JP4503444B2 - アクリロニトリル製造用触媒、及びアクリロニトリルの製造方法 - Google Patents

アクリロニトリル製造用触媒、及びアクリロニトリルの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、プロピレンのアンモ酸化反応にてアクリロニトリルを製造する際に用いて好適なアクリロニトリル製造用触媒、及びこれを用いたアクリロニトリルの製造方法に関する。
モリブデン−ビスマス含有金属酸化物触媒は、プロピレン、イソブテン、ターシャリーブタノール等の有機化合物のアンモ酸化反応触媒として知られている(特許文献1〜10等)。
非特許文献1には、アンモ酸化反応において良好な反応収率を得るには、モリブデン−ビスマス含有触媒中のβ型の二価金属モリブデイト結晶相を安定化させることが重要であることが記載され、同文献には、β型の二価金属モリブデイト結晶相の安定化のための好適な組成が提案されている。実際に、近年、二価金属モリブデイト結晶相がほぼ全てβ型である触媒が実用化されている。
特公昭36−3563号公報 特公昭36−5870号公報 特公昭38−17967号公報 特公昭39−3670号公報 特公昭39−10111号公報 特公昭42−7774号公報 特公昭50−64191号公報 特公昭47−27490号公報 特公昭54−22795号公報 特公昭60−36812号公報 G.Ertl,H.Knozinger,J.Weitkamp著、「ハンドブック・オブ・ヘテロジニアス・キャタリシス(Handbook of Heterogeneous Catalysis)」、第5巻、(独国)、WILEY-VCH、1997年、4.6.6節、p.2302-2326
しかしながら、二価金属モリブデイト結晶相がほぼ全てβ型である触媒を用いてアクリロニトリルの製造を実施しても、経時的に反応収率が低下し、高い反応収率を維持することが困難なことがある。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、反応初期において高い反応収率を示すと共に、経時的な反応収率の低下を抑制し、長期に渡って安定的にアクリロニトリルを製造することが可能なアクリロニトリル製造用触媒、及びアクリロニトリルの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は上記課題を解決するべく、二価金属モリブデイト結晶相がほぼ全てβ型である触媒を用いてアクリロニトリルの製造を実施し、製造途中で触媒を抜き出して分析したところ、新品触媒ではほとんど検出されないα型の二価金属モリブデイト結晶相が生成していることを見出した。また、その生成量は、触媒の組成や製造方法によって様々であることも見出した。
本発明者はさらに、原料のプロピレン等を含む供給ガスを反応器に導入する際や、ガスと触媒とを分離する際等に、触媒粒子に衝撃が与えられて、α型の二価金属モリブデイト結晶相が生成すること、及び経時的なα型の二価金属モリブデイト結晶相の生成量の増加が、アクリロニトリル収率の低下を招くことを見出した。
α型の二価金属モリブデイト結晶相が生成する理由については必ずしも明らかではないが、本発明者は、触媒内に結晶化せずに存在していた二価金属モリブデイト前駆体が、物理的衝撃を受けることで、反応温度で安定な結晶相であるα型に結晶化すると推察している。
本発明者は以上の点に着目し、触媒中のα型の二価金属モリブデイト結晶相の生成しやすさを予め見積もることで、経時的な反応収率の低下を効果的に抑制できることに想到し、さらに検討を行った。その結果、一定の頻度と力で物理的衝撃を付与し、その際のα型の二価金属モリブデイト結晶相の増加量を数値化することで、α型の二価金属モリブデイト結晶相の生成しやすさを見積もることに成功した。
また、このパラメータが、アクリロニトリル収率と良好に相関することを確認した。すなわち、α型の二価金属モリブデイト結晶相が生成しやすい触媒では、アクリロニトリル収率が経時的に低下しやすいことを確認した。さらに、α型の二価金属モリブデイト結晶相が極端に生成しにくくても、不都合が生じること、具体的にはかかる触媒では反応初期からアクリロニトリル収率が低いことも見出した。そして、上記パラメータを特定範囲内とすることで、良好な触媒を安定的に提供できることを見出し、本発明を完成した。
なお、上記パラメータとアクリロニトリル収率とが相関する理由については必ずしも明らかではないが、本発明者は、二価金属モリブデイト構造の安定性と柔軟性が触媒機能と関係するのではないかと推察している。
すなわち、本発明のアクリロニトリル製造用触媒は、モリブデン、ビスマス、鉄、ニッケル、及びシリカを必須成分として含む金属酸化物からなり、二価金属モリブデイト結晶相のうち、α型とβ型に各々由来するX線回折ピーク強度の比(α型/β型)の、衝撃付与前(X1)と付与後(X2)の差(X2−X1)が0.1〜5であることを特徴とする。
