JP2002245982A - リチウムイオン電池用包装材料 - Google Patents

リチウムイオン電池用包装材料

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JP2002245982A JP2001042311A JP2001042311A JP2002245982A JP 2002245982 A JP2002245982 A JP 2002245982A JP 2001042311 A JP2001042311 A JP 2001042311A JP 2001042311 A JP2001042311 A JP 2001042311A JP 2002245982 A JP2002245982 A JP 2002245982A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】リチウムイオン電池包装において、電池本体を
長期にわたり保護するとともに、ポリオレフィン系樹脂
をヒートシール層とする外装体にリチウムイオン電池本
体を挿入してその周縁をヒートシールして密封する際
に、ヒートシールの熱と圧力によって外装体のバリア層
とタブとがショートすることなく安定して密封可能な材
質構成を提供する。 【解決手段】少なくとも基材層、接着層1、化成処理層
1、アルミニウム、化成処理層2、接着層2、ヒートシ
ール層から構成されるリチウムイオン電池の外装体にリ
チウムイオン電池本体を挿入し、周縁をヒートシールす
るリチウムイオン電池用包装材料であって、前記ヒート
シール層に少なくとも電子線架橋されたポリオレフィン
層を含むことを特徴とするリチウムイオン電池用包装材
料であり、前記ヒートシール層が、電子線架橋されたポ
リオレフィンフィルムであること、さらに、前記ヒート
シール層が、電子線架橋したポリオレフィンフィルムに
ポリオレフィン樹脂を押出ラミネートした層であること
を含むものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、防湿性、耐内容物
性を有する、液体または固体有機電解質(高分子ポリマ
ー電解質)を持つリチウムイオン電池用包装材料であっ
てリチウムイオン電池本体を包装する外装体と前記電池
のタブ部と外装体との間に介在させる接着性フィルムに
関する。
【0002】
【従来の技術】リチウムイオン電池とは、リチウム2次
電池ともいわれ、電解質として、固体高分子、ゲル状高
分子、液体などからなり、リチウムイオンの移動で電流
を発生する電池であって、正極・負極活物質が高分子ポ
リマーからなるものを含むものである。リチウム2次電
池の構成は、正極集電材(アルミニウム、ニッケル)/
正極活性物質層(金属酸化物、カーボンブラック、金属
硫化物、電解液、ポリアクリロニトリル等の高分子正極
材料)/電解質層(プロピレンカーボネート、エチレン
カーボネート、炭酸ジメチル、エチレンメチルカーボネ
ート等のカーボネート系電解液、リチウム塩からなる無
機固体電解質、ゲル電解質)/負極活性物質(リチウム
金属、合金、カーボン、電解液、ポリアクリロニトリル
などの高分子負極材料)/負極集電材(銅、ニッケル、
ステンレス)及びそれらを包装する外装体からなる。リ
チウムイオン電池の用途としては、パソコン、携帯端末
装置(携帯電話、PDA等)、ビデオカメラ、電気自動
車、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星等に用い
られる。前記リチウムイオン電池の外装体としては、金
属をプレス加工して円筒状または直方体状に容器化した
金属製缶、あるいは、プラスチックフィルム、金属箔等
のラミネートにより得られる複合フィルムからなる積層
体を袋状にしたもの(以下、外装体)が用いられてい
た。リチウムイオン電池の外装体として、次のような問
題があった。金属製缶においては、容器外壁がリジッド
であるため、電池自体の形状が決められてしまう。その
ため、ハード側を電池にあわせる設計をするため、該電
池を用いるハードの寸法が電池により決定されてしまい
形状の自由度が少なくなる。そのため、前記袋状の外装
体を用いる傾向にある。前記外装体の材質構成は、リチ
ウムイオン電池としての必要な物性、加工性、経済性等
から、少なくとも基材層、バリア層、ヒートシール層と
前記各層を接着する接着層からなり、必要に応じて中間
層を設けることがある。リチウムイオン電池の前記構成
の積層体からパウチを形成し、または、少なくとも片面
をプレス成形してリチウムイオン電池の収納部を形成し
てリチウムイオン電池本体を収納し、パウチタイプまた
は、エンボスタイプ(蓋体を被覆して)において、それ
ぞれの周縁の必要部分をヒートシールにより密封するこ
とによってリチウムイオン電池とする。前記ヒートシー
ル層としては、ヒートシール層同士のヒートシール性と
ともにタブ(金属)に対してもヒートシール性を有する
ことが求められ、金属接着性を有する酸変性ポリオレフ
ィン樹脂をヒートシール層とすることでタブ部との密着
性は確保される。
【0003】しかし、酸変性ポリオレフィン樹脂を外装
体のヒートシール層として積層すると、一般的なポリオ
レフィン樹脂と比較してその加工性が劣ること、また、
コストが高いこと等のために、外装体のヒートシール層
として一般的なポリオレフィン樹脂層とし、タブ部にヒ
ートシール層とタブとの両方に熱接着可能な接着性フィ
ルムを介在させる方法が採用されていた。具体的には、
図10(a)に示すように、タブ4と積層体10’のヒ
ートシール層14’との間に、金属と外装材のヒートシ
ール層との双方に対してヒートシール性を有する接着性
フィルム6’を介在させることにより、タブ部での密封
性を確保していた。前記接着性フィルムとしては、前記
不飽和カルボングラフトポリオレフィン、金属架橋ポリ
エチレン、エチレンまたはプロピレンとアクリル酸、ま
たはメタクリル酸との共重合物からなるフィルムを用い
ることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、リチウムイオ
ン電池の外装体(以下、外装体)を構成する積層体のヒ
ートシール層がポリエチレン系樹脂からなる場合、リチ
ウムイオン電池本体を外装体に収納し、その周縁をシー
ルして密封するが、例えば、酸変性ポリエチレン単層か
らなる接着性フィルム6’を用いる場合、タブが存在す
る部分において、図10(b)に示すように、ヒートシ
ールのための熱と圧力によって前記外装体のヒートシー
ル層14’と接着性フィルム層6’とがともに溶融し、
また、加圧によって加圧部の領域の外に押し出されるこ
とがある。その結果、外装体10’のバリア層12’で
あるアルミニウム箔と金属からなるタブ4’とが接触
(S)しショートすることがあった。同様に、積層体の
ヒートシール層がポリプロピレン系樹脂からなる場合、
酸変性ポリプロピレン単層からなる接着性フィルム6’
を用いても、外装体10’のバリア層12’であるアル
ミニウム箔と金属からなるタブ4とが接触(S)しショ
ートすることがあった。本発明の目的は、リチウムイオ
ン電池包装において、電池本体を長期にわたり保護する
とともに、ポリオレフィン系樹脂をヒートシール層とす
る外装体にリチウムイオン電池本体を挿入してその周縁
をヒートシールして密封する際に、ヒートシールの熱と
圧力によって外装体のバリア層とタブとがショートする
ことなく安定して密封可能な材質構成を提供しようとす
るものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、以下の本
発明により解決することができる。すなわち、請求項1
に記載した発明は、少なくとも基材層、接着層1、化成
処理層1、アルミニウム、化成処理層2、接着層2、ヒ
