JP4440376B2 - ポリマー電池用包装材料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体有機電解質(高分子ポリマー電解質)を持つポリマー電池用包装材料の、特にその材質構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリマー電池とは、リチウム2次電池ともいわれ、高分子ポリマー電解質を持ち、リチウムイオンの移動で電流を発生する電池であって、正極・負極活物質が高分子ポリマーからなるものを含むものである。
前記リチウム2次電池の構成は、正極集電材(アルミ、ニッケル)/正極活性物質層(金属酸化物、カーボンブラック、金属硫化物、電解液、ポリアクリロニトリル等の高分子正極材料からなる)/電解質層/(プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、炭酸ジメチル、エチレンメチルカーボネート等のカーボネート系電解液、リチウム塩からなる無機固体電解質、ゲル電解質等からなる/負極活性物質層(リチウム金属、合金、カーボン、電解液、ポリアクリロニトリル等の高分子負極材料/負極集電材(銅、ニッケル、ステンレス)及び、それらを包装する外装体からなる。
ポリマー電池の用途としては、パソコン、携帯端末装置(携帯電話、PDA等)、ビデオカメラ、電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星等に用いられる。
前記ポリマー電池の外装体としては、金属をプレス加工し円筒状または直方体状等に容器化した金属製缶、あるいは、最外層/アルミニウム/シーラント層から構成される多層フィルムを袋状にしたものが用いられていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、ポリマー電池の外装体として次のような問題があった。金属製缶においては、容器外壁がリジッドであるため、電池自体の形状が決められてしまう。その為、ハード側を電池に合わせ設計するため、該電池を用いるハードの寸法が電池により決定されてしまい形状の自由度が少なくなる。
また、多層フィルムからなる袋状の外装体は、前記金属缶のように、電池自体により、電池を用いるハードの形状の自由度の制限は無くなるが、ポリマー電池の外装体として要求される物性・機能を、十分に満足しうる包装材料はいまだ開発されていないのが現状である。前記要求される物性・機能とは次のようなものである。
例えば、ポリマー電池の外装体としては、前記ポリマー電池本体の基体部とハードと電池本体とをつなぐ電極の一部を外気と遮断した密封系に保持する必要があり、そのために、前記多層フィルムの最内層は、前記電極と接着性、特にヒートシール性を有することが必要である。電極は金属により構成されているため、前記最内層は金属とのヒートシール性が求められている。
また、ポリマー電池は、充電/放電による温度上昇に対してのヒートシールの安定性と密封系の確保や、使用される環境温度が、例えば夏季における車のダッシュボードや、冬季における寒冷地での使用などに耐えるために用いられるハードとともに、耐熱性、耐寒性が求められ、前記の厳しい環境下においても、外装体としてヒートシールの安定性と密封系の確保が要求される。
また、ポリマー電池の場合、その電池内容物として、カーボネート系溶剤とリチウム塩からなる電解質が外装体に悪影響を及ぼし多層フィルム層間の接着強度を低下させることがあった。すなわち、溶剤(カーボネート系)を含むため、溶剤が多層フィルム層間の接着層を膨潤化させ接着強度を低下させる。
さらに、電解質の加水分解により酸と熱が発生し、金属から構成されるバリア層を腐食させ、バリア層と中間層との間のドライラミネートされた接着強度を低下させることがある。
また、前記フッ化水素酸によるバリア層の腐食を防止するための有機物からなる保護層を設けることがあるが、バリア層と該保護層との接着が不足するために、前記フッ化水素酸によるデラミの発生があった。
また、発生する熱のために電池が発火することもある。また温度上昇により電池の起電力の低下が起こり、接続されている機器が停止、故障することもある。
これらの問題の要因となる前記電解質の加水分解は、いずれも、電池の密封系内に外部からの水分が浸入することによる。従って、外装体としては、外部からの水蒸気を遮断する(バリア性)が求められる。
また、ポリマー電池に限らず、電池の外装体としては、該外装体の回りにある機器(ハード)と通電しないこと、また、電極同士が接触通電しショートすることがない構造が求められる。
ポリマー電池の外装体として、前記金属缶、袋のほかに、成形トレイと蓋材とにより密封する形状も考えられる。この場合にも、ヒートシール性を有する最内層樹脂の選択と、前記トレイを成形する際の、成形性のよい積層体が求められていた。
本発明は、ポリマー電池を収納するケースに用いるシートとして、水蒸気その他のガスバリア性に優れ、また、積層体の層間の接着強度に優れた、かつ、耐突き刺し性等をはじめ機械的強度があり、また高温においても使用可能であり、電解液に対しても安定した積層体の構成を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下に記載の発明、つまり、最外層/バリア層/最内層、または、最外層/バリア層/中間層/最内層からなり、
1.前記バリア層が最内層面側表面を脱脂、または表面酸化物を除去した金属箔を用い、かつ、前記バリア層の脱脂または表面酸化物を除去した表面に、リン酸塩系皮膜、クロム酸塩系皮膜、フッ化物系皮膜、トリアジンチオール化合物皮膜の少なくとも一つを含む耐酸性皮膜が形成されていることを特徴とするポリマー電池用包装材料
2.前記バリア層が最内層面側表面を脱脂、または表面酸化物を除去した金属箔を用い、かつ、前記バリア層の脱脂または表面酸化物を除去した表面に、シラン系カップリング物質、有機チタン系カップリング物質、有機アルミ系カップリング物質のいずれかを含む層からなるカップリング処理層が形成されていることを特徴とするポリマー電池用包装材料
3.前記バリア層が最内層面側表面を脱脂、または表面酸化物を除去した金属箔を用い、かつ、前記バリア層の脱脂または表面酸化物を除去した表面に、酸化珪素(化学式:SiO 2 )、炭酸カルシウム、亜鉛、鉛丹、亜酸化鉛、酸化亜鉛シアナミド鉛、ジンククロメート、クロム酸バリウムカリウム、クロム酸バリウム亜鉛の少なくとも一つを含有する層からなる腐食性物質吸収層が形成されていることを特徴とするポリマー電池用包装材料
4.前記耐酸性皮膜の表面にシラン系カップリング物質、有機チタン系カップリング物質、有機アルミ系カップリング物質のいずれかを含む層からなるカップリング処理層が形成されていることを特徴とする1.に記載のポリマー電池用包装材料
5.前記耐酸性皮膜の表面に、酸化珪素(化学式:SiO 2 )、炭酸カルシウム、亜鉛、鉛丹、亜酸化鉛、酸化亜鉛シアナミド鉛、ジンククロメート、クロム酸バリウムカリウム、クロム酸バリウム亜鉛の少なくとも一つを含有する層からなる腐食性物質吸収層が形成されていることを特徴とする1.に記載のポリマー電池用包装材料
6.前記カップリング処理層の表面に、酸化珪素(化学式:SiO 2 )、炭酸カルシウム、亜鉛、鉛丹、亜酸化鉛、酸化亜鉛シアナミド鉛、ジンククロメート、クロム酸バリウムカリウム、クロム酸バリウム亜鉛の少なくとも一つを含有する層からなる腐食性物質吸収層が形成されていることを特徴とする4.に記載のポリマー電池用包装材料
