JP4993052B2 - リチウムイオン電池用包装材料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、防湿性、耐内容物性を有する、液体または固体有機電解質(高分子ポリマー電解質)を持つリチウムイオン電池用包装材料であってリチウムイオン電池本体を包装する外装体と前記電池のタブ部と外装体との間に介在させる接着性フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
リチウムイオン電池とは、リチウム2次電池ともいわれ、電解質として、固体高分子、ゲル状高分子、液体などからなり、リチウムイオンの移動で電流を発生する電池であって、正極・負極活物質が高分子ポリマーからなるものを含むものである。
リチウム2次電池の構成は、正極集電材(アルミニウム、ニッケル)/正極活性物質層(金属酸化物、カーボンブラック、金属硫化物、電解液、ポリアクリロニトリル等の高分子正極材料)/電解質層(プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、炭酸ジメチル、エチレンメチルカーボネート等のカーボネート系電解液、リチウム塩からなる無機固体電解質、ゲル電解質)/負極活性物質(リチウム金属、合金、カーボン、電解液、ポリアクリロニトリルなどの高分子負極材料)/負極集電材(銅、ニッケル、ステンレス)及びそれらを包装する外装体からなる。
リチウムイオン電池の用途としては、パソコン、携帯端末装置(携帯電話、PDA等)、ビデオカメラ、電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星等に用いられる。
前記リチウムイオン電池の外装体としては、金属をプレス加工して円筒状または直方体状に容器化した金属製缶、あるいは、プラスチックフィルム、金属箔等のラミネートにより得られる複合フィルムからなる積層体を袋状にしたもの(以下、外装体)が用いられていた。
リチウムイオン電池の外装体として、次のような問題があった。金属製缶においては、容器外壁がリジッドであるため、電池自体の形状が決められてしまう。そのため、ハード側を電池にあわせる設計をするため、該電池を用いるハードの寸法が電池により決定されてしまい形状の自由度が少なくなる。
そのため、前記袋状の外装体を用いる傾向にある。前記外装体の材質構成は、リチウムイオン電池としての必要な物性、加工性、経済性等から、少なくとも基材層、バリア層、ヒートシール層と前記各層を接着する接着層からなり、必要に応じて中間層を設けることがある。
リチウムイオン電池の前記構成の積層体からパウチを形成し、または、少なくとも片面をプレス成形してリチウムイオン電池の収納部を形成してリチウムイオン電池本体を収納し、パウチタイプまたは、エンボスタイプ(蓋体を被覆して)において、それぞれの周縁の必要部分をヒートシールにより密封することによってリチウムイオン電池とする。
前記ヒートシール層としては、ヒートシール層同士のヒートシール性とともにタブ(金属)に対してもヒートシール性を有することが求められ、金属接着性を有する酸変性ポリオレフィン樹脂をヒートシール層とすることでタブ部との密着性は確保される。
【0003】
しかし、酸変性ポリオレフィン樹脂を外装体のヒートシール層として積層すると、一般的なポリオレフィン樹脂と比較してその加工性が劣ること、また、コストが高いこと等のために、外装体のヒートシール層として一般的なポリオレフィン樹脂層とし、タブ部にヒートシール層とタブとの両方に熱接着可能な接着性フィルムを介在させる方法が採用されていた。
具体的には、図10(a)に示すように、タブ4と積層体10’のヒートシール層14’との間に、金属と外装材のヒートシール層との双方に対してヒートシール性を有する接着性フィルム6’を介在させることにより、タブ部での密封性を確保していた。
前記接着性フィルムとしては、前記不飽和カルボングラフトポリオレフィン、金属架橋ポリエチレン、エチレンまたはプロピレンとアクリル酸、またはメタクリル酸との共重合物からなるフィルムを用いることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、リチウムイオン電池の外装体(以下、外装体)を構成する積層体のヒートシール層がポリエチレン系樹脂からなる場合、リチウムイオン電池本体を外装体に収納し、その周縁をシールして密封するが、例えば、酸変性ポリエチレン単層からなる接着性フィルム6’を用いる場合、タブが存在する部分において、図10(b)に示すように、ヒートシールのための熱と圧力によって前記外装体のヒートシール層14’と接着性フィルム層6’とがともに溶融し、また、加圧によって加圧部の領域の外に押し出されることがある。その結果、外装体10’のバリア層12’であるアルミニウム箔と金属からなるタブ4’とが接触(S)しショートすることがあった。
同様に、積層体のヒートシール層がポリプロピレン系樹脂からなる場合、酸変性ポリプロピレン単層からなる接着性フィルム6’を用いても、外装体10’のバリア層12’であるアルミニウム箔と金属からなるタブ4とが接触(S)しショートすることがあった。
本発明の目的は、リチウムイオン電池包装において、電池本体を長期にわたり保護するとともに、ポリオレフィン系樹脂をヒートシール層とする外装体にリチウムイオン電池本体を挿入してその周縁をヒートシールして密封する際に、ヒートシールの熱と圧力によって外装体のバリア層とタブとがショートすることなく安定して密封可能な材質構成を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、以下の本発明により解決することができる。すなわち、請求項1に記載した発明は、少なくとも基材層、接着層1、化成処理層1、アルミニウム、化成処理層2、接着層2、ヒートシール層から構成されるリチウムイオン電池の外装体にリチウムイオン電池本体を挿入し、周縁をヒートシールするリチウムイオン電池用包装材料であって、前記ヒートシール層が、電子線架橋されたポリオレフィン系樹脂にポリオレフィン樹脂を押出ラミネートした層からなり、前記押出ラミネートした層が最内層に位置することを特徴とするリチウムイオン電池用包装材料からなる。請求項2に記載した発明は、請求項1に記載したリチウムイオン電池用包装材料において、前記ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンとブテンとの共重合体、プロピレンとブテンとの共重合体、プロピレンとエチレンとブテンとの共重合体、アイオノマーの単体または少なくとも1つを含む混合物からなることを特徴とするものである。請求項3に記載した発明は、少なくとも基材層、接着層1、アルミニウム、化成処理層、接着層2、ヒートシール層から構成されるリチウムイオン電池の外装体にリチウムイオン電池本体を挿入し、周縁をヒートシールするリチウムイオン電池用包装材料であって、前記ヒートシール層が、電子線架橋されたポリオレフィン系樹脂にポリオレフィン樹脂を押出ラミネートした層からなり、前記押出ラミネートした層が最内層に位置することを特徴とするリチウムイオン電池用包装材料からなる。