JPWO2014200087A1 - 樹脂フィルム、金属端子部材、及び二次電池 - Google Patents
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Abstract
Description
本願は、2013年6月14日に、日本に出願された特願2013−125846号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
リチウムイオン電池の外装材としては、従来、金属製の缶が多用されていたが、近年、より軽量で放熱性に優れた多層フィルムが用いられるようになっている。
更に、タブシーラントをリードに融着させる際には、リード端部を隙間なくタブシーラントで充填する必要がある。タブシーラントによるリード端部の充填が不十分な場合、タブシーラントとリードとの間に隙間が生じ、内容物の漏れやタブシーラントとリードとの剥離の発生の原因となる。
前記中間層の融点および前記第二層の融点が以下の条件、(第二層の融点+15℃)<(中間層の融点)<(第二層の融点+25℃)を満たしていてもよい。
前記第一層の融点および前記第二層の融点が以下の条件、(第一層の融点)<(第二層の融点)<(第一層の融点+10℃)を満たしていてもよい。
前記中間層の融点および前記包装材の前記シーラント層の融点が以下の条件、(包装材のシーラント層の融点+5℃)<(中間層の融点)<(包装材のシーラント層の融点+20℃)を満たしていてもよい。
前記包装材の前記シーラント層の融点および前記第二層の融点が以下の条件、(第二層の融点)<(包装材のシーラント層の融点)<(第二層の融点+15℃)を満たしていてもよい。
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係る樹脂フィルムの模式的な断面図である。図2は、本実施形態に係る樹脂フィルムと接着される包装材の構成を示す模式的な断面図である。
本実施形態に係る金属端子部材1(以下、「タブ1」という。)は、2層の積層体からなる樹脂フィルム11(以下、「タブシーラント11」という。)と、金属端子12(以下、「リード12」という。)とを有する。
図1に示すように、タブシーラント11とリード12とは、腐食防止処理層13を介して接着されている。
また、本実施形態に係るタブ1は、二次電池用包装材3(以下、単に「包装材3」という。)に接着される。包装材3は、図2に示すように、基材層31、接着層32、金属箔層33、腐食防止処理層34、接着樹脂層35、シーラント層36がこの順に積層された積層体である。
タブシーラント11は、リード12から近い位置より、最内層(第一層)14、最外層(第二層)15の順に形成された2層の積層体から形成される。
最内層14は、腐食防止処理層13が形成されたリード12とタブシーラント11とを接着させるための層である。すなわち、最内層14は、リード12と、タブシーラント11を構成する樹脂とのそれぞれと接着性を有する。最内層14を構成する成分としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂を酸変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂が挙げられる。
なかでも、タブシーラント11とリード12との接着性が向上することから、酸変性ポリオレフィン系樹脂が、最内層14を構成する成分として好ましい。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度、中密度、高密度のポリエチレン;エチレン−αオレフィン共重合体、ホモ、ブロックやランダムポリプロピレン、プロピレン−αオレフィン共重合体、またはこれらの酸変性物などが挙げられる。
酸変性ポリオレフィンとしては、例えばポリオレフィンが不飽和カルボン酸や、その酸無水物、および誘導体により酸変性された化合物などが挙げられる。不飽和カルボン酸やその酸無水物、および誘導体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、およびこれらの酸無水物、モノおよびジエステル、アミド、イミドなどが挙げられる。中でもアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましく、無水マレイン酸が特に好ましい。不飽和カルボン酸や、その酸無水物、および誘導体はポリオレフィンに対し、共重合していればよく、その重合形式としては、ブロック共重合、ランダム共重合、グラフト共重合などが挙げられる。これら不飽和カルボン酸や、その酸無水物、および誘導体は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
最内層14の膜厚が10μm以上ならば、タブシーラント11とリード12との熱融着時に、タブシーラントによるリード端部への樹脂の充填が十分となる。また、最内層14の膜厚が300μm以下では熱融着時に過剰な熱量が不要であり、コストも抑えられる。
なお、最内層14の膜厚が10μm未満である場合には、タブシーラント11とリード12との熱融着時に、タブシーラント11によるリード端部への樹脂の充填が不十分となる。また、最内層14の膜厚が300μmを超える場合ではタブの包装材への熱融着時に、より多くの熱量が必要となり、コスト増の原因となる。また、タブシーラント11のリード12端部への樹脂の充填性を考慮して、最内層14の膜厚は、リード12の厚さに合わせて設定することが好ましい。
最内層14の融解熱量が15mJ/mg以上ならば、タブシーラント11が、リード12や包装材3と熱融着する際に、最内層14の樹脂が融解しにくく、前記樹脂が流動しすぎることなくタブシーラント11の膜厚を確保できる。融解熱量が65mJ/mg以下ならば、タブシーラント11とリード12との熱融着の際に必要な樹脂の融解は生じるため、タブシーラント11とリード12との間に十分な密着性が得られる。また、タブシーラント11によるリード12端部の十分な充填性が得られる。
なお、最内層14の融解熱量が15mJ/mgより小さい場合では、タブシーラント11とリード12や包装材3とを熱融着する際に、最内層14の樹脂が融解しやすく、前記樹脂が流動しすぎて膜厚を確保できない恐れがある。また、最内層14の融解熱量が65mJ/mgを超える場合では、タブシーラント11とリード12との熱融着の際に、最内層14の樹脂が融解せず、タブシーラント11とリード12との間に十分な密着性が得られない。また、タブシーラント11によるリード12端部の十分な充填性が得られない。