7.前記耐酸性皮膜の表面にシラン系カップリング物質、有機チタン系カップリング物質、有機アルミ系カップリング物質の少なくとも一つおよび酸化珪素(化学式:SiO 2 )、炭酸カルシウム、亜鉛、鉛丹、亜酸化鉛、酸化亜鉛シアナミド鉛、ジンククロメート、クロム酸バリウムカリウム、クロム酸バリウム亜鉛の少なくとも一つを含有する層が形成されていることを特徴とする1.に記載のポリマー電池用包装材料
8.前記バリア層が厚さ15μm以上のアルミニウムからなることを特徴とする1.〜7.のいずれかに記載のポリマー電池用包装材料
9.前記中間層が、厚さ10μm以上のポリエステル系、ポリオレフィン系、フッソ樹脂系、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物系樹脂、または、これらの変性物および混合物から形成される樹脂の少なくとも1層含むものであることを特徴とする1.〜8.のいずれかに記載のポリマー電池用包装材料
10.最内層が厚さ10μm以上のポリオレフィン系樹脂、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィン、金属イオン架橋ポリエチレン、エチレンまたはプロピレンとアクリル酸誘導体、またはメタクリル酸誘導体との共重合物およびこれらの変性物の少なくとも一つを含むことを特徴とする1.〜9.のいずれかに記載のポリマー電池用包装材料である。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明にかかるポリマー電池用包装材料について図面等を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明のポリマー電池用包装材料の実施例を示す、(a)基本的層構成、(b)ポリマー電池の構造を説明する斜視図、(c)X1 −X1 部の断面図、(d)X2 −X2 部の断面図である。図2は、本発明のポリマー電池用包装材料の別の実施例を示す、(a)基本的層構成、(b)ポリマー電池の構造を説明する斜視図、(c)外装体に収納されたエンボスタイプのポリマー電池の斜視図、(d)X3 −X3 部の断面図である。図3は、本発明の積層体の別の実施例を示す断面図である。図4は、本発明における外装体とタブとの接着の別の実施例を示する説明図で、(a)ポリマー電池の斜視図、(b)熱接着性タブ材を接着したポリマー電池本体の斜視図、(c)熱接着性タブ材を接着した別のポリマー電池本体の斜視図、(d)および(e)はそれぞれの熱接着性タブ材を用いた場合のX4 −X4 部断面図である。図5は、本発明の積層体を用いるポリマー電池のパウチタイプの外装体の形状を示す平面図とそれぞれのタイプの断面図である。図6は、本発明の積層体を用いるポリマー電池のエンボスタイプの外装体の形状を示す(a)片面エンボスタイプの底材の斜視図、(a′)X9 −X9 部断面図、(b)両面エンボスタイプの斜視図、(b′)X10−X10部断面図、(c)エンボスタイブにおけるタブの位置を示す別の例の概念図、(d)タブをさらに別の位置に設けた例の概念図である。
【0006】
本発明の課題について、本発明者らは鋭意研究の結果、多層構造からなる包装材料であって、次に説明する各材質からなる積層体とすることによって本発明の課題を解決できることを見いだし、本発明を完成するに到った。本発明にかかるポリマー電池は、図1(b)および図1(c)に示すように、ポリマー電池本体2を、ピロータイプの形状(以下、パウチタイプ)の外装体4の中に封入し、電極の一部を外装体の外に露出させた構造である。または,図2(b)および図2(d)に示すように、少なくとも片面の積層体を成形(以下、エンボス)して底材とし、該底材のエンボス部8にポリマー電池本体2を収納し、蓋材7として他の積層体によりポリマー電池本体2を被覆し、周辺をヒートシールして密封するものである。
前記、パウチタイプとエンボスタイプとに関する外装体の形態については後に詳細に説明する。
本発明のポリマー電池は、図1(d)に示すように、電極3の一部を含むヒートシール部を形成するものである。
【0007】
本発明における前記最外層11は、延伸ポリエステル又は延伸ナイロンからなるが、この時、ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、共重合ポリエステル、ポリカーボネート等が挙げられる。またナイロンとしてはポリアミド系樹脂、すなわち、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,6とナイロン6との共重合体、ナイロン6,10、ポリメタキシリレンアジパミト(MXD6)等が挙げられる。
【0008】
前記最外層11は、ポリマー電池として用いられる場合、ハードと直接接触する部位であるため、基本的に絶縁性を有する樹脂層がよい。フィルム単体でのピンホールの存在、および加工時のピンホールの発生等を考慮すると、最外層は 6μm以上の厚さが必要であり、好ましい厚さとしては12〜25μmである。
【0009】
本発明においては、最外層11は耐ピンホール性および電池の外装体とした時のハードとの絶縁性を向上させるために、積層化することも可能である。
その場合、最外層11が2層以上の樹脂層を少なくとも一つ含み、各層の厚みが 6μm以上、好ましくは12から25μmである。最外層11を積層化する例としては、図示はしないがつぎの1)〜6)が挙げられる。
1)延伸ポリエチレンテレフタレート/ 延伸ナイロン
2)延伸ポリエチレンテレフタレート/ ポリエチレン
また、包装材料の機械適性(包装機械、加工機械の中での搬送の安定性)、表面保護性(耐熱性、耐電解質性)、2次加工としてポリマー電池用の外装体をエンボスタイプとする際に、エンボス時の金型と最外層との摩擦抵抗を小さくする目的で、最外層を多層化、最外層表面にフッ素系樹脂層、アクリル樹脂層、シリコーン系樹脂層を設けることが好ましい。例えば、
3)フッ素系樹脂/延伸ポリエチレンテレフタレート(フッ素系樹脂は、フィルム状物、または液状コーティング後乾燥で形成)
4)シリコーン系樹脂/延伸ポリエチレンテレフタレートとする。シリコーン系樹脂は、フィルム状物、または液状コーティング後乾燥で形成する。
5)フッ素系樹脂/延伸ポリエチレンテレフタレート/延伸ナイロン
6)シリコーン系樹脂/延伸ポリエチレンテレフタレート/延伸ナイロン
7)アクリル系樹脂/延伸ナイロン(アクリル樹脂はフィルム状物、または液状コーティング後乾燥で硬化)
【0010】
上記最外層11はドライラミネーション、押出しラミネーション等でバリア層12と接着される。
【0011】
前記バリア層12は、外部からポリマー電池1の内部に特に水蒸気が浸入することを防止するための層で、バリア層単体のピンホール、及び加工適性(パウチ化、エンボス成形性)を安定化し、かつ耐ピンホールをもたせるために厚さ15μm以上のアルミニウム、ニッケルなどの金属、又は、無機化合物、例えば酸化珪素、アルミナ等が挙げられるが、バリア層として好ましくは15〜80μmのアルミニウムとする。