請求項4に記載した発明は、請求項3に記載のリチウムイオン電池用包装材料において、前記ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンとブテンとの共重合体、プロピレンとブテンとの共重合体、プロピレンとエチレンとブテンとの共重合体、アイオノマーの単体または少なくとも1つを含む混合物からなることを特徴とするものである。請求項5に記載した発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載のリチウムイオン電池用包装材料において、前記接着層1、接着層2がドライラミネート法により形成されたことを特徴とするものである。請求項6に記載した発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載のリチウムイオン電池用包装材料において、少なくとも、前記接着層2が酸変性ポリオレフィンの塗布焼付け層であることを特徴とするものである。請求項7に記載した発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載のリチウムイオン電池用包装材料において、少なくとも、前記接着層2が酸変性ポリオレフィンの押出層であることを特徴とするものである
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明は、少なくとも基材層、接着層、化成処理層1、アルミニウム、化成処理層2、ポリオレフィン系樹脂のヒートシール層から構成されるリチウムイオン電池の外装体の前記ヒートシール層に、少なくとも電子線架橋されたポリオレフィン層を設ける。該電子線架橋されたポリオレフィンは耐熱性に優れ、外装体の密封シールの際にもタブ部分において膜状を保持しており、前記アルミニウムと金属であるタブとが接触してショートするおそれのない材質としたものである。以下、図面等を参照して詳細に説明する。
【0007】
図1は、本発明のリチウムイオン電池用包装材料の実施例を断面図として説明する図で、(a)〜(c)は、ヒートシール層が電子線架橋されたポリオレフィンフィルムからなる場合のラミネート方法がドライラミネート法、熱ラミネート法、押出ラミネート法を示したものである。(d)〜(f)fは、ヒートシール層が電子線架橋されたポリオレフィンフィルムにポリオレフィンを押出ラミネートして形成された例で、ヒートシール層のラミネート方法がドライラミネート法、熱ラミネート法、押出ラミネート法を示したものである。図2は、タブ部での層構成であって、(a)は、リチウムイオン電池タブ、外装体、接着性フィルムの材質及び位置関係(片側)を説明する図、(b)タブ部での、ヒートシール前のタブと接着性フィルムと外装体とが接した状態を説明する断面図、(c)シール後の状態を示す説明図である。図3は、リチウムイオン電池用包装材料とタブとの接着における接着性フィルムの装着方法を説明する斜視図である。図4は、
ヒートシール時におけも外装体とタブ部との間に介在させる接着性フィルムの固定方法の説明図である。図5は、リチウムイオン電池のパウチタイプの外装体を説明する斜視図である。図6は、リチウムイオン電池のエンボスタイプの外装体を説明する斜視図である。図7は、エンボスタイプにおける成形を説明する、(a)斜視図、(b)エンボス成形された外装体本体、(c)X2−X2部断面図、(d)Y1部拡大図である。図8は、リチウムイオン電池の外装体を形成する積層体の層構成例を示す断面図である。図9は、リチウムイオン電池の外装体を形成する他の積層体の層構成例を示す断面図である。
【0008】
リチウムイオン電池のタブとしては、厚さが50〜2000μm、 巾 が2.5〜20mm程度であって、その材質としては、 AL、Cu(Niメッキを含む)、Ni、等である。また、リチウムイオン電池の外装体のヒートシール層は該ヒートシール層同士がヒートシール可能な樹脂により形成される。タブに直接ヒートシール可能な樹脂をヒートシール層とすることか望ましいが、前述したように、一般的なポリオレフィン例えばポリエチレンやポリプロピレンの単体、またはブレンド物の単層あるいは多層構成からなる樹脂物をヒートシール層とし、タブと該ヒートシール層とのいずれにもヒートシール性を有する接着性フィルムにより相互にヒートシールして密封する方法がとられている。
【0009】
リチウムイオン電池の外装体は、リチウムイオン電池本体の性能を長期にわたって維持する性能を有することが求められ、基材層、バリア層、ヒートシール層等を各種のラミネート法によって積層している。特に、リチウムイオン電池の外装体(以下、外装体)を構成する積層体のヒートシール層がポリオレフィン系樹脂等からなる場合、リチウムイオン電池本体を外装体に収納し、その周縁をシールして密封する際、タブが存在する部分において、例えば、接着性フィルムとして酸変性ポリオレフィンを用いる場合、図10(a)および図10(b)に示すようにヒートシールのための熱と圧力によって前記外装体のヒートシール層と接着性フィルム層とがともに溶融し、また、加圧によって、絶縁層となっていた外装体のバリア層12’より内側の層、および、接着性フィルム層6’が、共に加圧部の領域の外に押し出されることがある。その結果、外装体のバリア層12’であるアルミニウム箔と金属からなるタブ4’とが接触しショートSすることがあった。
【0010】
本発明者らは、前記ショートSを防止することについて、鋭意研究の結果、少なくとも外装体のヒートシール層に電子線架橋したポリオレフィン層を設けることで、前記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明のリチウムイオン電池用包装材料としての第一の構成例としては、図1(a)に示すように、ヒートシール層14Eを電子線架橋したポリオレフィンフィルムとするものであり、また、本発明のリチウムイオン電池用包装材料の第二の構成例としては、図1(d)に示すように、ヒートシール層を電子線架橋したポリオレフィンフィルム14Eにポリオレフィン14を押出製膜するものである。
前記押出製膜されたポリオレフィン層14は低温シール性により密封性を確実とし、前記電子線架橋したポリオレフィンフィルム14Eは、ヒートシールした際に、膜状に保持され絶縁層として機能する。
図示しないが、第三の構成例としてヒートシール層を電子線架橋したポリオレフィンフィルム14Eにポリオレフィン14を押出製膜するものである。この時、バリア層12側にポリオレフィン14を、内容物側に電子線架橋したポリオレフィンフィルム14Eを配置してもよい。
さらに多層化することもでき、たとえばバリア層側から順に、ポリオレフィンフィルム14E/ポリオレフィン14/ポリオレフィンフィルム14E、ポリオレフィン14/ポリオレフィンフィルム14E/ポリオレフィン14と構成することもできる。
【0011】
本発明のリチウムイオン電池用包装材料におけるヒートシール層の電子線架橋したポリオレフィンフィルム14E、あるいは、押出製膜に用いるポリオレフィン樹脂14としては、エチレン系樹脂を主体としても良いし、プロピレン系樹脂を主体としても良い。
【0012】