また、最内層14の融点は、130以上145℃以下の範囲内であることが好ましい。最内層14の融点が130℃以上である場合、電池製造及び電池使用時の耐熱性が得られる。さらに、最内層14の融点が145℃以下である場合、最内層14と後述する最外層15および中間層群16との融点差が得られる。
最外層15は、タブシーラント11と包装材3のシーラント層36とを接着する層である。最外層15を構成する成分としては、タブシーラント11とシーラント層36との接着性が高い成分であることが好ましい。たとえば、最外層15を構成する成分としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂を酸変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂が挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂、酸変性ポリオレフィン系樹脂としては、最内層14において例示した化合物と同様のポリオレフィン系樹脂、酸変性ポリオレフィン系樹脂が挙げられる。タブシーラント11中の隣接する層、およびシーラント層36を構成する樹脂に合わせて最外層15の成分を選択することにより、最外層15とタブシーラント11中の隣接する層との密着性、および最外層15とシーラント層36との密着性を向上させることができる。
最外層15の膜厚は10μm以上300μm以下が好ましく、20μm以上250μm以下がより好ましい。
最外層15の膜厚が10μm以上ならば、タブシーラント11とリード12との熱融着時にリード端部への樹脂の充填が十分得られる。また、最外層15の膜厚が300μm以下ならば、タブシーラント11と包装材のシーラント層36との熱融着時に多くの熱量を必要とせず、コストを低く抑えられる。
なお、最外層15の膜厚が10μm未満である場合には、タブシーラント11とリード12との熱融着時にリード端部への樹脂の充填が不十分となる。また、最外層15の膜厚が300μmを超える場合には、タブシーラント11と包装材のシーラント層36との熱融着時により多くの熱量が必要となり、コスト増の原因となる。
また、タブシーラント11は、(最内層融点)<(最外層融点)<(最内層融点+10℃)の条件を満たすことがさらに好ましく、(最内層融点+5℃)<(最外層融点)<(最内層融点+10℃)の条件を満たすことが特に好ましい。
タブシーラント11が(最内層融点)<(最外層融点)の条件を満たす場合には、タブシーラント11とリード12との熱融着時に最内層14のみが融解し、最外層15は融解しない。また、タブシーラント11が(最外層融点)<(最内層融点+10℃)の条件を満たさず、最外層融点が(最内層融点+10℃)よりも高い場合には、タブシーラント11と包装材3との熱融着時に高い条件でヒートシールする必要がある。また、最外層融点が(最内層融点+10℃)よりも高い場合には、タブシーラント11全体で融点の差が大きくなり、タブシーラント11の成型(押出成型、インフレーション成型など)が困難になる。
JIS K 7122により測定した最外層15の融解熱量は、25mJ/mg以上80mJ/mg以下であることが好ましく、28mJ/mg以上70mJ/mg以下であることがより好ましい。
最外層15の融解熱量が25mJ/mg以上ならば、タブシーラント11がリード12および包装材3と熱融着される際に、最外層15の樹脂が融解しにくく、最外層15の樹脂が流動しすぎることなく、タブシーラント11の膜厚を確保できる。また、最外層15の融解熱量が、80mJ/mg以下ならば、タブシーラント11と包装材3との熱融着の際に必要な、最外層15の樹脂の融解は生じ、タブシーラント11と包装材3との間に十分な密着性が得られる。
なお、最外層15の融解熱量が25mJ/mgより小さい場合には、タブシーラント11とリード12または包装材3との熱融着の際に、最外層15の樹脂が融解しやすく、前記樹脂が流動しすぎてタブシーラント11の膜厚を確保できない恐れがある。また、最外層15の融解熱量が80mJ/mgを超える場合では、タブシーラント11と包装材3との熱融着の際に、最外層15の樹脂が融解せず、タブシーラント11と包装材3との間に十分な密着性が得られない可能性がある。
また、最外層15の融解熱量は最内層14の融解熱量と比較し、(最外層15の融解熱量)>(最内層14の融解熱量)の条件を満たすことが好ましく、最外層15と最内層14との融解熱量差が10mJ/mg以上であることがより好ましい。
最外層15の融解熱量が最内層14の融解熱量を超える場合には、タブシーラント11とリード12との熱融着時に、最外層15が過度に流動することなく、最外層15の形状が維持され、またタブシーラント11の膜厚を確保することができる。最内層14に密着させる、後述する金属製のリード12からの放熱を考慮する点でも融解熱量は上記の条件を満たしていることが好ましい。
なお、最外層15の融解熱量が最内層14の融解熱量以下である場合には、タブシーラント11とリード12との熱融着時に最外層15が過度に流動し、最外層15の形状が維持できず、またタブシーラント11の膜厚を確保することができない。最内層14に密着させる、後述する金属製のリード12からの放熱を考慮する点でも融解熱量は上記の条件を満たしていることが好ましい。
また、最外層の融点は、130℃以上155℃以下の範囲内であることが好ましい。最外層の融点が130℃以上である場合、電池製造及び電池使用時の耐熱性を付与することができる。また、最外層の融点が155℃以下である場合、最外層と後述する中間層との融点差が得られる。
リード12は、二次電池内部から電気を取り出す端子である。リード12の周縁部はタブシーラント11と密着しており、二次電池の内容物の漏れが防止されている。リード12の材質は、接続される二次電池内の集電体に合わせることが好ましい。例えば、リチウムイオン電池の場合では、正極の集電体にはアルミニウムが用いられているため、正極のリード12もアルミニウムを用いることが好ましい。また、リチウムイオン電池の場合、負極側の(負極に接続される)リード12は集電体に銅が用いられていること、および耐食性の観点から、リード12として、表面にニッケルめっきを施した銅、もしくはニッケルを用いたリードを用いることが好ましい。
正極側の(正極に接続される)リード12には、リード12の電解液への耐食性の観点から1N30などのアルミニウム純度が97%以上であるアルミニウムを用いることが好ましい。また、タブ1と包装材3との熱融着部は屈曲させる場合もあるため、柔軟性を持たせる目的から焼鈍により調質したO材のアルミニウムを用いることがより好ましい。