ピンホールの発生をさらに改善し、ポリマー電池の外装体のタイプをエンボスタイプとする際、エンボス部におけるクラック等の発生のないものとするために、本発明者らは、バリア層として用いるアルミニウムの材質が、鉄含有量が0.3 〜9.0 %、好ましくは0.7 〜2.0 %とすることによって、鉄を含有しないアルミニウムと比較して、アルミニウムの展延性がよく、積層体として折り曲げによるピンホールの発生が少なくなり、かつ前記エンボスタイプの外装体のためのエンボス時の側壁部の形成も容易にできることを見いだした。前記鉄含有量が0.3 %未満の場合は、ピンホールの発生の防止、エンボス成形性の改善等の効果が認められず、また、前記アルミニウムの鉄含有量が9.0 %を超える場合は、アルミニウムとしての柔軟性が阻害され、積層体として製袋性が悪くなる。
【0012】
また、冷間圧延で製造されたアルミニウムは焼きなまし(いわゆる焼鈍処理)条件でその柔軟性・腰の強さ・硬さが変化するが、本実施例で用いられるアルミニウムは焼きなましをしていない、いわゆる硬質処理品より、焼きなましを適宜行った、柔軟性がある軟質処理品が好ましい。また、柔軟性・腰の強さ・硬さの度合い、すなわち焼きなましの条件は、加工適性(パウチ化、エンボス適性)に合わせ適宜選定すればよい。たとえば、エンボス成形時のピンホールやしわを防止するためには、焼きなましをしていない硬質アルミより多少または完全に焼きなまし処理をした軟質傾向にあるアルミニウムが良好である。
【0013】
さらに、本発明者らは、ポリマー電池の電解質と水分による反応で生成する、フッ化水素酸(化学式:HF)により、アルミニウム表面の溶解、腐食、特に、表面に存在する酸化アルミが溶解、腐食することを防止し、かつアルミニウム表面の接着性(濡れ性)を向上させ、積層体形成時のアルミニウムと最内層の接着力の安定化を図る課題に対して、アルミニウム表面に耐酸性皮膜の形成、接着性向上処理及び保護層の形成およびこれらの技術を複合する表面処理を施すことによって、前記課題の解決に顕著な効果のあることを見いだした。
【0014】
表面処理方法としては、アルミニウム表面の酸化物、油分の除去を目的とした酸・アルカリによる表面洗浄を行うことが好ましい。洗浄用の酸類としては、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、フッ酸、クロム酸のような無機酸やスルファミン酸、シュウ酸、酒石酸、クエン酸、ギ酸、乳酸、グリコール酸、酢酸、グルコン酸、コハク酸、リンゴ酸のような有機酸があり、これらを主成分とし適宜添加剤を加えればよい。また、アルカリ類としては水酸化ナトリウムなどの水酸化物、炭酸ナトリウム、、重炭酸ナトリウムなどの炭酸塩物、第2リン酸ナトリウム、第3リン酸ナトリウムなどのリン酸塩物、ピロ・リン酸ナトリウム、トリポリ・リン酸ナトリウム、テトラポリ・リン酸ナトリウムなどの重合リン酸塩、オルソ・珪酸ナトリウム、メタ・珪酸ナトリウムなどの珪酸塩がある。ナトリウム塩を示したが、これらのカリウム塩、アンモニア塩も有効である。これらを主成分とし適宜添加剤を加えればよい。
【0015】
アルミニウム表面に形成する耐酸性皮膜としては、リン酸塩系、クロム酸系、フッ化物系の皮膜が挙げられる。リン酸塩系としては、リン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸マンガン、リン酸カルシウム、リン酸クロム、リン酸チタン、リン酸錫、リン酸シリカ等であり、クロム酸系としては、クロム酸クロム、リン酸クロム、クロム酸シリカ等であり、フッ化物系としては、フッ化チタン、フッ化亜鉛等である。
【0016】
また、接着性向上処理(以下、カップリング処理)としては、アルミニウム表面のカップリング処理および/または粗面化が挙げられる。前記カップリング処理として利用できるものとしては、シラン系カップリング剤、有機チタン系、有機アルミ系の各カップリング剤が利用できる。
有機チタン系カップリング剤としては、テトラアルコキシチタン、チタンアシレート、チタンキレート等、また、有機アルミ系カップリング剤としては、トリアルコキシアルミニウム、アルミニウムキレート、アルミニウムアシレート等が利用できる。
接着性向上処理として、アルミニウム表面の粗面化も効果を示す。すなわち、アルミニウム表面に存在する酸化アルミニウム(化学式:AL2 3 )の除去と表面粗度を大きくし、表面積の増加、およびアンカー効果を発現させ接着性の向上を目的としアルミニウム表面をエッチング、酸またはアルカリで洗浄する。
さらに、耐酸性を向上させる目的で、バリア層最内層面側表面を硫酸、シュウ酸、クロム酸、リン酸等を用い、陽極処理後、封孔処理をしてもよい。
また、、バリア層最内層面表面、または前記耐酸性皮膜の形成表面、または内部には、酸化珪素、炭酸カルシウム、亜鉛、鉛丹、亜酸化鉛、酸化亜鉛、酸化亜鉛シアナミド鉛、ジンククロメート、クロム酸バリウムカリウム、クロム酸バリウム亜鉛などを添加することでさらに耐酸性、耐有機溶剤性をさらに向上させることができる。
特に、酸化珪素、炭酸カルシウム、ジンククロメート、クロム酸バリウムカリウム、クロム酸バリウム亜鉛などは電解液と水分との反応で発生するフッ化水素(化学式:HF)と化学反応をを起こしフッ化水素を吸収、吸着する効果があり、各層、特にバリア層(アルミニウム)に対するフッ化水素の腐食を防止する効果がある。
【0017】
次に、本発明の積層体の形成において、特に前記バリア層の最内層面側に形成する耐酸性皮膜、接着性向上処理、腐食性物質の吸収、吸着層などの方法について、具体的な方法について説明する。これらの皮膜の形成、または処理等は単独で実施してもよいが、2つ以上の方法を併用してもよい。
【0018】
前記バリア層の最内層面側表面を脱脂、または表面酸化物を除去したものを用い、該表面に酸化珪素、炭酸カルシウム、亜鉛、鉛丹、亜酸化鉛、酸化亜鉛シアナミド鉛、ジンククロメート、クロム酸バリウムカリウム、クロム酸バリウム亜鉛の少なくとも一つを含有する層(以下、腐食性物質吸収層)を形成してもよい。
【0019】
前記バリア層の最内層面側表面を脱脂、または表面酸化物を除去したものを用い、該表面に、前記耐酸性皮膜を形成し、さらに、腐食性物質吸収層を形成してもよい。
【0020】
前記バリア層の最内層面側表面を脱脂、または表面酸化物の除去したものを用い、該表面に、前記耐酸性皮膜を形成し、該皮膜の内部に酸化珪素、炭酸カルシウム、亜鉛、鉛丹、亜酸化鉛、酸化亜鉛シアナミド鉛、ジンククロメート、クロム酸バリウムカリウム、クロム酸バリウム亜鉛の少なくとも一つを含有させてもよい。
【0021】
前記バリア層の最内層面側表面に、耐酸性が形成され、かつ、前記耐酸性皮膜の形成表面に、腐食性物質吸収層を形成してもよい。
【0022】
前記バリア層の最内層面側表面に、耐酸性皮膜が形成され、かつ、該耐酸性皮膜の内部に、酸化珪素、炭酸カルシウム、亜鉛、鉛丹、亜酸化鉛、酸化亜鉛シアナミド鉛、ジンククロメート、クロム酸バリウムカリウム、クロム酸バリウム亜鉛の少なくとも一つを含有させてもよい。
【0023】
前記バリア層の最内層側表面に、シラン系カップリング物質、有機チタン系カップリング物質、有機アルミ系カップリング物質の少なくともひとつを含み、かつ、酸化珪素、炭酸カルシウム、亜鉛、鉛丹、亜酸化鉛、酸化亜鉛シアナミド鉛、ジンククロメート、クロム酸バリウムカリウム、クロム酸バリウム亜鉛の少なくとも一つを含み、かつ、酸化珪素、炭酸カルシウム、亜鉛、鉛丹、亜酸化鉛、酸化亜鉛シアナミド鉛、ジンククロメート、クロム酸バリウムカリウム、クロム酸バリウム亜鉛の少なくとも一つを含有する層を形成してもよい。
