウムの他の面を、接
着樹脂層となる酸変性ポリプロピレン(以下、PPa)
の軟化点以上の温度に加熱して、PPaを押出してシー
ラント層となるランダムタイプポリプロピレンフィルム
からなるシーラント層をサンドイッチラミネート法によ
り貼り合わせて得られた積層体を用いて外装体としてピ
ロータイプのパウチを形成した。リード線用フィルムの
構成は、次の通りである。低流動性PP(MI0.5g
/10min、融点160℃)<60>/高流動性PP
a(MI28g/10min、融点160℃)<40>
の2層共押出しフィルムとした。<>内数値は、共押出
し多層の層厚み比を示し、以下の実施例、比較例も同じ
である。電池本体を、前記外装体中に挿入し、ヒートシ
ールにより密封し検体実施例1とした。 [実施例2]アルミニウム40μmの両面に化成処理を
施し、化成処理した一方の面に延伸ナイロンフィルム
(厚さ25μm)をドライラミネート法により貼り合わ
せ、次に、化成処理したアルミニウムの他の面にドライ
ラミネート法によりランダムタイプポリプロピレンから
なるシーラント層を貼り合わせた。得られた積層体を用
いてエンボス成形によりトレイを形成した。成形しない
積層体を蓋体として、エンボスタイプの外装体を得た。
リード線用フィルムの構成は、次の通りである。高流動
性PP(MI10g/10min、融点147℃)<5
>/低流動性PP(MI1.0g/10min、融点1
60℃)<90>/高流動性PPa(MI10g/10
min、融点147℃)<5>の3層共押出しフィルム
とした。電池本体を、前記外装体中に挿入し、ヒートシ
ールにより密封し検体実施例2とした。 [実施例3]アルミニウム40μmの両面に化成処理を
施し、化成処理した一方の面に延伸ナイロンフィルム
(厚さ25μm)をドライラミネート法により貼り合わ
せ、次に、化成処理したアルミニウムの他の面に、酸変
性ポリプロピレンのエマルジョン液を塗布乾燥し、更
に、180℃の温度で焼付けた後、該焼付層の面に熱ラ
ミネート法によりシーラント層を貼り合わせた。得られ
た積層体を用いてエンボス成形によりトレイを形成し
た。成形しない積層体を蓋体として、エンボスタイプの
外装体を得た。リード線用フィルムの構成は、次の通り
である。低流動性PP(MI3.0、融点147℃)<
95>/高流動性PPa(MI7.0g/10min、
融点147℃)<5>の2層共押出しフィルムとした。
電池本体を、前記外装体中に挿入し、ヒートシールによ
り密封し検体実施例3とした。 [実施例4]アルミニウム40μmの両面に化成処理を
施し、化成処理した一方の面に延伸ナイロンフィルム
(厚さ25μm)をドライラミネート法により貼り合わ
せ、次に、化成処理したアルミニウムの他の面に、酸変
性ポリプロピレンを接着樹脂としてサンドイッチラミネ
ート法によりランダムポリプロピレンフィルムからなる
シーラント層を貼り合わせた。得られた積層体を、酸変
性ポリプロピレンの軟化点以上の温度に加熱した後、こ
の積層体を用いてエンボス成形によりトレイを形成し
た。成形しない積層体を蓋体として、エンボスタイプの
外装体を得た。リード線用フィルムの構成は、次の通り
である。高流動性PP(MI8g/10min、融点1
47℃)<10>/低流動性PP(MI1.5g/10
min、融点160℃)<80>/高流動性PPa(M
I8g/10min、融点165℃)<10>の3層共
押出しフィルムとした。電池本体を、前記外装体中に挿
入し、ヒートシールにより密封し検体実施例4とした。 [実施例5]アルミニウム40μmの両面に化成処理を
施し、化成処理した一方の面に延伸ナイロンフィルム
(厚さ25μm)をドライラミネート法により貼り合わ
せ、次に、化成処理したアルミニウムの他の面に、酸変
性ポリプロピレンを接着樹脂として共押出ラミネート法
によりシーラント層となるランダムポリプロピレン樹脂
とを共押出しして貼り合わせた。得られた積層体を、酸
変性ポリプロピレンの軟化点以上の温度に加熱した後、
この積層体を用いてエンボス成形によりトレイを形成し
た。成形しない積層体を蓋体として、エンボスタイプの
外装体を得た。リード線用フィルムの構成は、次の通り
である。高流動性PP(MI20g/10min、融点
160℃)<5>/低流動性PP(MI3g/10mi
n、融点160℃)<75>/高流動性PPa(MI8
g/10min、融点147℃)<20>の3層共押出
しフィルムとした。電池本体を、前記外装体中に挿入
し、ヒートシールにより密封し検体実施例5とした。
【0034】[比較例1]アルミニウム40μmの両面
に化成処理を施し、化成処理した一方の面に延伸ナイロ
ンフィルム(厚さ25μm)をドライラミネート法によ
り貼り合わせ、次に、化成処理したアルミニウムの他の
面に、酸変性ポリプロピレンのエマルジョン液を塗布乾
燥し、更に、180℃の温度で焼付けた後、該焼付層の