本明細書において、「衝撃付与」は、流動接触分解触媒の耐磨耗性の試験法として知られる「Test Method for Synthetic Cracking Catalysts」、アメリカン・サイアナミド・カンパニー刊行、6/31−4m−1/57記載の方法に準じ、常温(管理された室内温度、10〜30℃)にて行うものとする。該法は、概略、粒径44〜88μmに調整した触媒粒子を50g採取し、約300m/sの高速気流による衝撃付与を22時間実施するというものである。
なお、衝撃付与時の温度は、実際のアクリロニトリル製造の反応温度に合わせるべきところであるが、衝撃付与温度を常温としても、信頼性の高い評価が実施できることを確認している。よって、本発明では、より簡便な常温下での衝撃付与にて評価するものとする。
また、本明細書において、「X線回折ピーク強度」は、粉末X線回折装置である理学電機株式会社製「RINT1100」を用い、管球:Cu、管電圧:40mV、管電流:40mA、発散スリット:1°、散乱スリット:1°、受光スリット:0.15mm、モノクロメータ使用、モノクロ受光スリット:0.8mm、ステップ幅:0.02°、計数時間:4secとして、測定されるものとする。
なお、通常の粉末X線回折法による測定では、試料を粉砕し、これを成型して測定に供するが、本発明では、粉砕時に触媒に衝撃が加わり、β型の二価金属モリブデイト結晶相がかなりの割合でα型に転位し、正確な評価ができないため、粉砕は実施せずに、測定を行うものとする。
本発明のアクリロニトリル製造用触媒は、下記組成式で表されるものであることが好ましい。
Mo10BiFeNi・(SiO
(式中、Dはコバルト、マグネシウム、マンガン、及び亜鉛からなる群より選ばれた少なくとも一種の元素、Eはイットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジウム、ネオジウム、及びサマリウムからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素、Gはニオブ、タングステン、アンチモン、アルミニウム、ホウ素、リン、クロム、鉛、カドミウム、及びカルシウムからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素、Hはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、及びタリウムからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素を示す。添字a〜g、x、及びyは原子比を表し、0.1≦a≦3、0.1≦b≦5、1≦c≦10、0≦d≦10、0≦e≦10、0≦f≦10、0.01≦g≦2、10≦y≦100である。xは各成分の原子価を充足するのに必要な酸素原子比を示す。)
本発明のアクリロニトリルの製造方法は、上記の本発明のアクリロニトリル製造用触媒を用い、プロピレンのアンモ酸化反応を行うことを特徴とする。
本発明によれば、反応初期において高い反応収率を示すと共に、経時的な反応収率の低下を抑制し、長期に渡って安定的にアクリロニトリルを製造することが可能なアクリロニトリル製造用触媒、及びアクリロニトリルの製造方法を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
「アクリロニトリル製造用触媒」
本発明のアクリロニトリル製造用触媒は、モリブデン、ビスマス、鉄、ニッケル、及びシリカを必須成分として含み、必要に応じて他の元素を含む金属酸化物触媒である。さらに、本発明はα型の二価金属モリブデイト結晶相の生成しやすさを数値化し、これを特定したものである。
本発明の触媒組成としては、上記必須成分を含むものであれば特に限定されないが、反応収率の観点から、下記式で表される組成のものが好適である。
Mo10BiFeNi・(SiO
式中、Dはコバルト、マグネシウム、マンガン、及び亜鉛からなる群より選ばれた少なくとも一種の元素、Eはイットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジウム、ネオジウム、及びサマリウムからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素、Gはニオブ、タングステン、アンチモン、アルミニウム、ホウ素、リン、クロム、鉛、カドミウム、及びカルシウムからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素、Hはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、及びタリウムからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素を示す。