【0024】
前記バリア層の最内層側表面に、前記耐酸性皮膜を形成し、さらに、シラン系カップリング物質、有機チタン系カップリング物質、有機アルミ系カップリング物質の少なくともひとつを含み、かつ、酸化珪素、炭酸カルシウム、亜鉛、鉛丹、亜酸化鉛、酸化亜鉛シアナミド鉛、ジンククロメート、クロム酸バリウムカリウム、クロム酸バリウム亜鉛の少なくとも一つを含み、かつ、酸化珪素、炭酸カルシウム、亜鉛、鉛丹、亜酸化鉛、酸化亜鉛シアナミド鉛、ジンククロメート、クロム酸バリウムカリウム、クロム酸バリウム亜鉛の少なくとも一つを含有する層を形成してもよい。
【0025】
前記バリア層の最内層側表面に、前記耐酸性皮膜を形成し、該皮膜の内部に、シラン系カップリング物質、有機チタン系カップリング物質、有機アルミ系カップリング物質の少なくともひとつを含み、かつ、酸化珪素、炭酸カルシウム、亜鉛、鉛丹、亜酸化鉛、酸化亜鉛シアナミド鉛、ジンククロメート、クロム酸バリウムカリウム、クロム酸バリウム亜鉛の少なくとも一つを含み、かつ、酸化珪素、炭酸カルシウム、亜鉛、鉛丹、亜酸化鉛、酸化亜鉛シアナミド鉛、ジンククロメート、クロム酸バリウムカリウム、クロム酸バリウム亜鉛の少なくとも一つを含有させてもよい。
【0026】
前記バリア層の最内層面側表面を脱脂、または表面酸化物を除去したものを用い、該表面に、腐食性物質吸収層を形成し、さらに、耐酸性皮膜を形成してもよい。
【0027】
前記バリア層の最内層面側表面を脱脂、または表面酸化物を除去したものを用い、該表面に、耐酸性皮膜が形成され、該耐酸性皮膜の表面に、腐食性物質吸収層を形成してもよい。
【0028】
前記バリア層の最内層面側表面を脱脂、または表面酸化物を除去したものを用い、該表面に、耐酸性皮膜が形成され、該耐酸性皮膜の内部に、酸化珪素、炭酸カルシウム、亜鉛、鉛丹、亜酸化鉛、酸化亜鉛シアナミド鉛、ジンククロメート、クロム酸バリウムカリウム、クロム酸バリウム亜鉛の少なくとも一つを含有させいもよい。
【0029】
前記バリア層の最内層面側表面を脱脂、または表面酸化物を除去したものを用い、前記バリア層の最内層側表面に、カップリング処理層、さらに、腐食性物質吸収層を形成してもよい。
【0030】
前記バリア層の最内層面側表面を脱脂、または表面酸化物を除去したものを用い、前記バリア層の最内層側表面に、前記耐酸性皮膜の表面に、カップリング処理層、さらに、腐食性物質吸収層を形成してもよい。
【0031】
前記バリア層の最内層面側表面を脱脂、または表面酸化物の除去したものを用い、前記バリア層の最内層側表面に、前記耐酸性皮膜、さらに、腐食性物質吸収層層を形成してもよい。
【0032】
前記バリア層の最内層面側表面に、耐酸性皮膜が形成され、前記耐酸性皮膜の形成表面にシラン系カップリング物質、有機チタン系カップリング物質、有機アルミ系カップリング物質を含み、かつ、酸化珪素、炭酸カルシウム、亜鉛、鉛丹、亜酸化鉛、酸化亜鉛シアナミド鉛、ジンククロメート、クロム酸バリウムカリウム、クロム酸バリウム亜鉛の少なくとも一つを含有する層を形成してもよい。
【0033】
前記バリア層の最内層面側表面に、耐酸性皮膜が形成され、前記耐酸性皮膜の内部にシラン系カップリング物質、有機チタン系カップリング物質、有機アルミ系カップリング物質を含み、かつ、酸化珪素、炭酸カルシウム、亜鉛、鉛丹、亜酸化鉛、酸化亜鉛シアナミド鉛、ジンククロメート、クロム酸バリウムカリウム、クロム酸バリウム亜鉛の少なくとも一つを含有する層を形成してもよい。
【0034】
前記バリア層の最内層面側表面を脱脂、または表面酸化物の除去したものを用い、該表面に、耐酸性皮膜が形成され、さらにシラン系カップリング物質、有機チタン系カップリング物質、有機アルミ系カップリング物質の少なくとも一つ、さらに、酸化珪素、炭酸カルシウム、亜鉛、鉛丹、亜酸化鉛、酸化亜鉛シアナミド鉛、ジンククロメート、クロム酸バリウムカリウム、クロム酸バリウム亜鉛の少なくとも一つを含有する層を形成してもよい。
【0035】
前記バリア層の最内層面側表面を脱脂、または表面酸化物の除去したものを用い、該表面に、リン酸塩系皮膜、クロム酸塩系皮膜、フッ化物系皮膜、トリアジンチオール化合物の少なくとも一つを含み、さらにシラン系カップリング物質、有機チタン系カップリング物質、有機アルミ系カップリング物質の少なくとも一つ、さらに、酸化珪素、炭酸カルシウム、亜鉛、鉛丹、亜酸化鉛、酸化亜鉛シアナミド鉛、ジンククロメート、クロム酸バリウムカリウム、クロム酸バリウム亜鉛の少なくとも一つを含有する層を形成してもよい。
【0036】
本発明の保護層は、バリア層の腐食防止、溶剤による接着性の劣化防止などのために設けられる樹脂からなる層であって、前記バリア層の最内層側に設けるが、該保護層には、前記耐酸性改質剤または/および前記カップリング剤等を添加してもよい。
【0037】
前記保護層を形成する樹脂としては、エポキシ系、フェノール系、メラミン系、アルキッド系、ポリイミド系、不飽和ポリエステル系、ポリウレタン系、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート共重合体、ポリブチレンテレフタレート共重合体などの共重合体ポリエステル系、金属イオン架橋ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体系、エチレンとアクリル酸およびメタクリル酸との共重合体系、ポリエーテルウレタン系等の樹脂、およびこれらの変性物の少なくともひとつを30%以上含む樹脂等を用いる事ができる。
【0038】
また、これらの保護層には、前記のようにリン酸塩系皮膜形成物質(リン酸亜鉛系、リン酸鉄系、リン酸マンガン系、リン酸カルシウム系、リン酸クロム系、クロム酸シリカ計)やフッ化物系皮膜形成物質(フッ化チタン系、フッ化亜鉛系)やアルミ箔表面の接着性向上物質(カップリング剤:シラン系カップリング剤、有機チタン系カップリング剤、有機アルミ系カップリング剤)を含有させることもできる。 また、適宜、酸化珪素、炭酸カルシウム、亜鉛、鉛丹、亜鉛化鉛、酸化亜鉛シアナミド鉛、ジンククロメート、クロム酸バリウムカリウム、クロム酸バリウム亜鉛などを添加することも耐薬品性、耐有機溶剤性をさらに向上させる。特に、酸化珪素、炭酸カルシウム、亜鉛、鉛丹、亜鉛化鉛、酸化亜鉛シアナミド鉛、ジンククロメート、クロム酸バリウムカリウム、クロム酸バリウム亜鉛などは電解液と水分の反応で発生するフッ化水素(化学式:HF)と化学反応を起こしフッ化水素を吸収、吸着する効果があり、各層、特にバリア層(アルミニウム)に対するフッ化水素の腐食を防止する効果がある。
【0039】
また、本発明における積層体のバリア層の最内層面側処理は、前述のように各表面処理を複合して用いることもできる。例えば、
(1) アルミニウム/ 表面の粗面化/ 耐酸性皮膜の形成
(2) アルミニウム/ 表面の粗面化/ カップリング処理
(3) アルミニウム/ 表面の粗面化/ 保護層の形成
(4) アルミニウム/ 耐酸性改質皮膜の形成/ 保護層の形成
(5) アルミニウム/ 耐酸性皮膜の形成/ カップリング処理
(6) アルミニウム/ 表面の粗面化/ 耐酸性皮膜の形成/ 保護層の形成
(7) アルミニウム/ 表面の粗面化/ 耐酸性皮膜の形成/ カップリング処理
【0040】