ートシール層から構成されるリチウムイオン電池の外装
体にリチウムイオン電池本体を挿入し、周縁をヒートシ
ールするリチウムイオン電池用包装材料であって、前記
ヒートシール層に少なくとも電子線架橋されたポリオレ
フィン層を含むことを特徴とするリチウムイオン電池用
包装材料からなる。請求項2に記載した発明は、前記ヒ
ートシール層が、電子線架橋されたポリオレフィン系樹
脂であることを特徴とするものである。請求項3に記載
した発明は、前記ヒートシール層が、電子線架橋したポ
リオレフィン系樹脂にポリオレフィン樹脂を押出ラミネ
ートした層であることを特徴とするものである。請求項
4に記載した発明は、請求項1または請求項2に記載し
たポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン、ポリエチレ
ン、エチレンとブテンとの共重合体、プロピレンとブテ
ンとの共重合体、プロピレンとエチレンとブテンとの共
重合体、アイオノマーの単体または少なくとも1つを含
む混合物からなることを特徴とする請求項1〜請求項3
のいずれかに記載のリチウムイオン電池用包装材料。請
求項5に記載した発明は、少なくとも基材層、接着層
1、アルミニウム、化成処理層、接着層2、ヒートシー
ル層から構成されるリチウムイオン電池の外装体にリチ
ウムイオン電池本体を挿入し、周縁をヒートシールする
リチウムイオン電池用包装材料であって、少なくとも前
記ヒートシール層に電子線架橋された層が含まれている
ことを特徴とするリチウムイオン電池用包装材料からな
る。請求項6に記載した発明は、請求項5に記載したヒ
ートシール層が、電子線架橋されたポリオレフィン系樹
脂であることを特徴とするものである。請求項*に記載
した発明は、請求項5に記載したヒートシール層が、電
子線架橋されたポリオレフィン系樹脂にポリオレフィン
樹脂を押出ラミネートした層であることを特徴とするも
のである。請求項8に記載した発明は、請求項5〜請求
項7のいずれかに記載したポリオレフィン系樹脂がポリ
プロピレン、ポリエチレン、エチレンとブテンとの共重
合体、プロピレンとブテンとの共重合体、プロピレンと
エチレンとブテンとの共重合体、アイオノマーの単体ま
たは少なくとも1つを含む混合物からなることを特徴と
するものである。請求項9に記載した発明は、接着層1
〜請求項8のいずれかに記載の接着層1、接着層2がド
ライラミネート法により形成されたことを特徴とする接
着層1〜請求項8のいずれかに記載のリチウムイオン電
池用包装材料。請求項10に記載した発明は、接着層1
〜請求項8のいずれかに記載の接着層2が酸変性ポリオ
レフィンの塗布焼付け層であることを特徴とするもので
ある。請求項11に記載した発明は、接着層1〜請求項
8のいずれかに記載の接着層2が酸変性ポリオレフィン
の押出層であることを特徴とするものである。請求項1
2に記載した発明は、請求項1〜請求項11のいずれか
に記載したリチウムイオン電池の外装体とリチウムイオ
ン電池本体のタブ部との間に接着性フィルムを介在させ
ることを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明は、少なくとも基材層、接
着層、化成処理層1、アルミニウム、化成処理層2、ポ
リオレフィン系樹脂のヒートシール層から構成されるリ
チウムイオン電池の外装体の前記ヒートシール層に、少
なくとも電子線架橋されたポリオレフィン層を設ける。
該電子線架橋されたポリオレフィンは耐熱性に優れ、外
装体の密封シールの際にもタブ部分において膜状を保持
しており、前記アルミニウムと金属であるタブとが接触
してショートするおそれのない材質としたものである。
以下、図面等を参照して詳細に説明する。
【0007】図1は、本発明のリチウムイオン電池用包
装材料の実施例を断面図として説明する図で、(a)〜
(c)は、ヒートシール層が電子線架橋されたポリオレ
フィンフィルムからなる場合のラミネート方法がドライ
ラミネート法、熱ラミネート法、押出ラミネート法を示
したものである。(d)〜(f)fは、ヒートシール層
が電子線架橋されたポリオレフィンフィルムにポリオレ
フィンを押出ラミネートして形成された例で、ヒートシ
ール層のラミネート方法がドライラミネート法、熱ラミ
ネート法、押出ラミネート法を示したものである。図2
は、タブ部での層構成であって、(a)は、リチウムイ
オン電池タブ、外装体、接着性フィルムの材質及び位置
関係(片側)を説明する図、(b)タブ部での、ヒート
シール前のタブと接着性フィルムと外装体とが接した状
態を説明する断面図、(c)シール後の状態を示す説明
図である。図3は、リチウムイオン電池用包装材料とタ
ブとの接着における接着性フィルムの装着方法を説明す
る斜視図である。図4は、ヒートシール時におけも外装
体とタブ部との間に介在させる接着性フィルムの固定方
法の説明図である。図5は、リチウムイオン電池のパウ
チタイプの外装体を説明する斜視図である。図6は、リ
チウムイオン電池のエンボスタイプの外装体を説明する
斜視図である。図7は、エンボスタイプにおける成形を
説明する、(a)斜視図、(b)エンボス成形された外
装体本体、(c)X2−X2部断面図、(d)Y1部拡大
図である。図8は、リチウムイオン電池の外装体を形成
する積層体の層構成例を示す断面図である。図9は、リ
チウムイオン電池の外装体を形成する他の積層体の層構
成例を示す断面図である。
【0008】リチウムイオン電池のタブとしては、厚さ
が50〜2000μm、 巾 が2.5〜20mm程度で
あって、その材質としては、 AL、Cu(Niメッキ
を含む)、Ni、等である。また、リチウムイオン電池
の外装体のヒートシール層は該ヒートシール層同士がヒ
ートシール可能な樹脂により形成される。タブに直接ヒ
ートシール可能な樹脂をヒートシール層とすることか望
ましいが、前述したように、一般的なポリオレフィン例
えばポリエチレンやポリプロピレンの単体、またはブレ
ンド物の単層あるいは多層構成からなる樹脂物をヒート
シール層とし、タブと該ヒートシール層とのいずれにも
ヒートシール性を有する接着性フィルムにより相互にヒ
ートシールして密封する方法がとられている。
【0009】リチウムイオン電池の外装体は、リチウム
イオン電池本体の性能を長期にわたって維持する性能を
有することが求められ、基材層、バリア層、ヒートシー
ル層等を各種のラミネート法によって積層している。特
に、リチウムイオン電池の外装体(以下、外装体)を構
成する積層体のヒートシール層がポリオレフィン系樹脂
等からなる場合、リチウムイオン電池本体を外装体に収
納し、その周縁をシールして密封する際、タブが存在す
る部分において、例えば、接着性フィルムとして酸変性
ポリオレフィンを用いる場合、図10(a)および図1
0(b)に示すようにヒートシールのための熱と圧力に
よって前記外装体のヒートシール層と接着性フィルム層
とがともに溶融し、また、加圧によって、絶縁層となっ
ていた外装体のバリア層12’より内側の層、および、
接着性フィルム層6’が、共に加圧部の領域の外に押し
出されることがある。その結果、外装体のバリア層1
2’であるアルミニウム箔と金属からなるタブ4’とが
接触しショートSすることがあった。
【0010】本発明者らは、前記ショートSを防止する
ことについて、鋭意研究の結果、少なくとも外装体のヒ
ートシール層に電子線架橋したポリオレフィン層を設け
ることで、前記課題を解決し得ることを見出し、本発明
を完成するに到った。すなわち、本発明のリチウムイオ
ン電池用包装材料としての第一の構成例としては、図1
(a)に示すように、ヒートシール層14Eを電子線架
橋したポリオレフィンフィルムとするものであり、ま
た、本発明のリチウムイオン電池用包装材料の第二の構
