JP2002540338A - 内燃機関のクランクケースベンチレーション・ガスから脱油するためのオイル分離装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は、内燃機関のクランクケースベンチレーション・ガスからオイルを除去するためのオイル分離装置（１）であって、前記内燃機関のクランクケースに接続されたガス入口と、前記内燃機関のガス導入管に接続されたガス出口と、前記内燃機関のオイルサンプに接続されたオイル出口とを備えたサイクロンに関する。この新規なオイル分離装置の特徴は、単一のサイクロンの代りに並列接続された複数のサイクロン（１１，１２，１３，１４）が提供されていることにある。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 本発明は、内燃機関のクランクケース・ベンチレーション・ガスから脱油する
ためのオイル分離装置に関し、前記オイル分離装置は、内燃機関のクランクケー
スに接続されたガス入口と、前記内燃機関の吸気通路に接続されたガス出口と、
前記内燃機関のクランクケース・サンプに接続されたオイル出口とを有するもの
に関する。

【０００２】 上述したタイプのオイル分離装置は、ＤＥ４２ １４ ３２４ Ｃ２から知ら
れている。このオイル分離装置に於いて、最大量のベンチレーション・ガスに対
応することが可能なサイズの単一のサイクロンが使用されている。この公知のオ
イル分離装置の重要な特徴は、前記サイクロンのオイル出口に、下向きダクトが
接続され、その口が、関連する内燃機関のクランクケース・サンプのオイルレベ
ルの下方に位置していること、常時開放で前記サイクロンの側方の下方ケース部
内に配設されたフロートバルブによって、内燃機関のクランクケース・サンプか
らの逆流が阻止され、更に、一つの構造ユニットとしての前記オイル分離装置全
体が、前記下向きパイプに対し取り外し可能に接続されていることにある。オイ
ル分離装置のこれらの具体的特徴構成に於いては、たとえば、アイドリング後に
全速状態が達成された時等、前記関連内燃機関の運転状態が確実かつ大きく変化
した時に、その運転状態の変化によって極めて大きな圧力差が生じることによっ
て、内燃機関のクランクケース・サンプからサイクロンの内部にオイルが運び込
まれないように考慮する必要がある。

【０００３】 上記文献によって扱われている上述の問題は、そこに記載されているオイル分
離装置によって解決されるが、単一のサイクロンを有するこのオイル分離装置に
は、実際の運転に於いて発生するすべての範囲の内燃機関運転条件に渡って最適
なオイル分離が達成されないという欠点がある。内燃機関の運転条件の変化によ
って、一方では、クランクケースから流出するベンチレーション・ガスの流量が
変化し、他方では、これらのベンチレーション・ガスのオイル負荷が変化する。
サイクロンは内燃機関の一定の比較的狭い範囲の運転条件で作動するものである
ため、この最適運転範囲外での運転条件に於いて、サイクロンから出るガス中に
不要な量のオイルが含まれ、それが内燃機関の吸気に供給されてしまう。

【０００４】 従って、本発明の目的は、上述した問題を回避し、特に、クランクケースのベ
ンチレーション・ガスからの、最適な、即ち完全又はほぼ完全なオイルの分離を
、内燃機関の非常に広い実用運転条件範囲に渡って保証する汎用オイル分離装置
を提供することにある。

【０００５】 この目的は、単数のサイクロンの代りに、複数の小型サイクロンが互いに並列
に設けられた汎用オイル分離装置によって達成される。

【０００６】 単一のサイクロンを備えるオイル分離装置と比較して、本発明のオイル分離装
置に依れば、遥かに大きな最適作動範囲のオイル分離装置が達成される。特に、
このオイル分離装置は、小流量のクランクケースベンチレーション・ガスの場合
に於いて、遥かに良好なオイル分離性能を有するとともに、このような流量の変
動に対して低いセンシティビティを有する。このように本発明のオイル分離装置
に依れば、関連内燃機関の現在の運転状態に対する分離率の依存度、従ってその
効率の依存度の大幅な低減が達成され、これによって、内燃機関の吸気のオイル
負荷の低減が達成され、クランクケース通気による内燃機関のオイル損失が減少
する。