添字a〜g、x、及びyは原子比を表す。aは0.1≦a≦3、好ましくは0.2≦a≦2.5を充足する。bは0.1≦b≦5、好ましくは0.2≦b≦4を充足する。cは1≦c≦10、好ましくは2≦c≦8を充足する。dは0≦d≦10、好ましくは0.1≦d≦7を充足する。eは0≦e≦10、好ましくは0.1≦e≦7を充足する。fは0≦f≦10、好ましくは0≦f≦7を充足する。gは0.01≦g≦2、好ましくは0.02≦g≦1.5を充足する。yは10≦h≦100、好ましくは15≦h≦90を充足する。xは各成分の原子価を充足するのに必要な酸素原子比であり、金属組成に応じて自然に決定されるものである。
上記組成の触媒は、各元素を含む酸化物、あるいは強熱により酸化物になり得る塩化物、硫酸塩、硝酸塩、アンモニウム塩、炭酸塩、水酸化物、有機酸塩、酸素酸、酸素酸塩、ヘテロポリ酸、ヘテロポリ酸塩、又はこれらの混合物を原料として製造できる。
例えば、モリブデン成分原料としては、三酸化モリブデン等の酸化物;モリブデン酸、パラモリブデン酸アンモニウム、メタモリブデン酸アンモニウム等のモリブデン酸又はその塩;リンモリブデン酸、ケイモリブデン酸等のモリブデン含有ヘテロポリ酸又はその塩等が挙げられる。
ビスマス成分原料としては、硝酸ビスマス、炭酸ビスマス、硫酸ビスマス、酢酸ビスマス等のビスマス塩;三酸化ビスマス;金属ビスマス等が挙げられる。これらは、固体のまま、あるいは水溶液や硝酸水溶液、又はこれらの水溶液から得られるビスマス化合物のスラリー等の形態で、触媒製造に供される。中でも、硝酸塩、あるいはその溶液、又はその溶液から得られるスラリーの形態等で製造に供することが好ましい。
鉄成分原料としては、酸化第一鉄、酸化第二鉄、硝酸第一鉄、硝酸第二鉄、硝酸鉄、塩化鉄、鉄有機酸塩、水酸化鉄等が挙げられる。これらは固体のまま、あるいは硝酸溶液等の形態で、触媒製造に供される。硝酸溶液を用いる場合、金属鉄を加熱した硝酸に溶解するが、この際、アンモニア水等でpHを調整しても良い。pHを調整する際、溶液にキレート剤を共存させることで、鉄成分の沈殿を防ぐことができる。キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、グルコン酸等が挙げられる。また、この場合、鉄成分原料とキレート剤を酸あるいは水に溶解して用いることが好ましい。
ニッケル成分原料としては、水酸化ニッケル、酸化ニッケル、硝酸ニッケル等が挙げられる。
シリカ成分原料としては、コロイダルシリカ等が好ましい。コロイダルシリカは市販のものを用いることができる。
本発明では、用いるコロイダルシリカ中のコロイド粒子の平均粒径は2〜50nmであることが好ましく、3〜30nm、特に5〜15nmであることが好ましい。
また、平均粒径が40〜100nm、好ましくは50〜80nmの比較的粒径の大きいコロイド粒子群(CL)と、平均粒径が3〜30nm、好ましくは5〜15nmの比較的粒径の小さいコロイド粒子群(CS)とが混合したものが好ましい。さらに、用いるコロイダルシリカ中の全固形分に占める、比較的粒径の大きいコロイド粒子群(CL)の割合は5〜50質量%であり、残部が比較的粒径の小さいコロイド粒子群(CS)であることが好ましい。
本発明者は、触媒製造に用いるコロイダルシリカ中のコロイド粒子の平均粒径や粒径分布が、得られる触媒におけるα型の二価金属モリブデイト結晶相の生成しやすさと相関があり、上記特性のコロイダルシリカを用いることで、α型の二価金属モリブデイト結晶相の生成のしやすさを制御できることを見出している。
理由は定かではないが、触媒中に分布するシリカ一次粒子の平均粒径を上記範囲とすることで、該粒子が物理的衝撃から二価金属モリブデイトを保護する緩衝材として機能すると推察される。また、比較的粒径の大きいシリカ一次粒子群(CL)と、比較的粒径の小さいシリカ一次粒子群(CS)を併用することで、より効果的に衝撃を緩和する機能が発現すると推察される。
本発明の触媒を製造するにあたっては、はじめに、各成分原料を所望の組成になるように配合し、混合する。
例えば、コロイダルシリカ又は水中に、各成分原料を固体あるいは溶液等の形態で添加・混合し、スラリーを調製する。成分原料を添加するにあたっては、あらかじめ複数の成分原料を水等に溶解した複合液の形態として、添加することも差し支えない。複合液を調製して添加する場合、添加前にあらかじめpH調整や加熱処理、ホモジナイザー処理等を施すことも差し支えない。さらには、複合液を乾燥・焼成して粉砕し、固体状として添加することもできる。
また、成分原料の混合時には、同時に、pH調整や加熱処理、ホモジナイザー処理等を必要に応じて実施することができる。
