JP2003002870A - 不飽和ニトリル製造時における青酸の併産方法 - Google Patents

不飽和ニトリル製造時における青酸の併産方法

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JP2003002870A JP2001187699A JP2001187699A JP2003002870A JP 2003002870 A JP2003002870 A JP 2003002870A JP 2001187699 A JP2001187699 A JP 2001187699A JP 2001187699 A JP2001187699 A JP 2001187699A JP 2003002870 A JP2003002870 A JP 2003002870A
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methanol
oxygen
propylene
reaction
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JP2001187699A
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Kazuhiko Sano
和彦 佐野
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アンモ酸化反応によって不飽和ニトリルを製
造する際に、副生する青酸をメタノール等アンモ酸化反
応によって青酸を生成する物質を加えることにより増産
する方法において、反応成績の低下を抑制し、かつ反応
器以降の製造工程に影響を与えることなく長期間安定に
運転すること。 【解決手段】 プロピレン、イソブチレン及び第三級ブ
チルアルコールから選ばれる少なくとも1つの物質、ア
ンモニア及び酸素含有ガスを金属酸化物触媒の存在下、
流動層反応器においてアンモ酸化反応によって、不飽和
ニトリルを製造かつ、該反応器内にメタノール及びホル
ムアルデヒドの少なくとも1種を共存させて青酸を同時
に製造する方法において、特定の金属酸化物触媒を使用
し、且つ該反応器の出口ガス中の酸素濃度を0.3容量
%から1.5容量%に制御することを特徴とする不飽和
ニトリル製造時における青酸の併産方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プロピレン、イソ
ブチレン及び第三級ブチルアルコールをアンモ酸化反応
によって、不飽和ニトリルを製造する際に副生する青酸
を増産する方法に関するものである。さらに詳しくは、
流動層でアンモニア、酸素含有ガス及びプロピレン、イ
ソブチレン、第3級ブチルアルコールから選ばれる少な
くとも1つの物質を気相反応させてアクリロニトリルや
メタクリロニトリルを製造する際に副生する青酸を、反
応器にメタノール、ホルムアルデヒドを添加することに
より、増産する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】気相接触反応によってアンモニア、酸素
含有ガスとプロピレン、イソブチレンまたは第三級アル
コールを反応させてアクリロニトリルやメタクリロニト
リルを製造する方法は、古くから工業的に実施されてい
る。これら不飽和ニトリル製造時に副生する青酸は、天
然ガス等から合成する青酸より安価なため、不飽和ニト
リル製造施設近くには、安価な青酸を原料としたメタク
リル酸メチルや青化ソーダ等の製造施設が存在する。近
年、不飽和ニトリルの反応収率の向上を目的として、触
媒開発や反応器内部装置改良の研究が行われてきた。こ
の結果、不飽和ニトリル収率の向上がなされたが、副生
する青酸の収率が低下する傾向にあり、青酸を利用する
製造施設の稼働に影響を及ぼすことが問題となってい
る。一定量の青酸を得るため、不飽和ニトリルの製造を