【０００７】 好ましくは、前記複数のサイクロンは、それらに対する流れが接線流となるよ
うに構成される。この接線流によって、特に、非常にコンパクトな構造とするこ
とが可能となり、これにより、軸流と比較して、これらサイクロンの構造高さを
低く抑えることができる。

【０００８】 本発明の別実施例に依れば、前記個々のサイクロンの本体部は、互いに平行な
中心軸心を有するとともに、互いに組み合わされて、一つのサイクロン本体部を
形成している。各サイクロンは、これらサイクロンの数に対応するクランクケー
スベンチレーション・ガスの一部のみに対応すればよいので、各サイクロンを小
径に形成することが可能となり、これによって全体がより小型化され、更に重要
なことには、高さを更に低くすることが可能となる。その結果、このオイル分離
装置全体を、公知のオイル分離装置よりも僅かに大きいがその高さは遥かに低い
コンパクトなものとすることが可能となる。これに依り、エンジンコンパートメ
ント内、即ち、多くの場合、非常に密集した自動車のエンジンコンパートメント
内に、このオイル分離装置を収納することが非常に容易になる。

【０００９】 更に、前記個々のサイクロンの対応するガス入口へと延出する供給路を、スプ
リット又は分割された単一の主供給路とすることが提案される。これによって、
クランクケースベンチレーション・ガスをオイル分離装置へと導くために、クラ
ンクケースからオイル分離装置へ単一の接続ラインのみを形成すればよいことに
なる。オイル分離装置中のみで、ベンチレーション・ガスのガス流が、個々のサ
イクロンに対する部分流に分割される。これによって、オイル分離装置の取り付
けが簡略化され、複数のサイクロンが使用されているにも拘わらず、接続ライン
の数を少なくすることが可能となる。

【００１０】 前記オイル分離装置の製造コストを低くするために、前記主供給路と前記個々
の供給路とを、一体化して一つの供給通路部を形成する。

【００１１】 前記オイル分離装置の個々の部材の数を更に減らすために、前記サイクロン本
体部と前記供給通路部とを一体化して一つの主部材を形成する。

【００１２】 上述したように、一つの代替構成として、前記オイル分離装置の個々のサイク
ロンは、一つのコンパクトな構成部材として一体化することが可能であり、前記
複数のサイクロンを備えたオイル分離装置の構造は、個々のサイクロンを内燃機
関の内部および／又はその近傍に、分散配置することが可能となるという利点を
提供する。この構成に依り、個々のサイクロンを、一つのサイクロン用に設けら
れた空間が存在する内燃機関の内部の場所に互いに分離した状態で配設すること
が可能となる。これにより、比較的小さいが為に、以前は使用されることのなか
った未利用空間を、一つのサイクロン用に利用することが可能となる。

【００１３】 更に、前記個々のサイクロンを、少なくとも部分的に、内燃機関の他の単数又
は複数の構成部材と一体形成することも可能である。この方法によって、オイル
分離装置の個々の構成部材、及びその吸気及び排気ラインの製造と取り付けが容
易となる。又、オイル分離装置の個々の構成部材と吸気及び排気ラインとを取り
付けるための空間を更に小さくすることが可能となる。

【００１４】 前記内燃機関の構成部材、即ち、シリンダヘッド・カバーと又はそのエアフィ
ルタ・ケースが、個々のサイクロンおよび／又はその関連する吸気及び排気ライ
ン又はその一部の一体化用として特に好適である。上述した部材に依れば、一方
に於いて、自由空間又はまだ利用されていない空間が提供され、追加の空間を必
要とすることなく、前記サイクロン及びオイル分離装置のその他の部品をここに
配設することが可能となる。更に、このような構成部材は、前記クランクケース
・ベンチレーション・ガスとそれから分離されたオイル、そしてクリーンなガス
が通過すべき流路の近傍又はその流路中に設けられる。