上記工程において、スラリー中の沈殿の種類や量を制御するべく、調製完了時のスラリーのpHを0〜5、特に0.5〜2.5とすることが好ましく、これによって、得られる触媒中のα型の二価金属モリブデイト結晶相の生成しやすさを好適な範囲内に制御することができる。
同理由から、調製完了時のスラリーにホモジナイザー処理を施し、生成した沈殿物を微細化し、均一な混合状態とすることが好ましい。
以上のようにして各成分原料を含むスラリーを調製した後、これを乾燥する。この際、噴霧乾燥等にて、略球状の粒子状とすることが好ましい。
噴霧乾燥機としては、加圧ノズル式、二流体ノズル式、回転円盤式等、いかなる方式のものを用いても良い。
得られる触媒中のα型の二価金属モリブデイト結晶相の生成しやすさを好適な範囲内に制御するには、噴霧乾燥に供するスラリーの濃度を、触媒を構成する元素の酸化物量に換算して、10〜50質量%とすることが好ましい。
また、同目的で、粒子が乾燥するまでの所要時間が比較的長く、かつ乾燥途中の熱履歴があまり変化しないように、噴霧乾燥時の雰囲気温度(噴霧乾燥機の乾燥室内に流通させる熱風の温度)を制御することが好ましい。具体的には、噴霧乾燥機の乾燥室内に流通させる熱風は、乾燥室の入口温度を130〜350℃、出口温度を100〜200℃とすることが好ましく、入口温度を130〜300℃、出口温度を100〜180℃とすることがより好ましい。また入口温度・出口温度は、かかる範囲内においても、良好に粒子乾燥を実施できる範囲でできるだけ低い温度に設定することが特に好ましい。また、入口温度と出口温度の差を20〜60℃の範囲内、特に25〜45℃の範囲内に保持することがさらに好ましい。
最後に、噴霧乾燥品を500〜750℃で焼成することで、所望の触媒活性を呈する触媒が得られる。
焼成時間は特に限定されないが、短すぎると良好な触媒活性が得られないため、少なくとも1時間以上が好ましい。焼成方法についても特に制限はなく、汎用の焼成炉を用いることができる。例えば、ロータリーキルン、流動焼成炉等が好ましく用いられる。
焼成時の雰囲気も特に限定されず、酸素を含む酸化性ガス雰囲気でも、窒素等の不活性ガス雰囲気でも良いが、空気を用いるのが簡便である。
また、焼成にあたっては、乾燥品を即座に500〜750℃で焼成する他、一旦250〜400℃程度及び/又は400〜500℃程度で、1又は2段階の予備焼成を行った後、500〜750℃の本焼成を行っても良い。予備焼成は、得られる触媒におけるα型の二価金属モリブデイト結晶相の生成しやすさを好適な範囲内に制御するに好適である。
本発明では、触媒中のα型の二価金属モリブデイト結晶相の生成しやすさを数値化し、これを特定する。
本発明者は、初期には触媒中にα型の二価金属モリブデイト結晶相がなくても、物理的衝撃によって、α型の二価金属モリブデイト結晶相が生成されることに着目し、α型の二価金属モリブデイト結晶相の生成しやすさは、「衝撃付与によるα型の二価金属モリブデイト結晶相量の変化」でもって数値化できること、さらに、α型の二価金属モリブデイト結晶相量は、「二価金属モリブデイト結晶相のうち、α型とβ型に各々由来するX線回折ピーク強度の比」でもって見積もれることに想到し、本発明を完成している。
すなわち、本発明の触媒では、二価金属モリブデイト結晶相のうち、α型とβ型に各々由来するX線回折ピーク強度の比(α型/β型)の、衝撃付与前(X1)と付与後(X2)の差(X2−X1)が0.1〜5、好ましくは0.2〜4、特に好ましくは0.3〜3である。
なお、二価金属モリブデイト結晶相のうち、「α型」は、α−CoMoO型の結晶(モリブデンの酸素イオン配位は6配位、二価金属の酸素イオン配位は6配位)であり、「β型」は、α−MnMoO型の結晶(モリブデンの酸素イオン配位は4配位、二価金属の酸素イオン配位は6配位)である。
本発明者は、(X2−X1)を上記範囲内とすることで、経時的なアクリロニトリル収率の低下を良好に抑制できることを見出している。
そして、(X2−X1)が5超である触媒を用いてアクリロニトリルの製造を行うと、アクリロニトリル収率が経時的に著しく低下することを見出している。この理由は定かではないが、かかる触媒では、基本骨格であるβ型の二価金属モリブデイト構造が不安定であり、工業反応装置の各種物理的衝撃によってα型に転位しやすいことによると推察される。他方、(X2−X1)が0.1未満である触媒を用いると、反応初期から良好な反応収率が得られないことを見出している。この理由は定かではないが、β型の二価金属モリブデイト結晶相の柔軟性が小さすぎ、触媒としての機能が発現しにくいのではないかと推察される。