リード12の厚みは、電池のサイズ・容量によるが、携帯電子機器等に用いる小型用途の電池では50μm以上であり、蓄電・車載用途などの電池では、100μm以上500μm以下である。電池中のリード12における電気抵抗を低減させる目的で、より厚みが大きいリード12を用いてもよい。リード12の厚みに合わせ、適宜タブシーラント11の厚みを選択することが好ましい。
腐食防止処理層13は、二次電池に用いられる腐食成分によるリード12の腐食を防ぐ役割を持つ。例えば、リチウムイオン電池の場合では、腐食防止処理層13は、LiPF6、LiBF4などのリチウム塩、およびこれらリチウム塩と水との反応により生じるフッ酸によるリード12の腐食を防ぐ。腐食防止処理層13は、塗布型、又は浸漬型の耐酸性の腐食防止処理剤により形成された塗膜であることが好ましく、腐食防止処理層13が前記塗膜であれば、リード12の酸に対する腐食の防止効果が向上する。前記塗膜は、例えば、酸化セリウム、リン酸塩、および各種熱硬化性樹脂から調製される腐食防止処理剤によるセリアゾール処理、ならびにクロム酸塩、リン酸塩、フッ化物および各種熱硬化性樹脂から調製される腐食防止処理剤によるクロメート処理などにより形成できる。また、腐食防止処理層13は、リード12の耐食性が充分に得られる塗膜であれば、前記処理で形成した塗膜には限定されない。
例えば、リン酸塩処理、ベーマイト処理などにより腐食防止処理層13が形成されていてもよい。
以下、タブ1の製造方法について説明する。ただし、タブ1の製造方法は以下の方法に限定されない。
タブ1の製造方法としては、例えば、下記工程(1−1)および(1−2)を有する方法が挙げられる。
(1−1)タブシーラント11を成型する工程。
(1−2)タブシーラント11をリード12に熱融着させる工程。
タブシーラント11を押出成形によって作成する。成形方法としては、Tダイによる押出成型、インフレーション成型などが挙げられ、中でもインフレーション成型が好ましい。タブシーラント11の押出温度は180℃以上300℃以下であることが好ましい。
タブシーラント11の押出温度が180℃以上であれば、タブシーラント11に用いる樹脂が十分に融解し、安定してスクリューから前記樹脂を押し出すことができる。タブシーラント11の押出温度が300℃以下であれば、タブシーラント11に用いる樹脂の酸化などによるタブシーラント11の著しい劣化を抑えられる。
なお、タブシーラント11の押出温度が180℃よりも低い場合には、タブシーラント11に用いる樹脂の融解が不十分であり、タブシーラント11に用いる樹脂のスクリューからの押出が不安定となる。また、タブシーラント11の押出温度が300℃よりも大きい場合には、タブシーラント11に用いる樹脂の酸化などによる劣化が激しくなり品質が劣る。
スクリューの回転数、ブロー比、引取り速度はタブシーラント11の設定膜厚により適宜選択することが好ましい。また、最内層14および最外層15の膜厚比は、スクリューの回転数により変化させることができる。
加熱によりタブシーラント11の最内層14を融解させると共に、タブシーラント11およびリード12に加圧を行い、タブシーラント11とリード12とを密着させる。タブシーラント11とリード12との熱融着を行う際には、タブシーラント11の膜厚を確保するために最内層14のみを融解させ、最外層15は融解させず形状を維持させる必要がある。最内層14の融解熱量が最外層15の融解熱量よりも小さければ、適宜、タブシーラント11の加熱温度および加熱時間を設定することによって、最外層15の形状を保持しつつ、最内層14とリード12との間の十分な密着性を得ることができる。最内層14と最外層15との融解熱量差が大きいほど、タブシーラント11の加熱温度を大きくし加熱時間を短くできるなど生産性が向上する。
本実施形態に係る包装材3は、基材層31、接着層32、金属箔層33、腐食防止処理層34、接着樹脂層35、およびシーラント層36が順に積層された積層体である。
シーラント層36に適用可能なポリオレフィン系樹脂としては、最内層14において例示した化合物と同様のポリオレフィン系樹脂が挙げられ、ポリプロピレンが特に好ましい。シーラント層36は、前記した各種樹脂が混合されたフィルムにより形成してもよい。またシーラント層36は、単層フィルムであってもよく、多層フィルムであってもよい。
また、包装材のシーラント層の融点とタブシーラントに用いる樹脂フィルムの融点との関係において、(最外層の融点)<(包装材のシーラント層の融点)<(最外層の融点+15℃)の条件を満たすことが好ましい。
(最外層の融点)<(包装材のシーラント層の融点)の条件を満たす場合、リード(金属製のリード)から放熱があっても、タブと包装材との密着性が得られる。
(包装材のシーラント層の融点)<(最外層の融点+15℃)の条件を満たさない場合、熱溶着時に、タブシーラントが過度に融解するおそれがある。
熱融着によって、タブ1と包装材3とを接着させる。タブ1と包装材3との熱融着には、包装材3どうしの熱融着に比べ、より多くの熱量が必要である。タブ1と包装材3とを接着する際の加熱温度としては、タブ1と包装材3とを密着させる目的から、最外層15およびシーラント層36の融点以上である必要があり、かつタブシーラント11の膜厚確保の観点から、最内層14および最外層15が流動し過ぎない加熱温度および加熱時間であることが好ましい。
なお、タブ1の製造方法およびタブ1と包装材3との接着方法は前記工程を順に実施する方法に限定されない。
[第2実施形態]
図3は、本実施形態に係る樹脂フィルムの模式的な断面図である。
図3に示すように、本実施形態に係る樹脂フィルム21(以下、「タブシーラント21」という。)は、3層構造を有している点で上記第1実施形態と異なっている。すなわち、本実施形態に係るタブシーラント21は、最内層14と最外層15との間に、中間層群16を有する。
最内層14を構成する成分、膜厚、および融点は第1実施形態と同じであり、上記第1実施形態と同様に選択することが好ましい。
(最外層15)
最外層15を構成する成分、膜厚、および融点は第1実施形態と同じであり、上記第1実施形態と同様に選択することが好ましい。
JIS K 7122により測定した最外層15の融解熱量は25mJ/mg以上80mJ/mg以下であることが好ましく、28mJ/mg以上70mJ/mg以下であることがより好ましい。
最外層15の融解熱量が25mJ/mg以上ならば、タブシーラント21とリード12または包装材3との熱融着の際に、最外層15の樹脂が融解しすぎることなく、前記樹脂が流動しすぎることなく、タブシーラント21の膜厚を確保できる。また、最外層15の融解熱量が80mJ/mg以下であれば、タブシーラント21と包装材3との熱融着の際に必要な最外層15の樹脂の融解は生じ、タブシーラント21と包装材3との間の十分な密着性が得られる。