成例としては、図1(d)に示すように、ヒートシール
層を電子線架橋したポリオレフィンフィルム14Eにポ
リオレフィン14を押出製膜するものである。前記押出
製膜されたポリオレフィン層14は低温シール性により
密封性を確実とし、前記電子線架橋したポリオレフィン
フィルム14Eは、ヒートシールした際に、膜状に保持
され絶縁層として機能する。図示しないが、第三の構成
例としてヒートシール層を電子線架橋したポリオレフィ
ンフィルム14Eにポリオレフィン14を押出製膜する
ものである。この時、バリア層12側にポリオレフィン
14を、内容物側に電子線架橋したポリオレフィンフィ
ルム14Eを配置してもよい。さらに多層化することも
でき、たとえばバリア層側から順に、ポリオレフィンフ
ィルム14E/ポリオレフィン14/ポリオレフィンフ
ィルム14E、ポリオレフィン14/ポリオレフィンフ
ィルム14E/ポリオレフィン14と構成することもで
きる。
【0011】本発明のリチウムイオン電池用包装材料に
おけるヒートシール層の電子線架橋したポリオレフィン
フィルム14E、あるいは、押出製膜に用いるポリオレ
フィン樹脂14としては、エチレン系樹脂を主体として
も良いし、プロピレン系樹脂を主体としても良い。
【0012】ここで、ポリオレフィン系樹脂とは、プロ
ピレン系樹脂(ホモタイプ、エチレンとプロピレンとの
共重合体物、エチレンとプロピレンとブテンとの共重合
体物)、エチレン系樹脂(低密度ホ゜リエチレン、中密度ホ゜リエチ
レン、高密度ホ゜リエチレン、線状低密度ホ゜リエチレン、エチレンとブ
テンとの共重合体物、エチレンとアクリル酸またはメタクリル酸誘導
体との共重合体物、エチレンと酢酸ヒ゛ニルとの共重合体物、金
属イオン含有エチレン)および不飽和カルボン酸をグラフトさ
せたポリエチレンまたはポリプロピレンの単体、または
ブレンド物を示す。また、その他ブテン成分、エチレン
とブテンとプロピレンとの3成分共重合体からなるター
ポリマー成分、密度が900kg/m3の低結晶のエチ
レンとブテンとの共重合体、非晶性のエチレンとプロピ
レンとの共重合体、プロピレンーα・オレフィン共重合
体成分等を5%以上添加することもできる。
【0013】次に、前記ヒートシール層として用いる、
または、ヒートシール層に設ける電子線架橋されたポリ
オレフィンフィルムについて説明する。ポリエチレン、
エチレンとブテンとの共重合体、エチレンとプロピレン
とブテンとの共重合体、アイオノマーの樹脂は電子線架
橋することによって分子内で架橋が起こり、室温下では
勿論融点以上の高温下での機械的強度、例えば引張り強
度、突き刺し強度、圧縮強度が向上する。例えば、融点
105℃のポリエチレンをゲル分率が20%及び50%
となるように電子線架橋を施した樹脂物は、未電子線架
橋の樹脂物に比べ190℃、面圧1.0MPa,3秒で
の高温、圧縮ひずみ量が少なく、未電子架橋品が80%
に対し、20%ゲル分率樹脂物60%、50%ゲル分率
品で40%となる。
【0014】また、通常のポリプロピレンは、電子線照
射によって分解するが、プロピレンとエチレン共重合体
やポリプロピレンにポリエチレン成分、ブテン成分、エ
チレンとブテンとプロピレンとの3成分共重合体からな
るターポリマー成分、密度が900kg/m3の低結晶
のエチレンとブテンとの共重合体、非晶性のエチレンと
プロピレンとの共重合体、プロピレンーα・オレフィン
共重合体成分等を5%以上添加したブレンド物は電子線
架橋することで分子内で架橋が起こり、室温下では勿論
融点以上の高温下での機械的強度、例えば引張り強度、
突き刺し強度、圧縮強度が向上する。例えば、エチレン
とブテンとプロピレンとの3成分共重合体からなるター
ポリマー成分を10%添加された融点145℃のポリプ
ロピレンをゲル分率が20%及び50%となるように電
子線架橋を施した樹脂物は、未電子線架橋の樹脂物に比
べ190℃、面圧1.0MPa,3秒での高温、圧縮ひ
ずみ量が少なく、未電子架橋品が70%に対し、20%
ゲル分率樹脂物50%、50%ゲル分率品で35%とな
る。同様に、プロピレンとエチレン共重合体(エチレン
成分5%、融点135℃)をゲル分率が20%及び50
%となるように電子線架橋を施した樹脂物は、未電子線
架橋の樹脂物に比べ190℃、面圧1.0MPa,3秒
での高温、圧縮ひずみ量が少なく、未電子架橋品が80
%に対し、20%ゲル分率樹脂物55%、50%ゲル分
率品で40%となるまた、同じ厚さで比較した場合でも
このように電子線架橋されたポリオレフィンは、未電子
線架橋のポリオレフィンに比べヒートシール時にタブ4
にある微少なエッジ(いわゆる、バリ)で発生するピン
ホールによるショートも防止する効果がある。
【0015】本発明のリチウムイオン電池用包装材料の
ヒートシール層とする電子線架橋されたポリオレフィン
及び電子線架橋されたポリオレフィンに押出ラミネート
するポリオレフィンには、いずれも金属に対する接着性
がないので、密封シール時に、リチウムイオン電池タブ
部と外装体との間に、ヒートシール層とタブとの双方に
ヒートシール性を有する接着性フィルムを介在させる。
【0016】前記接着性フィルムとして具体的には、前
記ヒートシール層及びタブの何れにも熱接着性を有する
酸変性ポリオレフィンからなるフィルム等を用いる。酸
変性ポリオレフィン樹脂としては、不飽和カルボングラ
フトポリオレフィン、金属架橋ポリエチレン、エチレンとアク
リル酸またはメタクリル酸誘導体との共重合体物、エチレンと酢酸ヒ
゛ニルとの共重合体物の単体、またはブレンド物等を用い
ることができる。
【0017】外装体のヒートシール層14として金属に
対してヒートシール性を持たない材質とした時に、前述
のように、外装体5とタブ4との間に接着性フィルム6
を介在させるがその具体的方法は、例えば、図3(a)
および図3(b)に示すように、リチウム電池本体2の
タブ部密封シール部の上下に接着性フィルム6をおいて
(実際には仮着シールにより固定して)外装体5に挿入
しタブ部を挟持した状態でヒートシールすることによっ
て密封する。接着性フィルム6のタブ4への介在方法と
して、図3(d)または図3(e)に示すように、タブ
4の所定の位置に接着性フィルム6のフィルムを巻き付
けてもよい。タブ4と接着性フィルム6は、図4(a)
に示すように、タブ4に接着性フィルム6の酸変性ポリ
オレフィン21を予め溶着mkさせて用いてもよい。あ
るいは、図4(b)に示すように、タブ4と接着性フィ
ルム6とを仮着wkさせた状態で用いてもよい。さら
に、図4(c)または図4(d)に示すように、予め外
装体10のヒートシール層14の面に仮着wkまたは溶
着mkさせてもよい。
【0018】また、タブ4としてアルミニウム(AL
M)を用いる場合、リチウム電池の電解質と水分とによ
る反応で生成するフッ化水素により、アルミニウム表面
の溶解、腐食を防止するために表面に化成処理を行うこ
とが望ましい。化成処理とは、具体的にはリン酸塩、ク
ロム酸塩、フッ化物、トリアジンチオール化合物等の耐
酸性皮膜を形成することで、前記耐酸性皮膜形成物質の
なかでも、フェノール樹脂、フッ化クロム(3)化合
物、リン酸の3成分から構成されたものを用いるリン酸
クロメート処理が良好である。または、少なくともフェ
ノール樹脂を含む樹脂成分に、モリブデン、チタン、ジ
ルコン等の金属、または金属塩を含む化成処理剤が良好
であった。
【0019】以上に述べた方法により形成されたリチウ
ムイオン電池用包装材料及び接着性フィルム6をリチウ
ム電池1の外装体5とタブ4との間に介在させてヒート
シールすると、図2(c)に示すように、電子架橋ポリ
オレフィンの層22が絶縁層として残るために前記ショ
ートを回避することができるが、前記ポリオレフィン層
を形成するポリオレフィンが電子線架橋によって、その
