JP2003282035A - 電池の接着性フィルム - Google Patents

電池の接着性フィルム

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JP2003282035A
JP2003282035A JP2002079352A JP2002079352A JP2003282035A JP 2003282035 A JP2003282035 A JP 2003282035A JP 2002079352 A JP2002079352 A JP 2002079352A JP 2002079352 A JP2002079352 A JP 2002079352A JP 2003282035 A JP2003282035 A JP 2003282035A
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Takanori Yamashita
孝典 山下
Rikiya Yamashita
力也 山下
Kazuki Yamada
一樹 山田
Masataka Okushita
正隆 奥下
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】電池包装において、外装体に電池本体を挿入し
てその周縁をヒートシールして密封する際に、ヒートシ
ールの熱と圧力によって外装体のバリア層とリード線と
がショートすることなく安定した密封性と電池性能を安
定化させる十分な水分バリア性を有する電池用接着性フ
ィルムを提供する。 【解決手段】内面にヒートシール性を有する積層体から
なる外装体に電池本体を収納した外装体の周縁シール部
に、細長の板または棒状の金属からなるリード線本体を
挟持して、前記外装体の周縁部を密封シールする際に、
前記積層体とリード線本体との間に介在させるフィルム
であって、少なくとも架橋樹脂層を含むものとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明の電池の接着性フィル
ムは、防湿性、耐内容物性を有する、液体または固体有
機電解質(高分子ポリマー電解質)を持つリチウムイオ
ン電池用包装材料であって電池本体を包装する外装体と
前記電池のリード線との間に介在させる接着性フィルム
に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明における電池とは、化学的エネル
ギーを電気的エネルギーに変換する素子を含む物、例え
ば、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、燃料
電池等や、または、液体、固体セラミック、有機物等の
誘電体を含む液体コンデンサ、固体コンデンサ、二重層
コンデンサ等の電解型コンデンサを示す。電池の用途と
しては、パソコン、携帯端末装置(携帯電話、PDA
等)、ビデオカメラ、電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄
電池、ロボット、衛星等に用いられる。前記電池の外装
体としては、金属をプレス加工して円筒状または直方体
状に容器化した金属製缶、あるいは、プラスチックフィ
ルム、金属箔等のラミネートにより得られる複合フィル
ムからなる積層体を袋状にしたもの(以下、外装体)が
用いられていた。電池の外装体として、次のような問題
があった。金属製缶においては、容器外壁がリジッドで
あるため、電池自体の形状が決められてしまう。そのた
め、ハード側を電池にあわせる設計をするため、該電池
を用いるハードの寸法が電池により決定されてしまい形
状の自由度が少なくなる。そのため、前記袋状の外装体
を用いる傾向にある。前記外装体の材質構成は、電池と
しての必要な物性、加工性、経済性等から、少なくとも
基材層、バリア層、シーラント層と前記各層を接着する
接着層からなり、必要に応じて中間層を設けることがあ
る。電池の前記構成の積層体からパウチを形成し、また
は、少なくとも片面をプレス成形して電池の収納部を形
成して電池本体を収納し、パウチタイプまたは、エンボ
スタイプ(蓋体を被覆して)において、それぞれの周縁
の必要部分をヒートシールにより密封することによって
電池とする。前記シーラント層としては、シーラント層
同士のヒートシール性とともにリード線(金属)に対し
てもヒートシール性を有することが求められ、金属接着
性を有する酸変性ポリオレフィン樹脂をシーラント層と
することでリード線部との密着性は確保される。
【0003】しかし、酸変性ポリオレフィン樹脂を外装
体のシーラント層として積層すると、一般的なポリオレ
フィン樹脂と比較してその加工性が劣ること、また、コ
ストが高いこと等のために、外装体のシーラント層とし
て一般的なポリオレフィン樹脂層とし、リード線部にシ
ーラント層とリード線との両方に熱接着可能な接着性フ
ィルムを介在させる方法が採用されていた。具体的に
は、図7(a)に示すように、リード線4’と積層体1
0’のシーラント層14’との間に、リード線4’と積
層体10のシーラント層14’との双方に対してヒート
シール性を有する接着性フィルム20’を介在させるこ
とにより、リード線部での密封性を確保していた。前記
接着性フィルム20’としては、前記不飽和カルボング
ラフトポリオレフィン、金属架橋ポリエチレン、エチレ
ンまたはプロピレンとアクリル酸、またはメタクリル酸
との共重合物からなるフィルムを用いていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、電池の外装体
(以下、外装体)を構成する積層体のシーラント層がポ
リオレフィン系樹脂からなる場合、電池本体を外装体に
収納し、その周縁をシールして密封するが、例えば、酸
変性ポリオレフィン単層からなる接着性フィルム20’
を用いる場合、リード線が存在する部分において、図7
(b)に示すように、ヒートシールのための熱と圧力に
よって前記積層体のシーラント層14’と接着性フィル
ム層20’とがともに溶融し、また、加圧によって加圧
部の領域の外に押出されることがある。その結果、積層
体10’のバリア層12’であるアルミニウム箔と金属