図1に、実際の粉末X線回折測定例を示し、具体的な(X2−X1)の算出方法について説明する。同図は二価金属モリブデイト結晶相が全てβ型である触媒の測定例であり、(a)は衝撃付与後、(b)は衝撃付与前のデータである。この例では、衝撃付与によって、α型の二価金属モリブデイト結晶相が生成している。
二価金属モリブデイト結晶相のうち、α型、β型に由来するX線回折ピークは、各々d値が6.3A付近、6.8A付近に現れる。したがって、α型、β型の二価金属モリブデイト結晶相に由来するX線回折ピーク強度は、各々d値6.3A付近のピーク強度、d値6.8A付近のピーク強度となる。ここで、ピーク強度は、回折線ピークの積分強度である。各々のピーク強度から、α型、β型に由来するX線回折ピーク強度の比(α型/β型)を求め、これを衝撃付与前と付与後について各々求めることで、その差(X2−X1)が算出される。
なお、粉末X線回折法のPDF−2データベースによると、β型の二価金属モリブデイト結晶相にはd値6.3A付近にも微少の回折ピークが現れるとされているが、本発明者は、β型のみが存在する場合、同図(b)に示すように、当該回折ピークが現れないことを確認している。
「アクリロニトリルの製造方法」
本発明のアクリロニトリルの製造方法は、上記の本発明のアクリロニトリル製造用触媒を用い、プロピレンのアンモ酸化反応を行うことを特徴とする。
アンモ酸化反応は、本発明の触媒存在下、原料のプロピレンに、例えば、分子状酸素及びアンモニアを反応させることで実施できる。
供給ガスの組成は特に限定されないが、例えば、供給ガス中のプロピレン濃度は1〜20容量%、特に3〜15容量%が好ましい。また、メタノール等の他の有機ガスを併用することも差し支えない。なお、他の有機ガスを併用する場合、一括添加しても良いし、分割あるいは連続添加しても良い。酸素源としては、コストの点で空気が好ましく用いられ、空気に酸素を富化したものを用いることもできる。供給ガス中のプロピレン対酸素のモル比は1:1.5〜1:3、プロピレン対アンモニアのモル比は1:1〜1:1.5が好ましい。必要に応じて、窒素、水蒸気等の不活性ガスを併用することも差し支えない。
反応条件も特に限定されないが、反応圧力は常圧〜数気圧、反応温度は400〜500℃が好ましい。
用いる製造装置は特に限定されないが、流動層反応装置等が好ましく用いられる。
図2に流動層反応装置の一例を示し、構造を簡単に説明する。図中、反応器は縦断面図である。
図示する流動層反応装置1は、内部に触媒流動層11を備えた反応器10を主体として構成されている。反応器10には、反応器内にプロピレン、分子状酸素、およびアンモニアを供給するガススパージャー(ガス供給手段)20と、反応生成物であるアクリロニトリルを含むガスと、触媒とを分離するサイクロン(触媒分離手段)30とが設けられている。
ガススパージャー20は、反応器10の底部に設けられ、かつ反応器10の底面に向かって開口したノズル21(シュラウド[短管]とその奥のノズル孔により構成される)を有するものであり、プロピレン等のガスは、ノズル21から反応器10の底面に向けて高速で噴出された後、反応器10内を上昇し、循環する。また、ノズル21は複数設けられており、これによって、一配管から供給されたガスは分岐(分散)されて、反応器10内に供給される。
なお、ガススパージャーの構造は図示するものに限定されず、適宜設計変更可能である。例えば、ノズル21毎に独立にガスを供給するように構成しても良い。ノズルの形成箇所についても適宜設計できる。また、パイプ型の代わりに、多孔板型ガススパージャーを用いても良い。
反応開始後、反応器10内は、反応生成物、ガス、触媒が混ざり合った状態となる。サイクロン30の流入口31に流入したこれらの混合物は、サイクロン30内を高速旋回する間に、アクリロニトリルを含むガスと触媒とに分離される。分離されたアクリロニトリルを含むガスはサイクロン30のガス流出管32から反応器10外に導出され、触媒は触媒返送管33を介して触媒流動層11に返送される。
反応装置1は以上のように構成され、これを用いることで、連続的にアクリロニトリルを製造することができる。
本発明では、触媒中のα型の二価金属モリブデイト結晶相の生成しやすさを、二価金属モリブデイト結晶相のうち、α型とβ型に各々由来するX線回折ピーク強度の比(α型/β型)の、衝撃付与前(X1)と付与後(X2)の差(X2−X1)でもって見積もり、これを0.1〜5の範囲内に特定した。
したがって、本発明の触媒及びこれを用いたアクリロニトリルの製造方法によれば、上記したように、反応初期において高い反応収率を示すと共に、経時的な反応収率の低下を抑制し、長期に渡って安定的にアクリロニトリルを製造することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は下記例によって限定されるものではない。
[実施例1]