本発明においては、さらに、前記耐酸性改質剤または/および前記カップリング剤を含有する各種樹脂層に加えて、前記耐酸性改質剤または/および前記カップリング剤を含有しない、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、オレフィン樹脂不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィン樹脂からなる第2保護層を形成してもよい。
この場合の第2歩後層の形成方法としては、例えば、
(1) アルミニウム/ 耐酸性改質皮膜の形成/ 第2保護層の形成
(2) アルミニウム/ カップリング処理/ 第2保護層の形成
(3) アルミニウム/ 表面の粗面化/ 第2保護層の形成
(4) アルミニウム/ 表面の粗面化/ 保護層の形成/ 第2保護層の形成
(5) アルミニウム/ 表面の粗面化/ 耐酸性皮膜の形成/ 第2保護層の形成
(6) アルミニウム/ 表面の粗面化/ カップリング処理/ 第2保護層の形成
(7) アルミニウム/ 耐酸性改質の形成/ 保護層の形成/ 第2保護層の形成
(8) アルミニウム/ 耐酸性皮膜の形成/ カップリング処理/ 第2保護層の形成
(9) アルミニウム/ 表面の粗面化/ 耐酸性改質皮膜の形成/ 保護層の形成/ 第2保護層の形成
(10)アルミニウム/ 表面の粗面化/ 耐酸性皮膜の形成/ カップリング処理/ 第2保護層の形成
の表面処理とすることができる。
【0041】
また、これらのアルミニウム層の最内層面側内面の耐酸性皮膜、保護層、カップリング処理層、第2保護層には、リン酸円系皮膜形成物質(リン酸亜鉛系、リン酸鉄系、リン酸マンガン系、リン酸カルシウム系、リン酸クロム系、クロム酸シリカ系)やクロム酸系皮膜形成物質(クロム酸クロム、リン酸クロム系、クロム酸シリカ系)やフッ化物系皮膜形成物質(フッ化チタン系、フッ化亜鉛系)や各層の接着性向上物質(カップリング剤:シラン系カップリング剤、有機チタン系カップリング剤、有機アルミ系カップリング剤)を含有させることもできる。また、適宜、酸化珪素、炭酸カルシウム、亜鉛、鉛丹、亜鉛化鉛、酸化亜鉛シアナミド鉛、ジンククロメート、クロム酸バリウムカリウム、クロム酸バリウム亜鉛などを添加することも耐薬品性、耐有機溶剤性をさらに向上させる。特に、酸化珪素、炭酸カルシウム、亜鉛、鉛丹、亜鉛化鉛、酸化亜鉛シアナミド鉛、ジンククロメート、クロム酸バリウムカリウム、クロム酸バリウム亜鉛などは電解液と水分の反応で発生するフッ化水素(化学式:HF)と化学反応を起こしフッ化水素を吸収、吸着する効果があり、各層、特にバリア層(アルミニウム)に対するフッ化水素の腐食を防止する効果がある。
【0042】
本発明においては、バリア層12または前記保護層15と最内層14との間に中間層13を設けてもよい。中間層を設けることによって、前記バリア層12の保護と、製袋の際のヒートシールの熱と圧力によってヒートシール層である最内層14が薄くなり、電極3とアルミニウム(バリア層12)とが接触(短絡発生)することを防止することができる。また、中間層13は電池の環境適性( 耐熱性、耐寒性) を安定化するために積層するが、厚さ10μm以上、融点は80℃以上であって、好ましくは12から25μmのポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂または、これらの変性物および混合物から形成される少なくとも1 層含むものとする。
前記ポリエステル樹脂としては、
(1) ポリエチレンテレフタレート
(2) ポリブチレンテレフタレート
(3) ポリエチレンナフタレート
(4) ポリブチレンナフタレート
(5) ポリカーボネート
およびこれらの共重合体または変性物が挙げられる。
また、前記ポリオレフィン系樹脂としては、
ポリプロピレン、
エチレンプロピレン共重合体、
低密度ポリエチレン、
中密度ポリエチレン、
高密度ポリエチレン、
線状低密度ポリエチレン、
シングルサイト系触媒を用いて重合したエチレンーα・オレフィン共重合体、
金属イオン含有ポリエチレン、
エチレンとメタクリル酸またはアクリル酸誘導体の共重合物、
ポリブテン、
不飽和カルボン酸グラフトポリエチレン、
不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン、
不飽和カルボン酸グラフトポリメチルペンテン
およびこれらの変性物が挙げられる。
また、前記フッ素系樹脂としては、
テトラフルオロエチレン、
トリフルオロエチレン、
ポリフッ化ビニリデン、
ポリフッ化ビニル、
エチレンテトラフルオロエチレン、
ポリクロロトリフルオロエチレン、
エチレンクロロトリフルオロエチレン共重合体、
テトラフルオロエチレンーヘキサフルオロプロピレン共重合体
等が挙げられる。
これらの樹脂は延伸又は未延伸の状態のどちらでも用いることができる。
【0043】
また、中間層13は単層のみでなく、多層化することもできる。中間層13を多層化する場合は、その形成を共押出し法によって積層してもよく、また、各層をドライラミネーション法を用いて積層してもよい。さらに、押出しラミネーション法を用いて積層してもよい。例えば、中間層13を共押出し法により多層化する場合は、以下に示すような2層以上の層構成からなり、各層の厚さが10から100 μm、好ましくは15から25μmである。
【0044】
本発明におけるポリマー電池用包装材料の最内層14は、最内層14同士がヒートシール性を有するとともに、図1(e)に示すように、電極3である金属に対してもヒートシール性を示し、かつ、内容物により変質、劣化しない材質を検討した結果、厚さ10μm以上、好ましくは50〜100 μmであって、融点80℃以上、ビカット軟化点が70℃以上の不飽和カルボン酸グラフトポリエチレン、不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン、不飽和カルボン酸グラフトポリメチルペンテンなどの不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィン系樹脂、金属イオン架橋ポリエチレン、エチレンまたはプロピレンとアクリル酸誘導体、またはメタクリル酸誘導体との共重合物およびこれらの変性物の少なくとも一つを含むものが良好な結果を示した。
最内層には、金属接着性を持たないポリオレフィン系樹脂14′を用いることもできるが、この場合には、電極3と最内層との間に前記不飽和カルボン酸グラフトグラフトポリオレフィン、金属イオン架橋ポリエチレン、エチレンまたはプロピレンとアクリル酸誘導体、またはメタクリル酸誘導体との共重合体物から形成される熱接着性タブ材(厚さ15μm以上) 16を用いることによって、タブと外装体とが完全に接着され、密封することができる。具体的には、図4(b)に示すように、電極の熱接着部に電極より巾の広い熱接着性タブ材16を載置し、外装体に挿入して熱接着して密封する。図4(d)は、この場合の熱接着後のX4 −X4 断面を模式的に示したものである(但し、最外層、バリア層、中間層は1層として示している)。また、図4(c)は、電極3の電極の熱接着部に熱接着性タブ材16を巻き付けて外装体に挿入して熱接着して密封した例であり、図4(e)は、この場合の熱接着後のX4 −X4 断面を図4(d)と同じように模式的に示したものである。
なお、本発明の積層体における最内層は、前記の樹脂からなる単層でもよいし、また、前記樹脂を含む2層以上の複層としてもよい。