面に熱ラミネート法によりシーラント層を貼り合わせ
た。得られた積層体を用いてエンボス成形によりトレイ
を形成した。成形しない積層体を蓋体として、エンボス
タイプの外装体を得た。リード線用フィルムの構成は、
次の通りである。MI=20g/10min、融点14
7℃の酸変性PPフィルムとした。電池本体を、前記外
装体中に挿入し、ヒートシールにより密封し検体比較例
1とした。 [比較例2]アルミニウム40μmの両面に化成処理を
施し、化成処理した一方の面に延伸ナイロンフィルム
(厚さ25μm)をドライラミネート法により貼り合わ
せ、次に、化成処理したアルミニウムの他の面に、酸変
性ポリプロピレンを接着樹脂としてサンドイッチラミネ
ート法によりランダムポリプロピレンフィルムからなる
シーラント層を貼り合わせた。得られた積層体を、酸変
性ポリプロピレンの軟化点以上の温度に加熱した後、こ
の積層体を用いてエンボス成形によりトレイを形成し
た。成形しない積層体を蓋体として、エンボスタイプの
外装体を得た。リード線用フィルムの構成は、次の通り
である。低流動性PP(MI0.5g/10min、融
点160℃)<10>/高流動性PPa(MI20g/
10min、融点165℃)<90>の2層共押出しフ
ィルムとした。電池本体を、前記外装体中に挿入し、ヒ
ートシールにより密封し検体比較例2とした。 [比較例3]アルミニウム40μmには化成処理を施さ
ないで、一方の面に延伸ナイロンフィルム(厚さ25μ
m)をドライラミネート法により貼り合わせ、次に、他
の面に、酸変性ポリプロピレンを接着樹脂としてサンド
イッチラミネート法によりランダムポリプロピレンフィ
ルムからなるシーラント層を貼り合わせた。得られた積
層体を、酸変性ポリプロピレンの軟化点以上の温度に加
熱した後、この積層体を用いてエンボス成形によりトレ
イを形成した。成形しない積層体を蓋体として、エンボ
スタイプの外装体を得た。リード線用フィルムの構成
は、次の通りである。高流動性PP(MI8g/10m
in、融点147℃)<10>/低流動性PP(MI
1.5g/10min、融点160℃)<80>/高流
動性PPa(MI8g/10min、融点160℃)<
10>の3層共押出しフィルムとした。電池本体を、前
記外装体中に挿入し、ヒートシールにより密封し検体実
施例3とした。
【0035】<評価方法> (1)リード線と外装体のバリア層との短絡の有無 リード線部と外装体とのショート状態とを、リード線部
のヒートシール部を断裁し、断面写真により確認し、リ
ード線と外装体のバリア層とのショートのおそれのある
ものについては、テスターによって接触を確認し、断面
写真によって、リード線と外装体のバリア層との間に皮
膜が見られないものをショート寸前とし、その内でテス
ターによりショートが確認された検体をショート数とし
た。 2)もれとデラミネーションの確認 ヒートシール品を80℃、24時間保存し、リード線部
からの内容物のもれと、内容物側の積層体のデラミネー
ション(以下デラミ)を確認した。 内容物:電解液1M LiPF6となるようにしたエチ
レンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカ
ーボネート(1:1:1)の混合液、3g。
【0036】<結果>実施例1〜実施例5はいずれも、
リード線部でのショート、デラミおよび漏れは皆無であ
った。比較例1においては、デラミはみとめられなかっ
たが、500検体中15検体にショートが認められた。
比較例2においては、デラミはみとめられなかったが、
500検体中20検体にショートが認められた。比較例
3においては、ショートおよび漏れは認められなかった
が、500検体中150検体にデラミが認められた。ま
た、比較例1から3においては漏れは認められなかっ
た。
【0037】
【発明の効果】本発明の電池用包装材料から形成された
外装体のパウチまたはエンボス成形部に電池本体を収納
しその周縁をヒートシールして密封する際、電池のリー
ド線と外装体との間介在させるリード線用フィルムを、
少なくともヒートシールによる熱と加圧によりつぶれ難
い低流動性ポリプロピレン層とつぶれ易い高流動性の酸
変性ポリプロピレン層とを含む多層フィルムであり、リ
ード線側を高流動性の酸変性ポリプロピレン層とするこ
とによって、電池の密封シールの際に、外装体のバリア
層とリード線とが接触(ショート)することがなくなっ
た。また、外装体のアルミニウムの両面に施した化成処
理等の保護層によって、エンボス成形時、及びヒートシ
ール時の基材層とアルミニウムとの間でのデラミネーシ
ョンの発生を防止することができ、また、ヒートシール
層をサンドイッチラミネート法または共押出ラミネート
法により形成した場合に、積層体の形成時の加熱、また
は積層体形成後の加熱によって、電池の電解質と水分と