からなるリード線4’とが接触(S)しショートするこ
とがあった。また、電池は水分の浸入により著しく電池
性能が劣化することが知られている。そのため、シーラ
ント層に用いられるヒートシール性をもつ樹脂としては
ポリオレフィン樹脂が広く使われ、一般に用いられるポ
リオレフィンとしてはポリエチレン、ポリプロピレンで
ある。しかるにポリエチレンの融点は130℃以下と低
く耐熱性がなく、またポリプロピレン樹脂の融点は16
0℃とポリエチレンに比べ高いが、180℃から220
℃でヒートシールすると溶融してしまい密封性はでるが
外装体のバリア層とリード線とがショートしてしまう。
そのため、シール時の熱や圧力で溶融しないポリエステ
ル系樹脂をシーラント層とバリア層との間に介在させる
場合もあるが、ポリエステル樹脂の水分透過性は大きく
該包装材料を用いた場合の電池寿命は水分の影響を受け
寿命が短くなっていた。本発明の目的は、電池包装にお
いて、外装体に電池本体を挿入してその周縁をヒートシ
ールして密封する際に、ヒートシールの熱と圧力によっ
て外装体のバリア層とリード線とがショートすることな
く安定した密封性と電池性能を安定化させる十分な水分
バリア性を有する電池用接着性フィルムを提供しようと
するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、以下の本
発明により解決することができる。すなわち、請求項1
に記載した発明は、内面にヒートシール性を有する積層
体からなる外装体に電池本体を収納した外装体の周縁シ
ール部に、細長の板または棒状の金属からなるリード線
本体を挟持して、前記外装体の周縁部を密封シールする
際に、前記積層体とリード線本体との間に介在させるフ
ィルムであって、少なくとも架橋樹脂層を含むことを特
徴とする電池の接着性フィルムからなる。請求項2に記
載した発明は、請求項1に記載の架橋樹脂がシラン基を
含有するポリオレフィン樹脂であることを特徴とするも
のである。請求項3に記載した発明は、請求項1または
請求項2に記載した架橋樹脂層のゲル分率が5から80
%の範囲であることを特徴とするものである。請求項4
に記載した発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記
載した架橋樹脂の架橋方法が少なくとも水分または湿度
により架橋されることを特徴とするものである。請求項
5に記載した発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに
記載した接着性フィルムが、積層体と接する層が架橋樹
脂、リード線に接する層が金属用熱接着樹脂層からなる
多層構成であることを特徴とするものである。請求項6
に記載した発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記
載した接着性フィルムが、積層体と接する層がポリオレ
フィン、リード線に接する層が金属用熱接着樹脂からな
り、ポリオレフィンと金属用熱接着樹脂との間に架橋樹
脂を配した多層構成であることを特徴とするものであ
る。請求項7に記載した発明は、請求項1〜請求項6の
いずれかに記載したポリオレフィン系樹脂がポリエチレ
ンまたは酸変性ポリエチレンであることを特徴とするも
のである。請求項8に記載した発明は、請求項1〜請求
項6のいずれかに記載したポリオレフィン系樹脂がポリ
プロピレンまたは酸変性ポリプロピレンであることを特
徴とするものである。請求項9に記載した発明は、請求
項1〜請求項8のいずれかに記載した金属用熱接着樹脂
が酸変性ポリエチレンであることを特徴とするものであ
る。請求項10に記載した発明は、請求項1〜請求項8
のいずれかに記載した金属用熱接着樹脂が酸変性ポリプ
ロピレンであることを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明は、金属箔からなるバリア
層を含み、内面にヒートシール性を有する積層体からな
る外装体の中に細長の板または棒状の金属からなるリー
ド線を接続した電池本体を挿入して密封するために外装
体の周縁部を密封シールする際に、前記積層体とリード
線本体との間に介在させる接着性フィルムを、少なくと
も架橋樹脂層を含むフィルムとすることによって、電池
用包装材料のバリア層とリード線とがショートすること
がなく安定した密封性を持ち、かつ、電池性能を安定化
させる十分な水分バリア性を持った安定した電池包装を
することができることを特徴とするものである。以下、
本発明について、図等を利用してさらに詳細に説明す
る。
【0007】図1は、本発明の電池の接着性フィルムの
実施例を説明する図で、(a)接着性フィルムの層構成
を示す断面図、(b)電池リード線、外装体、接着性フ
ィルムの材質及び位置関係(片側)を説明する図、
(c)ヒートシール後のリード線部の模式断面図であ
り、(d)は別の構成の接着性フィルムの層構成を示す
断面図で、(e)および(f)はこの接着性フィルムを
用いた時の前記と同様の図である。図2は、電池の外装
体を形成する積層体の層構成例を示す断面図である。図
3は、電池用包装材料とリード線との接着における接着
性フィルムの装着方法を説明する斜視図である。図4
は、本発明における接着性フィルムのリード線と外装体
との間への介在方法を説明する図である。図5は、電池
のパウチタイプの外装体を説明する斜視図である。図6
は、電池のエンボスタイプの外装体を説明する斜視図で
ある。
【0008】電池のリード線としては、細長の板状また
は棒状の金属からなり、板状のリード線としては、厚さ
が50〜2000μm、 巾 が2.5〜20mm程度で
あって、その材質としては、 AL、Cu(Niメッキ
を含む)、Ni、等である。
【0009】また、電池の外装体のシーラント層は該シ
ーラント層(多層の場合はその最内樹脂層)同士がヒー
トシール可能な樹脂により形成される。そして、外装体
のシーラント層(多層の場合はその最内樹脂層)はリー
ド線に対しても直接ヒートシール可能な樹脂とすること
か望ましい。しかし、前述したように、一般的なポリオ
レフィン例えばポリエチレンやポリプロピレンの単体、
またはブレンド物の単層あるいは多層構成からなる樹脂