行いながら青酸を同時に増産する方法として、例えば、
特公昭55−35377号公報に書かれているようなメ
タノール等アンモ酸化反応によって青酸を生成する物質
を、反応器に供給して行わしめる方法が提案されてい
る。
【0003】不飽和ニトリル製造時にメタノール等アン
モ酸化反応によって青酸を生成する物質を加え青酸を増
産するに際し、工業規模の製造施設においては、長期連
続で安定及び安全な生産活動を行う必要がある。反応系
へのメタノール等の供給により、それを供給しない場合
に比べ、時間経過とともに反応成績に影響を及ぼす触媒
活性の低下が早くなる現象が生じる。反応成績を維持す
るためには、触媒を一部抜き出して再生後、戻したり、
あるいは全量の交換が必要とされる。これらの操作は繁
雑であったり、設備負担が大きい。さらにメタノール等
の供給により、反応ガス中の不純物が増加し、反応器以
降の製造工程における機器を汚したり、製品不飽和ニト
リル中の不純物濃度が増大する。これらは生産活動に多
大な悪影響を及ぼし、これらの問題点を解決できる簡便
な方法が求められていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、アンモ酸化
反応によって不飽和ニトリル、例えば、アクリロニトリ
ルやメタクリロニトリルを製造する際に、副生する青酸
をメタノール等アンモ酸化反応によって青酸を生成する
物質を加えることにより増産する方法において、アンモ
酸化反応の方法に着目し、反応成績の低下を抑制し、か
つ反応器以降の製造工程に影響を与えることなく長期間
安定に運転することを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】鋭意検討した結果、意外
にも、不飽和ニトリル製造時にメタノール等を共存させ
て青酸を増産する運転において、モリブデン、ビスマス
及び鉄等を含む触媒を用い、反応器の出口ガス中の酸素
濃度を制御することによって、触媒の活性低下及び不純
物生成が抑制されることを見いだし、運転を長期に渡っ
て安定的に維持できる方法をここに提案するものであ
る。
【0006】すなわち本発明は、プロピレン、イソブチ
レン及び第三級ブチルアルコールから選ばれる少なくと
も1つの物質、アンモニア及び酸素含有ガスを金属酸化
物触媒の存在下、流動層反応器においてアンモ酸化反応
によって、不飽和ニトリルを製造かつ、該反応器内にメ
タノール及びホルムアルデヒドの少なくとも1種を共存
させて青酸を同時に製造する方法において、該反応器の
出口ガス中の酸素濃度を0.3容量%から1.5容量%
に制御し、該金属酸化物触媒として、次の一般式
(1): Moy Bip Feq Aa Bb Cc Dd Of ・・・・(1) (式中、Moはモリブデン、Biはビスマス、Feは
鉄、Aはニッケルまたはコバルトからなる群より選ばれ
る少なくとも1種の元素、Bはカリウム、ルビジウム及
びセシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元
素、Cはマグネシウム及び亜鉛からなる群より選ばれる
少なくとも1種の元素、Dは希土類元素から選ばれる少
なくとも1種の元素、及びOは酸素である。y、p、
q、a、b、c、d及びfはそれぞれモリブデン、ビス
マス、鉄、A、B、C、D及び酸素の原子比を表し、d
/(p+d)=0.6〜0.8、p+d=0.5〜2.
0、q=0.1〜3、a=4〜10、b=0.01〜
2、c=0〜3、fは存在する他の元素の原子価要求を
満足させるために必要な酸素の原子数である。)によっ
て示され、そしてx=1.5p+q+a+c+1.5d
によって定義されるxを用いると、該金属酸化物触媒の
モリブデンの原子比が、y=1.02x〜1.10xの
範囲にある触媒を用いることを特徴とする不飽和ニトリ
ル製造時における青酸の併産方法である。
【0007】本発明においては、反応器出口ガス中の酸