【００１５】 前記オイル分離装置を低コスト及び省力的に製造するために、その構成部材は
、好ましくは、軽金属鋳造部品および／又はプラスチック材射出成形部品として
構成される。

【００１６】 以下、本発明の実施例を、図面を参照しながら説明する。これら図面に於いて、 図１は、オイル分離装置の縦断面図、そして 図２は、図１のオイル分離装置の図１のＩＩ−ＩＩ線に沿った水平断面図であ
る。 これら二つの図面は、４つのサイクロン１１，１２，１３，１４を備えるオイ
ル分離装置１の実施例を図示している。前記サイクロン１１−１４は、一体化さ
れて一つの一体化されたコンパクトな主部材１０を形成している。

【００１７】 図１の前記オイル分離装置の縦断面図に於いて、前記サイクロン１１は平面視
で図示され、サイクロン１２は図２の対応のＩ−Ｉ線が示された垂直断面視で図
示されている。前記サイクロン１３及び１４は、この断面の前方に位置する為、
図１では見えない。

【００１８】 図１の右上角部には、主供給通路２０が図示され、その外側、即ち右側の端部
は円形の断面を有するライン接続部材２９を備えた移行部２８として形成されて
いる。前記オイル分離装置１を通過するベンチレーション・ガスの流れ方向であ
る右側から左側方向に見て、前記供給通路２０は、徐々に平らで、かつ（図１で
は見えない）徐々に幅広に形成され、これによってその断面はほぼ一定となって
いる。前記供給通路２０は、４つの個々の供給通路又はガス入口２１−２４に分
割されているが、図１では、第２のサイクロン１２に対する通路又は入口２２の
みが図示されている。このように、流入ガス流は、前記４つのサイクロン１１−
１４に対して分割され、それぞれが対応のサイクロンに対して接線方向に流れる
。この接線流に依り、ガス流は、渦流に変換されて、これによって搬送される油
滴がサイクロン１１−１４の内面上に沈積し、流下する。油滴を除去されたガス
流は、対応のガス出口３１−３４を介して各サイクロン１１−１４を通って上方
に排出され、収集フード３８を介してライン接続部材３９に入る。このライン接
続部材３９には、関連内燃機関の吸気路へと延出するガスラインを接続すること
ができる。

【００１９】 前記サイクロン１１−１４中で分離されたオイルは、これらサイクロン１１−
１４内で流下し、その下端部から個々のオイル出口４１−４４を通って収集ホッ
パ４８内に排出される。この収集ホッパ４８の中心部のその最深部には、ライン
合流部材４９が設けられ、これには、前記関連内燃機関のクランクケースサンプ
へ延出するオイル戻りラインを接続することができる。

【００２０】 前記オイル分離装置１を通過する図２に示された断面に於いて、前記４つのサ
イクロン１１−１４の省スペースでコンパクトな配置を特によく見ることができ
る。その最上部右側には、前記接続部材２９が図示され、これには、関連内燃機
関のクランクケースから延出するラインが接続され、このラインを通ってクラン
クケースから来る油滴を含むクランクケース・ベンチレーション・ガスがオイル
分離装置１へと案内される。図中左側には、前記主供給路２０が、前記移行部２
８の領域に於いて拡大され、同時に図１を参照して前述したように、平らに形成
されている状態が図示されている。更にその左側に於いて、前記主供給路は、４
つの供給路又はガス入口２１−２４に分割され、これらはそれぞれ前記サイクロ
ン１１−１４と対応している。各供給路又はガス入口２１−２４は、対応するサ
イクロン１１−１４に対して接線方向に形成されている。二つのサイクロン１１
及び１２に於いては、その流路は、右回転するガス流が発生するように構成され
、これに対してサイクロン１３及び１４に於いては、ガス流は左回転となるよう
に構成されている。各サイクロン１１−１４の内部から見れば、対応のガス出口
３１−３４を通して、これらサイクロン１１−１４の最下部に配置された前記各
オイル出口４１−４４を見通すことができる。図２の紙面後方の最下部に、分離
されたオイル用の前記収集ホッパ４８の小さな部分が見える。