【0045】
前記不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィン系樹脂は、電極3との接着性、耐熱性、耐寒性、加工適性(パウチ化、エンボス成形性)のいずれにも適している。最内層14の厚さが20μm未満では、電極3をヒートシールした時、その端部部分に隙間ができバリア性がなくなる。また、最内層の厚さが 100μmを超えても、ヒートシール強度は変わらず、積層体としての厚さが増して、本発明の課題である省スペースに逆行する。
また、融点、ビカット軟化点が低い場合、耐熱性、耐寒性がなくなりフィルム同士および電極3との接着強度が低下し破袋する。また、前記各種の不飽和カルボン酸グラフトポリマーは、それぞれ単体で用いてもよいが、ブレンドをすることでもその性質は満足される。
【0046】
本発明の積層体の前記の各層には、適宜、製膜性、積層化加工、最終製品2次加工(エンボス成形、パウチ化)適性を向上、安定化する目的のために、コロナ処理、ブラスト処理、酸化処理、オゾン処理等の表面活性化処理してもよい。
【0047】
本発明の積層体の最外層、バリア層、中間層、最内層の各層の形成または各層間の積層方法等は、具体的にはTダイ法、インフレーション法、共押出し法等を用いて製膜することができ、必要に応じて、コーティング、蒸着、紫外線硬化、電子線硬化等の方法によって2次膜を形成してもよい。
また、貼り合わせは、ドライラミネーション、押出しラミネーション、共押出しラミネーション、サーマルラミネーション(熱ラミネーション)等の方法により積層化し得る。
【0048】
前記、ドライラミネーションをする際には、ポリエステル系、ポリエチレンイミン系、ポリエーテル系、シアノアクリレート系、ウレタン系、有機チタン系、ポリエーテルウレタン系、エポキシ系、ポリエステルウレタン系、シミド系、イソシアネート系、ポリオレフィン系、シリコーン系の各種接着剤を用いることができる。
また、これらの接着層には適宜、酸化珪素、炭酸カルシウム、亜鉛、鉛丹、亜酸化鉛、酸化亜鉛シアナミド鉛、ジンククロメート、クロム酸バリウムカリウム、クロム酸バリウム亜鉛の少なくとも一つを含有することを特徴とした鉛丹、亜酸化鉛、酸化亜鉛シアナミド鉛、ジンククロメート、クロム酸バリウムカリウム、クロム酸バリウム亜鉛などを添加することも耐薬品性、耐有機溶剤性をさらに向上させる。特に、酸化珪素、炭酸カルシウム、亜鉛、鉛丹、亜酸化鉛、酸化亜鉛シアナミド鉛、ジンククロメート、クロム酸バリウムカリウム、クロム酸バリウム亜鉛などは電解液と水分との反応で発生するフッ化水素(化学式:HF)S化学反応を起こしフッ化水素を吸収・吸着する効果があり、各層、特にバリア層(アルミニウム)に対するフッ化水素の腐食を防止する効果がある。
【0049】
また、前記押出しラミネーションをする場合、接着する各層間の接着力を安定化する接着促進化方法としてポリエステル系、ポリエーテル系、ウレタン系、ポリエーテルウレタン系、ポリエステルウレタン系、イソシアネート系、ポリオレフィン系、ポリエチレンイミン系、シアノアクリレート系、有機チタン化合物系、エポキシ系、イミド系、シリコーン系およびこれらの変性物、または混合物等の樹脂を1 μm程度塗工したり、オゾン処理等による表面活性化処理を行うことができる。
また、前記押出しラミネーションあるいは熱ラミネーションをする際の樹脂として不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンを用いることによって、接着性とともに耐内容物性も向上する。
【0050】
本発明の積層体を積層化する方法として、3層構成の場合、本発明の積層体を積層する方法として、代表的に次の3方法、すなわち、
1)第1基材として、最外層/バリア層の積層体と最内層からなる第2基材積層体をそれぞれ準備し熱ラミネーションする、
2)第1基材として最外層/バリア層、第2基材として最内層を準備し押出しラミネーション(共押出しを含む)する方法、この場合必要に応じ、再度熱ラミネーション工程を施す、
3)すべてをドライラミネーションで貼りあわせる
のいずれの方法を用いてもよい。
【0051】
また、4層構成の場合には、積層化する方法として、代表的に次の3方法、すなわち、
1)第1基材として、最外層/バリア層の積層体と中間層/最内層からなる第2基材積層体をそれぞれ準備し熱ラミネーションする
2)第1基材として最外層/バリア層、第2基材として中間層の一部/最内層の積層体、または最内層のみを準備し中間層により押出しラミネーション(共押出しを含む)する、この場合必要に応じ、再度熱ラミネーション工程を施す
3)すべてをドライラミネーションで貼りあわせる
のいずれの方法を用いてもよい。
【0052】
さらに、中間層には、気体、液体、イオン透過防止薄膜層としてスパッタリグ法、化学蒸着法、物理的蒸着法を用いアルミニウム層のような金属薄膜層、酸化アルミや酸化錫のような金属酸化物層、コーティング法を用い塩化ビニリデン層等を形成することで、さらに、バリア層に対する電解質構成物質の透過を防止し安定した接着性を持たせることができる。
【0053】
【実施例】
以上に説明した本発明の積層体の層構成の実施例を、パウチタイプ、エンボスタイプとして具体的に示す。
なお、前記実施例においてドライラミネートに用いた接着剤、DL-1およびDL-2を構成する成分は次の通りであった。
DL-1:ポリエーテルを主成分とした接着剤、タケラックA-969V/A-5( 武田薬品 工業株式会社製 商品名)
DL-2:成分構成は、主剤としては、ポリエステルポリウレタン樹脂がセバシン 酸、イソフタル酸、テレフタル酸からなるカルボン酸とエチレングリコ ール、ヘキサンジオールからなるグリコール、イソシアネート(IPDI)お よびビスフェノールA からなるエポキシ樹脂からなり、また、硬化剤と しては、トリメチロールプロパン、プロピレングリコール、ジプロピレ ングリコール、グリセリン、1,3-ブタンジオールからなるグリコール、 イソシアネート(TDI) 、他(TDA) からなるものを用いた。
また、下記の略号等は次の通りである。
バリア層の表面処理に関する略号は
Tr-w : 脱脂、または酸化物の除去(条件は55℃、1N NaOH 中で1 分間アルカリ脱脂後、35%硝酸を用い酸洗浄)
Tr-Cou: カップリング処理
Tr-Ac : リン酸塩処理
Tr-POa: 不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンをコーティングし焼き付け
Tr-Co-Ac-cr:炭酸カルシウム添加リン酸クロム酸処理
その他の略号はつぎの通りである。
PET:ポリエステル、Ny: ナイロン、AL: アルミニウム、 PPa: 不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン、PEa:不飽和カルボン酸グラフトポリエチレン、P-EP: エポキシ樹脂による保護層、RAM-PP: ランダム重合されたポリプロピレン、HOMO: ホモタイプ重合されたポリプロピレン
パウチ仕様としては、
(実施例1)