なお、最外層15の融解熱量が25mJ/mgより小さい場合では、タブシーラント21とリード12または包装材3との熱融着の際に、最外層15の樹脂が融解しやすく、前記樹脂が流動しすぎて膜厚を確保できない恐れがある。また、最外層15の融解熱量が80mJ/mgを超える場合では、タブシーラント21と包装材3との熱融着の際に、最外層15の樹脂が融解せず、タブシーラント21と包装材3との間に十分な密着性が得られない可能性がある。
最外層15の融解熱量が最内層14の融解熱量以上である場合には、タブシーラント21とリード12との熱融着時に、最外層15が過度に流動することなく、最外層15の形状が維持される。また、タブシーラント21の膜厚を確保することができる。
最外層15の成分は最内層14と同じ成分にすることによって、タブシーラント21の製膜を簡易化させることができる。ただしこの場合、最内層14と最外層15との融解熱量は同じになるため、最外層15の形状を変化させずに最内層14のみを融解させるように低い加熱温度で長時間加熱することが必要である。
また、上記第1実施形態と同様に、タブシーラント21は、(最内層融点)<(最外層融点)<(最内層融点+10℃)の条件を満たすことがさらに好ましく、(最内層融点+5℃)<(最外層融点)<(最内層融点+10℃)の条件を満たすことが特に好ましい。
中間層群16は、最内層14および最外層15の間に配置される層群であり、1層または2層以上の積層体から形成される。中間層群16を構成する成分としては、中間層群16と最内層14および最外層15との密着性向上の目的から、ポリオレフィン系樹脂、およびポリオレフィン系樹脂を酸変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂が挙げられる。また、タブシーラント21をリード12に熱融着した際のタブシーラント21の膜厚確保を目的に、中間層群16は、ポリエステルフィルムなどの層を、接着剤を介して含んでいてもよい。ポリオレフィン系樹脂、および酸変性ポリオレフィン系樹脂としては、最内層14において例示したのと同様のポリオレフィン系樹脂、および酸変性ポリオレフィン系樹脂が挙げられる。
中間層群16の膜厚が10μm以上であればタブの絶縁性を確保でき、中間層群16の膜厚が200μm以下ならばコストを抑えられる。
なお、中間層群16の膜厚が10μm未満である場合には、タブの絶縁性が確保できず、中間層群16の膜厚が200μmを超える場合はコスト増の原因となる。
中間層群16のいずれの層も融解熱量が45mJ/mg以上であれば、タブシーラント21とリード12または包装材3との熱融着の際に、中間層群16の樹脂が過剰に融解することがなく、前記樹脂が流動しすぎず、タブシーラント21の膜厚を確保できる。
なお、中間層群16のいずれの層も融解熱量が45mJ/mgより小さい場合には、タブシーラント21とリード12または包装材3との熱融着の際に、中間層群16の樹脂が融解しやすく、前記樹脂が流動しすぎて、タブシーラント21の膜厚を確保できない恐れがある。一方、中間層群16の融解熱量の上限値は特に限定されず、他の性能に影響を与えない範囲であればよい。
JIS K 7122により測定した中間層群16のうち少なくとも一層の融解熱量は160mJ/mg以下であることが好ましい。
中間層群16のいずれの層も融解熱量が160mJ/mgより大きい場合には、成形加工時に樹脂を溶解するための熱量が大きすぎ、成形加工に適さない。
タブシーラント21は、(最外層融点+15℃)<(中間層融点)<(最外層融点+25℃)の条件を満たすことが好ましい。
(最外層融点+15℃)<(中間層融点)の条件を満たさない場合、熱融着時に中間層が融解する恐れがあり、絶縁性を確保できない。
(中間層融点)<(最外層融点+25℃)の条件を満たさない場合、タブシーラント全体で融点の差が大きくなり、成型(押出成型、インフレーション成型)できなくなる。
また、中間層群16の融点は、150℃以上170℃以下の範囲内であることが好ましい。中間層群16の融点が150℃以上である場合、中間層群16と最内層14および最外層15とは融点差が得られる。また、ポリオレフィン系樹脂の知られている融点の限界温度が170℃程度であるため、中間層群16の融点が170℃以下になるように設定することが好ましい。
また、後述する三層構成のタブシーラントにおいては、包装材のシーラント層の融点とタブシーラントに用いる樹脂フィルムの融点との関係において、(包装材のシーラント層の融点+5℃)<(中間層の融点)<(包装材のシーラント層の融点+20℃)の条件を満たすことが好ましい。
(包装材のシーラント層の融点+5℃)<(中間層の融点)の条件を満たす場合、タブと包装材との熱融着時に中間層が融解せずに、絶縁性が保たれる。
(中間層の融点)<(包装材のシーラント層の融点+20℃)の条件を満たさない場合、タブシーラント全体で融点の差が大きくなり、成型(押出成型、インフレーション成型)できなくなる。
以下、タブ2の製造方法について説明する。ただし、タブ2の製造方法は以下の方法に限定されない。
タブ2の製造方法としては、例えば、下記工程(2−1)および(2−2)を有する方法が挙げられる。
(2−1)タブシーラント21を製造する工程。
(2−2)タブシーラント21をリード12に熱融着させる工程。
タブシーラント21がポリオレフィン系樹脂、またはポリオレフィン系樹脂を酸変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂を主成分とした樹脂である場合は、タブシーラント21を押出成形によって作成する。成形方法としては、Tダイによる押出成型、インフレーション成型などが挙げられ、中でもインフレーション成型が好ましい。タブシーラント21の押出温度は180℃以上300℃以下であることが好ましい。タブシーラント21の押出温度が180℃よりも低い場合では、樹脂の融解が不十分であり、スクリューからの押出が不安定となる。また、タブシーラント21の押出温度が300℃よりも大きい場合には、タブシーラント21の樹脂の酸化などによる劣化が激しくなり、得られるタブシーラント21の品質が劣る。スクリューの回転数、ブロー比、引取り速度はタブシーラント21の設定される膜厚により適宜選択することが好ましい。また、最内層14および最外層15の膜厚比は、スクリューの回転数により変化させることができる。
タブシーラント21に、ポリエステルフィルムなどの層を、接着剤を介して含んでいる場合には、接着剤を用いてドライラミネーションなどの手法でポリエステルフィルムなどの層を貼り合わせて、タブシーラント21を作成する。ポリエステルフィルムなどの層を貼り合わせて、タブシーラント21を作成する方法としては、ドライラミネーション、ノンソルベントラミネーション、ウェットラミネーション等の手法が挙げられる。タブシーラント21の接着性の促進のため、室温〜100℃の範囲でタブシーラント21にエージング(養生)処理を行ってもよい。