耐熱性が向上し、かつ、硬くなり、隣接する他の樹脂層
と比較してヒートシール時の熱および圧力によってつぶ
れることが少ないためと考えられる。
【0020】接着性フィルム20における酸変性ポリオ
レフィン層21は、タブ4と熱接着する樹脂であり、本
発明の場合には、前記不飽和カルボングラフトポリオレ
フィン、金属架橋ポリエチレン、エチレンまたはプロピ
レンとアクリル酸、またはメタクリル酸との共重合物な
どの酸変性ポリエチレン及び酸変性ポリプロピレンであ
る。また必要に応じブテン成分、エチレンとブテンとプ
ロピレンとの3成分共重合体からなるターポリマー成
分、密度が900kg/m3の低結晶のエチレンとブテ
ンとの共重合体、非晶性のエチレンとプロピレンとの共
重合体、プロピレンーα・オレフィン共重合体成分等を
5%以上添加することもできる。
【0021】リチウムイオン電池用包装材料はリチウム
イオン電池本体を包装する外装体を形成するものであっ
て、その外装体の形式によって、図5に示すようなパウ
チタイプと、図6(a)、図6(b)または図6(c)
に示すようなエンボスタイプとがある。前記パウチタイ
プには、三方シール、四方シール等およびピロータイプ
等の袋形式があるが、図5は、ピロータイプとして例示
している。エンボスタイプは、図6(a)に示すよう
に、片面に凹部を形成しても良いし、図6(b)に示す
ように、両面に凹部を形成してリチウムイオン電池本体
を収納して周縁の四方をヒートシールして密封しても良
い。また、図6(c)に示すような折り部をはさんで両
側に凹部形成して、リチウムイオン電池を収納して3辺
をヒートシールする形式もある。
【0022】本発明のリチウムイオン電池用包装材料1
0を用い、図2(a)に示すように外装体5とタブ4と
の間に接着性フィルム6を介在させて密封シールをした
場合に、密封シール後のシール部は図1(d)に示すよ
うにヒートシール層中の電子線架橋されたポリオレフィ
ン層14Eが外装体のバリア層12とタブ4の間に残存
し、バリア層とタブとのショートを防止する絶縁層とし
て機能する。
【0023】また、接着性フィルムの酸変性ポリオレフ
ィン層は、タブに密着し、外部からの水分の浸入を防止
するとともに、内容物であるリチウムイオン電池本体の
成分の漏れ、また、電池内の電解質成分と水分との反応
により発生するフッ化水素HFによるタブ表面の腐食を
防止するものである。
【0024】リチウムイオン電池本体を外装体に挿入
し、本発明の接着性フィルムを介在させて密封した際
に、図1(d)に示すように、タブ部において外装体の
アルミニウム箔12とタブ4との間に、ヒートシール層
の電子線架橋されたポリオレフィン層が絶縁層として残
存する。前記密封のための熱、圧力によっても電子線架
橋されたポリオレフィン層が外装体10のバリア層12
とタブ4との絶縁性を維持するために前記ショートを回
避することができる。
【0025】次に、本発明のリチウムイオン電池用包装
材料を適用する外装体10の材質について説明する。前
記外装体は、図7(a)、図7(b)に示すように、少
なくとも基材層11、接着層16、化成処理層15
(1)、バリア層12、化成処理層15(2)接着樹脂
層、13ヒートシール層14から構成されるものであ
る。または、図7(c)、図7(d)に示すように少な
くとも基材層11、接着層16、バリア層12、化成処
理層15(2)、接着樹脂層13ヒートシール層14か
ら構成されるものである。
【0026】本発明のリチウムイオン電池用包装材料の
層構成は、具体的な層構成は、図9(a)〜(h)に示
す(ヒートシール層は電子線架橋されたポリオレフィン
単層14Eとして示しているが前述のように電子架橋さ
れたポリオレフィン層を含む多層でも良い)。前記ヒー
トシール層14Eと化成処理層15(2)との接着は、
ドライラミネート法、サンドイッチラミネート法、共押
出しラミネート法、熱ラミネート法のいずれかによって
積層される。アルミの化成処理はパウチで用いる場合、
ヒートシール層側のみの片側または基材層側とヒートシ
ール層側の両面のどちらでも良い。さらに、前記ラミネ
ート法の内、サンドイッチラミネート法、共押出しラミ
ネート法を用いた場合には、得られた積層体を、後述す
る前加熱または後加熱により接着強度の向上を図るもの
である。また、流動パラフィン層15を設けることによ
って成形性が向上するとともに、ヒートシール層の耐ク
ラック性が向上する。また、エルカ酸アマイト゛、オレイン
酸アマイト゛、ビスオレイン酸アマイト゛等のいわゆるスリップ剤
を少なくとも基材層の表面に塗布、塗工することで成形
性を向上する。
【0027】リチウムイオン電池用包装材料をエンボス
タイプとする場合、図7(a)〜図7(d)に示すよう
に、積層された包装材料10をプレス成形して凹部7を
形成する。この際、プレス成形のオス型21と積層体1
0のヒートシール層14Eとの滑りが悪いと安定した成
形品が得られないことがある。
【0028】本発明者らは、例えば、図8(b)または
図8(d)に示すように、外装体のポリオレフィン樹脂
からなるヒートシール層14Eの最内面側表面に流動パ
ラフィン19をコーティンク゛することにより、エンボ
ス成形性が改善され、また、ヒートシール層にクラック
の発生しにくい包装材料が得られることを確認してい
る。
【0029】前記流動パラフィン層19は、鎖状炭化水
素系オイルであり、その物性は、比重0.83〜0.8
7、粘度が7.6〜80mm2/S(37.5℃)、分
子量300〜500程度であり、また、10mmHgの
条件における蒸留温度としては140〜245℃であ
る。本発明のリチウムイオン電池用包装材料およびその
製造方法における流動パラフィンとしては、比重0.8
3、粘度7.7mm2/S(37.5℃)、分子量30
0、また、10mmHgの条件における蒸留温度として
は141℃程度のものが好適に利用できる。
【0030】ヒートシール層14Eに流動パラフィン1
9をコーティングすることによって、流動パラフィンの
一部または全部がヒートシール層14Eのポリオレフィ
ン樹脂内に浸透し、ポリオレフィン樹脂を膨潤させて、
ヒートシール層14Eが柔らかになり、伸び易くなるも
のと考えられる。ヒートシール層14Eに流動パラフィ
ンをコーティングした結果、エンボス成形時に発生する
応力が分散し、成形で発生するポリオレフィン樹脂から
なるヒートシール層(リチウムイオン電池用包装材料の
ヒートシール層)でのクラックが低減または無くなり、
また、コーティングされた流動パラフィンは、滑剤とし
ての効果により、表面の滑り性が改善された。また、図
9(g)あるいは図9(h)に示すように、少なくとも
基材層11にエルカ酸アマイト゛、オレイン酸アマイト゛、ステア
リン酸アマイト゛、ビスエルカ酸アマイト゛、ビスオレイン酸アマイト
゛、ビスステアリン酸アマイト゛に代表される一般的にはポリ
オレフィン系樹脂に内部添加する滑剤の少なくとも一つ
を、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、トルエン、
メチルーエチルーケトン等の溶剤で溶液状とし塗工、塗
布することで表面の滑り性が改善され成形性が向上する
ことも判明した。
【0031】また、本発明者らは、エンボス成形性がよ
く、エンボス成形時またはヒートシール時において、基
材層とバリア層とのデラミネーションの発生がなく、水
分の侵入を抑える積層体であって、また、耐内容物性の
あるリチウムイオン電池用の外装体として満足できる包
装材料について鋭意研究の結果、アルミニウムの両面に
化成処理を施し、また、アルミニウムの内容物側の化成
処理面に、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンと
ポリオレフィン(フィルムまたは樹脂)を、サンドイッ
チラミネート法または共押出し法により積層した後、得
られた積層体を加熱することによって、前記課題を解決
できることを確認している。
【0032】外装体における前記基材層11は、延伸ポ
リエステルまたはナイロンフィルムからなるが、この
時、ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナ
フタレート、ポリブチレンナフタレート、共重合ポリエ
ステル、ポリカーボネート等が挙げられる。またナイロ
ンとしては、ポリアミド樹脂、すなわち、ナイロン6、
ナイロン6,6、ナイロン6とナイロン6,6との共重
合体、ナイロン6,10、ポリメタキシリレンアジパミ
ド(MXD6)等が挙げられる。
【0033】前記基材層11は、リチウムイオン電池と
して用いられる場合、ハードと直接接触する部位である
ため、基本的に絶縁性を有する樹脂層がよい。フィルム
単体でのピンホールの存在、および加工時のピンホール
の発生等を考慮すると、基材層は6μm以上の厚さが必
要であり、好ましい厚さとしては12〜30μmであ
る。
【0034】基材層11は耐ピンホール性および電池の
外装体とした時の絶縁性を向上させるために、積層化す
ることも可能である。基材層を積層体化する場合、基材
層が2層以上の樹脂層を少なくとも一つを含み、各層の
厚みが6μm以上、好ましくは、12〜25μmであ
る。基材層を積層化する例としては、次の1)〜8)が
挙げられる。 1)延伸ポリエチレンテレフタレート/延伸ナイロン 2)延伸ナイロン/延伸延伸ポリエチレンテレフタレー
ト また、包装材料の機械適性(包装機械、加工機械の中で
の搬送の安定性)、表面保護性(耐熱性、耐電解質
性)、2次加工とてリチウムイオン電池用の外装体をエ
ンボスタイプとする際に、エンボス時の金型と基材層と
の摩擦抵抗を小さくする目的あるいは電解液が付着した
場合に基材層を保護するために、基材層を多層化、基材
層表面にフッ素系樹脂層、アクリル系樹脂層、シリコー
ン系樹脂層、ポリエステル系樹脂層、またはこれらのブ
レンド物からなる樹脂層等を設けることが好ましい。例
えば、 3)フッ素系樹脂/延伸ポリエチレンテレフタレート
(フッ素系樹脂は、フィルム状物、または液状コーティ
ング後乾燥で形成) 4)シリコーン系樹脂/延伸ポリエチレンテレフタレー
ト(シリコーン系樹脂は、フィルム状物、または液状コ
ーティング後乾燥で形成) 5)フッ素系樹脂/延伸ポリエチレンテレフタレート/
延伸ナイロン 6)シリコーン系樹脂/延伸ポリエチレンテレフタレー
ト/延伸ナイロン 7)アクリル系樹脂/延伸ナイロン(アクリル系樹脂は
フィルム状、または液状コーティング後乾燥で硬化) 8)アクリル系樹脂+ポリシロキサングラフト系アクリ
ル樹脂/延伸ナイロン(アクリル系樹脂はフィルム状、
または液状コーティング後乾燥で硬化)
【0035】前記バリア層12は、外部からリチウムイ
オン電池の内部に特に水蒸気が浸入することを防止する
ための層で、バリア層単体のピンホール、及び加工適性
(パウチ化、エンボス成形性)を安定化し、かつ耐ピン
ホールをもたせるために厚さ15μm以上のアルミニウ
ム、ニッケルなどの金属、又は、無機化合物、例えば、
酸化珪素、アルミナ等を蒸着したフィルムなども挙げら
れるが、バリア層として好ましくは厚さが20〜80μ
mのアルミニウムとする。ピンホールの発生をさらに改
善し、リチウムイオン電池の外装体のタイプをエンボス
タイプとする場合、エンボス成形におけるクラックなど
の発生のないものとするために、本発明者らは、バリア
層として用いるアルミニウムの材質が、鉄含有量が0.
3〜9.0重量%、好ましくは0.7〜2.0重量%と
することによって、鉄を含有していないアルミニウムと
比較して、アルミニウムの展延性がよく、積層体として
折り曲げによるピンホールの発生が少なくなり、かつ前
記エンボスタイプの外装体を成形する時に側壁の形成も
容易にできることを見出した。前記鉄含有量が、0.3
重量%未満の場合は、ピンホールの発生の防止、エンボ
ス成形性の改善等の効果が認められず、前記アルミニウ
ムの鉄含有量が9.0重量%を超える場合は、アルミニ
ウムとしての柔軟性が阻害され、積層体として製袋性が
悪くなる。
【0036】また、冷間圧延で製造されるアルミニウム
は焼きなまし(いわゆる焼鈍処理)条件でその柔軟性・
腰の強さ・硬さが変化するが、本発明において用いるア
ルミニウムは焼きなましをしていない硬質処理品より、
多少または完全に焼きなまし処理をした軟質傾向にある
アルミニウムがよい。前記、アルミニウムの柔軟性・腰
の強さ・硬さの度合い、すなわち焼きなましの条件は、
加工適性(パウチ化、エンボス成形)に合わせ適宜選定
すればよい。たとえば、エンボス成形時のしわやピンホ
ールを防止するためには、成形の程度に応じた焼きなま
しされた軟質アルミニウムを用いることが望ましい。
【0037】本発明者らは、リチウムイオン電池用包装
材料のバリア層12であるアルミニウムの表、裏面に化
成処理を施すことによって、前記包装材料として満足で
きる積層体とすることができた。前記化成処理とは、具
体的にはリン酸塩、クロム酸塩、フッ化物、トリアジン
チオール化合物等の耐酸性皮膜を形成することによって
エンボス成形時のアルミニウムと基材層との間のデラミ
ネーション防止と、リチウムイオン電池の電解質と水分
とによる反応で生成するフッ化水素により、アルミニウ
ム表面の溶解、腐食、特にアルミニウムの表面に存在す
る酸化アルミが溶解、腐食することを防止し、かつ、ア
ルミニウム表面の接着性(濡れ性)を向上させ、エンボ
ス成形時、ヒートシール時の基材層11とアルミニウム
12とのデラミネーション防止、電解質と水分との反応
により生成するフッ化水素によるアルミニウム内面側で
のデラミネーション防止効果が得られた。各種の物質を
用いて、アルミニウム面に化成処理を施し、その効果に
ついて研究した結果、前記耐酸性皮膜形成物質のなかで
も、フェノール樹脂、フッ化クロム(3)化合物、リン
酸の3成分から構成されたものを用いるリン酸クロメー
ト処理が良好であった。または、少なくともフェノール
樹脂を含む樹脂成分に、モリブデン、チタン、ジルコン
等の金属、または金属塩を含む化成処理剤が良好であっ
た。
【0038】リチウムイオン電池の外装体がエンボスタ
イプの場合には、アルミニウムの両面に化成処理するこ
とによって、エンボス成形の際のアルミニウムと基材層
との間のデラミネーションを防止することができる。
【0039】本発明者らは、安定した接着強度を示す積
層方法について鋭意研究の結果、基材層11と両面に化
成処理したバリア層12の片面とをドライラミネート
し、バリア層12の他の面に、酸変性ポリオレフィン1
3を押出してヒートシール層(ポリエチレンフィルム、
またはポリプロピレンフィルム)14をサンドイッチラ
ミネートする場合、酸変性ポリエチレン樹脂13とヒー
トシール層(ポリエチレン樹脂、またはポリプロピレン
樹脂)14とを共押出しして積層体とし、該積層体を前
記酸変性ポリオレフィン樹脂がその軟化点以上になる条
件に加熱することによって、所定の接着強度を有する積
層体とすることができた。前記加熱の具体的な方法とし
ては、熱ロール接触式、熱風式、近または遠赤外線等の
方法があるが、本発明においてはいずれの加熱方法でも
よく、前述のように、接着樹脂がその軟化点温度以上に
加熱できればよい。
【0040】また、別の方法としては、前記、サンドイ
ッチラミネートまたは共押出しラミネートの際に、アル
ミニウム12のヒートシール層側の表面温度が酸変性ポ
リオレフィン樹脂の軟化点に到達する条件に加熱するこ
とによっても接着強度の安定した積層体とすることがで
きた。また、ポリエチレン樹脂を接着樹脂として用いる