アルミニウム(20 μm) を脱脂、酸化物を除去した後、二軸延伸ポリエステルフィルム(12 μm) と接着剤DL-1を用いてドライラミネーション法により貼り合わせてラミネートAとし、前記ラミネートAのアルミニウム面に接着剤DL-2を用いて二軸延伸ポリエステルフィルム(12 μm) 、不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン(50 μm) とをドライラミネーション法により順次貼り合わせて積層体(1) を得た。
(1) PET(12)/DL-1/AL(20) Tr-W/DL-2/PET(12)/DL-2/PPa(50)
(実施例2)
アルミニウム(20 μm) を脱脂、酸化物除去後、リン酸塩処理により耐酸処理膜を形成し、次いでカップリング層を形成後、二軸延伸ポリエステルフィルム(12 μm) と前記アルミニウムのカップリング層形成面とを接着剤DL-1を用いて積層しラミネートAとし、不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン(20 μm) と二軸延伸ポリエステルフィルム(12 μm) 、不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン(50 μm) とを接着剤DL-1を用いてドライラミネーション法により積層してラミネートBとし、前記等にAのアルミニウム面とラミネートBの不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン(20 μm) とを温度220 ℃、圧力0.3Mpa、ライン速度20メートル/ 分の条件により熱ラミネーション法により貼り合わせて積層体(2) を得た。
(2) PET(12)/DL-1/AL(20) Tr-Ac/Tr-Cou/TL/PPa(20)/DL-2/ PET(12)/DL-2/PP
a(50)
(実施例3)
アルミニウム(20 μm) を脱脂、酸化物を除去後、クロム酸塩による耐酸性皮膜を形成後、前記アルミニウムの片面に、二軸延伸ポリエステルフィルム(12 μm) と接着剤DL-1を用いてドライラミネーション法により貼り合わせてラミネートAとし、前記ラミネートAのアルミニウムの別の面に、エポキシ樹脂による保護層を形成し、別に、共押出し法によりランダムタイプポリプロピレンとホモタイプポリプロピレンとの共押出しフィルムを製膜し、前記ラミネートAの前記アルキッドの保護層の面と、前記共押出しフィルムのランダムタイプポリプロピレン面とを接着剤DL-2を用いてドライラミネーション法により貼り合わせて積層体(3)を得た。
(3) PET(12)/DL-1/AL(20) Tr-Cr/P-EP/DL-2/RAM-PP(5)/HOMO-PP(25)
また、エンボス仕様としては、
(実施例4)
アルミニウム(50 μm) を脱脂、酸化物を除去後、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンをコーティングし焼き付け処理層を形成後(アルミニウムの両面に形成)、前記アルミニウムの片面に、二軸延伸ポリエステルフィルム(12 μm) 、二軸延伸ナイロンフィルム(52 μm) 、前記アルミニウム(50 μm) とを接着剤DL-1を用いてドライラミネーション法により順次貼り合わせてラミネートAとし、前記ラミネートAのアルミニウムの反対面に、ポリエステルフィルム(16 μm) 、不飽和カルボン酸グラフトポリエチレンフィルム(50 μm) を接着剤DL-2を用いてドライラミネーション法により順次貼り合わせて積層体(4) を得た。
(4) PET(12)/DL-1/Ny(15)/DL-1/AL(50)Tr-POa/DL-2/PET(16)/DL-2/PEa(50)
(実施例5)
アルミニウム(50 μm) を脱脂、酸化物を除去後、最内層面側にリン酸塩処理により耐酸性皮膜を形成した後、さらに前記耐酸性皮膜の上面に不飽和カルボン酸グラフトポリエチレン(5 μm) をコーティング法により形成した。前記アルミニウムのもう片面側と二軸延伸ナイロンフィルム(15 μm) と二軸延伸ポリエステルフィルム(12 μm) とを接着剤DL-1を用いドライラミネーション法により積層しラミネートAとし、二軸延伸共重合ポリエステルフィルム(16 μm) と不飽和カルボン酸グラフトポリエチレン(50 μm) とを接着剤DL-2を用いドライラミネーション法により積層しラミネートBとし、前記ラミネートAのアルミニウム面とラミネートBの二軸延伸共重合ポリエステルフィルム(16 μm) 面をエクストルージョンコーティング法(EC 法) によりポリエチレン(20 μm) を押出し、貼り合わせて積層体(5) を得た。
(5) PET(12)/DL-1/Ny(15)/DL-1/AL(50) Tr-PAc/PEa(5)/PE(20)/PET(16)/DL-2/ PEa(50)
(実施例6)
アルミニウム(50 μm) を、脱脂、酸化物を除去後、炭酸カルシウム添加リン酸クロム酸処理により耐酸性皮膜を形成し、その一方の面に、二軸延伸ポリエステルフィルム(12 μm) 、二軸延伸ナイロンフィルム(15 μm) 、前記アルミニウム(50 μm) とを接着剤DL-1を用いてドライラミネーション法により順次貼り合わせてラミネートAとし、別に、共押出し法によりランダムタイプポリプロピレンとホモタイプポリプロピレンとの共押出しフィルムを製膜し、前記ラミネートAのアルミニウム面と、前記共押出しフィルムのランダムタイプポリプロピレン面とを接着剤DL-2を用いてドライラミネーション法により貼り合わせて積層体(6)を得た。
(6) PET(6)/DL-1/Ny(15)/DL-1/AL(50) Tr-Co-PAc-cr/DL-2/RAM-PP(5)//HOMO-PP(25)
前記積層体(1) 〜(6) を用いて、ポリマー電池用包装材料として、ポリマー電池本体を密封し、各種のテストを実施したが、ポリマー電池外装体として求められている性能を充たす積層体であった。
【0054】
具体的な層構成として別の実施例を図3に示す。この積層体は、基材層とバリア層とをドライラミネーションし、バリア層を表面処理TRして保護層15を設けて、第1基材とし、中間層をドライラミネーション(DL-2)した2 層タイプとし、さらに、最内層14をドライラミネーション(DL-3)した第2基材とを熱接着性フィルムを介在させて熱ラミネートして熱ラミネート層TLを形成したものである。
【0055】
ポリマー電池の形態(パウチタイプの外装体)本発明の積層体をポリマー電池の外装体を構成する包装材料として用いる場合の前記外装体の形態は、パウチタイプまたはエンボスタイプが挙げられる。前記パウチタイプは、前述のピロータイプの他、図5(a)に示す三方シールタイプ、図5(b)に示す四方シールタイプのような形態がある。いずれの形態においても、シール端部にタブ(電極)の一部を含む密封シールとし、タブの一部が外装体の外部に露出するものである。また、前記タブ3は、図5(c)、図5(d)図5(e)にそれぞれ示すように、外装体のシール部の任意の位置から外部に露出させてもよい。
【0056】
本発明のポリマー電池用包装材料において、外装体4の形状を図2(b)に示すように、エンボスタイプとする場合がある。この場合、底材6は、電池本体の収納部となるエンボス部8と、蓋材7と密封シールするフランジ部9とからなる。底材の包装材料6は図2(a)に示すように4層構成の積層体を基本とするが、その最外層11および/または中間層13に用いるポリエステル系樹脂をポリエチレンテレフタレート共重合体またはポリブチレンテレフタレート共重合体とし、フィルム化における延伸倍率を小さくすることが好ましい。前記共重合体とすることによって、エンボス部8の成形形状がシャープとなり、また、容器とした時、図6(a′)に示す開口部巾(T)と深さ(D)がD/T=1/50以上で、かつ、側面テーパーθが130 °以下とすることが可能となりエンボスがし易い。