【００２１】 特に図２に図示されているように、流入ガス流は、偏向すること無く、従って
、流動抵抗の増加が無く、前記４つの個々のサイクロン１１−１４へと分割され
る。このガス流の複数のサイクロンへの分割によって、特に少量のベンチレーシ
ョン・ガスの場合に於いて、オイル分離性が高まり、それと同時に、クランクケ
ース・ベンチレーション・ガスの流量の変動に対するセンシティビティが減少す
る。

【００２２】 前記オイル分離装置の実施例に示したように、このオイル分離装置は、少数の
構成部材、本実施例に於いては、一体に形成された、主部材１０、移行部２８及
びガス出口３１−３４、前記収集カバー３８及び収集ホッパ４８、から形成する
ことができる。更に、従来と同様、好ましくは、ホースとして構成可能な、対応
接続ラインが設けられている。これに代る構成として、すべての接続ラインを、
少なくともその一部、内燃機関の別構成部材として一体化することができ、これ
により、個々のラインを製造及び取り付ける手間が減少又は不要となる。前記オ
イル分離装置１の上述した部材は、好ましくは、軽金属の鋳造部品、又は、プラ
スチック材の射出成形部品とされ、プラスチック材としては、発生する熱及び化
学的応力に耐えうるものが選択される。

【図面の簡単な説明】

【図１】 オイル分離装置の縦断面図

【図２】 図１のオイル分離装置の図１のＩＩ−ＩＩ線に沿った水平断面図

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 3G015 BD10 BD24 BE03 BE06 BF05 BF08 CA16 DA01 DA10 EA27 4D053 AA01 AB01 BA04 BB01 BC01 BD04 DA10

Claims (10)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内燃機関のクランクケース・ベンチレーション・ガスを脱油
   するためのオイル分離装置（１）であって、前記オイル分離装置（１）が、前記
   内燃機関のクランクケースに接続されたガス入口と、前記内燃機関の吸気通路に
   接続されたガス出口と、前記内燃機関のクランクケース・サンプに接続されたオ
   イル出口とを有するものに於いて、 単一のサイクロンに変えて、複数の小さなサイクロン（１１，１２，１３，１
   ４）が互いに並列に配設されていることを特徴とする装置。
2. 【請求項２】 請求項１のオイル分離装置であって、前記サイクロン（１１
   −１４）は、それらに対する流れが接線流となるように構成されている。
3. 【請求項３】 請求項１又は２のオイル分離装置であって、前記サイクロン
   （１１−１４）の本体部は、互いに平行な中心軸心を有するとともに、互いに組
   み合わされて一つのサイクロン本体部を形成している。
4. 【請求項４】 前記請求項のいずれかのオイル分離装置であって、前記個々
   のサイクロン（１１−１４）の、対応するガス入口側に延出する供給路（２１−
   ２４）は、分割又は分岐された一つの主供給路（２０）から形成されている。
5. 【請求項５】 請求項４のオイル分離装置であって、前記主供給路（２０）
   と前記個々の供給路（２１−２４）とは、組み合わされて一つの供給路部を形成
   している。
6. 【請求項６】 請求項３−５のいずれかのオイル分離装置であって、前記サ
   イクロン本体部と前記供給路部とは、組み合わされて主部材（１０）を形成して
   いる。
7. 【請求項７】 請求項１又は２のオイル分離装置であって、前記個々のサイ
   クロン（１１−１４）は、前記内燃機関内および／又はその近傍に、分散配置さ
   れている。
8. 【請求項８】 請求項７のオイル分離装置であって、前記個々のサイクロン
   （１１−１４）は、少なくとも部分的に、前記内燃機関の単数又は複数の他の構
   成部材に一体化されている。
9. 【請求項９】 請求項８のオイル分離装置であって、前記内燃機関の前記他
   の構成部材は、シリンダヘッドカバー又はそのエアフィルタケースである。
10. 【請求項１０】 前記請求項のいずれかのオイル分離装置であって、該分離
    装置の前記個々の部品は、軽金属の鋳造部品および／又はプラスチック材の射出
    成形部品である。