物をシーラント層とし、リード線と該シーラント層との
間には、シーラント層とリード線とのいずれにも熱接着
性を有する接着性フィルムを介在させることにより相互
にヒートシールして密封する方法がとられている。
【0010】電池の外装体は、電池本体の性能を長期に
わたって維持する性能を有することが求められ、基材
層、バリア層、シーラント層等を各種のラミネート法に
よって積層している。特に、電池の外装体(以下、外装
体)を構成する積層体のシーラント層がポリオレフィン
系樹脂等からなる場合、電池本体を外装体に収納し、そ
の周縁をシールして密封する際、リード線が存在する部
分において、例えば、接着性フィルムとして酸変性ポリ
オレフィンを用いる場合、図7(a)及び図7(b)に
示すようにヒートシールのための熱と圧力によって前記
外装体のシーラント層14’と接着性フィルム層20’
とがともに溶融し、また、加圧によって、絶縁層となっ
ていた外装体のバリア層12’より内側の層、及び、接
着性フィルム層20’が、ともに加圧部の領域の外に押
し出されることがある。その結果、外装体のバリア層1
2’であるアルミニウム箔と金属からなるリード線本体
4’とが接触しショートSすることがあった。
【0011】本発明者らは、前記課題を解決する方法に
ついて鋭意研究の結果、内面にヒートシール性を有する
積層体からなる外装体に電池本体を収納した外装体の周
縁シール部に、細長の板または棒状の金属からなるリー
ド線本体を挟持して、前記外装体の周縁部を密封シール
する際に、前記積層体とリード線本体との間に介在させ
る接着性フィルムを、少なくとも架橋樹脂層を含むフィ
ルムとし、該架橋樹脂をゲル分率が5〜80%であるシ
ラン基を含有するポリオレフィン樹脂とすることによっ
てヒートシールの際の熱と圧力により、熱融着層が流動
化しても、前記架橋樹脂層は流動化することが殆どなく
ヒートシール時にも絶縁膜として残存し、外装体の積層
体のバリア層とリード線とが接触することによるショー
トを防止することができ、電池性能を安定化させる十分
な水分バリア性を持つことを見出し本発明を完成するに
到った。
【0012】本発明の電池の接着性フィルムにおける架
橋樹脂とは、活性シラン基を含有するポリオレフィン樹
脂層であってゲル分率で5〜80%の範囲に架橋して網
目状分子構造を形成するものである。シラン基を含有さ
せるポリオレフィン樹脂は、まず、ポリオレフィン系樹
脂へ活性シラン基の導入を、グラフト重合法またゲル分
率で5から80%の範囲に架橋され、網目状分子構造を
形成したものである。シラン基を含有するポリオレフィ
ン樹脂はポリオレフィン系樹脂に活性シラン基をグラフ
ト重合法または共重合法あるいはブレンドにより導入
し、水分または温度により、シラン基を橋渡しとし、ポ
リオレフィン分子同士を網目状分子とすることで得られ
る。架橋方法は、活性シラン基が導入されたポリオレフ
ィン樹脂の製膜されたフィルムまたは形成された膜の周
辺に存在する水分と反応して網目状に架橋する。また、
架橋を促進するため、製膜時に架橋促進剤(触媒)を添
加したり、あるいは製膜後に加湿、加温することができ
る。ゲル分率は、検体樹脂をキシレン(100℃)で8
時間加熱し、不溶化物量の割合から算出する方法であ
る。さらに、本架橋樹脂の水分透過性は従来のポリオレ
フィン系樹脂と同等であリ優れた水分バリア層となりう
る。
【0013】そして、架橋された樹脂層は、耐熱性を示
し、電池のリード線部におけるヒートシール後において
も、リード線と包材のバリア層との間に膜状に残り絶縁
層として機能するので、バリア層とリード線とのショー
トを防止することができる。また、電池が高温雰囲気下
で充放電された際に発生する熱でシーラント層が溶融
し、電池セルとバリアー層との接触し短絡が起り、漏
れ、発火の原因となっていたが、この問題も、耐熱性が
上がることで防止することができることになった。例え
ば、未架橋のポリエチレンと活性シラン基を導入し水分
により架橋された架橋ポリエチレンの200℃、1.0
MPa、5秒間の圧縮率{(元の厚さ−圧縮後の厚さ)
/元の厚さ×100}を比較すると、未架橋ポリエチレ
ンは80%圧縮されるのに対し、5%架橋ポリエチレン
は60%、25%架橋ポリエチレンは40%、50%架
橋ポリエチレンは25%、80%架橋ポリエチレンは1
2%の圧縮率になる。また、未架橋のポリプロピレンと
活性シラン基を導入し水分により架橋された架橋ポリプ
ロピレンの200℃、1.0MPa、5秒間の圧縮率
{を比較すると、未架橋ポリプロピレンは78%圧縮さ
れるのに対し、5%架橋ポリプロピレンは55%、25
%架橋ポリプロピレンは38%、50%架橋ポリプロピ
レンは23%、80%架橋ポリプロピレンは10%の圧
縮率になる。またこの時、未架橋ポリエチレンと架橋ポ
リエチレンとの水分透過性は同等で、また、未架橋ポリ
プロピレンと架橋ポリプロピレンとの水分透過性も同等
である。
【0014】電池の接着性フィルムとして、前記架橋樹
脂のみからなる単層では、金属であるリード線に対する
熱接着性がないために、本発明の接着性フィルムとして
は、少なくとも2層構成以上のフィルムとし、例えば、
図1(a)に示すように、積層体のシーラント層側に架
橋樹脂層22、リード線側にリード線側樹脂層21とす
る2層フィルムとする。または、図1(d)に示すよう
に、積層体のシーラント層側にシーラント層側樹脂層2
3、中間に架橋樹脂層22、リード線側にリード線側樹
脂層21とする3層フィルムとする。
【0015】本発明のシーラント層側樹脂層23として
は、ポリエチレン、ポリプロピレン等をはじめ積層体の
シーラント層と熱接着可能な樹脂から選択することがで
きる。具体的には、(1)α・オレフィン重合体、
(2)エチレンとα・オレフィンとの共重合体、(3)
プロピレンとα・オレフィンとの共重合体、(4)不飽
和カルボン酸グラフト変性されたα・オレフィン重合体
およびα・オレフィンの共重合体、(5)エチレンとア
クリル酸またはアクリル酸誘導体との共重合体、(6)
エチレンとメタクリル酸またはメタクリル酸誘導体との
共重合体、(7)金属イオン架橋されたα・オレフィン
重合体またはエチレンとα・オレフィンとの共重合体の
中から選択されるが、例えば、α・オレフィン重合体や