ことも可能であるが、この場合には、押出したポリエチ
レンの溶融樹脂膜のアルミニウム側のラミネート面をオ
ゾン処理しながらラミネートする可能である。
【0041】リチウムイオン電池タブ用接着性フィルム
6において、外装体を形成する積層体における前記の各
層には、適宜、製膜性、積層化加工、最終製品2次加工
(パウチ化、エンボス成形)適性を向上、安定化する目
的のために、コロナ処理、ブラスト処理、酸化処理、オ
ゾン処理等の表面活性化処理をしてもよい。
【0042】本発明のリチウムイオン電池用包装材料の
ヒートシール層は、前述の通り、電子線架橋されたポリ
オレフィン層、または、電子線架橋されたポリオレフィ
ン層にポリオレフィン樹脂を押出ラミネートした構成と
する。前記押出ラミネートするポリオレフィンとして
は、電子線架橋されたポリオレフィン樹脂がエチレン系
樹脂(エチレン成分が50%以上)の場合には低密度ポ
リエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチ
レン、高密度ポリエチレン、アイオノマー、エチレンと
ブテンとの共重合体、エチレンとプロピレンとブテンと
の共重合体等が好適に用いられ、また、電子線架橋され
たフィルムがプロピレン系樹脂(プロピレン成分が50
%以上)の場合には、ホモ系ポリプロピレン、エチレン
とプロピレンと共重合体、エチレンとプロピレンとブテ
ンとの共重合体の単体またはブレンド樹脂等を用いるこ
とができる。さらに、前記押出ラミネートするポリオレ
フィン樹脂にはブテン成分、エチレンとブテンとプロピ
レンとの3成分共重合体からなるターポリマー成分、密
度が900kg/m3の低結晶のエチレンとブテンとの
共重合体、非晶性のエチレンとプロピレンとの共重合
体、プロピレンーα・オレフィン共重合体成分を添加す
ることもできる。
【0043】
【実施例】本発明のリチウムイオン電池用包装材料つい
て、実施例によりさらに具体的に説明する。外装体のバ
リア層に施した化成処理は、実施例、比較例ともに、処
理液として、フェノール樹脂、フッ化クロム(3)化合
物、リン酸からなる水溶液を、ロールコート法により、
塗布し、皮膜温度が180℃以上となる条件において焼
き付けた。クロムの塗布量は、1mg/m2 (乾燥重
量)である。以下の、実施例および比較例において、パ
ウチタイプの外装体としては、巾30mm巾、長さ50
mm(いずれも内寸)とし、また、エンボスタイプの外
装体の場合は、いずれも片面エンボスタイプとし、成形
型の凹部(キャビティ)の形状を30mm×50mm,
深さ3.5mmとしてプレス成形して成形性の評価をし
た。なお、接着性フィルムは、外装体に挿入前にリチウ
ムイオン電池本体のタブの所定の位置に巻き付け溶着し
た。 [実施例1](パウチタイプ) アルミニウム20μmの両面に化成処理を施し、化成処
理した一方の面に延伸ポリエステルフィルム(厚さ12
μm)をドライラミネート法により貼り合わせ、次に、
化成処理したアルミニウムの他の面を遠赤外線と熱風と
により、接着樹脂である酸変性ポリエチレン樹脂の軟化
点以上に加熱した状態として、酸変性ポリエチレン樹脂
(20μm、不飽和カルボン酸グラフトポリエチレン)
を接着樹脂として、ヒートシール層となる、線状低密
度ポリエチレン樹脂フィルム(30μm)、低密度ポ
リエチレンフィルム(30μm)、中密度ポリエチレ
ンフィルム(30μm)、高密度ポリエチレンフィル
ム(30μm)、エチレンとプロピレンとの共重合体
(30μm)、エチレンとブテンとの共重合体(30
μm)、エチレンとプロピレンとブテンとの共重合体
(30μm)、アイオノマー(30μm)をそれぞれ
ゲル分率(A)5%(B)30%(C)60%の条件で
電子線架橋したフィルムをサンドイッチラミネートして
得られた積層体を用いピロータイプのパウチを形成し
た。また、接着性フィルムとして、酸変性ポリエチレン
フィルム(不飽和カルボン酸グラフトポリエチレン、3
0μm)を用いた。100μmの厚さ、4mm巾からな
るアルミニウム製のタブを有するリチウムイオン電池本
体を前記外装体中に挿入し、ヒートシール条件を190
℃、1.0MPa、3.0secとして密封し。検体実
施例1とした。 [実施例2](パウチタイプ) アルミニウム20μmのヒートシール層側のみに化成処
理を施し、化成処理していない方の面に延伸ポリエステ
ルフィルム(厚さ12μm)をドライラミネート法によ
り貼り合わせ、次に、化成処理したアルミニウムの他の
面を遠赤外線と熱風とにより、接着樹脂である酸変性ポ
リプロピレン樹脂の軟化点以上に加熱した状態として、
酸変性ポリプロピレン樹脂(20μm、不飽和カルボン
酸グラフトポリプロピレン)を接着樹脂として、ゲル分
率(A)5%(B)30%(C)60%の条件で電子線
架橋されたエチレンとブテンとの共重合体樹脂20%を
含むエチレンとプロピレンとの共重合体(50μm)に
ポリプロピレン樹脂を20μmの厚さに押出ラミネート
して得られたフィルム(70μm)をサンドイッチラミ
ネートして得られた積層体を用いピロータイプのパウチ
を形成した。また、接着性フィルムとして、酸変性ポリ
プロピレンフィルム(不飽和カルボン酸グラフトランダ
ムプロピレン、50μm)を用いた。200μmの厚
さ、10mm巾からなるアルミニウム製のタブを有する
リチウムイオン電池本体前記外装体中に挿入し、ヒート
シール条件を190℃、2.0MPa、3.0secと
して密封し。検体実施例2とした。 [実施例3](エンボスタイプ) アルミニウム40μmの両面に化成処理を施し、化成処
理した一方の面に延伸ナイロンフィルム(厚さ25μ
m)をドライラミネート法により貼り合わせ、次に、化
成処理したアルミニウムの他の面に、酸変性ポリエチレ
ンを接着樹脂(厚さ20μm、不飽和カルボン酸グラフ
トポリエチレン)として、ゲル分率(A)5%(B)3
0%(C)60%の条件で電子線架橋された線状低密度
ポリエチレンフィルム(厚さ30μm)をサンドイッチ
ラミネートして一次積層体とした。該一次積層体を,熱
風により酸変性ポリエチレン樹脂の軟化点以上の温度に
加熱して二次積層体としエンボス成形した。成形しない
二次積層体を蓋材として外装体とした。また、接着性フ
ィルムとして、酸変性ポリエチレンフィルム(不飽和カ
ルボン酸グラフトポリエチレン、70μm)を用いた。
200μmの厚さ、10mm巾からなるアルミニウム製
のタブを有するリチウムイオン電池本体を前記外装体中
に挿入し、ヒートシール条件を190℃、1.0MP
a、5.0secとして密封し。検体実施例3とした。 [実施例4](エンボスタイプ) アルミニウム40μmの両面に化成処理を施し、化成処
理した一方の面に延伸ナイロンフィルム(厚さ25μ
m)をドライラミネート法により貼り合わせ、次に、化
成処理したアルミニウムの他の面に、酸変性ポリプロピ
レンを接着樹脂(厚さ15μm、不飽和カルボン酸グラ
フトポリプロピレン)として、プロピレンとエチレン
の共重合体、プロピレンとエチレンとブテンとの共重
合体、エチレンとプロピレンとの共重合体(85重量
部)にエチレンとブテンとの共重合体(15重量部)を
ブレンドした樹脂フィルム、エチレンとプロピレンと
の共重合体(90重量部)にエチレンとプロピレンとブ
テンとの共重合体(10重量部)をブレンドした樹脂フ
ィルムをそれぞれゲル分率(A)5%(B)30%
(C)60%の条件で電子線架橋されたプロピレンフィ
ルム(厚さ30μm)をサンドイッチラミネートして一
次積層体とした。該一次積層体を,熱風により酸変性ポ
リプロピレン樹脂の軟化点以上の温度に加熱して二次積
層体とした後、エンボス成形して、成形しない二次積層
体を蓋材として外装体とした。また、接着性フィルムと
して、酸変性ポリプロピレンフィルム(不飽和カルボン