素濃度を好ましくは0.3容量%から1.0容量%に制
御する。メタノール及びホルムアルデヒドの少なくとも
1種を反応器に供給させるに際し、好ましくは実質的に
全てのメタノール及びホルムアルデヒドの少なくとも1
種を反応せしめる位置で供給することが望ましく、さら
に好ましくはプロピレン、イソブチレン及び第三級ブチ
ルアルコールから選ばれる少なくとも1つの物質及びア
ンモニアを供給する原料ガス分散管を用いる。
【0008】以下に本発明を詳細に説明する。本発明の
対象とするアンモ酸化反応は、古くから知られており、
プロピレン、イソブチレン及び第三級ブチルアルコール
から選ばれる少なくとも1つの物質、アンモニア及び酸
素含有ガスを共に気相で反応器下部に供給し、対応する
不飽和ニトリルを製造し、該反応器にメタノール及びホ
ルムアルデヒドから選ばれる少なくとも1つの物質を共
存させて、青酸を増産するものである。
【0009】反応器に供給する酸素含有ガスは、プロピ
レン、イソブチレンまたは第三級ブチルアルコールに対
して好ましくは5〜15モル比、更に好ましくは7〜1
4モル比であり、アンモニアは、プロピレン、イソブチ
レンまたは第三級ブチルアルコールに対して好ましくは
0.5〜2モル比、更に好ましくは1〜1.5モル比の
範囲で用いうる。メタノール及びホルムアルデヒドから
選ばれる少なくとも1つの物質は、過多に供給すると、
不飽和ニトリル製造施設の負荷を増大させ、大幅な設備
増強を余儀なくされる。従って、プロピレン、イソブチ
レンまたは第三級ブチルアルコールに対して好ましくは
1モル比以下、更に好ましくは0.05〜0.5モル比
の範囲で用いうる。ここで用いるプロピレン、イソブチ
レン、第三級ブチルアルコール、メタノール、ホルムア
ルデヒド及びアンモニアは必ずしも高純度である必要は
なく、工業グレードのものを使用することができる。ま
た、酸素含有ガスとしては通常空気を用いるのが好まし
いが、酸素と空気を混合する等により酸素濃度を高めた
ガスを用いることもできる。
【0010】アンモ酸化反応の条件については、触媒層
中の温度は、好ましくは300〜600℃、更に好まし
くは400〜500℃、反応圧力は、好ましくは3kg
/cm2 G以下、更に好ましくは0.2〜1.5kg/
cm2 Gの条件で行われる。反応器から流出する反応ガ
ス中の酸素濃度は、0.3容量%〜1.5容量%、好ま
しくは0.3容量%〜1.0容量%が用いられる。この
酸素濃度に制御した場合、長期安定的に所望する反応生
成物の収率を維持できることが判明した。すなわち、酸
素濃度を0.3容量%未満に制御して運転した場合、触
媒の経時的な活性低下が生じ、不飽和ニトリルの収率の
低下傾向が止まらず、一方、1.5容量%を超える酸素
濃度に制御した場合、0.3容量%〜1.5容量%に制
御した場合に比べ、初期より不飽和ニトリルの収率が低
いことが見いだされた。上記酸素濃度の調整は、酸素含
有ガスの供給量及び反応温度の調整等により行え、酸素
濃度の測定は、反応器の出口ガス中の酸素濃度をガスク
ロマトグラフィー等により分析する。
【0011】本発明のアンモ酸化反応に用いられる金属
酸化物触媒は、次の一般式(1)で示される。 Moy Bip Feq Aa Bb Cc Dd Of ・・・・(1) (式中、Moはモリブデン、Biはビスマス、Feは
鉄、Aはニッケルまたはコバルトからなる群より選ばれ
る少なくとも1種の元素、Bはカリウム、ルビジウム及
びセシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元
素、Cはマグネシウム及び亜鉛からなる群より選ばれる
少なくとも1種の元素、Dは希土類元素から選ばれる少
なくとも1種の元素、及びOは酸素である。y、p、
q、a、b、c、d及びfはそれぞれモリブデン、ビス
マス、鉄、A、B、C、D及び酸素の原子比を表し、d
/(p+d)=0.6〜0.8、p+d=0.5〜2.