タブシーラント21を加熱することにより最内層14を融解させると共に、タブシーラント21に加圧を行い、タブシーラント21とリード12とを密着させる。タブシーラント21とリード12との熱融着を行う際には、タブシーラント21の膜厚を確保するために、最内層14のみを融解させ、最外層15は融解させず形状を維持させる必要がある。最内層14の融解熱量が最外層15の融解熱量よりも小さければ、適宜タブシーラント21の加熱温度および加熱時間を設定することによって、最外層15の形状を保持しつつ、最内層14とリード12との間に十分な密着性を得ることができる。
最内層14と最外層15との間の融解熱量差が大きいほど、タブシーラント21の加熱温度を大きくし、タブシーラント21の加熱時間を短くできるなど、タブ2の生産性が向上する。
熱融着によって、タブ2と包装材3とを接着させる。タブ2と包装材3との熱融着には、包装材3どうしを熱融着する場合に比べ、より多くの熱量が必要である。タブ2と包装材3との加熱温度としては、タブ2と包装材3とを密着させる目的から、最外層15およびシーラント層36の融点以上の温度で加熱する必要がある。また、タブシーラント21の膜厚確保の観点から、タブシーラント21の樹脂が流動し過ぎない加熱温度および加熱時間であることが好ましい。中間層群16の融解熱量が、最外層15の融解熱量およびシーラント層36の融解熱量に比べ高い場合には、最外層15およびシーラント層36が融解し、かつ中間層群のうち少なくとも一層が融解しない条件でタブ2を加熱することによって、タブシーラント21の膜厚を確保しつつ、タブ2と包装材3との密着性を得ることができる。
なお、タブ2の製造方法およびタブ2と包装材3との接着方法は前記工程を順に実施する方法に限定されない。
[使用材料]
本実施例に使用した材料を以下に示す。
最内層A−1:無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂。(厚さ50μm、融解熱量10mJ/mg)
最内層A−2:無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂。(厚さ50μm、融解熱量15mJ/mg)
最内層A−3:無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂。(厚さ50μm、融解熱量30mJ/mg)
最内層A−4:無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂。(厚さ50μm、融解熱量70mJ/mg)
最内層A−5:無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂。(厚さ30μm、融解熱量10mJ/mg)
最内層A−6:無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂。(厚さ30μm、融解熱量15mJ/mg)
最内層A−7:無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂。(厚さ30μm、融解熱量30mJ/mg)
最内層A−8:無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂。(厚さ30μm、融解熱量70mJ/mg)
最外層B−1:ポリプロピレン系樹脂。(厚さ50μm、融解熱量20mJ/mg)
最外層B−2:ポリプロピレン系樹脂。(厚さ50μm、融解熱量40mJ/mg)
最外層B−3:ポリプロピレン系樹脂。(厚さ50μm、融解熱量75mJ/mg)
最外層B−4:ポリプロピレン系樹脂。(厚さ50μm、融解熱量85mJ/mg)
最外層B−5:ポリプロピレン系樹脂。(厚さ30μm、融解熱量20mJ/mg)
最外層B−6:ポリプロピレン系樹脂。(厚さ30μm、融解熱量35mJ/mg)
最外層B−7:ポリプロピレン系樹脂。(厚さ30μm、融解熱量40mJ/mg)
最外層B−8:ポリプロピレン系樹脂。(厚さ30μm、融解熱量75mJ/mg)
最外層B−9:ポリプロピレン系樹脂。(厚さ30μm、融解熱量85mJ/mg)
中間層群C−1:ポリプロピレン系樹脂。(厚さ40μm、一層の融解熱量40mJ/mg)
中間層群C−2:ポリプロピレン系樹脂。(厚さ40μm、一層の融解熱量60mJ/mg)
中間層群C−3:ポリプロピレン系樹脂。(厚さ40μm、一層の融解熱量95mJ/mg)
リードD−1:正極側アルミニウム製金属端子。(厚さ100μm、幅5mm、長さ50mm)
リードD−2:負極側ニッケル製金属端子。(厚さ100μm、幅5mm、長さ50mm)
本実施例における腐食防止処理層13は、塗布型セリアゾール処理用の下記の処理剤から形成される。
処理剤E−1:処理剤E−1は、酸化セリウム、リン酸、およびアクリル系樹脂を主体とした塗布型セリアゾール処理用の処理剤である。
包装材F−1:包装材F−1は、基材層31(ポリアミドフィルム25μm)、接着層32(ウレタン樹脂系接着剤)、金属箔層33(アルミニウム箔40μm)、腐食防止処理層34(塗布型セリアゾール処理用の処理剤)、接着樹脂層35(無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂20μm)、およびシーラント層36(ポリプロピレンフィルム40μm、融解熱量37mJ/mg)が順に積層された積層体である。
包装材F−2:包装材F−2は、基材層31(ポリアミドフィルム25μm)、接着層32(ウレタン樹脂系接着剤)、金属箔層33(アルミニウム箔40μm)、腐食防止処理層34(塗布型セリアゾール処理用の処理剤)、接着樹脂層35(無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂20μm)、およびシーラント層36(ポリプロピレンフィルム40μm、融解熱量45mJ/mg)が順に積層された積層体である。
包装材F−3:包装材F−3は、基材層31(ポリアミドフィルム25μm)、接着層32(ウレタン樹脂系接着剤)、金属箔層33(アルミニウム箔40μm)、腐食防止処理層34(塗布型セリアゾール処理用の処理剤)、接着樹脂層35(無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂20μm)、およびシーラント層36(ポリプロピレンフィルム40μm、融解熱量90mJ/mg)が順に積層された積層体である。