酸グラフトポリプロピレン、70μm)を用いた。10
0μmの厚さ、6.0mm巾からなるアルミニウム製の
タブを有するリチウムイオン電池本体を前記外装体中に
挿入し、ヒートシール条件を190℃、2.0MPa、
10.0secとして密封し。検体実施例4とした。 [実施例5](エンボスタイプ) アルミニウム40μmの両面に化成処理を施し、化成処
理した一方の面に延伸ナイロンフィルム(厚さ25μ
m)をドライラミネート法により貼り合わせ、次に、化
成処理したアルミニウムの他の面に、ゲル分率(A)5
%(B)30%(C)60%の条件で電子線架橋された
線状低密度ポリエチレンフィルム(厚さ80μm)をド
ライラミネート法で貼り合せ積層体としエンボス成形し
た。成形しない二次積層体を蓋材として外装体とした。
また、接着性フィルムとして、エチレンとメタクリル酸
との共重合物からなるフィルム(50μm)を用いた。
100μmの厚さ、4mm巾からなるアルミニウム製の
タブを有するリチウムイオン電池本体を前記外装体中に
挿入し、ヒートシール条件を190℃、1.0MPa、
5.0secとして密封し。検体実施例5とした。
【0044】[比較例1](パウチタイプ) アルミニウム20μmの両面に化成処理を施し、化成処
理した一方の面に延伸ポリエステルフィルム(厚さ12
μm)をドライラミネート法により貼り合わせ、次に、
化成処理したアルミニウムの他の面を遠赤外線と熱風と
により、接着樹脂である酸変性ポリエチレン樹脂の軟化
点以上に加熱した状態として、酸変性ポリエチレン樹脂
(20μm、不飽和カルボン酸グラフトポリエチレン)
を接着樹脂として、ヒートシール層となる線状低密度ポ
リエチレン樹脂フィルム(30μm)をサンドイッチラ
ミネートして得られた積層体を用いピロータイプのパウ
チを形成した。また、接着性フィルムは、50μm厚さ
の酸変性ポリエチレン(不飽和カルボン酸グラフトポリ
エチレン)とした。100μmの厚さ、4mm巾からな
るアルミニウム製のタブを有するリチウムイオン電池本
体のタブ部の上下に前記接着性フィルム仮着して、前記
外装体中に挿入し、ヒートシール条件を190℃、1.
0MPa、2.5secとして密封し。検体比較例1と
した。 [比較例2](パウチタイプ) アルミニウム20μmの両面に化成処理を施し、化成処
理した一方の面に延伸ポリエステルフィルム(厚さ12
μm)をドライラミネート法により貼り合わせ、次に、
化成処理したアルミニウムの他の面を遠赤外線と熱風と
により、接着樹脂である酸変性ポリプロピレン樹脂の軟
化点以上に加熱した状態として、酸変性ポリプロピレン
樹脂(20μm、不飽和カルボン酸グラフトポリプロピ
レン)を接着樹脂として、ヒートシール層となるエチレ
ンとブテンとの共重合体樹脂20%を含むエチレンとプ
ロピレンとの共重合体からなるフィルム(100μm)
をサンドイッチラミネートして得られた積層体を用いピ
ロータイプのパウチを形成した。また、接着性フィルム
として、ポリプロピレンベースの酸変性ポリプロピレン
(不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン)200μ
mを用意した。100μmの厚さ、4mm巾からなるア
ルミニウム製のタブを有するリチウムイオン電池本体の
タブ部の上下に前記接着性フィルムを仮着して、前記外
装体中に挿入し、ヒートシール条件を190℃、2.0
MPa、3secとして密封し。検体比較例2とした。 [比較例3](エンボスタイプ) アルミニウム40μmの両面に化成処理を施し、化成処
理した一方の面に延伸ナイロンフィルム(厚さ25μ
m)をドライラミネート法により貼り合わせ、次に、化
成処理したアルミニウムの他の面に、酸変性ポリポリエ
チレンを接着樹脂(厚さ20μm、不飽和カルボン酸グ
ラフトポリエチレン)として、線状低密度ポリエチレン
フィルム(厚さ30μm)をサンドイッチラミネートし
て一次積層体とした。該一次積層体を,熱風により酸変
性ポリエチレン樹脂の軟化点以上の温度に加熱した後、
エンボス成形して、成形しない一次積層体を蓋材として
外装体とした。また、接着性フィルムとして、酸変性ポ
リエチレンフィルム(30μm)を製膜した。200μ
mの厚さ、4mm巾からなるアルミニウム製のタブを有
するリチウムイオン電池本体のタブ部の上下に前記接着
性フィルムの酸変性ポリエチレン(不飽和カルボン酸グ
ラフトポリエチレン)の面をタブ側として仮着して、前
記外装体中に挿入し、ヒートシール条件を190℃、
1.0MPa、5secとして密封し。検体比較例3と
した。 [比較例4](エンボスタイプ) アルミニウム40μmの両面に化成処理を施し、化成処
理した一方の面に延伸ナイロンフィルム(厚さ25μ
m)をドライラミネート法により貼り合わせ、次に、化
成処理したアルミニウムの他の面に、酸変性ポリプロピ
レンを接着樹脂(厚さ20μm、不飽和カルボン酸グラ
フトポリプロピレン)として、エチレンとブテンとの共
重合体樹脂からなるフィルム(厚さ30μm)をサンド
イッチラミネートして一次積層体とした。該一次積層体
を,熱風により酸変性ポリプロピレン樹脂の軟化点以上
の温度に加熱した後、エンボス成形して、成形しない一
次積層体を蓋材として外装体とした。また、接着性フィ
ルムとして、100μmの厚さの酸変性ポリプロピレン
(不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン)を用意し
た。100μmの厚さ、4mm巾からなるアルミニウム
製のタブを有するリチウムイオン電池本体のタブ部の上
下に前記接着性フィルムを仮着して、前記外装体中に挿
入し、ヒートシール条件を190℃、0.2MPa、1
0.0secとして密封し、検体比較例4とした。
【0045】<評価方法> (1)タブと外装体のバリア層との短絡の有無 タブ部と外装体とのショート状態とを、タブ部のヒート
シール部を断裁し、断面写真により確認し、タブと外装
体のバリア層とのショートのおそれのあるものについて
は、テスターによって接触を確認し、断面写真によっ
て、タブと外装体のバリア層との間に皮膜が見られない
ものをショート寸前とし、その内でテスターによりショ
ートが確認された検体をショート数とした。 2)もれの確認 ヒートシール品を80℃、24時間保存し、タブ部から
の内容物のもれを確認した。 内容物:電解液1M LiPF6となるようにしたエチ
レンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカ
ーボネート(1:1:1)の混合液、3g。
【0046】<結果>実施例1〜実施例5はいずれも、
タブ部でのショート及び内容物のもれは皆無であった。
比較例1においては、500検体中20検体においてシ
ョート寸前であり、実際にショートしたのは10検体で
あった。また、漏れは無かった。比較例2においては、
500検体中50検体においてショート寸前であり、実
際にショートしたのは10検体であった。また、もれは
無かった。比較例3においては、500検体中80検体
においてショートしたが漏れはなかった。比較例4にお
いては、500検体中60検体においてショート寸前で
あり、実際にショートしたのは40検体であった。ま
た、漏れは無かった。ショート以外の評価項目について
は、実施例、比較例ともに良好であった。
【0047】
【発明の効果】本発明のリチウムイオン電池用包装材料
のヒートシール層に少なくとも電子線架橋したポリオレ
フィン層を設けることによって、外装体のパウチまたは
エンボス成形部にリチウムイオン電池本体を収納しその
周縁をヒートシールして密封する際、リチウムイオン電
池のタブと外装体との間に介在させる接着性フィルムを
含めて、外装体のバリア層とタブとが接触(ショート)