0、q=0.1〜3、a=4〜10、b=0.01〜
2、c=0〜3、fは存在する他の元素の原子価要求を
満足させるために必要な酸素の原子数である。)によっ
て示され、そしてx=1.5p+q+a+c+1.5d
によって定義されるxを用いると、該金属酸化物触媒の
モリブデンの原子比が、y=1.02x〜1.10xの
範囲にある。
【0012】上記の金属酸化物触媒は公知の方法、例え
ば各金属成分のための原料を調合して調整液を得、次い
で該調合液を噴霧乾燥して乾燥品を得、最後に該乾燥品
を焼成することによって得ることができる。原料の調整
にあたっては、シリカはシリカゾルを、モリブデンはそ
のアンモニウム塩を、他の成分はその硝酸塩等の水溶性
化合物を用いることが好ましい。原料液の噴霧乾燥にお
ける噴霧化は遠心方式が好ましく、乾燥温度は100〜
400℃、好ましくは150〜300℃である。乾燥品
の焼成は必要に応じて150〜500℃で前焼成し、そ
の後500〜750℃、好ましくは550〜700℃の
温度範囲で1〜20時間行う。
【0013】本発明のアンモ酸化反応に用いられる流動
層反応器は、例えば、特開平2−258号公報に書かれ
ているような反応器下部に酸素含有ガス分散管又は分散
板及び原料ガス分散管を有している。該原料ガス分散管
は、プロピレン、イソブチレン及び第三級ブチルアルコ
ールから選ばれる少なくとも1つの物質及びアンモニア
を供給するための装置である。また、一般にアンモ酸化
反応は発熱反応であり、反応熱を除去し、反応器内の温
度を調整かつ反応器断面の温度分布を極小化するため、
反応効率の良好な反応器下部域に、大小さまざまな熱交
換面積を有する複数のそれぞれ独立な間接熱交換器群が
内装される。さらに、反応器上部に反応器から流出する
反応ガスに同伴する触媒を捕集する装置、例えば、サイ
クロンをTDHと呼ばれる輸送出口高さ以上の位置に有
している。さらに、該反応器にメタノール及びホルムア
ルデヒドから選ばれる少なくとも1つの物質を供給させ
るための分散管を有している。このため、例えば、特開
平8−295660号公報及び特開平7−53494号
公報で書かれている反応器上部に設置した装置を用い、
メタノール及びホルムアルデヒドから選ばれる少なくと
も1つの物質を反応器に供給することができるが、発明
者の検討より、未反応メタノールや未反応ホルムアルデ
ヒドに起因すると考えられる不純物の生成が、反応器か
ら流出する反応ガス分析及び製品である不飽和ニトリル
分析から見いだされた。すなわち、これら反応器で生成
した不純物は、反応器下流工程の不飽和ニトリルの回収
及び精製工程で充分に除去できず、しばしば製品である
不飽和ニトリルの純度を下げ、製品としての品質を保て
なくなることがわかった。
【0014】本発明におけるメタノール及びホルムアル
デヒドから選ばれる少なくとも1つの物質を反応器に供
給する方法は、酸素含有ガス分散管又は分散板から原料
ガス分散管間の距離をLとした場合、(原料ガス分散管
のガス噴出部の位置高さ)−0.5Lから(原料ガス分
散管のガス噴出部の位置高さ)+Lの位置に設置したメ
タノールガス及び/又はホルムアルデヒドガス分散装置
を用いる。好ましくは、該原料ガス分散管が兼用され、
反応器改造に要する投資を完全に排除できる。また、発
明者は、反応ガスの生成物に関して鋭意検討した結果、
公知のアンモ酸化反応方法で不飽和ニトリルを製造しつ
つメタノール等を反応器に供給して青酸増産を実施する
場合、メタノール等を供給しない場合に比べ、アクロレ
インやメタクロレイン等の不飽和アルデヒドの収率が大
きくなるが、本発明の方法を用いることにより、該不飽
和アルデヒドの収率上昇を抑制できることがわかった。
【0015】該不飽和アルデヒドは、不飽和ニトリル製
造施設内の工程において青酸と容易に反応して、青酸の
回収量を落としめる上、工程内の機器を汚す好ましから
ざる物質である。以上に述べたように本発明は、アンモ
酸化反応により不飽和ニトリルを製造しつつメタノール
等を共存させて青酸を増産する方法において、工業的規
模の製造施設に求められる経済的かつ長期に渡って安定
的な運転継続を可能とする方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】次に本発明方法を実施例及び比較