リードD−1の両面に処理剤E−1を塗布し、乾燥して、腐食防止処理層13を形成した。次に、リードD−1を両面からシーラントで挟み、融着温度150℃および融着時間10秒の条件で加熱融着することにより正極タブを作成した。また、リードD−1と同様の工程により、リードD−2を用いて負極タブを作成した。
包装材F−1、またはF−2を長辺90mm、短辺50mmに切り出した。前記切り出した包装材の長辺を等分するように、前記切り出した包装材を折り返し、前記折り返した包装材の45mmとなった辺に、前記方法で作成した正極タブおよび負極タブの両方を挟んだ。そして、融着温度190℃および融着時間3秒の条件で前記折り返した包装材の前記辺(45mmとなった辺)に正極タブおよび負極タブを加熱融着することにより、包装材に正極タブおよび負極タブを接着させた。次に、前記正極タブおよび負極タブが接着された包装材の50mm辺を、融着温度190℃および融着時間3秒の条件で加熱融着することにより接着させ、3辺が閉じられた袋状構造を有するタブ付包装材を得た。そして、前記袋状構造のタブ付包装材の内部に電解液(エチレンカーボネート/ジメチルカーボネート/ジエチルカーボネート=1/1/1(質量比)に対しLiPF6(六フッ化リン酸リチウム)を1.5mol/Lになるように調整して溶解させた溶液)を2ml加えた。その後、前記電解液を加えた袋状構造のタブ付包装材の残り一辺を、融着温度190℃および融着時間3秒の条件で加熱融着することにより、評価用電池サンプルを作成した。
各例で得られたタブのタブシーラントの最外層を、リードとタブシーラントとの熱融着によって形状に変化が現れたか、目視で観察した。
評価は、以下の基準に従って行った。
「○(優)」:熱融着による最外層の形状変化が認められない。
「×(不良)」:熱融着による最外層の形状変化が認められる。
各例で得られた評価用電池サンプルのタブと包装材との密着性を評価するために、タブシーラントとリード12との剥離強度を引っ張り試験機により測定した。
評価は、以下の基準に従って行った。
評価の基準とする剥離強度(基準剥離強度)は、実施例1における密着性の試験結果により得られた剥離強度を用いた。下記表1において、実施例1の密着性の欄における「―」は、基準剥離強度そのものであることを示している。
「○(優)」:基準剥離強度と比較して剥離強度の低下が10%未満であった。または、基準剥離強度と比較して剥離強度が向上した。
「△(良)」:基準剥離強度と比較して剥離強度の低下が10%以上20%未満であった。
「×(不良)」:基準剥離強度と比較して剥離強度が20%以上低下であった。
各例で作成した評価用電池サンプルの正極リードおよび負極リードと、包装材の金属箔層との間の短絡の有無を、テスターにより確認した。
評価は、以下の基準に従って行った。
「○(優)」:検体100個中、短絡した検体が0個であった。
「△(良)」:検体100個中、短絡した検体が1個以上5個未満であった。
「×(不良)」:検体100個中、短絡した検体が5個以上であった。
各例で作成したタブに高浸透性染色液(株式会社タイホーコーザイ製、ミクロチェック)にて染色を行い、充填性を評価した。
評価は、以下の基準に従って行った。
「○(優)」:検体50個中、リード端部に高浸透性染色液が浸透し染色された検体が0個であった。
「△(良)」:検体50個中、リード端部に高浸透性染色液が浸透し染色された検体が1個以上3個未満であった。
「×(不良)」:検体50個中、リード端部に高浸透性染色液が浸透し染色された検体が3個以上であった。
前記作成方法により、表1に示す構成のタブおよび評価用電池サンプルを作成した。形状、密着性、絶縁性、および充填性の評価結果を併せて表1に示す。
タブシーラントと包装材との密着性に関して、実施例1と最外層の融解熱量が85mJ/mgである実施例5とを比較すると、最外層の融解熱量が40mJ/mgである実施例1の方がよりよい結果となった。
絶縁性に関して、実施例1と最内層の融解熱量が10mJ/mgである実施例2および最外層の融解熱量が20mJ/mgである実施例4とを比較すると、最内層の融解熱量が30mJ/mgであり、最外層の融解熱量が40mJ/mgである実施例1の方がより好ましい結果となった。
充填性に関して、実施例1と最内層の融解熱量が70mJ/mgである実施例3とを比較すると、最内層の融解熱量が30mJ/mgである実施例1の方が、充填性がよりよい結果となった。
また、(最外層の融解熱量)>(シーラント層の融解熱量)である比較例2では、タブシーラントと包装材との密着性が十分でなかった。
次に、前記作成方法により、表2に示す構成のタブおよび評価用電池サンプルを作成した。形状、密着性、絶縁性、および充填性の評価結果を併せて表2に示す。
なお、表2に示す構成のタブおよび評価用電池サンプルの密着性の項においては、評価の基準とする剥離強度(基準剥離強度)は、実施例6における密着性の試験結果により得られた剥離強度を用いた。下記表2において、実施例6の密着性の欄における「―」は、基準剥離強度そのものであることを示している。
タブシーラントと包装材との密着性に関して、実施例6と最外層の融解熱量が85mJ/mgである実施例10とを比較すると、最外層の融解熱量が40mJ/mgである実施例6の方がよりよい結果となった。
絶縁性に関して、実施例6と、最内層の融解熱量が10mJ/mgである実施例7、最外層の融解熱量が20mJ/mgである実施例9、および中間層群の融解熱量が40mJ/mgである実施例11とを比較すると、最内層の融解熱量が30mJ/mg、最外層の融解熱量が40mJ/mg、および中間層群の融解熱量が60mJ/mgである実施例6の方がより好ましい結果となった。
充填性に関して、実施例6と、最内層の融解熱量が70mJ/mgである実施例8とを比較すると、最内層の融解熱量が30mJ/mgである実施例6の方が、充填性がよりよい結果となった。
また、(最外層の融解熱量)>(シーラント層の融解熱量)である比較例4では、タブシーラントと包装材との密着性が十分でなかった。(シーラント層の融解熱量)>(中間層群の融解熱量)である比較例5では、絶縁性が不十分であった。
[使用材料]
(最内層14)
最内層A−9:無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂。(厚さ30μm、融解熱量19mJ/mg、融点137℃)
最内層A−10:無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂。(厚さ30μm、融解熱量26mJ/mg、融点140℃)
最内層A−11:無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂。(厚さ30μm、融解熱量30mJ/mg、融点143℃)