共重合体としては、低密度ポリエチレン、中高密度ポリ
エチレン、線状低密度ポリエチレン、不飽和カルボン酸
をグラフト重合させたポリエチレン、また、ホモタイプ
ポリプロピレン、ブロックタイプポリプロピレン、ラン
ダムタイプポリプロピレン等、エチレンとプロピレンと
の共重合体物、エチレンとプロピレンとブテンの共重合
体物、不飽和カルボン酸をグラフトさせたポリプロピレ
ンの単体、またはブレンド物を用いた単層または多層か
らなる層等を用いることができる。また、ポリオレフィ
ン系樹脂からなるシーラント側樹脂層23にはブテン成
分、エチレンとブテンとプロピレンの3成分共重合体か
らなるターポリマー成分、密度が900kg/m3の低
結晶のエチレンとブテンの共重合体、非晶性のエチレン
とプロピレンの共重合体、プロピレンα・オレフィン共
重合体成分、イソプレンゴム成分等を添加することもで
きる。本発明のリード線側接着樹脂層21は、金属性を
有する樹脂であって、具体的には、(1)不飽和カルボ
ン酸グラフト変性されたα・オレフィン重合体およびα
・オレフィンの共重合体、(2)エチレンとアクリル酸
またはアクリル酸誘導体との共重合体、(3)エチレン
とメタクリル酸またはメタクリル酸誘導体との共重合
体、(4)金属イオン架橋されたα・オレフィン重合体
またはエチレンとα・オレフィンとの共重合体の中から
選択されるが、例えば、α・オレフィン重合体や共重合
体としては、低密度ポリエチレン、中高密度ポリエチレ
ン、線状低密度ポリエチレン、不飽和カルボン酸をグラ
フト重合させたポリエチレン、また、ホモタイプポリプ
ロピレン、ブロックタイプポリプロピレン、ランダムタ
イプポリプロピレン等、エチレンとプロピレンとの共重
合体物、エチレンとプロピレンとブテンの共重合体物等
を用いる事ができる。またブテン成分、エチレンとブテ
ンとプロピレンの3成分共重合体からなるターポリマー
成分、密度が900kg/m3の低結晶のエチレンとブ
テンの共重合体、非晶性のエチレンとプロピレンの共重
合体、プロピレンα・オレフィン共重合体成分、イソプ
レンゴム成分等を添加することもできる。
【0016】本発明の電池の接着性フィルムは、外装体
とリード線との間に介在させるが、その具体的方法は、
例えば、図3(a)および図3(b)に示すように、電
池本体のリード線の密封シール部上下に接着性フィルム
20をおいて(実際には仮着シールにより固定して)外
装体の中に挿入しリード線部を挟持した状態でヒートシ
ールすることによって密封する。また、接着性フィルム
20のリード線4への介在方法として、図3(d)また
は図3(e)に示すように、リード線4の所定の位置に
リード線用フィルム20のフィルムを巻き付けてもよ
い。リード線4とリード線用フィルム20は、図4
(a)に示すように、リード線4にリード線用フィルム
6の酸変性ポリオレフィン21を予め溶着mkさせて用
いてもよい。あるいは、図4(b)に示すように、リー
ド線4とリード線用フィルム20とを仮着wkさせた状
態で用いてもよい。さらに、図4(c)または図4
(d)に示すように、予め外装体10のシーラント層1
4の面に仮着wkまたは溶着mkさせてもよい。
【0017】本発明の電池の接着性フィルム20を外装
体とリード線との間に介在させてヒートシールすると、
図1(c)あるいは図1(f)に示すように、積層体の
シーラント層14、接着性フィルムのシーラント層側樹
脂層23、リード線側樹脂層21が熱溶融して加圧部か
ら外側に流れてしまっても、いずれも架橋樹脂層22が
膜状に残留してバリア層とリード線とのショートを防止
する絶縁膜として機能する。
【0018】しかし、架橋する際、架橋の度合いが多す
ぎた場合、すなわちゲル分率にして80%を超えるの時
には、シール強度が弱く、また、架橋度合いが少なすぎ
た場合、すなわちゲル分率にして5%未満の場合、本発
明の効果は発揮されない。
【0019】本発明の電池の接着性フィルム20は共押
出し製膜することが望ましい。例えば、3層構成とする
場合、例えば、図1(a)において、ポリオレフィン層
23,架橋樹脂層22、酸変性ポリオレフィンの層21
の構成とする層の厚さとしては、架橋樹脂層22が3μ
m以上、該接着性フィルム20の総厚は、使用されるリ
ード線の1/3以上あればよく、たとえば、100μm
の厚さのリード線であれば、接着性フィルム20の総厚
は30μm以上あれば良い。
【0020】電池の外装体は形式によって、図5に示す
ようなパウチタイプと、図6(a)、図6(b)または
図6(c)に示すようなエンボスタイプとがある。前記
パウチタイプには、三方シール、四方シール等及びピロ
ータイプ等の袋形式があるが、図5は、ピロータイプと
して例示している。エンボスタイプは、図6(a)に示
すように、片面に凹部を形成しても良いし、図6(b)
に示すように、両面に凹部を形成して電池本体を収納し
て周縁の四方をヒートシールして密封しても良い。ま
た、図6(c)に示すような折り部をはさんで両側に凹
部形成して、電池を収納して3辺をヒートシールする形
式もある。
【0021】次に、本発明の電池の接着性フィルム20
を適用する電池用包装材料(積層体)10の材質につい
て説明する。前記積層体10は、図2(a)に示すよう
に、少なくとも基材層11、接着層16、バリア層1
2、化成処理層15、接着層13、シーラント層14か
ら構成されるものである。または、図2(b)および図
2(c)に示すように、少なくとも基材層11、接着層
16、化成処理層15(1)、バリア層12、化成処理
層15(2)、接着層13、シーラント層14から構成
されるものである。接着層については後述する。
【0022】前記基材層11は、電池として用いられる
場合、ハードと直接接触する部位であるため、基本的に
絶縁性を有する樹脂層がよい。フィルム単体でのピンホ
ールの存在、及び加工時のピンホールの発生等を考慮す
ると、基材層は6μm以上の厚さが必要であり、好まし
い厚さとしては12〜30μmである。
【0023】外装体における前記基材層11としては、
延伸ポリエステルまたはナイロンフィルムからなるが、
この時、ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレ
ンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、共重合ポ
リエステル、ポリカーボネート等が挙げられる。またナ
イロンとしては、ポリアミド樹脂、すなわち、ナイロン
6、ナイロン6,6、ナイロン6とナイロン6,6との
共重合体、ナイロン6,10、ポリメタキシリレンアジ
パミド(MXD6)等が挙げられる。
【0024】基材層11は耐ピンホール性及び電池の外
装体とした時の絶縁性を向上させるために、積層化する
ことも可能である。基材層を積層体化する場合、基材層
が2層以上の樹脂層を少なくとも一つを含み、各層の厚
みが6μm以上、好ましくは、12〜30μmである。
基材層を積層化する例としては、次の1)〜8)が挙げ
られる。 1)延伸ポリエチレンテレフタレート/延伸ナイロン 2)延伸ナイロン/延伸延伸ポリエチレンテレフタレー
ト また、包装材料の機械適性(包装機械、加工機械の中で
の搬送の安定性)、表面保護性(耐熱性、耐電解質
性)、2次加工とて電池用の外装体をエンボスタイプと
する際に、エンボス時の金型と基材層との摩擦抵抗を小
さくする目的あるいは電解液が付着した場合に基材層を
保護するために、基材層を多層化、基材層表面にフッ素
系樹脂層、アクリル系樹脂層、シリコーン系樹脂層、ポ
リエステル系樹脂層、またはこれらのブレンド物からな
る樹脂層等を設けることが好ましい。例えば、 3)フッ素系樹脂/延伸ポリエチレンテレフタレート
(フッ素系樹脂は、フィルム状物、または液状コーティ
ング後乾燥で形成) 4)シリコーン系樹脂/延伸ポリエチレンテレフタレー
ト(シリコーン系樹脂は、フィルム状物、または液状コ
ーティング後乾燥で形成) 5)フッ素系樹脂/延伸ポリエチレンテレフタレート/
延伸ナイロン 6)シリコーン系樹脂/延伸ポリエチレンテレフタレー
ト/延伸ナイロン 7)アクリル系樹脂/延伸ナイロン(アクリル系樹脂は
フィルム状、または液状コーティング後乾燥で硬化) 8)アクリル系樹脂+ポリシロキサングラフト系アクリ
ル樹脂/延伸ナイロン(アクリル系樹脂はフィルム状、
または液状コーティング後乾燥で硬化) また、少なくとも基材層11にエルカ酸アマイド、オレ
イン酸アマイド、ステアリン酸アマイド、ビスエルカ酸
アマイド、ビスオレイン酸アマイド、ビスステアリン酸
アマイドに代表される一般的にはポリオレフィン系樹脂
に内部添加する滑剤の少なくとも一つを、イソプロピル
アルコール、酢酸エチル、トルエン、メチルーエチルー
ケトン等の溶剤で溶液状とし塗工、塗布することで表面
の滑り性が改善され成形性が向上することも判明した。
【0025】前記バリア層12は、外部から電池の内部
に特に水蒸気が浸入することを防止するための層で、バ
リア層単体のピンホール、及び加工適性(パウチ化、エ
ンボス成形性)を安定化し、かつ耐ピンホールをもたせ
るために厚さ15μm以上のアルミニウム、ニッケルな
どの金属、または、無機化合物、例えば、酸化珪素、ア
ルミナ等を蒸着したフィルムなども挙げられるが、バリ
ア層12として好ましくは厚さが20〜80μmのアル
ミニウムとする。ピンホールの発生をさらに改善し、電
池の外装体のタイプをエンボスタイプとする場合、エン
ボス成形におけるクラックなどの発生のないものとする
ために、本発明者らは、バリア層12として用いるアル
ミニウムの材質が、鉄含有量が0.3〜9.0重量%、
好ましくは0.7〜2.0重量%とすることによって、
鉄を含有していないアルミニウムと比較して、アルミニ
ウムの展延性がよく、積層体として折り曲げによるピン
ホールの発生が少なくなり、かつ前記エンボスタイプの
外装体を成形する時に側壁の形成も容易にできることを
見出した。前記鉄含有量が、0.3重量%未満の場合
は、ピンホールの発生の防止、エンボス成形性の改善等
の効果が認められず、前記アルミニウムの鉄含有量が
9.0重量%を超える場合は、アルミニウムとしての柔
軟性が阻害され、積層体として製袋性が悪くなる。
【0026】また、冷間圧延で製造されるアルミニウム
は焼きなまし(いわゆる焼鈍処理)条件でその柔軟性・
腰の強さ・硬さが変化するが、本発明において用いるア
ルミニウムは焼きなましをしていない硬質処理品より、
多少または完全に焼きなまし処理をした軟質傾向にある
アルミニウムがよい。前記、アルミニウムの柔軟性・腰
の強さ・硬さの度合い、すなわち焼きなましの条件は、
加工適性(パウチ化、エンボス成形)に合わせ適宜選定
すればよい。例えば、エンボス成形時のしわやピンホー
ルを防止するためには、成形の程度に応じた焼きなまし
された軟質アルミニウムを用いることが望ましい。
【0027】本発明者らは、電池用包装材料のバリア層
12であるアルミニウムの表、裏面に化成処理を施すこ
とによって、前記包装材料として満足できる積層体とす
ることができた。前記化成処理とは、具体的にはリン酸
塩、クロム酸塩、フッ化物、トリアジンチオール化合物
等の耐酸性皮膜を形成することによってエンボス成形時
のアルミニウムと基材層との間のデラミネーション防止
と、電池の電解質と水分とによる反応で生成するフッ化
水素により、アルミニウム表面の溶解、腐食、特にアル
ミニウムの表面に存在する酸化アルミが溶解、腐食する
ことを防止し、かつ、アルミニウム表面の接着性(濡れ
性)を向上させ、エンボス成形時、ヒートシール時の基
材層11とアルミニウム12とのデラミネーション防
止、電解質と水分との反応により生成するフッ化水素に
よるアルミニウム内面側でのデラミネーション防止効果
が得られることを確認している。各種の物質を用いて、
アルミニウム面に化成処理を施し、その効果について研
究した結果、前記耐酸性皮膜形成物質のなかでも、フェ
ノール樹脂、フッ化クロム(3)化合物、リン酸の3成
分から構成されたものを用いるリン酸クロメート処理が
良好であった。または、少なくともフェノール樹脂を含
む樹脂成分に、モリブデン、チタン、ジルコン等の金
属、または金属塩を含む化成処理剤が良好であった。
【0028】電池の外装体がパウチタイプの場合には、
アルミの化成処理はパウチで用いる場合、シーラント層
側のみの片側または基材層側とシーラント層側の両面の
どちらでも良い。電池の外装体5がエンボスタイプの場