例によりさらに説明するが、本発明はこの実施例及び比
較例のみに限定されるものではない。実施例及び比較例
で用いた流動層反応器は、内径が3.7mで、通常の工
業的な流動層アンモ酸化反応に用いられるものであり、
さらに詳しくは反応器下部に酸素含有ガスの分散管又は
分散板及び原料ガス分散管を有し、反応熱除去のための
間接熱交換器が内装され、反応器上部に反応器から流出
する反応ガス中の触媒を捕集するサイクロンを有してい
る。計器、付属設備は通常使用されるものであり、通常
の誤差範囲内のものである。
【0017】また、反応成績を表す各数値は、以下の式
等で定義される。
【式1】 反応器出口ガス中の酸素濃度(以下、酸素濃度と記す)
は、反応器から流出した反応ガスをサンプリングし、ガ
スクロマトグラフィーで測定した分析値を用い、容量%
で示す。反応成績を表す指標である未反応アンモニア率
は、工業的な不飽和ニトリル製造施設において、反応器
から流出する反応ガスを急冷する急冷設備(クエンチ
塔、急冷塔)で該未反応アンモニアを中和するために添
加される硫酸量で置き換えることができる。本実施例及
び比較例において、該未反応アンモニア率に替わり、該
硫酸量を指針とした。
【0018】
【実施例1】組成がMo11.7Bi0.20Ce0.40Fe2.0
Ni5.6 Mg2.2 0.07Cs0.04で表される酸化物を、
50重量%のシリカに担持した触媒を次のようにして調
整した。反応器に充填する量の触媒を得るため、工業的
な規模の触媒製造設備を用い、数回に分けて触媒製造を
実施した。
【0019】30重量%のSiO2 を含むシリカゾルの
重量をWとし、これに17.9重量%の硝酸0.226
7Wに0.01176Wの硝酸ビスマス[Bi(N
3 3・5H2 O]、0.02109Wの硝酸セリウ
ム[Ce(NO3 3 ・6H2 O]、0.09807W
の硝酸鉄[Fe(NO3 3 ・9H2 O]、0.197
6Wの硝酸ニッケル[Ni(NO3 2 ・6H2 O]、
0.06843Wの硝酸マグネシウム[Mg(NO3
2 ・6H2 O]、0.0008580Wの硝酸カリウム
[KNO3 ]及び0.0009450Wの硝酸セシウム
[CsNO3 ]を溶解させた溶液を加え、最後に水0.
5014Wに0.2507Wのパラモリブデン酸アンモ
ニウム[(NH4 6 Mo7 24・4H2 O]を溶解さ
せた水溶液を加えた。ここで得られた原料調整液を並流
式の噴霧乾燥機に送り、約200℃で造粒乾燥させた。
該調整液の噴霧化は乾燥機上部に設置された皿型回転子
を備えた噴霧化装置を用いて行った。得られた造粒粉体
は電気炉において400℃で1時間の前焼成を行った
後、590℃で2時間焼成して触媒を得た。
【0020】得られた触媒29tを反応器に充填し、反
応温度440℃、プロピレン流量=1250Nm3
h、プロピレン/アンモニア/エアーモル比=1/1.
13/9及び反応圧力0.60kg/cm2 Gで720
時間連続運転を実施した。その間、反応器から飛散する
触媒を補うため、飛散触媒量と同量の触媒を随時反応器
に供給して、触媒充填量を一定に保持した。その時の反
応成績の平均値は、プロピレン転化率=99.1%、ア
クリロニトリル収率=80.7%、青酸収率=4.5
%、アクロレイン収率=0.9%、酸素濃度=0.25
容量%及び硫酸量=71kg/hであった。
【0021】次に、さらにメタノールガスをプロピレン
に対しモル比で0.1となるようプロピレン及びアンモ
ニアのガス分散管を通じて反応器に供給し、酸素濃度=
0.35容量%、反応温度、反応圧力及び硫酸量はメタ
ノール未供給時と同一となるよう調整した。この状態で
さらに720時間連続運転を実施した。その間、反応器
から飛散する触媒を補うため、飛散触媒量と同量の触媒
を随時反応器に供給して、触媒充填量を一定に保持し
た。この期間、メタノール/プロピレン/アンモニア/
エアーモル比=0.1/1/1.18/9.3で、プロ
ピレン転化率=99.2%、メタノール転化率=100
%、アクリロニトリル収率=80.8%、青酸収率=
6.5%及びアクロレイン収率=0.8%を安定的に維
持した。引き続いて、反応温度、反応圧力及び硫酸量は
変化させずに、酸素濃度のみを0.7容量%となるよう
調整した。この時、メタノール/プロピレン/アンモニ