最内層A−12:無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂。(厚さ30μm、融解熱量62mJ/mg、融点159℃)
(最外層15)
最外層B−10:ポリプロピレン系樹脂。(厚さ30μm、融解熱量26mJ/mg、融点140℃)
最外層B−11:ポリプロピレン系樹脂。(厚さ30μm、融解熱量30mJ/mg、融点143℃)
最外層B−12:ポリプロピレン系樹脂。(厚さ30μm、融解熱量62mJ/mg、融点159℃)
最外層B−13:ポリプロピレン系樹脂。(厚さ30μm、融解熱量75mJ/mg、融点161℃)
(中間層群16)
中間層群C−4:ポリプロピレン系樹脂。(厚さ40μm、一層の融解熱量19mJ/mg、融点137℃)
中間層群C−5:ポリプロピレン系樹脂。(厚さ40μm、一層の融解熱量62mJ/mg、融点159℃)
中間層群C−6:ポリプロピレン系樹脂。(厚さ40μm、一層の融解熱量75mJ/mg、融点161℃)
(包装材3)
包装材F−4:包装材F−4は、基材層31(ポリアミドフィルム25μm)、接着層32(ウレタン樹脂系接着剤)、金属箔層33(アルミニウム箔40μm)、腐食防止処理層34(塗布型セリアゾール処理用の処理剤)、接着樹脂層35(無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂20μm)、およびシーラント層36(ポリプロピレンフィルム40μm、融解熱量45mJ/mg、融点152℃)が順に積層された積層体である。
包装材F−5:包装材F−5は、基材層31(ポリアミドフィルム25μm)、接着層32(ウレタン樹脂系接着剤)、金属箔層33(アルミニウム箔40μm)、腐食防止処理層34(塗布型セリアゾール処理用の処理剤)、接着樹脂層35(無水マレイン酸変性ポリプロピレン系樹脂20μm)、およびシーラント層36(ポリプロピレンフィルム40μm、融解熱量75mJ/mg、融点161℃)が順に積層された積層体である。
なお、リード12および腐食防止処理層13の形成に用いる処理剤については、実施例1〜11および比較例1〜5に用いたリードD−1およびリードD−2、ならびに処理剤E−1を用いた。上記[タブの作成]の方法に従い、正極タブおよび負極タブを作成した。
上記[評価用電池サンプルの作成]の項に記載された作成方法と同様に、上記材料を用いて、表3〜5に示す構成のタブおよび評価用電池サンプルを作成した。
さらに、上記[熱融着時のタブシーラントの形状の評価方法]を以下のような評価方法に変更して、評価用電池サンプルの評価を行った。
[熱融着時のタブシーラントの形状の評価方法]
各例で得られたタブのタブシーラントの最外層を、リードとタブシーラントとの熱融着によって形状に変化が現れたか、目視で観察した。 評価は、以下の基準に従って行った。
「○(優)」:検体20個中、熱融着による最外層の形状変化が認められる検体が0個である。
「△(良)」:検体20個中、熱融着による最外層の形状変化が認められる検体が1個以上3個未満である。
「×(不良)」:検体20個中、熱融着による最外層の形状変化が認められる検体が3個以上である。
なお、以下に示す実施例および比較例において、[タブシーラントと包装材との密着性の評価]、[リードと包装材との絶縁性の評価]、および[リード端部充填性の評価]については上述した評価方法と同じ基準により評価を行った。
形状、密着性、絶縁性、および充填性の評価結果を併せて表3に示す。
表3に示す構成のタブおよび評価用電池サンプルの密着性の項においては、評価の基準とする剥離強度(基準剥離強度)は、実施例12における密着性の試験結果により得られた剥離強度を用いた。下記表3において、実施例12の密着性の欄における「―」は、基準剥離強度そのものであることを示している。
実施例13の充填性について、最内層が融解し難いため、結果は「良」であった。実施例13においては、最外層がより融解し難いため、熱融着時の温度を上げ、熱融着の時間を長くすることにより、充填性を向上させることが可能であった。
実施例13の形状評価および絶縁性については、実施例12と同様に優れた結果が得られた。
実施例14の絶縁性について、形状評価と同様に、実施例12よりも最外層が融解しやすいため、最外層が流動しやすい傾向にあった。
実施例14の密着性および充填性については、実施例12と同様に優れた結果が得られた。
比較例6の絶縁性について、最内層および最外層が融解してしまうため、タブシーラントは膜厚を確保できず、絶縁性が得られなかった。
また、比較例7においては、最内層と最外層とで同様の特性を有する樹脂を用いているので、最内層と最外層との両層共に融解してしまった。
比較例8の充填性について、比較例8は、最内層が融解しにくく、リード周りをタブシーラントの樹脂で充填することができなかった。
なお、実施例13も比較例8と同じ最内層を用いているが、実施例13においては、最外層がより融解し難いため、熱融着温度を上げ、熱融着の時間を長くすることができ、リード周りをタブシーラントの樹脂で充填させることができた。
なお、実施例13では、最内層と最外層との融点差が比較例9と比べて小さいので、熱融着の温度を上げて、熱融着の時間を長くしても最内層が過度に融解しなかった。
(最内層融点)<(最外層融点)の条件を満たす場合、タブシーラントとリードとの熱融着時に、最内層のみが融解し、最外層は融解しない。
(最外層融点)<(最内層融点+10℃)の条件を満たさない場合には、高い熱溶着温度と長い熱溶着時間の条件で、タブと包装材とを熱融着する必要がある。
また、(最外層融点)<(最内層融点+10℃)の条件を満たさない場合には、タブシーラント全体で融点の差が大きくなり、成型(押出成型、インフレーション成型)できなくなる。
また、上記の結果より、包装材のシーラント層の融点とタブシーラントに用いる樹脂フィルムの融点との関係において、(最外層の融点)<(包装材のシーラント層の融点)<(最外層の融点+15℃)の条件を満たすことが好ましいことが分かった。
(最外層の融点)<(包装材のシーラント層の融点)の条件を満たす場合、リード(金属製のリード)から放熱があっても、タブと包装材との密着性が得られる。
(包装材のシーラント層の融点)<(最外層の融点+15℃)の条件を満たさない場合、熱溶着時に、タブシーラントが過度に融解するおそれがある。
次に、実施例12〜14および比較例6〜9の項と同様の作成方法により、表4に示す構成のタブおよび評価用電池サンプルを作成した。表4の構成におけるタブおよび評価用電池サンプルの形状、密着性、絶縁性、および充填性の評価結果を表5に示す。