合には、アルミニウムの両面に化成処理することによっ
て、エンボス成形の際のアルミニウム12と基材層11
との間のデラミネーションを防止することができる。
【0029】本発明の接着性フィルム20を適用する場
合の外装体のシーラント層14は、前述のように、
(1)α・オレフィン重合体、(2)エチレンとα・オ
レフィンとの共重合体、(3)プロピレンとα・オレフ
ィンとの共重合体、(4)不飽和カルボン酸グラフト変
性されたα・オレフィン重合体およびα・オレフィンの
共重合体、(5)エチレンとアクリル酸またはアクリル
酸誘導体との共重合体、(6)エチレンとメタクリル酸
またはメタクリル酸誘導体との共重合体、(7)金属イ
オン架橋されたα・オレフィン重合体またはエチレンと
α・オレフィンとの共重合体の中から選択されるが、例
えば、α・オレフィン重合体や共重合体としては、低密
度ポリエチレン、中高密度ポリエチレン、線状低密度ポ
リエチレン、不飽和カルボン酸をグラフト重合させたポ
リエチレン、また、ホモタイプポリプロピレン、ブロッ
クタイプポリプロピレン、ランダムタイプポリプロピレ
ン等、エチレンとプロピレンとの共重合体物、エチレン
とプロピレンとブテンの共重合体物、不飽和カルボン酸
をグラフトさせたポリプロピレンの単体、またはブレン
ド物を用いた単層または多層からなる層等を用いること
ができる。また、ポリオレフィン系樹脂からなるシーラ
ント層14および接着樹脂層にはブテン成分、エチレン
とブテンとプロピレンの3成分共重合体からなるターポ
リマー成分、密度が900kg/m3の低結晶のエチレ
ンとブテンの共重合体、非晶性のエチレンとプロピレン
の共重合体、プロピレンα・オレフィン共重合体成分、
イソプレンゴム成分等を添加することもできる。
【0030】本発明の電池の接着性フィルムを適用する
外装体を形成する電池用包装材料を積層する場合の、バ
リア層に設けた化成処理層とシーラント層との接着は、
例えば、リチウムイオン電池等における電解液と水分と
の反応により発生するフッ化水素酸などによるデラミネ
ーション防止のために、以下に述べるラミネートおよび
接着安定化処理を行うことが望ましい。
【0031】安定した接着強度を示す第1の積層方法と
しては、少なくともシーラント層をラミネートする面に
化成処理したバリア層12と基材層11とをドライラミ
ネートした後、図2(a)に示すように、バリア層12
に設けられた化成処理層15とシーラント層14との接
着法としてドライラミネート法によりラミネート13d
するものである。また第2の積層方法としては、図2
(c)に示すように、前記化成処理層に酸変性ポリオレ
フィンのエマルジョンを化成処理層に塗布乾燥焼付けた
13h後、シーラント層となるフィルム14を熱ラミネ
ート法によりラミネートするものである。
【0032】また、次のような第3のラミネート方法に
よっても安定した接着強度が得られることを確認した。
例えば、基材層11とバリア層12の片面とをドライラ
ミネートし、図2(b)に示すように、バリア層12の
他の面(化成処理層)に、酸変性ポリオレフィン13e
を押出してシーラント層14をサンドイッチラミネート
する場合、または、酸変性ポリオレフィン樹脂13とシ
ーラント層とを共押出しして積層体とした後、得られた
積層体を前記酸変性ポリオレフィン樹脂がその軟化点以
上になる条件に加熱することによって、所定の接着強度
を有する積層体とする方法である。前記加熱の具体的な
方法としては、熱ロール接触式、熱風式、近または遠赤
外線等の方法があるが、本発明においてはいずれの加熱
方法でもよく、前述のように、接着樹脂がその軟化点温
度以上に加熱できればよい。
【0033】また、別の方法としては、前記、サンドイ
ッチラミネートまたは共押出しラミネートの際に、アル
ミニウム12のシーラント層側の表面温度が酸変性ポリ
オレフィン樹脂の軟化点に到達する条件に加熱すること
によっても接着強度の安定した積層体とすることができ
た。
【0034】本発明の電池用包装材料において、外装体
を形成する積層体における前記の各層には、適宜、製膜
性、積層化加工、最終製品2次加工(パウチ化、エンボ
ス成形)適性を向上、安定化する目的のために、コロナ
処理、ブラスト処理、酸化処理、オゾン処理等の表面活
性化処理をしてもよい。
【0035】
【実施例】本発明の電池の接着性フィルムについて、実
施例によりさらに具体的に説明する。実施例および比較
例における共通の条件は以下の通りとした。
【0036】
【実施例】本発明の電池用包装材料について、実施例に
よりさらに具体的に説明する。 (1)外装体のタイプ別の材質構成 以下の実施例および比較例において、パウチタイプとエ
ンボスタイプとのそれぞれの材質構成は、シーラント層
を除いて以下の通りとした。〔パウチタイプ〕は、特に
説明のない場合は、アルミニウム20μmの片面に化成
処理を施し、化成処理していない面に延伸ポリエステル
フィルム(厚さ12μm)をドライラミネート法により
貼り合わせ、次に、アルミニウムの化成処理した面(以
下、化成処理面)に、各条件によるシーラント層を記載
のラミネート方法により貼り合わせて積層体を形成し
た。〔エンボスタイプ〕は、特に説明のない場合は、ア
ルミニウム40μmの両面に化成処理を施し、化成処理
した一方の面に延伸ナイロンフィルム(厚さ25μm)
をドライラミネート法により貼り合わせ、次に、化成処
理したアルミニウムの他の面(以下、化成処理面)に、
各条件によるシーラント層を記載のラミネート方法によ
り貼り合わせて積層体を形成した。 (2)化成処理層 外装体のバリア層に施した化成処理は、実施例、比較例
ともに、処理液として、フェノール樹脂、フッ化クロム
(3)化合物、リン酸からなる水溶液を、ロールコート
法により、塗布し、皮膜温度が180℃以上となる条件
において焼き付けた。クロムの塗布量は、1mg/m
2(乾燥重量)である。 (3)外装体のタイプ 以下の、実施例および比較例において、パウチタイプの
外装体としては、巾30mm巾、長さ50mm(いずれ
も内寸)とし、また、エンボスタイプの外装体の場合
は、いずれも片面エンボスタイプとし、成形型の凹部
(キャビティ)の形状を30mm×50mm,深さ3.