ここで、ポリオレフィン系樹脂とは、プロピレン系樹脂(ホモタイプ、エチレンとプロピレンとの共重合体物、エチレンとプロピレンとブテンとの共重合体物)、エチレン系樹脂(低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレンとブテンとの共重合体物、エチレンとアクリル酸またはメタクリル酸誘導体との共重合体物、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体物、金属イオン含有エチレン)および不飽和カルボン酸をグラフトさせたポリエチレンまたはポリプロピレンの単体、またはブレンド物を示す。また、その他ブテン成分、エチレンとブテンとプロピレンとの3成分共重合体からなるターポリマー成分、密度が900kg/m3の低結晶のエチレンとブテンとの共重合体、非晶性のエチレンとプロピレンとの共重合体、プロピレンーα・オレフィン共重合体成分等を5%以上添加することもできる。
【0013】
次に、前記ヒートシール層として用いる、または、ヒートシール層に設ける電子線架橋されたポリオレフィンフィルムについて説明する。ポリエチレン、エチレンとブテンとの共重合体、エチレンとプロピレンとブテンとの共重合体、アイオノマーの樹脂は電子線架橋することによって分子内で架橋が起こり、室温下では勿論融点以上の高温下での機械的強度、例えば引張り強度、突き刺し強度、圧縮強度が向上する。例えば、融点105℃のポリエチレンをゲル分率が20%及び50%となるように電子線架橋を施した樹脂物は、未電子線架橋の樹脂物に比べ190℃、面圧1.0MPa,3秒での高温、圧縮ひずみ量が少なく、未電子架橋品が80%に対し、20%ゲル分率樹脂物60%、50%ゲル分率品で40%となる。
【0014】
また、通常のポリプロピレンは、電子線照射によって分解するが、プロピレンとエチレン共重合体やポリプロピレンにポリエチレン成分、ブテン成分、エチレンとブテンとプロピレンとの3成分共重合体からなるターポリマー成分、密度が900kg/m3の低結晶のエチレンとブテンとの共重合体、非晶性のエチレンとプロピレンとの共重合体、プロピレンーα・オレフィン共重合体成分等を5%以上添加したブレンド物は電子線架橋することで分子内で架橋が起こり、室温下では勿論融点以上の高温下での機械的強度、例えば引張り強度、突き刺し強度、圧縮強度が向上する。例えば、エチレンとブテンとプロピレンとの3成分共重合体からなるターポリマー成分を10%添加された融点145℃のポリプロピレンをゲル分率が20%及び50%となるように電子線架橋を施した樹脂物は、未電子線架橋の樹脂物に比べ190℃、面圧1.0MPa,3秒での高温、圧縮ひずみ量が少なく、未電子架橋品が70%に対し、20%ゲル分率樹脂物50%、50%ゲル分率品で35%となる。
同様に、プロピレンとエチレン共重合体(エチレン成分5%、融点135℃)をゲル分率が20%及び50%となるように電子線架橋を施した樹脂物は、未電子線架橋の樹脂物に比べ190℃、面圧1.0MPa,3秒での高温、圧縮ひずみ量が少なく、未電子架橋品が80%に対し、20%ゲル分率樹脂物55%、50%ゲル分率品で40%となる
また、同じ厚さで比較した場合でもこのように電子線架橋されたポリオレフィンは、未電子線架橋のポリオレフィンに比べヒートシール時にタブ4にある微少なエッジ(いわゆる、バリ)で発生するピンホールによるショートも防止する効果がある。
【0015】
本発明のリチウムイオン電池用包装材料のヒートシール層とする電子線架橋されたポリオレフィン及び電子線架橋されたポリオレフィンに押出ラミネートするポリオレフィンには、いずれも金属に対する接着性がないので、密封シール時に、リチウムイオン電池タブ部と外装体との間に、ヒートシール層とタブとの双方にヒートシール性を有する接着性フィルムを介在させる。
【0016】
前記接着性フィルムとして具体的には、前記ヒートシール層及びタブの何れにも熱接着性を有する酸変性ポリオレフィンからなるフィルム等を用いる。酸変性ポリオレフィン樹脂としては、不飽和カルボングラフトポリオレフィン、金属架橋ポリエチレン、エチレンとアクリル酸またはメタクリル酸誘導体との共重合体物、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体物の単体、またはブレンド物等を用いることができる。
【0017】
外装体のヒートシール層14として金属に対してヒートシール性を持たない材質とした時に、前述のように、外装体5とタブ4との間に接着性フィルム6を介在させるがその具体的方法は、例えば、図3(a)および図3(b)に示すように、リチウム電池本体2のタブ部密封シール部の上下に接着性フィルム6をおいて(実際には仮着シールにより固定して)外装体5に挿入しタブ部を挟持した状態でヒートシールすることによって密封する。
接着性フィルム6のタブ4への介在方法として、図3(d)または図3(e)に示すように、タブ4の所定の位置に接着性フィルム6のフィルムを巻き付けてもよい。
タブ4と接着性フィルム6は、図4(a)に示すように、タブ4に接着性フィルム6の酸変性ポリオレフィン21を予め溶着mkさせて用いてもよい。あるいは、図4(b)に示すように、タブ4と接着性フィルム6とを仮着wkさせた状態で用いてもよい。さらに、図4(c)または図4(d)に示すように、予め外装体10のヒートシール層14の面に仮着wkまたは溶着mkさせてもよい。
【0018】
また、タブ4としてアルミニウム(ALM)を用いる場合、リチウム電池の電解質と水分とによる反応で生成するフッ化水素により、アルミニウム表面の溶解、腐食を防止するために表面に化成処理を行うことが望ましい。化成処理とは、具体的にはリン酸塩、クロム酸塩、フッ化物、トリアジンチオール化合物等の耐酸性皮膜を形成することで、前記耐酸性皮膜形成物質のなかでも、フェノール樹脂、フッ化クロム(3)化合物、リン酸の3成分から構成されたものを用いるリン酸クロメート処理が良好である。または、少なくともフェノール樹脂を含む樹脂成分に、モリブデン、チタン、ジルコン等の金属、または金属塩を含む化成処理剤が良好であった。
【0019】
以上に述べた方法により形成されたリチウムイオン電池用包装材料及び接着性フィルム6をリチウム電池1の外装体5とタブ4との間に介在させてヒートシールすると、図2(c)に示すように、電子架橋ポリオレフィンの層22が絶縁層として残るために前記ショートを回避することができるが、前記ポリオレフィン層を形成するポリオレフィンが電子線架橋によって、その耐熱性が向上し、かつ、硬くなり、隣接する他の樹脂層と比較してヒートシール時の熱および圧力によってつぶれることが少ないためと考えられる。
【0020】
接着性フィルム20における酸変性ポリオレフィン層21は、タブ4と熱接着する樹脂であり、本発明の場合には、前記不飽和カルボングラフトポリオレフィン、金属架橋ポリエチレン、エチレンまたはプロピレンとアクリル酸、またはメタクリル酸との共重合物などの酸変性ポリエチレン及び酸変性ポリプロピレンである。また必要に応じブテン成分、エチレンとブテンとプロピレンとの3成分共重合体からなるターポリマー成分、密度が900kg/m3の低結晶のエチレンとブテンとの共重合体、非晶性のエチレンとプロピレンとの共重合体、プロピレンーα・オレフィン共重合体成分等を5%以上添加することもできる。