また、バリア層としてアルミニウムを用いる場合には、エンボスによるピンホールの発生の心配のない厚さとして、その厚さを30μm以上とすることが望ましい。片面のみエンボスの場合には、その蓋材7はエンボスをしないために、共重合体にする必要はない。両面エンボスをする場合には、両面に前記底材の積層体を用いればよい。
ポリマー電池の外装体をエンボスタイプにすることによって電池本体の収納性がよくなる。
【0057】
【発明の効果】
本発明のポリマー電池用包装材料によって、ポリマー電池の成分であるリチウム塩と水分との反応によって生成するフッ化水素酸によりバリア層の最内層面側での腐蝕、ラミネートの剥離などの問題を解消する効果があった。また、ポリマー電池用包装材料としてバリア性に優れ、該バリア性を長期に維持し得ることができ、耐熱性、耐寒性、耐内容物性等に優れた包装材料とすることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリマー電池用包装材料の実施例を示す、(a)基本的層構成、(b)ポリマー電池の構造を説明する斜視図、(c)X1 −X1 部の断面図、(d)X2 −X2 部の断面図である。
【図2】本発明のポリマー電池用包装材料の別の実施例を示す、(a)基本的層構成、(b)ポリマー電池の構造を説明する斜視図、(c)外装体に収納されたエンボスタイプのポリマー電池の斜視図、(d)X3 −X3 部の断面図である。
【図3】本発明の積層体の別の実施例を示す断面図である。
【図4】本発明における外装体とタブとの接着の別の実施例を示する説明図で、(a)ポリマー電池の斜視図、(b)熱接着性タブ材を接着したポリマー電池本体の斜視図、(c)熱接着性タブ材を接着した別のポリマー電池本体の斜視図、(d)および(e)はそれぞれの熱接着性タブ材を用いた場合のX4 −X4 部断面図である。
【図5】本発明の積層体を用いるポリマー電池のパウチタイプの外装体の形状を示す平面図とそれぞれのタイプの断面図である。
【図6】本発明の積層体を用いるポリマー電池のエンボスタイプの外装体の形状を示す(a)片面エンボスタイプの底材の斜視図、(a′)X9 −X9 部断面図、(b)両面エンボスタイプの斜視図、(b′)X10−X10部断面図、(c)エンボスタイブにおけるタブの位置を示す別の例の概念図、(d)タブをさらに別の位置に設けた例の概念図である。
【符号の説明】
1 ポリマー電池
2 ポリマー電池本体
3 電極
4 外装体
5 ヒートシール部
5f 背シール部
6 底材
7 蓋材
8 エンボス部
9 フランジ部
10 積層体(包装材料)
11 最外層
12 バリア層
13 中間層
14,14′最内層
15 保護層
16 熱接着性タブ材
TR 表面処理層
DL ドライラミネート層
TL 熱ラミネート層

Claims (10)

  1. 最外層/バリア層/最内層、または、最外層/バリア層/中間層/最内層からなり、前記バリア層が最内層面側表面を脱脂、または表面酸化物を除去した金属箔を用い、かつ、前記バリア層の脱脂または表面酸化物を除去した表面に、リン酸塩系皮膜、クロム酸塩系皮膜、フッ化物系皮膜、トリアジンチオール化合物皮膜の少なくとも一つを含む耐酸性皮膜が形成されていることを特徴とするポリマー電池用包装材料
  2. 最外層/バリア層/最内層、または、最外層/バリア層/中間層/最内層からなり、前記バリア層が最内層面側表面を脱脂、または表面酸化物を除去した金属箔を用い、かつ、前記バリア層の脱脂または表面酸化物を除去した表面に、シラン系カップリング物質、有機チタン系カップリング物質、有機アルミ系カップリング物質のいずれかを含む層からなるカップリング処理層が形成されていることを特徴とするポリマー電池用包装材料
  3. 最外層/バリア層/最内層、または、最外層/バリア層/中間層/最内層からなり、前記バリア層が最内層面側表面を脱脂、または表面酸化物を除去した金属箔を用い、かつ、前記バリア層の脱脂または表面酸化物を除去した表面に、酸化珪素(化学式:SiO 2 )、炭酸カルシウム、亜鉛、鉛丹、亜酸化鉛、酸化亜鉛シアナミド鉛、ジンククロメート、クロム酸バリウムカリウム、クロム酸バリウム亜鉛の少なくとも一つを含有する層からなる腐食性物質吸収層が形成されていることを特徴とするポリマー電池用包装材料
  4. 前記耐酸性皮膜の表面にシラン系カップリング物質、有機チタン系カップリング物質、有機アルミ系カップリング物質のいずれかを含む層からなるカップリング処理層が形成されていることを特徴とする請求項1記載のポリマー電池用包装材料
  5. 前記耐酸性皮膜の表面に酸化珪素(化学式:SiO 2 )、炭酸カルシウム、亜鉛、鉛丹、亜酸化鉛、酸化亜鉛シアナミド鉛、ジンククロメート、クロム酸バリウムカリウム、クロム酸バリウム亜鉛の少なくとも一つを含有する層からなる腐食性物質吸収層が形成されていることを特徴とする請求項1記載のポリマー電池用包装材料
  6. 前記カップリング処理層の表面に、酸化珪素(化学式:SiO 2 )、炭酸カルシウム、亜鉛、鉛丹、亜酸化鉛、酸化亜鉛シアナミド鉛、ジンククロメート、クロム酸バリウムカリウム、クロム酸バリウム亜鉛の少なくとも一つを含有する層からなる腐食性物質吸収層が形成されていることを特徴とする請求項4記載のポリマー電池用包装材料
  7. 前記耐酸性皮膜の表面にシラン系カップリング物質、有機チタン系カップリング物質、有機アルミ系カップリング物質の少なくとも一つおよび酸化珪素(化学式:SiO 2 )、炭酸カルシウム、亜鉛、鉛丹、亜酸化鉛、酸化亜鉛シアナミド鉛、ジンククロメート、クロム酸バリウムカリウム、クロム酸バリウム亜鉛の少なくとも一つを含有する層が形成されていることを特徴とする請求項1記載のポリマー電池用包装材料
  8. 前記バリア層が厚さ15μm以上のアルミニウムからなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のポリマー電池用包装材料
  9. 前記中間層が、厚さ10μm以上のポリエステル系、ポリオレフィン系、フッソ樹脂系、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物系樹脂、または、これらの変性物および混合物から形成される樹脂の少なくとも1層含むものであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のポリマー電池用包装材料
  10. 最内層が厚さ10μm以上のポリオレフィン系樹脂、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィン、金属イオン架橋ポリエチレン、エチレンまたはプロピレンとアクリル酸誘導体、またはメタクリル酸誘導体との共重合物およびこれらの変性物の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のポリマー電池用包装材料
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