組成式Mo10Bi0.4Fe4.3Ni5.5Mn0.5Cr0.8Sb3.5Ce0.40.20.20.252.75・(SiO235で表される酸化物触媒を以下のように調製した。
(スラリー(A)の調製)
32質量%硝酸水溶液2050質量部に電解鉄粉139質量部を少しずつ加え溶解した。これに三酸化アンチモン粉末800質量部を加え、得られたスラリーを良く攪拌しながら100℃で2時間加熱した。該スラリーを50℃に冷却後、ホウ酸19.5質量部、および75質量%リン酸水溶液41.3質量部を、攪拌しながら順次加えた。これを、回転円盤式噴霧乾燥機にて、入口温度320℃、出口温度160℃に制御しながら、噴霧乾燥した。得られた粒子を250℃で加熱処理し、さらに950℃で3時間焼成した。焼成粒子460質量部を採取し、これに純水690質量部を加え、平均粒径が1.2μmとなるまでアトライタにて粉砕し、スラリー(A)を得た。
(スラリー(B)の調製)
純水1000質量部にパラモリブデン酸アンモニウム344質量部を40℃にて溶解し、この溶液に、硝酸ニッケル311質量部、硝酸マンガン28.0質量部、40質量%硝酸第二クロム水溶液156質量部、硝酸カリウム3.9質量部、クエン酸25.0質量部、および硝酸ビスマス37.8質量部を3質量%硝酸水溶液270質量部に溶解したものを攪拌しながら加えた。この液にさらに、硝酸第一セリウム33.8質量部を純水80質量部に溶解したものを攪拌しながら加えた。さらに、コロイド平均粒径10nmの25質量%コロイダルシリカ1310質量部、およびコロイド平均粒径75nmの30質量%コロイダルシリカ273質量部を攪拌しながら加えた。さらに、硝酸第二鉄86.5質量部およびクエン酸25.0質量部を純水270質量部に溶解したものを攪拌しながら加えた。得られたスラリーを15質量%アンモニア水でpH2.2(40℃)に調整し、99℃で1.5時間加熱処理し、スラリー(B)を得た。
(触媒の調製)
スラリー(B)を50℃に降温した後、スラリー(A)399質量部を攪拌しながら加え、ホモジナイザー処理を施して、最終的なスラリーを得た。このスラリーのpHは1.9(40℃)であった。得られたスラリーを、回転円盤式噴霧乾燥機にて、入口温度190℃、出口温度145℃に制御しながら、噴霧乾燥した。得られた粒子を250℃で加熱処理した後、350℃で2.5時間焼成し、さらに640℃で3時間焼成して、触媒を得た。
[実施例2]
組成式Mo10Bi0.4Fe1.5Ni4.3Mg1.7Ce0.50.08Rb0.0639.67・(SiO230で表される酸化物触媒を以下のように調製した。
(スラリー(C)の調製)
17質量%硝酸水溶液461質量部に、硝酸ニッケル317質量部、硝酸マグネシウム111質量部、硝酸第一セリウム55.1質量部、硝酸第二鉄154質量部、硝酸カリウム2.1質量部、硝酸ルビジウム2.3質量部、および硝酸ビスマス49.2質量部を攪拌しながら順次加えて、スラリー(C)を得た。
(スラリー(D)の調製)
コロイド平均粒径10nmの25質量%コロイダルシリカ1373質量部、およびコロイド平均粒径75nmの30質量%コロイダルシリカ381質量部を、40℃にて攪拌しながら混合し、パラモリブデン酸アンモニウム448質量部を純水900質量部に溶解したものを攪拌しながら加えて、スラリー(D)を得た。
(触媒の調製)
スラリー(D)にスラリー(C)を攪拌しながら加え、ホモジナイザー処理を施して、最終的なスラリーを得た。このスラリーのpHは0.9(40℃)であった。得られたスラリーを、回転円盤式噴霧乾燥機にて、入口温度190℃、出口温度145℃に制御しながら、噴霧乾燥した。得られた粒子を250℃で加熱処理した後、350℃で2.5時間焼成し、さらに590℃で3時間焼成し、触媒を得た。
[比較例1]
組成式Mo10Bi0.4Fe4.3Ni5Co1Cr0.8Sb3.5Ce0.40.20.20.252.75・(SiO235で表される酸化物触媒を以下のように調製した。
(スラリー(E)の調製)
純水1000質量部にパラモリブデン酸アンモニウム344質量部を40℃にて溶解し、この溶液に硝酸ニッケル283質量部、硝酸コバルト56.7質量部、40質量%硝酸第二クロム水溶液156質量部、硝酸カリウム3.9質量部、クエン酸25.0質量部、および硝酸ビスマス37.8質量部を3質量%硝酸水溶液270質量部に溶解したものを攪拌しながら加えた。さらに硝酸第一セリウム33.9質量部を純水80質量部に溶解したものを攪拌しながら加えた。これにさらに、コロイド平均粒径18nmの20質量%コロイダルシリカ2047質量部を攪拌しながら加えた。さらに、硝酸第二鉄86.5質量部、およびクエン酸25.0質量部を純水270質量部に溶解したものを攪拌しながら加えた。得られたスラリーを15質量%アンモニア水でpH5.0(40℃)に調整し、99℃で1.5時間加熱処理して、スラリー(E)を得た。