【0021】
リチウムイオン電池用包装材料はリチウムイオン電池本体を包装する外装体を形成するものであって、その外装体の形式によって、図5に示すようなパウチタイプと、図6(a)、図6(b)または図6(c)に示すようなエンボスタイプとがある。前記パウチタイプには、三方シール、四方シール等およびピロータイプ等の袋形式があるが、図5は、ピロータイプとして例示している。
エンボスタイプは、図6(a)に示すように、片面に凹部を形成しても良いし、図6(b)に示すように、両面に凹部を形成してリチウムイオン電池本体を収納して周縁の四方をヒートシールして密封しても良い。また、図6(c)に示すような折り部をはさんで両側に凹部形成して、リチウムイオン電池を収納して3辺をヒートシールする形式もある。
【0022】
本発明のリチウムイオン電池用包装材料10を用い、図2(a)に示すように外装体5とタブ4との間に接着性フィルム6を介在させて密封シールをした場合に、密封シール後のシール部は図1(d)に示すようにヒートシール層中の電子線架橋されたポリオレフィン層14Eが外装体のバリア層12とタブ4の間に残存し、バリア層とタブとのショートを防止する絶縁層として機能する。
【0023】
また、接着性フィルムの酸変性ポリオレフィン層は、タブに密着し、外部からの水分の浸入を防止するとともに、内容物であるリチウムイオン電池本体の成分の漏れ、また、電池内の電解質成分と水分との反応により発生するフッ化水素HFによるタブ表面の腐食を防止するものである。
【0024】
リチウムイオン電池本体を外装体に挿入し、本発明の接着性フィルムを介在させて密封した際に、図1(d)に示すように、タブ部において外装体のアルミニウム箔12とタブ4との間に、ヒートシール層の電子線架橋されたポリオレフィン層が絶縁層として残存する。前記密封のための熱、圧力によっても電子線架橋されたポリオレフィン層が外装体10のバリア層12とタブ4との絶縁性を維持するために前記ショートを回避することができる。
【0025】
次に、本発明のリチウムイオン電池用包装材料を適用する外装体10の材質について説明する。
前記外装体は、図7(a)、図7(b)に示すように、少なくとも基材層11、接着層16、化成処理層15(1)、バリア層12、化成処理層15(2)接着樹脂層、13ヒートシール層14から構成されるものである。または、図7(c)、図7(d)に示すように少なくとも基材層11、接着層16、バリア層12、化成処理層15(2)、接着樹脂層13ヒートシール層14から構成されるものである。
【0026】
本発明のリチウムイオン電池用包装材料の層構成は、具体的な層構成は、図9(a)〜(h)に示す(ヒートシール層は電子線架橋されたポリオレフィン単層14Eとして示しているが前述のように電子架橋されたポリオレフィン層を含む多層でも良い)。前記ヒートシール層14Eと化成処理層15(2)との接着は、ドライラミネート法、サンドイッチラミネート法、共押出しラミネート法、熱ラミネート法のいずれかによって積層される。
アルミの化成処理はパウチで用いる場合、ヒートシール層側のみの片側または基材層側とヒートシール層側の両面のどちらでも良い。
さらに、前記ラミネート法の内、サンドイッチラミネート法、共押出しラミネート法を用いた場合には、得られた積層体を、後述する前加熱または後加熱により接着強度の向上を図るものである。また、流動パラフィン層15を設けることによって成形性が向上するとともに、ヒートシール層の耐クラック性が向上する。
また、エルカ酸アマイド、オレイン酸アマイド、ビスオレイン酸アマイド等のいわゆるスリップ剤を少なくとも基材層の表面に塗布、塗工することで成形性を向上する。
【0027】
リチウムイオン電池用包装材料をエンボスタイプとする場合、図7(a)〜図7(d)に示すように、積層された包装材料10をプレス成形して凹部7を形成する。この際、プレス成形のオス型21と積層体10のヒートシール層14Eとの滑りが悪いと安定した成形品が得られないことがある。
【0028】
本発明者らは、例えば、図8(b)または図8(d)に示すように、外装体のポリオレフィン樹脂からなるヒートシール層14Eの最内面側表面に流動パラフィン19をコーティンク゛することにより、エンボス成形性が改善され、また、ヒートシール層にクラックの発生しにくい包装材料が得られることを確認している。
【0029】
前記流動パラフィン層19は、鎖状炭化水素系オイルであり、その物性は、比重0.83〜0.87、粘度が7.6〜80mm2/S(37.5℃)、分子量300〜500程度であり、また、10mmHgの条件における蒸留温度としては140〜245℃である。本発明のリチウムイオン電池用包装材料およびその製造方法における流動パラフィンとしては、比重0.83、粘度7.7mm2/S(37.5℃)、分子量300、また、10mmHgの条件における蒸留温度としては141℃程度のものが好適に利用できる。
【0030】
ヒートシール層14Eに流動パラフィン19をコーティングすることによって、流動パラフィンの一部または全部がヒートシール層14Eのポリオレフィン樹脂内に浸透し、ポリオレフィン樹脂を膨潤させて、ヒートシール層14Eが柔らかになり、伸び易くなるものと考えられる。
ヒートシール層14Eに流動パラフィンをコーティングした結果、エンボス成形時に発生する応力が分散し、成形で発生するポリオレフィン樹脂からなるヒートシール層(リチウムイオン電池用包装材料のヒートシール層)でのクラックが低減または無くなり、また、コーティングされた流動パラフィンは、滑剤としての効果により、表面の滑り性が改善された。
また、図9(g)あるいは図9(h)に示すように、少なくとも基材層11にエルカ酸アマイド、オレイン酸アマイド、ステアリン酸アマイド、ビスエルカ酸アマイド、ビスオレイン酸アマイド、ビスステアリン酸アマイドに代表される一般的にはポリオレフィン系樹脂に内部添加する滑剤の少なくとも一つを、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、トルエン、メチルーエチルーケトン等の溶剤で溶液状とし塗工、塗布することで表面の滑り性が改善され成形性が向上することも判明した。
【0031】
また、本発明者らは、エンボス成形性がよく、エンボス成形時またはヒートシール時において、基材層とバリア層とのデラミネーションの発生がなく、水分の侵入を抑える積層体であって、また、耐内容物性のあるリチウムイオン電池用の外装体として満足できる包装材料について鋭意研究の結果、アルミニウムの両面に化成処理を施し、また、アルミニウムの内容物側の化成処理面に、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンとポリオレフィン(フィルムまたは樹脂)を、サンドイッチラミネート法または共押出し法により積層した後、得られた積層体を加熱することによって、前記課題を解決できることを確認している。
【0032】