ア/エアーモル比=0.1/1/1.18/9.5で、
プロピレン転化率=99.3%、メタノール転化率=1
00%、アクリロニトリル収率=80.7%、青酸収率
=6.6%及びアクロレイン収率=0.9%を得た。
【0022】
【比較例1】実施例1で用いた金属酸化物触媒29tを
反応器に充填し、反応温度440℃、プロピレン流量=
1250Nm3 /h、プロピレン/アンモニア/エアー
モル比=1/1.13/9及び反応圧力0.60kg/
cm2 Gで720時間連続運転を実施した。その間、反
応器から飛散する触媒を補うため、飛散触媒量と同量の
触媒を随時反応器に供給して、触媒充填量を一定に保持
した。この時の反応成績の平均値は、プロピレン転化率
=99.1%、アクリロニトリル収率=80.7%、青
酸収率=4.5%、アクロレイン収率=0.9%、酸素
濃度=0.25容量%及び硫酸量=71kg/hであっ
た。
【0023】次に、さらにメタノールガスをプロピレン
に対しモル比で0.1となるようプロピレン及びアンモ
ニアのガス分散管を通じて反応器に供給し、反応温度、
反応圧力、酸素濃度及び硫酸量をメタノール未供給時と
同一となるようにし調整した。運転開始初期は、メタノ
ール/プロピレン/アンモニア/エアーモル比=0.1
/1/1.18/9.27で、プロピレン転化率=9
9.0%、メタノール転化率=100%、アクリロニト
リル収率=80.7%、青酸収率=6.4%及びアクロ
レイン収率=0.8%であった。運転開始から240時
間を過ぎた頃から、プロピレン転化率及びアクリロニト
リル収率が低下し始め、720時間後には、プロピレン
転化率97.7%、アクリロニトリル収率79.6%と
なった。この間、反応器内の触媒充填量を保つ操作は行
っていた。
【0024】プロピレン転化率及びアクリロニトリル収
率の低下がとまらず、運転継続不可と判断後、メタノー
ル供給を停止し、プロピレン、アンモニア及びエアーの
みを供給するアンモ酸化反応に戻した。数週間後、反応
温度440℃、プロピレン流量=1250Nm3 /h、
プロピレン/アンモニア/エアーモル比=1/1.13
/9及び反応圧力0.60kg/cm2 Gで、プロピレ
ン転化率=99.1%、アクリロニトリル収率=80.
7%、青酸収率=4.5%、アクロレイン収率=0.9
%、酸素濃度=0.25容量%及び硫酸量=71kg/
hに復帰を確認した。再び、メタノールガスをプロピレ
ンに対しモル比で0.1となるよう反応器に供給し、反
応温度、反応圧力及び硫酸量は変化させずに、酸素濃度
のみを1.8容量%となるよう調整した。この時、メタ
ノール/プロピレン/アンモニア/エアーモル比=0.
1/1/1.18/9.9で、プロピレン転化率=9
9.2%、メタノール転化率=100%、アクリロニト
リル収率=79.2%、青酸収率=6.5%及びアクロ
レイン収率=1.0%であった。
【0025】
【比較例2】実施例1で述べた触媒製造方法に基づき、
組成がMo1 Bi0.825 Fe0.6750.006 Na0.05
0.1 で表される酸化物を、50重量%のシリカに担持し
た触媒を製造した。得られた触媒29tを反応器に充填
し、反応温度460℃、プロピレン流量=1250Nm
3 /h、プロピレン/アンモニア/エアーモル比=1/
1.2/9.2及び反応圧力0.60kg/cm2 Gで
720時間連続運転を実施した。その間、反応器から飛
散する触媒を補うため、飛散触媒量と同量の触媒を随時
反応器に供給して、触媒充填量を一定に保持した。その
時の反応成績の平均値は、プロピレン転化率=98.8
%、アクリロニトリル収率=80.5%、青酸収率=
5.7%、アクロレイン収率=1.2%、酸素濃度=
0.25容量%及び硫酸量=178kg/hであった。
【0026】次に、さらにメタノールガスをプロピレン
に対しモル比で0.1となるようプロピレン及びアンモ
ニアのガス分散管を通じて反応器に供給し、酸素濃度=
0.35容量%、反応温度、反応圧力及び硫酸量はメタ
ノール未供給時と同一となるよう調整した。この状態で
さらに720時間連続運転を実施した。その間、反応器
から飛散する触媒を補うため、飛散触媒量と同量の触媒
を随時反応器に供給して、触媒充填量を一定に保持し
た。この期間、メタノール/プロピレン/アンモニア/
エアーモル比=0.1/1/1.26/9.6で、プロ