の反応により発生するフッ化水素によるアルミニウム面
の腐食を防止できることにより、アルミニウムとの内容
物側の層とのデラミネーションをも防止できる外装体と
することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリード線用フィルムを説明する図で、
(a)リード線用フィルムの層構成を示す断面図、
(b)電池リード線、外装体、リード線用フィルムの材
質及び位置関係(片側)を説明する図、(c)ヒートシ
ール後のリード線部の模式断面図であり、(d)、
(e)および(f)は、別のリード線用フィルムを用い
た場合の同様の説明図である。
【図2】電池の外装体を形成する積層体の層構成例を示
す断面図である。
【図3】電池用包装材料とリード線との接着におけるリ
ード線用フィルムの装着方法を説明する斜視図である。
【図4】本発明におけるリード線用フィルムのリード線
と外装体との間への介在方法を説明する図である。
【図5】電池のパウチタイプの外装体を説明する斜視図
である。
【図6】電池のエンボスタイプの外装体を説明する斜視
図である。
【図7】エンボスタイプにおける成形を説明する、
(a)斜視図、(b)エンボス成形された外装体本体、
(c)X2−X2部断面図、(d)Y1部拡大図である。
【図8】従来のリード線用フィルムを用いてバリア層と
リード線とがショートした状態を示す断面図である。
【符号の説明】 S リード線とバリア層とのショート部 H ヒートシール熱板 wk 仮着 mk 溶着 1 電池 2 電池本体 3 セル(蓄電部) 4 リード線(電極) 5 外装体 7 凹部 8 側壁部 9 シール部 10 積層体(電池用包装材料) 11 基材層 12 アルミニウム(バリア層) 13 バリア層とシーラント層との接着層(接着樹脂
層) 13d ドライラミネート層 13e 酸変性ポリプロピレンの押出層 13h 酸変性ポリプロピレンの塗布焼付け層 14 ヒートシール層 15 保護層 16 基材層とバリア層間の接着層 20 リード線用フィルムの積層体 21 高流動性PPa層 22 低流動性PP層 30 プレス成形部 31 オス型 32 メス型 33 キャビティ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 奥下 正隆 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 Fターム(参考) 5H011 AA01 AA02 AA09 BB04 CC10 DD23 EE04 FF04 GG01 5H022 AA09 AA16 CC09 CC11 EE01 EE06 EE10

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内面にヒートシール性を有する積層体から
    なる外装体の周縁シール部に、細長の板または棒状の金
    属からなるリード線本体を挟持して、前記外装体の周縁
    部を密封シールする際に、前記積層体とリード線本体と
    の間に介在させるフィルムが、少なくともヒートシール
    による熱と加圧によりつぶれ難い低流動性ポリプロピレ
    ン層とつぶれ易い高流動性の酸変性ポリプロピレン層と
    を含む多層フィルムであり、リード線側を高流動性の酸
    変性ポリプロピレン層とすることを特徴とする電池のリ
    ード線用フィルム。
  2. 【請求項2】多層フィルムが、低流動性ポリプロピレン
    層と、高流動性の酸変性ポリプロピレン層との2層から
    なり、リード線側を高流動性ポリプロピレン層とするこ
    とを特徴とする請求項1に記載した電池のリード線用フ
    ィルム。
  3. 【請求項3】多層フィルムが、高流動性ポリプロピレン
    層、低流動性ポリプロピレン層、高流動性の酸変性ポリ
    プロピレン層の3層からなることを特徴とする請求項1
    に記載した電池のリード線用フィルム。
  4. 【請求項4】前記リード線本体に、前記請求項1〜請求
    項3のいずれかに記載のリード線用フィルムが部分的に
    装着されたことを特徴とするリード線。
  5. 【請求項5】少なくとも基材層、接着層、アルミニウ
    ム、保護層、ポリプロピレン系樹脂のシーラント層から
    構成される外装体を形成し、電池本体を挿入し、周縁を
    ヒートシールする際に、前記外装体とリード線との間に
    請求項1〜請求項3のいずれかに記載のリード線用フィ
    ルムを介在させることを特徴とする電池用包装材料。
  6. 【請求項6】セルとリード線からなる電池本体が、請求
    項5に記載の包装材料からなる外装体に封入され、密封
    されていることを特徴とする電池。
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