外装体における前記基材層11は、延伸ポリエステルまたはナイロンフィルムからなるが、この時、ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、共重合ポリエステル、ポリカーボネート等が挙げられる。またナイロンとしては、ポリアミド樹脂、すなわち、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6とナイロン6,6との共重合体、ナイロン6,10、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)等が挙げられる。
【0033】
前記基材層11は、リチウムイオン電池として用いられる場合、ハードと直接接触する部位であるため、基本的に絶縁性を有する樹脂層がよい。フィルム単体でのピンホールの存在、および加工時のピンホールの発生等を考慮すると、基材層は6μm以上の厚さが必要であり、好ましい厚さとしては12〜30μmである。
【0034】
基材層11は耐ピンホール性および電池の外装体とした時の絶縁性を向上させるために、積層化することも可能である。
基材層を積層体化する場合、基材層が2層以上の樹脂層を少なくとも一つを含み、各層の厚みが6μm以上、好ましくは、12〜25μmである。基材層を積層化する例としては、次の1)〜8)が挙げられる。
1)延伸ポリエチレンテレフタレート/延伸ナイロン
2)延伸ナイロン/延伸延伸ポリエチレンテレフタレート
また、包装材料の機械適性(包装機械、加工機械の中での搬送の安定性)、表面保護性(耐熱性、耐電解質性)、2次加工とてリチウムイオン電池用の外装体をエンボスタイプとする際に、エンボス時の金型と基材層との摩擦抵抗を小さくする目的あるいは電解液が付着した場合に基材層を保護するために、基材層を多層化、基材層表面にフッ素系樹脂層、アクリル系樹脂層、シリコーン系樹脂層、ポリエステル系樹脂層、またはこれらのブレンド物からなる樹脂層等を設けることが好ましい。例えば、
3)フッ素系樹脂/延伸ポリエチレンテレフタレート(フッ素系樹脂は、フィルム状物、または液状コーティング後乾燥で形成)
4)シリコーン系樹脂/延伸ポリエチレンテレフタレート(シリコーン系樹脂は、フィルム状物、または液状コーティング後乾燥で形成)
5)フッ素系樹脂/延伸ポリエチレンテレフタレート/延伸ナイロン
6)シリコーン系樹脂/延伸ポリエチレンテレフタレート/延伸ナイロン
7)アクリル系樹脂/延伸ナイロン(アクリル系樹脂はフィルム状、または液状コーティング後乾燥で硬化)
8)アクリル系樹脂+ポリシロキサングラフト系アクリル樹脂/延伸ナイロン(アクリル系樹脂はフィルム状、または液状コーティング後乾燥で硬化)
【0035】
前記バリア層12は、外部からリチウムイオン電池の内部に特に水蒸気が浸入することを防止するための層で、バリア層単体のピンホール、及び加工適性(パウチ化、エンボス成形性)を安定化し、かつ耐ピンホールをもたせるために厚さ15μm以上のアルミニウム、ニッケルなどの金属、又は、無機化合物、例えば、酸化珪素、アルミナ等を蒸着したフィルムなども挙げられるが、バリア層として好ましくは厚さが20〜80μmのアルミニウムとする。
ピンホールの発生をさらに改善し、リチウムイオン電池の外装体のタイプをエンボスタイプとする場合、エンボス成形におけるクラックなどの発生のないものとするために、本発明者らは、バリア層として用いるアルミニウムの材質が、鉄含有量が0.3〜9.0重量%、好ましくは0.7〜2.0重量%とすることによって、鉄を含有していないアルミニウムと比較して、アルミニウムの展延性がよく、積層体として折り曲げによるピンホールの発生が少なくなり、かつ前記エンボスタイプの外装体を成形する時に側壁の形成も容易にできることを見出した。前記鉄含有量が、0.3重量%未満の場合は、ピンホールの発生の防止、エンボス成形性の改善等の効果が認められず、前記アルミニウムの鉄含有量が9.0重量%を超える場合は、アルミニウムとしての柔軟性が阻害され、積層体として製袋性が悪くなる。
【0036】
また、冷間圧延で製造されるアルミニウムは焼きなまし(いわゆる焼鈍処理)条件でその柔軟性・腰の強さ・硬さが変化するが、本発明において用いるアルミニウムは焼きなましをしていない硬質処理品より、多少または完全に焼きなまし処理をした軟質傾向にあるアルミニウムがよい。
前記、アルミニウムの柔軟性・腰の強さ・硬さの度合い、すなわち焼きなましの条件は、加工適性(パウチ化、エンボス成形)に合わせ適宜選定すればよい。たとえば、エンボス成形時のしわやピンホールを防止するためには、成形の程度に応じた焼きなましされた軟質アルミニウムを用いることが望ましい。
【0037】
本発明者らは、リチウムイオン電池用包装材料のバリア層12であるアルミニウムの表、裏面に化成処理を施すことによって、前記包装材料として満足できる積層体とすることができた。前記化成処理とは、具体的にはリン酸塩、クロム酸塩、フッ化物、トリアジンチオール化合物等の耐酸性皮膜を形成することによってエンボス成形時のアルミニウムと基材層との間のデラミネーション防止と、リチウムイオン電池の電解質と水分とによる反応で生成するフッ化水素により、アルミニウム表面の溶解、腐食、特にアルミニウムの表面に存在する酸化アルミが溶解、腐食することを防止し、かつ、アルミニウム表面の接着性(濡れ性)を向上させ、エンボス成形時、ヒートシール時の基材層11とアルミニウム12とのデラミネーション防止、電解質と水分との反応により生成するフッ化水素によるアルミニウム内面側でのデラミネーション防止効果が得られた。
各種の物質を用いて、アルミニウム面に化成処理を施し、その効果について研究した結果、前記耐酸性皮膜形成物質のなかでも、フェノール樹脂、フッ化クロム(3)化合物、リン酸の3成分から構成されたものを用いるリン酸クロメート処理が良好であった。
または、少なくともフェノール樹脂を含む樹脂成分に、モリブデン、チタン、ジルコン等の金属、または金属塩を含む化成処理剤が良好であった。
【0038】
リチウムイオン電池の外装体がエンボスタイプの場合には、アルミニウムの両面に化成処理することによって、エンボス成形の際のアルミニウムと基材層との間のデラミネーションを防止することができる。
【0039】
本発明者らは、安定した接着強度を示す積層方法について鋭意研究の結果、基材層11と両面に化成処理したバリア層12の片面とをドライラミネートし、バリア層12の他の面に、酸変性ポリオレフィン13を押出してヒートシール層(ポリエチレンフィルム、またはポリプロピレンフィルム)14をサンドイッチラミネートする場合、酸変性ポリエチレン樹脂13とヒートシール層(ポリエチレン樹脂、またはポリプロピレン樹脂)14とを共押出しして積層体とし、該積層体を前記酸変性ポリオレフィン樹脂がその軟化点以上になる条件に加熱することによって、所定の接着強度を有する積層体とすることができた。
前記加熱の具体的な方法としては、熱ロール接触式、熱風式、近または遠赤外線等の方法があるが、本発明においてはいずれの加熱方法でもよく、前述のように、接着樹脂がその軟化点温度以上に加熱できればよい。
【0040】
また、別の方法としては、前記、サンドイッチラミネートまたは共押出しラミネートの際に、アルミニウム12のヒートシール層側の表面温度が酸変性ポリオレフィン樹脂の軟化点に到達する条件に加熱することによっても接着強度の安定した積層体とすることができた。