(触媒の調製)
スラリー(E)を冷却して50℃になったところで、実施例1と同様にして調製したスラリー(A)399質量部を攪拌しながら加え、ホモジナイザー処理を施して、最終的なスラリーを得た。このスラリーのpHは2.7(40℃)であった。得られたスラリーを、回転円盤式噴霧乾燥機にて、入口温度330℃、出口温度160℃に制御しながら、噴霧乾燥した。得られた粒子を660℃で3時間焼成し、触媒を得た。
[比較例2]
組成式Mo10Bi0.4Fe1.6Ni4Mg1.7Mn0.2La0.30.08Rb0.0839.43・(SiO230で表される酸化物触媒を以下のように調製した。
(スラリー(F)の調製)
17質量%硝酸水溶液466質量部に、硝酸ニッケル298質量部、硝酸マグネシウム112質量部、硝酸マンガン14.7質量部、硝酸ランタン33.2質量部、硝酸第二鉄165質量部、硝酸カリウム2.1質量部、硝酸ルビジウム3.0質量部、および硝酸ビスマス49.7質量部を攪拌しながら順次加えて、スラリー(F)を得た。
(スラリー(G)の調製)
コロイド平均粒径10nmの25質量%コロイダルシリカ369質量部、およびコロイド平均粒径75nmの30質量%コロイダルシリカ1230質量部を、40℃にて攪拌しながら混合し、これにパラモリブデン酸アンモニウム452質量部を純水909質量部に溶解したものを攪拌しながら加えて、スラリー(G)を得た。
(触媒の調製)
スラリー(G)にスラリー(F)を攪拌しながら加え、ホモジナイザー処理を施して、最終的なスラリーを得た。このスラリーのpHは0.8(40℃)であった。得られたスラリーを、回転円盤式噴霧乾燥機にて、入口温度330℃、出口温度160℃に制御しながら、噴霧乾燥した。得られた粒子を600℃で3時間焼成し、触媒を得た。
[比較例3]
組成式Mo10Bi0.5Fe1.5Ni4Mg1Mn1.3Ce0.40.08Rb0.0839.98・(SiO235で表される酸化物触媒を以下のように調製した。
(スラリー(H)の調製)
17質量%硝酸水溶液420質量部に、硝酸ニッケル269質量部、硝酸マグネシウム59.2質量部、硝酸マンガン86.3質量部、硝酸第一セリウム40.1質量部、硝酸第二鉄140質量部、硝酸カリウム1.9質量部、硝酸ルビジウム2.8質量部、および硝酸ビスマス56.0質量部を攪拌しながら順次加えて、スラリー(H)を得た。
(スラリー(I)の調製)
コロイド平均粒径18nmの20質量%コロイダルシリカ2430質量部を40℃に調温し、これにパラモリブデン酸アンモニウム408質量部を純水820質量部に溶解したものを攪拌しながら加えて、スラリー(I)を得た。
(触媒の調製)
スラリー(I)にスラリー(H)を攪拌しながら加え、ホモジナイザー処理を施して、最終的なスラリーを得た。このスラリーのpHは0.9(40℃)であった。得られたスラリーを、回転円盤式噴霧乾燥機にて、入口温度330℃、出口温度160℃に制御しながら、噴霧乾燥した。得られた粒子を600℃で3時間焼成し、触媒を得た。
[X線回折測定]
各例において得られた触媒について、衝撃を付与し、衝撃前と衝撃後の双方について粉末X線回折測定を実施し、二価金属モリブデイト結晶相のうち、α型とβ型に各々由来するX線回折ピーク強度の比(α型/β型)の、衝撃付与前(X1)と付与後(X2)の差(X2−X1)を求めた(衝撃付与およびX線回折測定条件については、段落[0010]、[0011]参照)。
結果を表1に示す。
Figure 0004503444
[アクリロニトリルの製造]
各例において得られた触媒について、アクリロニトリルの製造を行った。触媒を変更する以外は同一の反応条件とした。
製造装置は図2に示した流動層反応装置を用い、反応器としては、塔内径0.25m、高さ16mの反応塔を使用した。また、定常状態の反応条件は以下の通りとした。
供給ガスとして、プロピレン、アンモニアおよび空気をモル比1/1.2/11で供給した。反応器内の流動物線速度は0.55m/s、反応温度は440℃、反応圧力は200kPaとした。
サイクロン入口ガス線速度は18m/s、原料ガススパージャーのノズル孔から噴出したガスと触媒が接触する部分のガス線速度は28m/s、反応器からサイクロンへの1時間あたりの触媒循環量は全触媒量の30質量%とした。触媒量は、定常状態時のプロピレン転化率が約98.5%となるように調節した。また、触媒中のMo量10モルに対して0.02モルに相当するMo量の三酸化モリブデンを100時間毎に添加した。
反応が定常状態となってから、1000時間毎に、下記式で定義されるプロピレン転化率、アクリロニトリル収率、アクリロニトリル選択率を各々求めた。
プロピレン転化率(%)=Q/P×100
アクリロニトリル収率(%)=R/P×100
アクリロニトリル選択率(%)=R/Q×100