なお、表4および表5に示す構成のタブおよび評価用電池サンプルの密着性の項においては、評価の基準とする剥離強度(基準剥離強度)は、実施例15における密着性の試験結果により得られた剥離強度を用いた。下記表5において、実施例15の密着性の欄における「―」は、基準剥離強度そのものであることを示している。
実施例16の絶縁性について、最内層、最外層は融解しやすかったが、中間層が融解せずに、タブシーラントの膜厚が保てたので優れた結果が得られた。
実施例16の密着性および充填性についても、実施例15と同様に優れた結果が得られた。
実施例17の形状評価、密着性、および充填性については、実施例15と同様に優れた結果が得られた。
比較例11のように最内層と最外層とで同様の特性を有する樹脂を用いた場合には、最内層と最外層との両層が共に融解してしまった。
比較例12の充填性について、比較例12は、最内層が融解しにくく、リード周りをタブシーラントの樹脂で充填することができなかった。
比較例14の絶縁性については、中間層が最内層および最外層よりも融解しやすく、タブシーラントが膜厚を確保できずに絶縁性が低下してしまった。
(最内層融点)<(最外層融点)の条件を満たす場合、タブシーラントとリードとの熱融着時に、最内層のみが融解し、最外層は融解しない。
(最外層融点)<(最内層融点+10℃)の条件を満たさない場合には、高い熱溶着温度と長い熱溶着時間の条件で、タブと包装材とを熱融着する必要がある。
また、(最外層融点)<(最内層融点+10℃)の条件を満たさない場合には、タブシーラント全体で融点の差が大きくなり、成型(押出成型、インフレーション成型)できなくなる。
(最外層融点+15℃)<(中間層融点)の条件を満たさない場合、熱融着時に中間層が融解する恐れがあり、絶縁性を確保できない。
(中間層融点)<(最外層融点+25℃)の条件を満たさない場合、タブシーラント全体で融点の差が大きくなり、成型(押出成型、インフレーション成型)できなくなる。
(最外層の融点)<(包装材のシーラント層の融点)の条件を満たす場合、リード(金属製のリード)から放熱があっても、タブと包装材との密着性が得られる。
(包装材のシーラント層の融点)<(最外層の融点+15℃)の条件を満たさない場合、熱溶着時に、タブシーラントが過度に融解するおそれがある。
(包装材のシーラント層の融点+5℃)<(中間層の融点)の条件を満たす場合、タブと包装材との熱融着時に中間層が融解せずに、絶縁性が保たれる。
(中間層の融点)<(包装材のシーラント層の融点+20℃)の条件を満たさない場合、タブシーラント全体で融点の差が大きくなり、成型(押出成型、インフレーション成型)できなくなる。
Claims (13)
- ポリオレフィン系樹脂から形成されるシーラント層を有する二次電池用包装材における前記シーラント層と電池内部の正極及び負極に各々接続されるリードとの間に配置させる樹脂フィルムであって、
前記リードに近い位置に配置された第一層と、
前記シーラント層に近い位置に配置された第二層と、
を有し、
JIS K 7122により測定した前記第二層の融解熱量が、JIS K 7122により測定した前記第一層の融解熱量よりも大きい
樹脂フィルム。 - ポリオレフィン系樹脂から形成されるシーラント層を有する二次電池用包装材における前記シーラント層と電池内部の正極及び負極に各々接続されるリードとの間に配置させる樹脂フィルムであって、
前記リードに近い位置に配置された第一層と、
前記シーラント層に近い位置に配置された第二層と、
前記第一層と前記第二層との間に配置される中間層と、
を有し、
JIS K 7122により測定した前記第二層の融解熱量が、JIS K 7122により測定した前記第一層の融解熱量以上であり、
JIS K 7122により測定した前記中間層の融解熱量が、JIS K 7122により測定した前記第二層の融解熱量以上である
樹脂フィルム。 - 請求項2に記載の樹脂フィルムであって、
前記中間層は、JIS K 7122により測定した融解熱量が45mJ/mg以上である少なくとも1つの層を有する
樹脂フィルム。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の樹脂フィルムであって、
JIS K 7122により測定した前記第一層の融解熱量は15mJ/mg以上65mJ/mg以下である
樹脂フィルム。 - 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の樹脂フィルムであって、
JIS K 7122により測定した前記第二層の融解熱量は25mJ/mg以上80mJ/mg以下である
樹脂フィルム。 - 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の樹脂フィルムであって、
JIS K 7122により測定した前記第二層の融解熱量はJIS K 7122により測定した前記シーラント層の融解熱量未満である
樹脂フィルム。 - 請求項2または請求項3に記載の樹脂フィルムであって、
前記中間層は、複数の層を有する積層体であり、
前記中間層における前記複数の層のうちJIS K 7122により測定した融解熱量が最も小さい層における前記融解熱量がJIS K 7122により測定した前記シーラント層の融解熱量より大きい
樹脂フィルム。 - 請求項2、3、および7のいずれか一項に記載の樹脂フィルムであって、前記中間層の融点および前記第二層の融点が以下の条件、
(第二層の融点+15℃)<(中間層の融点)<(第二層の融点+25℃)
を満たす樹脂フィルム。 - 請求項1から8のいずれか一項に記載の樹脂フィルムであって、前記第一層の融点および前記第二層の融点が以下の条件、
(第一層の融点)<(第二層の融点)<(第一層の融点+10℃)
を満たす樹脂フィルム。 - 請求項2、3、7、および8のいずれか一項に記載の樹脂フィルムであって、前記中間層の融点および前記包装材の前記シーラント層の融点が以下の条件、
(包装材のシーラント層の融点+5℃)<(中間層の融点)<(包装材のシーラント層の融点+20℃)
を満たす樹脂フィルム。 - 請求項1から10のいずれか一項に記載の樹脂フィルムであって、前記包装材の前記シーラント層の融点および前記第二層の融点が以下の条件、
(第二層の融点)<(包装材のシーラント層の融点)<(第二層の融点+15℃)
を満たす樹脂フィルム。 - 請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の樹脂フィルムを備えた二次電池用金属端子部材。
- 請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の樹脂フィルムを備えた二次電池。
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