また、ポリエチレン樹脂を接着樹脂として用いることも可能であるが、この場合には、押出したポリエチレンの溶融樹脂膜のアルミニウム側のラミネート面をオゾン処理しながらラミネートする可能である。
【0041】
リチウムイオン電池タブ用接着性フィルム6において、外装体を形成する積層体における前記の各層には、適宜、製膜性、積層化加工、最終製品2次加工(パウチ化、エンボス成形)適性を向上、安定化する目的のために、コロナ処理、ブラスト処理、酸化処理、オゾン処理等の表面活性化処理をしてもよい。
【0042】
本発明のリチウムイオン電池用包装材料のヒートシール層は、前述の通り、電子線架橋されたポリオレフィン層、または、電子線架橋されたポリオレフィン層にポリオレフィン樹脂を押出ラミネートした構成とする。前記押出ラミネートするポリオレフィンとしては、電子線架橋されたポリオレフィン樹脂がエチレン系樹脂(エチレン成分が50%以上)の場合には低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、アイオノマー、エチレンとブテンとの共重合体、エチレンとプロピレンとブテンとの共重合体等が好適に用いられ、また、電子線架橋されたフィルムがプロピレン系樹脂(プロピレン成分が50%以上)の場合には、ホモ系ポリプロピレン、エチレンとプロピレンと共重合体、エチレンとプロピレンとブテンとの共重合体の単体またはブレンド樹脂等を用いることができる。さらに、前記押出ラミネートするポリオレフィン樹脂にはブテン成分、エチレンとブテンとプロピレンとの3成分共重合体からなるターポリマー成分、密度が900kg/m3の低結晶のエチレンとブテンとの共重合体、非晶性のエチレンとプロピレンとの共重合体、プロピレンーα・オレフィン共重合体成分を添加することもできる。
【0043】
【実施例】
本発明のリチウムイオン電池用包装材料ついて、実施例によりさらに具体的に説明する。
外装体のバリア層に施した化成処理は、実施例、比較例ともに、処理液として、フェノール樹脂、フッ化クロム(3)化合物、リン酸からなる水溶液を、ロールコート法により、塗布し、皮膜温度が180℃以上となる条件において焼き付けた。クロムの塗布量は、1mg/m2 (乾燥重量)である。
以下の、実施例および比較例において、パウチタイプの外装体としては、巾30mm巾、長さ50mm(いずれも内寸)とし、また、エンボスタイプの外装体の場合は、いずれも片面エンボスタイプとし、成形型の凹部(キャビティ)の形状を30mm×50mm,深さ3.5mmとしてプレス成形して成形性の評価をした。
なお、接着性フィルムは、外装体に挿入前にリチウムイオン電池本体のタブの所定の位置に巻き付け溶着した。
[実施例1](パウチタイプ)
アルミニウム20μmの両面に化成処理を施し、化成処理した一方の面に延伸ポリエステルフィルム(厚さ12μm)をドライラミネート法により貼り合わせ、次に、化成処理したアルミニウムの他の面を遠赤外線と熱風とにより、接着樹脂である酸変性ポリエチレン樹脂の軟化点以上に加熱した状態として、酸変性ポリエチレン樹脂(20μm、不飽和カルボン酸グラフトポリエチレン)を接着樹脂として、ヒートシール層となる、▲1▼線状低密度ポリエチレン樹脂フィルム(30μm)、▲2▼低密度ポリエチレンフィルム(30μm)、▲3▼中密度ポリエチレンフィルム(30μm)、▲4▼高密度ポリエチレンフィルム(30μm)、▲5▼エチレンとプロピレンとの共重合体(30μm)、▲6▼エチレンとブテンとの共重合体(30μm)、▲7▼エチレンとプロピレンとブテンとの共重合体(30μm)、▲8▼アイオノマー(30μm)をそれぞれゲル分率(A)5%(B)30%(C)60%の条件で電子線架橋したフィルムをサンドイッチラミネートして得られた積層体を用いピロータイプのパウチを形成した。
また、接着性フィルムとして、酸変性ポリエチレンフィルム(不飽和カルボン酸グラフトポリエチレン、30μm)を用いた。
100μmの厚さ、4mm巾からなるアルミニウム製のタブを有するリチウムイオン電池本体を前記外装体中に挿入し、ヒートシール条件を190℃、1.0MPa、3.0secとして密封し。検体実施例1とした。
[実施例2](パウチタイプ)
アルミニウム20μmのヒートシール層側のみに化成処理を施し、化成処理していない方の面に延伸ポリエステルフィルム(厚さ12μm)をドライラミネート法により貼り合わせ、次に、化成処理したアルミニウムの他の面を遠赤外線と熱風とにより、接着樹脂である酸変性ポリプロピレン樹脂の軟化点以上に加熱した状態として、酸変性ポリプロピレン樹脂(20μm、不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン)を接着樹脂として、ゲル分率(A)5%(B)30%(C)60%の条件で電子線架橋されたエチレンとブテンとの共重合体樹脂20%を含むエチレンとプロピレンとの共重合体(50μm)にポリプロピレン樹脂を20μmの厚さに押出ラミネートして得られたフィルム(70μm)をサンドイッチラミネートして得られた積層体を用いピロータイプのパウチを形成した。
また、接着性フィルムとして、酸変性ポリプロピレンフィルム(不飽和カルボン酸グラフトランダムプロピレン、50μm)を用いた。
200μmの厚さ、10mm巾からなるアルミニウム製のタブを有するリチウムイオン電池本体前記外装体中に挿入し、ヒートシール条件を190℃、2.0MPa、3.0secとして密封し。検体実施例2とした。
[実施例3](エンボスタイプ)
アルミニウム40μmの両面に化成処理を施し、化成処理した一方の面に延伸ナイロンフィルム(厚さ25μm)をドライラミネート法により貼り合わせ、次に、化成処理したアルミニウムの他の面に、酸変性ポリエチレンを接着樹脂(厚さ20μm、不飽和カルボン酸グラフトポリエチレン)として、ゲル分率(A)5%(B)30%(C)60%の条件で電子線架橋された線状低密度ポリエチレンフィルム(厚さ30μm)をサンドイッチラミネートして一次積層体とした。該一次積層体を,熱風により酸変性ポリエチレン樹脂の軟化点以上の温度に加熱して二次積層体としエンボス成形した。成形しない二次積層体を蓋材として外装体とした。
また、接着性フィルムとして、酸変性ポリエチレンフィルム(不飽和カルボン酸グラフトポリエチレン、70μm)を用いた。
200μmの厚さ、10mm巾からなるアルミニウム製のタブを有するリチウムイオン電池本体を前記外装体中に挿入し、ヒートシール条件を190℃、1.0MPa、5.0secとして密封し。検体実施例3とした。
[実施例4](エンボスタイプ)
アルミニウム40μmの両面に化成処理を施し、化成処理した一方の面に延伸ナイロンフィルム(厚さ25μm)をドライラミネート法により貼り合わせ、次に、化成処理したアルミニウムの他の面に、酸変性ポリプロピレンを接着樹脂(厚さ15μm、不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン)として、▲1▼プロピレンとエチレンの共重合体、▲2▼プロピレンとエチレンとブテンとの共重合体、▲3▼エチレンとプロピレンとの共重合体(85重量部)にエチレンとブテンとの共重合体(15重量部)をブレンドした樹脂フィルム、▲4▼エチレンとプロピレンとの共重合体(90重量部)にエチレンとプロピレンとブテンとの共重合体(10重量部)をブレンドした樹脂フィルムをそれぞれゲル分率(A)5%(B)30%(C)60%の条件で電子線架橋されたプロピレンフィルム(厚さ30μm)をサンドイッチラミネートして一次積層体とした。該一次積層体を,熱風により酸変性ポリプロピレン樹脂の軟化点以上の温度に加熱して二次積層体とした後、エンボス成形して、成形しない二次積層体を蓋材として外装体とした。