上記式中、Pは供給したプロピレンのモル数、Qは反応したプロピレンのモル数、Rは生成したアクリロニトリルのモル数を表す。また、ガス分析は、ガスクロマトグラフィーにより実施した。
なお、反応器からサイクロンへの1時間あたりの触媒循環量は、サイクロン入口付近の温度と圧力下における反応生成ガスの1時間あたりの総流量と、そのガス中の触媒密度との積を、反応塔内の全触媒量で除した質量パーセント値とする。ガス中の触媒密度は、サイクロン入口付近のガスを分取して、ガス量とその中に含まれる触媒質量を計測することにより求めた。
また、サイクロン入口ガス線速度は、サイクロン入口付近の温度と圧力下における反応生成ガスの1秒あたりの総流量を、全てのサイクロンの入口断面積の和で除した値とする。
さらに、原料ガススパージャーのノズル孔から噴出したガスと触媒が接触する部分のガス線速度は、噴出直後の温度と圧力下における1秒あたりの原料ガス流量を、全ノズルのシュラウドの断面積の和で除した値とする。
(結果)
測定結果を表2〜6に示す。
表1〜6に示すように、二価金属モリブデイト結晶相のうち、α型とβ型に各々由来するX線回折ピーク強度の比(α型/β型)の、衝撃付与前(X1)と付与後(X2)の差(X2−X1)が0.1〜5の範囲内にある触媒を調製した実施例1及び2では、定常状態到達時に80%以上の高い反応収率が得られ、その後4000時間経過しても、反応収率の低下はほとんど見られず、アクリロニトリル収率、アクリロニトリル選択率はいずれも80%以上を維持し、安定的かつ高収率にアクリロニトリルを製造することができた。
これに対して、(X2−X1)が5超の触媒を調製した比較例1及び2では、定常状態到達時には良好な収率が得られたものの、経時的に収率が低下し、4000時間後には収率が78%以下まで低下した。
また、(X2−X1)が0.1未満の触媒を調製した比較例3では、得られた触媒は初期から活性の低いものであった。反応器が許容する最大限の触媒量を投入してみたが、定常状態到達時のプロピレン転化率は97.2%どまりであった。このときのアクリロニトリル収率は78.1%、アクリロニトリル選択率は80.3%であり、実施例に比して初期から反応収率が劣る結果となった。但し、経時的な反応収率の低下はほとんど見られなかった。
Figure 0004503444
Figure 0004503444
Figure 0004503444
Figure 0004503444
Figure 0004503444
本発明のアクリロニトリル製造用触媒、及びアクリロニトリルの製造方法は、プロピレンのアンモ酸化反応によるアクリロニトリルの製造に好ましく適用できる。
粉末X線回折測定例を示す図である。 アクリロニトリルの製造装置の一例を示す図である。
符号の説明
1 流動層反応装置 10 反応器 20 ガススパージャー 30 サイクロン

Claims (3)

  1. モリブデン、ビスマス、鉄、ニッケル、及びシリカを必須成分として含む金属酸化物からなり、二価金属モリブデイト結晶相のうち、α型とβ型に各々由来するX線回折ピーク強度の比(α型/β型)の、衝撃付与前(X1)と付与後(X2)の差(X2−X1)が0.1〜5であることを特徴とするアクリロニトリル製造用触媒。
  2. 下記組成式で表されることを特徴とする請求項1に記載のアクリロニトリル製造用触媒。
    Mo10BiFeNi・(SiO
    (式中、Dはコバルト、マグネシウム、マンガン、及び亜鉛からなる群より選ばれた少なくとも一種の元素、Eはイットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジウム、ネオジウム、及びサマリウムからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素、Gはニオブ、タングステン、アンチモン、アルミニウム、ホウ素、リン、クロム、鉛、カドミウム、及びカルシウムからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素、Hはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、及びタリウムからなる群から選ばれた少なくとも一種の元素を示す。添字a〜g、x、及びyは原子比を表し、0.1≦a≦3、0.1≦b≦5、1≦c≦10、0≦d≦10、0≦e≦10、0≦f≦10、0.01≦g≦2、10≦y≦100である。xは各成分の原子価を充足するのに必要な酸素原子比を示す。)
  3. 請求項1又は2に記載のアクリロニトリル製造用触媒を用い、プロピレンのアンモ酸化反応を行うことを特徴とするアクリロニトリルの製造方法。

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