ピレン転化率=99.0%、メタノール転化率=100
%、アクリロニトリル収率=79.6%、青酸収率=
7.9%及びアクロレイン収率=2.1%となった。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、アンモ酸化反応により
不飽和ニトリルを製造しつつメタノール等を共存させて
青酸を増産する方法において、触媒活性低下、不純物の
生成及び工程の汚れを抑制でき、不飽和ニトリル及び青
酸の生産量を落とすことなく、経済的かつ長期に渡って
安定的な運転継続を可能とできる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 Fターム(参考) 4G069 AA03 AA08 BA02B BB06A BB06B BC03A BC03B BC05A BC06A BC06B BC10A BC10B BC25A BC25B BC35A BC38A BC43A BC43B BC59A BC59B BC66A BC66B BC67A BC68A BC68B CB53 DA05 FB05 FB63 4H006 AA02 AC54 BA02 BA08 BA13 BA14 BA19 BA21 QN24 4H039 CA70 CL50

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プロピレン、イソブチレン及び第三級ブ
    チルアルコールから選ばれる少なくとも1つの物質、ア
    ンモニア及び酸素含有ガスを金属酸化物触媒の存在下、
    流動層反応器においてアンモ酸化反応によって、不飽和
    ニトリルを製造かつ、該反応器内にメタノール及びホル
    ムアルデヒドの少なくとも1種を共存させて青酸を同時
    に製造する方法において、該反応器の出口ガス中の酸素
    濃度を0.3容量%から1.5容量%に制御し、該金属
    酸化物触媒として、次の一般式(1): Moy Bip Feq Aa Bb Cc Dd Of ・・・・(1) (式中、Moはモリブデン、Biはビスマス、Feは
    鉄、Aはニッケルまたはコバルトからなる群より選ばれ
    る少なくとも1種の元素、Bはカリウム、ルビジウム及
    びセシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元
    素、Cはマグネシウム及び亜鉛からなる群より選ばれる
    少なくとも1種の元素、Dは希土類元素から選ばれる少
    なくとも1種の元素、及びOは酸素である。y、p、
    q、a、b、c、d及びfはそれぞれモリブデン、ビス
    マス、鉄、A、B、C、D及び酸素の原子比を表し、d
    /(p+d)=0.6〜0.8、p+d=0.5〜2.
    0、q=0.1〜3、a=4〜10、b=0.01〜
    2、c=0〜3、fは存在する他の元素の原子価要求を
    満足させるために必要な酸素の原子数である。)によっ
    て示され、そしてx=1.5p+q+a+c+1.5d
    によって定義されるxを用いると、該金属酸化物触媒の
    モリブデンの原子比が、y=1.02x〜1.10xの
    範囲にある触媒を用いることを特徴とする不飽和ニトリ
    ル製造時における青酸の併産方法。
  2. 【請求項2】 該反応器の出口ガス中の酸素濃度を0.
    3容量%から1.0容量%に制御する請求項1記載の方
    法。
  3. 【請求項3】 該メタノール及びホルムアルデヒドの少
    なくとも1種を反応器に供給させるに際し、実質的に全
    ての該メタノール及びホルムアルデヒドの少なくとも1
    種を反応せしめる位置で供給する請求項1又は請求項2
    記載の方法。
  4. 【請求項4】 該メタノール及びホルムアルデヒドの少
    なくとも1種を反応器に供給させるに際し、該プロピレ
    ン、イソブチレン及び第三級ブチルアルコールから選ば
    れる少なくとも1つの物質及びアンモニアを供給する原
    料ガス分散管を用いる請求項1〜3のいずれかに記載の
    方法。
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