また、接着性フィルムとして、酸変性ポリプロピレンフィルム(不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン、70μm)を用いた。
100μmの厚さ、6.0mm巾からなるアルミニウム製のタブを有するリチウムイオン電池本体を前記外装体中に挿入し、ヒートシール条件を190℃、2.0MPa、10.0secとして密封し。検体実施例4とした。
[実施例5](エンボスタイプ)
アルミニウム40μmの両面に化成処理を施し、化成処理した一方の面に延伸ナイロンフィルム(厚さ25μm)をドライラミネート法により貼り合わせ、次に、化成処理したアルミニウムの他の面に、
ゲル分率(A)5%(B)30%(C)60%の条件で電子線架橋された線状低密度ポリエチレンフィルム(厚さ80μm)をドライラミネート法で貼り合せ積層体としエンボス成形した。成形しない二次積層体を蓋材として外装体とした。
また、接着性フィルムとして、エチレンとメタクリル酸との共重合物からなるフィルム(50μm)を用いた。
100μmの厚さ、4mm巾からなるアルミニウム製のタブを有するリチウムイオン電池本体を前記外装体中に挿入し、ヒートシール条件を190℃、1.0MPa、5.0secとして密封し。検体実施例5とした。
【0044】
[比較例1](パウチタイプ)
アルミニウム20μmの両面に化成処理を施し、化成処理した一方の面に延伸ポリエステルフィルム(厚さ12μm)をドライラミネート法により貼り合わせ、次に、化成処理したアルミニウムの他の面を遠赤外線と熱風とにより、接着樹脂である酸変性ポリエチレン樹脂の軟化点以上に加熱した状態として、酸変性ポリエチレン樹脂(20μm、不飽和カルボン酸グラフトポリエチレン)を接着樹脂として、ヒートシール層となる線状低密度ポリエチレン樹脂フィルム(30μm)をサンドイッチラミネートして得られた積層体を用いピロータイプのパウチを形成した。
また、接着性フィルムは、50μm厚さの酸変性ポリエチレン(不飽和カルボン酸グラフトポリエチレン)とした。
100μmの厚さ、4mm巾からなるアルミニウム製のタブを有するリチウムイオン電池本体のタブ部の上下に前記接着性フィルム仮着して、前記外装体中に挿入し、ヒートシール条件を190℃、1.0MPa、2.5secとして密封し。検体比較例1とした。
[比較例2](パウチタイプ)
アルミニウム20μmの両面に化成処理を施し、化成処理した一方の面に延伸ポリエステルフィルム(厚さ12μm)をドライラミネート法により貼り合わせ、次に、化成処理したアルミニウムの他の面を遠赤外線と熱風とにより、接着樹脂である酸変性ポリプロピレン樹脂の軟化点以上に加熱した状態として、酸変性ポリプロピレン樹脂(20μm、不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン)を接着樹脂として、ヒートシール層となるエチレンとブテンとの共重合体樹脂20%を含むエチレンとプロピレンとの共重合体からなるフィルム(100μm)をサンドイッチラミネートして得られた積層体を用いピロータイプのパウチを形成した。
また、接着性フィルムとして、ポリプロピレンベースの酸変性ポリプロピレン(不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン)200μmを用意した。
100μmの厚さ、4mm巾からなるアルミニウム製のタブを有するリチウムイオン電池本体のタブ部の上下に前記接着性フィルムを仮着して、前記外装体中に挿入し、ヒートシール条件を190℃、2.0MPa、3secとして密封し。検体比較例2とした。
[比較例3](エンボスタイプ)
アルミニウム40μmの両面に化成処理を施し、化成処理した一方の面に延伸ナイロンフィルム(厚さ25μm)をドライラミネート法により貼り合わせ、次に、化成処理したアルミニウムの他の面に、酸変性ポリポリエチレンを接着樹脂(厚さ20μm、不飽和カルボン酸グラフトポリエチレン)として、線状低密度ポリエチレンフィルム(厚さ30μm)をサンドイッチラミネートして一次積層体とした。該一次積層体を,熱風により酸変性ポリエチレン樹脂の軟化点以上の温度に加熱した後、エンボス成形して、成形しない一次積層体を蓋材として外装体とした。
また、接着性フィルムとして、酸変性ポリエチレンフィルム(30μm)を製膜した。
200μmの厚さ、4mm巾からなるアルミニウム製のタブを有するリチウムイオン電池本体のタブ部の上下に前記接着性フィルムの酸変性ポリエチレン(不飽和カルボン酸グラフトポリエチレン)の面をタブ側として仮着して、前記外装体中に挿入し、ヒートシール条件を190℃、1.0MPa、5secとして密封し。検体比較例3とした。
[比較例4](エンボスタイプ)
アルミニウム40μmの両面に化成処理を施し、化成処理した一方の面に延伸ナイロンフィルム(厚さ25μm)をドライラミネート法により貼り合わせ、次に、化成処理したアルミニウムの他の面に、酸変性ポリプロピレンを接着樹脂(厚さ20μm、不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン)として、エチレンとブテンとの共重合体樹脂からなるフィルム(厚さ30μm)をサンドイッチラミネートして一次積層体とした。該一次積層体を,熱風により酸変性ポリプロピレン樹脂の軟化点以上の温度に加熱した後、エンボス成形して、成形しない一次積層体を蓋材として外装体とした。
また、接着性フィルムとして、100μmの厚さの酸変性ポリプロピレン(不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン)を用意した。
100μmの厚さ、4mm巾からなるアルミニウム製のタブを有するリチウムイオン電池本体のタブ部の上下に前記接着性フィルムを仮着して、前記外装体中に挿入し、ヒートシール条件を190℃、0.2MPa、10.0secとして密封し、検体比較例4とした。
【0045】
<評価方法>
(1)タブと外装体のバリア層との短絡の有無
タブ部と外装体とのショート状態とを、タブ部のヒートシール部を断裁し、断面写真により確認し、タブと外装体のバリア層とのショートのおそれのあるものについては、テスターによって接触を確認し、断面写真によって、タブと外装体のバリア層との間に皮膜が見られないものをショート寸前とし、その内でテスターによりショートが確認された検体をショート数とした。
2)もれの確認
ヒートシール品を80℃、24時間保存し、タブ部からの内容物のもれを確認した。
内容物:電解液1M LiPF6となるようにしたエチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート(1:1:1)の混合液、3g。