5mmとしてプレス成形した。エンボスタイプの例にお
いてはいずれも、エンボスした積層体の成形しないもの
を蓋体として用いた。 (4)リード線 リード線は、いずれも100μmの厚さ、4mm巾のも
のとした。 (5)接着性フィルム: 接着性フィルムは、各条件に記載の材質であっていずれ
も総厚みを100μmとし、電池本体を外装体に挿入す
る前にリード線の所定の位置に溶着した。 (6)シーラント層 また、シーラント層の総厚みは30μmとした。 (7)ヒートシール条件 リード線部分のヒートシール条件は、実施例、比較例の
いずれも次の条件で行った。ヒートシール条件 200
℃、2.0MPa、5.0sec [実施例1]外装体をパウチタイプとして、その包装材
料は、化成処理面に2液硬化型接着剤を用いてLLDP
Eフィルム(30)をドライラミネートして積層体とし
た。接着性フィルムは、ゲル分率を20%とした架橋P
E(50)とPEa(50)との2層構成とした。()
内は層の厚さμmで以下の例も同様である。得られた積
層体を用いてパウチタイプ外装体を形成した。接着性フ
ィルムをリード線に溶着した電池本体を前記外装体中に
挿入し、ヒートシールにより密封し検体実施例1とし
た。 [実施例2]外装体をパウチタイプとして、その包装材
料は、化成処理面にPPa(10)を接着樹脂とし、C
PP(30)をシーラント層樹脂として共押出し法によ
りラミネート積層体とした。なお、ラミネート時、化成
処理面をPPaの軟化点以上の温度に加熱した。接着性
フィルムは、CPP(20)とゲル分率を70%とした
架橋PP(50)とPPa(30)との3層構成とし
た。得られた積層体を用いてパウチタイプ外装体を形成
した。接着性フィルムをリード線に溶着した電池本体を
前記外装体中に挿入し、ヒートシールにより密封し検体
実施例2とした。 [実施例3]外装体をエンボスタイプとして、その包装
材料は、化成処理面に2液硬化型接着剤を用いてCPP
フィルム(30)をドライラミネートして積層体とし
た。接着性フィルムは、ゲル分率を5%とした架橋PP
(50)とPPa(50)との2層構成とした。得られ
た積層体を用いてエンボスタイプ外装体を形成した。接
着性フィルムをリード線に溶着した電池本体を前記外装
体中に挿入し、ヒートシールにより密封し検体実施例3
とした。 [実施例4]外装体をエンボスタイプとして、その包装
材料は、化成処理面にPEa(10)を接着樹脂とし、
LLDPE(30)をシーラント層樹脂として共押出し
法によりラミネート積層体とした。得られた積層体をP
Eaの軟化点以上になるように加熱した。接着性フィル
ムは、PEa(20)とゲル分率を10%とした架橋P
E(50)とPEa(30)との3層構成とした。得ら
れた積層体を用いてエンボスタイプ外装体を形成した。
接着性フィルムをリード線に溶着した電池本体を前記外
装体中に挿入し、ヒートシールにより密封し検体実施例
4とした。 [実施例5]外装体をエンボスタイプとして、その包装
材料は、化成処理面にPEa(10)を接着樹脂とし、
PP(30)をシーラント層樹脂として共押出し法によ
りラミネート積層体とした。得られた積層体をPPaの
軟化点以上になるように加熱した。接着性フィルムは、
PPa(20)とゲル分率を50%とした架橋PP(5
0)とPPa(30)との3層構成とした。得られた積
層体を用いてエンボスタイプ外装体を形成した。接着性
フィルムをリード線に溶着した電池本体を前記外装体中
に挿入し、ヒートシールにより密封し検体実施例5とし
た。
【0037】[比較例1]外装体をパウチタイプとし
て、その包装材料は、化成処理面に2液硬化型接着剤を
用いてLLDPEフィルム(30)をドライラミネート
して積層体とした。接着性フィルムは、PEa単層構成
とした。得られた積層体を用いてパウチタイプ外装体を
形成した。接着性フィルムをリード線に溶着した電池本
体を前記外装体中に挿入し、ヒートシールにより密封し
検体比較例1とした。 [比較例2]外装体をエンボスタイプとして、その包装
材料は、化成処理面にPPa(10)を接着樹脂とし、
CPP(30)をシーラント層樹脂として共押出し法に
よりラミネート積層体とした。得られた積層体をPPa
の軟化点以上になるように加熱した。接着性フィルム
は、ゲル分率を95%とした架橋PP(50)とPPa
(50)との2層構成とした。得られた積層体を用いて
エンボスタイプ外装体を形成した。接着性フィルムをリ
ード線に溶着した電池本体を前記外装体中に挿入し、ヒ
ートシールにより密封し検体比較例2とした。 [比較例3]外装体をエンボスタイプとして、その包装
材料は、化成処理面に2液硬化型接着剤を用いてCPP
フィルム(30)をドライラミネートして積層体とし
た。接着性フィルムは、架橋しないPP(20)と同じ
くPP(30)とPPa(50)の3層構成とした。得
られた積層体を用いてエンボスタイプ外装体を形成し
た。接着性フィルムをリード線に溶着した電池本体を前
記外装体中に挿入し、ヒートシールにより密封し検体比
較例3とした。 [比較例4]外装体をエンボスタイプとして、その包装
材料は、化成処理しないアルミニウム(40)の一方の
面にON(25)を2液硬化型接着剤を用いてドライラ
ミネートし、化成処理しないアルミニウムの他の面にP
Ea(10)を接着樹脂とし、LLDPE(30)をシ
ーラント層樹脂として共押出し法によりラミネート積層
体とした。得られた積層体をPEaの軟化点以上になる
ように加熱した。接着性フィルムは、PEa(20)と
ゲル分率を10%とした架橋PE(50)とPEa(3
0)の3層構成とした。得られた積層体を用いてエンボ
スタイプ外装体を形成した。接着性フィルムをリード線
に溶着した電池本体を前記外装体中に挿入し、ヒートシ
ールにより密封し検体比較例4とした。 [比較例5]外装体をエンボスタイプとして、その包装
材料は、化成処理面にPEa(10)を接着樹脂とし、
LLDPE(30)をシーラント層樹脂として共押出し
法によりラミネート積層体とした。得られた積層体をP
Eaの軟化点以上になるように加熱した。接着性フィル
ムは、PETフィルム(12)の両面にPEa(各4
0)を2液硬化型接着剤を用いてドライラミネートした
3層構成とした。得られた積層体を用いてエンボスタイ
プ外装体を形成した。接着性フィルムをリード線に溶着
した電池本体を前記外装体中に挿入し、ヒートシールに
より密封し検体比較例5とした。
【0038】<評価方法> 1)リード線と外装体のバリア層との短絡の有無 リード線部と外装体とのショート状態とを、リード線部
のヒートシール部を断裁し、断面写真により確認し、リ
ード線と外装体のバリア層とのショートのおそれのある
ものについては、テスターによって接触を確認し、断面
写真によって、リード線と外装体のバリア層との間に皮
膜が見られないものをショート寸前とし、その内でテス
ターによりショートが確認された検体をショート数とし
た。 2)漏れとデラミネーションの確認 内容物を充填したヒートシール品を80℃、24時間保
存し、リード線部からの内容物の漏れと、内容物側の積
層体のデラミネーション(以下デラミ)を確認した。 内容物:電解液1M LiPF6となるようにしたエチ
レンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカ
ーボネート(1:1:1)の混合液、3g。 3)水分透過量はカールフィッシャー法により測定し
た。
【0039】<結果>結果は表1に示す通りであった。
実施例1〜実施例5は、いずれも短絡および漏れ、デラ
ミともに発生しなかった。比較例1は、漏れ、デラミは
発生しなかったが100検体中10検体に短絡が認めら
れた。また、比較例2は、短絡、デラミはなかったが、
100検体中10検体に漏れが発生した。比較例3は、
漏れ、デラミはなかったが、100検体中30検体に短
絡が発生した。比較例4は、短絡、漏れはなかったがデ
ラミが発生した。水分透過が大きく測定できなかった。
比較例5についても、短絡、漏れ、デラミはなかったが
水分透過が1042ppmと大きく水分バリア性に問題
があった。本発明の電池用接着フィルムを用いたもの
は、電池性能を安定化させる十分な水分バリア性を持っ
ていた。
【表1】
【0040】
【発明の効果】本発明の電池の接着性フィルムを用いる
ことによって、電池の包装におけるリード線部において
も、安定した密封性と水分バリア性を有する包装とな
り、外装体のパウチまたはエンボス成形部に電池本体を
収納しその周縁をヒートシールして密封する際、外装体
のバリア層と電池のリード線とが接触(短絡)すること
がなくなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電池の接着性フィルムの実施例を説明
する図で、(a)接着性フィルムの層構成を示す断面
図、(b)電池リード線、外装体、接着性フィルムの材
質及び位置関係(片側)を説明する図、(c)ヒートシ
ール後のリード線部の模式断面図であり、(d)は別の
構成の接着性フィルムの層構成を示す断面図で、(e)
および(f)はこの接着性フィルムを用いた時の前記と
同様の図である。
【図2】電池の外装体を形成する積層体の層構成例を示
す断面図である。
【図3】電池用包装材料とリード線との接着における接
着性フィルムの装着方法を説明する斜視図である。
【図4】本発明における接着性フィルムのリード線と外
装体との間への介在方法を説明する図である。
【図5】電池のパウチタイプの外装体を説明する斜視図
である。
【図6】電池のエンボスタイプの外装体を説明する斜視
図である。
【図7】従来の接着性フィルムを用いてバリア層とリー
ド線とがショートした状態を示す断面図である。
【符号の説明】
S リード線とバリア層とのショート部 H ヒートシール熱板 wk 仮着 mk 溶着 1 電池 2 電池本体 3 セル(蓄電部) 4 リード線(電極) 5 外装体 7 凹部 8 側壁部 9 シール部 10 積層体(電池用包装材料) 11 基材層 12 バリア層(アルミニウム) 13 バリア層とシーラント層との接着層(接着樹脂
層) 13d ドライラミネート層 13e 酸変性ポリオレフィンの押出層 13h 酸変性ポリオレフィンの塗布焼付け層 14 シーラント層 15 化成処理層 16 基材層とバリア層間の接着層 20 積層体(接着性フィルム) 21 シーラント側樹脂層 22 架橋樹脂層 23 リード線側樹脂層 30 プレス成形部 31 オス型 32 メス型 33 キャビティ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 一樹 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (72)発明者 奥下 正隆 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 Fターム(参考) 5H011 AA03 EE04 FF04 GG08 HH02 HH13 JJ02 KK02 5H022 AA09 BB12 BB19 CC03 CC27 EE10

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内面にヒートシール性を有する積層体から
    なる外装体と、細長の板または棒状の金属からなるリー
    ド線本体との間に介在された接着性フィルムであって、
    当該接着性フィルムが少なくとも架橋樹脂層を含むこと
    を特徴とする電池の接着性フィルム。
  2. 【請求項2】架橋樹脂がシラン基を含有するポリオレフ
    ィン樹脂であることを特徴とする請求項1に記載した電
    池の接着性フィルム。
  3. 【請求項3】架橋樹脂層のゲル分率が5から80%の範
    囲であることを特徴とする請求項1または請求項2に記
    載した電池の接着性フィルム。
  4. 【請求項4】架橋樹脂の架橋方法が少なくとも水分また
    は湿度により架橋されることを特徴とする請求項1〜請
    求項3のいずれかに記載した電池の接着性フィルム。
  5. 【請求項5】積層体と接する層が架橋樹脂、リード線に
    接する層が金属用熱接着樹脂層からなる多層構成である
    ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載
    した電池の接着性フィルム。
  6. 【請求項6】積層体と接する層がポリオレフィン、リー
    ド線に接する層が金属用熱接着樹脂からなり、ポリオレ
    フィンと金属用熱接着樹脂との間に架橋樹脂を配した多
    層構成であることを特徴とする請求項1〜請求項4のい
    ずれかに記載した電池の接着性フィルム。
  7. 【請求項7】ポリオレフィン系樹脂がポリエチレンまた
    は酸変性ポリエチレンであることを特徴とする請求項1
    〜請求項6のいずれかに記載した電池の接着性フィル
    ム。
  8. 【請求項8】ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレンま
    たは酸変性ポリプロピレンであることを特徴とする請求
    項1〜請求項6のいずれかに記載した電池の接着性フィ
    ルム。
  9. 【請求項9】金属用熱接着樹脂が酸変性ポリエチレンで
    あることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに
    記載した電池の接着性フィルム。
  10. 【請求項10】金属用熱接着樹脂が酸変性ポリプロピレ
    ンであることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれ
    かに記載した電池の接着性フィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006107894A (ja) * 2004-10-05 2006-04-20 Gs Yuasa Corporation:Kk 電池
JP2008186764A (ja) * 2007-01-31 2008-08-14 Fujimori Kogyo Co Ltd 色素増感型太陽電池モジュール及びその製造方法
JP2008186763A (ja) * 2007-01-31 2008-08-14 Fujimori Kogyo Co Ltd 色素増感型太陽電池パネルシート及びその製造方法
JP2014221673A (ja) * 2014-08-19 2014-11-27 大日本印刷株式会社 包装材

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