するおそれがなくなった。また、外装体のアルミニウム
の両面に施した化成処理によって、エンボス成形時、及
びヒートシール時の基材層とアルミニウムとの間でのデ
ラミネーションの発生を防止することができ、また、ヒ
ートシール層をサンドイッチラミネート法または共押出
ラミネート法により形成した場合に、積層体の形成時の
加熱、または積層体形成後の加熱によって、リチウムイ
オン電池の電解質と水分との反応により発生するフッ化
水素によるアルミニウム面の腐食を防止できることによ
り、アルミニウムとの内容物側の層とのデラミネーショ
ンをも防止できる外装体である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリチウムイオン電池用包装材料の実施
例を断面図として説明する図で、(a)〜(c)は、ヒ
ートシール層が電子線架橋されたポリオレフィンフィル
ムからなる場合のラミネート方法がドライラミネート
法、熱ラミネート法、押出ラミネート法を示したもので
ある。(d)〜(f)fは、ヒートシール層が電子線架
橋されたポリオレフィンフィルムにポリオレフィンを押
出ラミネートして形成された例で、ヒートシール層のラ
ミネート方法がドライラミネート法、熱ラミネート法、
押出ラミネート法を示したものである。
【図2】本発明のリチウムイオン電池用包装材料のタブ
部での層構成及び、(a)、リチウムイオン電池タブ、
外装体、接着性フィルムの材質及び位置関係(片側)を
説明する図、(b)タブ部での、ヒートシール前のタブ
と接着性フィルムと外装体とが接した状態を説明する断
面図、(c)シール後の状態を示す説明図である。
【図3】リチウムイオン電池用包装材料とタブとの接着
における接着性フィルムの装着方法を説明する斜視図で
ある。
【図4】ヒートシール時におけも外装体とタブ部との間
に介在させる接着性フィルムの固定方法の説明図であ
る。
【図5】リチウムイオン電池のパウチタイプの外装体を
説明する斜視図である。
【図6】リチウムイオン電池のエンボスタイプの外装体
を説明する斜視図である。
【図7】エンボスタイプにおける成形を説明する、
(a)斜視図、(b)エンボス成形された外装体本体、
(c)X2−X2部断面図、(d)Y1部拡大図である。
【図8】リチウムイオン電池の外装体を形成する積層体
の層構成例を示す断面図である。
【図9】リチウムイオン電池の外装体を形成する他の積
層体の層構成例を示す断面図である。
【図10】従来の接着性フィルムを用いてバリア層とタ
ブとがショートした状態を示す断面図である。
【符号の説明】
S タブとバリア層とのショート部 H ヒートシール熱板 f 折れ線 wk 仮着 mk 溶着 1 リチウムイオン電池 2 リチウムイオン電池本体 3 セル(蓄電部) 4 タブ(電極) 5 外装体 6 接着性フィルム(タブ部) 7 凹部 8 側壁部 9 シール部 10 積層体(リチウムイオン電池用包装材料) 11 基材層 12 アルミニウム(バリア層) 13 酸変性ポリオレフィン層(押出) 14 ヒートシール層(ポリオレフィン層) 14E 電子線架橋されたポリオレフィンフィルム層 15 化成処理層 16 接着層 17 スリップ剤層 18 酸変性ポリプロピレン(コーティング) 19 流動パラフィン層 20 プレス成形部 21 オス型 22 メス型 23 キャビティ
フロントページの続き (72)発明者 山田 一樹 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 Fターム(参考) 5H011 AA02 AA09 AA17 CC02 CC10

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも基材層、接着層1、化成処理層
    1、アルミニウム、化成処理層2、接着層2、ヒートシ
    ール層から構成されるリチウムイオン電池の外装体にリ
    チウムイオン電池本体を挿入し、周縁をヒートシールす
    るリチウムイオン電池用包装材料であって、前記ヒート
    シール層に少なくとも電子線架橋されたポリオレフィン
    層を含むことを特徴とするリチウムイオン電池用包装材
    料。
  2. 【請求項2】前記ヒートシール層が、電子線架橋された
    ポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1
    に記載のリチウムイオン電池用包装材料。
  3. 【請求項3】前記ヒートシール層が、電子線架橋したポ
    リオレフィン系樹脂にポリオレフィン樹脂を押出ラミネ
    ートした層であることを特徴とする請求項1に記載のリ
    チウムイオン電池用包装材料。
  4. 【請求項4】前記ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレ
    ン、ポリエチレン、エチレンとブテンとの共重合体、プ
    ロピレンとブテンとの共重合体、プロピレンとエチレン
    とブテンとの共重合体、アイオノマーの単体または少な
    くとも1つを含む混合物からなることを特徴とする請求
    項1〜請求項3のいずれかに記載のリチウムイオン電池
    用包装材料。
  5. 【請求項5】少なくとも基材層、接着層1、アルミニウ
    ム、化成処理層、接着層2、ヒートシール層から構成さ
    れるリチウムイオン電池の外装体にリチウムイオン電池
    本体を挿入し、周縁をヒートシールするリチウムイオン
    電池用包装材料であって、少なくとも前記ヒートシール
    層に電子線架橋された層が含まれていることを特徴とす
    るリチウムイオン電池用包装材料。
  6. 【請求項6】前記ヒートシール層が、電子線架橋された
    ポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項5
    に記載のリチウムイオン電池用包装材料。
  7. 【請求項7】前記ヒートシール層が、電子線架橋された
    ポリオレフィン系樹脂にポリオレフィン樹脂を押出ラミ
    ネートした層であることを特徴とする請求項5に記載の
    リチウムイオン電池用包装材料。
  8. 【請求項8】前記ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレ
    ン、ポリエチレン、エチレンとブテンとの共重合体、プ
    ロピレンとブテンとの共重合体、プロピレンとエチレン
    とブテンとの共重合体、アイオノマーの単体または少な
    くとも1つを含む混合物からなることを特徴とする請求
    項5〜請求項7のいずれかに記載のリチウムイオン電池
    用包装材料。
  9. 【請求項9】前記接着層1、接着層2がドライラミネー
    ト法により形成されたことを特徴とする接着層1〜請求
    項8のいずれかに記載のリチウムイオン電池用包装材
    料。
  10. 【請求項10】少なくとも、前記接着層2が酸変性ポリ
    オレフィンの塗布焼付け層であることを特徴とする接着
    層1〜請求項8のいずれかに記載のリチウムイオン電池
    用包装材料。
  11. 【請求項11】少なくとも、前記接着層2が酸変性ポリ
    オレフィンの押出層であることを特徴とする接着層1〜
    請求項8のいずれかに記載のリチウムイオン電池用包装
    材料。
  12. 【請求項12】リチウムイオン電池の外装体とリチウム
    イオン電池本体のタブ部との間に接着性フィルムを介在
    させることを特徴とする接着層1〜請求項11のいずれ
    かに記載のリチウムイオン電池用包装材料。
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