【0046】
<結果>
実施例1〜実施例5はいずれも、タブ部でのショート及び内容物のもれは皆無であった。
比較例1においては、500検体中20検体においてショート寸前であり、実際にショートしたのは10検体であった。また、漏れは無かった。比較例2においては、500検体中50検体においてショート寸前であり、実際にショートしたのは10検体であった。また、もれは無かった。比較例3においては、500検体中80検体においてショートしたが漏れはなかった。比較例4においては、500検体中60検体においてショート寸前であり、実際にショートしたのは40検体であった。また、漏れは無かった。
ショート以外の評価項目については、実施例、比較例ともに良好であった。
【0047】
【発明の効果】
本発明のリチウムイオン電池用包装材料のヒートシール層に少なくとも電子線架橋したポリオレフィン層を設けることによって、外装体のパウチまたはエンボス成形部にリチウムイオン電池本体を収納しその周縁をヒートシールして密封する際、リチウムイオン電池のタブと外装体との間に介在させる接着性フィルムを含めて、外装体のバリア層とタブとが接触(ショート)するおそれがなくなった。
また、外装体のアルミニウムの両面に施した化成処理によって、エンボス成形時、及びヒートシール時の基材層とアルミニウムとの間でのデラミネーションの発生を防止することができ、また、ヒートシール層をサンドイッチラミネート法または共押出ラミネート法により形成した場合に、積層体の形成時の加熱、または積層体形成後の加熱によって、リチウムイオン電池の電解質と水分との反応により発生するフッ化水素によるアルミニウム面の腐食を防止できることにより、アルミニウムとの内容物側の層とのデラミネーションをも防止できる外装体である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリチウムイオン電池用包装材料の実施例を断面図として説明する図で、(a)〜(c)は、ヒートシール層が電子線架橋されたポリオレフィンフィルムからなる場合のラミネート方法がドライラミネート法、熱ラミネート法、押出ラミネート法を示したものである。(d)〜(f)fは、ヒートシール層が電子線架橋されたポリオレフィンフィルムにポリオレフィンを押出ラミネートして形成された例で、ヒートシール層のラミネート方法がドライラミネート法、熱ラミネート法、押出ラミネート法を示したものである。
【図2】本発明のリチウムイオン電池用包装材料のタブ部での層構成及び、(a)、リチウムイオン電池タブ、外装体、接着性フィルムの材質及び位置関係(片側)を説明する図、(b)タブ部での、ヒートシール前のタブと接着性フィルムと外装体とが接した状態を説明する断面図、(c)シール後の状態を示す説明図である。
【図3】リチウムイオン電池用包装材料とタブとの接着における接着性フィルムの装着方法を説明する斜視図である。
【図4】ヒートシール時におけも外装体とタブ部との間に介在させる接着性フィルムの固定方法の説明図である。
【図5】リチウムイオン電池のパウチタイプの外装体を説明する斜視図である。
【図6】リチウムイオン電池のエンボスタイプの外装体を説明する斜視図である。
【図7】エンボスタイプにおける成形を説明する、(a)斜視図、(b)エンボス成形された外装体本体、(c)X2−X2部断面図、(d)Y1部拡大図である。
【図8】リチウムイオン電池の外装体を形成する積層体の層構成例を示す断面図である。
【図9】リチウムイオン電池の外装体を形成する他の積層体の層構成例を示す断面図である。
【図10】従来の接着性フィルムを用いてバリア層とタブとがショートした状態を示す断面図である。
【符号の説明】
S タブとバリア層とのショート部
H ヒートシール熱板
f 折れ線
wk 仮着
mk 溶着
1 リチウムイオン電池
2 リチウムイオン電池本体
3 セル(蓄電部)
4 タブ(電極)
5 外装体
6 接着性フィルム(タブ部)
7 凹部
8 側壁部
9 シール部
10 積層体(リチウムイオン電池用包装材料)
11 基材層
12 アルミニウム(バリア層)
13 酸変性ポリオレフィン層(押出)
14 ヒートシール層(ポリオレフィン層)
14E 電子線架橋されたポリオレフィンフィルム層
15 化成処理層
16 接着層
17 スリップ剤層
18 酸変性ポリプロピレン(コーティング)
19 流動パラフィン層
20 プレス成形部
21 オス型
22 メス型
23 キャビティ

Claims (7)

  1. 少なくとも基材層、接着層1、化成処理層1、アルミニウム、化成処理層2、接着層2、ヒートシール層から構成されるリチウムイオン電池の外装体にリチウムイオン電池本体を挿入し、周縁をヒートシールするリチウムイオン電池用包装材料であって、前記ヒートシール層が、電子線架橋したポリオレフィン系樹脂にポリオレフィン樹脂を押出ラミネートした層からなり、前記押出ラミネートした層が最内層に位置することを特徴とするリチウムイオン電池用包装材料。
  2. 前記ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンとブテンとの共重合体、プロピレンとブテンとの共重合体、プロピレンとエチレンとブテンとの共重合体、アイオノマーの単体または少なくとも1つを含む混合物からなることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン電池用包装材料
  3. 少なくとも基材層、接着層1、アルミニウム、化成処理層、接着層2、ヒートシール層から構成されるリチウムイオン電池の外装体にリチウムイオン電池本体を挿入し、周縁をヒートシールするリチウムイオン電池用包装材料であって、前記ヒートシール層が、電子線架橋されたポリオレフィン系樹脂にポリオレフィン樹脂を押出ラミネートした層からなり、前記押出ラミネートした層が最内層に位置することを特徴とするリチウムイオン電池用包装材料
  4. 前記ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンとブテンとの共重合体、プロピレンとブテンとの共重合体、プロピレンとエチレン
    とブテンとの共重合体、アイオノマーの単体または少なくとも1つを含む混合物からなることを特徴とする請求項3に記載のリチウムイオン電池用包装材料
  5. 前記接着層1、接着層2がドライラミネート法により形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のリチウムイオン電池用包装材料
  6. 少なくとも、前記接着層2が酸変性ポリオレフィンの塗布焼付け層であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のリチウムイオン電池用包装材料
  7. 少なくとも、前記接着層2が酸変性ポリオレフィンの押出層であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のリチウムイオン電池用包装材料
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